JP6964868B2 - 毛髪用処理剤および毛髪処理方法 - Google Patents
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本発明は、例えば、以下の[1]〜[4]である。
毛髪用処理剤100質量%中に、高級アルコールおよび二鎖型カチオン界面活性剤を合計で1〜14質量%含み、
高級アルコールと二鎖型カチオン界面活性剤との割合(質量比)が1:2〜1:4.5である、毛髪用処理剤。
工程(1)を経た毛髪に、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の毛髪用処理剤を与える工程(2)
および
前記毛髪用処理剤が与えられた毛髪をシャンプーで水洗する工程(3)
を含む毛髪処理方法。
本発明の毛髪用処理剤は、アニオン界面活性剤を含む酸化染毛剤による染毛後に使用する処理剤をいう。本発明の毛髪用処理剤が使用されるタイミングは、通常は染毛後であって、かつ、シャンプー水洗前である。
特許文献1には、染毛による毛髪の損傷を修復しつつ、染毛後の毛髪の色持ちや感触を良好にするため、特定のpH緩衝剤、両性ポリマーおよびカチオン界面活性剤を含む染毛用後処理剤を使用することについて記載されている。しかしながら、前記染毛用後処理剤は、染毛を行った毛髪をシャンプーで水洗した後に、毛髪に使用されるものであり、シャンプーで水洗する前の毛髪に対して使用されるものではなかった。このため、特許文献1では、シャンプー水洗前に使用して、毛髪の染色状態を良好にする毛髪用処理剤については何ら検討されていなかった。
本発明の毛髪用処理剤は、アニオン界面活性剤を含む酸化染毛剤による染毛後に使用される。前記酸化染毛剤は、通常、アルカリ剤およびアニオン界面活性剤を含む第1剤ならびに酸化剤を含む第2剤からなる。
本発明の毛髪用処理剤が含有する高級アルコール(以下「成分A」ともいう。)としては、1分子中の炭素数が12〜24のものが好ましく、1分子中の炭素数が12〜22のものがより好ましい。高級アルコールとしては、例えば、セタノールおよびベヘニルアルコール等が挙げられる。成分Aは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
本発明の毛髪用処理剤は、二鎖型カチオン界面活性剤(以下「成分B」ともいう。)を含む。
前記鎖状炭化水素基としては、分岐を有する鎖状炭化水素基でもよく、分岐を有さない鎖状炭化水素基、すなわち、直鎖状炭化水素基であってもよい。前記鎖状炭化水素基としては、直鎖状炭化水素基が本発明の効果を好適に発現するため好ましい。
本発明の毛髪用処理剤は、ポリエチレングリコール(以下「成分C」ともいう。)を含んでもよい。成分Cとしては、高重合ポリエチレングリコールが好ましい。
(i)ポリエチレングリコールの濃度が2質量%である水溶液の25℃における、水溶液粘度が35〜18000mPa・sである。
(ii)ポリエチレングリコールの濃度が0.5質量%である水溶液の25℃における、水溶液粘度が30〜250mPa・sである、
前記(i)や(ii)を満たす成分Cは、分子量が充分に大きく、高重合ポリエチレングリコールとして使用することが可能である。
また、成分AおよびBと共に成分Cを含むことにより、シャンプーの水洗を行った場合に染毛後の毛髪に生じるきしみ感を軽減し、良好な毛髪の染まり具合(染色の具合)、色持ち(褪色のしにくさ)、艶および仕上がりの指通りに加え、塗布時の操作性に優れる。
本発明の毛髪処理方法は、アニオン界面活性剤を含む酸化染毛剤により、毛髪を染毛する工程(1)、
工程(1)を経た毛髪に、毛髪用処理剤を与える工程(2)および
前記毛髪用処理剤が与えられた毛髪をシャンプーで水洗する工程(3)を含む。
実施例、比較例で使用した第1剤および第2剤からなる酸化染毛剤の成分および配合割合は、表1〜2に示す通りである。表1〜2に記載された成分の単位は質量%であり、第1剤または第2剤の全量を100質量%として表す。
実施例、比較例で調製した毛髪用処理剤の成分および配合割合は、表3−1、3−2および4に示す通りである。表に記載された成分の単位は質量%であり、毛髪用処理剤全量を100質量%として表す。
調製した毛髪用処理剤を用いて、以下の試験を行い、評価を行った。
<高級アルコール(成分A)>
セタノール:セタノールSH(高級アルコール工業株式会社製)
<二鎖型カチオン界面活性剤(成分B)>
ジステアリルジモニウムクロリド(成分B−1):アーカード2HP-75(ライオン株式会社製)
ジセチルジモニウムクロリド(成分B−2):VARISOFT 432 PPG(エボニックジャパン株式会社製)
ジココジモニウムクロリド(平均分子量447.5)(成分B−3):アーカード2C−75(ライオン株式会社製)
<一鎖型カチオン界面活性剤(成分X)>
ベヘントリモニウムクロリド(成分X−1):カチナール DC−80(東邦化学株式会社製)
ステアルトリモニウムクロリド(成分X−2):カチナール STC‐70ET(東邦化学株式会社製)
ラウリルトリモニウムクロリド(成分X−3):カチナール LTC‐35A(東邦化学株式会社製)
<カチオン界面活性剤以外の界面活性剤(成分Y)>
ポリオキシエチレンセチルエーテル(成分Y−1):エマレックス120(日本エマルジョン株式会社製)(ノニオン界面活性剤)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(成分Y−2):アルスコープ NS−230(東邦化学株式会社製)(アニオン界面活性剤)
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液(成分Y−3):レボン2000(三洋化成工業株式会社製)液中にヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが30質量%含まれる溶液(両性界面活性剤)
<ポリエチレングリコール(成分C)>
ポリエチレングリコール(成分C−1):アルコックスE−160(25℃、水溶液濃度0.5質量%の時の水溶液粘度が150〜170mPa・s)(明成化学工業株式会社製)
ポリエチレングリコール(成分C−2):アルコックスE−75(25℃、水溶液濃度0.5質量%の時の水溶液粘度が40〜70mPa・s)(明成化学工業株式会社製)
ポリエチレングリコール(成分C−3):アルコックスE−30(25℃、水溶液濃度2質量%の時の水溶液粘度が40〜100mPa・s)(明成化学工業株式会社製)
調製したアニオン性およびカチオン性の酸化染毛剤を使用してヘアカラー処理を施した毛束に対し、専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ以下の(1)〜(6)の各項目に記載した評価基準に従って官能評価を行った。
塗布時の操作性に関しては、本発明の毛髪用処理剤の評価項目として必須項目ではない。したがって、以下の(1)〜(6)の各項目の評価基準を満たした実施例で製造した毛髪用処理剤は、塗布時の操作性に関する評価が劣っていても、本発明の毛髪用処理剤として問題なく使用することができる。
各項目につき10名の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
(1)染まり具合(染色の具合)に関する評価
ヤギ毛束(10cm、1g)(LB−W、ビューラックス株式会社製)に調製した酸化染毛剤を3g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤1gを毛束に塗布した。次に、毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)1gを用いてシャンプーした後、40℃のお湯で水洗し、シェルパデザインサプリD−2トリートメント(株式会社アリミノ製)1gを塗布した。その後、毛束を水洗しドライヤーで乾燥させた。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色が明らかに濃く染まっている。
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色が濃く染まっている。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色の濃淡の差がなく染まっている。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色が薄く染まっている。
ヤギ毛束(10cm、1g)(LB−W、ビューラックス株式会社製)2本に調製した酸化染毛剤をそれぞれ3g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤をそれぞれ1g毛束に塗布した。次に、毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)1gを用いてシャンプーした後、40℃のお湯で水洗した(シャンプー処理)。毛束にシェルパデザインサプリD−2トリートメント(株式会社アリミノ製)1gを塗布した(トリートメント処理)。その後、毛束を水洗しドライヤーで乾燥させる(乾燥処理)。毛髪用処理剤を塗布した2本のヤギ毛束のうち1本は、シャンプー→トリートメント→乾燥を行う一連の処理(シャンプー・トリートメント・乾燥処理)を10回繰り返した。もう1本の一連の処理を行わなかったヤギ毛束と、シャンプー・トリートメント・乾燥処理を繰り返し行った毛束を比較して、毛束の色持ちを目視で確認した(上述の操作を操作Aとする)。
操作Aを行った毛束の色持ち具合と操作Bを行った毛束の色持ち具合を比較することで、毛髪用処理剤の色持ちの効果を評価した。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、明らかに色持ちが良い。
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色持ちが良い。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色落ちの程度に差がない。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、色落ちしている。
人毛黒髪毛束(30cm、10g)(BS−B3A、ビューラックス株式会社製)に調製した酸化染毛剤を30g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤5gを毛束に塗布した。毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)3gを用いてシャンプーした後、40℃のお湯で水洗し、シェルパデザインサプリD−2トリートメント(株式会社アリミノ製)3gを塗布した。その後、毛束を水洗しドライヤーで乾燥させた。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、格段に艶がでている
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、より艶がある。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、艶に差はない。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、艶がでていない。
人毛黒髪毛束(30cm、10g)(BS−B3A、ビューラックス株式会社製)に調製した酸化染毛剤を30g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤5gを毛束に塗布した。毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)3gを用いてシャンプーした後、毛束を40℃のお湯で水洗し、その時の指通りを確認した。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、きしみ感を感じず、柔らかく、明らかに指通りが滑らかであった。
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、よりきしみ感が少なく、指通りが滑らかであった。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合と、同程度の滑らかさであった。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、きしみ感があり、滑らかさに欠け、指通りが悪かった。
人毛黒髪毛束(30cm、10g)(BS−B3A、ビューラックス株式会社製)に調製した酸化染毛剤を30g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤5gを毛束に塗布した。毛髪用処理剤を40℃のお湯で水洗後、シェルパデザインサプリD−2シャンプー(株式会社アリミノ製)3gを用いてシャンプーした後、40℃のお湯で水洗し、シェルパデザインサプリD−2トリートメント(株式会社アリミノ製)3gを塗布した。その後、毛束を水洗しドライヤーで乾燥させた。
4点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、格段に滑らかで、柔らかく、指通りがよい。
3点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、ひっかかりが少なく、指通りが良い。
2点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、指通りに差はない。
1点 毛髪用処理剤を使用しなかった場合に比べて、指通りが悪い。
毛髪の長さが50cmの人頭に調製した酸化染毛剤を160g塗布し、室温で30分放置後、40℃のお湯で水洗し、各実施例および比較例で製造した毛髪用処理剤15gを塗布した。
4点 非常に滑らかな延びがあり、毛髪用処理剤が塗布しやすい。
3点 毛髪と馴染みやすく、毛髪用処理剤が塗布しやすい。
2点 毛髪用処理剤が問題なく塗布できる。
1点 毛髪用処理剤が硬すぎて毛髪に馴染みづらい、もしくは垂れ落ちやすく充分に塗布できない。
比較例1で製造した毛髪用処理剤は、成分Aと成分Bとの割合が1:2より低いため、成分同士が分離して均一に混合することが不可能となり、剤型化することができなかった。よって、比較例1で製造した毛髪用処理剤については官能評価を行っていない。
比較例5〜7で製造した毛髪用処理剤は、二鎖型カチオン界面活性剤である成分B−1、B−2またはB−3に代えて、それぞれ一鎖型カチオン界面活性剤である成分X−1、X−2またはX−3を使用した。比較例5〜7ではシャンプーの水洗後の毛髪は、色持ち、および艶が劣る結果となった。
Claims (4)
- アニオン界面活性剤を含む酸化染毛剤による染毛後に使用する毛髪用処理剤であって、
毛髪用処理剤100質量%中に、高級アルコールおよび二鎖型カチオン界面活性剤を合計で1〜14質量%含み、
高級アルコールと二鎖型カチオン界面活性剤との割合(質量比)が1:2〜1:4.5である、毛髪用処理剤。 - 毛髪用処理剤100質量%中に、ポリエチレングリコールを0.01質量%以上含む、請求項1または2に記載の毛髪用処理剤。
- アニオン界面活性剤を含む酸化染毛剤により、毛髪を染毛する工程(1)、
工程(1)を経た毛髪に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪用処理剤を与える工程(2)
および
前記毛髪用処理剤が与えられた毛髪をシャンプーで水洗する工程(3)
を含む毛髪処理方法。
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