JP6911631B2 - 変圧器の騒音予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変圧器の騒音予測方法に関する。
変圧器においては、騒音の発生を抑制することがひとつの技術的課題となっている。このような騒音の原因の一つとして、変圧器の鉄心材料である電磁鋼板の磁気ひずみ(磁歪)が挙げられる。素材となる電磁鋼板を用いて変圧器の騒音を正確に予測することができれば、求められる騒音レベルに応じた変圧器の設計が容易になり、また、変圧器の騒音を低減可能な電磁鋼板の開発研究を促進する面からも有効である。そのため、素材である電磁鋼板を用いて変圧器の騒音を予測する技術が検討されている。
例えば特許文献1には、可聴周波数範囲で磁性材料を励磁して磁歪を測定し、この値から音圧を求め、更に聴感補正を行う方法が開示されている。
特許文献2には、方向性電磁鋼板の磁歪特性を、磁歪の速度レベル:dλ/dtにおける加減速ポイントを磁歪振動1周期内で4つとし、かつ、磁歪振動の加速領域または減速領域内における隣接する速度変化ポイントの速度レベル変化量を3.0×10−4sec−1以下とする方法が開示されている。
特許文献3には、電磁鋼板の磁歪周波数特性(磁歪周波数スペクトル特性)を入力として、当該電磁鋼板を積層した積層体鉄心を励磁した時の振動特性(励磁振動周波数スペクトル特性)を予測する方法が開示されている。
特許文献4には、磁気ひずみの測定点近傍の磁界Hと磁束密度Bを測定し、これから微分透磁率(μ′=dB/dH)あるいは磁化力Hを求め、磁気ひずみ(磁歪)を予測する方法が開示されている。
特許文献5には、鉄心に用いる方向性電磁鋼板として、式; λb=max(λP−P15/50、λP−P16/50、λP−P17/50、λP−P18/50)+λ0−P19/50で定義される交流磁歪パラメータλbが1.91×10−6以下のものを用いることを特徴とするトランスの製造方法が開示されている。
特許第3456742号公報 国際公開第2016/125504号 特許第5716330号公報 特開平10−132913号公報 特開2009−231477号公報
上述のように、変圧器の騒音に関係する鋼板の特性は磁歪である。素材鋼板の特性を用いて変圧器の騒音を予測する従来の手法では、素材鋼板で発生した磁歪の大きさ、磁歪波形を速度に変換した速度レベルの大きさ、微分透磁率、磁歪波形から得られた周波数特性などが変圧器の騒音と相関のあるパラメータとして重要視されてきた。
ここで、素材鋼板として主磁区幅を細分化した鋼板を用いることで、変圧器の低損を低減する技術が知られている。このような素材鋼板の磁区制御の種類は、大きく、エッチング、歯車プレス、レーザ照射等により、鋼板表面に溝を形成する破壊的磁区制御と、レーザ照射等により、鋼板表面に歪を形成する非破壊的磁区制御に大別される。
しかしながら、上述の従来技術で変圧器の騒音の予測に用いられてきたパラメータでは、磁区制御されていない鋼板や破壊的磁区制御が施された鋼板が素材である場合には変圧器の騒音を予測することができるが、レーザ照射により歪を形成する非破壊的磁区制御が施された鋼板が素材である場合には変圧器の騒音を予測することはできなかった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、素材とする鋼板に施された磁区制御の有無や種類に関わらず変圧器の騒音を高精度に予測することができる方法を提供することを目的とする。
本発明に係る変圧器の騒音予測方法は、鉄心の材料である方向性電磁鋼板の磁歪特性を用いた変圧器の騒音予測方法であって、前記方向性電磁鋼板の磁束密度と磁歪速度の波形における、前記磁束密度波形の最大値の70%の磁束密度におけるピーク幅の位相範囲内において、前記磁歪速度波形が極大値を示す点をAとし、当該磁歪速度波形が極小値を示す点より進んだ位相範囲において磁歪速度が0となる点をBとしたときに、前記AとBの間における磁歪速度Vλの絶対値を積算したSVλpを算出し、前記SVλpを用いて騒音を予測する。
本発明に係る変圧器の騒音予測方法において、前記SVλpが大きいほど騒音が大きいと判断することが好ましい。
本発明によれば、素材とする鋼板に施された磁区制御の有無や種類を限定することなく変圧器の騒音を高精度に予測することができる変圧器の騒音予測方法を提供することができる。
本発明に適用可能な積鉄心の例を示す模式図である。 本発明に適用可能な巻鉄心の例を示す模式図である。 鉄心接合部の例を示す模式図である。 方向性電磁鋼板の磁束密度と磁歪速度の波形の例を示す図である。 方向性電磁鋼板の磁歪速度の波形におけるSVλpの範囲の例を示す図である。 方向性電磁鋼板の磁歪速度の波形におけるSVλ0の範囲の例を示す図である。 実施例1で得られた、方向性電磁鋼板のSVλp、SVλ0、λppと、変圧器の騒音との関係を示す図である。 実施例2で得られた、方向性電磁鋼板のSVλp、SVλ0、λppと、変圧器の騒音との関係を示す図である。
以下、本発明に係る変圧器の騒音予測方法について詳細に説明する。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」、「直角」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本発明に係る変圧器の騒音予測方法は、鉄心の材料である方向性電磁鋼板の磁歪特性を用いた変圧器の騒音予測方法であって、前記方向性電磁鋼板の磁束密度と磁歪速度の波形における、前記磁束密度波形の最大値の70%の磁束密度におけるピーク幅の位相範囲内において、前記磁歪速度波形が極大値を示す点をAとし、当該磁歪速度波形が極小値を示す点より進んだ位相範囲において磁歪速度が0となる点をBとしたときに、前記AとBの間における磁歪速度Vλの絶対値を積算したSVλpを算出し、前記SVλpを用いて騒音を予測する。
上述のように、変圧器の騒音の主な原因が鉄心材料である電磁鋼板の磁歪であることから、素材鋼板の磁歪に関するパラメータによって、変圧器の騒音を予測できることが知られていた。しかし、磁歪に関するパラメータにより変圧器の騒音を予測する技術は、磁区制御されていない鋼板や破壊的磁区制御が施された鋼板(以下、破壊的磁区制御材と称することがある。)ではある程度の精度で予測できるものの、レーザ照射により歪を形成する非破壊的磁区制御が施された鋼板(以下、非破壊的磁区制御材と称することがある。)には適用できなかった。
本発明者らは、素材鋼板が示す磁束密度波形1周期の中で特定の位相範囲のみに着目して、当該特定の位相範囲の中で磁歪速度波形から求められるパラメータを用いることで、磁区制御の有無や種類に関わらず、変圧器の騒音を予測できることを知見した。
本発明では、磁歪速度波形のうち、騒音との相関が弱い位相範囲を除いて、騒音との相関が強い位相範囲に限定することで、特に変圧器の騒音と相関の高いパラメータが得えられるため、素材となる鋼板の磁区制御の有無や種類に関わらず、変圧器の騒音を高精度に予測することが可能となる。
以下、本発明で変圧器の騒音の予測方法について詳細に説明する。
1.方向性電磁鋼板
本発明において用いられる方向性電磁鋼板に特に制限はないが、当該鋼板中の結晶粒の方位が{110}<001>方位に高度に集積された鋼板であり、圧延方向に優れた磁気特性を有することが好ましい。方向性電磁鋼板として公知のものの中から、求める性能に従って、適宜選択して用いることができる。
上述のように、本発明の騒音予測方法では、方向性電磁鋼板として、レーザ照射により歪を形成する非破壊的磁区制御が施された鋼板を用いた場合であっても、変圧器の騒音を高精度に予測することが可能である。
母材の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方向性電磁鋼板の製造方法を適宜選択することができる。製造方法の好ましい具体例としては、例えば、スラブを1000℃以上に加熱して熱間圧延を行った後、必要に応じて熱延板焼鈍を行い、次いで、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷延により冷延鋼板とし、当該冷延鋼板を、例えば湿水素−不活性ガス雰囲気中で700〜900℃に加熱して脱炭焼鈍し、必要に応じて更に窒化焼鈍し、1000℃以上で仕上焼鈍する方法などが挙げられる。
本発明において母鋼板の厚みは特に限定されないが、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.15mm以上0.40mm以下であることがより好ましい。
本発明において方向性電磁鋼板は、表面に被膜を有していてもよい。このような被膜としては、例えば、鋼板上に形成されるグラス被膜などが挙げられる。グラス被膜としては、例えば、フォルステライト(MgSiO)、スピネル(MgAl)、及びコーディエライト(MgAlSi16)より選択される1種以上の酸化物を有する被膜が挙げられる。
本発明においてグラス被膜の厚みは特に限定されないが、0.5μm以上3μm以下であることが好ましい。
2.変圧器
本発明で騒音を予測する変圧器は1.に記載した方向性電磁鋼板が積層された鉄心を備える。方向性電磁鋼板が積層された鉄心は大きく積鉄心と巻鉄心とに大別することができるが、本発明の騒音予測方法は、電磁鋼板の磁歪の形状変化が原因で起振力による騒音を元に評価予測するため、積鉄心、巻鉄心の両方に使用可能である。
2−1.積鉄心
図1は、単相積鉄心の一例を示す模式図である。図1に示される単相積鉄心10は、二つの脚部2と二つのヨーク部3からなる。単相積鉄心では、二つの脚部2と二つのヨーク部3により閉磁路が形成される。
脚部2とヨーク部3は、曲げ加工されていない平らな方向性電磁鋼板1が積み重ねられた積層体であり、通常、積層された鋼板にずれが生じないように、スチールバンド等によって結束される。
脚部2とヨーク部3の接合部4では、例えば、図3の(A)に示すバットラップ接合や図3の(B)に示すステップラップ接合により、脚部2を構成する鋼板とヨーク部3を構成する鋼板とを交互に重ねるように積層する。
2−2.巻鉄心
図2(A)は、単相巻鉄心の一例を示す模式図である。図2(A)に示される巻鉄心11は、長手方向に平面部6とコーナー部5とが交互に連続し、当該各コーナー部5において隣接する2つの平面部6のなす角が90°である方向性電磁鋼板1が、板厚方向に積み重ねられた部分を含み、側面視において略矩形状の積層構造を有する。
図2(A)に示す巻鉄心の例では、各コーナー部5は、側面視において、曲線状の形状を有する屈曲部7を2つ有しており、且つ、一つのコーナー部に存在する屈曲部それぞれの曲げ角度の合計が90°となっている。
図2(B)は、巻鉄心の積層構造の1層を構成する方向性電磁鋼板1の模式図である。電磁鋼板を折り曲げ加工することにより接合箇所8を有する略矩形状に成形する。
接合箇所8が積層された接合部4では、例えば、図3の(A)に示すバットラップ接合や図3の(B)に示すステップラップ接合により、鋼板を交互に重ねるように積層する。
2−3.変圧器
本発明で騒音を予測する変圧器は、上記鉄心に巻線を設置した状態で機能する。巻線とは、回路に接続され、前記鉄心に回巻されて用いられるものをいう。例えば、巻線を備える単相鉄心では、電源を含む一次回路に接続され鉄心に回巻された一次コイルと、取出し用二次回路に接続され鉄心に回巻された二次コイルとを有する。
負荷が接続されていない状態で、一次コイルに電圧を印加すると、一次コイルに励磁電流が流れ、鉄心中に交番磁束が発生する。この磁束が二次コイルに電圧を誘起させるが、同時に鋼板に磁歪が生じ変圧器全体が変形するため、騒音が発生する。この際、一次コイルと二次コイルの巻数比が、一次回路と二次回路の電圧の比となる。
巻線の材質としては特に限定されないが、銅、アルミニウム等が挙げられる。巻線の構成は、一般的に変圧器に用いられる公知の構成とすることができる。
3.磁束密度と磁歪速度の波形
本発明の騒音予測方法では、素材である方向性電磁鋼板に交流電圧を印加した際に得られる磁束密度と磁歪速度の波形を用いて得られるパラメータを用いて、変圧器の騒音を予測する。
方向性電磁鋼板の磁束密度波形の測定方法に特に制限はないが、通常、測定する鋼板にコイルを巻き、このコイルの両端に誘起する電圧波形を積分することで磁束密度波形を測定することができる。
また、方向性電磁鋼板の磁歪速度波形の測定方法にも特に制限はないが、通常、レーザドップラー振動計などで測定される方向性電磁鋼板の振動波形を微分して磁歪速度を測定することができる。
図4は同一の方向性電磁鋼板に交流電圧を印加した際に得られる磁束密度と磁歪速度の波形を重ねて示したグラフである。図4では、左の縦軸が磁歪速度、右の縦軸が磁束密度を示す。図4で示す位相範囲(10mS)は、磁束密度波形においては半周期であるが、磁歪速度波形では1周期とみなすことができる。
3−1.位相範囲
本発明の騒音予測方法では、騒音予測を行うために使用する磁歪速度パラメータを得るための位相範囲を、図4に示すように磁束密度波形において、最大値の70%の磁束密度におけるピーク幅に限定する。ここで、磁歪速度(Vλ)波形とは、磁歪(λ)波形を時間微分(dλ/dt)した波形である。
従来の磁歪速度波形を用いた騒音予測方法では、位相範囲を限定することなく1周期全ての特徴を用いて、騒音を予測していたため、変圧器の騒音との相関が低い位相範囲の影響により、高精度に騒音を予測することが困難である変圧器が存在した。特に、レーザ照射により歪を形成する非破壊的磁区制御が施された鋼板を用いる場合には、変圧器の騒音との相関が低い位相範囲の影響により、磁歪速度波形と変圧器の騒音の間に相関を見出すことができなかった。
本発明では、騒音予測を行うために使用する磁歪速度パラメータを得るための位相範囲を、磁束密度波形において、最大値の70%の磁束密度におけるピーク幅の範囲に限定することで、当該パラメータと変圧器の騒音との相関が高くなるため、磁区制御の有無や種類に関わらず、変圧器の騒音を高精度に予測することが可能となった。
3−2.SVλp
本発明では、前記位相範囲内で、磁歪速度波形が極大値を示す点をAとし、当該磁歪速度波形が極小値を示す点より進んだ位相範囲において磁歪速度が0となる点をBとしたときに、前記AとBの間における磁歪速度Vλの絶対値を積算した面積であるSVλpを算出する。
SVλpは磁束密度波形の頂点付近における、磁歪速度の変化の大きさを表すパラメータであるといえる。
以下、図5を参照しながら、SVλpの領域を説明する。
図5(A)及び(B)に示すように、前記磁束密度波形の最大値の70%の磁束密度におけるピーク幅の位相範囲内において、磁歪速度波形は必ず2つの変曲点(極大値及び極小値)を有する。
例えば、極大値を示す点Aの磁歪速度が0を超える場合には図5(A)において斜線で示した領域の面積がSVλpで表される。また、Aの磁歪速度が0以下である場合には図5(B)において斜線で示した領域の面積がSVλpで表される。
本発明では、このようにして得られたSVλpを、変圧器の騒音を予測するパラメータとして用いることにより、磁区制御の有無や種類に関わらず、変圧器の騒音を予測することが可能となった。
SVλpを用いることにより、レーザ照射により歪を形成する非破壊的磁区制御が施された鋼板であっても騒音を予測できるようになった理由は、必ずしも定かではないが、以下のように推測している。
磁束量が多い位相において機械的な磁歪の変化量が大きい場合、変圧器の騒音が大きくなると考えられる。そのため、磁気吸引力・反発力および磁歪の変化量の積が大きくなる位相において、変圧器の騒音が大きくなると考えられる。
しかし、レーザ照射により歪を形成する非破壊的磁区制御が施された鋼板では、磁束量が小さい位相においても、機械的な磁歪の変化量が大きくなる場合があり、磁束密度波形における1周期または半周期の位相全ての磁気吸引力・反発力および磁歪の変化量の積と変圧器の騒音の相関が小さかった。
本発明では、変圧器の騒音との相関が大きい、磁気吸引力・反発力および磁歪の変化量の積が大きくなる磁束密度波形のピーク近傍の位相のみに着目することで、レーザ照射により歪を形成する非破壊的磁区制御が施された鋼板であっても騒音を予測できるようになったと考えられる。
本発明においては、定性的には、SVλpが大きいほど変圧器の騒音が大きいと予測することができる。ただし、SVλpの値と変圧器の騒音の値が必ずしも一次関数的に相関関係を示す場合に限定されるものではなく、その相関関係は曲線を示す場合であっても良い。
以下、本発明の実施例を挙げながら、本発明の技術的内容について更に説明する。なお、以下に示す実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した条件例であり、本発明は、この条件例に限定されるものではない。また本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
1.変圧器の製造
[実施例1]
表1に記載の特徴を有するレーザ照射により歪(還流磁区)が形成された方向性電磁鋼板1乃至4を用いて、三相3脚、鉄心の長さ:465mm、幅:500mm、厚み:200mm、ヨーク部および脚部の幅:100mm、重量:276kgとなるように、0.27mmの厚鋼板を740枚積層平積みした容量50kVAのモデルトランス積鉄心(以下、単に積鉄心と称することがある。)1乃至4を作製した。
このように製造した積鉄心の脚部に、巻線を回巻し、設計磁束密度が1.7Tである変圧器1乃至4を作製した。
[実施例2]
表1に記載の特徴を有する磁区制御が施されていない方向性電磁鋼板5乃至8を用いて、三相3脚、鉄心の長さ:465mm、幅:500mm、厚み:100mm、重量:138kgとなるように0.23mmの厚鋼板を433枚積層することにより、容量16kVAであり、接合部を1箇所有するモデルトランス巻鉄心(以下、単に巻鉄心と称することがある。)5乃至8を作製した。
このように製造した巻鉄心の接合部を一旦開放し、開放された巻鉄心の端部を巻線に挿入して、前記接合部を再接合することによって、設計磁束密度が1.7Tである変圧器5乃至8を作製した。
Figure 0006911631
2.方向性電磁鋼板の磁束密度と磁歪速度の波形の測定とSVλp、λpp、及び、SVλ0の測定
方向性電磁鋼板の磁束密度は、測定対象である鋼板にコイルを巻き、このコイルの両端に誘起する電圧波形を積分することで測定した。また、磁歪速度は、レーザドップラー振動計で測定された方向性電磁鋼板の振動波形を微分して算出した。
SVλpは、磁束密度波形の最大値の70%の磁束密度におけるピーク幅の位相範囲内において、前記磁歪速度波形が極大値を示す点をAとし、当該磁歪速度波形が極小値を示す点より進んだ位相範囲において磁歪速度が0となる点をBとしたときに、前記AとBの間における磁歪速度Vλの絶対値を積算して求めた。なお、図5(A)に鋼種No.4のSVλpが表す範囲を、図5(B)に鋼種No.8のSVλpが表す範囲を、例示する。
λppは1周期における磁歪波形の振幅で磁歪の最大値と最小値の差分を示す値である。この値は上記のレーザドップラー振動計で測定した磁歪波形の最大値と最小値との差分から求めた(なお、磁歪波形は図示しない。)。
SVλ0は、磁束密度波形の最大値の70%の磁束密度におけるピーク幅の位相範囲外における、前記磁歪速度波形の極大値と極小値の間の位相範囲における磁歪速度Vλの絶対値を積算して求めた。なお、図6(A)に鋼種No.4のSVλ0が表す範囲を、図6(B)に鋼種No.8のSVλ0が表す範囲を、横線で示した範囲として例示する。
3.変圧器の騒音の測定
上述のように作製した変圧器に対して、50Hz、磁束密度1.6Tに励磁した状態で、発生する騒音値(Aスケール補正、dBA単位)を測定した。なお、騒音値は、鉄心表面より30cmの位置に2か所マイクを設置して測定した値の平均値を用いた。
4.評価結果
実施例1で使用した非破壊的磁区制御材のSVλp、λpp、及び、SVλ0、並びに、積鉄心を備える変圧器の騒音測定結果を表2及び図7にまとめた。
Figure 0006911631
表2及び図7に示すように、レーザ照射条件の異なる非破壊的磁区制御材No.1〜4のλppと変圧器1〜4の騒音との間に相関は認められなかった(r=0.0368)。また、鋼板No.1〜4のSvλ0と変圧器1〜4の騒音との間にも相関は認められなかった(r=0.4692)。
これに対して、表2及び図7に示すように、レーザ照射条件の異なる非破壊的磁区制御材No.1〜4のSVλpと変圧器1〜4の騒音との間には極めて高い相関が認められた(r=0.9767)。
以上より、鋼板のSvλpを用いて変圧器の騒音を予測する本発明によれば、これまで、従来の方法では予測することができなかった、レーザ照射により歪が形成された方向性電磁鋼板を用いた場合であっても、積鉄心を備える変圧器の騒音を精度高く予測することができることが明らかとなった。
また、実施例2で使用した方位集積度(B8値)が異なり、且つ、磁区制御されていない鋼板のSVλp、λpp、及び、SVλ0、並びに、巻鉄心を備える変圧器の騒音測定結果を表3及び図8にまとめた。
Figure 0006911631
表3及び図8に示すように、方位集積度(B8値)が異なり、且つ、磁区制御されていない鋼板No.5〜8のλppと、変圧器5〜8の騒音との間にある程度の相関は認められるものの、相関係数rは0.8879と低く、精度が高いのもではなかった。また、鋼板No.5〜8のSVλ0と、変圧器5〜8の騒音との間にもある程度の相関は認められるものの、相関係数rは0.8909と低く、精度が高いのもではなかった。
これに対して、表3及び図8に示すように、方位集積度が異なり、且つ、磁区制御されていない鋼板No.5〜8のSVλpと、変圧器5〜8の騒音との間には極めて高い相関が認められた(r=0.9818)。
以上より、方位集積度が異なり、且つ、磁区制御されていない鋼板を用いた場合であっても、鋼板のSVλpを用いて変圧器の騒音を予測する本発明によれば、従来の方法よりも、巻鉄心を備える変圧器の騒音を精度高く予測することができることが明らかとなった。
1 方向性電磁鋼板
2 脚部
3 ヨーク部
4 接合部
5 コーナー部
6 平面部
7 屈曲部
8 接合箇所
10 積鉄心
11 巻鉄心

Claims (2)

  1. 鉄心の材料である方向性電磁鋼板の磁歪特性を用いた変圧器の騒音予測方法であって、
    前記方向性電磁鋼板の磁束密度と磁歪速度の波形における、
    前記磁束密度波形の最大値の70%の磁束密度におけるピーク幅の位相範囲内において、
    前記磁歪速度波形が極大値を示す点をAとし、当該磁歪速度波形が極小値を示す点より進んだ位相範囲において磁歪速度が0となる点をBとしたときに、
    前記AとBの間における磁歪速度Vλの絶対値を積算したSVλpを算出し、
    前記SVλpを用いて騒音を予測する、変圧器の騒音予測方法。
  2. 前記SVλpが大きいほど騒音が大きいと判断する、請求項1に記載の変圧器の騒音予測方法。
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