JP6855076B2 - 不定形耐火物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不定形耐火物及びその製造方法に関し、特に作業可使時間の確保ができ、十分な強度を有するとともに、耐爆裂性及び耐スポール性に優れた不定形耐火物及びその製造方法を提供する。
従来、溶融金属容器等の装置に使用される耐火物としては、バインダーとしてアルミナセメントを用いた不定形耐火物が広く使用されているが、爆裂が散見されており、緊急補修や再施工により工期遅延となることで、操業における生産性低下が問題となっている。
また、近年では、操業高負荷として溶鋼温度の上昇や滞湯時間の延長及びガス吹き込みによる対流や応力などの熱負荷がより厳しくなることで、耐用の低下が顕著となっており、従来の耐火物は耐用性が不十分となってきている。
このため、耐爆裂性及び耐スポール性に優れ、更なる高耐用化が可能となるような材料が期待されている。
アルミナセメントを使用した不定形耐火物の問題点としては、養生強度の発現時に水和物形成により緻密な構造体となり、その結果、通気性が低下し、乾燥時における内部水蒸気圧の高まりにより爆裂を起こすことである。そのため、通気性を向上させるように、有機繊維や金属アルミニウムなどの爆裂防止剤の添加をすることが一般的であるが、その効果は未だ十分ではなく、爆裂が散見されている。また、構造体内には不規則な欠陥が生じているため、施工体としては強度の低下を招き、耐用性に劣るものとなっている。
更に、アルミナセメント中のCaO成分が、耐火物中のAl2O3成分と高温領域で反応し、CaO・6Al2O3の生成による急激な体積膨張や、冷熱間における膨張収縮の繰り返しによる容積安定性の低下が生じ、その結果、亀裂やせり割れなどが発生してしまい、施工体としては耐スポール性の低下を招き、耐用性が低下するという問題があった。
アルミナゾルを用いた不定形耐火物としては、特許第2607918号(特許文献1)、バインダーとしてアルミナゾルを使用し、硬化剤としてアルミナセメントを使用した耐火物が記載されているが、アルミナセメントを併用しているため、耐爆裂性及び耐スポール性の低下を招くという問題がある。
更に、特許第4408552号公報(特許文献2)には、1種又は2種以上からなる非アルミナセメント系硬化材を使用した耐火物が記載されているが、アルミナゾルを用いた場合であっても、ゲル化による強度発現が低く、十分な養生強度を得ることはできていない。
また特開平6−157150号公報(特許文献3)には、バインダーとしてシリカゾルを使用し、硬化剤として軽焼マグネシアを使用した不定形耐火物が記載されているが、高温領域に曝される用途において、シリカゾルを用いた場合には、耐火物中のMgO成分とAl2O3成分と高温領域で反応し、MgO−Al2O3−SiO2系の低融点化合物の生成により、熱間強度の低下を招いてしまい耐用性の低下を招くため、シリカゾルの適用は問題があった。
そこで、アルミナセメント無添加の不定形耐火物が好ましく、耐火性が高いことはもちろんのこと、必要な特性としては、通気性が高く耐爆裂性に優れること、及び容積安定性が高く耐スポール性に優れた材料への開発が求められている。
特許第2607918号公報 特許第4408552号公報 特開平6−157150号公報
本発明の目的は、上記課題を解決し、適切な作業可使時間の確保が可能となる優れた施工性と、良好な養生強度を有し、更に耐爆裂性及び耐スポール性に優れた不定形耐火物及びその製造方法を提供することである。
本発明は、アルミナセメントを使用することなく、高い通気性が得られ、CaO成分を含まないバインダーとして特定濃度のアルミナゾルを用いることにより、上記課題を達成することができるものである。
すなわち、本発明の請求項1記載の不定形耐火物は、耐火材料100質量部と、アルミナ固形分濃度が20〜60質量%であるpH4〜9のアルミナゾルをアルミナ固形分が1.0〜12.0質量部となる量のアルミナゾルと、有機酸塩及び縮合リン酸塩の1種又は2種以上を0.02〜1.0質量部と粒径5μm以下の軽焼マグネシアを0.02〜3.0質量部とを含有することを特徴とする、不定形耐火物である。
更に、請求項1記載の不定形耐火物は、軽焼マグネシアが比表面積10〜300m/gであることを特徴とする、不定形耐火物である。
また、本発明の請求項記載の不定形耐火物の製造方法は、耐火材料100質量部に対し、有機酸塩及び縮合リン酸塩の1種又は2種以上を0.02〜1.0質量部及び粒径5μm以下で比表面積10〜300m /gである軽焼マグネシアを0.02〜3.0質量部配合し、更に、アルミナ固形分濃度が20〜60質量%のpH4〜9のアルミナゾルをアルミナ固形分に換算して1.0〜12.0質量部となるように配合して、混練することを特徴とする、不定形耐火物の製造方法である。
本発明の不定形耐火物は、施工に適切な作業可使時間の確保が可能で、十分な養生強度を有し、耐爆裂性及び耐スポール性に優れた、アルミナセメント無添加の不定形耐火物とすることができる。
したがって、従来発生していた爆裂による緊急補修や再施工により工期遅延となることで操業における生産性低下を解消することができるとともに、耐スポール性の向上により操業高負荷においての更なる高耐用化が可能となる。更に、操業における安全面の確保や廃棄物低減による環境面への配慮、生産性の安定化やコスト削減等への貢献も可能となる。
耐火物の弾性率を測定するための測定方法の概要を示す模式図である。
本発明を以下の好適な実施形態により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の不定形耐火物は、耐火材料100質量部と、アルミナ固形分濃度が20〜60質量%であるpH4〜9のアルミナゾル由来のアルミナ固形分を1.0〜12.0質量部と、有機酸塩を0.02〜1.0質量部と、粒径5μm以下の軽焼マグネシアを0.02〜3.0質量部とを含有する。
上記構成を有することにより、アルミナセメント無添加で、アルミナゾル由来のアルミナを含む本発明の不定形耐火物は、バインダーとしてアルミナゾルを用いた従来の不定形耐火物の課題であった瞬時に凝集して施工に適切な作業可使時間の確保ができなかった問題及びゲル化による強度発現が低く十分な養生強度を得ることができない問題を解決して、施工に適切な作業可使時間の確保が可能で、十分な養生強度を有し、耐爆裂性及び耐スポール性に優れる効果を有することができるものである。
本発明の不定形耐火物に用いる耐火材料は、例えば流し込み施工等の公知の施工に適した粒度構成となるように粒度調整された公知の任意の耐火性骨材が用いられる。
耐火性骨材としては、アルミナ質原料として、焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミナ、ブラウンアルミナ、ボーキサイト、バン土頁岩等が、マグネシア質原料として、重焼マグネシア、海水マグネシア、軽焼マグネシア、天然マグネシア等が、更には焼結スピネル、電融スピネル、クロム鉱、酸化クロム、炭化珪素及び黒鉛等が例示され、これらの骨材の1種又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
更に、耐火性や本発明の効果を損なわない範囲で、ムライト、カイヤナイト、アンダルサイト、シャモット、ロー石、珪石、シリカフラワー、ジルコン、ジルコニア等の耐火性原料、有機繊維や無機繊維、硬化調整剤等の1種又は2種以上を更に併用することもできる。
本発明の不定形耐火物には、アルミナセメントは含まれず、pH4〜9のアルミナ固形分濃度が20〜60質量%であるアルミナゾルがバインダーとして用いられる。アルミナ固形分濃度が前記範囲内になれば、任意の市販のアルミナゾルを水で希釈して用いてもよい。
従来のアルミナセメントを用いた不定形耐火物は、爆裂防止のために爆裂防止剤が添加されているため耐火物構造体内には不規則な欠陥が生じており、耐爆裂性に劣っていたが、本発明のようにアルミナゾルを用いた場合では、養生強度の発現時にその特異なゲル形成により通気性が向上し、乾燥時における内部水蒸気圧を低く抑えられ、通気性が高く耐爆裂性に優れるものとなる。
また、本発明の不定形耐火物には、アルミナセメントが含まれないためCaO成分が含まれず、アルミナセメントを含む場合のように高温領域でのCaO・6Al2O3の生成による急激な体積膨張はなく、容積安定性が高く耐スポール性にも優れるものである。
アルミナゾルのpHを4〜9、好ましくはpH6〜8とすることで、十分な作業可使時間を確保すること等が可能となる。
pHが4未満の場合のアルミナゾルは、塩酸、硝酸、酢酸等の酸性の無機酸を溶媒とするアルミナゾルであり、これらのアルミナゾルは瞬時に凝集するため、施工に適切な作業可使時間を確保することは困難となる。また、pH9を超えてpH10の範囲においては、アルミナゾルとしては等電点近傍にあるため、現状はアルミナゾルの分散は困難であり、上市されておらず入手が困難である。したがって、本発明におけるアルミナゾルのpHは、前記pHの範囲とするものである。
前記アルミナゾル中に含まれるアルミナ固形分濃度は20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%であり、かかる濃度のアルミナゾルを用いて、アルミナゾル由来のアルミナ固形分が不定形耐火物中1.0〜12.0質量部、好ましくは2.5〜9.0質量部になるようにする。かかる含量でアルミナ固形分を含有させることで十分な養生強度を発現することが可能となる。アルミナ固形分が上記範囲より少ない場合は、ゲル化による強度発現が低く、十分な養生強度を得ることができず、アルミナ固形分が上記範囲を超える場合には、瞬時に凝集するため、施工に適切な作業可使時間の確保ができない。
ここで、アルミナゾル中のアルミナ固形分濃度N質量%を下式(式1)で表す。
N=(A/(A+B+C))×100・・・(式1)
A=アルミナゾル中のアルミナ固形分の質量
B=アルミナゾル中の水分の質量
C=アルミナゾルを希釈した場合には希釈水として加えた水分の質量
本発明の不定形耐火物に含まれる分散剤は、有機酸塩や縮合リン酸塩が例示でき、有機酸塩としては、蓚酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、リンゴ酸ナトリウム、ポリカルボン酸ナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウム等を例示することができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、縮合リン酸塩としては、ヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びピロリン酸ナトリウム等を例示することができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の不定形耐火物に含まれる上記分散剤は、前記耐火材料100質量部に対し0.02〜1.0質量部、好ましくは0.05〜0.5質量部で含まれる。
分散剤の含有割合が、0.02質量部未満の場合は、分散剤が耐火材料中で分散しにくいため、施工に適切な作業可使時間の確保ができず、また1.0質量部を超える場合も凝集しやすくなるため、施工に適切な作業可使時間を確保することができず、施工比重の低下により、強度低下を招くことに繋がってしまうため、本発明においては前記分散剤の含量を、耐火材料100質量部に対し0.02〜1.0質量部とする。
本発明の不定形耐火物には、硬化剤が含まれる。硬化剤としては、粒径5μm以下の軽焼マグネシアが用いられる。
硬化剤の粒径が5μmを超える硬化剤であると、硬化反応が低いため、ゲル化による強度発現が低く、適度な作業可使時間が得られず施工効率が悪くなり、また十分な養生強度を得ることはできない。
好ましくは、当該軽焼マグネシアは、BET法による比表面積10〜300m/g、好ましく50〜200m/gの軽焼マグネシアであることが望ましい。
BET法による比表面積10m/g未満の場合は、ゲル化による強度発現が低く、十分な養生強度を得ることができない場合があり、また、BET法による比表面積300m/gを超える場合は、瞬時に凝集するため、施工に適切な作業可使時間の確保ができない場合があるため、本発明においては前記硬化剤のBET法による比表面積の範囲を10〜300m/gとすることが望ましい。
また、硬化剤は、上記不定形耐火物100質量部に対し、0.02〜3.0質量部、好ましくは0.1〜2.0質量部で含有される。
硬化剤が0.02質量部未満の場合は、硬化反応が低いためゲル化による強度発現が低く、十分な養生強度を得ることができず、また3.0質量部を超える場合は、瞬時に凝集するため、施工に適切な作業可使時間の確保ができない。
本発明の不定形耐火物を製造する方法は、上記各原料が均一に混合できれば特に限定されないが、一例として前記耐火材料100質量部に対し、前記有機酸塩を0.02〜1.0質量部及び粒径5μm以下の軽焼マグネシアを0.02〜3.0質量部配合し、更に、アルミナ固形分濃度が20〜60質量%のpH4〜9の前記アルミナゾルをアルミナ固形分に換算して1.0〜12.0質量部含有するように配合して、混練する工程を備えることにより不定形耐火物を製造する方法を例示することができる。
上記材料は均一に混錬できれば特に配合順序は問われないが、好ましくは、予め有機酸塩と軽焼マグネシアを耐火材料に混合してプレミクス耐火材料を調製し、これにアルミナゾルを添加配合して混合することが、容易に均一に混合できる点から望ましい。
このようにして得られた本発明の不定形耐火物は、優れた作業可使時間を確保することができ、施工箇所や施工方法などの施工時間を考慮して、例えば30〜240分の適切な作業可使時間を有することが可能となる。また、その施工可能な温度は特に限定されるものではなく、0℃〜50℃、特に望ましくは5〜35℃の環境下で施工することが可能である。
本発明の不定形耐火物の養生強度については、床や側壁の施工箇所や施工形状などの脱枠を考慮して、下記実施例に記載した方法で測定して、1.0MPa以上、好ましくは、2.0MPa以上の強度を有することが可能となる。
更に、本発明の不定形耐火物の通気率は、爆裂が起きにくいとされる20×10−15以上、好ましくは、40×10−15以上を有し、また、耐爆裂性は、操業における乾燥時の温度や昇温速度など諸条件を考慮すると、下記実施例に記載した方法で評価して、1100℃以上、好ましくは1200℃以上でも爆裂せず元の形状を保持できるものとすることができる。
耐スポール性としては、操業における溶融時の温度や処理時間、受熱回数など諸条件を考慮して、下記実施例に記載した方法で評価して、10%以上の残存率、好ましくは30%以上とすることができる。
本発明の不定形耐火材料は、施工に適切な作業可使時間の確保が可能であり、不定形耐火物は十分な養生強度を有し、耐爆裂性、及び耐スポール性に優れるため、溶融金属容器等の内張形成に使用する流し込み不定形耐火物として有効に利用することが可能となる。
また、アルミナセメント無添加でアルミナゾルを用いた不定形耐火物を得ることができるため、爆裂による緊急補修や再施工により工期遅延となることで操業における生産性低下の解消及び耐スポール性の向上による操業高負荷においての更なる高耐用化が可能となる。すなわち、操業における安全面の確保や廃棄物低減による環境面への配慮、及び生産性の安定化やコスト削減等への貢献が期待できる。
本発明を次の実施例、比較例及び試験例により説明するが、これらに限定されるものではない。
(実施例1〜19、比較例1〜13)
下記表1〜3に示す各原料を用い、表1〜3に示す配合割合で、耐火材料、バインダー、分散剤及び硬化剤を均一に混合して、不定形耐火物を調製した。
具体的には、予め分散剤(ポリカルボン酸ナトリウム及び/又はトリポリリン酸ナトリウム)と硬化剤(軽焼マグネシア)とを耐火材料に混合してプレミックス耐火材料を調製し、前記プレミックス耐火材料と、アルミナゾル等のバインダーとをそれぞれ20℃に調整された恒温室内にて24時間保管した。
24時間経過後に、当該耐火材料とアルミナゾル等のバインダーとがそれぞれ20℃に恒温化したことを確認し、当該耐火材料とバインダーとを当該温度に設置したミキサーにて均一に混練して不定形耐火物を調製した。
次いで、当該恒温室内でJIS R−3553に準じて、前記不定形耐火物を型枠内に鋳込み、24時間養生した後脱枠して、各耐火物を製造した。
なお、下記表1〜3中の軽焼マグネシアの粒径は、以下のようにして測定した。
・測定装置:LA−950(HORIBA製)
・測定方式:レーザ回析/散乱式粒子径分布測定
・粒径5μm以下:残分積算10%(累積頻度10%径):3.3μmとして、上記測定装置を用いたレーザ回析/散乱式粒子径分布測定にて、累積頻度10%径が粒径5μm以下のもの
(試験例)
(試験例1)作業性
作業性は可使時間を用いて評価した。
具体的には、上記実施例1〜19及び比較例1〜13の各不定形耐火物を混練後にビニール袋に入れ、10分毎にJIS R−2521に準じてフロー値(mm)を測定し、フロー値が<130mmとなる時間(分)を測定した。
その結果を表1〜3に示す。
なお、混練中または混練直後に凝集して、上記作業性の試験の実施ができなかったものについては表1〜3中に「×」と、30分未満のものについては「<30」分と、240分を超えるものについては「>240」分と表示した。
下記表1〜3に示す結果より、本発明の不定形耐火物は、30〜240分、好ましくは60〜180分の十分な施工性を有することがわかる。
一方、比較例1、3、5〜8、10及び13の不定形耐火物は、混練中または混練直後に凝集するかまたは作業可使時間が30分未満となってしまい作業性が悪く、十分な施工性を有していないことがわかる。また比較例2、9、11及び12のものは作業可使時間が長くなりすぎ、なかなか凝集しないため作業効率が悪くなることがわかる。
(試験例2)強度
上記実施例1〜19及び比較例2、4、9、11及び12の各不定形耐火物を用いて得られた、24時間養生して脱枠後の耐火物の圧縮強度(養生強度)を、JIS R−2553に準じて測定した。比較例1、3及び5〜8、10及び13の耐火物は、上記試験例1の作業性試験の可使時間が適切ではないため、圧縮強度試験は実施しなかった。
その結果を表1〜3に示す。
なお、表1〜3中、圧縮強度が1.0MPa未満については「<1.0」MPaと、著しく低いものについては「×」と表示した。
下記表1〜3に示す結果より、本発明の不定形耐火物を用いて得られた耐火物の養生強度は、1.0MPa以上、好ましくは2.0MPa以上であり、十分な養生強度を有することが明らかである。
一方、比較例2、9、11及び12のものは、養生強度が低いため、脱枠が困難となるか脱枠することができなくなることがわかる。
(試験例3)耐爆裂性
耐爆裂性の評価は、通気率と爆裂限界温度とで評価した。
具体的には、上記実施例1〜19及び比較例2及び4の各不定形耐火物を用いて得られた、24時間養生して脱枠後の耐火物を、110℃で乾燥した後、十分に空冷し、その後JIS R−2115に準じて通気率(×10−15)を測定した。
また、耐爆裂性は、各不定形耐火物を、恒温室内にてφ100×H100の型枠に鋳込み、24時間養生後に脱枠して得られた各耐火物を、800〜1200℃の間で各100℃ごとにそれぞれ設定された温度の電気炉へ投入して加熱し、30分保持した後に取り出した際の、耐火物の爆裂の有無を目視により確認し、800〜1200℃の間での爆裂が観察されない最高温度(100℃毎)を爆裂限界温度(℃)とした。
比較例1、3及び5〜13の耐火物は、上記試験例1の作業性の可使時間が適切ではないか、上記試験例2の強度が十分ではないため、耐爆裂性試験は実施しなかった。
その結果を下記表1〜3に示す。
下記表1〜3に示す結果より、本発明の耐火物の通気率は、爆裂が起きにくいとされる20×10−15以上、好ましくは40×10−15以上であり、また、加熱温度が1100℃、好ましくは1200℃においても、爆裂せず元の形状を保持していることがわかる(>1200)。
一方、比較例2及び4のものは、通気率も低く、爆裂限界温度も低いことが明らかであり、耐爆裂性に劣ることがわかる。
(試験例4)耐スポール性
耐スポール性の評価は、上記実施例1〜19及び比較例2及び4の各不定形耐火物を型枠に鋳込み、24時間養生後に脱枠して得られた各耐火物を110℃で乾燥し、次いで1000℃で3時間加熱した後に、弾性率(初期値)を測定した。その後、1500℃に設定された電気炉へ投入して30分間加熱した後、十分に空冷して、弾性率を測定した。
かかるサイクルを計10回繰り返した際の残存率(%)を下記式により算出し、破断の有無を目視により評価した。
比較例1、3及び5〜13の耐火物は、上記試験例1の作業性の可使時間が適切ではないか、上記試験例2の強度が十分ではないため、耐爆裂性試験は実施しなかった。
その結果を下記表1〜3に示す。
なお、破断により残存率が測定不可能な場合については「×」と、また、残存率が10%未満については「<10」%と表示した。
なお、上記弾性率及び残存率の測定は以下のようにして実施した。
測定機器:ウルトラ・ソニック・テスター/UST(MODEL:MIN−020−1−00)、株式会社マルイ製
測定方式:超音波法
測定方法:図1に示すような概要で、試験体の両面に振動子を接着し、超音波の伝幡時間を測定
弾性率:E=(L/T×10)×ρ×1/g×10
E:動弾性率(kg/cm
L:距離(cm)
T:伝播時間(μs)
ρ:密度(g/cm
g:重力加速度(980cm/sec
残存率:Xサイクル後の残存率(%)=(Xサイクル後の弾性率/初期弾性率)×100
下記表1〜3に示す結果より、本発明の不定形耐火物を用いて得られた耐火物の耐スポール性については、10サイクル後の残存率が10%以上、好ましくは30%以上であり、10サイクル後においても破断は認められず、耐スポール性が優れることがわかる。
一方、比較例2及び4のものは、残存率が低く耐スポール性に劣り、比較例4のものは8サイクル目に破断した。
Figure 0006855076
Figure 0006855076
Figure 0006855076
以上より、pH4〜9であるアルミナ固形分濃度が20〜60質量%のアルミナゾル又は前記濃度範囲内を逸脱しないで水で希釈したアルミナゾルを用いて、アルミナ固形分を耐火材料100質量部に対して1.0〜12質量部、分散剤として有機酸塩や縮合リン酸塩を耐火材料100質量部に対して0.02〜1.0質量部、硬化剤として粒径5μm以下であり、好ましくはBET法による比表面積が10〜300m/gである軽焼マグネシアを耐火材料100質量部に対して0.02〜3.0質量部を含有する本発明の実施例1〜19のものは、施工に適切な作業可使時間の確保が可能で、十分な養生強度を有し、耐爆裂性、及び耐スポール性に優れた、アルミナゾルを用いたアルミナセメント無添加の不定形耐火物であることがわかる。
また、比較例1及び3は、上記したように混練中または混練後に瞬時に凝集するため、施工に適切な作業可使時間の確保ができない。比較例2は、アルミナ固形分が極端に低いため、可使時間が長くなりすぎ、ゲル化による強度発現が低く、十分な養生強度を得ることができない。比較例4は、アルミナセメントを用いた比較例であり、本発明のアルミナゾルを用いたアルミナセメント無添加の不定形耐火物と比べると、通気性が低く、爆裂限界温度も低く、更に残存率も極めて低く、8サイクルで破断してしまうため、耐爆裂性、及び耐スポール性が劣るものである(表1)。
比較例5及び7は、分散剤の添加量が極端に少なく分散しにくいため、施工に適切な作業可使時間の確保ができない。比較例6及び8は、分散剤の添加量が多過ぎることにより凝集しやすくなるため、やはり施工に適切な作業可使時間の確保ができず(表2)、比較例10及び13は何れも瞬時に凝集するため、また、比較例9、11及び12は、可使時間が長くなりすぎ施工に適切な作業可使時間を確保することが困難である(表3)。
本発明の不定形耐火物は、施工に適切な作業可使時間の確保が可能であり、十分な養生強度を有し、耐爆裂性、及び耐スポール性に優れるため、溶融金属容器等の内張形成に使用する流し込み不定形耐火物として有効に利用することが可能となる。また、混銑車や転炉、小天井、取鍋、樋、カバー、タンディッシュなどの流し込み耐火物及び吹き付け耐火物、補修、ブロック等に適用することも可能となる。

Claims (2)

  1. 耐火材料100質量部と、アルミナ固形分濃度が20〜60質量%であるpH4〜9のアルミナゾルをアルミナ固形分が1.0〜12.0質量部となる量のアルミナゾルと、有機酸塩及び縮合リン酸塩の1種又は2種以上を0.02〜1.0質量部と粒径5μm以下で比表面積10〜300m /gである軽焼マグネシアを0.02〜3.0質量部とを含有することを特徴とする、不定形耐火物。
  2. 耐火材料100質量部に対し、有機酸塩及び縮合リン酸塩の1種又は2種以上を0.02〜1.0質量部及び粒径5μm以下で比表面積10〜300m /gである軽焼マグネシアを0.02〜3.0質量部配合し、更に、アルミナ固形分濃度が20〜60質量%のpH4〜9のアルミナゾルをアルミナ固形分に換算して1.0〜12.0質量部を配合して、混練することを特徴とする、不定形耐火物の製造方法。
JP2019111763A 2019-06-17 2019-06-17 不定形耐火物およびその製造方法 Active JP6855076B2 (ja)

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