<本発明に係る貨幣処理システムの概念>
図1は、実施例1に係る貨幣処理システムの概念を説明するための説明図である。コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗内には、顧客による商品の購入に伴って、その商品データが入力される金銭登録機であるPOSレジ290と、このPOSレジ290に接続され、顧客から店員が受け取った現金に応じた釣銭を出金すると共に受け取った現金を収納する釣銭機200が設置されている。さらに、POSレジ290は、所定のネットワークを介して保守担当者が使用する端末装置100と通信が可能である。
釣銭機200は、操作表示部を有しており、店舗の店員はこの操作表示部を用いて取引履歴等の表示や各種操作を行うことができる。ここで、釣銭機200の操作表示部の表示内容を外部に出力することが求められるケースがある。例えば、店員が業務の報告を行う場合や、操作にかかるサポートを受ける場合などには、操作表示部の表示内容を出力し、他の人物と共有することが有効である。
このため、釣銭機200は、操作画面要求コマンドを受信した場合に、操作表示部の表示内容を画像として取得(キャプチャ)して操作画面データを生成し、操作画面データを送信する機能を有する。
図1では、かかる機能を用い、保守担当者が店員のサポートのために釣銭機200の操作画面を取得する場合について示している。まず、保守担当者の操作に基づいて、端末装置100がPOSレジ290に操作画面要求コマンドを送信する(S11)。POSレジ290は、端末装置100から操作画面要求コマンドを受信したならば、自装置に接続された釣銭機200に操作画面要求コマンドを送信する(S12)。
釣銭機200は、POSレジ290から操作画面要求コマンドを受信すると、操作表示部の表示内容をキャプチャして操作画面データを生成する。図1では、釣銭機200の操作表示部は、取引履歴に係る操作画面の表示を行っており、取引履歴として「4月17日 16:13:17 預り金計数 1000円」、「4月17日 16:13:26 金額指定出金 100円」が表示され、さらに「戻る」ボタン、「前頁」ボタン、「次頁」ボタンが表示されている。この操作画面をキャプチャした操作画面データは、各種ボタンまで含んだ静止画像である。
釣銭機200は、生成した操作画面データをPOSレジ290に送信する(S13)。POSレジ290は、釣銭機200から受信した操作画面データを端末装置100に送信する(S14)。
端末装置100は、POSレジ290から受信した操作画面データを自装置の表示部に表示する。このため、保守担当者は、端末装置100を用いることで釣銭機200の操作表示部に表示された表示内容について店員と情報を共有し、迅速かつ適切なサポートを行うことができる。
このように、釣銭機200が端末装置100やPOSレジ290などの上位装置から操作画面要求コマンドを受け付けた場合に、操作表示部における表示内容をキャプチャして上位装置に通知することで、上位装置は釣銭機200の正確な画面操作情報(操作表示部における表示内容)を効率良く取得することができる。なお、ここでは説明の便宜上、釣銭機200がPOSレジ290を介して端末装置100に操作画面データを送信する場合を示したが、端末装置100が釣銭機200とペアリング処理等を行って通信を確立し、端末装置100が釣銭機200から直接操作画面データを取得することもできる。また、この端末装置100及びPOSレジ290は、特許請求の範囲に記載された外部装置に対応する。また、POSレジ290は、特許請求の範囲に記載された取引装置に対応する。
<釣銭機200の構成>
次に、釣銭機200の詳細な構成について図2〜図6を用いて説明する。図2等に示すように、本実施例1による釣銭機200は、硬貨処理ユニット250と、硬貨処理ユニット250の隣に並ぶよう配置された紙幣処理ユニット210とを備えており、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250の上方にはPOSレジ290が載置される。紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行う。また、POSレジ290は、釣銭機200の管理を行う管理装置として用いられる。
まず、紙幣処理ユニット210の構成について図2及び図3を用いて具体的に説明する。図2及び図3に示すように、紙幣処理ユニット210は、略直方体形状の筐体212を有し、筐体212の前面に紙幣受入部222、紙幣払出部220、出金リジェクト部224及びカセット装着部226が配置されている。
紙幣受入部222は、操作者による紙幣の投入を受け付け、紙幣処理ユニット210の内部に取り込む処理部である。紙幣払出部220は、紙幣処理ユニット210の内部から紙幣を払い出す処理部である。
カセット装着部226は、売上金の回収や釣銭の補充に用いる収納カセットを着脱可能である。出金リジェクト部224は、金種が識別できない等、出金に適さない紙幣を内部に集積する。
また、紙幣処理ユニット210は、筐体212の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部230と、筐体212の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部234、236、238とを備える。なお、図3において、筐体212の下側の側面が紙幣処理ユニット210の手前側の面であり、図3における上向きの方向が紙幣処理ユニット210の奥行き方向である。
図3に示すように、搬送部230は、筐体212の中央位置に配置された周回搬送部230a及び複数の接続搬送部230bから構成されている。また、紙幣受入部222、紙幣払出部220、出金リジェクト部224、収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238が、それぞれ周回搬送部230aを取り囲むよう配置されている。
また、図3に示すように、複数の接続搬送部230bの各々により、紙幣受入部222、紙幣払出部220、出金リジェクト部224、カセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238の各々と、周回搬送部230aとの間がそれぞれ接続される。また、周回搬送部230aには識別部232が設けられており、この識別部232は、周回搬送部230aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う。
周回搬送部230aは、図3における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができる。また、搬送部230において、周回搬送部230aと各接続搬送部230bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部230aに沿って配置されている。
図2及び図3に示すように、筐体212の前面には、紙幣受入部222の紙幣受入口と紙幣払出部220の紙幣取出口とが設けられている。また、カセット装着部226は、収納カセット300の装着と取り外しが可能である。
紙幣受入部222には紙幣繰出機構221が設けられており、入出金口に1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると、紙幣繰出機構221が駆動されることにより紙幣が接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
また、紙幣払出部220は、各紙幣収納部234、236、238から周回搬送部230aに繰り出された紙幣を紙幣取出口により筐体212の外部へ放出するよう構成されている。
出金リジェクト部224は、出金処理時において各紙幣収納部234、236、238から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部232で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部222から筐体212の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部232で識別することができない紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部220に返却される。
各紙幣収納部234、236、238は、識別部232の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。これらの紙幣収納部234、236、238には、紙幣処理ユニット210に入金された売上金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納される。例えば、紙幣収納部234には1000円札が収納され、紙幣収納部236には5000円札が収納され、紙幣収納部238には10000円札が収納される。また、各紙幣収納部234、236、238にはそれぞれ紙幣繰出機構235、237、239が設けられており、これらの紙幣収納部234、236、238に収納されている紙幣は、各紙幣繰出機構235、237、239により接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
次に、硬貨処理ユニット250の構成について説明する。図2及び図4に示すように、硬貨処理ユニット250は、略直方体形状の筐体251と、筐体251の前面側に設けられた硬貨受入部252と、筐体251の前面側において硬貨受入部252の下方に設けられた硬貨払出部266と、筐体251の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部260とを備えている。
硬貨受入部252は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体251内に取り込む。具体的には、硬貨受入部252には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構253(図6参照)が設けられており、硬貨受入部252に受け入れられた硬貨を検知すると、この硬貨繰出機構253が駆動されることにより当該硬貨繰出機構253によって硬貨が筐体251の内部に1枚ずつ繰り出される。また、図4に示すように、硬貨受入部252には、当該硬貨受入部252により筐体251の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部254が接続されている。
図4に示すように、入金搬送部254の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部256と、分岐部258とがそれぞれ設けられている。分岐部258は、識別部256による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部266から払い出されるべき硬貨を入金搬送部254から分岐させて出金搬送部262へ案内する。
一方、正常硬貨等の筐体251内に収納されるべき硬貨は入金搬送部254により各収納繰出部260へ搬送される。収納繰出部260は、硬貨を金種別に収納するとともに、収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。例えば、日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部260が設けられており、入金搬送部254の上流側(すなわち、図4における下側)から低額順に各収納繰出部260に硬貨が金種毎に収納される。また、収納繰出部260には、当該収納繰出部260に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部262に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部262は、収納繰出部260から繰り出された硬貨を硬貨払出部266へ搬送する。また、出金搬送部262は、分岐部258により入金搬送部254から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部266へ搬送する。
<POSレジスタの構成>
次に、POSレジ290の構成について具体的に説明する。図2及び図5に示すように、POSレジ290は、操作者用の表示部293、顧客用の表示部293a、操作キー等の操作部294、バーコードリーダ298、カードリーダ296、印字部297、記憶部295、通信部292及びPOS制御部291を有する。
表示部293は、操作者が視認可能な表示部であり、商品情報の読み取り結果、購入に係る各種情報、釣銭機200の処理状況や在高等の情報の表示に用いられる。表示部293aは、顧客が視認可能な表示部であり、商品情報の読取結果、合計金額や釣銭金額等の購入に係る各種情報に用いられる。操作部294は、操作者による各種操作入力に用いられる。
バーコードリーダ298は、商品に付されたバーコードを読み取って復号することで商品に係る情報の取得を行う。カードリーダ296は、操作者(レジ担当者)のIDカードの読み取りや、顧客のクレジットカードの読み取り等に用いられる。印字部297は、取引内容を印字したレシートの発行に用いられる。
記憶部295は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスである。この記憶部295は、POS制御部291が実行する精算処理プログラムの記憶、商品から読み取った商品情報の一時記憶、その他購入に係る各種情報の一時記憶などに用いられる。通信部292は、釣銭機200や上位のサーバと通信を行う通信インタフェースである。端末装置100との通信は、この上位のサーバを介して行われる。
POS制御部291は、POSレジ290を全体制御する制御部であり、購入金額算出部291a、決済処理部291b、操作データ要求部291c及び操作データ受信部291dを有する。なお、実際には、CPU(Central Processing Unit)が、記憶部295から精算処理プログラムをロードして実行することで、購入金額算出部291a、決済処理部291b、操作データ要求部291c及び操作データ受信部291dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
購入金額算出部291aは、バーコードリーダ298が取得した商品の情報や、操作部294により入力された商品の情報に基づいて、顧客により購入された商品の購入金額を算出する処理部である。
決済処理部291bは、購入金額算出部291aにより購入金額が算出された場合に、賞品の決済処理を行う処理部である。具体的には、決済処理部291bは、釣銭機200に入金要求を送信し、釣銭機200に投入された投入貨幣の金額情報を取得する。そして、購入金額と投入貨幣金額の差分を釣銭金額として算出し、釣銭の出金要求を釣銭機200に送信することで、釣銭機200に貨幣の払い出しを行わせる。
操作データ要求部291cは、釣銭機200に対して操作画面要求コマンドを送信することで、釣銭機200の画面操作に関する情報を要求する処理部である。操作画面要求コマンドを受信した釣銭機200は、既に説明したように操作画面データを送信する。より具体的には、釣銭機200は、操作画面をキャプチャした静止画像である操作画面データに、操作画面に関連する他の情報を追加した操作データを送信する。操作データの詳細については後述する。
操作データ要求部291cは、所定の管理装置、例えば端末装置100から操作画面要求コマンドを受信した場合に、釣銭機200に対して操作画面要求コマンドを送信する。また、POSレジ290の操作部294に対する操作を受け付けた場合や、予め定めた条件が成立した場合に釣銭機200に対して操作画面要求コマンドを送信することも可能である。
操作データ受信部291dは、操作画面要求コマンドに応答して釣銭機200から送信された操作データを受信する処理部である。操作データ受信部291dは、操作データ受信部291dが上位装置からの操作画面要求コマンドに基づいて釣銭機200への操作画面要求コマンドの送信を行っていた場合には、釣銭機200から受信した操作データを上位装置に送信する。また、POSレジ290の操作部294に対する操作や予め定めた条件に基づいて釣銭機200への操作画面要求コマンドの送信を行っていた場合には、受信した操作データを表示部293又は表示部293aに表示する。
<釣銭機200の制御系の構成>
次に、釣銭機200の制御系の構成について図6を用いて説明する。釣銭機200の紙幣処理ユニット210は、紙幣制御部210aに通信部240と、搬送部230と、識別部232と、各紙幣繰出機構(紙幣繰出機構221、235、237、239)と、カセット装着部226とを接続した構成を有する。
通信部240は、硬貨処理ユニット250と通信を行う通信インタフェースである。紙幣制御部210aは、識別部232による識別結果を用いて搬送部230及び各紙幣繰出機構を駆動することで紙幣の搬送を行い、紙幣の搬送結果を硬貨処理ユニット250に送信する。また、紙幣制御部210aは、カセット装着部226からカセットの装着状況を取得し、硬貨処理ユニット250に送信する。
釣銭機200の硬貨処理ユニット250は、上位制御部202に通信部203、操作表示部204、記憶部205及び硬貨制御部250aを接続し、硬貨制御部250aに硬貨繰出機構253、入金搬送部254、識別部256、分岐部258、各収納繰出部260及び出金搬送部262を接続した構成を有する。
硬貨制御部250aは、識別部256による識別結果を用いて硬貨繰出機構253、入金搬送部254、分岐部258、各収納繰出部260及び出金搬送部262を駆動することで硬貨の搬送を行い、硬貨の搬送結果を上位制御部202送信する。
通信部203は、紙幣処理ユニット210やPOSレジ290と通信を行う通信インタフェースである。操作表示部204は、硬貨処理ユニット250の筐体251の上面に設けられたタッチパネル等であり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報を操作表示部204に表示する。操作者は、操作表示部204に表示された操作画面における操作ボタンに指を触れることによって、上位制御部202に様々な指令を入力することができる。
記憶部205は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、在高データ205a、動作履歴データ205b及び操作履歴データ205cを記憶する。在高データ205aは、紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250の各々に収納されている貨幣の在高に係るデータである。
動作履歴データ205bは、釣銭機200の動作の履歴を示すデータである。動作履歴データ205bには、預り金の入金及び計数、釣銭の出金、回収、補充などの履歴が日付及び時刻に関連付けられて蓄積される。
操作履歴データ205cは、操作表示部204等により受け付けた操作の履歴を示すデータである。操作履歴データ205cには、入金、出金、回収、補充などの操作の履歴が日付及び時刻に関連付けられて蓄積される。
上位制御部202は、POSレジ290から入金要求を受信した場合に、硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aに貨幣の投入の受付を指示する。硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aは、上位制御部202からの指示を受けて投入された貨幣を対応する収納部に搬送することで入金処理を行い、入金処理結果を上位制御部202に送信する。
上位制御部202は、入金処理結果を硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aから受信したならば、在高データ205aを更新し、投入された貨幣の合計金額を求め、投入貨幣の金額情報としてPOSレジ290に送信する。
また、上位制御部202は、出金する貨幣の金種及び枚数が指定された出金要求をPOSレジ290から受信したならば、硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aに貨幣の出金を指示する。硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aは、上位制御部202からの指示を受けて指定された金種及び枚数の貨幣を収納部から繰り出して出金処理し、出金処理結果を上位制御部202に送信する。
上位制御部202は、出金処理結果を硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aから受信したならば、在高データ205aを更新し、釣銭の出金が正常に行われたことを示す通知をPOSレジ290に送信する。
また、上位制御部202は、操作画面要求コマンドを受信した場合に、操作表示部の表示内容を画像として取得(キャプチャ)して操作データを生成し、操作データを送信する機能を有する。上位制御部202は、かかる機能に関する処理部として、履歴管理部202a、コマンド受付部202b、操作データ生成部202c及び操作データ送信部202dを有する。
履歴管理部202aは、釣銭機200の動作の履歴を動作履歴データ205bに随時登録するとともに、釣銭機200が受け付けた操作の履歴を操作履歴データ205cに随時登録することで動作及び操作の履歴を管理する処理部である。
コマンド受付部202bは、上位装置であるPOSレジ290からの画面操作情報の要求、すなわち操作画面要求コマンドを受け付ける処理部である。
操作データ生成部202cは、操作データの生成を行う処理部である。具体的には操作データ生成部202cは、操作表示部204の表示内容をキャプチャして操作画面データを生成し、操作画面に関連する他の情報を追加して操作データを生成する。例えば、取引の履歴を表示した表示画面をキャプチャした場合には、画面に表示された取引の履歴と、その前後の所定数の取引の履歴を動作履歴データ205bから抽出して追加する。また、表示画面に係る操作の前の所定数の操作の履歴を操作履歴データ205cから抽出して追加する。
操作データ生成部202cによる操作データの生成は、例えばコマンド受付部202bが操作画面要求コマンドを受け付けたときに行えばよい。この場合には、操作画面要求コマンドを受け付けた時点の表示画面と、表示画面に関係する追加の情報を含む操作データが得られることになる。
操作データ送信部202dは、操作データ生成部202cにより生成された操作データをPOSレジ290に送信することで、画面操作情報を上位装置に対して通知する処理を行う。
次に、操作データの具体例について説明する。図7は、操作データの具体例についての説明図である。図7では、動作履歴データ205bは、「4月17日 15:39:55 預り金計数 520円」、「4月17日 15:57:42 途中回収 6000円」、「4月17日 16:13:17 預り金計数 1000円」、「4月17日 16:13:26 金額指定出金 100円」、「4月17日 16:17:02 預り金計数 2000円」、「4月17日 16:17:14 金額指定出金 80円」などを含んでいる。
また、操作履歴データ205cは、「4月17日 15:39:40 入金受付」、「4月17日 15:57:07 回収操作」、「4月17日 16:13:12 入金受付」、「4月17日 16:16:48 入金受付」などを含んでいる。
釣銭機200の操作表示部204に、動作履歴データ205bから「4月17日 16:13:17 預り金計数 1000円」及び「4月17日 16:13:26 金額指定出金 100円」を表示すると、操作表示部204にはこれらの履歴に加え、「戻る」ボタン、「前頁」ボタン、「次頁」ボタンなどが表示される。この状態でキャプチャを実行したならば、操作画面データは各種ボタンなどを含んだ静止画像となる。
さらに、操作画面データに関係する追加のデータとして、前後の動作履歴と直前の操作履歴が抽出される。図7では、前後の動作履歴として「4月17日 15:57:42 途中回収 6000円」、「4月17日 16:13:17 預り金計数 1000円」、「4月17日 16:13:26 金額指定出金 100円」、「4月17日 16:17:02 預り金計数 2000円」が抽出されている。また、直前の操作履歴として、「4月17日 15:57:07 回収操作」と「4月17日 16:13:12 入金受付」が抽出されている。操作データ生成部202cは、操作画面データに前後の動作履歴と直前の操作履歴を追加し、操作データを生成する。
次に、実施例1に係る貨幣処理システムの処理手順について説明する。図8は、実施例1に係る貨幣処理システムの処理手順を説明するフローチャートである。まず、釣銭機200は、店員からの操作を受け付けて(ステップS301)、操作表示部204に操作画面の表示を行う(ステップS302)。
その後、端末装置100が保守担当者の操作に基づいて、POSレジ290に操作画面要求コマンドを送信する(ステップS101)。POSレジ290は、端末装置100から操作画面要求コマンドを受信したならば、自装置に接続された釣銭機200に操作画面要求コマンドを送信する(ステップS201)。
釣銭機200の操作データ生成部202cは、操作画面要求コマンドを受信した場合に操作表示部204の表示内容をキャプチャすることで操作画面データを取得する(ステップS303)。また、前後の動作履歴や直前の操作履歴などを抽出し、関連するデータとして操作画面データに追加することで操作データを生成する(ステップS304)。そして、釣銭機200の操作データ送信部202dは、操作データ生成部202cにより生成された操作データをPOSレジ290に送信する(ステップS305)。
POSレジ290は、釣銭機200から受信した操作データを端末装置100に送信する(ステップS202)。端末装置100は、POSレジ290から受信した操作データを自装置の表示部に表示し(ステップS102)、処理を終了する。
これまでの説明では、釣銭機200がPOSレジ290から操作画面要求コマンドを受信し、操作データをPOSレジ290に送信する構成を例に説明を行ったが、釣銭機200は他の装置から操作画面要求コマンドを受信し、操作データを送信することも可能である。
例えば、釣銭機200と端末装置100とをPOSレジ290を介さずに接続したならば、端末装置100から操作画面要求コマンドを受信し、操作データを端末装置100に送信することができる。また、携帯端末装置と無線通信する構成であってもよい。
図9は、釣銭機が携帯端末装置と無線通信する場合の構成についての説明図である。図9に示した構成では、携帯端末装置110が釣銭機200に対し、無線通信によって操作画面要求コマンドを送信している(S21)。
釣銭機200は、携帯端末装置110から操作画面要求コマンドを受信すると、操作表示部204の表示内容をキャプチャして操作画面データを生成し、携帯端末装置110に無線通信によって送信する(S22)。ここでは、図1と同様の操作画面から操作画面データを生成し、操作画面データを送信する構成を示しているが、追加の情報を含めた操作データであってもよい。
このように、釣銭機200が携帯端末装置110と無線通信する構成では、携帯端末装置110は釣銭機200の正確な画面操作情報(操作表示部における表示内容)を効率良く取得することができる。
上述してきたように、本実施例1によれば、釣銭機200が、操作内容の表示及び操作入力の受付を行う操作画面を表示する操作表示部204と、操作画面上での操作入力に係る画面操作情報を取得して操作データを生成する操作データ生成部202cと、上位装置から画面操作情報の要求を受け付けるコマンド受付部202bと、コマンド受付部202bにより画面操作情報の要求を受け付けた場合に操作データ生成部202cにより取得された操作データを上位装置に対して通知する操作データ送信部202dとを備えるよう構成したので、金銭登録機であるPOSレジ290や管理装置である端末装置100などを含む上位装置が、釣銭機200の表示画面の画像を画面操作情報として効率良く取得することができる。
上述の実施例1では、釣銭機が上位装置からの要求を受けた場合にその時点での画面操作情報をリアルタイムで取得する構成について説明を行ったが、本実施例2では釣銭機が操作入力を受け付ける都度、該操作入力に係る画面操作情報を取得して記憶し、上位装置からの要求を受けた場合に該当する画面操作情報を読み出して通知する構成について説明する。
図10は、実施例2に係る貨幣処理システムの概念を説明するための説明図である。図10では、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗内にPOSレジ290aと釣銭機200aとを設置し、顧客の要求などに応じて釣銭機200aの過去の操作画面を出力する場合を示している。
まず、釣銭機200aは、操作入力を受け付ける都度、操作表示部の表示内容をキャプチャして操作画面データを生成し、記憶部に蓄積している。POSレジ290aは、店員などによる履歴確認操作を受け付けると(S31)、操作画面確認要求コマンドを釣銭機200aに送信する(S32)。このとき、いつの操作画面を要求するかを特定するために日時の指定を行う。
釣銭機200aは、POSレジ290aから操作画面要求コマンド及び日時の指定を受けた場合に、指定された日時の操作画面データを特定し(S33)、記憶部から読み出してPOSレジ290aに送信する(S34)。
POSレジ290aは、釣銭機200aから受信した操作画面データを、例えば自装置の表示部への表示などに利用することができる。図10では、POSレジ290aは、自装置が管理する購入の履歴と、購入の履歴に対応する釣銭機200の取引における操作画面データとを並べて表示している(S35)。
次に、本実施例2に係る釣銭機200aの構成について説明する。図11は、図10に示した釣銭機200aの機能ブロック図である。図11に示した釣銭機200aは、記憶部205に操作画面履歴データ205dをさらに備え、コマンド受付部202b、操作データ生成部202c及び操作データ送信部202dの動作が実施例1に示した釣銭機200と異なる。その他の構成及び動作については実施例1に示した釣銭機200と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
操作画面履歴データ205dは、操作入力を受け付ける都度、操作表示部204の表示内容をキャプチャして生成された操作画面データに対し、日時を関連付けて蓄積したデータである。
コマンド受付部202bは、上位装置であるPOSレジ290からの画面操作情報の要求、すなわち操作画面要求コマンドを受け付けるとともに、日時の指定を受け付ける処理を行う。
操作データ生成部202cは、操作入力を受け付ける都度、操作表示部204の表示内容をキャプチャして操作画面データを生成し、日時を関連付けて操作画面履歴データ205dに登録する処理を行う。
また、操作データ生成部202cは、コマンド受付部202bが操作画面要求コマンド及び日時の指定を受け付けた場合に、日時の指定に基づいて操作画面履歴データ205dから対応する操作画面データを特定して読み出し、特定した操作画面データに関連する他の情報を追加して操作データを生成する。例えば、取引の履歴を表示した表示画面データを特定した場合には、画面に表示された取引の履歴と、その前後の所定数の取引の履歴を動作履歴データ205bから抽出して追加する。また、表示画面に係る操作の前の所定数の操作の履歴を操作履歴データ205cから抽出して追加する。
操作データ送信部202dは、操作データ生成部202cにより生成された操作データをPOSレジ290に送信することで、画面操作情報を上位装置に対して通知する処理を行う。
次に、実施例2に係る貨幣処理システムの処理手順について説明する。図12は、実施例2に係る貨幣処理システムの処理手順を説明するフローチャートである。まず、釣銭機200aは、店員からの操作を受け付けて(ステップS501)、操作表示部204に操作画面の表示を行う(ステップS502)。また、操作表示部204の表示内容をキャプチャして操作画面データを生成し、日時を関連付けて操作画面履歴データ205dに登録することで、操作画面の蓄積を行う(ステップS503)。
その後、POSレジ290aが履歴確認操作を受け付け(ステップS401)、操作画面要求コマンド及び日時の指定を釣銭機200aに送信する(ステップS402)。
釣銭機200aの操作データ生成部202cは、操作画面要求コマンド及び日時の指定を受け付けた場合に、日時の指定に基づいて操作画面履歴データ205dから対応する操作画面データを特定する(ステップS504)。また、特定した操作画面データに関連する他の情報を追加して操作データを生成する(ステップS505)。そして、釣銭機200aの操作データ送信部202dは、操作データ生成部202cにより生成された操作データをPOSレジ290aに送信する(ステップS506)。
POSレジ290aは、釣銭機200aから受信した操作データを表示部293や表示部293aに表示する(ステップS403)とともに、自装置が管理する履歴を表示して(ステップS404)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例2によれば、釣銭機200aが、操作入力を受け付ける都度、該操作入力に係る画面操作情報を取得して記憶し、上位装置からの要求を受けた場合に該当する画面操作情報を読み出して通知するよう構成したので、POSレジ290aなどの上位装置が、釣銭機200aの任意の時点の画面操作情報を効率良く取得することができる。
なお、本実施例2では、POSレジ290aが釣銭機200aの画面操作情報を取得して利用する場合を例に説明を行ったが、実施例1と同様に端末装置100などがPOSレジ290aを介して釣銭機200aの画面操作情報を取得して利用することもできる。また、上記の実施例1において、実施例2と同様にPOSレジ290が釣銭機200の画面操作情報を取得して利用することも可能である。
また、上記の実施例1及び実施例2では、外部装置(POSレジ、端末装置、携帯端末装置)からの要求を受けた場合に釣銭機が表示内容をキャプチャして操作画面データを生成する構成を例に説明を行ったが、釣銭機が直接操作を受け付けて表示内容のキャプチャや操作画面データの生成を行う構成としてもよい。また、若しくは予め定めた条件などに基づいて、釣銭機が自律的に表示内容のキャプチャや操作画面データの生成を行う構成としてもよい。
また、上記の実施例1及び2では、操作画面を静止画像として取得する場合を例に説明を行ったが、操作画面を再現できるデータ形式であれば、任意のデータ形式を用いることができる。例えば、テキストデータで操作画面を再現可能な情報を出力してもよい。また、他の装置に読み込ませることで操作画面を再現可能な専用のデータ形式を用いてもよい。
また、操作画面要求コマンドにより取得する操作画面は、単一の画面に限定されるものではない。操作画面要求コマンドの受信時、あるいは指定された日時を基準に所定時間分の操作画面の推移を記録して出力してもよい。また、操作画面要求コマンドの受信時、あるいは指定された日時を基準に所定範囲(指定された回数の入出金が行われるまでなど)の操作画面の推移を記録して出力してもよい。
また、音声の入出力による操作が可能である場合には、音声データを操作情報として取得し、出力する構成とすることもできる。ここで、操作表示部と音声による入出力を併用可能である場合には、操作画面のデータと音声のデータを関連付けて取得すればよい。
また、釣銭機の操作画面を送信するとともに、送信した操作画面に基づく釣銭機の遠隔操作を受け付けるよう構成してもよい。
また、上記の実施例では、本発明をコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の貨幣処理システムに適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、貨幣の処理を行う任意の貨幣処理システムに適用することができる。例えば、出納機、両替機、ATM(Automatic Teller Machine)などの貨幣処理装置にも適用することができる。
また、上記の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。