以下、本発明の詳細を説明する。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、第1の硬化性化合物と、硬化剤と、はんだ粒子とを含む。本発明に係る導電材料は、第2の硬化性化合物を含まないか、又は、含む。本発明に係る導電材料では、上記第1の硬化性化合物のSP値と上記硬化剤のSP値との差の絶対値は、2以上である。本発明に係る導電材料では、上記第2の硬化性化合物のSP値と上記硬化剤のSP値との差の絶対値は、2未満である。本発明に係る導電材料では、上記第1の硬化性化合物と上記第2の硬化性化合物との合計100重量%中、上記第1の硬化性化合物の含有量は、5重量%以上である。本発明に係る導電材料では、上記はんだ粒子の体積基準での粒度分布において、上記はんだ粒子のd90は、10μm以下である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、接続対象部材間のギャップを効果的に小さくすることができ、かつ、導電材料の保存安定性を効果的に高めることができる。
接続構造体の接続対象部材間のギャップを小さくするためには、電極間の電気的な接続に用いられるはんだバンプを薄くする必要があり、はんだバンプに用いられるはんだ粒子の粒子径を小さくする必要がある。本発明者らは、はんだ粒子の粒子径が小さくなると、導電材料の保存安定性(ポットライフ)が悪化することを見出した。本発明者らは、導電材料の保存安定性の悪化を抑制するために鋭意検討した結果、特定の硬化性化合物と特定の硬化剤とを用いた上記の構成を採用することにより、はんだ粒子の粒子径を小さくしても、導電材料の保存安定性を効果的に高めることができることを見出した。本発明では、上記の構成が備えられているので、接続対象部材間のギャップを小さくすることと、導電材料の保存安定性を高めることとの双方を両立させることができる。
また、接続構造体の作製時には、スクリーン印刷等によって基板等の接続対象部材上に導電材料が配置された後、導電材料が電気的に接続されるまでに、一定期間放置されることがある。従来の導電材料では、保存安定性(ポットライフ)を高めることができないので、例えば、導電材料が配置された後に一定期間放置されると、導電材料が増粘して、電極上にはんだ粒子を効率的に配置することができず、電極間の導通信頼性も低下することがある。本発明では、上記の構成が採用されており、導電材料の保存安定性(ポットライフ)を効果的に高めることができるので、導電材料が配置された後に一定期間放置されても、導電材料の増粘を防止し、電極上にはんだ粒子を効率的に配置することができ、電極間の導通信頼性を十分に高めることができる。
また、本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続した場合に、複数のはんだ粒子が、上下の対向した電極間に集まりやすく、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
さらに、本発明では、電極間の位置ずれを防ぐことができる。本発明では、導電材料を上面に配置した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせる際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とのアライメントがずれた状態でも、そのずれを補正して電極同士を接続させることができる(セルフアライメント効果)。
電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料は、25℃で液状であることが好ましく、導電ペーストであることが好ましい。
導電材料が一定期間放置された場合でも、電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは20Pa・s以上、より好ましくは30Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましく、上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
以下、導電材料に含まれる各成分を説明する。なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。
(はんだ粒子)
上記はんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもがはんだにより形成されている。上記はんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもがはんだである粒子である。上記はんだ粒子の代わりに、はんだ以外の材料から形成された基材粒子と該基材粒子の表面上に配置されたはんだ部とを備える導電性粒子を用いた場合には、電極上に導電性粒子が集まり難くなる。また、上記導電性粒子では、導電性粒子同士のはんだ接合性が低いために、電極上に移動した導電性粒子が電極外に移動しやすくなる傾向があり、電極間の位置ずれの抑制効果も低くなる傾向がある。
上記はんだは、融点が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。上記はんだ粒子は、融点が450℃以下である金属粒子(低融点金属粒子)であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。上記はんだ粒子は、融点が150℃未満の低融点はんだであることが好ましい。
また、上記はんだ粒子は錫を含むことが好ましい。上記はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記はんだ粒子における錫の含有量が、上記下限以上であると、はんだ部と電極との接続信頼性がより一層高くなる。
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定することができる。
上記はんだ粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだ部が電極間を導通させる。例えば、はんだ部と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、上記はんだ粒子の使用により、はんだ部と電極との接合強度が高くなる結果、はんだ部と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性及び接続信頼性がより一層高くなる。
上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
上記はんだ粒子は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだ粒子の組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウム等を含む金属組成が挙げられる。低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだ粒子は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むか、又は錫とビスマスとを含むことが好ましい。
はんだ部と電極との接合強度をより一層高めるために、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだ部と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、はんだ粒子100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
本発明に係る導電材料では、上記はんだ粒子の体積基準での粒度分布において、上記はんだ粒子のd90は、10μm以下である。接続対象部材間のギャップをより一層効果的に小さくする観点からは、上記はんだ粒子の体積基準での粒度分布において、上記はんだ粒子のd90は、好ましくは6μm以下、より好ましくは4μm以下である。上記はんだ粒子のd90の下限は特に限定されない。上記はんだ粒子のd90は、0.5μm以上であってもよい。また、上記はんだ粒子の体積基準での粒度分布において、上記はんだ粒子のd90が、上記上限以下であると、接続対象部材間のギャップがより一層小さくなる。
なお、上記はんだ粒子のd90は、はんだ粒子の累積体積が90%であるときのはんだ粒子の粒子径である。上記はんだ粒子のd90は、体積基準での粒度分布から算出することができる。
上記はんだ粒子の体積基準での粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて求められる。上記レーザー回折式粒度分布測定装置としては、Malvern社製「マスターサイザー3000」等が挙げられる。
上記はんだ粒子の形状は特に限定されない。上記はんだ粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
上記導電材料100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下である。上記はんだ粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだを多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記はんだ粒子の含有量は多い方が好ましい。
(第1の硬化性化合物及び第2の硬化性化合物)
上記第1の硬化性化合物は特に限定されない。上記第1の硬化性化合物として、公知の硬化性化合物を用いることができる。上記第1の硬化性化合物は、光硬化性化合物であってもよく、熱硬化性化合物であってもよい。接続対象部材間のギャップをより一層効果的に小さくする観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1の硬化性化合物は、脂肪族化合物であることが好ましい。
上記導電材料は、第2の硬化性化合物を含まないか、又は、含む。上記導電材料は上記第2の硬化性化合物を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記導電材料は、上記第2の硬化性化合物を含むことが好ましい。
上記第2の硬化性化合物は特に限定されない。上記第2の硬化性化合物として、公知の絶縁性の硬化性化合物が用いられる。上記第2の硬化性化合物は、光硬化性化合物であってもよく、熱硬化性化合物であってもよい。
導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1の硬化性化合物は、熱硬化性化合物であることが好ましい。
導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第2の硬化性化合物は、熱硬化性化合物であることが好ましい。
上記熱硬化性化合物は、加熱により硬化可能な化合物である。上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性化合物は、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物であることが好ましく、エポキシ化合物であることがより好ましい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物である。上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。上記エポキシ化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物は、常温(23℃)で液状又は固体であり、上記エポキシ化合物が常温で固体である場合には、上記エポキシ化合物の溶融温度は、上記はんだ粒子の融点以下であることが好ましい。
導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1の硬化性化合物は、エポキシ化合物であることが好ましく、脂肪族エポキシ化合物であることがより好ましい。
導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第2の硬化性化合物は、エポキシ化合物であることが好ましい。
本発明に係る導電材料では、上記第1の硬化性化合物と上記第2の硬化性化合物との合計100重量%中、上記第1の硬化性化合物の含有量は、5重量%以上である。上記第1の硬化性化合物と上記第2の硬化性化合物との合計100重量%中、上記第1の硬化性化合物の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは15重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。上記第1の硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、接続対象部材間のギャップをより一層効果的に小さくすることができ、導電材料の保存安定性をより一層効果的に高めることができる。また、上記第1の硬化性化合物の含有量が、上記上限以下であると、硬化物のゲル分率が高くなり、接続構造体の硬化物部に由来して、ギャップ保持性がより一層高くなる。
上記第1の硬化性化合物と上記第2の硬化性化合物との合計100重量%中、上記第2の硬化性化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。上記第2の硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層効果的に高くなり、導電材料の保存安定性をより一層効果的に高めることができる。
上記導電材料100重量%中、上記第1の硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは2.25重量%以上であり、好ましくは36重量%以下、より好ましくは21重量%以下である。上記第1の硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層効果的に高くなり、導電材料の保存安定性をより一層効果的に高めることができる。
上記導電材料100重量%中、上記第2の硬化性化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは4.5重量%以上であり、好ましくは38重量%以下、より好ましくは25.5重量%以下である。上記第2の硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層効果的に高くなり、導電材料の保存安定性をより一層効果的に高めることができる。
(硬化剤)
上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤は、上記第1の硬化性化合物及び上記第2の硬化性化合物を硬化させる。上記硬化剤は、熱硬化剤であってもよく、光重合開始剤であってもよい。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る導電材料では、上記第1の硬化性化合物のSP値と上記硬化剤のSP値との差の絶対値は、2以上である。接続対象部材間のギャップをより一層効果的に小さくする観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1の硬化性化合物のSP値と上記硬化剤のSP値との差の絶対値は、好ましくは2.2以上、より好ましくは2.6以上であり、好ましくは5.5以下、より好ましくは4.3以下である。また、上記第1の硬化性化合物のSP値と上記硬化剤のSP値との差の絶対値が、上記下限以上であると、導電材料の保存安定性を効果的に高めることができ、導電材料が配置された後に一定期間放置されても、導電材料の増粘を防止し、電極上にはんだ粒子を効率的に配置することができ、電極間の導通信頼性を十分に高めることができる。
本発明に係る導電材料では、上記第2の硬化性化合物のSP値と上記硬化剤のSP値との差の絶対値は、2未満である。接続対象部材間のギャップをより一層効果的に小さくする観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記第2の硬化性化合物のSP値と上記硬化剤のSP値との差の絶対値は、好ましくは1.9以下、より好ましくは1.5以下である。上記第2の硬化性化合物のSPと上記硬化剤のSPとの差の絶対値の下限は特に限定されない。上記第2の硬化性化合物のSPと上記硬化剤のSPとの差の絶対値は0以上であってもよい。
接続対象部材間のギャップをより一層効果的に小さくする観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記硬化剤は、熱硬化剤であることが好ましい。
上記熱硬化剤は、熱硬化性化合物を熱硬化させる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、チオール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、熱カチオン硬化剤及び熱ラジカル発生剤等がある。接続対象部材間のギャップをより一層効果的に小さくする観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化剤は、酸無水物硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記チオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記酸無水物硬化剤としては、特に限定されず、エポキシ化合物等の熱硬化性化合物の硬化剤として用いられる酸無水物であれば広く用いることができる。上記酸無水物硬化剤は、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸誘導体の無水物、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、グリセリンビス無水トリメリット酸モノアセテート、及びエチレングリコールビス無水トリメリット酸等の2官能の酸無水物硬化剤、無水トリメリット酸等の3官能の酸無水物硬化剤、並びに、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、及びポリアゼライン酸無水物等の4官能以上の酸無水物硬化剤等が挙げられる。
接続対象部材間のギャップをより一層効果的に小さくする観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記硬化剤は、酸無水物硬化剤であることが好ましい。
硬化物の熱劣化をより一層効果的に抑制する観点からは、上記酸無水物硬化剤は、環状酸無水物硬化剤であることが好ましい。環状酸無水物硬化剤としては、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアクリルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記硬化剤は25℃で固体であることが好ましい。
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記硬化剤の融点は、上記はんだ粒子の融点よりも低いことが好ましい。
上記硬化剤の含有量は特に限定されない。上記導電材料100重量%中、上記硬化剤の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記硬化剤の含有量が、上記下限以上であると、上記第1の硬化性化合物及び上記第2の硬化性化合物を十分に硬化させることが容易である。上記硬化剤の含有量が、上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
上記第1の硬化性化合物と上記第2の硬化性化合物との合計100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上であり、好ましくは200重量部以下、より好ましくは150重量部以下である。上記硬化剤の含有量が、上記下限以上であると、上記第1の硬化性化合物及び上記第2の硬化性化合物を十分に硬化させることが容易である。上記硬化剤の含有量が、上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
(有機リン化合物)
本発明に係る導電材料は、有機リン化合物を含んでいてもよい。上記有機リン化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物は、有機ホスホニウム塩、有機リン酸、有機リン酸エステル、有機ホスホン酸、有機ホスホン酸エステル、有機ホスフィン酸、又は有機ホスフィン酸エステルであることが好ましい。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物は、有機ホスホニウム塩であることがより好ましい。
上記有機ホスホニウム塩としては、ホスホニウムイオンとその対イオンとで構成されている有機ホスホニウム塩が挙げられる。上記有機ホスホニウム塩の市販品としては、日本化学工業社製「ヒシコーリン」シリーズ等が挙げられる。上記有機ホスホニウム塩は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機リン酸、上記有機リン酸エステル、上記有機ホスホン酸、上記有機ホスホン酸エステル、上記有機ホスフィン酸、及び上記有機ホスフィン酸エステルとしては特に限定されず、従来公知の化合物や市販品を用いることができる。これらは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物の融点は、170℃以下であることが好ましい。電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物は、25℃で液状であることが好ましい。
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記有機リン化合物の融点は、上記硬化剤の融点よりも低いことが好ましい。
上記硬化剤100重量部に対して、上記有機リン化合物の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。上記有機リン化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。
(フラックス)
上記導電材料は、フラックスを含むことが好ましい。フラックスの使用により、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。上記フラックスは特に限定されない。上記フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。
上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、アミン化合物、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記カルボキシル基を2個以上有する有機酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、フェニルイミダゾール、カルボキシベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾールカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。上記ロジン類としては、例えば、アビエチン酸、アクリル変性ロジン等が挙げられる。フラックスはロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記フラックスの融点(活性温度)は、好ましくは10℃以上、より好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、より一層好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下、さらに一層好ましくは140℃以下である。上記フラックスの融点が、上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、電極上にはんだ粒子がより一層効率的に配置される。上記フラックスの融点(活性温度)は80℃以上、190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの融点(活性温度)は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
フラックスの活性温度(融点)が80℃以上、190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、及びリンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
また、上記フラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
上記フラックスは、加熱によりカチオンを放出するフラックスであることが好ましい。加熱によりカチオンを放出するフラックスの使用により、はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。
上記加熱によりカチオンを放出するフラックスとしては、上記熱カチオン硬化剤が挙げられる。
上記フラックスは、酸化合物と塩基化合物との塩であることがさらに好ましい。上記酸化合物は、金属の表面を洗浄する効果を有することが好ましく、上記塩基化合物は、上記酸化合物を中和する作用を有することが好ましい。上記フラックスは、上記酸化合物と上記塩基化合物との中和反応物であることが好ましい。上記フラックスは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点よりも、低いことが好ましく、5℃以上低いことがより好ましく、10℃以上低いことがさらに好ましい。但し、上記フラックスの融点は、上記はんだ粒子の融点よりも高くてもよい。通常、上記導電材料の使用温度は上記はんだ粒子の融点以上であり、上記フラックスの融点が上記導電材料の使用温度以下であれば、上記フラックスの融点が上記はんだ粒子の融点より高くても、上記フラックスは十分にフラックスとしての性能を発揮することができる。例えば、導電材料の使用温度が150℃以上であり、はんだ粒子(Sn42Bi58:融点139℃)と、リンゴ酸とベンジルアミンとの塩であるフラックス(融点146℃)とを含む導電材料において、上記リンゴ酸とベンジルアミンとの塩であるフラックスは、十分にフラックス作用を示す。
電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記硬化剤の反応開始温度よりも、低いことが好ましく、5℃以上低いことがより好ましく、10℃以上低いことがさらに好ましい。
上記酸化合物は、カルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。上記酸化合物としては、脂肪族系カルボン酸であるマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、リンゴ酸、環状脂肪族カルボン酸であるシクロヘキシルカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、芳香族カルボン酸であるイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びエチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。上記酸化合物は、グルタル酸、アゼライン酸、又はリンゴ酸であることが好ましい。
上記塩基化合物は、アミノ基を有する有機化合物であることが好ましい。上記塩基化合物としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、2−メチルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−tert−ブチルベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、N−フェニルベンジルアミン、N−tert−ブチルベンジルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、イミダゾール化合物、及びトリアゾール化合物が挙げられる。上記塩基化合物は、ベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、又は3−メチルベンジルアミンであることが好ましい。
上記フラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、はんだ粒子の表面上に付着していてもよい。フラックス効果をより一層効果的に高める観点からは、上記フラックスは、はんだ粒子の表面上に付着していることが好ましい。
導電材料の保存安定性をより一層効果的に高める観点からは、上記フラックスは、25℃で固体であることが好ましく、25℃の導電材料中で、上記フラックスが固体で分散していることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は、好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記フラックスの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
(フィラー)
本発明に係る導電材料は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。上記導電材料がフィラーを含むことにより、基板の全電極上に対して、はんだ粒子を均一に凝集させることができる。
上記導電材料は、上記フィラーを含まないか、又は上記フィラーを5重量%以下で含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物を用いている場合には、フィラーの含有量が少ないほど、電極上にはんだ粒子が移動しやすくなる。
上記導電材料100重量%中、上記フィラーの含有量は、好ましくは0重量%(未含有)以上であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。上記フィラーの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子が電極上により一層効率的に配置される。
(他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、チキソ剤、レベリング剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
(接続構造体及び接続構造体の製造方法)
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、上述した導電材料である。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上述した導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、上記導電材料を配置する工程と、上記導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、上記第1の電極と上記第2の電極とが対向するように配置する工程と、上記はんだ粒子の融点以上に上記導電材料を加熱することで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、上記導電材料により形成し、かつ、上記第1の電極と上記第2の電極とを、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える。
本発明に係る接続構造体及び接続構造体の製造方法では、特定の導電材料を用いているので、はんだ粒子が第1の電極と第2の電極との間に集まりやすく、はんだ粒子を電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、はんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。従って、第1の電極と第2の電極との間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
また、電極上にはんだを効率的に配置し、かつ電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくするためには、上記導電材料は、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いることが好ましい。
電極間でのはんだ部の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。電極の表面上のはんだ濡れ面積(電極の露出した面積100%中のはんだが接している面積)は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であり、好ましくは100%以下である。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量が加わることが好ましく、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。これらの場合には、複数のはんだ部において、はんだ量の均一性をより一層高めることができる。さらに、はんだ部の厚みをより一層効果的に厚くすることができ、複数のはんだ粒子が電極間に多く集まりやすくなり、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上により一層効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子におけるはんだの量をより一層少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続をより一層防ぐことができ、絶縁信頼性をより一層高めることができる。
また、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いれば、導電ペーストの塗布量によって、接続部及びはんだ部の厚みを調整することが容易になる。一方で、導電フィルムでは、接続部の厚みを変更したり、調整したりするためには、異なる厚みの導電フィルムを用意したり、所定の厚みの導電フィルムを用意したりしなければならないという問題がある。また、導電フィルムでは、導電ペーストと比べて、はんだの溶融温度で、導電フィルムの溶融粘度を十分に下げることができず、はんだ粒子の凝集が阻害されやすい傾向がある。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、上述した導電材料により形成されている。本実施形態では、上記導電材料は、第1の硬化性化合物と、第2の硬化性化合物と、硬化剤と、はんだ粒子とを含む。本実施形態では、導電材料として、導電ペーストが用いられている。
接続部4は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合したはんだ部4Aと、熱硬化性化合物が熱硬化された硬化物部4Bとを有する。
第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ粒子は存在しない。はんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ部4Aと離れたはんだ粒子は存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)に、はんだ粒子が存在していてもよい。
図1に示すように、接続構造体1では、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に、複数のはんだ粒子が集まり、複数のはんだ粒子が溶融した後、はんだ粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、はんだ部4Aが形成されている。このため、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接続面積が大きくなる。すなわち、はんだ粒子を用いることにより、導電性の外表面がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接触面積が大きくなる。このことによっても、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。なお、導電材料にフラックスが含まれる場合に、フラックスは、一般に、加熱により次第に失活する。
なお、図1に示す接続構造体1では、はんだ部4Aの全てが、第1,第2の電極2a,3a間の対向している領域に位置している。図3に示す変形例の接続構造体1Xは、接続部4Xのみが、図1に示す接続構造体1と異なる。接続部4Xは、はんだ部4XAと硬化物部4XBとを有する。接続構造体1Xのように、はんだ部4XAの多くが、第1,第2の電極2a,3aの対向している領域に位置しており、はんだ部4XAの一部が第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出しているはんだ部4XAは、はんだ部4XAの一部であり、はんだ部4XAから離れたはんだ粒子ではない。なお、本実施形態では、はんだ部から離れたはんだ粒子の量を少なくすることができるが、はんだ部から離れたはんだ粒子が硬化物部中に存在していてもよい。
はんだ粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体1を得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量を多くすれば、接続構造体1Xを得ることが容易になる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、接続構造体1,1Xでは、第1の電極2aと接続部4,4Xと第2の電極3aとの積層方向に第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分をみたときに、第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、接続部4,4X中のはんだ部4A,4XAが配置されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上(より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上)に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の60%以上(より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上)が配置されていることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体1を製造する方法の一例を説明する。
先ず、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、図2(a)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上に、熱硬化性成分11Bと、複数のはんだ粒子11Aとを含む導電材料11を配置する(第1の工程)。用いた導電材料11は、熱硬化性成分11Bとして、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含む。
第1の接続対象部材2の第1の電極2aが設けられた表面上に、導電材料11を配置する。導電材料11の配置の後に、はんだ粒子11Aは、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
導電材料11の配置方法としては、特に限定されないが、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
また、第2の電極3aを表面(下面)に有する第2の接続対象部材3を用意する。次に、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上の導電材料11において、導電材料11の第1の接続対象部材2側とは反対側の表面上に、第2の接続対象部材3を配置する(第2の工程)。導電材料11の表面上に、第2の電極3a側から、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとを対向させる。
次に、はんだ粒子11Aの融点以上に導電材料11を加熱する(第3の工程)。好ましくは、熱硬化性成分11B(熱硬化性化合物)の硬化温度以上に導電材料11を加熱する。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子11Aは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まる(自己凝集効果)。導電フィルムではなく、導電ペーストを用いた場合には、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間により一層効果的に集まる。また、はんだ粒子11Aは溶融し、互いに接合する。また、熱硬化性成分11Bは熱硬化する。この結果、図2(c)に示すように、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4が、導電材料11により形成される。導電材料11により接続部4が形成され、複数のはんだ粒子11Aが接合することによってはんだ部4Aが形成され、熱硬化性成分11Bが熱硬化することによって硬化物部4Bが形成される。はんだ粒子11Aが十分に移動すれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動が開始してから、第1の電極2aと第2の電極3aとの間にはんだ粒子11Aの移動が完了するまでに、温度を一定に保持しなくてもよい。
本実施形態では、上記第2の工程及び上記第3の工程において、加圧を行わない方が好ましい。この場合には、導電材料11には、第2の接続対象部材3の重量が加わる。このため、接続部4の形成時に、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間により一層効果的に集まる。なお、上記第2の工程及び上記第3の工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、はんだ粒子11Aが第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなる。
また、本実施形態では、加圧を行っていないため、導電材料を塗布した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせた際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とのアライメントがずれた状態でも、そのずれを補正して、電極同士を接続させることができる(セルフアライメント効果)。これは、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極との間に自己凝集している溶融したはんだが、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極との間のはんだと導電材料のその他の成分とが接する面積が最小となる方がエネルギー的に安定になるため、その最小の面積となる接続構造であるアライメントのあった接続構造にする力が働くためである。この際、導電材料が硬化していないこと、及び、その温度、時間にて、導電材料のはんだ粒子以外の成分の粘度が十分低いことが望ましい。
はんだ粒子の融点での導電材料の粘度は、好ましくは50Pa・s以下、より好ましくは10Pa・s以下、さらに好ましくは1Pa・s以下であり、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.2Pa・s以上である。上記粘度が、上記上限以下であれば、はんだ粒子を効率的に凝集させることができる。上記粘度が、上記下限以上であれば、接続部でのボイドを抑制し、接続部以外への導電材料のはみだしを抑制することができる。
上記はんだ粒子の融点での導電材料の粘度は、STRESSTECH(EOLOGICA社製)等を用いて、歪制御1rad、周波数1Hz、昇温速度20℃/分、測定温度範囲25〜200℃(但し、はんだ粒子の融点が200℃を超える場合には温度上限をはんだ粒子の融点とする)の条件で測定可能である。測定結果から、はんだ粒子の融点(℃)での粘度が評価される。
このようにして、図1に示す接続構造体1が得られる。なお、上記第2の工程と上記第3の工程とは連続して行われてもよい。また、上記第2の工程を行った後に、得られる第1の接続対象部材2と導電材料11と第2の接続対象部材3との積層体を、加熱部に移動させて、上記第3の工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
上記第3の工程における上記加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
上記第3の工程における加熱方法としては、はんだ粒子の融点以上及び熱硬化性化合物の硬化温度以上に、接続構造体全体を、リフロー炉を用いて又はオーブンを用いて加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
局所的に加熱する方法に用いる器具としては、ホットプレート、熱風を付与するヒートガン、はんだゴテ、及び赤外線ヒーター等が挙げられる。
また、ホットプレートにて局所的に加熱する際、接続部直下は、熱伝導性の高い金属にて、その他の加熱することが好ましくない個所は、フッ素樹脂等の熱伝導性の低い材質にて、ホットプレート上面を形成することが好ましい。
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1,第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第2の接続対象部材が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような接続対象部材の接続に導電フィルムを用いた場合には、はんだ粒子が電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、導電ペーストを用いることで、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、はんだ粒子を電極上に効率的に集めることで、電極間の導通信頼性を十分に高めることができる。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いる場合に、半導体チップ等の他の接続対象部材を用いた場合と比べて、加圧を行わないことによる電極間の導通信頼性の向上効果がより一層効果的に得られる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極及び上記第2の電極は、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されていることが好ましい。上記第1の電極及び上記第2の電極が、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されている場合において、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。上記エリアアレイとは、接続対象部材の電極が配置されている面にて、格子状に電極が配置されている構造のことである。上記ペリフェラルとは、接続対象部材の外周部に電極が配置されている構造のことである。電極が櫛型に並んでいる構造の場合は、櫛に垂直な方向に沿ってはんだ粒子が凝集すればよいのに対して、上記エリアアレイ又はペリフェラル構造では電極が配置されている面において、全面にて均一にはんだ粒子が凝集する必要があるため、従来の方法では、はんだ量が不均一になりやすいのに対して、本発明の方法では、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
硬化性化合物:
(1)硬化性化合物1:脂肪族エポキシ化合物、共栄社化学社製「エポライト1600」、SP値:9.8
(2)硬化性化合物2:脂肪族エポキシ化合物、共栄社化学社製「エポライト100E」、SP値:10.2
(3)硬化性化合物3:脂肪族エポキシ化合物、共栄社化学社製「エポライト40E」、SP値:10.4
(4)硬化性化合物4:ビスフェノールA型エポキシ化合物、新日鉄住金化学社製「YD−8125」、SP値:10.5
(5)硬化性化合物5:ビスフェノールF型エポキシ化合物、新日鉄住金化学社製「YDF−8170C」、SP値:11
(6)硬化性化合物6:イソシアヌル骨格含有エポキシ化合物、日産化学社製「TEPIC−VL」、SP値:12.9
(7)硬化性化合物7:脂環式エポキシ化合物、ダイセル社製「セロキサイド2021P」、SP値:12
硬化剤:
(1)硬化剤1:酸無水物硬化剤、新日本理化社製「リカシッドTH」、SP値:12.4
(2)硬化剤2:酸無水物硬化剤、新日本理化社製「リカシッドSA」、SP値:12.5
(3)硬化剤3:酸無水物硬化剤、東京化成工業社製「ピロメリット酸無水物」、SP値:13.8
(4)硬化剤4:酸無水物硬化剤、新日本理化社製「リカシッドTMTA−C」、SP値:14
(5)硬化剤5:酸無水物硬化剤、新日本理化社製「リカシッドTMEG」、SP値:14.7
有機リン化合物:
(1)有機リン化合物1:有機ホスホニウム塩、日本化学工業社製「PX−4B」
(2)有機リン化合物2:有機ホスホニウム塩、日本化学工業社製「PX−4MP」
(3)有機リン化合物3:有機ホスホニウム塩、日本化学工業社製「PX−4ET」
(4)有機リン化合物4:有機ホスホニウム塩、日本化学工業社製「PX−4BT」
はんだ粒子:
はんだ粒子1:SnBiはんだ粒子、三井金属工業社製「Sn42Bi58」、d90:4μm
はんだ粒子2:SnBiはんだ粒子、三井金属工業社製「Sn42Bi58」、d90:6μm
はんだ粒子3:SnBiはんだ粒子、三井金属工業社製「Sn42Bi58」、d90:10μm
はんだ粒子4:SnBiはんだ粒子、三井金属工業社製「Sn42Bi58」、d90:15μm
硬化性化合物及び硬化剤のSP値:
硬化性化合物及び硬化剤のSP値は、Fedorsの推算法により算出した。
はんだ粒子のd90:
はんだ粒子の体積基準での粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern社製「マスターサイザー3000」)にて測定した。得られた粒度分布の結果から、はんだ粒子のd90(はんだ粒子の累積体積が90%であるときのはんだ粒子の粒子径)を求めた。
(実施例1〜19及び比較例1〜3)
(1)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
下記の表1,2に示す成分を下記の表1,2に示す配合量で配合して、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
(2−1)条件Aでの接続構造体の具体的な作製方法:
第1の接続対象部材として、半導体チップ本体(サイズ5×5mm、厚み0.4mm)の表面に、400μmピッチで250μmの銅電極が、エリアアレイにて配置されており、最表面にパッシベーション膜(ポリイミド、厚み5μm、電極部の開口径200μm)が形成されている半導体チップを準備した。銅電極の数は、半導体チップ1個当たり、10個×10個の合計100個である。
第2の接続対象部材として、ガラスエポキシ基板本体(サイズ20×20mm、厚み1.2mm、材質FR−4)の表面に、第1の接続対象部材の電極に対して、同じパターンとなるように、銅電極が配置されており、銅電極が配置されていない領域にソルダーレジスト膜が形成されているガラスエポキシ基板を準備した。銅電極の表面とソルダーレジスト膜の表面との段差は、15μmであり、ソルダーレジスト膜は銅電極よりも突出している。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の導電材料(異方性導電ペースト)を厚さ100μmとなるように塗工し、導電材料(異方性導電ペースト)層を形成した。次に、導電材料(異方性導電ペースト)層の上面に半導体チップを電極同士が対向するように積層した。導電材料(異方性導電ペースト)層には、上記半導体チップの重量は加わる。その状態から、導電材料(異方性導電ペースト)層の温度が、昇温開始から5秒後に139℃(はんだの融点)となるように加熱した。さらに、昇温開始から15秒後に、導電材料(異方性導電ペースト)層の温度が160℃となるように加熱し、導電材料(異方性導電ペースト)層を硬化させ、接続構造体を得た。加熱時には、加圧を行わなかった。
(2−2)条件Bでの接続構造体の具体的な作製方法:
以下の変更をしたこと以外は、条件Aと同様にして、接続構造体(エリアアレイ基板)を作製した。
条件Aから条件Bへの変更点:
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の導電材料(異方性導電ペースト)を厚さ100μmとなるように塗工し、導電材料(異方性導電ペースト)層を形成した後、25℃及び湿度50%の環境下に6時間放置した。放置後、導電材料(異方性導電ペースト)層の上面に半導体チップを電極同士が対向するように積層した。
(評価)
(1)第1の硬化性化合物及び第2の硬化性化合物の配合の有無
得られた導電材料において、硬化性化合物と硬化剤とのSP値から、第1の硬化性化合物及び第2の硬化性化合物が含まれているか否かを確認した。第1の硬化性化合物及び第2の硬化性化合物の配合の有無について以下の基準で判定した。
[第1の硬化性化合物の配合の有無の判定基準]
A:導電材料中に、第1の硬化性化合物が含まれている
B:導電材料中に、第1の硬化性化合物が含まれていない
[第2の硬化性化合物の配合の有無の判定基準]
A1:導電材料中に、第2の硬化性化合物が含まれている
A2:導電材料中に、第2の硬化性化合物が含まれていない
(2)ギャップ
条件A及び条件Bにて得られた接続構造体において、走査型電子顕微鏡により、接続部中のはんだ部の高さ(ギャップ)を測定した。ギャップを以下の基準で判定した。
[ギャップの判定基準]
○○:ギャップが5μm未満
○:ギャップが5μm以上、10μm未満
△:ギャップが10μm以上、15μm未満
×:ギャップが15μm以上
(3)電極上のはんだの配置精度
条件A及び条件Bにて得られた接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ部が配置されている面積の割合Xを評価した。電極上のはんだの配置精度を下記の基準で判定した。
[電極上のはんだの配置精度の判定基準]
○○:割合Xが70%以上
○:割合Xが60%以上、70%未満
△:割合Xが50%以上、60%未満
×:割合Xが50%未満
(4)上下の電極間の導通信頼性
条件A及び条件Bにて得られた接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の1接続箇所当たりの接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を下記の基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が50mΩを超え、70mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が70mΩを超え、100mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が100mΩを超える、又は接続不良が生じている
(5)隣接する電極間の絶縁信頼性
条件A及び条件Bにて得られた接続構造体(n=15個)において、85℃及び湿度85%の雰囲気中に100時間放置後、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が107Ω以上
○:接続抵抗の平均値が106Ω以上、107Ω未満
△:接続抵抗の平均値が105Ω以上、106Ω未満
×:接続抵抗の平均値が105Ω未満
(6)ゲル分率
下記の表1,2に示す成分の内、導電性粒子を除く成分を配合して、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を、加熱プレス機を用いて、1MPaで加圧しながら160℃で1時間加熱することで、厚さ0.5mmの硬化物を得た。得られた硬化物を5g量り取り、トルエン100g中に25℃で20時間浸漬した。その後、硬化物を取り出し、160℃で30分間乾燥し、乾燥後の硬化物の重量を測定した。ゲル分率を下記式により算出した。ゲル分率を下記の基準で判定した。なお、ゲル分率が高いほど、接続構造体の硬化物部に由来して、ギャップ保持性が高くなる。
ゲル分率(%)=[トルエン浸漬後の硬化物の重量(g)/トルエン浸漬前の硬化物の重量(g)]×100
[ゲル分率の判定基準]
○○:ゲル分率が90%以上、100%以下
○:ゲル分率が80%以上、90%未満
△:ゲル分率が70%以上、80%未満
×:ゲル分率が70%未満
結果を下記の表1,2に示す。
フレキシブルプリント基板、樹脂フィルム、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。