JP6752473B2 - 画像化方法および画像化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、波動を利用して物体の内部情報を取得し映像化(画像化)する技術に関し、特に、波動の散乱現象を利用して物体の内部情報を取得する画像化方法および画像化装置に関する。
従来、生体や建築物等の物体内部の情報を映像化する方法として、X線CT(X線トモグラフィ)、MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)、PET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層法)などの方法が用いられている。具体的には、光、テラヘルツ、ミリ波、マイクロ波のような電磁波あるいは超音波などの波動を観測対象物である生体や物体、あるいは、プラズマに放射し、その散乱波(反射波)を観測し解析することで、生体内部や固体内部、あるいは、プラズマの内部の情報を映像化している。また、最近では、波動に代えて磁場を用いて、生体や物体内部の情報の映像化も行われている。
一般的に、これらの方法では、物体Oに電磁波や超音波のような波動uを放射し、物体Oの回りの多数の場所で物体Oから散乱される散乱波pを観測し、得られたデータを映像化するという技術が採用されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術は、電波を用いて物体内部の情報の映像化を行うものである。円周上に配置されたセンサ素子で観測される散乱波のデータを、導電率や誘電率等のパラメータで修正しながら、データの取得を繰り返し、映像化するものである。
非特許文献1に記載の技術は、マルチパスリニアアレイレーダに関する技術であり、コンクリート内部の欠陥等の情報の映像化を行うものである。対象物の表面に直線状または曲線状に配置されたセンサ素子(直線状のマルチアレイアンテナ)を配置し、放射された波動の散乱波をセンサで観測し、観測データを解析し映像化するものである。
また、医療の分野においては、例えば、乳がんの検出を行うためのマンモグラフィ装置等に、このような波動を使った観測方法を利用することが想定される。
特開2003−177656号公報
トンネル覆工コンクリート検査用3次元映像化レーダを開発、三井造船技報、No.184、p24、2005年2月
特許文献1および非特許文献1に開示された技術では、例えば、物体の曲面形状等の条件が変わるたびに、理論や装置内部の構造等を変えてデータを再取得したり、取得したデータを補正したりする必要があるため、汎用的な使用が難しい。特に、生体等のフレキシブルな形状を有する対象物については、対象物の形状や外形の曲面の曲率が一定でない場合が多いため、従来の直線状マルチアレイアンテナや一定の形状の対象物をモデルとしたアレイアンテナを一律に用いることは困難である。また、データを再取得したり補正したりする必要があるため、計算速度の遅延やメモリの大量使用という問題がある。
また、対象物を生体とした場合の従来技術として、マンモグラフィ装置などX線を利用した装置がある。しかし、X線を使用したマンモグラフィ装置では、特にアジア人の大半を占める高濃度***に対しては、炭酸カルシウムを撮像することによって間接的にがんの診断を行うことがあるため、直接微細が乳がん組織を他の組織と識別することは困難である。
さらに、近年では、高輝度X線の散乱を利用した手法が提案されているが、透過光に対して数百万分の1の強度の散乱光を測定するものであるため、正確な診断を行うにはX線の強度を高くする必要がある。この場合、生体に対するX線の影響が懸念される。
そこで、本発明は、汎用的で、物体内部の情報を簡便かつ高速に映像化することができる検査方法および検査装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像化方法は、
波動を対象物に放射するステップと、
前記波動が前記対象物において散乱した散乱波を受信するステップと、
前記散乱波を示す散乱波データから、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するステップとを含み、
前記画像を再構成するステップにおいて、
前記散乱波データと形状を示す解析モデルとを用いて偏微分方程式を解くことにより、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数を導出し、
前記再構成関数を用いて、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成し、
前記偏微分方程式は、前記再構成関数が満たす方程式である。
これにより、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とを有するセンサ素子を対象物上で自由に移動させながら対象物の内部情報の観測(検査)を行う解析モデルにおいて、逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。また、画像を再構成するステップにおいて、再構成関数φの設定は、3次元空間を対象に行われるので、対象物の内部情報を3次元で精度よく高速に映像化することができる。また、対象物を、他の物体についての観測結果を介して観測するのではなく、直接的に観測することができる。
さらに、複数の送信部と受信部とを備えたマルチスタティック法による散乱トモグラフィを利用した検査装置と比較すると、この検査方法は、モノスタティック法による散乱トモグラフィを利用した検査方法であり、形状がフレキシブルな検査対象であっても精度よく計測することができる。
また、前記偏微分方程式は、
前記対象物内の送信点および受信点の位置を示す独立変数を用いて表され、
前記独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、前記散乱波が生じている場の関数である散乱場関数が解となる線形偏微分方程式であり、
前記画像を再構成するステップでは、前記再構成関数の時間変数の極限値である映像化関数を導出し、前記映像化関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成してもよい。
これにより、対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は円錐であり、
前記映像化関数は、以下の(式A)により表され、
前記画像を再構成するステップでは、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式B)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成してもよい。
Figure 0006752473
..............(式A)
Figure 0006752473
...........(式B)
ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記円錐の頂点を原点とし、前記原点から前記円錐の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、φはφ=φδ(x)が成り立つ関数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記円錐の軸を回転軸とする回転角度である。
これにより、およそ円錐状の形状を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は曲線状の母線を有する略円錐であり、
前記映像化関数は、以下の(式C)により表され、
前記画像を再構成するステップでは、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式D)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成してもよい。
Figure 0006752473
..............(式C)
Figure 0006752473
...........(式D)
ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記略円錐の頂点を原点とし、前記原点から前記略円錐の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、aθは係数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記略円錐の軸を回転軸とする回転角度である。
これにより、およそ略円錐の形状を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は非対称の錐体であり、
前記映像化関数は、ξ、η、およびζがそれぞれ以下の(式E)を満たす変数であるとき以下の(式F)により表され、
前記画像を再構成するステップでは、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式G)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成してもよい。
Figure 0006752473
..............(式E)
Figure 0006752473
..............(式F)
Figure 0006752473
...........(式G)
ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記錐体の頂点を原点とし、前記原点から前記錐体の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、φはφ=φδ(x)が成り立つ関数であり、aθは係数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記錐体の軸を回転軸とする回転角度であり、αは前記Z方向を基準とした傾き角度である。
これにより、およそ非対称の錐体の形状を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記放射するステップでは、前記散乱波を受信する受信アンテナ素子と前記対象物に前記波動を放射する送信アンテナ素子とが一体に設けられ、前記受信アンテナ素子と前記送信アンテナ素子との間に電波吸収手段が位置しているプローブを用いて前記波動を前記対象物に放射し、
前記受信するステップでは、前記プローブを用いて前記散乱波を受信してもよい。
これにより、送信アンテナ素子から発信された波動のうち、直接受信アンテナ素子に受信される波動の大きさを小さくすることができ、その直接受信される波動の前記大きさに対する、受信アンテナ素子に受信される対象物からの散乱波の大きさの比を高めることができる。したがって、より鮮明な対象物内の画像を得ることができる。
また、前記解析モデルが示す形状は円錐であり、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち円錐の母線に相当する線に沿って移動されてもよい。
これにより、円錐の母線上をセンサ素子が移動する解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、円錐状の形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、解析モデルが示す形状は、曲線状の母線を有する略円錐であり、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち略円錐の曲線状の母線に相当する線に沿って移動されてもよい。
これにより、曲線状の母線上をセンサ素子が移動する解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、略円錐状、例えば、半球またはドーム状の形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は非対称の錐体であり、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち非対称の錐体の母線に相当する線に沿って移動されてもよい。
これにより、非対称の錐体の形状の母線上をセンサ素子が移動する解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、円錐状または略円錐状の一部が欠けた形状を有する対象物やフレキシブルな形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記波動は、マイクロ波であってもよい。
これにより、水分が多いか少ないかにかかわらず、汎用的かつ簡便な方法で、対象物の内部情報を映像化することができる。
また、前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波であってもよい。
これにより、汎用的かつ簡便な方法で、フレキシブルな形状を有する対象物の内部情報を映像化することができる。
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像化装置は、波動を対象物に放射する送信アンテナ素子と、
前記送信アンテナ素子から放射された前記波動が前記対象物において散乱した散乱波を受信する受信アンテナ素子と、
前記受信アンテナ素子により受信した散乱波を示す散乱波データから、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する画像再構成部とを備え、
前記画像再構成部は、
前記散乱波データと形状を示す解析モデルとを用いて偏微分方程式を解くことにより、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数を導出し、
前記再構成関数により、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成し、
前記偏微分方程式は、前記再構成関数が満たす方程式である。
これにより、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とを有するセンサ素子を対象物上で自由に移動させながら対象物の観測(検査)を行う解析モデルにおいて、逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。また、画像を再構成する際に、再構成関数φの設定は3次元空間を対象に行われるので、対象物の内部情報を3次元で精度よく高速に映像化することができる。また、対象物を、他の物体の観測結果を介して観測するのではなく、直接的に観測することができる。
さらに、複数の送信部と受信部とを備えたマルチスタティック法による散乱トモグラフィを利用した検査装置と比較すると、この検査装置は、モノスタティック法による散乱トモグラフィを利用した検査装置であり、形状がフレキシブルな検査対象であっても精度よく計測することができる。
また、前記偏微分方程式は、
前記対象物内の送信点および受信点の位置を示す独立変数を用いて表され、
前記独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、前記散乱波が生じている場の関数である散乱場関数が解となる線形偏微分方程式であり、
前記画像再構成部は、前記再構成関数の時間変数の極限値である映像化関数を導出し、前記映像化関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成してもよい。
これにより、対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は円錐であり、
前記映像化関数は、以下の(式A)により表され、
前記画像再構成部は、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式B)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成してもよい。
Figure 0006752473
..............(式A)
Figure 0006752473
...........(式B)
ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記円錐の頂点を原点とし、前記原点から前記円錐の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、φはφ=φδ(x)が成り立つ関数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記円錐の軸を回転軸とする回転角度である。
これにより、およそ円錐状の形状を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は曲線状の母線を有する略円錐であり、
前記映像化関数は、以下の(式C)により表され、
前記画像再構成部は、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式D)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成してもよい。
Figure 0006752473
..............(式C)
Figure 0006752473
...........(式D)
ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記略円錐の頂点を原点とし、前記原点から前記略円錐の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、aθは係数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記略円錐の軸を回転軸とする回転角度である。
これにより、およそ略円錐の形状を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は非対称の錐体であり、
前記映像化関数は、ξ、η、およびζがそれぞれ以下の(式E)を満たす変数であるとき以下の(式F)により表され、
前記画像再構成部は、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式G)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成してもよい。
Figure 0006752473
..............(式E)
Figure 0006752473
..............(式F)
Figure 0006752473
...........(式G)
ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記錐体の頂点を原点とし、前記原点から前記錐体の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、φはφ=φδ(x)が成り立つ関数であり、aθは係数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記錐体の軸を回転軸とする回転角度であり、αは前記Z方向を基準とした傾き角度である。
これにより、およそ非対称の錐体の形状を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、画像化装置は、前記受信アンテナ素子と前記送信アンテナ素子とが一体に設けられたプローブをさらに備え、
前記受信アンテナ素子と前記送信アンテナ素子との間には電波吸収手段が位置してもよい。
これにより、送信アンテナ素子から発信された波動のうち、直接受信アンテナ素子に受信される波動の大きさを小さくすることができ、その直接受信される波動の前記大きさに対する、受信アンテナ素子に受信される対象物からの散乱波の大きさの比を高めることができる。したがって、より鮮明な対象物内の画像を得ることができる。
また、前記解析モデルが示す形状は円錐であり、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち円錐の母線に相当する線に沿って移動されてもよい。
これにより、円錐の母線上をセンサ素子が移動する解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、円錐状の形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は、曲線状の母線を有する略円錐であり、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち略円錐の曲線状の母線に相当する線に沿って移動されてもよい。
これにより、曲線状の母線を有する略円錐の母線上をセンサ素子が移動する解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、略円錐状、例えば、半球またはドーム状の形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記解析モデルが示す形状は非対称の錐体であり、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち非対称の錐体の母線に相当する線に沿って移動されてもよい。
これにより、非対称の錐体の形状の母線上をセンサ素子が移動する解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、対象物の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。特に、円錐状または略円錐状の一部が欠けた形状を有する対象物や様々な曲面形状を有する対象物に対して、内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
また、前記波動は、マイクロ波であってもよい。
これにより、対象物の水分が多いか少ないかにかかわらず、汎用的かつ簡便な方法で、対象物の内部情報を映像化することができる。
また、前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波であってもよい。
これにより、汎用的かつ簡便な方法で、様々な曲面形状を有する対象物の内部情報を映像化することができる。
本発明により、逆問題の解析を汎用的かつ高速に行い、様々な曲面形状を有する物体内部の情報を簡便に映像化することができる。様々な曲面形状を有する対象物の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置の構成を示す概略図 実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置におけるプローブの構成を示す概略図 図2に示したプローブの使用方法の一例を示す図 実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置の動作を示すフローチャート 実施の形態1にかかるマンモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデル 実施の形態1にかかるマンモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデル 実施の形態1にかかるマンモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデル 実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置を用いた計測実験のための実験モデルを示す概略図 図8に示した実験モデルをマンモグラフィ装置で計測した計測結果を示す図 実施の形態2にかかるマンモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデル 実施の形態2にかかるマンモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデル 実施の形態3にかかるマンモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデル
(本発明の基礎となった知見)
本発明に係る実施の形態について説明する前に、本発明の基礎となった技術について説明する。
本発明にかかる検査方法および検査装置は、散乱トモグラフィを利用した検査技術である。
散乱トモグラフィとは、波動を物体に放射したときの散乱波を観測し解析して物体内部の情報を映像化する技術である。すなわち、本発明にかかる検査方法および検査装置は、物体に波動を放射して生じた散乱波を解析することで、非破壊で対象物の欠陥等を検出する技術である。散乱トモグラフィの詳細な原理は、以下のとおりである。
一般に、物体に波動を放射した際に生じる散乱現象は、演算子を用いて表すことができる。例えば、物体O、放射波u、観測データpで表される物理方程式を、演算子Aを用いてp=A[O]と表すことができる。ここで、物体O、放射波u、演算子(システム関数)Aが既知である場合に、観測データpを求める問題は、順方向問題と呼ばれている。
これに対して、医療や産業上で重要な課題は、放射波u、システム関数A、観測データpが既知である場合に物体Oが何であるかを求める問題である。この問題は、物理現象の因果関係を逆方向に辿るという意味で、逆方向問題と呼ばれ、O=A −1[p]と表すことができる。散乱トモグラフィは、この逆方向問題を利用するものである。
散乱トモグラフィを利用した一例として、Multi−Path Linear Array Radar(MPLA Radar)がある。この方法は、例えば、センサ素子として対象物にアンテナ素子を取り付け、曲率のある対象物であっても平面として近似して、アンテナ素子から放射した電磁波と対象物において反射した反射波(散乱波)との関係から、非破壊で対象物の欠陥等を検出するものである。
MPLA Radarに使用されるアンテナ素子は、対象物に波動を放射する複数の送信アンテナ素子と、対象物で生じた散乱波を受信する複数の受信アンテナ素子とで構成されている。各アンテナ素子は、事前に想定された解析モデルにおいて、配置位置が決定されている。そして、ある位置に配置された送信アンテナ素子から放射された波動の散乱波を、他の位置に配置された受信アンテナ素子により受信する。これにより、MPLA Radarでは、受信アンテナ素子で受信された散乱波を用いてマルチスタティックな解析を行い、物体内部の情報を映像化する。
ここで、解析モデルとして、生体モデルを想定することで、生体の内部情報を映像化することができる。例えば、解析モデルとして***を想定すると、***の内部における癌組織の位置および大きさを検出するマンモグラフィとして利用することができる。
生体等を対象物としてその内部情報を映像化する場合、対象物の形状が、想定された解析モデルと適合しないことがある。特に、対象物がフレキシブルな形状を有する場合には、対象物の形状が配置位置や向きにより変わるため、想定された解析モデルにおける受信アンテナ素子では、散乱波が正常に受信できない等の問題が生じる。したがって、アンテナ素子の位置と受信信号の強度が正確に把握できず、解析を行った場合に内部情報が正確に把握できないことが考えられる。
そこで、本発明にかかる検査方法および検査装置は、一対の送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とで構成されるアンテナ素子を、事前に想定された対象物の解析モデルにおいて、対象物上を自由に移動させながら解析を行うものである。すなわち、本発明における検査方法および検査装置では、対になった送信アンテナ素子と受信アンテナ素子のうちの送信アンテナ素子から対象物に波動を放射し、その散乱波を、波動を放射した送信アンテナと対になった受信アンテナ素子により受信する。これにより、当該マンモグラフィでは、受信アンテナ素子で受信された散乱波を用いてモノスタティックな解析を行い、物体内部の情報を映像化する。
以下、図面を用いて、本発明に係る実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、***を検査の対象物として***の内部における癌組織の位置および大きさを検出するマンモグラフィを例として説明する。なお、図面において、同一の符号が付された構成要素は、同一または同種の構成要素を示す。
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の好ましい一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態、ステップおよびステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より望ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
<検査装置の構成>
以下、実施の形態1にかかる検査装置の構成について、図1〜3を用いて説明する。本実施の形態では、生体の内部情報、特に、欠陥組織の位置情報を映像化する例として、直線状の母線を持つ円錐体をモデルとする。具体的には、検査装置としてマンモグラフィ装置を、略円錐状の形状を有する対象物として***を、欠陥組織として***における癌組織を例として説明する。また、この装置において、センサ素子であるプローブを構成する送信アンテナ素子および受信アンテナ素子は、円錐体の母線に沿って移動されるものである。すなわち、送信アンテナ素子および受信アンテナ素子は、一体となって対象物のうち円錐の母線に相当する線に沿って移動される。ここで、円錐の母線に相当する線とは、対象物10の形状を円錐とみなしたとき、その円錐の母線に相当する線である。
図1は、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置の構成を示す概略図である。図2は、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置におけるプローブの構成を示す概略図である。図3は、図2に示したプローブの使用方法の一例を示す図である。
はじめに、本実施の形態に係るマンモグラフィ装置1の構成について説明する。
図1に示すように、マンモグラフィ装置1は、プローブ36と、検出部20とを備えている。
プローブ36は、対象物10の内部情報を検出するセンサ素子であり、図2に示すように、一対の送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとで構成されている。送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bはそれぞれ、複数の送信点および受信点を備えるアンテナアレイであっても良い。
プローブ36は、図2に示すように、送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとが波動吸収手段(電波吸収手段)38を介して接合された構成をしている。また、送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとは、それぞれ同軸ケーブル34aおよび34bに接続されている。波動吸収手段は送信アンテナ素子36aで受信される波動を吸収する手段であり、波動がマイクロ波等の電波であるとき、電波吸収手段である。以下では、波動吸収手段が電波吸収手段である例について説明するが、この例に限定されない。
プローブ36において送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとの相対位置は固定されている。ただし、プローブ36の構成はこの構成に限定されない。送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとは、電波吸収手段38を介して一体に設けられていることが好ましい。すなわち、プローブ36において受信アンテナ素子36bと送信アンテナ素子36aとは一体に設けられており、受信アンテナ素子36bと送信アンテナ素子36aとの間には電波吸収手段38が位置していることが好ましい。
「一体に設けられ」とは、プローブ36に送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとが設けられ、送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとが一緒に移動できる状態をいう。送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとが一体に設けられている場合には、送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとが、電波吸収手段38を介して、密着して、配置されている場合だけでなく、アンテナ素子と電波吸収手段38との間に隙間がある場合が含まれる。アンテナ素子と電波吸収手段38との間に隙間がある場合とは、送信アンテナ素子36aと電波吸収手段38との間、および受信アンテナ素子36bと電波吸収手段38との間の少なくとも一方に隙間を設けた状態で、電波吸収手段が配置されている場合である。電波吸収手段38としては、電波吸収体(波動吸収体)を送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとの間に配置して使用できる。
「電波吸収手段38を介して」とは、送信アンテナ素子36aの受信アンテナ素子36bに向いている一面、又は、受信アンテナ素子36bの送信アンテナ素子36aに向いている一面に、電波吸収材料(波動吸収材料)を塗布等の手段で膜付けした場合や、電波吸収材料で製作した板状の部品を前記面上に接着して固着を行った場合も含むものとする。電波吸収手段38は、送信アンテナ素子36aから発信されるマイクロ波(波動)のうち、直接、受信アンテナ素子36bに受信されるマイクロ波(波動)の大きさを低減できればよい。電波吸収材料は導電性材料であり、具体的には、金属、カーボン等である。このような構成とすることで、送信アンテナ素子36aから発信されたマイクロ波(波動)のうち、直接受信アンテナ素子36bに受信されるマイクロ波(波動)の大きさを小さくすることができ、その直接受信されるマイクロ波(波動)の前記大きさに対する、受信アンテナ素子36bに受信される対象物10からの反射波(散乱波)の大きさの比を高めることができる。すなわち、電波吸収手段38を設けることにより、より鮮明な対象物内の画像を得ることができる。
符号発生器32aで生成された符号は、同軸ケーブル34aを介して、送信アンテナ素子36aに伝搬される。
アンテナ素子36bで受信された信号は、同軸ケーブル34bを介して、受信回路32bに伝搬される。これにより、受信回路32bは受信信号を検波する。
プローブ36は、図3に示すように、ユーザの指示(動作)によって対象物10の上を移動しながら対象物10の内部情報の計測を行う。プローブ36は、対象物10に対して、自由に動かせるよう構成されている。送信アンテナ素子36aは、対象物10に向かって波動を送信し、受信アンテナ素子36bは、対象物10の内部の散乱体10aにおいて散乱した散乱波を受信する。ここでは、波動としてマイクロ波を例として説明するが、マイクロ波に限らず他の帯域の電磁波または超音波であってもよい。
また、検出部20は、図1に示すように、制御装置30と、画像再構成部40と、符号発生器32aと、受信回路32bとを有している。
制御装置30は、符号発生器32aから対象物10への波動の送信、受信回路32bによる散乱波の受信、および、画像再構成部40による受信した散乱波の解析について制御を行う。制御装置30は、符号発生器32aに対し、トリガ信号を伝搬する。
制御装置30による制御によって、マンモグラフィ装置1は、送信アンテナ素子36aから対象物へ波動を送信し、受信アンテナ素子36bで散乱体10aからの散乱波を受信し、さらに、画像再構成40で散乱波を解析して画像を生成する。
符号発生器32aは、制御装置30からのトリガ信号に基づいて、送信アンテナ素子34aから放射される波動を符号として生成し、送信アンテナ素子34aに搬送する。符号発生器32aは、符号として、例えば、送信アンテナ素子36aから放射される波動の送信タイミングや回数、送信ゲインを生成する。なお、送信アンテナ素子36aから対象物10に放射される波動は、例えばマイクロ波である。
受信回路32bは、受信アンテナ素子36bで受信したマイクロ波の散乱波のデータを、画像再構成部40に搬送する。このとき、受信した散乱波のデータは、受信回路32bにより増幅されたり、制御装置30においてAD変換等の信号処理をされたりしてもよい。
画像再構成部40は、受信回路32bから搬送された散乱波のデータを解析し、後に説明する画像再構成アルゴリズムにより、散乱波のデータを映像化する。これにより、対象物10の内部情報に応じた映像が画像表示器50に再生される。
画像表示器50は、モニタ画面であり、画像再構成部40で演算されたデータを、映像として出力するものである。
なお、画像再構成アルゴリズムで使用される解析モデルとしては、円錐状、または、略円錐状の形状を有する解析モデルを想定してもよい。例えば、本実施の形態においては、一例として、底面の円の直径が30cmの円錐状の解析モデルを想定する。当該解析モデルにおいて、プローブ36は、円錐の頂点から底面に向かう母線に沿ってライン状に移動されるとしてもよい。すなわち、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bは、少なくとも一方向から平面視したときに円錐の回転対象の軸と同一方向にライン状となるように移動されてもよい。ここで、円錐の回転対象の軸は、円錐の頂点と円錐の底面の中心とを結ぶ直線を指す。なお、画像再構成アルゴリズムについては、後に詳述する。
また、送信アンテナ素子36aと受信アンテナ素子36bとは対をなして移動する。
以下、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1による生体の内部情報、すなわち、***における癌組織の位置情報の観測(映像化)の手順について、説明する。
<生体の内部情報の観測手順>
図4は、図1に示した本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1の動作を示すフローチャート図である。
図4に示すように、マンモグラフィ装置1により、対象物10である***の内部情報を映像化(画像化)する方法は、以下のとおりである。
はじめに、対象物10の上にプローブ36を配置する(S10)。そして、送信アンテナ素子36aから対象物10に向けて波動を放射する(S11)。波動としては、例えば、マイクロ波を用いる。符号発生器32aにおいてマイクロ波の波長、振幅等の調整を行い、送信アンテナ素子36aから対象物10に放射する。
次に、対象物10の内部の正常組織および癌組織で反射した散乱波(散乱波)を受信アンテナ素子36bにより受信する(S12)。なお、正常組織および癌組織は、図3に示した散乱体10aに相当する。波動がマイクロ波等の電磁波である場合、正常組織と癌組織とでは、誘電率が異なるため、散乱波の強度が異なる。受信した散乱波は、受信回路32bにおいて、増幅されたり、AD変換等の画像再構成部40における解析に適した形式に変換されてもよい。
次に、受信回路32bから画像再構成部40に、受信した散乱波を示す散乱波データが搬送される。画像再構成部40では、搬送された散乱波データの解析が行われる(S13)。ここでは、以下に説明する画像再構成アルゴリズムにより散乱波データの解析が行われる。具体的には、映像化関数(画像化関数)が導出される。これにより、対象物10の内部の正常組織と癌組織とに対応した映像(画像)が再構成される(S14)。そして、プローブ36を移動して、対象物10の他の観測位置にプローブ36を配置し(S10)、上述した手順を繰り返す。なお、映像化関数(画像化関数)を用いた再構成で得られるデータは動画である必要は無く、画像、すなわち静止画であってよい。
さらに、再構成された映像のデータは、画像再構成部40からモニタ50に搬送され、モニタ50に表示される。これにより、対象物10の内部の癌組織の存在およびその位置、形状および大きさが確認できる。
上記した通り、画像再構成部40は受信アンテナ素子36bにより受信した散乱波を示す散乱波データから、対象物10の内部情報に関する画像を再構成する。詳しくは画像再構成部40は、散乱波データと形状を示す解析モデルとを用いて偏微分方程式を解くことにより再構成関数を導出する。そして、再構成関数により、対象物10の内部情報に関する画像を再構成する。ここで、偏微分方程式は、対象物の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数が満たす方程式である。
具体的には、偏微分方程式は、対象物内の送信点および受信点の位置を示す独立変数を用いて表される式である。また、偏微分方程式は、独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、散乱波が生じている場の関数である散乱場関数が解となる線形偏微分方程式である。そして、画像再構成部は、再構成関数の時間変数の極限値である映像化関数を導出し、映像化関数を用いて対象物の内部情報に関する画像を再構成する。
以下、画像再構成部40で行われる画像再構成アルゴリズムについて説明する。この画像再構成アルゴリズムは、直線状の母線を持つ錐体を解析モデルとする、本実施の形態に係るマンモグラフィ装置1の画像再構成原理である。
<画像再構成アルゴリズム>
図5〜図7は、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。
以下に説明する画像再構成アルゴリズム(理論)では、映像化対象が直線状の母線を持つ円錐体であると仮定する。この円錐体を解析モデルとして、当該母線上に波動の放射点(送信アンテナ素子36a)と受信点(受信アンテナ素子36b)とを任意に設置する。すなわち、プローブ36が円錐体の母線上を移動するという解析モデルとする。なお、この画像再構成アルゴリズムは、放射点と受信点とが同じ位置であることを想定したモノスタティックな解析を行うものである。そして、放射点から放射された放射波を示す送信データと受信点で受信された散乱波を示す散乱波データとを用いて、映像化対象物の内部の情報を映像化する。
画像再構成アルゴリズムについて数学的に簡単に説明すると、映像化に必要な解(関数)をはじめに設定し、その解から方程式を構築し、送信データおよび受信データから、より厳密な解を求めるという、逆問題を解くものである。
すなわち、はじめに映像化に必要なグリーン関数(再構成関数)を設定する。そして、この関数が解(関数)となる(t,x,y,z)の4つの変数からなる3次元空間に関する偏微分方程式を構築する。そして、送信アンテナ素子36aから放射された送信データと受信アンテナ素子36bで受信された受信データ(散乱データ)とを境界条件としてこの偏微分方程式を解く。これにより、映像化関数が求まり、物体内部の情報を高品質かつ高速に映像化することができる。
具体的には、以下のとおりである。
1.散乱の逆問題とグリーン関数
図5により、点rから出た波動が点ξで反射して点rへ戻ってくる状況を考える。ここで、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1では、点rと点rとは同一の位置である。周波数ωが一定という条件で、波動の送信点rと受信点rがx断面D(円錐体60aの側面)の内部を自由に動く。このとき得られるデータをG(r,r,ω)と書くと、この関数は領域内の反射点の分布に関係したものとなる。ここで、ωは角周波数であり、ω=2πfである。G(r,r,ω)は、全ての点ξからの反射信号の和であり、領域内には多くの反射点があるので、G(r,r,ω)は次の(式1)のように書くことができる。
Figure 0006752473
....(式1)
ここで、
Figure 0006752473
は、点rから出て点ξで反射して点rへ戻る波動の信号強度を示す。なお、式中のパラメータrおよびrはベクトルであり、式中では太字で示している。
ここで、波動の送信点rと受信点rの座標は常に等しい。
この関数G(r,ω)≡G(r,r,ω)を用いて散乱の逆問題の理論的構造を説明する。
3次元空間の部分領域をDとし、その境界を∂Dとする。このとき、関数G(r,ω)は、領域Dの内部で次の(式2)のような微分方程式の解となっている。
Figure 0006752473
.......(式2)
さらに、G(r,ω)の境界∂Dでの値は、プローブ36における測定値(送信データおよび受信データ)とする。上記方程式をこの境界条件のもとに解き、その結果から求めようとする領域D内の誘電率の勾配に関係した関数ρ(r)を定義する。実際には、ここに現れる微分作用素L(∂/∂t,∂/∂r,∂/∂r)を求める必要がある。
2.円錐体を解析モデルとする、回転対称曲面上のマルチパス逆散乱理論
次に、上記した微分作用素を求める方法について説明する。図6および図7は、微分作用素を求める方法について説明するための解析モデルである。
本実施の形態にかかる解析モデルは、図6に示すように、映像化対象が直線状の母線を持つ円錐体60aであると仮定する。プローブ36は、円錐体60aの母線に沿ってライン状に移動する。また、プローブ36は、円錐体60aの頂点と円錐体60aの底面の中心とを通る軸を中心として回転移動もしてもよい。すなわち、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bは、少なくとも一方向から平面視したときに解析モデルとする円錐体60aの回転対象の軸と同一方向にライン状に移動しながら計測を行う。ここで、円錐体の回転対象の軸は、円錐体の頂点と円錐体の底面の中心とを結ぶ直線を指す。
詳細には、プローブ36の位置での円錐体60aの接平面80aを想定し、仮想的な接平面80aが回転し、全ての回転角度θに対して散乱波データが得られるものとする。このような円錐体60aの表面におけるモノチスタティックな時系列データから、円錐体60aの内部の3次元的な構造を再構成する。その理論を以下に説明する。
なお、本解析モデルでは、図6に示すように、円錐体60aの頂点を点O、円錐体60aの底面の円の中心を点O'とする。点Oから点O'に向かう方向をZ方向(Z軸方向)とする。また、点Oを通り円錐体60aの底面と平行な面を基準平面70aとする。基準平面70aにおける任意の一方向をX方向(X軸方向)、基準平面70aにおけるX方向と垂直な方向をY方向(Y軸方向)とする。
また、円錐体60aの底面において、X方向と平行な方向をX'方向(X'軸方向)、Y方向と平行な方向をY'方向(Y'軸方向)とする。
また、円錐体60aの側面において、プローブ36の位置で円錐体60aに接する平面を、接平面80aとする。この接平面80aと基準平面70aとが交差する交差線の一方向をx方向(x軸方向)とする。接平面80aにおいて、点Oから円錐体60aの底面に向かう方向をy方向(y軸方向)とする。また、x方向およびy方向に垂直な方向をz方向(z軸方向)とする。
また、基準平面70aにおいて、x軸はZ軸を中心に回転しているものとし、X軸とx軸との間の角をθとする。また、Z軸とz軸との間の角をαとする。
図7は、図6に示す円錐体60aの母線上を移動するプローブ36の軌跡を部分的に拡大した模式図である。
図7において、y軸上にモノスタティック座標yおよびy(y=y=y)を定義すると、以下のような再構成理論が成立する。なお、以下の理論では、接平面80a上において、x座標に関しては1点(x=0,y,y)のデータが得られる。
図7に示すように、プローブ36の点P(x,y,z)=(x,y,z)における送信アンテナ36aから放射した波動は、点Pで反射して、リニアアレイアンテナ36の点P(x,y,z)=P(x,y,z)における受信アンテナ36bで受信される。また、計測点P、Pは、リニアアレイアンテナ36が配置された任意直線上を動くと仮定する。
任意直線上ではr、rのx、y、z座標は、r=(x,y,z)、r=(x,y,z)と表される。このとき、関数Gは次の(式3)のように定義される。
Figure 0006752473
................(式3)
次に、関数G(r,ω)≡G(r,r,ω)が満たす方程式として、次の(式4)のような関数φを導入する。すなわち、点Pが領域全体を動くときPで受信される信号は、次の(式4)ように表すことができる。ここで、cは伝播速度、kは波数であり、波長をλとすると、ω=ck、k=2π/λの関係がある。なお、(式4)に示すφは、本発明における物体の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数(解)に相当する。ξ、η、ζは、図6および図7に示す点P(ξ,η,ζ)のx座標、y座標およびz座標である。なお、点P(ξ,η,ζ)は、領域中の任意の散乱点である。また、ベクトルrおよびベクトルrについて、r=r=r(x,y,z)が成り立つ。
Figure 0006752473
...........(式4)
ここで、時間の因子をexp(−iωt)に比例すると仮定する。上式の被積分項にあるカーネル関数をΦと置く。
Figure 0006752473
この式、及び、この式をξ、η、ζなどで微分および積分したものが解となる偏微分方程式を求める。そのためには、微分した結果生ずる1/ρに関して高次の項を無視して計算すればよい。
ここで、微分の略記法を、以下の(式5)ように定義する。
Figure 0006752473
............(式5)
この(式5)を用いてΦの各次数の微分を求めると、以下の(式6)のようになる。
Figure 0006752473
........(式6)
以下の式では、繁雑なo(*)の項は省略する。なお、*は任意の変数を意味する。2階微分に関する4つの式の和をとると、以下の(式7)のようになる。
Figure 0006752473
............(式7)
(式7)を整理すると、(式8)のようになる。
Figure 0006752473
............(式8)
この(式8)は定常状態を仮定して導かれたが、非定常の場合へ拡張することは容易である。(式8)を非定常の場合へ拡張するために、(式8)について次の(式9)のような変数の置換えをする。
Figure 0006752473
..........(式9)
こうして、最終的に次の(式10)に示す方程式を得る。なお、(式10)は、本発明における偏微分方程式に相当する。
Figure 0006752473
...................(式10)
(式10)において微分を積分核へ適用することにより、φもまた上記偏微分方程式を満たす。この方程式は、変数がt、x、y、zの4個からなる3次元の擬似波動方程式である。
この(式10)を、フーリエ変換を用いて解く。まず最初に、φをt、x、yについて多重フーリエ変換すると、以下の(式11)が得られる。
Figure 0006752473
..................(式11)
(式11)において、zに関する微分をDと書くと、以下の(式12)を得る。
Figure 0006752473
.........(式12)
ここで、ω=ckの関係を用いると、この方程式(式12)の2つの基本解は次のようになる。
Figure 0006752473
................(式13)
(式13)において、時間のファクターがe−iωtであること、および放射電波のパスで位相が加算されること、また、物体で反射した電波が測定面へ向かって跳ね返っていくことを考慮すると、Eが唯一の意味のある解となる。従って、次の(式14)が得られる。
Figure 0006752473
.......(式14)
これをフーリエ変換して、波動方程式(式10)の解φが次の(式15)のように求まる。
Figure 0006752473
.............(式15)
計測されるデータは、x=0にしかないから、次の(式16)が成り立つ。
Figure 0006752473
...............(式16)
これを、上式でz=0とおいたものへ適用すると、次の(式17)のようになる。
Figure 0006752473
.............(式17)
この(式17)の両辺を(x,y)でフーリエ変換すると、a(k,k,k)が次のように求まる。
Figure 0006752473
............(式18)
こうして、偏微分方程式の解φ(x,y,z,k)が得られる。
Figure 0006752473
..........(式19)
kに関する積分を遂行するために、次の(式20)のような変数変換を行う。
Figure 0006752473
........(式20)
次に、(式20)をkに関してフーリエ変換し、t=0を適用すると、(式21)に示すように、角度θにおける局所座標系での映像化関数ρ(r,θ)が求まる。
ここで、
Figure 0006752473
はθに依存するため、θ依存性を明示するために、
Figure 0006752473
のように書くことにする。
Figure 0006752473
..............(式21)
さらに、各θで得られた結果を積分することにより、(式22)に示す3次元再構成画像が得られる。
Figure 0006752473
...........(式22)
次に、接空間で計算された結果を全体座標(X,Y,Z)へ変換する。y軸の(X,Y)平面への射影をy'とすると、次の(式23)が成立する。
Figure 0006752473
............(式23)
さらに(x,y')から(X,Y)へ変換する式は、次の(式24)のようになる。
Figure 0006752473
.............(式24)
以上をまとめると、x、y、zは、次の(式25)のようになる。
Figure 0006752473
.............(式25)
この変換公式を、次の(式26)へ適用していく。
Figure 0006752473
............(式26)
さらに、スペクトラム領域で、次の(式27)に示す変数変換を行う。
なお、以下の(式27)および(式28)で使用する変数ξ、η、ζは、図7および(式22)等で使用したP点の座標(ξ,η,ζ)ではなく、変数変換のために新たに用いた変数である。
Figure 0006752473
.............(式27)
この逆変換は、次の(式28)で与えられる。
Figure 0006752473
.............(式28)
角度θにおける再構成関数は、次の(式29)のようになる。
Figure 0006752473
.............(式29)
ここで、k、k、kなどは、(式26)、(式28)のようにξ、η、ζの関数であるから、フーリエ変換だけを用いて、角度θの局所座標におけるデータを全体座標へ変換できる。
最後に角度θで積分して、(式30)に示すような再構成画像、すなわち、映像化関数が得られる。
Figure 0006752473
.............(式30)
この映像化関数により、物体の内部情報に関する画像を再構成することができる。
<検査装置により得られる再構成画像>
上記したマンモグラフィ装置1により再構成画像を得ることの効果について、説明する。
本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1は、特に、***中の欠陥組織の観測に有効である。
***における欠陥組織を観測する手段としては、従来から、X線、超音波またはMRIによる観測方法があるが、X線による観測では、X線は、有機組織の種別の判別がむずかしく、***中の欠陥組織の観測には適していないという問題がある。また、超音波による観測では、領域の大分部を占める脂質中での減衰が大きいため構成画像のS/Nの向上が難しく、***中の欠陥組織の観測には適していないという問題がある。また、MRIによる観測では、造影剤が必要であること、鮮明な構成画像が得られるが、構成画像のうちのどれが欠陥組織であるかの判断が難しいという点から、***中の欠陥組織の観測には適していないという問題がある。加えて、強磁場の発生は、超伝導コイルとその冷却システムとが必要であり、大型で高コストである。
これに対し、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1による観測では1〜10GHzのUWB(ウルトラワイドバンド)マイクロ波を用いる。マイクロ波は、生体、特に、脂質等に対してマイクロ波の減衰が極めて小さいため、***中の欠陥組織の観測に有効である。また、装置構成がMRIに比べると簡単であり、造影剤など他の物質も必要ないため、汎用的に用いることができる。さらに、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1では、上記した逆散乱理論を用い、マイクロ波のモノスタティック散乱波データを基にして、***などの生体内部の3次元的構成要素を映像化するため、生体の内部情報(構成)を汎用的かつ高速に映像化することができる。
なお、上記したマンモグラフィ装置1の確認実験の例としては、これまでのところ、例えば、ケースにアルミナボールを充填した生体モデルにおける観測、および、動物の***の観測を行っている。以下、観測結果について説明する。
図8は、実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置1を用いた計測実験のための実験モデルを示す概略図である。図9は、図8に示した実験モデルをマンモグラフィ装置で計測した計測結果を示す図である。
実験モデル100は、豚の***を想定し、図8の(a)および(b)に示すように、内径30cm、高さが10cm程度のプラスチック容器100a内に、直径が1mmで比誘電率が6のアルミナボール100bを充填し、さらに、アルミナボール100b内に埋め込むように、断面直径が5mmの水入りゴムホース100cを5本配置したものである。詳細には、図8の(b)における高さdはd=34mm、高さhはh=54.6mm、角度αはα=20°である。
測定条件の一例として、送信アンテナから送信するマイクロ波には、10GHz以下のマイクロ波を用いた。この場合、送信アンテナ36aおよび受信アンテナ36bは、実験モデル100に当接する部分の大きさが15mm×15mm程度の大きさのものを使用した。この条件の下で、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1により実験モデル100の観測を行ったところ、図9に示すように、実験モデル100に配置した5本の水入りゴムホース100cを観測することができた。また、図示を省略しているが、マイクロ波の周波数を変更することにより、深さ方向の観測位置を変更しながら観測を行うことができた。図9に示す観測結果では、表面からの深さが54mm程度のところで水入りゴムホース100cが観測された。図8のモデルに対してこの観測結果は妥当である。さらに、この観測結果から、上記したX線、超音波およびMRIによる観測で得られた画像よりも精度のよい再構成画像が得られることが確認できた。
以上より、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1は、特に、***中の欠陥組織の観測に有効である。
以上、本実施の形態に係るマンモグラフィ装置1によると、円錐体60aの母線に沿ってライン状にプローブ36を移動する解析モデルにおいて、逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで映像化関数を得ている。これにより、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1において、対象物10の内部情報を汎用的かつ高速に映像化することができる。
具体的な効果としては、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1は、波動としてマイクロ波を用いているので、X線を用いた観測方法と比較して、生体に放射したときに被爆の可能性がなく安全である。また、X線を用いた観測方法と比較して、画像化したときに癌組織と正常組織とのコントラスト比が大きいため、高感度かつ短時間で観測することができる。また、プローブを検査対象箇所に当接して観測を行うことができるので、装置の小型化および低コスト化を達成することができる。
また、ユーザすなわち医師等の診断者の主観や技量に左右されない画像解析を行うことができるため、診断者が異なる場合であっても正確に診断することができる。
また、検査対象箇所を圧迫することなくプローブを検査対象箇所に当接して観測を行うことができるので、患者の苦痛を伴うことなく、かつ、着衣のままで簡便に観測を行うことができる。
なお、上記の演算式、および、演算式の導出手順は、一例であって、別の演算式、および、別の導出手順が用いられてもよい。
また、本実施の形態では、波動としてマイクロ波を用いたが、マイクロ波に限らず、他の周波数帯域の電磁波であってもよいし、超音波であってもよい。また、本実施の形態では、マイクロ波を用いているため、所定の周波数を有する周期波を用いているが、波動として周期波に限らずパルス波を用いてもよい。
また、本実施の形態では、対象物として***を例に説明しているが、対象物は***に限らず、他の生体や物体、例えば、円錐状のコンクリート支柱などであってもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態に係るマンモグラフィ装置1の構成は、実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置1とほぼ同様であるが、実施の形態1に示した円錐体の解析モデルにおける円錐体の母線が曲線状であり、この曲線状の母線に沿って、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bが移動する点が実施の形態1に示したマンモグラフィ装置1と異なっている。したがって、本実施の形態に係るマンモグラフィ装置1の画像再構成部で行われる画像再構成アルゴリズムも、実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置1と異なっている。
実施の形態2に係るマンモグラフィ装置1では、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bは、一体となって対象物10のうち略円錐の曲線状の母線に相当する線に沿って移動される。ここで、略円錐とは、曲線状の母線を持つ円錐であり、略円錐の母線に相当する線とは、対象物10の形状を曲線状の母線を有する略円錐とみなしたとき、その略円錐の曲線状の母線に相当する線である。
以下、本実施の形態に係るマンモグラフィ装置1の画像再構成アルゴリズムについて説明する。
<画像再構成アルゴリズム>
図10および図11は、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。以下、図10および図11に示すモデルを解析モデルとして、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置の映像化関数の導出について説明する。
以下に説明する画像再構成アルゴリズム(理論)では、映像化対象(対象物10)が曲線状の母線を持つ円錐体、すなわち半球状またはドーム状の円錐体であると仮定する。この円錐体を解析モデルとして、当該母線上に波動の放射点(一の送信アンテナ素子36a)と受信点(一の受信アンテナ素子36b)を任意に設置する。すなわち、プローブ36が曲線状の母線を有する円錐体の母線上を移動するという解析モデルとする。なお、この画像再構成アルゴリズムは、放射点と受信点とが同じ位置であることを想定したモノスタティックな解析を行うものである。そして、放射点から放射された放射波を示す送信データと受信点で受信された散乱波を示す散乱波データとを用いて、映像化対象物の内部の情報を映像化する。
具体的には、本実施の形態にかかる解析モデルは、図10に示すように、映像化対象が曲線状の母線を持つ円錐体(略円錐体)60bであると仮定する。プローブ36は、円錐体60bの母線に沿って移動する。また、プローブ36は、円錐体60bの頂点と円錐体60bの底面の中心とを通る軸を中心として回転移動してもよい。すなわち、複数の送信アンテナ素子36aと複数の受信アンテナ素子36bとで構成されるプローブ36は、少なくとも一方向から平面視したときに解析モデルとする円錐体60bの回転対象の軸と同一方向にライン状に移動しながら計測を行う。ここで、円錐体の回転対象の軸は、円錐体の頂点と円錐体の底面の中心とを結ぶ直線を指す。
詳細には、プローブ36の位置での円錐体60bの接平面80bを想定し、仮想的な接平面80bが円錐体60bの頂点と円錐体60bの底面の中心とを通る軸を中心として回転し、全ての回転角度θに対して散乱波データが得られるものとする。このような円錐体60bの表面におけるモノスタティックな時系列データから、円錐体60bの内部の3次元的な構造を再構成する。その理論を以下に説明する。
なお、本解析モデルでは、図10に示すように、円錐体60bの頂点を点O、円錐体60bの底面の円の中心を点O'とする。点Oから点O'に向かう方向をZ方向(Z軸方向)とする。また、円錐体60bの側面において、ある位置で円錐体60bに接する平面を、接平面80bとする。この接平面80bがZ軸と交差する点を含み、円錐体60bの底面と平行な平面を基準面70bとする。基準平面70bにおける任意の一方向をX方向(X軸方向)、基準平面70bにおけるX方向と垂直な方向をY方向(Y軸方向)とする。
また、円錐体60bの底面において、X方向と平行な方向をX'方向(X'軸方向)、Y方向と平行な方向をY'方向(Y'軸方向)とする。
この接平面80bと基準平面70bとが交差する交差線の一方向をx方向(x軸方向)とする。接平面80bにおいて、点Oから円錐体60bの底面に向かう方向をy方向(y軸方向)とする。また、x方向およびy方向に垂直な方向をz方向(z軸方向)とする。
また、基準平面70bにおいて、x軸はZ軸を中心に回転しているものとし、X軸とx軸との間の角をθとする。また、Z軸とz軸との間の角をαとする。
図11は、図10に示す円錐体60bの母線上を移動するプローブ36の軌跡を部分的に拡大した模式図である。図11に示すように、x、y座標は対象物の表面に置き、z座標は対象物の表面の法線方向にとる。この解析モデルでは、プローブ36は、xyz空間において曲面状に移動する。
本実施の形態にかかる画像再構成アルゴリズムにおいては、実施の形態1に係るマンモグラフィ装置1と同様、はじめに映像化に必要なグリーン関数(再構成関数)を設定する。そして、この関数が解(関数)となる(t,x,y,z)4つの変数からなる3次元空間に関する偏微分方程式を構築する。そして、送信アンテナ素子36aから放射された送信データと受信アンテナ素子36bで受信された受信データ(散乱データ)とを境界条件としてこの偏微分方程式の厳密な映像化関数を求める。これにより、物体内部の情報を高品質かつ高速に映像化することができる。
具体的には、以下のとおりである。
1.散乱の逆問題とグリーン関数
図10により、点rから出た波動が点ξで反射して点rへ戻ってくる状況を考える。ここで、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1では、点rと点rとは同一の位置である。周波数ωが一定という条件で、波動の送信点rと受信点rがある拘束条件を満たしながら曲面(円錐体60bの側面)上を自由に動く。このとき得られるデータをG(r,r,ω)と書くと、この関数は領域内の反射点の分布に関係したものとなる。このとき、ωは角周波数=2πfである。G(r,r,ω)は、全ての点ξからの反射信号の和であり、領域内に多くの反射点があるので、G(r,r,ω)は、実施の形態1に示した(式1)と同様に考えることができる。
ただし、本実施の形態では、波動の送信点rと受信点rに課せられた拘束条件とは、rとrがある曲面上を動くものであり、かつ、rとrが略同一の位置(座標)であるという条件である。
この関数G(r,r,ω)を用いて散乱の逆問題の理論的構造を説明する。
2.曲線状の母線を持つ円錐体を解析モデルとする、回転対称曲面上のモノスタティック逆散乱理論
以下、この微分作用素を求める方法について述べる。本実施の形態に係る解析モデルでは、図10および図11に示したように、実施の形態1の解析モデルにおける円錐体の母線が曲線状であり、この曲線状の母線に沿って、送信アンテナおよび受信アンテナが移動する。そして、アンテナアレイが、Z軸を中心に回転移動もしてもよい。曲線状の母線の上ではr、rのx、y、z座標は、r=(x,y,z)(=(x,y,z))、r=(x,y,z)(=(x,y,z))と表される。
ここで、関数Gは、実施の形態1に示した(式3)と同様に定義され、r=(x,y,z)、r=(x,y,z)から関数G(r,r,ω)の満たす方程式を求める。関数G(r,r,ω)を満たす方程式として、次の(式31)のような関数φを導入する。なお、(式34)に示すφは、本発明における物体の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数(解)に相当する。
図11において、断面曲線S上の点Pで放射され、点Pで反射した後、点Pで受信される波動を考えると、関
Figure 0006752473
、次の(式31)ように書くことができる。なお、ベクトルrおよびベクトルrについて、r=r=r(x,y,z)が成り立つ。
Figure 0006752473
...............(式31)
ここで、時間の因子をexp−iωtに比例すると仮定し、波数をkとおく。また、上式の被積分項にあるカーネル関数をφ置く。
Figure 0006752473
..................(式32)
この式、及び、この式をξ、η、ζなどで微分および積分したものが解となる偏微分方程式を求める。そのためには、微分した結果生ずる1/ρに関して高次の項を無視して計算すればよい。
ここで、微分の略記法を、以下の(式33)のように定義する。
Figure 0006752473
.............(式33)
この(式33)を用いてΦの各次数の微分を求めると、以下の(式34)のようになる。
Figure 0006752473
...........(式34)
以下の式では、繁雑なo(*)の項は省略する。なお、*は任意の変数を意味する。2階微分に関する4つの式の和をとると、以下の(式35)のようになる。
Figure 0006752473
..............(式35)
従って、
Figure 0006752473
..............(式36)
さらに、式を整理することにより最終的に次の(式37)が得られる。なお、(式37)は、本発明における偏微分方程式に相当する。
Figure 0006752473
.............(式37)
φの時間の因子をexp−iωtに比例すると仮定して、(式37)の解を求めることにする。まず最初に、φをt、x、yについて多重フーリエ変換すると、以下の(式38)が得られる。
Figure 0006752473
..............(式38)
に関する偏微分をそれぞれ と書くと以下の式を得る。
Figure 0006752473
.......(式39)
この方程式を解くのであるが、ω=ckの関係を用いると、上記方程式の2つの基本解は以下の(式40)のようになる。
Figure 0006752473
.........(式40)
ここで、時間のファクターがe−iωtであること、放射電波のパスで移送が加算されること、および、物体で反射した電波が測定面へ向かって跳ね返っていくことを考慮すると、Eが唯一の意味のある解となる。したがって、(式37)の解は、逆フーリエ変換により、次の(式41)のように書くことができる。
Figure 0006752473
.........(式41)
xを固定した断面曲線Sの方程式を、次の(式42)のように仮定する。
Figure 0006752473
..(式42)
断面曲線S上で与えられる境界条件は、次の(式43)のようになる。
Figure 0006752473
....(式43)
ここで、積分方程式(式43)の解を求める。曲面上の点Pで測定された時系列データφ(x,y,z,t)をフーリエ変換した関数Φを次の(式44)ように書くことができる。
Figure 0006752473
..............(式44)
ここでz 次の式を満たす。
Figure 0006752473
..............(式45)
さらに、x=0以外ではデータが無いので、φは次のように書ける。
Figure 0006752473
..............(式46)
すると(式44)は次のようになる。
Figure 0006752473
..............(式47)
この(式47)の右辺には、kが含まれていない。しかし、ある角度θでのデータであることを考慮して、右辺を次の(式48)のような関数で表す。
Figure 0006752473
..............(式48)
この記号を用いると、次の(式49)が得られる。
Figure 0006752473
.............(式49)
(式49)を次の(式50)のように書き直す。
Figure 0006752473
..............(式50)
両辺のフーリエ変換をとると、次の(式51)が得られる。
Figure 0006752473
.......(式51)
これを積分すると、以下の様になる。
Figure 0006752473
..........(式52)
ここで、a(k,k,k)は、次の(式53)のように得られる。
Figure 0006752473
............(式53)
さらに、全てのIに関して和を求めると、次の(式54)が得られる。
Figure 0006752473
......(式54)
偏微分方程式(式37)の解は、次の(式55)のようになる。
Figure 0006752473
.........(式55)
これをさらに変形して、次の(式56)が得られる。
Figure 0006752473
..(式56)
各θで得られた結果を積分することにより、次の(式57)で示される3次元再構成画像が得られる。
Figure 0006752473
....(式57)
ここで、接空間で計算された結果を全体座標(X,Y,Z)へ変換する。y軸の(X,Y)平面への射影をy'とすると、次の(式58)が成立する。
Figure 0006752473
.........(式58)
さらに、(x,y')から(X,Y)へ変換する式は、次の(式59)のようになる。
Figure 0006752473
.............(式59)
この変換公式を、次の(式60)へ適用していく。
Figure 0006752473
...........(式60)
さらに、上述した式を整理すると、上の(式60)は、次の(式61)のようになる。
Figure 0006752473
..............(式61)
さらに、スペクトラム領域で次の(式62)に示す変数変換(逆変換)を行う。
なお、以下の(式62)および(式63)で使用する変数ξ、η、ζは、図10および(式31)等で使用したP点の座標(ξ,η,ζ)ではなく、変数変換のために新たに用いた変数である。
Figure 0006752473
..............(式62)
この逆変換は、次の(式63)で与えられる。
Figure 0006752473
..............(式63)
角度θにおける再構成関数は、次の(式64)のようになる。
Figure 0006752473
..............(式64)
ここで、被積分項に現れる関数は次の(式65)のようになる。
Figure 0006752473
..............(式65)
ここで、k、k、kは(式28)のようにξ、η、ζの関数であるから、フーリエ変換だけを用いて、角度θの局所座標におけるデータを全体座標へ変換できる。全体座標へ変換するには次の(式66)を用いる。つまり、最後に角度θで積分して、映像化関数が得られる。
Figure 0006752473
.............(式66)
この映像化関数により、対象物10の内部情報に関する画像を再構成する。したがって、対象物10の内部の欠陥等、対象物10の内部情報に関する画像を汎用的かつ高速に映像化することができる。また、画像を再構成するステップにおいて、関数φの設定は、3次元空間を対象に行われるので、曲率の大きい曲面を有する対象物10の内部情報をより精度よく高速に映像化することができる。
以上、本実施の形態に係るマンモグラフィ装置は、曲面状にプローブ36を移動する解析モデルにおいて逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、映像化関数を得ている。これにより、対象物である生体に放射した波動の散乱波を解析するマンモグラフィ装置において、曲率の大きい曲面を有する対象物の内部情報を、汎用的かつ高速に映像化することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置が実施の形態1に係るマンモグラフィ装置1と異なる点は、非対称の円錐状の形状を有する対象物を解析モデルとしている点である。
実施の形態3に係るマンモグラフィ装置1では、送信アンテナ素子36aおよび受信アンテナ素子36bは、一体となって対象物10のうち非対称の錐体の母線に相当する線に沿って移動される。ここで、非対称の錐体の母線に相当する線とは、対象物10の形状を非対称の錐体とみなしたとき、その錐体の母線に相当する線である。
生体を観測対象とする場合、生体の形状は、実施の形態1および2に示した解析モデルのように、回転対称の形状を有する円錐体または略円錐体の形状に一部は当てはまるものの完全には当てはまらない場合がある。このような場合に、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置1における解析モデルを用いてもよい。
以下、回転非対称の錐体を解析モデルとするマンモグラフィ装置について説明する。図12は、本実施の形態に係る散乱トモグラフィ方法の原理を説明するための解析モデルである。
本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置の画像再構成アルゴリズムは、実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置の画像再構成アルゴリズムとほぼ同様であるが、図2に示す解析モデルにおける角αが母線の回転角θに依存する点が実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置1と異なっている。つまり、対象物10は、回転非対称の錐体の形状を有しており、かつ、一部が欠けた形状をしている。
以下、画像再構成アルゴリズムにおいて実施の形態1にかかるマンモグラフィ装置1と異なる点のみ説明する。
実施の形態1に示した(式26)について、スペクトラム領域で変数変換を行う際の変数変換公式とその逆変換公式は、次の(式67)で表される。
Figure 0006752473
.............(式67)
角度θにおける再構成関数は、次の(式68)のようになる。
Figure 0006752473
.............(式68)
ここで、変数ξ、η、ζの関数であるため、角度θの局所座標におけるデータを全体座標へフーリエ変換だけを用いて変換することができる。最後に、角度θで積分することにより、以下の(式69)に示す再構成画像が得られる。
Figure 0006752473
.............(式69)
以上、本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置によると、観測対象である生体の形状が回転対称の形状を有する円錐体または略円錐体の形状に完全には当てはまらない場合であっても、逆問題用の偏微分方程式を設定し、これを解くことで、映像化関数を得ることができる。これにより、物体に放射した波動の散乱波を解析するマンモグラフィ装置において、対象物がフレキシブルであったり、完全な円錐体または略円錐体でない場合であっても、対象物の内部情報を、汎用的かつ高速に映像化することができる。
なお、上記した実施の形態では、実施の形態1に示した錐体の解析モデルの一部が欠けた解析モデルを一例として説明したが、実施の形態2に示した錐体の解析モデルの一部が欠けた解析モデルとしてもよい。この場合も、上述した本実施の形態にかかるマンモグラフィ装置の解析モデルにおける画像再構成アルゴリズムと同様、(式)について、スペクトラム領域で変数変換を行う際の変数変換公式とその逆変換公式を変更することにより映像化関数を得ることができる。
(変形例等)
以上、本発明に係る検査装置および検査方法として、マンモグラフィを例として、複数の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して当業者が思いつく変形を施して得られる形態、および、複数の実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
例えば、上述した実施の形態では、マンモグラフィを例として説明しているため、対象物として生体、具体的には***を例に説明しているが、対象物は***に限らず、他の生体の構造であってもよい。また、生体に限らず、生体以外の物体構造であってもよい。例えば、円錐状のコンクリート支柱などの構造物であってもよい。この場合、対象物の形状に適合した解析モデルを適宜構築してもよい。
また、本実施の形態では、波動としてマイクロ波を用いたが、マイクロ波に限らず、他の周波数帯域の電磁波または超音波であってもよい。また、本実施の形態では、マイクロ波を用いているため、所定の周波数を有する周期波を用いているが、波動として周期波に限らずパルス波を用いてもよい。
また、上記の演算式、および、演算式の導出手順は、一例であって、別の演算式、および、別の導出手順が用いられてもよい。
また、検査装置において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、検査装置において処理を実行する順番が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
また、本発明の検査装置における対象物の内部情報の観測ステップは、コンピュータによって実行されることとしてもよい。そして、本発明は、散乱トモグラフィ方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD−ROM等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
また、検査装置に含まれる複数の構成要素は、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらの構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSIまたはウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続および設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、マンモグラフィ装置に含まれる構成要素の集積回路化を行ってもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1−1. 対象物に対して放射した波動の散乱波を解析して前記対象物の内部状態を検査する検査方法であって、
前記対象物に当接して前記対象物に波動を放射する送信アンテナ素子によって、前記波動を前記対象物に放射するステップと、
前記送信アンテナ素子と一体に設けられ、前記対象物に当接して、前記送信アンテナ素子から送信された前記波動が前記対象物において散乱した散乱波を受信する受信アンテナ素子によって、前記散乱波を受信するステップと、
前記受信アンテナ素子により受信した散乱波を示す散乱波データから、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するステップとを含み、
前記画像を再構成するステップにおいて、
前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数を、前記対象物と同一の形状を有する3次元空間を対象としてあらかじめ設定し、
前記再構成関数の漸近式が満たす偏微分方程式を構築し、
前記散乱波データから、前記偏微分方程式を解くことにより得られる映像化関数を導出し、
前記映像化関数により、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する
検査方法。
1−2. 前記対象物は、円錐状の形状を有し、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物の円錐の母線に沿って移動される
1−1.に記載の検査方法。
1−3. 前記対象物は、曲線状の母線を有する略円錐状の形状を有し、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記曲線状の母線に沿って移動される
1−1.に記載の検査方法。
1−4. 前記対象物は、非対称の錐体の形状を有し、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記非対称の錐体の形状の母線に沿って移動する
1−1.に記載の検査方法。
1−5. 前記波動は、マイクロ波である
1−1.から1−4.のいずれか1つに記載の検査方法。
1−6. 前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波である
1−1.から1−4.のいずれか1つに記載の検査方法。
2−1. 対象物に対して放射した波動の散乱波を解析して前記対象物の内部状態を検査する検査装置であって、
前記対象物に当接し前記波動を前記対象物に放射する送信アンテナ素子と、
前記送信アンテナ素子と一体に設けられ、前記対象物に当接して前記送信アンテナ素子から放射された前記波動が前記対象物において散乱した散乱波を受信する受信アンテナ素子と、
前記受信アンテナ素子により受信した散乱波を示す散乱波データから、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する画像再構成部とを備え、
前記画像再構成部は、
前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数を、前記対象物と同一の形状を有する3次元空間を対象としてあらかじめ設定し、
前記再構成関数の漸近式が満たす偏微分方程式を構築し、
前記散乱波データから、前記偏微分方程式を解くことにより得られる映像化関数を導出し、
前記映像化関数により、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する
検査装置。
2−2. 前記対象物は、円錐状の形状を有し、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物の円錐の母線に沿って移動される
2−1.に記載の検査装置。
2−3. 前記対象物は、曲線状の母線を有する略円錐状の形状を有し、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記曲線状の母線に沿って移動される
2−1.に記載の検査装置。
2−4. 前記対象物は、非対称の錐体の形状を有し、
前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記非対称の錐体の形状の母線に沿って移動する
2−1.に記載の検査装置。
2−5. 前記波動は、マイクロ波である
2−1.から2−4.のいずれか1つに記載の検査装置。
2−6. 前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波である
2−1.から2−4.のいずれか1つに記載の検査装置。
本発明に係る検査装置および検査方法は、フレキシブルな形状を有する対象物に対する検査に有用であり、例えば、マンモグラフィ装置等の医療機器に適用可能である。
この出願は、2015年9月29日に出願された日本出願特願2015−192216号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (20)

  1. 波動を対象物に放射するステップと、
    前記波動が前記対象物において散乱した散乱波を受信するステップと、
    前記散乱波を示す散乱波データから、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するステップとを含み、
    前記画像を再構成するステップにおいて、
    前記散乱波データと形状を示す解析モデルとを用いて偏微分方程式を解くことにより、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数を導出し、
    前記再構成関数の時間変数の極限値である映像化関数を導出し、前記映像化関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成し、
    前記偏微分方程式は、
    前記再構成関数が満たす方程式であり、
    前記対象物内の互いに同一位置である送信点および受信点の位置を示す独立変数を用いて表され、
    前記独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、前記散乱波が生じている場の関数である散乱場関数が解となる線形偏微分方程式であり、
    前記放射するステップおよび前記受信するステップでは、前記対象物に前記波動を放射する送信アンテナ素子と前記散乱波を受信する受信アンテナ素子とが対をなして移動され、
    モノスタティックな散乱トモグラフィを利用する画像化方法。
  2. 前記解析モデルが示す形状は円錐であり、
    前記映像化関数は、以下の(式A)により表され、
    前記画像を再構成するステップでは、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式B)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する請求項1に記載の画像化方法。
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記円錐の頂点を原点とし、前記原点から前記円錐の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、φはφ(x,y,0,k)=φ(y,k)δ(x)が成り立つ関数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記円錐の軸を回転軸とする回転角度である。
  3. 前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち円錐の母線に相当する線に沿って移動される請求項3に記載の画像化方法。
  4. 前記解析モデルが示す形状は曲線状の母線を有する略円錐であり、
    前記映像化関数は、以下の(式C)により表され、
    前記画像を再構成するステップでは、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式D)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する請求項1に記載の画像化方法。
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記略円錐の頂点を原点とし、前記原点から前記略円錐の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、aθは係数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記略円錐の軸を回転軸とする回転角度である。
  5. 前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち略円錐の母線に相当する線に沿って移動される請求項5に記載の画像化方法。
  6. 前記解析モデルが示す形状は非対称の錐体であり、
    前記映像化関数は、ξ、η、およびζがそれぞれ以下の(式E)を満たす変数であるとき以下の(式F)により表され、
    前記画像を再構成するステップでは、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式G)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する請求項1に記載の画像化方法。
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記錐体の頂点を原点とし、前記原点から前記錐体の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、φはφ(x,y,0,k)=φ(y,k)δ(x)が成り立つ関数であり、aθは係数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記錐体の軸を回転軸とする回転角度であり、αは前記Z方向を基準とした傾き角度である。
  7. 前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち非対称の錐体の母線に相当する線に沿って移動される請求項7に記載の画像化方法。
  8. 前記放射するステップでは、前記受信アンテナ素子と前記送信アンテナ素子とが一体に設けられ、前記受信アンテナ素子と前記送信アンテナ素子との間に電波吸収手段が位置しているプローブを用いて前記波動を前記対象物に放射し、
    前記受信するステップでは、前記プローブを用いて前記散乱波を受信する請求項1および3〜8のいずれか一項に記載の画像化方法。
  9. 前記波動は、マイクロ波である
    請求項1および3〜9のいずれか1項に記載の画像化方法。
  10. 前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波である
    請求項1および3〜10のいずれか1項に記載の画像化方法。
  11. 波動を対象物に放射する送信アンテナ素子と、
    前記送信アンテナ素子から放射された前記波動が前記対象物において散乱した散乱波を受信する受信アンテナ素子と、
    前記受信アンテナ素子により受信した前記散乱波を示す散乱波データから、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する画像再構成部とを備え、
    前記画像再構成部は、
    前記散乱波データと形状を示す解析モデルとを用いて偏微分方程式を解くことにより、前記対象物の内部情報に関する画像を再構成するための再構成関数を導出し、
    前記再構成関数の時間変数の極限値である映像化関数を導出し、前記映像化関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成し、
    前記偏微分方程式は、
    前記再構成関数が満たす方程式であり、
    前記対象物内の互いに同一位置である送信点および受信点の位置を示す独立変数を用いて表され、
    前記独立変数の数と同一の次元を持つ空間における各点において、前記散乱波が生じている場の関数である散乱場関数が解となる線形偏微分方程式であり、
    前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子とが対をなして移動され、
    モノスタティックな散乱トモグラフィを利用する画像化装置。
  12. 前記解析モデルが示す形状は円錐であり、
    前記映像化関数は、以下の(式A)により表され、
    前記画像再構成部は、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式B)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する請求項12に記載の画像化装置。
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記円錐の頂点を原点とし、前記原点から前記円錐の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、φはφ(x,y,0,k)=φ(y,k)δ(x)が成り立つ関数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記円錐の軸を回転軸とする回転角度である。
  13. 前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち円錐の母線に相当する線に沿って移動される請求項14に記載の画像化装置。
  14. 前記解析モデルが示す形状は曲線状の母線を有する略円錐であり、
    前記映像化関数は、以下の(式C)により表され、
    前記画像再構成部は、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式D)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する請求項12に記載の画像化装置。
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記略円錐の頂点を原点とし、前記原点から前記略円錐の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、aθは係数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記略円錐の軸を回転軸とする回転角度である。
  15. 前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち略円錐の曲線状の母線に相当する線に沿って移動される請求項16に記載の画像化装置。
  16. 前記解析モデルが示す形状は非対称の錐体であり、
    前記映像化関数は、ξ、η、およびζがそれぞれ以下の(式E)を満たす変数であるとき以下の(式F)により表され、
    前記画像再構成部は、前記映像化関数をθで積分することにより得られる以下の(式G)により表される関数を用いて前記対象物の内部情報に関する画像を再構成する請求項12に記載の画像化装置。
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    Figure 0006752473
    ここで、xは前記送信点および前記受信点の位置のx座標であり、yは前記送信点および前記受信点の位置のy座標であり、zは前記送信点および前記受信点の位置のz座標であり、(X,Y,Z)は前記錐体の頂点を原点とし、前記原点から前記錐体の底面の中心に向かう方向をZ方向とし、前記底面に平行で前記原点を通る方向をX方向とし、前記底面に平行で前記原点を通り前記X方向と直交する方向をY方向としたときの座標であり、ρは誘電率の関数であり、φは前記再構成関数であり、φはφ(x,y,0,k)=φ(y,k)δ(x)が成り立つ関数であり、aθは係数であり、k、k、kは波数のx、y、z成分であり、kは時間の波数であり、θは前記錐体の軸を回転軸とする回転角度であり、αは前記Z方向を基準とした傾き角度である。
  17. 前記送信アンテナ素子および前記受信アンテナ素子は、一体となって前記対象物のうち非対称の錐体の母線に相当する線に沿って移動される請求項18に記載の画像化装置。
  18. 前記受信アンテナ素子と前記送信アンテナ素子とが一体に設けられたプローブをさらに備え、
    前記受信アンテナ素子と前記送信アンテナ素子との間には電波吸収手段が位置する請求項12および14〜19のいずれか一項に記載の画像化装置。
  19. 前記波動は、マイクロ波である
    請求項12および14〜20のいずれか1項に記載の画像化装置。
  20. 前記波動は、パルス波または所定の周波数を有する周期波である
    請求項12および14〜21のいずれか1項に記載の画像化装置。
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