JP6665421B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写シートに関する。
簡便な印刷方法として、種々の熱転写記録方法が広く使用されている。各熱転写記録方法では、基材上に色材層及び/又は保護層が設けられた熱転写シートが一般的に使用されている。熱転写記録方法は、加熱によって溶融軟化した色材層を熱転写受像シート上に移行させて熱転写画像を形成する熱溶融型記録方法と、加熱によって色材層中の昇華性染料を熱転写受像シートの受容層上に移行させて熱転写画像を形成する昇華型記録方法とに大別される。中でも、昇華型記録方法は、昇華性染料を色材としているため中間調の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
近時、プリンタの高速化に対する要求にともない、熱転写画像形成時に、サーマルヘッド等の加熱部材(以下、単に加熱部材と言う)により、熱転写シートにかけられる熱エネルギーは増加の一途をたどっている。ところで、熱転写シートの基材として、耐熱性の低い基材を用いた場合には、プリンタの高速化に対応すべく、加熱手段によりかけられる熱エネルギーを高くしていったときに、加熱部材と、耐熱性の低い基材とが熱融着を起こし基材が破損する問題や、形成される熱転写画像にシワが発生する問題を引き起こす。また、耐熱性の低い基材を用いることで、色材層や、保護層が熱ダメージを受けた場合には、色材層や、保護層の熱伝導性が低くなり、形成される熱転写画像において、光沢度の低下や、印画ムラ、印画シワの発生を引き起こす。
かかる問題に対し、例えば、特許文献1には、基材の他方の面上にポリアミドイミド樹脂組成物からなる背面層が設けられた熱転写シートが、また、特許文献2には、基材の他方の面上にポリアミドイミド樹脂、及び潤滑剤を含む背面層が設けられた熱転写シートが提案されている。しかしながら、これらの背面層は、熱可塑性樹脂を含有するものであり、その耐熱性には限界がある。したがって、一定以上の熱エネルギーがかけられた場合には、上記の問題を十分に解決することはできない。特に、背面層の耐熱性が十分でない場合には、熱転写画像形成時において、背面層が軟化し、基材の伸びを抑制することができず、基材が伸びてしまう、若しくは基材が破断等してしまい、印画シワを発生させる要因となる。したがって、熱転写シートの背面層には、加熱手段によりかけられる熱エネルギーを十分に高くしていった場合であっても、熱融着や、基材の伸びや破断等の発生を抑制できる十分な耐熱性を有していることが必要であるといえる。
また、印画シワ、印画ムラ、光沢度の低下等が抑制された品質の高い熱転写画像を形成するためには、上記背面層の耐熱性を向上させることに加え、背面層の滑性を良好なものとする必要がある。これは、背面層の滑性が低い場合には、熱転写画像の形成時において、加熱部材と背面層との摩擦係数が高くなり、背面層が加熱部材に溶融付着することによるスティッキングや、色材層や、保護層に破断が発生することによる。
滑剤を含有する背面層については種々の検討がなされており、背面層に含有されている代表的な滑剤として、リン酸エステル、金属石鹸、シリコーンオイル、シリコーン変性樹脂を挙げることができる。例えば、特許文献3には、リン酸エステルを含有している背面層を備える熱転写シートが提案されている。また、特許文献4には、金属石鹸、シリコーンオイル、シリコーン変性樹脂及びリン酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種を含有している背面層を備える熱転写シートが提案されている。また、特許文献5には、ポリアミドイミド樹脂とシリコーン変性ポリアミドイミド樹脂に加え、上記の代表的な滑剤にかえて、ホスホニトリル酸フェニルエステル系化合物を含有している背面層を備える熱転写シートが提案されている。
特開平8−113647号公報 特開平10−297124号公報 特開2009−56599号公報 特開2009−241556号公報 特開2007−307765号公報
しかしながら、滑性の向上を主眼とする背面層とした場合には、背面層の耐久性を十分に満足させることができず、一方で、耐熱性の向上を主眼とする背面層とした場合には、背面層の滑剤を十分に満足させることができていないのが現状である。背面層に、耐熱性に優れる樹脂と、滑剤とを併用して含有せしめることで、耐熱性、滑性の双方を満足させる試みもなされているが、より高い耐熱性や、滑性が要求される分野においては、これら双方を十分に満足させることができていない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、熱転写画像の形成時において、耐熱性と、滑性の双方を十分に満足させることができる熱転写シートを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面に色材層及び保護層の何れか一方又は双方が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、
前記背面層は、前記基材側から第1背面層、第2背面層がこの順で積層されてなる積層構成を呈しており、前記第1背面層は、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有しており、前記第2背面層は、滑剤、及びアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有しており、前記アクリル系ポリオール樹脂が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、分子中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であることを特徴とする。
上記の熱転写シートにおいて前記滑剤が、リン酸エステル、金属石鹸、タルク、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド、グラファイトパウダー、フッ素系グラフトポリマー、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの何れかであってもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面に色材層及び保護層の何れか一方又は双方が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、前記背面層は、前記基材側から第1背面層、第2背面層がこの順で積層されてなる積層構成を呈しており、前記第1背面層は、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有しており、前記第2背面層は、滑剤、及びアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有しており、前記滑剤が、リン酸エステル、金属石鹸、タルク、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド、グラファイトパウダー、フッ素系グラフトポリマー、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの何れかであることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面に色材層及び保護層の何れか一方又は双方が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、前記背面層は、前記基材側から第1背面層、第2背面層がこの順で積層されてなる積層構成を呈しており、前記第1背面層は、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有しており、前記第2背面層は、滑剤、アクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂、及びセルロースアセテートブチレート樹脂を含有していることを特徴とする。
また、前記第1背面層が含有している前記硬化型樹脂は、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、水酸基含有樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)が、0.8以上で硬化されてなる硬化型樹脂であってもよい。また、前記第2背面層が含有している前記硬化型アクリル系ポリオール樹脂は、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、前記アクリル系ポリオール樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)が、0.2以上1.0以下の範囲内で硬化されてなる硬化型アクリル系ポリオール樹脂であってもよい。
本発明の熱転写シートによれば、背面層の耐熱性、滑性の双方を十分に満足させることができ、形成される熱転写画像において印画シワ、印画ムラの発生、光沢度の低下を抑制することができる。
本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
<<熱転写シート>>
以下、本発明の一実施形態の熱転写シートについて図面を用いて具体的に説明する。なお、図1〜図3は、本発明の一実施形態の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
図1〜図3に示すように、本発明の一実施形態の熱転写シート10は、基材1の一方の面に色材層3及び/又は保護層4が設けられ、基材1の他方の面に背面層5が設けられている。また、背面層5は、基材1側から第1背面層5A、第2背面層5Bがこの順で積層されてなる積層構成を呈している。なお、図1は、基材1の一方の面に色材層3が設けられた熱転写シートの概略断面図であり、図2は、基材1の一方の面に保護層4が設けられた熱転写シートの概略断面図であり、図3は、基材1の一方の面に、色材層3と保護層4が面順次に設けられた熱転写シートの概略断面図である。そして、本発明の一実施形態の熱転写シート10は、第1背面層5Aが、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有しており、第2背面層5Bが、滑剤、及びアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有していることを特徴としている。本発明の熱転写シートは図示する形態に限定されるものではなく、例えば、図1、図3に示す熱転写シートにおいて、基材1と色材層3との間にプライマー層(図示しない)が設けられていてもよく、図2、3に示す熱転写シートにおいて、基材1と保護層4との間に、離型層(図示しない)が設けられていてもよい。また、色材層3が、色相の異なる複数の色材層(3Y、3M、3C)が面順次に設けられた構成をとっていてもよい。なお、プライマー層、離型層等は、本発明の熱転写シート10における任意の構成である。以下、熱転写シート10の各構成について具体的に説明する。
<基材>
基材1は、本発明の熱転写シート10における必須の構成であり、一方の面上に設けられる層(色材層3及び/又は保護層4)、及び他方の面上に設けられる背面層5(第1背面層5A)を保持するために設けられる。基材1の材料については特に限定されないが、色材層3及び/又は保護層4を被転写体上に転写する際にサーマルヘッド等の加熱部材により加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材1の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2〜100μm程度が一般的で、好ましくは1〜10μmである。
また、基材1の一方の面に接着処理が施されていても良い。接着処理を施すことで、基材1と色材層3、或いは保護層4との密着性を向上させることができる。
接着処理としては、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を2種以上併用することもできる。また、基材に接着処理を施すことにかえて、基材1と色材層3との間に、プライマー層(下引き層という場合もある。)を設けてもよい。また、接着処理が施された基材と、色材層3との間にプライマー層を設けてもよい。
<背面層>
図示するように基材1の他方の面(図1〜図3に示す場合には基材1の下面)には、背面層5が設けられている。本発明の一実施形態の熱転写シート10は、背面層5が、基材1側から第1背面層5A、第2背面層5Bがこの順で積層されてなる積層構成を呈している。そして、本発明の一実施形態の熱転写シート10は、耐熱性の向上の役割を第1背面層5Aに付与し、また、滑性の向上の役割を第2背面層5Bに付与し、これにより、背面層5全体としての耐熱性、滑性の向上を図っている。以下、第1背面層5A、第2背面層5Bについて説明する。
「第1背面層」
第1背面層5Aは、背面層5の耐熱性の向上、及び第2背面層5Bとの密着性の向上を主眼として設けられる層であり、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有している。換言すれば、第1背面層5Aは、少なくとも、水酸基含有樹脂と、イソシアネート系硬化剤を含む組成物からなる。この第1背面層5Aによれば、硬化型樹脂の存在によって当該第1背面層5Aの耐熱性を極めて良好なものとすることができ、結果的に、第1背面層5Aを含む背面層5全体の耐熱性を向上させることができる。第1背面層5Aは、硬化型樹脂として、1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
硬化型樹脂をなす水酸基含有樹脂について特に限定はなく、水酸基の反応性基を有しているとの条件を満たす樹脂であればよい。水酸基含有樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂、ウレタンポリオール樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。中でも、硬化型樹脂をなす水酸基含有樹脂として、分子中にビニル基と水酸基を有する水酸基含有樹脂、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂を好ましく使用することができる。特に、ポリビニルアセタール樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有する第1背面層5Aとした場合には、他の水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有する第1背面層5Aよりも、第1背面層5Aの耐久性のさらなる向上を図ることができる点で、分子中にビニル基と水酸基を有する水酸基含有樹脂、特には、ポリビニルアセタール樹脂が、好ましい水酸基含有樹脂であると言える。
イソシアネート系硬化剤は、水酸基含有樹脂を、その水酸基を利用して架橋させるものである。イソシアネート系硬化剤について特に限定はないが、ポリイソシアネート樹脂を好ましく使用することができる。ポリイソシアネート樹脂としては、従来種々のものが知られているが、そのうち芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン、1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
なお、第1背面層5Aは、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有している点を特徴とするものであり、この硬化型樹脂にかえて、各種の金属キレート、例えば、チタンキレート剤、アルミニウムキレート剤、ジルコニウムキレート剤等を用いて硬化させた硬化型樹脂を用いた場合には、耐熱性を十分に満足させることができない。例えば、水酸基含有樹脂の1つである、ポリビニルアルコール樹脂を、金属キレート剤を用いて硬化させた硬化型樹脂を含有する層は、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型を含有する第1背面層5Aと比較して、その耐熱性は低いものとなる。このメカニズムは現在のところ明らかになっていないが、少なくともイソシアネート系硬化剤が、耐熱性の向上に寄与していることは、後述する実施例、比較例の結果からも明らかとなっている。
第1背面層5Aは、耐熱性の向上の役割に加え、後述する第2背面層5Bとの密着性を良好なものとする所謂プライマー層としての機能を兼ね備える。つまり、本発明は、第1背面層5Aに耐久性を向上させる役割を付与し、第2背面層5Bに滑性を向上させる役割を付与することのみならず、さらに、第1背面層5Aと第2背面層5Bとを強固に密着せしめている点を特徴としている。これにより、背面層5全体としての耐久性、滑性の向上を図りつつも、さらに熱転写画像の形成時において層間密着性が低いことにより生じ得る基材の伸びや、破断を抑制することができる。なお、基材1と第2背面層5Bとの間に、耐久性に優れる層を設けた場合であっても、当該層と、第2背面層5Bとの密着性が十分でない場合には、基材の伸びや、破断を十分に抑制することができず、形成される熱転写画像に印画シワが生じやすくなる。
第1背面層5Aが、後述する第2背面層5Bとの密着性に優れるメカニズムは現在のところ明らかとはなっていないが、後述するように、第2背面層5Bは、アクリル系ポリオール樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有していることから、第2背面層5Bが含有している硬化型アクリル系ポリオール樹脂の分子中に含まれる未反応の水酸基と、第1背面層5Aが含有している未反応のイソシアネート系硬化剤のイソシアネート基とが結合している、或いは、第1背面層5Aの水酸基含有樹脂の水酸基と、第2背面層5Bのアクリル系ポリオール樹脂の水酸基が、イソシアネート基を介して結合されることで、第1背面層5Aと、第2背面層5Bとの密着性が向上しているものと推察される。このメカニズムによらないとしても、第1背面層5Aの第2背面層5Bとの密着性は良好なものとなっている。
第1背面層5Aは、数平均分子量(Mn)が20000以上の水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化してなる硬化型樹脂を含有していることが好ましい。この第1背面層5Aによれば、当該第1背面層5Aの耐熱性のさらなる向上を図ることができる。なお、水酸基含有樹脂の数平均分子量(Mn)とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算による数平均分子量を意味する。
また、第1背面層5Aは、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上の水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化してなる硬化型樹脂を含有していることが好ましい。この第1背面層5Aによれば、当該第1背面層5Aの耐熱性のさらなる向上を図ることができる。なお、水酸基含有樹脂のガラス転移温度(Tg)とは、DSC(示差走査熱量測定)による熱量変化の測定(DSC法)に基づき求められる温度を意味する。
特には、第1背面層5Aは、数平均分子量(Mn)が30000以上であって、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上の水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化してなる硬化型樹脂を含有していることが好ましい。
第1背面層5Aが含有している硬化型樹脂の硬化の度合について特に限定はないが、硬化型樹脂の硬化の度合が低い場合には、耐熱性が低くなっていく傾向にあり、具体的には、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、水酸基含有樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)が、0.8を下回るにつれ、第1背面層5Aに付与される耐熱性は低下していく傾向にある。したがって、第1背面層5Aは、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、水酸基含有樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)が、0.8以上で硬化されてなる硬化型樹脂を含有していることが好ましい。上限値について特に限定はないが、モル当量比(―NCO/−OH)が、2.0を超えてもそれ以上の耐熱性の向上を見込むことはできない点などを考慮すると、好ましい上限値は2.0程度である。
イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、水酸基含有樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)は、以下の(1)で算出される値を、以下の(2)で算出される値で除した値((1)/(2))である。
(イソシアネート系硬化剤の配合量(固形分)×(イソシアネート系硬化剤全体の質量に対する−NCO基の質量の割合))/42・・・(1)
(水酸基含有樹脂の配合量(固形分)×(水酸基価%/100))/水酸基を有するモノマー成分の分子量・・・(2)
第1背面層5Aは、上記硬化型樹脂とともに、他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、これらのシリコーン変性物等を挙げることができる。
また、第1背面層5Aは、帯電防止剤等の任意の添加材を含有していてもよい。帯電防止剤としては、例えば、酸化スズ等の金属酸化物の微粉末や、スルホン化ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等のπ電子共役系構造を有する導電性材料を挙げることができる。
第1背面層5Aにリン酸エステルを含有せしめることで、当該第1背面層5Aを形成性する際の、水酸基含有樹脂と、イソシアネート系硬化剤との硬化の進行を促進させることができる。リン酸エステルの好ましい含有量は、第1背面層5Aの固形分総量に対し、1.0質量%以上5.0質量%以下である。
第1背面層5Aは、上記のように他の樹脂や、任意の添加材を含有していてもよいが、第1背面層5Aの固形分総量に対する上記硬化型樹脂の含有量が、50質量%を下回るにつれ、第1背面層5Aの耐久性は低下していく傾向にある。特に、本発明では、第1背面層5Aに耐熱性の役割を付与し、後述する第2背面層5Bに滑性の役割を付与するものであり、第1背面層5Aには、背面層の滑性を向上させるための樹脂や、滑剤等の任意の成分を含有せしめることを要することなく、広い範囲で、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有させることができる。これらの点を考慮すると、第1背面層5Aは、上記硬化型樹脂を、第1背面層5Aの固形分総量に対し、50質量%を超える範囲で含有していることが好ましい。上限値について特に限定はなく100質量%である。
第1背面層5Aの厚みについて特に限定はないが、第1背面層5Aの厚みを0.1μm未満とした場合には、第1背面層5Aを含む背面層5全体の耐熱性が低下していく傾向にある。したがって、この点を考慮すると、第1背面層5Aの厚みは、0.1μm以上であることが好ましい。上限値について特に限定はないが、1.0μm程度である。
第1背面層5Aの形成方法について特に限定はなく、水酸基含有樹脂、イソシアネート系硬化剤、必要に応じて添加される任意の成分を適当な溶媒に分散又は溶解させた第1背面層用塗工液を、基材1上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。
「第2背面層」
第2背面層5Bは、熱転写シートの他方の面側の最表面に位置し、上記第1背面層5Aとともに背面層5を構成する層である。そして、第2背面層5Bは、背面層5の滑性の向上を主眼として、滑剤と、アクリル系ポリオール樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有している。換言すれば、第2背面層5Bは、少なくとも、滑剤と、アクリル系ポリオール樹脂と、イソシアネート系硬化剤を含む組成物からなる。第2背面層5Bは、硬化型アクリル系ポリオール樹脂として、1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
(硬化型アクリル系ポリオール樹脂)
第2背面層5Bは、必須のバインダー樹脂として、アクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有している。硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する第2背面層5Bによれば、滑剤との相乗効果によって、背面層5全体の滑性を良好なものとすることができ、熱転写画像形成時における光沢度の低下や、印画ムラの発生を抑制することができる。つまり、第2背面層5Bは、従来の熱転写シートの背面層のごとく、滑剤の働きによってのみ背面層の滑性を向上させているのではなく、硬化型アクリル系ポリオール樹脂の働きと、滑剤の働きの相乗効果によって背面層の滑性を向上させている点を特徴としている。特に、硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有している第2背面層5Bによれば、中階調領域の画像形成時における滑性を良好なものとすることができ、例えば、グレー画像の形成時における印画ムラの発生を抑制することができる。
硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有する第2背面層5Bとすることで、上記の効果を奏するメカニズムは、現在のところ明らかとはなっていないが、上記特徴の第2背面層5Bにかえて、第1背面層5A上に、滑剤と、未硬化のアクリル系ポリオール樹脂を含有する背面層を設けた場合には、背面層の滑性を十分に満足させることができない。また、上記特徴の第2背面層5Bにかえて、第1背面層5A上に、滑剤と、アクリル系ポリオール樹脂以外の樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有する背面層を設けた場合にも、背面層の滑性を十分に満足させることができない。また、上記で説明した第1背面層5Aに含有されている硬化型樹脂と、滑剤を含有する層を、熱転写シートの最表面に位置させた場合であっても、背面層の滑性を十分に満足させることはできない。
硬化型アクリル系ポリオール樹脂をなすアクリル系ポリオール樹脂とは、水酸基を有するアクリル系樹脂を意味し、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを1種又は2種以上と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを1種又は2種以上と、更に必要に応じ、スチレン等のその他の重合性モノマー1種又は2種以上とを共重合させて得られるアクリル系ポリオール樹脂を挙げることができる。具体例としては、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
上記のアクリル系ポリオール樹脂を硬化せしめるための硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤や、チタンキレート剤、ジルコニウムキレート剤、アルミニウムキレート剤などの金属キレート剤を挙げることができる。イソシアネート系硬化剤は、上記第1背面層5Aで説明したイソシアネート系硬化剤をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
上記硬化型アクリル系ポリオール樹脂を得るためのアクリル系ポリオール樹脂のガラス転移温度(Tg)について特に限定はないが、第2背面層5Bは、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上120℃以下のアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有していることが好ましい。この第2背面層5Bによれば、ガラス転移温度(Tg)が80℃未満、或いは120℃を超えるアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有している第2背面層5Bと比較して、中階調領域の画像形成時における滑性が特に良好となる。なお、本願明細書で言うアクリル系ポリオール樹脂のガラス転移温度(Tg)とは、Foxの理論計算式に基づき求められる温度(ケルビン(K))を、摂氏(℃)換算したものである。
硬化型アクリル系ポリオール樹脂とするためのアクリル系ポリオール樹脂の分子量について特に限定はないが、重量平均分子量(Mw)が30000以上150000以下のアクリル系ポリオール樹脂を用いることが好ましい。第2背面層5Bに、重量平均分子量(Mw)がこの範囲のアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有せしめることで、第2背面層5Bに十分な耐熱性を付与することができる。また、後述する滑剤の働きを十分に引き出すことができる。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値を意味する。
硬化型アクリル系ポリオール樹脂とするためのアクリル系ポリオール樹脂の水酸基価について特に限定はないが、水酸基価が、10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下のアクリル系ポリオール樹脂を用いることが好ましい。第2背面層5Bに、水酸基価がこの範囲のアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有せしめることで、第2背面層5Bに十分な耐熱性を付与しつつも、後述する滑剤成分の働きを十分に引き出すことができる最適な架橋構造形態をとる硬化型アクリル系ポリオール樹脂とすることができる。なお、本願明細書において、アクリル系ポリオール樹脂の「水酸基価」とは、アクリル系ポリオール樹脂1g中に含まれる水酸基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数を意味する。水酸基価は、アクリル系ポリオール樹脂を、無水酢酸を含むピリジン溶液とし、水酸基をアセチル化させ、過剰のアセチル化試薬を水によって加水分解し、生成した酢酸を水酸化カリウムで滴定を行うことで求めることができる。
第2背面層5Bが含有している硬化型アクリル系ポリオール樹脂の硬化の度合について特に限定はないが、第2背面層5Bが含有している硬化型アクリル系ポリオール樹脂の分子中に未反応の水酸基が多く含まれている場合、すなわち、第2背面層5Bが、硬化の度合いの低い硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有している場合には、その硬化の度合いによっては、第2背面層5Bを含む背面層5の滑性は低くなる傾向にある。一方で、第2背面層5Bが含有している硬化型アクリル系ポリオール樹脂の分子中に未反応の水酸基が殆ど含まれていない場合、すなわち、第2背面層5Bが、硬化の度合いの高い硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有している場合には、その硬化の度合いによっては、第2背面層5Bを含む背面層5の滑性は低くなる傾向にある。したがって、第2背面層5Bは、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、アクリル系ポリオール樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)が、0.2以上1.0以下の範囲で硬化されてなる硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有していることが好ましい。なお、アクリル系ポリオール樹脂の硬化の度合が高くなることで、滑性が低くなるメカニズムについては明らかではないが、硬化の度合いを高めるにつれて、第2背面層5Bの柔軟性が低下していき、この柔軟性の低下に起因して、第2背面層5Bの滑性が低くなっていくものと推察される。
硬化型アクリル系ポリオール樹脂の含有量について特に限定はないが、第2背面層5Bの固形分総量に対する硬化型アクリル系ポリオール樹脂の含有量が50質量%を下回るにつれて、第2背面層5Bを含む背面層5の滑性は低くなっていく傾向にある。一方で、90質量%を超えると、その分、後述する滑剤の含有量が少なくなり、第2背面層5Bの滑性が低下していく傾向にある。したがって、硬化型アクリル系ポリオール樹脂は、第2背面層5Bの固形分総量に対し50質量%より多く90質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
特に、本発明では、第1背面層5Aに耐熱性の役割を付与し、第2背面層5Bに滑性の役割を付与するものであり、第2背面層5Bには、耐久性を向上させるための樹脂、例えば、上記第1背面層5Aで説明した硬化型樹脂や、任意の成分を含有せしめることを要することなく、広い範囲で、アクリル系ポリオール樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有させることができる。
好ましい形態の第2背面層5Bは、滑剤、上記硬化型アクリル系ポリオール樹脂とともに、任意のバインダー樹脂として、セルロースアセテートブチレート(CAB)樹脂を含有している。滑剤、硬化型アクリル系ポリオール樹脂とともに、セルロースアセテートブチレート樹脂を含有する第2背面層5Bによれば、バインダー樹脂として、硬化型アクリル系ポリオール樹脂のみを含有する第2背面層5Bや、硬化型アクリル系ポリオール樹脂と、セルロースアセテートブチレート樹脂以外のバインダー樹脂とを含有する第2背面層5Bと比較して、色材層の色材が第2背面層5B側に移行するキックの発生を抑制することができる。
セルロースアセテートブチレート樹脂の含有量について特に限定はなく、上記硬化型アクリル系ポリオール樹脂や、後述する滑剤の含有量を妨げない範囲で適宜設定することができる。好ましくは、第2背面層5Bの固形分総量に対し、10質量%以上30質量%以下である。
また、第2背面層5Bは、硬化型アクリル系ポリオール樹脂、上記セルロースアセテートブチレート樹脂とともに、他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、上記第1背面層5Aで説明したものを挙げることができる。
(滑剤)
第2背面層5Bは、上記硬化型アクリル系ポリオール樹脂とともに、滑剤を含有している。滑剤について特に限定はなく、例えば、リン酸エステル、アルキルリン酸エステルの多価金属塩、金属石鹸、タルク、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド、グラファイトパウダー、フッ素系グラフトポリマー、シリコーンオイル、シリコーン系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体や、後述するグリセリン脂肪酸エステルや、ポリグリセリン脂肪酸エステルを挙げることができる。
金属石鹸としては、例えば、脂肪酸の多価金属塩、アルキルカルボン酸の金属塩、より具体的には、ステアリルリン酸亜鉛や、ステアリン酸亜鉛等を挙げることができる。
リン酸エステルとしては、例えば、(1)炭素数6〜20の飽和又は不飽和高級アルコールのリン酸モノエステル又はジエステル、(2)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテルのリン酸モノエステル又はジエステル、(3)上記飽和又は不飽和高級アルコールのアルキレンオキシド付加物(平均付加モル数1〜8)のリン酸モノエステル又はジエステル、(4)炭素数8〜12のアルキル基を有するアルキルフェノール又はアルキルナフトールのリン酸モノエステル又はジエステル等が挙げられる。上記(1)及び(3)における飽和又は不飽和高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。上記(3)におけるアルキルフェノールとしては、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ジフェニルフェノール等が挙げられる。
脂肪酸アマイドとしては、エチレンビスオレイン酸アマイドや、メチレンビスステアリン酸アマイド、ステアリン酸アマイド等を挙げることができる。
グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと脂肪酸とのエステル化物である。グリセリン脂肪酸エステルについて特に限定はなく、グリセリンモノ脂肪酸エステル(モノアシルグリセロールと称される場合もある。)、グリセリンジ脂肪酸エステル(ジアシルグリセロールと称される場合もある。)、グリセリントリ脂肪酸エステル(トリアシルグリセロールと称される場合もある。)のいずれであってもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの多量体と脂肪酸とのエステル化物である。好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルは、分子内に2〜10のグリセリン単位を含み、その一部の水酸基が脂肪酸とエステルを形成している。
グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルに含まれる脂肪酸残基としては、ラウリン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、イソステアリン酸残基、オレイン酸残基、カプリル酸残基、ミリスチン酸残基、ベヘン酸残基等を挙げることができる。また、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、1分子中に異なる脂肪酸残基を含んでいてもよい。
グリセリン脂肪酸エステルの具体的な例としては、モノラウリン酸グリセロール、モノパルミチン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノベヘン酸グリセロール、モノカプリル酸グリセロール、モノミリスチン酸グリセロール、ジラウリン酸グリセロール、ジパルミチン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、ジベヘン酸グリセロール、ジカプリル酸グリセロール、ジミリスチン酸グリセロール、トリラウリン酸グリセロール、トリパルミチン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、トリベヘン酸グリセロール、トリカプリル酸グリセロール、トリミリスチン酸グリセロール等を挙げることができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体的な例としては、ジグリセリントリイソステアレート、ジグリセリンテトライソステアレート、テトラグリセリンペンタオレート、ヘキサグリセリンペンタオレート、デカグリセリンノナイソステアレート、デカグリセリンデカオレート、デカグリセリンオクタエルケート、デカグリセリンヘプタオレート等を挙げることができる。
滑剤の含有量について特に限定はないが、第2背面層5Bの固形分総量に対する滑剤の含有量が5質量%未満である場合には、第2背面層5Bの固形分総量に対する硬化型アクリル系ポリオール樹脂の含有量が50質量%を超える場合であっても、第2背面層5Bの滑性が低下していく傾向にあり、一方、滑剤の含有量が40質量%を超えると、滑剤のカスがサーマルヘッド等の加熱部材へ付着しやすくなり、印画不良を引き起こす可能性がある。このような点を考慮すると、滑剤の含有量は、第2背面層5Bの固形分総量に対し、5質量%以上40質量%以下の範囲内であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。
以下、第2背面層5Bの好ましい滑剤の形態について説明する。好ましい形態の第2背面層5Bは、滑剤として、グリセリン脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルの何れか一方、又は双方を含有している。以下、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを総称して、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルという場合がある。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを含有している第2背面層5Bとすることで、硬化型アクリル系ポリオール樹脂による良好な滑性と相俟って、特に、低階調領域や、中階調領域における滑性を特に良好なものとすることができる。
また、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、従来公知の滑材と比較して、色材層の色材に染まりにくい特徴を有する。したがって、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを含有する第2背面層5Bとすることで、熱転写シートを色材層3と第2背面層5Bとが対向するように巻き取っていったときに、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルとは異なる滑剤を含有している第2背面層5Bと比較して、色材層3の色材が第2背面層5B側に移行するキックの発生を抑制することができる。
また、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、中性の滑剤成分であるとともに、酸性の滑剤成分であるリン酸エステル等を用いなくとも、第2背面層5Bに良好な滑性を付与することができる。したがって、第2背面層5Bに、酸性の滑剤成分を実質的に含有させない形態とすることでサーマルヘッドの発熱体の腐食を抑制することができる。なお、酸性の滑剤成分を実質的に含有していないとは、第2背面層5Bの固形分総量に対する、酸性の滑剤成分の含有量が0.1質量%未満であることを意味する。また、本願明細書で言う、酸性の滑剤成分とは、酸価が50以上の滑剤成分のことを意味する。第2背面層5Bが、酸価が50以上の滑剤成分を含有している場合には、サーマルヘッドの発熱体が腐食摩耗されてしまう。酸価が50以上の滑剤成分としては、例えば、リン酸エステル等を挙げることができる。また、酸価とは、滑剤成分1g中に含有する酸性基をすべて中和するのに必要なKOHのmg数を意味する。
また、第2背面層5Bは、融点が25℃以下の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを含有していることが好ましい。融点が25℃以下の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを含有する第2背面層5Bとした場合には、常温下において、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを、当該第2背面層5B中に液体の状態で存在させることができ、キックの発生の抑制効果を高めることができる。その抑制の度合いは、融点が25℃を超える(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルや、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル以外の滑剤を含有する第2背面層5Bよりも高いものとなる。なお、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルの融点は、JIS K 0064(1992)に準拠して測定された融点である。後述する固体滑剤の融点についても同様である。
融点が25℃以下の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、トリオレイン酸グリセロール、トリカプリル酸グリセロール、トリ(オレイン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)グリセロール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセロール等を挙げることができる。ジグリセリントリイソステアレート、ジグリセリンテトライソステアレート、テトラグリセリンペンタオレート、ヘキサグリセリンペンタオレート、デカグリセリンノナイソステアレート、デカグリセリンデカオレート、デカグリセリンオクタエルケート、デカグリセリンヘプタオレート等を挙げることができる。
また、上記好ましい形態の第2背面層5Bにおいて、当該第2背面層5Bが含有している(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルに含まれる脂肪酸残基は、その炭素鎖長が長いほど、炭素鎖数が短い脂肪酸残基を含む(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルよりも、低階調領域や、中階調領域の画像形成時における第2背面層5Bの滑性や、キック発生の抑制効果が向上する傾向にある。したがって、第2背面層5Bが含有している(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルには炭素鎖長が長い脂肪酸残基が含まれていることが好ましく、具体的には、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、炭素鎖長が18以上の脂肪酸残基を含んでいることが好ましい。より具体的には、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸残基として、ステアリン酸残基、イソステアリン酸残基、オレイン酸残基、エルカ酸残基等を含んでいることが好ましい。
好ましい形態の第2背面層5Bにおいて、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルの含有量について特に限定はないが、第2背面層5Bの固形分総量に対する(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルの(合計)質量が、2質量%未満である場合には、低階調領域の画像形成時における第2背面層5Bを含む背面層5の滑性が低下していく傾向にある。一方、20質量%を超えると、低階調領域の画像形成時における第2背面層5Bを含む背面層5の滑性、及びキックの抑制効果のそれ以上の向上を見込むことができず、また、その分、上記の硬化型アクリル系ポリオール樹脂の含有量が低下していき、第2背面層5Bを含む背面層5の滑性が低下していく傾向にある。したがって、この点を考慮すると、好ましい形態の第2背面層5Bは、当該第2背面層5Bの固形分総量に対し、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルを、2質量%以上20質量%以下の範囲で含有していることが好ましい。
特に好ましい形態の第2背面層5Bは、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルとともに、融点が80℃以上の固体滑剤を含有している。(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルとともに、融点が80℃以上の固体滑剤を含有している第2背面層5Bとすることで、低階調領域、中階調領域のみならず、高階調領域の画像形成時における背面層5の滑性を良好なものとすることができる。
融点が80℃以上の固体滑剤としては、金属石鹸や、脂肪酸誘導体である脂肪酸アマイド等が好ましい。
これらの固体滑剤は、第2背面層5Bの滑性の向上を図ることができるものの、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルと比較して、色材層の色材に染色されやすく、第2背面層5Bの固形分総量に対し、融点が80℃以上の固体滑剤の含有量が15質量%を超えると、キックの発生の抑制効果が低下していく傾向にある。したがって、背面層5の滑性の向上に加えて、キック発生の抑制を目的とする場合には、第2背面層5Bの固形分総量に対する融点が80℃以上の固体滑剤の含有量は15質量%以下であることが好ましく、また、高階調領域の画像形成時における背面層の滑性の点からは、1質量%以上であることが好ましい。
第2背面層5Bの厚みについて特に限定はないが、0.5μm未満である場合には、第2背面層5Bが固体滑剤を含有している場合に、その滑剤の大きさ等によっては当該滑剤の脱落等が懸念される。この点を考慮すると、第2背面層5Bの厚みは0.5μm以上であることが好ましい。上限値について特に限定はないが、2μm程度である。
第2背面層5Bの形成方法について特に限定はなく、アクリル系ポリオール樹脂、イソシアネート系硬化剤、滑剤、必要に応じて添加される任意の成分を適当な溶媒に分散又は溶解させた第2背面層用塗工液を、第1背面層5A上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。
上記一実施形態の熱転写シートによる上記の効果は、基材側から第1背面層5A、第2背面層5Bをこの順で積層することで発揮される効果であり、基材側から第2背面層5B、第1背面層5Aをこの順で積層した場合には、本発明の上記一実施形態の効果を奏することはできない。具体的には、基材側から第2背面層5B、第1背面層5Aをこの順で積層した場合には、最表層に必要な滑り性が不足するため印画ムラの発生を十分に抑制することができず、また、光沢性を満足させることができない。
(熱転写シートの特定方法)
対象とする熱転写シートが、本発明の発明特定事項を充足しているかは、まず、基材の他方の面に2以上の層が設けられているか否かを判別する。このとき、基材の他方の面に2以上の層が設けられていない場合には、当該対象とする熱転写シートは、本発明の発明特定事項を満たしていないものと特定することができる。
一方、基材の他方の面に2以上の層が設けられている場合には、当該2以上の層のうち、基材から最も離れた位置にある層(以下、最外層と言う)の分析を行い、最外層に、滑剤、及び硬化型アクリル系ポリオール樹脂が含有されているか否かを判別する。最外層に硬化型アクリル系ポリオール樹脂が含有されているか否かは、例えば、赤外線吸収(FT−IR)分析により特定することができる。具体的には、最外層を測定したときに、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの吸収の有無によって、最外層に含有されている樹脂が、アクリル系ポリオール樹脂であるかを特定することができ、また、硬化剤として、イソシアネート系硬化剤を用いる場合には、イソシアネート基と水酸基とが反応したウレタン結合や、未反応残存イソシアネートの吸収の有無によって、硬化型アクリル系ポリオール樹脂であるか否かを特定することができる。これ以外にも、赤外分光(IR)測定によって、水酸基と結合した別のピークが検出されるか否かによっても硬化型アクリル系ポリオール樹脂であるか否かを特定することができる。また、これらの測定によって、最外層に硬化型アクリル系ポリオール樹脂が含有されていると特定された場合には、当該吸収、或いはピークとなるアクリル系ポリオール樹脂を別途準備し、この別途準備したアクリル系ポリオール樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定することによって、硬化型アクリル系ポリオール樹脂とするためのアクリル系ポリオール樹脂のガラス転移温度(Tg)を特定することができる。この方法によって、最外層が、滑剤と、硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有していると特定された場合には、当該最外層は、本発明における第2背面層5Bの発明特定事項を充足しているものと判別される。
次いで、上記最外層と隣接する層(以下、隣接層と言う)の分析を行い、隣接層に、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂が含有されているか否かを判別する。硬化型樹脂の特定方法は、上記硬化型アクリル系ポリオール樹脂の特定方法と同様の方法を用いて行うことができる。この方法によって、隣接層が、硬化型樹脂を含有していると特定された場合には、当該隣接層は、本発明における第1背面層5Aの発明特定事項を充足しているものと判別される。そして、対象となる熱転写シートの最外層、及び隣接層のそれぞれが、第2背面層5B、及び第1背面層5Aの発明特定事項を充足している場合には、当該熱転写シートは、本発明の発明特定事項を充足しているものと判別される。
(色材層)
図1〜図3に示すように基材1の一方の面の少なくとも一部には、色材層3及び/又は保護層4が設けられている。本発明では、図示する形態に限定されることはなく、図示する形態以外の形態をとることもできる。例えば、昇華性の染料を含有する色材層3と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する色材層3とを連続した1枚の基材上に面順次に設けてもよい。なお、本発明では、基材1の一方の面上に色材層3、保護層4の何れか一方が設けられていればよく、保護層4が設けられている場合には、色材層3は任意の構成となる。
この色材層3は、本発明の熱転写シートが昇華型熱転写シートの場合には、昇華性の染料を含有する色材層であり、熱溶融型熱転写シートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する色材層となる。以下、昇華型熱転写シートの場合を中心に説明するが、本発明は、昇華型熱転写シートのみに限定されるものではない。
なお、本発明の一実施形態の熱転写シートの背面層5は、当該背面層5を構成する上記で説明した第1背面層5A、第2背面層5Bの相乗効果により、当該背面層5全体として十分な耐熱性と滑性を有している。したがって、熱転写画像形成時に、比較的高いエネルギーが加えられる昇華型熱転写シートの背面層5として、特に好適に用いることができる。
色材層の材料は、従来公知の染料を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましく、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料等が挙げられる。具体的には、MSRedG(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)等の黄色染料、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22等の青色染料が挙げられる。
上記染料を担持するためのバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の樹脂が、耐熱性、染料の移行性等の点において好ましい。
色材層3には、無機微粒子、有機微粒子等の添加材が含有されていてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。また、色材層3には、離型剤が含有されていてもよい。離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル、フッ素系材料等を挙げることができる。また、色材層3には、イソシアネート、エポキシ樹脂、カルボジイミド等の各種の硬化剤が含有されていてもよい。
一方、本発明の熱転写シート10が熱溶融型の熱転写シートである場合には、色材層3には、ポリグリセリン脂肪酸エステルに加え、熱溶融性インキと、バインダー樹脂が含まれる。熱溶融性インキとしては、公知の有機または無機の顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、退色しないものが好ましい。熱溶融性インキの色としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着色剤を使用することができる。
熱溶融型の熱転写シートの色材層3に含有されるバインダー樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等を使用可能である。
色材層に含有されている昇華性染料、或いは顔料の含有量について特に限定はなく、印画濃度や、保存性等を考慮し、使用される昇華性染料、或いは顔料の種類や、バインダー樹脂の種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、昇華性染料は、色材層3に含有されているバインダー樹脂の固形分総量に対し、15質量%以上300質量%以下の範囲内で色材層3に含有されていることが好ましい。
また、熱溶融型の色材層3には、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等が含まれていてもよい。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等のワックス成分が含まれていてもよい。
色材層3の形成方法としては、適当なバインダー樹脂に、染料或いは顔料、必要に応じて添加される各種添加物を加え、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、水等の適当な溶媒に分散或いは溶解させた塗工液を、例えば、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、ロールコーター、バーコーター等の形成手段により、基材1、或いは基材上に設けられた任意の層上に塗工し、乾燥させることにより形成することができる。
(保護層)
図2に示すように基材1の全面に保護層4を設けることもでき、図3に示すように、本発明の熱転写シート10において、基材1上に上記で説明した色材層3と保護層4とを面順次に設けることもできる。上述したように、基材1の一方の面上には、色材層3と保護層4の何れか一方が設けられていればよく、基材1上に色材層3が設けられている場合には、保護層4は任意の層となる。
保護層4は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層のほか、保護層4と印画物の受像面との接着性を高めるために保護層4の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本体の機能以外の機能を付加するための層などが含まれていてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面層となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
多層構造の保護層4を構成する主保護層又は単層構造の保護層4は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。
電離放射線硬化性樹脂を含有する保護層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
単層構造の保護層4又は多層構造の保護層4中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さであることが好ましい。
保護層4の最表面には接着層が形成されていてもよい。接着層は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。接着層の厚さは、通常0.1〜5μm程度である。また、保護層4と基材1との間に離型層を設けてもよい。
(下引き層)
本発明においては、基材1と、色材層3との間に図示しない下引き層が設けられていることが好ましい。下引き層を設けることで基材1と、色材層3との密着性を向上させ、熱転写時に熱転写受像シートへの色材層3の異常転写を防止することができる。なお、下引き層は、熱転写シート10における任意の構成である。
下引き層を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、下引き層をコロイド状無機顔料超微粒子から構成することもできる。これにより画像形成時に色材層3の異常転写を防止できるだけでなく、色材層3から下引き層への色材の移行を防止し、熱転写受像シートの受容層側への色材の拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
コロイド状無機顔料超微粒子として、従来公知の化合物が使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカ、アルミナゾルが好ましく用いられる。これらのコロイド状無機顔料超微粒子の大きさは、一次平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下であり、特に3〜30nmで用いることが好ましい。
下引き層は、上記で例示した樹脂や、コロイド状無機顔料超微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散した下引き層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。下引き層用塗工液の塗工量は、0.02〜1.0g/m2程度であることが好ましい。
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
基材として厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の第1背面層用塗工液(1)を乾燥時0.5g/m2になるように塗布し第1背面層を形成した。次いで、第1背面層上に下記組成の第2背面層用塗工液(1)を乾燥時0.8g/m2になるように塗布し第2背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面の一部に、下記組成のプライマー層用塗工液を、乾燥塗布量が0.1g/m2になるように塗布、乾燥してプライマー層を形成した。続いて、プライマー層上に、下記組成のイエロー染料層用塗工液(Y)、マゼンタ染料層用塗工液(M)、およびシアン染料層用塗工液(C)を、各層の乾燥塗布量が0.6g/m2になるように塗布、乾燥してこの順に面順次に繰返して形成し、基材の一方の面に第1背面層、第2背面層がこの順で設けられ、基材の他方の面の一部にプライマー層、染料層がこの順で設けられた実施例1の熱転写シートを得た。
<第1背面層用塗工液(1)>
「モル等量比(―NCO/−OH):1.5」
・ポリビニルアセタール樹脂 19.4部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 25.7部
(バーノックD−750(TDI系) DIC(株))
・リン酸エステル 1.3部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株))
・メチルエチルケトン 76.5部
・トルエン 76.5部
<第2背面層用塗工液(1)>
「モル等量比(―NCO/−OH):0.5」
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分40%) 84.1部
(Q167−40 三井化学(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 8.8部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・トリ(オレイン/パルミチン/ステアリン)酸グリセリル (95/4/1) 4.7部
(アクター LO-1(融点5℃) 理研ビタミン(株))
・タルク 2.4部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 68.3部
・トルエン 68.3部
<イエロー染料層用塗工液>
・Solvent Yellow 93 2.0部
・Disperse Yellow 231 2.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<マゼンタ染料層用塗工液>
・Disperse Red 60 1.5部
・Disperse Violet 26 2.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 4.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<シアン染料層用塗工液>
・Solvent Blue 63 2.0部
・Disperse Blue 354 2.0部
・ポリビニルアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<プライマー層用塗工液>
・アルミナゾル(平均1次粒子径10×100nm、固形分10%) 50部
(アルミナゾル200 日産化学工業(株)製)
・ポリビニルピロリドン(固形分100%,Tg=174℃) 5部
(PVP−K90 ISPジャパン社製)
・水 25部
・IPA 20部
(実施例2)
第1背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第1背面層用塗工液(2)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
<第1背面層用塗工液(2)>
「モル等量比(―NCO/−OH):0.7」
・ポリビニルアセタール樹脂 26.4部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 16.3部
(バーノックD−750(TDI系) DIC(株))
・リン酸エステル 1.3部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株))
・メチルエチルケトン 78部
・トルエン 78部
(実施例3)
第1背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第1背面層用塗工液(3)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
<第1背面層用塗工液(3)>
「モル等量比(―NCO/−OH):2.2」
・ポリビニルアセタール樹脂 15.7部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 30.5部
(バーノックD−750(TDI系) DIC(株))
・リン酸エステル 1.3部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株))
・メチルエチルケトン 76部
・トルエン 76部
(実施例4)
第2背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第2背面層用塗工液(2)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを得た。
<第2背面層用塗工液(2)>
「モル等量比(―NCO/−OH):0.1」
・アクリル系ポリオール樹脂 (固形分40%) 91.5部
(Q167−40 三井化学(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分75%) 1.9部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・トリ(オレイン/パルミチン/ステアリン)酸グリセリル (95/4/1) 4.4部
(アクター LO-1(融点5℃) 理研ビタミン(株))
・タルク 2.2部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 89.4部
・トルエン 89.4部
(実施例5)
第2背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第2背面層用塗工液(3)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例5の熱転写シートを得た。
<第2背面層用塗工液(3)>
「モル等量比(―NCO/−OH):1.2」
・アクリル系ポリオール樹脂 (固形分40%) 74部
(Q167−40 三井化学(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 18.6部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・トリ(オレイン/パルミチン/ステアリン)酸グリセリル (95/4/1) 5部
(アクター LO-1(融点5℃) 理研ビタミン(株))
・タルク 2.4部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 102.4部
・トルエン 102.4部
(実施例6)
第2背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第2背面層用塗工液(4)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例6の熱転写シートを得た。
<第2背面層用塗工液(4)>
「モル等量比(―NCO/−OH):0.5」
・アクリル系ポリオール樹脂 (固形分40%) 70部
(Q167−40 三井化学(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 6.9部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・セルロースアセテートブチレート樹脂 20部
(CAB−551−0.2 イーストマンケミカルジャパン(株))
・トリ(オレイン/パルミチン/ステアリン)酸グリセリル (95/4/1) 4.7部
(アクター LO-1(融点5℃) 理研ビタミン(株))
・タルク 2.4部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 68.3部
・トルエン 68.3部
(実施例7)
第2背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第2背面層用塗工液(5)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例7の熱転写シートを得た。
<第2背面層用塗工液(5)>
「モル等量比(―NCO/−OH):0.5」
・アクリル系ポリオール樹脂 (固形分40%) 84.1部
(Q167−40 三井化学(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 8.8部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・ステアリルリン酸亜鉛 4.7部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株))
・タルク 2.4部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 68.3部
・トルエン 68.3部
(実施例8)
第1背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第1背面層用塗工液(4)を使用し、第2背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第2背面層用塗工液(6)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして実施例8の熱転写シートを得た。
<第1背面層用塗工液(4)>
「モル等量比(―NCO/−OH):1.5」
・ポリビニルアセタール樹脂 40.1部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 80部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・リン酸エステル 2.7部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株))
・メチルエチルケトン 99.2部
・トルエン 99.2部
<第2背面層用塗工液(6)>
「モル等量比(―NCO/−OH):0.5」
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分40%) 87.4部
(Q167−40 三井化学(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 6.0部
(バーノックD−750(TDI系) DIC(株))
・トリ(オレイン/パルミチン/ステアリン)酸グリセリル (95/4/1) 4.4部
(アクター LO-1(融点5℃) 理研ビタミン(株))
・タルク 2.2部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 72.6部
・トルエン 72.6部
(比較例1)
第1背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第1背面層用塗工液(A)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
<第1背面層用塗工液(A)>
・水分散ポリエステル樹脂 (固形分30%) 70部
(バイロナールMD−1245 東洋紡(株))
・水 20部
・イソプロピルアルコール 10部
(比較例2)
第1背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第1背面層用塗工液(B)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
<第1背面層用塗工液(B)>
・ポリビニルアルコール樹脂 54.6部
(JF−17 日本酢ビ・ポバール(株))
・チタンキレート剤 (固形分75%) 45.3部
(TC−100 マツモトファインケミカル(株))
・水 90部
・エタノール 90部
(比較例3)
第2背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第2背面層用塗工液(A)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例3の熱転写シートを得た。
<第2背面層用塗工液(A)>
「モル等量比(―NCO/−OH):0.5」
・ポリビニルブチラール樹脂 58.3部
(エスレックBM−2 積水化学工業(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 36部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・トリ(オレイン/パルミチン/ステアリン)酸グリセリル (95/4/1) 4.7部
(アクター LO-1(融点5℃) 理研ビタミン(株))
・タルク 2.4部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 179部
・トルエン 179部
(比較例4)
第2背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第2背面層用塗工液(B)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例4の熱転写シートを得た。
<第2背面層用塗工液(B)>
・アクリル系ポリオール樹脂 (固形分40%) 93.6部
(Q167−40 三井化学(株))
・トリ(オレイン/パルミチン/ステアリン)酸グリセリル (95/4/1) 4.3部
(アクター LO-1(融点5℃) 理研ビタミン(株))
・タルク 2.2部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 88部
・トルエン 88部
(比較例5)
第1背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第1背面層用塗工液(C)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例5の熱転写シートを得た。
<第1背面層用塗工液(C)>
・ポリビニルアセタール樹脂 10部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・リン酸エステル 0.7部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株))
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 50部
(比較例6)
第1背面層を形成しなかった以外は、全て実施例1と同様にして比較例6の熱転写シートを得た。
(比較例7)
第2背面層を形成しなかった以外は、全て実施例1と同様にして比較例7の熱転写シートを得た。
(比較例8)
第1背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第1背面層用塗工液(D)を使用し、第2背面層用塗工液(1)にかえて、下記組成の第2背面層用塗工液(C)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして比較例8の熱転写シートを得た。
<第1背面層用塗工液(D)>
「モル等量比(―NCO/−OH):0.5」
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分40%) 84.1部
(Q167−40 三井化学(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 8.8部
(タケネートD110N(XDI系) 三井化学(株))
・トリ(オレイン/パルミチン/ステアリン)酸グリセリル (95/4/1) 4.7部
(アクター LO-1(融点5℃) 理研ビタミン(株))
・タルク 2.4部
(ミクロエースP3 日本タルク(株))
・メチルエチルケトン 68.3部
・トルエン 68.3部
<第2背面層用塗工液(C)>
「モル等量比(―NCO/−OH):1.5」
・ポリビニルアセタール樹脂 19.4部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株))
・イソシアネート系硬化剤 (固形分75%) 25.7部
(バーノックD−750(TDI系) DIC(株))
・リン酸エステル 1.3部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株))
・メチルエチルケトン 76.5部
・トルエン 76.5部
(印画シワ評価)
昇華型転写プリンタ(株式会社DNPフォトルシオ製 DS−40)のメディアセットのY領域,M領域,C領域に、実施例1の熱転写シートをそれぞれ貼り付け、上記プリンタと、DS-40用熱転写受像シートを低温低湿環境下(5℃、20%)に3時間放置した後に、熱転写受像シートに、(1)黒ベタ画像、(2)右黒画像(左白)、(3)左黒画像(右白)、(4)中黒画像(左右白)を各5枚(計20枚)印画し、下記の評価基準に基づいて印画シワの評価を行った。実施例2〜8、比較例1〜8の熱転写シートについても同様に実施した。なお、黒画像は(255/255階調)、白画像は(0/255階調)で形成した画像である。印画シワの評価結果を表1に示す。
「評価基準」
◎:全ての画像((1)〜(4))でシワの発生がない。
○:(1)〜(4)のいずれかの1種の画像でシワが発生。
△:(1)〜(4)の画像のうち2〜3種の画像でシワが発生。
×:(1)〜(4)の全ての画像でシワが発生。
(光沢度評価)
昇華型転写プリンタ(株式会社DNPフォトルシオ製 DS−40)のメディアセットのY領域,M領域,C領域に、実施例1の熱転写シートをそれぞれ貼り付け、上記プリンタと、DS−40用熱転写受像シートを高温高湿環境下(40℃、85%)に、結露が生じないように3時間放置した後に、熱転写受像シートに、黒ベタ画像(255/255階調)の印画を行い光沢度の測定を行った。実施例2〜8、比較例1〜8の熱転写シートについても同様に実施した。光沢度測定は、光沢度計(日本電色(株)製、型式;VG2000)45°測定にて行い以下の評価基準に基づいて光沢評価を行った。光沢評価結果を表1に併せて示す。
「評価基準」
◎:比較例3の熱転写シートを用いて形成した画像の光沢度を100としたときに、光沢度が110以上である。
○:比較例3の熱転写シートを用いて形成した画像の光沢度を100としたときに、光沢度が105以上110未満である。
×:比較例3の熱転写シートを用いて形成した画像の光沢度を100としたときに、光沢度が105未満である。
(印画ムラ評価)
昇華型転写プリンタ(株式会社DNPフォトルシオ製 DS−40)のメディアセットのY領域,M領域,C領域に、実施例1の熱転写シートをそれぞれ貼り付け、上記プリンタと、DS−40用熱転写受像シートを低温低湿環境下(5℃、20%)に3時間放置した後に、熱転写受像シートに、グレーベタ画像(60/255階調、128/255階調、175/255階調)の印画を行い下記の評価基準に基づいて印画ムラの評価を行った。実施例2〜8、比較例1〜8の熱転写シートについても同様に実施した。
「評価基準」
◎:全ての画像でムラの発生がない。
○:いずれか1種の画像でムラが発生しているがほとんど目立たない。
△:いずれか2種の画像でムラが発生しているがほとんど目立たない。
×:全ての画像でムラが発生しそのムラが目立つ。
(キック評価)
各実施例、及び比較例の熱転写シートの背面層と染料層を対向させ、15kg/cm2
の荷重をかけて、40℃、湿度90%環境下で96時間保管し、背面層側に染料層の染料を移行(キック)させた。対向前後の背面層の色相を、グレタグ社製GRETAGSpectrolino(D65光源、視野角2°)を用いて測定し、色差(ΔE*)を下記式
にて算出して下記基準に基づき評価した。評価結果を表1に併せて示す。
ΔE*=((対向前後のL*値の差)2+(対向前後のa*値の差)2+(対向前後のb*値の差)21/2
「評価基準」
◎:色差ΔE*が2.5未満である。
○:色差ΔE*が2.5以上3.0未満である。
△:色差ΔE*が3.0以上5.0未満である。
×:色差ΔE*が5.0以上である。
Figure 0006665421
1・・・基材
3・・・色材層
4・・・保護層
5・・・背面層
5A・・・第1背面層
5B・・・第2背面層
10・・・熱転写シート

Claims (6)

  1. 基材の一方の面に色材層及び保護層の何れか一方又は双方が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、
    前記背面層は、前記基材側から第1背面層、第2背面層がこの順で積層されてなる積層構成を呈しており、
    前記第1背面層は、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有しており、
    前記第2背面層は、滑剤、及びアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有しており、
    前記アクリル系ポリオール樹脂が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、分子中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記滑剤が、リン酸エステル、金属石鹸、タルク、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド、グラファイトパウダー、フッ素系グラフトポリマー、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの何れかであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 基材の一方の面に色材層及び保護層の何れか一方又は双方が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、
    前記背面層は、前記基材側から第1背面層、第2背面層がこの順で積層されてなる積層構成を呈しており、
    前記第1背面層は、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有しており、
    前記第2背面層は、滑剤、及びアクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂を含有しており、
    前記滑剤が、リン酸エステル、金属石鹸、タルク、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド、グラファイトパウダー、フッ素系グラフトポリマー、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの何れかであることを特徴とする熱転写シート。
  4. 基材の一方の面に色材層及び保護層の何れか一方又は双方が設けられ、前記基材の他方の面に背面層が設けられた熱転写シートであって、
    前記背面層は、前記基材側から第1背面層、第2背面層がこの順で積層されてなる積層構成を呈しており、
    前記第1背面層は、水酸基含有樹脂をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂を含有しており、
    前記第2背面層は、滑剤、アクリル系ポリオール樹脂を硬化剤によって硬化せしめた硬化型アクリル系ポリオール樹脂、及びセルロースアセテートブチレート樹脂を含有していることを特徴とする熱転写シート。
  5. 前記第1背面層が含有している前記硬化型樹脂は、イソシアネート系硬化剤が有するイ
    ソシアネート基と、水酸基含有樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)が、0.8以上で硬化されてなる硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の熱転写シート。
  6. 前記第2背面層が含有している前記硬化型アクリル系ポリオール樹脂は、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基と、前記アクリル系ポリオール樹脂が有する水酸基とのモル当量比(―NCO/−OH)が、0.2以上1.0以下の範囲内で硬化されてなる硬化型アクリル系ポリオール樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の熱転写シート。
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