JP6570850B2 - 成形膜の製造方法および全固体型リチウムイオン電池の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明者らの検討によると、特許文献2に記載されているような固体電解質シートに関しては、薄膜化すると厚みにムラが生じてしまうことが明らかになった。
粉末状の成形材料を多孔体の空隙に充填する工程(A)と、
上記多孔体の空隙に充填された上記成形材料を金型のキャビティ表面上または基材表面上に篩い落とすことにより、上記金型のキャビティ表面上または上記基材表面上に上記成形材料を膜状に堆積させる工程(B)と、
を含み、
上記工程(B)は、膜状に堆積した上記成形材料を振動させることにより、粉末状の上記成形材料を流動させて、膜状に堆積した上記成形材料を緻密化させる工程をさらに含む成形膜の製造方法が提供される。
正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層された全固体型リチウムイオン電池を製造するための製造方法であって、
前述した成形膜の製造方法により、上記正極層、上記固体電解質層、および上記負極層から選択される少なくとも一つの成形膜を形成する工程を含む、全固体型リチウムイオン電池の製造方法が提供される。
はじめに、本実施形態に係る成形膜の製造方法について説明する。
図1〜図4は、本実施形態の成形膜100の製造工程の一例を模式的に示した工程断面図である。
本実施形態に係る成形膜の製造方法は、下記(A)および(B)の工程を含み、必要に応じて(C)の工程をさらに含む。
(A)粉末状の成形材料101を多孔体103の空隙に充填する工程
(B)多孔体103の空隙に充填された成形材料101を金型105のキャビティ表面107上または基材表面上に篩い落とすことにより、金型のキャビティ表面107上または基材表面上に成形材料101を膜状に堆積させる工程
(C)膜状に堆積した成形材料101を加圧する工程
上記知見を元に、本発明者らは、厚みが均一で、かつ、薄い成形膜100を提供するため、成形膜100の製造方法について鋭意検討した。その結果、多孔体103の空隙に充填された成形材料101を金型のキャビティ表面107上または基材表面上に篩い落とすことにより、厚みが均一で、かつ、薄い成形膜100が得られることを見出し、本発明に至った。
本実施形態の成形膜100の製造方法を用いることにより、厚みが均一で、かつ、薄い成形膜100が得られる理由は明らかではないが、本発明者らは粉末状の成形材料101が多孔体103の開口部を通過しながら少量ずつ篩い落とされるため、金型のキャビティ表面107上または基材表面上に均一な厚さで膜状に堆積することができるからだと推察している。
本実施形態の成形膜100の製造方法を用いることにより、例えば、100μm以下の薄い成形膜100を均一な厚みで得ることが可能である。
以下、各工程について詳細に説明する。
上記スラリーを塗布する方法としては、ドクターブレード塗工法、浸漬塗工法、スプレー塗工法、バーコーター塗工法等の一般的に公知の方法を使用できる。
これらの方法により、多孔体103の空隙内に成形材料101を連続的に充填することができる。
ここで、多孔体103において、多孔体103の空隙に充填された成形材料101を所望の位置のみに篩い落とす観点から、粉末状の成形材料101を充填させたくない部分の空隙にはあらかじめ樹脂等を埋め込んでおき、粉末状の成形材料101が充填されないようにしておくのが好ましい。こうすることにより、工程(B)において、所望の位置のみに成形材料101篩い落とすことができるため、所望のサイズを有する成形膜100をより容易に得ることができる。
空間部115は成形材料101を充填することができる構造のものであれば特に限定されないが、例えば、多孔体103の一方の面にスペーサ111を介して支持体113を設けることにより形成される構造を挙げることができる。この場合、多孔体103と支持体113とスペーサ111とにより囲まれた部分が空間部115となる。
多孔体103の形状は特に限定されないが、取り扱いのし易さの観点から、好ましくはシート状である。
これらの中でも、柔軟性に優れる点から、樹脂材料や天然繊維が好ましく、樹脂材料がより好ましく、ナイロンが特に好ましい。柔軟性に優れる多孔体103は振動を与えると目開きが微妙に変化する。そのため、このような柔軟性に優れる多孔体103を使用することで、目詰まりが起こるのを抑制しながら成形材料101をより容易に落下させることができ、成形材料101をより均一に堆積させることが可能となる。
また、空隙率が上記上限値以下であると、成形材料101を篩い分ける性能を向上させることができるため、得られる成形膜100の厚みをより一層均一にすることができる。
ここで、本実施形態における空隙率は、多孔体103の形態によって算出法が異なる。例えば、空隙が単調な規則形状からなるメッシュクロス、エキスパンドシート、パンチングシート等は開口率を意味する。
多孔体103の開口率は、形態の違い毎に以下の式に準じて算出できる。例えばパンチングシートなどの打抜き板の場合、穴の形状と配置の違いにより通称名が付けられ、それぞれ算出式が提供される。一例を挙げると60°千鳥型:開口率(%)=90.6×D2/P2、角千鳥型:開口率(%)=157×D2/P2、並列型:開口率(%)=78.5×D2/P2、長丸穴千鳥型:開口率(%)={(2×W×L)−(0.43×W2)}×100/(2×SP×LP)、長丸穴並列型:開口率(%)={(2×W×L)−(0.43×W2)}×100/(2×SP×LP)、角穴千鳥型:開口率(%)=W2×100/(SP1×SP2)、角穴並列型:開口率(%)=W2×100/(SP1×SP2)、六角形60°千鳥型:開口率(%)=W2×100/P2、長角穴千鳥型:開口率(%)=(W×L×100)/(SP×LP)、長角穴並列型:開口率(%)=(W×L×100)/(SP×LP)、以上の算出式でDは丸穴の直径、Pは丸穴または六角穴の中心間距離、Wは長丸穴、角穴、六角穴または長角穴の短め方向長さ、Lは長丸穴または長角穴の長め方向長さ、SPは長丸穴または長角穴の短め方向における中心間距離、LPは長丸穴または長角穴の長め方向における中心間距離、SP1は角穴の短め方向における中心間距離、SP2は角穴の長め方向における中心間距離を示す。
エキスパンドシートのような千鳥状に切れ目を入れた後で引張り加工した板の場合、開口率(%)=〔{SWO×(LWO+B)}/(SW×LW)〕×100で提供される。ここでSWOは開口部の短め方向長さ、LWOは開口部の長め方向長さ、SWはメッシュの短め方向の中心間距離、LWはメッシュの長め方向の中心間距離、Bはボンドの長さである。
また、メッシュクロスでは、開口率(%)={A/(A+d)}2×100で提供される。ここでAは目開き(mm)であり、A=(25.4/M)−dによって算出できる。Mはメッシュ、dは線径(mm)である。
また、空隙が3次元的に複雑な形状からなる織布、不織布、多孔性膜の場合、空隙率は、多孔体103の全体積に占める空隙の総体積の割合を意味する。すなわち、空隙率は(1−多孔体103中の構成素材の体積/多孔体103の体積)×100(%)で示される。
また、目開きが上記上限値以下であると、成形材料101を篩い分ける性能を向上させることができるため、得られる成形膜100の厚みをより一層均一にすることができる。
ここで、多孔体103の通気度は、JIS L1096−A(フラジール形法)に従って測定できる。
また、多孔体103の厚みが上記上限値以下であると、成形材料101の未充填領域を低減することができ、成形材料101を篩い分ける性能を向上させることができるため、得られる成形膜100の厚みをより一層均一にすることができる。
成形材料101の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、より薄い成形膜を実現することができる。
固体電解質材料の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、リチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
これらの中でも、より高い放電容量密度を有し、かつ、サイクル特性により優れる観点から、硫化物系正極活物質が好ましく、Li−Mo−S化合物、Li−Ti−S化合物、Li−V−S化合物から選択される一種または二種以上がより好ましい。
また、Li−Ti−S化合物は構成元素としてLi、Ti、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるチタン硫化物と硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
Li−V−S化合物は構成元素としてLi、V、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるバナジウム硫化物と硫化リチウムをメカノケミカル処理等の混合粉砕することにより得ることができる。
正極活物質の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、より一層高密度の正極を作製することができる。
正極材料中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
本実施形態に係る粒子状の負極活物質は特に限定されないが、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径d50が、好ましくは1μm以上50μm以下であり、より好ましくは5μm以上30μm以下である。
負極活物質の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、より一層高密度の負極を作製することができる。
負極材料中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
成形材料101は多孔体103の開口部によって少量ずつ篩い落とされるため、金型のキャビティ表面107上または基材表面上に成に均一な厚さで膜状に堆積することができる。
成形材料101が固体電解質材料の場合、上記基材としては、例えば、正極層、負極層、金属箔、プラスチックフィルム等が好ましい。
成形材料101が正極材料または負極材料の場合、上記基材としては、例えば、金属箔、プラスチックフィルム、カーボン、固体電解質層等が挙げられる。特に集電体として使用できる金属箔や、固体電解質層が好ましい。
金属箔としては特に限定されず、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔等を用いることができる。
加圧を行えば成形材料101同士の結合が起こり、得られる成形膜100の強度はより一層高くなる。その結果、成形材料101の欠落や、成形材料101表面のひび割れをより一層抑制できる。
上記成形材料101を加圧する方法は特に限定されず、例えば、金型105のキャビティ表面107上に成形材料101を堆積させた場合は金型と押し型によるプレス、粉末状の成形材料101を基材表面上に堆積させた場合は金型と押し型によるプレスやロールプレス、平板プレス等を用いることができる。
成形材料101を加圧する圧力は、例えば、10MPa以上500MPa以下である。
成形材料101を加熱する温度は、例えば、40℃以上500℃以下である。
ただし、本実施形態の成形膜100の製造方法はこれらに限定されず、薄く、均一な厚みが求められる成形膜の製造に適用することが可能である。
また、上記固体電解質層にはバインダーが含まれてもよいが、バインダーの含有量は、固体電解質層の全体を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%未満であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下である。また、本実施形態に係る固体電解質層は、バインダーを実質的に含まないことがさらに好ましく、バインダーを含まないことが特に好ましい。
これにより、固体電解質材料間の接触性が改善され、固体電解質層の界面接触抵抗をより一層低下させることができる。その結果、固体電解質層のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
なお、「バインダーを実質的に含まない」とは、本発明の効果が損なわれない程度には含有してもよいことを意味する。
正極層や負極層の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
つぎに、本実施形態の全固体型リチウムイオン電池200の製造方法について説明する。
まず、全固体型リチウムイオン電池200について説明する。図5は、全固体型リチウムイオン電池200の構造の一例を模式的に示した断面図である。全固体型リチウムイオン電池200はリチウムイオン二次電池であるが、リチウムイオン一次電池であってもよい。
全固体型リチウムイオン電池200の形状は特に限定されず、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状が挙げられる。
正極層210の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
また、正極層210は本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて製造されたものであってもよい。
固体電解質層220の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
また、固体電解質層220は本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて製造されたものであることが好ましい。
負極活物質層の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
また、負極層230が本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて製造されたものであってもよい。
上記積層体を加圧する圧力は、例えば、40MPa以上500MPa以下である。
上記積層体を加圧する方法は特に限定されず、例えば、平板プレス、ロールプレス等を用いることができる。
上記積層体を加熱する温度は、例えば、150℃以上500℃以下である。
例1は、本実施形態の成形膜100の製造方法により、固体電解質層220を形成する場合である。
はじめに、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、金型105内に固体電解質層220を形成する。次いで、固体電解質層220上に正極層210および負極層230のいずれか一方を重ねる。次に、反対の面に正極層210および負極層230の残りの一方を重ねて積層体を得る。次いで、押し型を挿入し、圧力をかけることにより正極層210、固体電解質層220、および負極層230を一体化する。これにより全固体型リチウムイオン電池200を得ることができる。
なお、例1において、固体電解質層220をはじめに形成したが、正極層210および負極層230のいずれか一方を金型105内にあらかじめ配置しておき、その上に本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて固体電解質層220を形成してもよい。
例2は、本実施形態の成形膜100の製造方法により、正極層210または負極層230および固体電解質層220を形成する場合である。
はじめに、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、金型105内に固体電解質層220を形成する。次いで、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、金型105内に作製した固体電解質層220上に正極層210および負極層230のいずれか一方を形成する。次に、反対の面に正極層210および負極層230の残りの一方を重ねて積層体を得る。次いで、押し型を挿入し、圧力をかけることにより正極層210、固体電解質層220、および負極層230を一体化する。これにより全固体型リチウムイオン電池200を得ることができる。
なお、例2において、固体電解質層220をはじめに形成したが、正極層210または負極層230を先に形成してもよい。
例3は、本実施形態の成形膜100の製造方法により、正極層210または負極層230を形成する場合である。
はじめに、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、金型105内に正極層210および負極層230のいずれか一方を形成する。次いで、正極層210または負極層230上に固体電解質層220を重ねる。次に固体電解質層220上に正極層210および負極層230の残りの一方を重ねて積層体を得る。次いで、押し型を挿入し、圧力をかけることにより正極層210、固体電解質層220、および負極層230を一体化する。これにより全固体型リチウムイオン電池200を得ることができる。
なお、例3において、正極層210または負極層230をはじめに形成したが、固体電解質層220を金型105内にあらかじめ配置しておき、その上に本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて正極層210または負極層230を形成してもよい。
例4は、本実施形態の成形膜100の製造方法により、正極層210、固体電解質層220および負極層230を形成する場合である。
はじめに、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、金型105内に固体電解質層220を形成する。次いで、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、金型105内に作製した固体電解質層220上に正極層210および負極層230のいずれか一方を形成する。次に、反対の面に、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、正極層210および負極層230の残りの一方を形成し、積層体を得る。次いで、押し型を挿入し、圧力をかけることにより正極層210、固体電解質層220、および負極層230を一体化する。これにより全固体型リチウムイオン電池200を得ることができる。
なお、例4において、固体電解質層220をはじめに形成したが、正極層210または負極層230を先に形成してもよい。
例5は、本実施形態の成形膜100の製造方法により、正極層210、固体電解質層220および負極層230を形成する場合である。
はじめに、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、金型105内に固体電解質層220を形成する。次いで、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、別に用意した金型105内に正極層210を形成し、正極層210を取り出す。さらに、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、正極層210を使用した金型105内、あるいは別に用意した金型105内に負極層230を形成し、負極層230を取り出す。次に、固体電解質層220上に正極層210および負極層230のいずれか一方を重ねる。次に、反対の面に正極層210および負極層230の残りの一方を重ねて積層体を得る。次いで、押し型を挿入し、圧力をかけることにより正極層210、固体電解質層220、および負極層230を一体化する。これにより全固体型リチウムイオン電池200を得ることができる。
例6は、本実施形態の成形膜100の製造方法により、正極層210および固体電解質層220を形成する場合である。
はじめに、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、金型105内に固体電解質層220を形成する。次いで、本実施形態の成形膜100の製造方法を用いて、別に用意した金型105内に正極層210を形成し、正極層210を取り出す。次に、固体電解質層220上に正極層210および負極層230のいずれか一方を重ねる。次に、反対の面に正極層210および負極層230の残りの一方を重ねて積層体を得る。次いで、押し型を挿入し、圧力をかけることにより正極層210、固体電解質層220、および負極層230を一体化する。これにより全固体型リチウムイオン電池200を得ることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
粉末状の成形材料を多孔体の空隙に充填する工程(A)と、
前記多孔体の空隙に充填された前記成形材料を金型のキャビティ表面上または基材表面上に篩い落とすことにより、前記金型のキャビティ表面上または前記基材表面上に前記成形材料を膜状に堆積させる工程(B)と、
を含む成形膜の製造方法。
2.
1.に記載の成形膜の製造方法において、
膜状に堆積した前記成形材料を加圧する工程(C)をさらに含む成形膜の製造方法。
3.
1.または2.に記載の成形膜の製造方法において、
前記工程(B)は、膜状に堆積した前記成形材料を振動させることにより、粉末状の前記成形材料を流動させて、膜状に堆積した前記成形材料を緻密化させる工程をさらに含む成形膜の製造方法。
4.
1.乃至3.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体の一方の面に前記成形材料を収容する空間部が設けられており、
前記工程(A)では前記空間部にも前記成形材料を充填する成形膜の製造方法。
5.
4.に記載の成形膜の製造方法において、
前記工程(B)では、前記多孔体の空隙および前記空間部に充填された前記成形材料を前記金型のキャビティ表面上または前記基材表面上に篩い落とすことにより、前記金型のキャビティ表面上または前記基材表面上に前記成形材料を膜状に堆積させる成形膜の製造方法。
6.
1.乃至5.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法において、
前記成形材料が全固体型リチウムイオン電池に用いられる、固体電解質材料、正極材料、または負極材料である成形膜の製造方法。
7.
1.乃至6.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法において、
前記成形膜が全固体型リチウムイオン電池に用いられる、固体電解質層、正極層、または負極層である成形膜の製造方法。
8.
1.乃至7.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体の空隙率が10%以上90%以下である成形膜の製造方法。
9.
1.乃至8.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体の目開きが40μm以上300μm以下である成形膜の製造方法。
10.
1.乃至9.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法において、
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における、前記粉末状の成形材料の平均粒子径d 50 が1μm以上40μm以下である成形膜の製造方法。
11.
1.乃至10.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体はシート状である成形膜の製造方法。
12.
11.に記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体は織布、不織布、メッシュクロス、多孔性膜、エキスパンドシート、パンチングシートから選択される一種または二種以上である成形膜の製造方法。
13.
1.乃至12.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法において、
前記成形膜の厚みが100μm以下である成形膜の製造方法。
14.
正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層された全固体型リチウムイオン電池を製造するための製造方法であって、
1.乃至13.いずれか一つに記載の成形膜の製造方法により、前記正極層、前記固体電解質層、および前記負極層から選択される少なくとも一つの成形膜を形成する工程を含む、全固体型リチウムイオン電池の製造方法。
15.
14.に記載の全固体型リチウムイオン電池の製造方法において、
前記正極層と、前記固体電解質層と、前記負極層とがこの順番に積層された積層体を得る工程と、
前記積層体を加圧することにより前記正極層と、前記固体電解質層と、前記負極層とを一体化する工程と、
を含む全固体型リチウムイオン電池の製造方法。
はじめに、以下の実施例、比較例における測定方法を説明する。
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)を用いて、レーザー回折法により、実施例および比較例で使用した固体電解質材料の粒度分布を測定した。測定結果から、各正極活物質について、重量基準の累積分布における50%累積時の粒径(D50、平均粒子径)を求めた。
マイクロメーターを用いて、得られた固体電解質膜から10ヶ所の厚みを測定し、厚みの(算術)平均値および標準偏差を求めた。標準偏差が6.7以下のものを厚みが均一、標準偏差6.7を超えるものを厚みが不均一とした。
つぎに、以下の実施例、比較例において使用した材料について説明する。
原料には、Li2S(シグマアルドリッチ製、純度99.9%)、P2S5(関東化学製試薬)を使用した。Li3Nは、以下の手順で作製した。
まず、窒素雰囲気のグローブボックス中で、Li箔(本城金属社製純度99.8%、厚さ0.5mm)にステンレス製の網(150メッシュ)を圧着した。Li箔は網の開口部から黒紫色に変化し始め、そのまま、常温で24時間放置することでLi箔すべてが黒紫色のLi3Nに変化した。Li3Nは、メノウ乳鉢で粉砕後、ステンレス製篩で篩い分けし、25μm以下の粉末を回収し固体電解質材料の原料とした。
つづいて、アルゴングローブボックス中で各原料をLi2S:P2S5:Li3N=67.5:22.5:10.0(モル%)になるように精秤し、これら粉末を20分間メノウ乳鉢で混合した。次いで、混合粉末2gを秤量し、φ10mmのZrO2製ボール500gとともに、Al2O3製ボールミルポット(内容積400mL)に入れ、120rpmで200時間混合粉砕した。混合粉砕後の粉末はカーボンボートに入れアルゴン気流中で330℃、2時間加熱処理し、Li11P3S12を得た。平均粒子径D50は10μmであった。
多孔体としては、ナイロンメッシュクロス(田中三次郎商店社製13XX‐100、厚み105μm、空隙率36%、目開き100μm)を用いた。
ナイロンメッシュクロスの一方の面に、厚さ75μmのスペーサ(厚さ60μmのマスキングテープと厚さ15μmのベースレス両面テープ)を介してポリエチレンテレフタレート(PET)板を貼り付けたものを作製した。なお、ナイロンメッシュクロスには25mm×25mm以外の部分の開口部を樹脂で充填し、粉末が25mm×25mmのみを通過できるようにしておいた。
次いで、ナイロンメッシュクロスとPET板の間に設けた空間部(スペーサにより確保した空間)と、ナイロンメッシュクロスの開口部(空隙)に、スキージを使用して粉末状の固体電解質材料(Li11P3S12)を充填した。
次いで、粉末状の固体電解質材料が充填されたナイロンメッシュクロスを反転してプレス金型の上に設置し、PET板を木槌で叩き、振動させることでプレス金型のキャビティ表面上に固体電解質材料60mgを篩い落とすことにより、プレス金型のキャビティ表面上に固体電解質材料を膜状に堆積させた。ここで、固体電解質材料はプレス金型のキャビティ(25mm×25mm)に均一な厚さで膜状に堆積した。
次いで、プレス金型に押し型を入れた後、チタンハンマーを使用してプレス金型の各側面を叩き、プレス金型内の粉末状の固体電解質材料に対し振動を与え、膜状の固体電解質材料を緻密化させた。
その後、油圧平板プレスを使用して、160MPaでプレスすることで固体電解質膜を得た。
作製した固体電解質膜の平均厚さは70μmであり、標準偏差は5.1であった。また、得られた固体電解質膜について、固体電解質材料の欠落や表面の割れは発生しなかった。すなわち、実施例1で得られた固体電解質膜は薄膜化が可能で、かつ、厚みが均一であった。
プレス金型のキャビティ(25mm×25mm)にスキージを使用して粉末状の固体電解質材料(Li11P3S12)60mgを粉体塗工した。
次いで、プレス金型に押し型を入れた後、チタンハンマーを使用してプレス金型の各側面を叩き、プレス金型内の粉末状の固体電解質材料に対し振動を与え、固体電解質材料を緻密化させた。
その後、油圧平板プレスを使用して、160MPaでプレスすることで固体電解質膜を得た。
作製した固体電解質膜の平均厚さは70μmであり、標準偏差は9.2であった。すなわち、比較例1で得られた固体電解質膜は厚みが不均一であった。また、得られた固体電解質膜は固体電解質材料の欠落や表面の割れが発生した。すなわち、比較例1で得られた固体電解質膜は薄膜化が困難であった。
プレス金型のキャビティ(25mm×25mm)にスキージを使用して粉末状の固体電解質材料(Li11P3S12)90mgを粉体塗工した。
次いで、プレス金型に押し型を入れた後、チタンハンマーを使用してプレス金型の各側面を叩き、プレス金型内の粉末状の固体電解質材料に対し振動を与え、固体電解質材料を緻密化させた。
その後、油圧平板プレスを使用して、160MPaでプレスすることで固体電解質膜を得た。
作製した固体電解質膜の平均厚さは105μmであり、標準偏差は8.8であった。
すなわち、比較例2で得られた固体電解質膜は薄膜化が困難であり、厚みも不均一であった。
101 成形材料
103 多孔体
105 金型
107 表面
109 スキージ
111 スペーサ
113 支持体
115 空間部
200 全固体型リチウムイオン電池
210 正極層
220 負極層
230 固体電解質層
Claims (14)
- 粉末状の成形材料を多孔体の空隙に充填する工程(A)と、
前記多孔体の空隙に充填された前記成形材料を金型のキャビティ表面上または基材表面上に篩い落とすことにより、前記金型のキャビティ表面上または前記基材表面上に前記成形材料を膜状に堆積させる工程(B)と、
を含み、
前記工程(B)は、膜状に堆積した前記成形材料を振動させることにより、粉末状の前記成形材料を流動させて、膜状に堆積した前記成形材料を緻密化させる工程を含む成形膜の製造方法。 - 請求項1に記載の成形膜の製造方法において、
膜状に堆積した前記成形材料を加圧する工程(C)をさらに含む成形膜の製造方法。 - 請求項1または2に記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体の一方の面に前記成形材料を収容する空間部が設けられており、
前記工程(A)では前記空間部にも前記成形材料を充填する成形膜の製造方法。 - 請求項3に記載の成形膜の製造方法において、
前記工程(B)では、前記多孔体の空隙および前記空間部に充填された前記成形材料を前記金型のキャビティ表面上または前記基材表面上に篩い落とすことにより、前記金型のキャビティ表面上または前記基材表面上に前記成形材料を膜状に堆積させる成形膜の製造方法。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載の成形膜の製造方法において、
前記成形材料が全固体型リチウムイオン電池に用いられる、固体電解質材料、正極材料、または負極材料である成形膜の製造方法。 - 請求項1乃至5いずれか一項に記載の成形膜の製造方法において、
前記成形膜が全固体型リチウムイオン電池に用いられる、固体電解質層、正極層、または負極層である成形膜の製造方法。 - 請求項1乃至6いずれか一項に記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体の空隙率が10%以上90%以下である成形膜の製造方法。 - 請求項1乃至7いずれか一項に記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体の目開きが40μm以上300μm以下である成形膜の製造方法。 - 請求項1乃至8いずれか一項に記載の成形膜の製造方法において、
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における、前記粉末状の成形材料の平均粒子径d50が1μm以上40μm以下である成形膜の製造方法。 - 請求項1乃至9いずれか一項に記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体はシート状である成形膜の製造方法。 - 請求項10に記載の成形膜の製造方法において、
前記多孔体は織布、不織布、メッシュクロス、多孔性膜、エキスパンドシート、パンチングシートから選択される一種または二種以上である成形膜の製造方法。 - 請求項1乃至11いずれか一項に記載の成形膜の製造方法において、
前記成形膜の厚みが100μm以下である成形膜の製造方法。 - 正極層と、固体電解質層と、負極層とがこの順番に積層された全固体型リチウムイオン電池を製造するための製造方法であって、
請求項1乃至12いずれか一項に記載の成形膜の製造方法により、前記正極層、前記固体電解質層、および前記負極層から選択される少なくとも一つの成形膜を形成する工程を含む、全固体型リチウムイオン電池の製造方法。 - 請求項13に記載の全固体型リチウムイオン電池の製造方法において、
前記正極層と、前記固体電解質層と、前記負極層とがこの順番に積層された積層体を得る工程と、
前記積層体を加圧することにより前記正極層と、前記固体電解質層と、前記負極層とを一体化する工程と、
を含む全固体型リチウムイオン電池の製造方法。
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