以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、実施形態1に係るシャッタ装置1000の、一部を切断した斜視図を示す。
シャッタ装置1000は、第1ユニット100と、第2ユニット200と、第1ユニット100と第2ユニット200との間に介設されたスペーサ300,300と、第2ユニット200を支持するベース400とを備えている。シャッタ装置1000は、第1ユニット100と第2ユニット200との間を通過する光路Lを遮断及び開通させる。
図2は、第1ユニット100の平面図であり、図3は、第1ユニット100を部分的に拡大した平面図であり、図4は、図3のIV−IV線における第1ユニット100及び第2ユニット200の断面図である。
第1ユニット100は、SOI(Silicon on Insulator)基板Sを用いて製造されている(図4参照)。SOI基板Sは、単結晶シリコンで形成された第1シリコン層s1と、SiO2で形成された酸化膜層s2と、単結晶シリコンで形成された第2シリコン層s3とがこの順で積層されて構成されている。
第1ユニット100は、フレーム101と、フレーム101に連結された2つの第1アクチュエータ102,102と、2つの第1アクチュエータ102,102にそれぞれヒンジ103,103を介して連結された第1ブレード104とを有している。尚、2つの第1アクチュエータ102,102を区別するときには、符号を変えて、それぞれ第1アクチュエータ102A、第1アクチュエータ102Bと称する。図2,3において、第1アクチュエータ102Aが下方に位置し、第1アクチュエータ102Bが上方に位置している。第1ユニット100は、駆動装置の一例である。
フレーム101は、概略長方形の枠状に形成されている。ただし、フレーム101は、完全に閉じた枠状ではなく、一部が切り欠かれて、開いた形状をしている。フレーム101は、第1シリコン層s1、酸化膜層s2及び第2シリコン層s3で形成されている。尚、フレーム101の第1シリコン層s1側の表面には、SiO2膜128が成膜されている。このSiO2膜128は、後述する第1アクチュエータ102のSiO2膜128と同じ膜である。
以下、説明の便宜上、フレーム101の長手方向をX方向、フレーム101の短手方向をY方向、フレーム101の厚み方向をZ方向と称する。尚、X方向において、図2,3における左側を左側、図2,3における右側を右側と称することもある。Y方向において、図2、3における上側を前側、図2,3における下側を後側と称することもある。Z方向において、第1シリコン層s1側を上側、第2シリコン層s3側を下側と称することもある。
2つの第1アクチュエータ102A,102Bは、フレーム101内において、第1ブレード104を挟んでY方向に並んで配置されている。各第1アクチュエータ102は、基端部がフレーム101に連結され、先端部が自由端となるカンチレバー構造をしている。自由端となる先端部に、第1ブレード104が連結されている。各第1アクチュエータ102は、SOI基板Sの主面(例えば、第1シリコン層s1の表面)内で折り返すように連結された4本のビームを有している。4本のビームは、主面に対して一方の側へ湾曲する2本の第1ビーム121a,121cと、湾曲しないか又は該第1ビーム121a,121cよりも湾曲が小さい2本の第2ビーム122b,122dとを含んでいる。第1ビーム121a,121cと第2ビーム122b,122dとは、交互に連結されている。第1ビーム121a,121c及び第2ビーム122b,122dは、互いに平行に配列されている。尚、第1ビーム121aと第1ビーム121cとを区別しないときには、単に第1ビーム121と称する。また、第2ビーム122bと第2ビーム122dとを区別しないときには、単に第2ビーム122と称する。
詳しくは、第1アクチュエータ102Aにおいて、第1ビーム121aの基端部がフレーム101のX方向の右端部に固定され、第1ビーム121aは、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム121aの先端部には、第2ビーム122bが連結されている。第2ビーム122bは、第1ビーム121aから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム122bの先端部には、第1ビーム121cが連結されている。第1ビーム121cは、第2ビーム122bから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム121cの先端部には、第2ビーム122dが連結されている。第2ビーム122dは、第1ビーム121cから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム122dの先端部には、ヒンジ103を介して第1ブレード104が連結されている。
一方、第1アクチュエータ102Bにおいて、第1ビーム121aの基端部がフレーム101のX方向の左端部に固定され、第1ビーム121aは、X方向の右側へ向かって延びている。第1ビーム121aの先端部には、第2ビーム122bが連結されている。第2ビーム122bは、第1ビーム121aから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第2ビーム122bの先端部には、第1ビーム121cが連結されている。第1ビーム121cは、第2ビーム122bから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第1ビーム121cの先端部には、第2ビーム122dが連結されている。第2ビーム122dは、第1ビーム121cから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第2ビーム122dの先端部には、ヒンジ103を介して第1ブレード104が連結されている。
つまり、第1アクチュエータ102A及び第1アクチュエータ102Bは、フレーム101に連結されているビームは第1ビーム121であり、そこから交互に、第2ビーム122、第1ビーム121が連結され、最終的に第2ビーム122dの先端部に第1ブレード104が連結されている点で共通する。一方、第1アクチュエータ102A及び第1アクチュエータ102Bは、第1ビーム121aの基端部がX方向において反対の位置でそれぞれフレーム101に固定されている点、及び、第2ビーム122dの先端部がX方向において反対の位置にそれぞれ位置する点で異なっている。
続いて、各ビームの構成について説明する。第1アクチュエータ102Aと第1アクチュエータ102Bとで各ビームの構成は同様である。例えば、第1アクチュエータ102Aの第1ビーム121aと第1アクチュエータ102Bの第1ビーム121aの構成は同様である。
第1ビーム121a,121cは、ビーム本体123と、ビーム本体123の表面に積層された圧電素子124とを有している。
ビーム本体123は、断面方形の棒状に形成されている。ビーム本体123は、第1シリコン層s1で形成されている。
圧電素子124は、ビーム本体123の一方の表面に設けられている。ビーム本体123の表面にはSiO2膜128が積層されており、圧電素子124は、SiO2膜128上に積層されている。圧電素子124は、下部電極125と、上部電極127と、これらに挟持された圧電体層126とを有する。下部電極125、圧電体層126、上部電極127は、SiO2膜128上にこの順で積層されている。圧電素子124は、SOI基板Sとは別の部材で形成されている。詳しくは、下部電極125は、Pt/Ti膜又はIr/Ti膜で形成されている。圧電体層126は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で形成されている。上部電極127は、Au/Ti膜で形成されている。
圧電素子124の上部電極127及び下部電極125に電圧が印加されると、ビーム本体123のうち圧電素子124が積層された表面が伸縮し、ビーム本体123は、圧電素子124を内側にして湾曲する。
第2ビーム122b,122dは、ビーム本体123と、ダミー膜129とを有している。ビーム本体123の表面には、SiO2膜128が成膜されており、SiO2膜128上にダミー膜129が積層されている。ダミー膜129には、下部電極125、圧電体層126及び上部電極127が含まれている。つまり、ダミー膜129は、圧電素子124と同様の構成をしている。しかし、ダミー膜129は、電圧が印加されることはなく、圧電素子としては機能しない。これらの薄膜は、複数のビームの初期反り及び温度変化による反りをキャンセルするためのものである。詳しくは、第1ビーム121a,121cは、第1シリコン層s1で形成されたビーム本体123の表面に、SiO2膜128、下部電極125、圧電体層126及び上部電極127をスパッタリング等の方法により成膜されており、その成膜過程の温度変動等によって成膜後にビームに反りが生じ得る。例えば、ビーム本体123のうち薄膜が成膜された側の表面が収縮して、該表面を内側にして反り上がる場合がある。しかしながら、例えば第1ビーム121aには、第2ビーム122bが折り返すように連結され、第2ビーム122bのビーム本体123にも圧電素子124と同様のダミー膜129が成膜されている。つまり、第1ビーム121aと第2ビーム122bとが、互いに略平行な状態で反る。その結果、第1ビーム121aの先端部及び第2ビーム122bの基端部は、浮き上がった状態となるものの、第2ビーム122bの先端部は、第1ビーム121aの基端部と同じ高さに戻ってくる。こうして、第2ビーム122bの先端部においては、初期反りによるSOI基板Sの厚み方向の変位をキャンセルすることができる。第1ビーム121c及び第2ビーム122dにおいても同様である。また、第1ビーム121a,121cは、シリコン、SiO2、Pt/Ti等の熱膨張率が異なる材料を積層させているので、温度が変化したときに、各膜がその熱膨張率に応じて様々に収縮する。そのため、第1ビーム121a,121cが反る場合がある。しかしながら、第2ビーム122b,122dも、第1ビーム121a,121cと同様の積層構造をしているので、第1ビーム121a,121cと同様の反りが生じる。その結果、初期反りの場合と同様に、第1ビーム121aの反りを第2ビーム122bがキャンセルし、第1ビーム121cの反りを第2ビーム122dがキャンセルする。
ここで、第2ビーム122b,122dのSiO2膜128は、第1ビーム121a,121cのSiO2膜128と一体的に形成されている。また、ダミー膜129の下部電極125及び圧電体層126は、圧電素子124の下部電極125及び圧電体層126と一体的に形成されている。しかし、ダミー膜129の上部電極127と圧電素子124の上部電極127とは、基本的には絶縁されている。
ただし、第2ビーム122bのダミー膜129において、上部電極127は、第1ビーム121aの上部電極127と第1ビーム121cの上部電極127とを導通させるための配線パターン127bを含んでいる。詳しくは、ダミー膜129の上部電極127は、第1ビーム121aの上部電極127及び第1ビーム121cの上部電極127と絶縁された、ダミー上部電極127a,127cと、第1ビーム121aの上部電極127及び第1ビーム121cの上部電極127と導通する配線パターン127bとを有している。ダミー上部電極127a,127cと配線パターン127bとは、互いに絶縁されている。この構成により、第1ビーム121aの上部電極127に電圧が印加されると、第2ビーム122bの配線パターン127bを介して第1ビーム121cの上部電極127にも電圧が印加される。このとき、第2ビーム122bのダミー上部電極127a,127cには電圧が印加されない。
尚、配線パターン127bに通電することによって、第2ビーム122bにおいて、配線パターン127bと下部電極125との間に電圧が印加されることになるが、配線パターン127bは十分に細いため、第2ビーム122bの圧電体層126には歪みがほとんど生じない。仮に該圧電体層126に歪みが生じたとしても、その歪みは十分に小さいので、第2ビーム122bは僅かに湾曲するだけで、その湾曲量は第1ビーム121a,121cに比べて十分に小さい。
一方、第2ビーム122dには配線パターンを設ける必要が無いので、第2ビーム122dの上部電極127は、圧電素子124の上部電極127と同様の構成をしている。
第1ブレード104は、ブレード本体141と、ヒンジ103,103を介して第1アクチュエータ102A,102Bに連結される連結ビーム142,142とを有している。ブレード本体141は、略方形の板状に形成されている。第1ブレード104は、移動体の一例である。
ブレード本体141は、フレーム101内のX方向略中央において、その厚み方向がY方向に一致するように配置されている。ブレード本体141は、第1シリコン層s1、酸化膜層s2及び第2シリコン層s3で形成されている。ブレード本体141の一方の表面(Y方向前側を向く面であり、光路の入射側を向く面)には、Au膜143が成膜されている。
連結ビーム142は、X方向に延びる棒状に形成されている。連結ビーム142,142は、ブレード本体141のZ方向の一方の端縁の両端部からX方向に延びている。連結ビーム142は、第1シリコン層s1で形成されている。ここで、各連結ビーム142の先端部は、X方向において、第1アクチュエータ102の第2ビーム122dの先端部よりも外側まで延びている。
ヒンジ103は、弾性的に変形可能に構成されている。具体的には、ヒンジ103は、複数の直線部と、隣り合う直線部の端部同士を連結する折り返し部とを有し、全体として蛇行した形状をしている。直線部は、Y方向に延びており、ヒンジ103は、Y方向に延びる軸、即ち、回転軸103a回りに湾曲しやすくなっている。ヒンジ103の一端部は、第1アクチュエータ102の第2ビーム122dの先端部に連結され、ヒンジ103の他端部は、連結ビーム142の先端部に連結されている。第2ビーム122dに連結される一端部より、連結ビーム142に連結される他端部の方がX方向の外側に位置している。ヒンジ103は、連結部の一例である。
フレーム101には、第1アクチュエータ102の第1ビーム121a,121cの上部電極127,127に電気的に接続された第1上部給電端子111と、アクチュエータ102の第1ビーム121a,121cの下部電極125,125に電気的に接続された第1下部給電端子112と、配線を介して第1上部給電端子111と電気的に接続された上部接続端子113と、配線を介して第1下部給電端子112と電気的に接続された下部接続端子114とが設けられている。第1上部給電端子111からは、第1アクチュエータ102A,102Bの第1ビーム121a,121aの上部電極127,127まで配線が延びている。フレーム101のSiO2膜128上には、部分的に、下部電極125及び圧電体層126が積層され、圧電体層126上に第1上部給電端子111、第1下部給電端子112、上部接続端子113、下部接続端子114及び配線が設けられている。ただし、下部接続端子114が設けられている圧電体層126には、下部電極125に達する開口(図2において破線で図示)が形成されている。下部接続端子114は、この開口を覆うように設けられており、下部電極125と電気的に接続されている。これにより、第1下部給電端子112は、下部電極125と電気的に接続されている。これら第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112は、第1端子の一例である。
続いて、このように構成された第1ユニット100の動作について説明する。図5に、第1ビームを湾曲させたときのシャッタ装置の斜視図を示す。
第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112に電圧を印加すると、各第1アクチュエータ102の第1ビーム121a,121cの圧電素子124,124に電圧が印加される。これにより、第1ビーム121a,121cは、圧電素子124を内側にして、SOI基板Sの表面に対して上側に湾曲する。一方、第2ビーム122b,122dは、実質的に湾曲せず、略直線状に延びた状態のままである。つまり、図5に示すように、フレーム101から第1ビーム121aが上側へ反り上がるように延び、第1ビーム121aの先端部から第2ビーム122bが折り返して、略直線状に延び、第2ビーム122bの先端部から第1ビーム121cが折り返して、上側へ反り上がるように延び、第1ビーム121cの先端部から第2ビーム122dが折り返して、略直線状に延びた状態となる。
さらに詳しくは、第1ビーム121aの先端部は、斜め上方へ向かって傾斜している。第1ビーム121aの先端部から折り返す第2ビーム122bは、第1ビーム121aの先端部と同じ傾きとなっている。つまり、第2ビーム122bは、斜め下方へ向かって、略直線状に延び、第2ビーム122bの先端部は、第1ビーム121aの基端部よりも下方、即ち、SOI基板Sの表面よりも下方に位置する。第1ビーム121cの基端部は、第2ビーム122bと同じ傾きで、第2ビーム122bの先端部から折り返す。ここで、第1ビーム121cの曲率は、第1ビーム121aの曲率と略同じであるが、第1ビーム121aの基端部が、SOI基板Sの表面と略平行であるのに対し、第1ビーム121cの基端部は、先端側へ向かって斜め上方に傾斜しているので、第1ビーム121cの先端部は、第1ビーム121aの先端部よりもさらに上方へ浮き上がる。さらに、第1ビーム121cの先端部は、第1ビーム121aの先端部よりもさらに斜め上方へ傾いた状態となる(即ち、SOI基板Sの表面に対する傾斜角が大きくなる)。そして、第2ビーム122dは、第1ビーム121cの先端部と同じ傾きで第1ビーム121cの先端部から折り返す。その結果、第2ビーム122dは、第2ビーム122bよりも大きな傾斜角で斜め下方へ延び、第2ビーム122dの先端部は、第2ビーム122bの先端部よりも下方に位置する。
ここで、第1アクチュエータ102Aと第1アクチュエータ102Bには同じ電圧が印加されているので、第1アクチュエータ102Aの第2ビーム122dの先端部と、第1アクチュエータ102Bの第2ビーム122dの先端部とは、SOI基板Sの表面から略同じ量だけ下降した位置に位置している。その結果、第1ブレード104は、連結ビーム142,142が略同じ量だけ下降するので、ブレード本体141が下方へ平行移動する。
尚、第2ビーム122dの先端部は、電圧印加前と比べて、X方向の内側に少しだけ変位するが、この変位はヒンジ103がX方向へ伸びることによって吸収される。
続いて、第2ユニット200について説明する。第2ユニット200の基本的な構成は、第1ユニット100と同様である。第1ユニット100の要素には、100番台の符号を付しているのに対し、第2ユニット200の要素には、200番台の符号を付している。第1ユニット100の要素と第2ユニット200の要素とで、十の位以下の符号が同じ要素は同様の機能を有する。以下では、第2ユニット200のうち、第1ユニット100と異なる部分を中心に説明する。図6に、第2ユニット200の平面図を示し、図7に、第2ユニット200を部分的に拡大した平面図を示す。
第2ユニット200は、SOI基板Sを用いて製造されている。第2ユニット200は、フレーム201と、フレーム201に連結された2つの第2アクチュエータ202,202と、2つの第2アクチュエータ202,202にそれぞれヒンジ203,203を介して連結された第2ブレード204とを有している。尚、2つの第2アクチュエータ202,202を区別するときには、符号を変えて、それぞれ第2アクチュエータ202A、第2アクチュエータ202Bと称する。図6,7において、第2アクチュエータ202Aが下方に位置し、第2アクチュエータ202Bが上方に位置している。第2ユニット200は、駆動装置の一例である。
フレーム201は、概略長方形の枠状に形成されている。フレーム201は、フレーム101とは異なり、完全に閉じた枠状に形成されている。以下、説明の便宜上、フレーム201の長手方向をX方向、フレーム201の短手方向をY方向、フレーム201の厚み方向をZ方向と称する。尚、X方向において、図6,7における左側を左側、図6,7における右側を右側と称することもある。Y方向において、図6,7における上側を前側、図6,7における下側を後側と称することもある。Z方向において、第1シリコン層s1側を上側、第2シリコン層s3側を下側と称することもある。
2つの第2アクチュエータ202A,202Bは、フレーム201内において、第2ブレード204を挟んでY軸方向に並んで配置されている。各第2アクチュエータ202は、基端部がフレーム201に連結され、先端部が自由端となるカンチレバー構造をしている。自由端となる先端部に、第2ブレード204が連結されている。各第2アクチュエータ202は、SOI基板Sの主面内で折り返すように連結された4本のビームを有している。4本のビームは、主面に対して一方の側へ湾曲する2本の第1ビーム221b,221dと、湾曲しないか又は該第1ビーム221b,221dよりも湾曲が小さい2本の第2ビーム222a,222cとを含んでいる。第1ビーム221b,221dと第2ビーム222a,222cとは、交互に連結されている。第1ビーム221b,221d及び第2ビーム222a,222cは、互いに平行に配列されている。尚、第1ビーム221bと第1ビーム221dとを区別しないときには、単に第1ビーム221と称する。また、第2ビーム222aと第2ビーム222cとを区別しないときには、単に第2ビーム222と称する。
詳しくは、第2アクチュエータ202Aにおいて、第2ビーム222aの基端部がフレーム201のX方向の左端部に固定され、第2ビーム222aは、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム222aの先端部には、第1ビーム221bが連結されている。第1ビーム221bは、第2ビーム222aから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム221bの先端部には、第2ビーム222cが連結されている。第2ビーム222cは、第1ビーム221bから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム222cの先端部には、第1ビーム221dが連結されている。第1ビーム221dは、第2ビーム222cから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム221dの先端部には、ヒンジ203を介して第2ブレード204が連結されている。
一方、第2アクチュエータ202Bにおいて、第2ビーム222aの基端部がフレーム201のX方向の右端部に固定され、第2ビーム222aは、X方向の左側へ向かって延びている。第2ビーム222aの先端部には、第1ビーム221bが連結されている。第1ビーム221bは、第2ビーム222aから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第1ビーム221bの先端部には、第2ビーム222cが連結されている。第2ビーム222cは、第1ビーム221bから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第2ビーム222cの先端部には、第1ビーム221dが連結されている。第1ビーム221dは、第2ビーム222cから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第1ビーム221dの先端部には、ヒンジ203を介して第2ブレード204が連結されている。
つまり、第2アクチュエータ202A及び第2アクチュエータ202Bは、フレーム201に連結されているビームが第2ビーム222であり、そこから交互に、第1ビーム221、第2ビーム222が連結され、最終的に第1ビーム221dの先端部に第2ブレード204が連結されている点で共通する。一方、第2アクチュエータ202A及び第2アクチュエータ202Bは、第2ビーム222aの基端部がX方向において反対の位置でそれぞれフレーム201に固定されている点、及び、第1ビーム221dの先端部がX方向において反対の位置にそれぞれ位置する点で異なっている。
続いて、各ビームの構成について説明する。第2アクチュエータ202Aと第2アクチュエータ202Bとで各ビームの構成は同様である。例えば、第2アクチュエータ202Aの第1ビーム221bと第2アクチュエータ202Bの第1ビーム221bの構成は同様である。
第1ビーム221b,221dは、ビーム本体223と、ビーム本体223の表面に積層された圧電素子224とを有している。ビーム本体223は、第1アクチュエータ102のビーム本体123と同様の構成であり、圧電素子224は、第1アクチュエータ102の圧電素子124と同様の構成である。すなわち、ビーム本体223の表面にはSiO2膜128が積層されており、SiO2膜128上に圧電素子224が積層されている。圧電素子224は、下部電極225と、上部電極227と、これらに挟持された圧電体層226とを有する。圧電素子224の上部電極227及び下部電極225に電圧が印加されると、ビーム本体223のうち圧電素子224が積層された表面が伸縮し、ビーム本体223は、圧電素子224を内側にして湾曲する。
第2ビーム222a,222cは、ビーム本体223と、ダミー膜229とを有している。ビーム本体223の表面には、SiO2膜228が成膜されており、SiO2膜228上にダミー膜229が積層されている。ダミー膜229には、下部電極225、圧電体層226及び上部電極227が含まれている。つまり、ダミー膜229は、圧電素子224と同様の構成をしている。しかし、ダミー膜229は、電圧が印加されることはなく、圧電素子としては機能しない。ダミー膜229は、第1アクチュエータ102のダミー膜129と同様に、ビームの初期反り及び温度変化による反りをキャンセルするためのものである。
尚、第2ビーム222a,222cのダミー膜229は何れも、第2ビーム122bのダミー膜129と同じタイプである。つまり、ダミー膜229の上部電極227は、第1ビーム221bの上部電極227及び第1ビーム221dの上部電極227と絶縁された、ダミー上部電極227a,227cと、第1ビーム221bの上部電極227及び第1ビーム221dの上部電極227と導通する配線パターン227bとを有している。
第2ブレード204は、ブレード本体241と、ヒンジ203,203を介して第2アクチュエータ202A,202Bに連結される連結ビーム242,242とを有している。第2ブレード204は、第1ブレード104とY方向位置がずれている。第2ブレード204は、移動体の一例である。
ブレード本体241は、略方形の板状に形成されている。ブレード本体241は、フレーム201内のX方向略中央において、その厚み方向がY方向に一致するように配置されている。ブレード本体241の一方の表面(Y方向前側を向く面であり、光路の入射側を向く面)には、Au膜243が成膜されている。
連結ビーム242は、X方向に延びる棒状に形成されている。連結ビーム242,242は、ブレード本体241のZ方向の一方の端縁の両端部からX方向に延びている。ここで、各連結ビーム242の先端部は、X方向において、第2アクチュエータ202の第1ビーム221dの先端部よりも外側まで延びている。
ヒンジ203は、第1アクチュエータ102のヒンジ103と同様の構成をしている。ヒンジ203は、直線部に沿ってY方向に延びる回転軸203a回りに湾曲しやすくなっている。ヒンジ203は、連結部の一例である。
フレーム201には、第2アクチュエータ202の第1ビーム221b,221dの上部電極227,227に電気的に接続された第2上部給電端子211と、第2アクチュエータ202の第1ビーム221b,221dの下部電極225,225に電気的に接続された第2下部給電端子212とが設けられている。第2上部給電端子211からは、第2アクチュエータ202A,202Bの第2ビーム222a,222aの配線パターン227b,227bまで配線が延びている。フレーム201のSiO2膜228上には、部分的に、下部電極225及び圧電体層226が積層され、圧電体層226上に第2上部給電端子211、第2下部給電端子212及び配線が設けられている。ただし、第2下部給電端子212が設けられている圧電体層226には、下部電極225に達する開口(図6において破線で図示)が形成されている。第2下部給電端子212は、この開口を覆うように設けられており、下部電極225と電気的に接続されている。これら第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212は、第2端子の一例である。
続いて、このように構成された第2ユニット200の動作について説明する。
第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212に電圧を印加すると、各第2アクチュエータ202の第1ビーム221b,221dの圧電素子224,224に電圧が印加される。これにより、第1ビーム221b,221dは、圧電素子224を内側にして、SOI基板Sの表面に対して上側に湾曲する。一方、第2ビーム222a,222cは、実質的に湾曲せず、略直線状に延びた状態のままである。つまり、図5に示すように、フレーム201から第2ビーム222aがSOI基板Sの表面と平行に略直線状に延び、第1ビーム221bが第2ビーム222aの先端部からが折り返して、上側へ反り上がるように延び、第1ビーム221bの先端部から第2ビーム222cが折り返して、略直線状に延び、第2ビーム222cの先端部から第1ビーム221dが折り返して、上側へ反り上がるように延びた状態となる。
さらに詳しくは、第1ビーム221bの先端部は、斜め上方へ向かって傾斜している。第1ビーム221bの先端部から折り返す第2ビーム222cは、第1ビーム221bの先端部と同じ傾きとなっている。つまり、第2ビーム222cは、斜め下方へ向かって、略直線状に延び、第2ビーム222cの先端部は、第1ビーム221bの基端部よりも下方、即ち、SOI基板Sの表面よりも下方に位置する。第1ビーム221dの基端部は、第2ビーム222cと同じ傾きで、第2ビーム222cの先端部から折り返す。ここで、第1ビーム221dの曲率は、第1ビーム221bの曲率と略同じであるが、第1ビーム221bの基端部が、SOI基板Sの表面と略平行であるのに対し、第1ビーム221dの基端部は、先端側へ向かって斜め上方に傾斜しているので、第1ビーム221dの先端部は、第1ビーム221bの先端部よりもさらに上方へ浮き上がる。
ここで、第2アクチュエータ202Aと第2アクチュエータ202Bには同じ電圧が印加されているので、第2アクチュエータ202Aの第1ビーム221dの先端部と、第2アクチュエータ202Bの第1ビーム221dの先端部とは、SOI基板Sの表面から略同じ量だけ上昇した位置に位置している。その結果、第2ブレード204は、連結ビーム242,242が略同じ量だけ上昇するので、ブレード本体241が上方へ平行移動する。
尚、第1ビーム221dの先端部は、電圧印加前と比べて、X方向の内側に少しだけ変位するが、この変位はヒンジ203がX方向へ伸びることによって吸収される。
また、第2アクチュエータ202の第2ビーム222aは、第2ブレード204の上昇にほとんど寄与しないため省略してもよいが、第2ビーム222aが第1ビーム221bと対をなすことによって、前述の如く、第1ビーム221bの初期反り及び温度変化による反りをキャンセルする機能を有する。
このように構成された第1ユニット100及び第2ユニット200は、スペーサ300,300を介して重ね合わされている。スペーサ300は、ガラスで形成されている。スペーサ300は、図2,3に示すように、フレーム101の短辺及び長辺に沿って、平面視L字状に形成されている。ただし、一方のスペーサ300の、フレーム101の長辺に沿う部分と、他方のスペーサ300の、フレーム101の長辺に沿う部分とは、つながっておらず、間隔を空けて配置されている。
スペーサ300,300を設けることにより、図1,4に示すように、第1ユニット100と第2ユニット200との間にはそれらの積層方向において間隔が形成される。このとき、フレーム101とフレーム201との間には、フレーム101、フレーム201及び2つのスペーサ300,300により区画される開口310が形成される。この開口310を通過するように光路Lが設定される。
また、第2ユニット200のうち、スペーサ300,300と反対の面にはベース400が接合されている。ベース400は、ガラスで形成されている。ベース400は、概略長方形の枠状に形成されている。
こうして、第1ユニット100と第2ユニット200とを積層させた状態において、第1ユニット100の第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112は、フレーム101のZ方向上向きの面に配設され、第2ユニット200の第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212は、フレーム201のZ方向上向きの面に配設されている。また、第2ユニット200の第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212が設けられている部分は、第1ユニット100のフレーム101が切り欠かれて、第2ユニット200のフレーム201が露出している部分である。そのため、第1ユニット100と第2ユニット200とを積層させた状態において、第2ユニット200の第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212は、上方へ露出している。上部接続端子113と第2上部給電端子211とは、ワイヤボンディングにより接続される。下部接続端子114と第2下部給電端子212とは、ワイヤボンディングにより接続される。
第1ユニット100の第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112に駆動電圧が給電されていないときには、第1ブレード104は、Z方向においてフレーム101と略同じ位置に位置し、光路Lを遮断していない。同様に、第2ブレード204は、Z方向においてフレーム201と略同じ位置に位置し、光路Lを遮断していない。このときの第1ブレード104及び第2ブレード204の位置を、開通位置と称する。すなわち、第1ブレード104及び第2ブレード204が開通位置に位置するときには、光路Lが開通しており、第1ユニット100と第2ユニット200との間の光路Lを光が通過することができる。
一方、第1ユニット100の第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112に駆動電圧が給電されると、第1ユニット100の第1アクチュエータ102A,102B及び第2ユニット200の第2アクチュエータ202A,202Bに駆動電圧が印加される。第1ブレード104は、Z方向下側、即ち、第2ユニット200の方へ移動し、第2ブレード204は、Z方向上側、即ち、第1ユニット100の方へ移動する。最終的に、第1ブレード104及び第2ブレード204は、ブレード本体141とブレード本体241がオーバーラップする位置まで移動する。このときの第1ブレード104及び第2ブレード204の位置を、遮断位置と称する。遮断位置においては、ブレード本体141の下端縁がブレード本体241の上端縁よりも下方に位置している。すなわち、Y方向を向いて見たときに(光路Lの方向を向いて見たときに)ブレード本体141の下端部とブレード本体241の上端部とが重なり合っている。その結果、第1ブレード104及び第2ブレード204により光路Lが遮断される。尚、ブレード本体141の下端部とブレード本体241の上端部とは、Y方向に隙間を有しており、干渉していない。
以上のように、シャッタ装置1000は、第1ブレード104、及び第1ブレード104を駆動する第1アクチュエータ102,102を有する第1ユニット100と、第2ブレード204、及び第2ブレード204を駆動する第2アクチュエータ202,202を有する第2ユニット200とを備え、第1アクチュエータ102,102及び第2アクチュエータ202,202はそれぞれ、所定の平面内で折り返すように連結された複数のビームを有し、複数のビームは、該平面に対して一方の側へ湾曲する第1ビーム121,221と、湾曲しないか又は第1ビーム121,221よりも湾曲が小さい第2ビーム122,222とを含み、第1ユニット100と第2ユニット200とは、前記平面と交差する方向に並んで配置されており、第1ブレード104は、第1アクチュエータ102において、第1ビーム121が湾曲するときに第2ユニット200の方へ移動するように第1ビーム121又は第2ビーム122に連結され、第2ブレード204は、第2アクチュエータ202において、第1ビーム221が湾曲するときに第1ユニット100の方へ移動するように第1ビーム221又は第2ビーム222に連結され、第1ブレード104及び第2ブレード204は、第1アクチュエータ102,102及び第2アクチュエータ202,202が第1ビーム121,221を湾曲させないときには互いに離間して光路Lを開通させる開通位置に位置する一方、第1アクチュエータ102,102及び第2アクチュエータ202,202が第1ビーム121,221を湾曲させるときには互いに接近して光路Lを遮断する遮断位置へ移動する。
この構成によれば、第1ブレード104と第2ブレード204とで光路Lを遮断するため、第1ブレード104を駆動する第1アクチュエータ102,102の駆動量及び第2ブレード204を駆動する第2アクチュエータ202,202の駆動量を、1つのブレードで光路Lを遮断する場合と比べてそれぞれ低減することができる。
この場合、第1ブレード104及び第2ブレード204を互いに接近する方向、即ち、反対向きに移動させる必要がある。前記の構成とすることで、第1アクチュエータ102と第2アクチュエータ202とを概ね同様の構成としつつ、第1ブレード104及び第2ブレード204を互いに反対向きに移動させることができる。
詳しくは、第1アクチュエータ102は、所定の平面内で折り返すように連結された複数のビームを有し、複数のビームは、該平面に対して一方の側へ湾曲する第1ビーム121と、湾曲しないか又は第1ビーム121よりも湾曲が小さい第2ビーム122とを含む。第2アクチュエータ202は、所定の平面内で折り返すように連結された複数のビームを有し、複数のビームは、該平面に対して一方の側へ湾曲する第1ビーム221と、湾曲しないか又は第1ビーム221よりも湾曲が小さい第2ビーム222とを含む。第1ユニット100及び第2ユニット200は、これらの点で構成が共通する。
第1ビーム121(221)と第2ビーム122(222)とが互いに折り返すように連結された構成においては、第1ビーム121(221)は湾曲する一方、第2ビーム122(222)は、湾曲しないか又は第1ビーム121(221)よりも湾曲が小さく、実質的に直線状に延びているので、第1ビーム121(221)及び第2ビーム122(222)それぞれの、連結部とは反対側の端部は、互いに離間した状態となる。
ここで、第1ビーム121を基準として、第1ビーム121から第2ビーム122が折り返している構成を見ると、第1ビーム121が所定の平面に対して一方の側へ湾曲すると、第1ビーム121と第2ビーム122との折り返し部分は、該平面よりも一方側に位置する。そして、第2ビーム122は、第1ビーム121から折り返し、第1ビーム121の折り返し部近傍の傾きと同じ傾きで実質的に直線状に延びている。そのため、第2ビーム122の先端部(連結部とは反対側の端部)は、該平面よりも他方側に位置する。つまり、第1ビーム121が湾曲することによって、第2ビーム122の先端部は、所定の平面よりも他方側に位置することになる。
一方、第2ビーム222を基準として、第2ビーム222から第1ビーム221が折り返している構成を見ると、第2ビーム222は、所定の平面内で実質的に直線状に延びている。そして、第2ビーム222から折り返す第1ビーム221が、該平面の一方側へ湾曲すると、第1ビーム221の先端部は、該平面よりも一方側に位置する。つまり、第1ビーム221が湾曲することによって、第1ビーム221の先端部は、所定の平面よりも一方側へ移動することになる。
このように、第1アクチュエータ102と第2アクチュエータ202を同様の構成とした場合であっても、第1ビーム121,221を湾曲させたときに、第1ビーム121,221と第2ビーム122,222とをそれぞれ、前記平面に対して反対側に移動させることができる。そこで、第1ユニット100においては、第1ビーム121を湾曲させたときに第1ブレード104が第2ユニット200の方へ移動するように第1ブレード104を第1ビーム121及び第2ビーム122に適宜、連結し、第2ユニット200においては、第1ビーム221を湾曲させたときに第2ブレード204が第1ユニット100の方へ移動するように第2ブレード204を第1ビーム221及び第2ビーム222に適宜、連結することによって、第1ブレード104と第2ブレード204とが互いに接近する方向に移動する構成を容易に実現することができる。
具体的には、第1ブレード104は、第1アクチュエータ102,102において第2ビーム122,122に連結され、第2ブレード204は、第2アクチュエータ202,202において第1ビーム221,221に連結されている。
この構成によれば、第1アクチュエータ102においては、第1ビーム121から第2ビーム122が折り返し、第2ビーム122に第1ブレード104が連結されている。そのため、第1ブレード104は、第1ビーム121が湾曲することによって、所定の平面よりも他方側に位置することになる。
一方、第2アクチュエータ202においては、第2ビーム222から第1ビーム221が折り返し、第1ビーム221に第2ブレード204が連結されている。そのため、第2ブレード204は、第1ビーム221が湾曲することによって、所定の平面よりも一方側に位置することになる。
こうして、第1ブレード104及び第2ブレード204を互いに反対向きに移動させることができる。この反対向きの移動が、第1ブレード104及び第2ブレード204が互いに接近する方向の移動となるように、第1ユニット100と第2ユニット200とを配置することによって、第1ブレード104と第2ブレード204とが互いに接近する方向に移動する構成を容易に実現することができる。
尚、第2ビーム122の先端から第1ビーム121と同様の構成のビームを折り返し、そのビームの先端に第1ブレード104を連結する構成であっても、該ビームの長さが短ければ、第1ビーム121が湾曲したときに第1ブレード104は所定の平面よりも他方側(第1ブレード104を第2ビーム122に直接連結する場合と同じ側)に移動する。このような場合、第2ビーム122の先端から折り返すビームは、第1ブレード104と第2ビーム122とを連結する連結部とみなすことができる。同様に、第1ビーム221の先端から第2ビーム222と同様の構成のビームを折り返し、そのビームの先端に第2ブレード204を連結する構成であっても、該ビームの長さが短ければ、第1ビーム221が湾曲したときに第2ブレード204は所定の平面よりも一方側(第2ブレード204を第1ビーム221に直接連結する場合と同じ側)に移動する。このような場合、第1ビーム221の先端から折り返すビームは、第2ブレード204と第1ビーム221とを連結する連結部とみなすことができる。つまり、ここで言う第1ビーム121、221は、第1ビーム121,221を湾曲させることによって第1ブレード104又は第2ブレード204を所定の平面よりも一方側へ移動させることができるビームであり、ここで言う第2ビーム122、222は、第1ビーム121,221を湾曲させることによって第1ブレード104又は第2ブレード204を所定の平面よりも他方側へ移動させることができるビームである。第1ブレード104又は第2ブレード204が所定の平面に対して移動する側を切り替えることに寄与しないビームは、単に第1ブレード104又は第2ブレード204の連結部に過ぎない。
また、第1アクチュエータ102及び第2アクチュエータ202のそれぞれにおいて、第1ビーム121,221と第2ビーム122,222とは、交互に連結されている。
すなわち、第1アクチュエータ102においては、第1ビーム121と第2ビーム122とが交互に連結され、第2アクチュエータ202においては、第1ビーム221と第2ビーム222とが交互に連結されている。
例えば、第1ビーム121,121同士が折り返している場合、両者は平行な状態のまま湾曲するので、一方の第1ビーム121から折り返した第1ビーム121の先端部は、一方の第1ビーム121の基端部と同じ位置に戻ってくる。つまり、アクチュエータの中に種類が同じビームが折り返す構成が含まれていてもよいが、そのような構成は、ブレードの移動にはほとんど寄与しない。それに対し、第1ビーム121(221)と第2ビーム122(222)とを折り返すように連結すると、前述の如く、第1ビーム121(221)及び第2ビーム122(222)の折り返し部とは反対側の端部は、互いに離間するようになる。つまり、ブレードの移動という観点では、各ビームを有効に活用することができる。
さらに、第1アクチュエータ102及び第2アクチュエータ202のそれぞれは、偶数本のビームを含んでいる。
折り返すように連結された2本のビームは、前述の如く、初期反り及び温度変化による反りを互いにキャンセルすることができる。各アクチュエータに含まれるビームの本数が偶数であれば、ビームは2本で1組の対ができあがるので、初期反り及び温度変化による反りを低減することができる。
尚、各アクチュエータに含まれるビームが偶数本の場合、第1ブレード104を第1ビーム121及び第2ビーム122の一方に連結し、第2ブレード204を第1ビーム221及び第2ビーム222の他方に連結するためには、第1アクチュエータ102及び第2アクチュエータ202の一方においては、ブレードから数えて偶数番目のビームが第1ビームであり、第1アクチュエータ102及び第2アクチュエータ202の他方においては、ブレードから数えて奇数番目のビームが第1ビームとなる。
また、第1ユニット100及び第2ユニット200は、互いに重ね合わせられている。ここで、重ね合わせられているとは、直接的に重ね合わせられていてもよいし、間接的に重ね合わせられていてもよい。
それに加えて、第1アクチュエータ102及び第2アクチュエータ202は、圧電効果により湾曲する圧電型アクチュエータであり、第1ユニット100は、第1アクチュエータ102に印加する電圧が供給される第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112を有し、第2ユニット200は、第2アクチュエータ202に印加する電圧が供給される第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212を有し、第1ユニット100及び第2ユニット200は、それぞれSOI基板Sから形成され、第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112は、第1ユニット100のSOI基板Sの一の表面に設けられ、第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212は、第2ユニット200のSOI基板Sのうち、前記第1ユニット100の前記一の表面と同じ方向を向く表面に設けられている。
この構成によれば、第1ユニット100の第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112と、第2ユニット200の第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212が、それぞれのSOI基板Sにおいて同じ方向を向く面に設けられているので、配線の引き回しが容易になる。
さらに、第1アクチュエータ102及び2アクチュエータ202は、SOI基板S上に圧電素子124,224を積層させた圧電型アクチュエータであり、第1アクチュエータ102の圧電素子124は、第1ユニット100のSOI基板Sにおいて第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112が設けられた表面と同じ方向を向く表面に設けられ、第2アクチュエータ202の圧電素子224は、第2ユニット200のSOI基板Sにおいて第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212が設けられた表面と同じ方向を向く表面に設けられている。
この構成によれば、第1ユニット100において、圧電素子124と第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112とはSOI基板Sの同じ方向を向く表面に設けられているので、圧電素子124と第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112の成膜を容易に行うことができる。つまり、スパッタリング等によって成膜を行う場合、SOI基板Sの向き等を変える必要がないので、成膜工程を簡易にすることができる。尚、本実施形態では、圧電素子124と第1上部給電端子111及び第1下部給電端子112とはSOI基板Sの同じ表面に設けられている。
同様に、第2ユニット200において、圧電素子224と第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212とはSOI基板Sの同じ方向を向く表面に設けられているので、圧電素子224と第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212の成膜を容易に行うことができる。つまり、スパッタリング等によって成膜を行う場合、SOI基板Sの向き等を変える必要がないので、成膜工程を簡易にすることができる。尚、本実施形態では、圧電素子224と第2上部給電端子211及び第2下部給電端子212とはSOI基板Sの同じ表面に設けられている。
このように、各ユニットにおいて圧電素子と端子とをSOI基板Sの同じ方向を向く面に設けると共に、第1ユニット100と第2ユニット200とを両方の端子が同じ方向を向くように重ね合わせる構成においては、第1ユニット100において圧電素子124が設けられた面と、第2ユニット200において圧電素子224が設けられた面とは、同じ方向を向くようになる。これにより、第1ユニット100の第1ビーム121と、第2ユニット200の第1ビーム221とは、同じ側に湾曲する。そのため、第1ブレード104及び第2ブレード204をそれぞれの第1ビーム121,221に連結すると、第1ビーム121,122を湾曲させても、第1ブレード104及び第2ブレード204は同じ側にしか移動しない。つまり、第1ブレード104及び第2ブレード204を互いに接近させて光路Lを遮断することができない。それに対し、前記の構成においては、第1ブレード104を第2ビーム122に連結し、第2ブレード204を第1ビーム221に連結することによって、第1ブレード104及び第2ブレード204を互いに接近する方向に移動させることができる。こうすることで、成膜及び配線の引き回しを容易にしつつ、第1ブレード104及び第2ブレード204を互いに接近する方向に移動させる構成を容易に実現することができる。
尚、第1ブレード104を第1ビーム121に連結し、第2ブレード204を第2ビーム222に連結するようにしてもよい。その場合には、第1ユニット100に対して、第1ビーム121が湾曲する側に第2ユニット200が配置される。
また、第1ユニット100は、第1ブレード104と、第1ブレード104を駆動する第1アクチュエータ102A,102Bとを備え、第1アクチュエータ102A,102Bは、所定の平面内で折り返すように連結された複数のビームを有すると共に、折り返す2本のビームを1単位として該折り返す2本のビームを複数単位含んでおり、複数のビームは、前記平面に対して一方の側へ湾曲する第1ビーム121と、湾曲しないか又は該第1ビーム121よりも湾曲が小さい第2ビーム122とを含み、第1アクチュエータ102A,102Bのうち折り返すように連結された複数のビームの先端部には、所定の回転軸103a回りに湾曲するヒンジ103を介して第1ブレード104が連結されており、一方のヒンジ103の回転軸103aと他方のヒンジの回転軸103aとは、一直線上に並ばないように配置されている。
この構成によれば、2つの第1アクチュエータ102A,102Bには、ヒンジ103,103を介して第1ブレード104が連結されており、2つの第1アクチュエータ102A,102Bによって第1ブレード104が駆動される。アクチュエータ102は、所定の平面内で折り返すように連結された複数のビームを有しており、複数のビームのうちの第1ビーム121が湾曲することによって第1ブレード104が駆動される。このとき、第1ブレード104がビーム121,122に直接連結されている場合には、第1ブレード104は、ビームのうち該第1ブレード104が連結された部分と同様の傾動角で傾動する(すなわち、一体的に傾動する)。しかしながら、前記の構成では、ビーム121,122と第1ブレード104とがヒンジ103を介して連結され、ヒンジ103が回転軸103a回りに湾曲する。そのため、ビームの傾動の一部はヒンジ103aの湾曲により吸収され、第1ブレード104は、ビームのうち第1ブレード104が連結された部分とは必ずしも同様には傾動しない。
それに加え、第1アクチュエータ102Aと第1ブレード104とを連結するヒンジ103の回転軸103aと、第1アクチュエータ102Bと第1ブレード104とを連結するヒンジ103の回転軸103aとが一直線上に並ばないように配置されている。そのため、第1ブレード104が一方のヒンジ103の回転軸103a回りに回転しようとしても、他方のヒンジ103が第1ブレード104のうち一方のヒンジ103の回転軸103a上にはない部分を支持しており、一方のヒンジ103の回転軸103a回りの第1ブレード104の回転を規制する。同様に、第1ブレード104が他方のヒンジ103の回転軸130a回りに回転しようとする場合には、一方のヒンジ103が第1ブレード104の回転を規制する。こうして、第1ブレード104は、一方のヒンジ103の回転軸103a回りにも、他方のヒンジ103の回転軸103a回りにも回転し難くなる。これらの結果、第1ブレード104を2つの第1アクチュエータ102A,102Bで駆動する際に平行移動させ易くなる(即ち、第1ブレード104の姿勢を維持したまま移動させ易くなる)。
尚、第2ユニット200、第1ユニット500及び第2ユニット600も同様の構成をしており、同様の作用効果を奏する。
《発明の実施形態2》
続いて、実施形態2に係るシャッタ装置2000について説明する。
シャッタ装置2000は、第1ユニット500と、第2ユニット600と、第1ユニット500と第2ユニット600との間に介設されたスペーサ700,700と、第2ユニット600を支持するベース800とを備えている。シャッタ装置2000は、第1ユニット500と第2ユニット600との間を通過する光路Lを遮断及び開通させる。シャッタ装置2000は、第1ユニット500及び第2ユニット600のそれぞれにおいて、2つのアクチュエータが長方形のフレーム内で長手方向に並列されている点で、2つのアクチュエータが長方形のフレーム内で短手方向に並列されているシャッタ装置1000と異なる。シャッタ装置2000の各要素の基本的な構成は、シャッタ装置1000と同様である。
図8は、第1ユニット500の平面図であり、図9は、第1ユニット500を部分的に拡大した平面図であり、図10は、図9のX−X線における第1ユニット500及び第2ユニット600の断面図である。図11は、フレームを省略した第1ユニット500の斜視図である。
第1ユニット500は、SOI基板Sを用いて製造されている。第1ユニット500は、フレーム501と、フレーム501に連結された2つの第1アクチュエータ502,502と、2つの第1アクチュエータ502,502にそれぞれヒンジ503,503を介して連結された第1ブレード504とを有している。尚、2つの第1アクチュエータ502,502を区別するときには、符号を変えて、それぞれ第1アクチュエータ502A、第1アクチュエータ502Bと称する。図8,9において、第1アクチュエータ502Aが右側に位置し、第1アクチュエータ502Bが左側に位置している。第1ユニット500は、駆動装置の一例である。
フレーム501は、概略長方形の枠状に形成されている。ただし、フレーム501は、完全に閉じた枠状ではなく、一部が切り欠かれて、開いた形状をしている。以下、説明の便宜上、フレーム501の長手方向をX方向、フレーム501の短手方向をY方向、フレーム501の厚み方向をZ方向と称する。尚、X方向において、図8,9における左側を左側、図8,9における右側を右側と称することもある。Y方向において、図8、9における上側を前側、図8,9における下側を後側と称することもある。Z方向において、第1シリコン層s1側を上側、第2シリコン層s3側を下側と称することもある。
2つの第1アクチュエータ502A,502Bは、フレーム501内において、X方向に並んで配置されている。各第1アクチュエータ502は、基端部がフレーム501に連結され、先端部が自由端となるカンチレバー構造をしている。自由端となる先端部に、第1ブレード504が連結されている。各第1アクチュエータ502は、SOI基板Sの主面内で折り返すように連結された6本のビームを有している。6本のビームは、主面に対して一方の側へ湾曲する3本の第1ビーム521a,521c,521eと、湾曲しないか又は該第1ビーム521a,521c,521eよりも湾曲が小さい3本の第2ビーム522b,522d,522fとを含んでいる。第1ビーム521a,521c,521eと第2ビーム522b,522d,522fとは、交互に連結されている。第1ビーム521a,521c,521e及び第2ビーム522b,522d,522fは、互いに平行に配列されている。尚、第1ビーム521aと第1ビーム521cと第1ビーム521eとを区別しないときには、単に第1ビーム521と称する。また、第2ビーム522bと第2ビーム522dと第2ビーム522fとを区別しないときには、単に第2ビーム522と称する。
詳しくは、第1アクチュエータ502Aにおいて、第1ビーム521aの基端部がフレーム501のX方向の右端部に固定され、第1ビーム521aは、X方向の左側へ向かってフレーム501のX方向略中央まで延びている。第1ビーム521aの先端部には、第2ビーム522bが連結されている。第2ビーム522bは、第1ビーム521aから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム522bの先端部には、第1ビーム521cが連結されている。第1ビーム521cは、第2ビーム522bから折り返して、X方向の左側へ向かってフレーム501のX方向略中央まで延びている。第1ビーム521cの先端部には、第2ビーム522dが連結されている。第2ビーム522dは、第1ビーム521cから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム522dの先端部には、第1ビーム521eが連結されている。第1ビーム521eは、第2ビーム522dから折り返して、X方向の左側へ向かってフレーム501のX方向略中央まで延びている。第1ビーム521eの先端部には、第2ビーム522fが連結されている。第2ビーム522fは、第1ビーム521eから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム522fの先端部には、ヒンジ503を介して第1ブレード504が連結されている。
一方、第1アクチュエータ502Bにおいて、第1ビーム521aの基端部がフレーム501のX方向略中央部に固定され、第1ビーム521aは、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム521aの先端部には、第2ビーム522bが連結されている。第2ビーム522bは、第1ビーム521aから折り返して、X方向の右側へ向かってフレーム501のX方向略中央まで延びている。第2ビーム522bの先端部には、第1ビーム521cが連結されている。第1ビーム521cは、第2ビーム522bから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム521cの先端部には、第2ビーム522dが連結されている。第2ビーム522dは、第1ビーム521cから折り返して、X方向の右側へ向かってフレーム501のX方向略中央まで延びている。第2ビーム522dの先端部には、第1ビーム521eが連結されている。第1ビーム521eは、第2ビーム522dから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム521eの先端部には、第2ビーム522fが連結されている。第2ビーム522fは、第1ビーム521eから折り返して、X方向の右側へ向かってフレーム501のX方向略中央まで延びている。第2ビーム522fの先端部には、ヒンジ503を介して第1ブレード504が連結されている。
第1ビーム521は、シャッタ装置1000の第1ビーム121と同様の構成をしている。すなわち、第1ビーム521は、ビーム本体523と、SiO2膜528を介してビーム本体523の表面に積層された圧電素子524とを有している。
また、第2ビーム522は、シャッタ装置1000の第2ビーム122と同様の構成をしている。すなわち、第2ビーム522は、ビーム本体523と、SiO2膜528を介してビーム本体523の表面に積層されたダミー膜529とを有している。尚、第2ビーム522b,522dのダミー膜529は、シャッタ装置1000の第2ビーム122bと同じタイプである。つまり、ダミー膜529の上部電極527は、ダミー上部電極527a,527cと、第1ビーム521a,521c,521eの上部電極527と導通する配線パターン527bとを有している。一方、第2ビーム522fのダミー膜529は、シャッタ装置1000の第2ビーム122dと同じタイプである。つまり、ダミー膜529の上部電極527は、圧電素子524の上部電極527と同様の構成をしている。
第1ブレード504は、ブレード本体541と、ヒンジ503,503を介して第1アクチュエータ502A,502Bに連結される連結ビーム542,542とを有している。第1ブレード504は、移動体の一例である。
ブレード本体541は、フレーム501内のX方向略中央において、その厚み方向がY方向に一致するように配置されている。ブレード本体541の一方の表面(Y方向前側を向く面であり、光路の入射側を向く面)には、Au膜543が成膜されている。
連結ビーム542は、X方向に延びる棒状に形成されている。連結ビーム542,542は、ブレード本体541のZ方向の一方の端縁の両端部からX方向に延びている。ここで、第1アクチュエータ502Aの第2ビーム522fの先端部は、X方向の右端部に位置するのに対し、第2アクチュエータ502Bの第2ビーム522fの先端部は、X方向略中央部に位置する。そのため、第1アクチュエータ502Aの第2ビーム522fに連結される連結ビーム542は長く、第1アクチュエータ502Bの第2ビーム522fに連結される連結ビーム542は短くなっている。
ヒンジ503は、シャッタ装置1000のヒンジ103と同様の構成をしている。ヒンジ503は、直線部に沿ってY方向に延びる回転軸503a回りに湾曲しやすくなっている。ヒンジ503は、連結部の一例である。
フレーム501には、第1アクチュエータ502の第1ビーム521a,521c,521eの上部電極527に電気的に接続された第1上部給電端子511と、第1アクチュエータ502の第1ビーム521a,521c,521eの下部電極525に電気的に接続された第1下部給電端子512と、配線を介して第1上部給電端子511と電気的に接続された上部接続端子513と、配線を介して第1下部給電端子512と電気的に接続された下部接続端子514とが設けられている。第1上部給電端子511からは、第1アクチュエータ502A,502Bの第1ビーム521a,521aまで配線が延びている。フレーム501のSiO2膜528上には、部分的に、下部電極525及び圧電体層526が積層され、圧電体層526上に第1上部給電端子511、第1下部給電端子512、上部接続端子513、下部接続端子514及び配線が設けられている。ただし、下部接続端子514が設けられている圧電体層526には、下部電極525に達する開口(図8において破線で図示)が形成されている。下部接続端子514は、この開口を覆うように設けられており、下部電極525と電気的に接続されている。これら第1上部給電端子511及び第1下部給電端子512は、第1端子の一例である。
続いて、このように構成された第1ユニット500の動作について説明する。図14に、第1ビームを湾曲させたときの第1ユニットの斜視図を示す。
第1上部給電端子511及び第1下部給電端子512に電圧を印加すると、各第1アクチュエータ502の第1ビーム521a,521c,521eの圧電素子524,524,524に電圧が印加される。これにより、第1ビーム521a,521c,521eは、圧電素子524を内側にして、SOI基板Sの表面に対して上側に湾曲する。一方、第2ビーム522b,522d,522fは、実質的に湾曲せず、略直線状に延びた状態のままである。つまり、フレーム501から第1ビーム521aが上側へ反り上がるように延び、第1ビーム521aの先端部から第2ビーム522bが折り返して、略直線状に延び、第2ビーム522bの先端部から第1ビーム521cが折り返して、上側へ反り上がるように延び、第1ビーム521cの先端部から第2ビーム522dが折り返して、略直線状に延び、第2ビーム522dの先端部から第1ビーム521eが折り返して、上側へ反り上がるように延び、第1ビーム521eの先端部から第2ビーム522fが折り返して、略直線状に延びた状態となる。
さらに詳しくは、第1ビーム521aの先端部は、斜め上方へ向かって傾斜している。第1ビーム521aの先端部から折り返す第2ビーム522bは、第1ビーム521aの先端部と同じ傾きとなっている。つまり、第2ビーム522bは、斜め下方へ向かって、略直線状に延び、第2ビーム522bの先端部は、第1ビーム521aの基端部よりも下方、即ち、SOI基板Sの表面よりも下方に位置する。第1ビーム521cの基端部は、第2ビーム522bと同じ傾きで、第2ビーム522bの先端部から折り返す。ここで、第1ビーム521cの曲率は、第1ビーム521aの曲率と略同じであるが、第1ビーム521aの基端部が、SOI基板Sの表面と略平行であるのに対し、第1ビーム521cの基端部は、先端側へ向かって斜め上方に傾斜しているので、第1ビーム521cの先端部は、第1ビーム521aの先端部よりもさらに上方へ浮き上がる。さらに、第1ビーム521cの先端部は、第1ビーム521aの先端部よりもさらに斜め上方へ傾いた状態となる(即ち、SOI基板Sの表面に対する傾斜角が大きくなる)。そして、第2ビーム522dは、第1ビーム521cの先端部と同じ傾きで第1ビーム521cの先端部から折り返す。その結果、第2ビーム522dは、第2ビーム522bよりも大きな傾斜角で斜め下方へ延び、第2ビーム522dの先端部は、第2ビーム522bの先端部よりも下方に位置する。第1ビーム521eの基端部は、第2ビーム522dと同じ傾きで、第2ビーム522dの先端部から折り返す。ここで、第1ビーム521eの曲率は、第1ビーム521cの曲率と略同じであるが、第1ビーム521eの基端部は、第1ビーム521cの基端部よりも傾斜がきついので、第1ビーム521eの先端部は、第1ビーム521cの先端部よりもさらに上方へ浮き上がる。さらに、第1ビーム521eの先端部は、第1ビーム521cの先端部よりもさらに斜め上方へ傾いた状態となる(即ち、SOI基板Sの表面に対する傾斜角が大きくなる)。そして、第2ビーム522fは、第1ビーム521eの先端部と同じ傾きで第1ビーム521eの先端部から折り返す。その結果、第2ビーム522fは、第2ビーム522dよりも大きな傾斜角で斜め下方へ延び、第2ビーム522fの先端部は、第2ビーム522dの先端部よりも下方に位置する。
ここで、第1アクチュエータ502Aと第1アクチュエータ502Bには同じ電圧が印加されているので、第1アクチュエータ502Aの第2ビーム522fの先端部と、第1アクチュエータ502Bの第2ビーム522fの先端部とは、SOI基板Sの表面から略同じ量だけ下降した位置に位置している。その結果、第1ブレード504は、連結ビーム542,542が略同じ量だけ下降するので、ブレード本体541が下方へ平行移動する。
続いて、第2ユニット600について説明する。第2ユニット600の基本的な構成は、第1ユニット500と同様である。第1ユニット500の要素には、500番台の符号を付しているのに対し、第2ユニット600の要素には、600番台の符号を付している。第1ユニット500の要素と第2ユニット600の要素とで、十の位以下の符号が同じ要素は同様の機能を有する。以下では、第2ユニット600のうち、第1ユニット500と異なる部分を中心に説明する。図12に、第2ユニット600の平面図を示し、図13に、第2ユニット600を部分的に拡大した平面図を示す。
第2ユニット600は、SOI基板Sを用いて製造されている。第2ユニット600は、フレーム601と、フレーム601に連結された2つの第2アクチュエータ602,602と、2つの第2アクチュエータ602,602にそれぞれヒンジ603,603を介して連結された第2ブレード604とを有している。尚、2つの第2アクチュエータ602,602を区別するときには、符号を変えて、それぞれ第2アクチュエータ602A、第2アクチュエータ602Bと称する。図12,13において、第2アクチュエータ602Aが右側に位置し、第2アクチュエータ602Bが左側に位置している。第2ユニット600は、駆動装置の一例である。
フレーム601は、概略長方形の枠状に形成されている。フレーム601は、フレーム501とは異なり、完全に閉じた枠状に形成されている。以下、説明の便宜上、フレーム601の長手方向をX方向、フレーム601の短手方向をY方向、フレーム601の厚み方向をZ方向と称する。尚、X方向において、図12,13における左側を左側、図12,13における右側を右側と称することもある。Y方向において、図12,13における上側を前側、図12,13における下側を後側と称することもある。Z方向において、第1シリコン層s1側を上側、第2シリコン層s3側を下側と称することもある。
2つの第2アクチュエータ602A,602Bは、フレーム601内において、X方向に並んで配置されている。各第2アクチュエータ602は、基端部がフレーム601に連結され、先端部が自由端となるカンチレバー構造をしている。自由端となる先端部に、第2ブレード604が連結されている。各第2アクチュエータ602は、SOI基板Sの主面内で折り返すように連結された6本のビームを有している。6本のビームは、主面に対して一方の側へ湾曲する3本の第1ビーム621b,621d,621fと、湾曲しないか又は該第1ビーム621b,621d,621fよりも湾曲が小さい3本の第2ビーム622a,622c,622eとを含んでいる。第1ビーム621b,621d,621fと第2ビーム622a,622c,622eとは、交互に連結されている。第1ビーム621b,621d,621f及び第2ビーム622a,622c,622eは、互いに平行に配列されている。尚、第1ビーム621bと第1ビーム621dと第1ビーム621fとを区別しないときには、単に第1ビーム621と称する。また、第2ビーム622aと第2ビーム622c第2ビーム622eとを区別しないときには、単に第2ビーム622と称する。
詳しくは、第2アクチュエータ602Aにおいて、第2ビーム622aの基端部がフレーム601のX方向の略中央に固定され、第2ビーム622aは、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム622aの先端部には、第1ビーム621bが連結されている。第1ビーム621bは、第2ビーム622aから折り返して、X方向の左側へ向かってフレーム601のX方向略中央まで延びている。第1ビーム621bの先端部には、第2ビーム622cが連結されている。第2ビーム622cは、第1ビーム621bから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム622cの先端部には、第1ビーム621dが連結されている。第1ビーム621dは、第2ビーム622cから折り返して、X方向の左側へ向かってフレーム601のX方向略中央まで延びている。第1ビーム621dの先端部には、第2ビーム622eが連結されている。第2ビーム622eは、第1ビーム621dから折り返して、X方向の右側へ向かって延びている。第2ビーム622eの先端部には、第1ビーム621fが連結されている。第1ビーム621fは、第2ビーム622eから折り返して、X方向の左側へ向かってフレーム601のX方向略中央まで延びている。第1ビーム621fの先端部には、ヒンジ603を介して第2ブレード604が連結されている。
一方、第2アクチュエータ602Bにおいて、第2ビーム622aの基端部がフレーム601のX方向の左端部に固定され、第2ビーム622aは、X方向の右側へ向かってフレーム601のX方向略中央まで延びている。第2ビーム622aの先端部には、第1ビーム621bが連結されている。第1ビーム621bは、第2ビーム622aから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム621bの先端部には、第2ビーム622cが連結されている。第2ビーム622cは、第1ビーム621bから折り返して、X方向の右側へ向かってフレーム601のX方向略中央まで延びている。第2ビーム622cの先端部には、第1ビーム621dが連結されている。第1ビーム621dは、第2ビーム622cから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム621dの先端部には、第2ビーム622eが連結されている。第2ビーム622eは、第1ビーム621dから折り返して、X方向の右側へ向かってフレーム601のX方向略中央まで延びている。第2ビーム622eの先端部には、第1ビーム621fが連結されている。第1ビーム621fは、第2ビーム622eから折り返して、X方向の左側へ向かって延びている。第1ビーム621fの先端部には、ヒンジ603を介して第2ブレード604が連結されている。
第1ビーム621は、シャッタ装置1000の第1ビーム121と同様の構成をしている。すなわち、第1ビーム621は、ビーム本体623と、SiO2膜628を介してビーム本体623の表面に積層された圧電素子624とを有している。
また、第2ビーム622は、シャッタ装置1000の第2ビーム122と同様の構成をしている。すなわち、第2ビーム622は、ビーム本体623と、SiO2膜628を介してビーム本体623の表面に積層されたダミー膜629とを有している。ダミー膜629は、シャッタ装置1000の第2ビーム122bと同じタイプである。つまり、ダミー膜629の上部電極627は、ダミー上部電極627a,627cと、第1ビーム621b,621d,621fの上部電極627と導通する配線パターン627bとを有している。
第2ブレード604は、ブレード本体641と、ヒンジ603,603を介して第2アクチュエータ602A,602Bに連結される連結ビーム642,642とを有している。第2ブレード604は、移動体の一例である。
ブレード本体641は、フレーム601内のX方向略中央において、その厚み方向がY方向に一致するように配置されている。ブレード本体641の一方の表面(Y方向前側を向く面であり、光路の入射側を向く面)には、Au膜643が成膜されている。
連結ビーム642は、X方向に延びる棒状に形成されている。連結ビーム642,642は、ブレード本体641のZ方向の一方の端縁の両端部からX方向に延びている。ここで、第2アクチュエータ602Aの第1ビーム621fの先端部は、X方向略中央部に位置するのに対し、第2アクチュエータ602Bの第1ビーム621fの先端部は、X方向の左端部に位置する。そのため、第2アクチュエータ602Aの第1ビーム621fに連結される連結ビーム642は短く、第2アクチュエータ602Bの第1ビーム621fに連結される連結ビーム642は長くなっている。
ヒンジ603は、シャッタ装置1000のヒンジ103と同様の構成をしている。ヒンジ603は、直線部に沿ってY方向に延びる回転軸603a回りに湾曲しやすくなっている。ヒンジ603は、連結部の一例である。
フレーム601には、第2アクチュエータ602の第1ビーム621b,621d,621fの上部電極627に電気的に接続された第2上部給電端子611と、第2アクチュエータ602の第1ビーム621b,621d,621fの下部電極625に電気的に接続された第2下部給電端子612とが設けられている。第2上部給電端子611からは、第2アクチュエータ602A,602Bの第2ビーム622a,622aの配線パターン627b,627bまで配線が延びている。フレーム601のSiO2膜628上には、部分的に、下部電極625及び圧電体層626が積層され、圧電体層626上に第2上部給電端子611、第2下部給電端子612及び配線が設けられている。ただし、第2下部給電端子612が設けられている圧電体層626には、下部電極625に達する開口(図12において破線で図示)が形成されている。第2下部給電端子612は、この開口を覆うように設けられており、下部電極625と電気的に接続されている。これら第2上部給電端子611及び第2下部給電端子612は、第2端子の一例である。
続いて、このように構成された第2ユニット600の動作について説明する。
第2上部給電端子611及び第2下部給電端子612に電圧を印加すると、各第2アクチュエータ602の第1ビーム621b,621d,621fの圧電素子624,624,624に電圧が印加される。これにより、第1ビーム621b,621d,621fは、圧電素子624を内側にして、SOI基板Sの表面に対して上側に湾曲する。一方、第2ビーム622a,622c,622eは、実質的に湾曲せず、略直線状に延びた状態のままである。つまり、フレーム601から第2ビーム622aがSOI基板Sの表面と平行に略直線状に延び、第1ビーム621bが第2ビーム622aの先端部からが折り返して、上側へ反り上がるように延び、第1ビーム621bの先端部から第2ビーム622cが折り返して、略直線状に延び、第2ビーム622cの先端部から第1ビーム621dが折り返して、上側へ反り上がるように延び、第1ビーム621dの先端部から第2ビーム622eが折り返して、略直線状に延び、第2ビーム622eの先端部から第1ビーム621fが折り返して、上側へ反り上がるように延びた状態となる。
さらに詳しくは、第1ビーム621bの先端部は、斜め上方へ向かって傾斜している。第1ビーム621bの先端部から折り返す第2ビーム622cは、第1ビーム621bの先端部と同じ傾きとなっている。つまり、第2ビーム622cは、斜め下方へ向かって、略直線状に延び、第2ビーム622cの先端部は、第1ビーム621bの基端部よりも下方、即ち、SOI基板Sの表面よりも下方に位置する。第1ビーム621dの基端部は、第2ビーム622cと同じ傾きで、第2ビーム622cの先端部から折り返す。ここで、第1ビーム621dの曲率は、第1ビーム621bの曲率と略同じであるが、第1ビーム621bの基端部が、SOI基板Sの表面と略平行であるのに対し、第1ビーム621dの基端部は、先端側へ向かって斜め上方に傾斜しているので、第1ビーム621dの先端部は、第1ビーム621bの先端部よりもさらに上方へ浮き上がる。さらに、第1ビーム621dの先端部は、第1ビーム621bの先端部よりもさらに斜め上方へ傾いた状態となる(即ち、SOI基板Sの表面に対する傾斜角が大きくなる)。そして、第2ビーム622eは、第1ビーム621dの先端部と同じ傾きで第1ビーム621dの先端部から折り返す。その結果、第2ビーム622eは、第2ビーム622cよりも大きな傾斜角で斜め下方へ延び、第2ビーム622eの先端部は、第2ビーム622cの先端部よりも下方に位置する。第1ビーム621fの基端部は、第2ビーム622eと同じ傾きで、第2ビーム622eの先端部から折り返す。ここで、第1ビーム621fの曲率は、第1ビーム621dの曲率と略同じであるが、第1ビーム621fの基端部は、第1ビーム621dの基端部よりも傾斜がきついので、第1ビーム621fの先端部は、第1ビーム621dの先端部よりもさらに上方へ浮き上がる。
ここで、第2アクチュエータ602Aと第2アクチュエータ602Bには同じ電圧が印加されているので、第2アクチュエータ602Aの第1ビーム621fの先端部と、第2アクチュエータ602Bの第1ビーム621fの先端部とは、SOI基板Sの表面から略同じ量だけ上昇した位置に位置している。その結果、第2ブレード604は、連結ビーム642,642が略同じ量だけ上昇するので、ブレード本体641が上方へ平行移動する。
尚、第2アクチュエータ602の第2ビーム622aは、第2ブレード604の上昇にほとんど寄与しないため省略してもよいが、第2ビーム622aが第1ビーム621bと対をなすことによって、前述の如く、第1ビーム621bの初期反り及び温度変化による反りをキャンセルする機能を有する。
このように構成された第1ユニット500及び第2ユニット600は、スペーサ700,700を介して重ね合わされている。スペーサ700は、ガラスで形成されている。スペーサ700は、図8,12に示すように、フレーム601の短辺から両方の長辺に亘って延び、平面視略C字状に形成されている。ただし、2つのスペーサ700,700は、つながっておらず、フレーム601の長辺においては、一方のスペーサ700と他方のスペーサ700との間に間隔が形成されている。
スペーサ700,700を設けることにより、第1ユニット500と第2ユニット600との間にはそれらの積層方向において間隔が形成される。このとき、フレーム501とフレーム601との間には、フレーム501、フレーム601及び2つのスペーサ700,700により区画される開口710が形成される。この開口710を通過するように光路Lが設定される。
また、第2ユニット600のうち、スペーサ700,700と反対の面にはベース800が接合されている。ベース800は、ガラスで形成されている。ベース800は、概略長方形の枠状に形成されている。
こうして、第1ユニット500と第2ユニット600とを積層させた状態において、第1ユニット500の第1上部給電端子511及び第1下部給電端子512は、フレーム501のZ方向上向きの面に配設され、第2ユニット600の第2上部給電端子611及び第2下部給電端子612は、フレーム601のZ方向上向きの面に配設されている。また、第2ユニット600の第2上部給電端子611及び第2下部給電端子612が設けられている部分は、第1ユニット500のフレーム501が切り欠かれて、第2ユニット600のフレーム601が露出している部分である。そのため、第1ユニット500と第2ユニット600とを積層させた状態において、第2ユニット600の第2上部給電端子611及び第2下部給電端子612は、上方へ露出している。上部接続端子513と第2上部給電端子611とは、ワイヤボンディングにより接続される。下部接続端子514と第2下部給電端子612とは、ワイヤボンディングにより接続される。
第1ユニット500の第1上部給電端子511及び第1下部給電端子512に駆動電圧が給電されていないときには、第1ブレード504は、Z方向においてフレーム501と略同じ位置に位置し、光路Lを遮断していない。同様に、第2ブレード604は、Z方向においてフレーム601と略同じ位置に位置し、光路Lを遮断していない。このときの第1ブレード504及び第2ブレード604の位置を、開通位置と称する。すなわち、第1ブレード504及び第2ブレード604が開通位置に位置するときには、光路Lが開通しており、第1ユニット500と第2ユニット600との間の光路Lを光が通過することができる。
一方、第1ユニット500の第1上部給電端子511及び第1下部給電端子512に駆動電圧が給電されると、第1ユニット500の第1アクチュエータ502A,502B及び第2ユニット600の第2アクチュエータ602A,602Bに駆動電圧が印加される。第1ブレード504は、Z方向下側、即ち、第2ユニット600の方へ移動し、第2ブレード604は、Z方向上側、即ち、第1ユニット500の方へ移動する。最終的に、第1ブレード504及び第2ブレード604は、ブレード本体541とブレード本体641がオーバーラップする位置まで移動する。このときの第1ブレード504及び第2ブレード604の位置を、遮断位置と称する。遮断位置においては、ブレード本体541の下端縁がブレード本体641の上端縁よりも下方に位置している。すなわち、Y方向を向いて見たときに(光路Lの方向を向いて見たときに)ブレード本体541の下端部とブレード本体641の上端部とが重なり合っている。その結果、第1ブレード504及び第2ブレード604により光路Lが遮断される。尚、ブレード本体541とブレード本体641とは、Y方向に隙間を有しており、干渉していない。
以上のように、シャッタ装置2000は、第1ブレード504、及び第1ブレード504を駆動する第1アクチュエータ502,502を有する第1ユニット500と、第2ブレード604、及び第2ブレード604を駆動する第2アクチュエータ602,602を有する第2ユニット600とを備え、第1アクチュエータ502,502及び第2アクチュエータ602,602はそれぞれ、所定の平面内で折り返すように連結された複数のビームを有し、複数のビームは、該平面に対して一方の側へ湾曲する第1ビーム521,621と、湾曲しないか又は第1ビーム521,621よりも湾曲が小さい第2ビーム522,622とを含み、第1ブレード504及び第2ブレード604は、第1アクチュエータ502,502及び第2アクチュエータ602,602が第1ビーム521,621を湾曲させないときには互いに離間して光路Lを開通させる開通位置に位置する一方、第1アクチュエータ502,502及び第2アクチュエータ602,602が第1ビーム521,621を湾曲させるときには互いに接近して光路Lを遮断する遮断位置へ移動し、第1ブレード504は、第1アクチュエータ502,502において第2ビーム522,522に連結され、第2ブレード604は、第2アクチュエータ602,602において第1ビーム621,621に連結されている。
この構成によれば、第1ブレード504と第2ブレード604とで光路Lを遮断するため、第1ブレード504を駆動する第1アクチュエータ502,502の駆動量及び第2ブレード604を駆動する第2アクチュエータ602,602の駆動量を、1つのブレードで光路Lを遮断する場合と比べてそれぞれ低減することができる。
そして、第1アクチュエータ502と第2アクチュエータ602を同様の構成とした場合であっても、第1ブレード504及び第2ブレード604を連結するビームを、第2ビーム522と第1ビーム621とで異ならせることによって、第1ブレード504及び第2ブレード604を互いに反対向きに移動させることができる。この反対向きの移動が互いに接近する方向の移動となるように、第1ユニット500と第2ユニット600とを配置することによって、第1ブレード504と第2ブレード604とが互いに接近する方向に移動する構成を容易に実現することができる。
また、ユニットにおいて圧電素子と端子とをSOI基板Sの同じ方向を向く面に設けると共に、第1ユニット500と第2ユニット600とを両方の給電端子が同じ方向を向くように重ね合わせる構成において、第1ブレード504を第2ビーム522に連結し、第2ブレード604を第1ビーム621に連結することによって、第1ブレード504及び第2ブレード604を互いに接近する方向に移動させることができる。こうすることで、成膜及び配線の引き回しを容易にしつつ、第1ブレード504及び第2ブレード604を互いに接近する方向に移動させる構成を容易に実現することができる。
尚、第1ブレード504を第1ビーム521に連結し、第2ブレード604を第2ビーム622に連結するようにしてもよい。その場合には、第1ユニット500に対して、第1ビーム521が湾曲する側に第2ユニット600が配置される。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
前記実施形態における形状、寸法、材質は、例示に過ぎず、これらに限られるものではない。例えば、ブレード本体141,241,541,641は、略方形でなくてもよく、略円形や三角形や五角形の多角形であってもよい。また、ブレード本体141,241,541,641の表面には、入射側を向く面にAu膜が成膜されているが、対象光を遮光する膜であれば、Au膜に限られない。また、この遮光性を有する膜は、ブレード本体141,241,541,641の表面のうち入射側を向く面ではなく、出射側を向く面に成膜されていてもよく、入射側を向く面と出射側を向く面との両方の面に成膜されていてもよい。
また、各アクチュエータの構成は、前記の構成に限られるものではない。例えば、各アクチュエータに含まれるビームの本数は、第1ビームと第2ビームとを少なくとも1本ずつ含む限り、任意に設定することができる。また、第1ビームと第2ビームとは、交互に配列されているものに限らず、第1ビーム、第2ビーム、第2ビーム、第2ビーム、第1ビームのように、何れかのビームが連続して連結された構成であってもよい。さらに、各アクチュエータに含まれるビームの本数は、奇数であってもよい。さらにまた、第1アクチュエータ102と第2アクチュエータ202とで、ビームの本数が異なっていてもよい。同様に、第1アクチュエータ502と第2アクチュエータ602とで、ビームの本数が異なっていてもよい。
また、前記実施形態では、第2ビーム122,222,522,622にダミー膜129,229,529,629を設けているが、省略してもよい。
また、各アクチュエータは、圧電効果により湾曲する圧電型アクチュエータであるが、これに限られるものではない。例えば、各アクチュエータは、熱膨張率の異なる材料を重ね合わせたビームで構成され、熱膨張率の差によって湾曲する熱型アクチュエータであってもよい。
さらに、スペーサ300,700は、ガラスで形成されるものに限られない。スペーサ300,700は、シリコンで形成されていてもよい。また、ベース400,800は、ガラスで形成されるものに限られない。ベース400,800は、シリコンで形成されていてもよい。これらスペーサ300,700及びベース400,800がシリコンで形成される場合、第1ユニット100,500及び第2ユニット200,600とスペーサ300,700及びベース400,800との接合は、接着剤によりなされる。スペーサ300,700及びベース400,800がガラスで形成されている場合には、第1ユニット100,500及び第2ユニット200,600とスペーサ300,700及びベース400,800とは、陽極接合により接合され得る。それに対し、スペーサ300,700及びベース400,800がシリコンで形成される場合には、第1ユニット100,500及び第2ユニット200,600とスペーサ300,700及びベース400,800とは、接着剤により接合することができるので、第1ユニット100,500及び第2ユニット200,600の第1アクチュエータ102,502及び第2アクチュエータ202,602が高電界に晒されることを防止することができる。
《上部電極の変形例》
次に、上部電極の変形例について実施形態1を例に説明する。図3,4に示すように、第2ビーム122bの上部電極127は、他のビーム(第1ビーム121a,121cと第2ビーム122d)の上部電極127とは形状及び表面積が異なっている。このため、第2ビーム122bの上部電極127に他のビームの上部電極127とは異なる膜応力が加わって、第2ビーム122bと他のビームとで初期反り及び温度変化による反りが十分にキャンセルできなくなり、第1ブレード104(図1参照)の初期高さの位置合わせ精度が低下してしまうおそれがある。
そこで、以下に例示するように、アクチュエータを構成するすべてのビームで上部電極の形状及び表面積が同じになるようにしてもよい。
図15は、変形例に係る上部電極を有するアクチュエータの平面図である。上述したように、実施形態1に係る第1アクチュエータ102は、第1ビーム121a、第2ビーム122b、第1ビーム121c、第2ビーム122dが基端部を左右に入れ替えながら交互に連結されてなる。
第2ビーム122bの上部電極127は、第1ビーム121aの上部電極127及び第1ビーム121cの上部電極127と絶縁された、ダミー上部電極127aと、第1ビーム121aの上部電極127及び第1ビーム121cの上部電極127と導通する配線パターン127bとを有している。ダミー上部電極127aと配線パターン127bとは、互いに絶縁されている。配線パターン127bは十分に細く、それに対してダミー上部電極127aは十分に太い。
第1ビーム121aの上部電極127及び第1ビーム121cの上部電極127は、いずれも、第1上部電極127dと、第2上部電極127eとを有している。第1上部電極127dと第2上部電極127eとは一端部で連結されている。第1上部電極127dは十分に細く、第2ビーム122bの配線パターン127bと同じ太さである。これに対して、第2上部電極127eは十分に太く、第2ビーム122bのダミー上部電極127aと同じ太さである。
第2ビーム122dの上部電極127は、第1ビーム121aの上部電極127及び第1ビーム121cの上部電極127と絶縁された、第1ダミー上部電極127f及び第2ダミー上部電極127gを有している。第1ダミー上部電極127fと第2ダミー上部電極127gとは一端部で連結されている。第1ダミー上部電極127fは十分に細く、第2ビーム122bの配線パターン127bと同じ太さである。これに対して、第2ダミー上部電極127gは十分に太く、第2ビーム122bのダミー上部電極127aと同じ太さである。
このように前記変形例では、いずれのビームも上位電極127の形状が同じ、すなわち、上部電極127が細い電極(第1ビーム121a,121cでは第1上部電極127d、第2ビーム122bでは配線パターン127b、第2ビーム122dでは第2ダミー上部電極127f)と、太い電極(第1ビーム121a,121cでは第2上部電極127e、第2ビーム122bではダミー上部電極127a、第2ビーム122dでは第1ダミー上部電極127g)とが並列に配置されてなる。これにより、すべてのビームで上部電極127の形状及び表面積が同じになり、複数のビームの初期反り及び温度変化による反りをキャンセルして、第1ブレード104(図1参照)の初期高さの位置合わせ精度を向上させることができる。
なお、第1ビーム121a,121cにおいて、第1上部電極127dと第2上部電極127eとを中央部で連結してもよいし、両端部の2箇所で連結してもよいし、あるいは第1上部電極127dと第2上部電極127eとを連結せずに第1上部電極127dを第2上部電極127eと絶縁してもよい。同様に、第2ビーム122dにおいて、第1ダミー上部電極127fと第2ダミー上部電極127gとを中央部で連結してもよいし、両端部の2箇所で連結してもよいし、あるいは第1ダミー上部電極127fと第2ダミー上部電極127gとを連結しなくてもよい。
また、各ビームの上部電極127を構成する細い電極と太い電極の配置位置は任意である。例えば、第2ビーム122dにおいて、図13における上側に第1ダミー上部電極127fを、下側に第2ダミー上部電極127gを、それぞれ配置しているが、これを逆にして、上側に第2ダミー上部電極127gを、下側に第1ダミー上部電極127fを、それぞれ配置してもよい。
ところで、第2ビーム122bのダミー上部電極127a及び第2ビーム122dの上部電極127は他の電極から絶縁されたフロート電極であるため、電荷が蓄積されると電荷の逃げ場がない。特に、第2ビーム122bのダミー上部電極127a及び第2ビーム122dの第2ダミー上部電極127gの表面積は比較的大きいため、製造時に電荷が蓄積されやすい。そして、これらダミー上部電極に電荷が蓄積されると、ダミー上部電極と下部電極125(図4参照)との間で電位差が生じて第1ビーム121a,121cと第2ビーム122b,122dとで初期反りが十分にキャンセルできなくなり、第1ブレード104(図1参照)の初期高さの位置合わせ精度が低下してしまうおそれがある。
そこで、第2ビーム122bのダミー上部電極127a及び第2ビーム122dの第2ダミー上部電極127gと下部電極125(図4参照)とを電気的に接続して、これらダミー上部電極に電荷が蓄積されない、あるいは蓄積されても放電可能にしてもよい。
図16は、別の変形例に係る上部電極を有するアクチュエータの平面図である。図16に示した第1アクチュエータ102は、図15に示した第1アクチュエータ102における第2ビーム122bのダミー上部電極127a及び第2ビーム122dの第2ダミー上部電極127gの中央部分に、下部電極125(図4参照)に達する開口(コンタクト120)を設けたものである。
コンタクト120は、例えば次のようにして形成することができる。まず、圧電体層126(図4参照)の成膜後に、ウェットエッチング等の方法により圧電体層126の一部に、下部電極125(図4参照)に達する孔を空ける。その後、上部電極127をスパッタリング等の方法により成膜する。これにより、ダミー上部電極127a及び第2ダミー上部電極127gに、下部電極125(図4参照)にまで達するコンタクト120が形成される。
このように、コンタクト120を設けることで、第2ビーム122bのダミー上部電極127a及び第2ビーム122dの第2ダミー上部電極127gは下部電極125(図4参照)と電気的に接続されてグランド電位となる。これにより、製造時や使用時にこれらダミー上部電極に電極が蓄積されなくなり、あるいは蓄積されても放電可能になって、複数のビームの初期反り及び温度変化による反りをキャンセルして、第1ブレード104(図1参照)の初期高さの位置合わせ精度を向上させることができる。
なお、コンタクト120は、各ダミー上部電極に1個あればよい。また、各ダミー上部電極においてコンタクト120の配置箇所は任意である。コンタクト120の形状及び大きさも任意である。例えば、コンタクト120を円形にしてもよい。
上述した上部電極127の変形例は、実施形態1の第1アクチュエータ102以外に、実施形態1の第2アクチュエータ202(図7参照)及び実施形態2の第1アクチュエータ502(図9参照)及び第2アクチュエータ602(図13参照)にも適用可能である。