JP6556664B2 - 窒化物半導体基板 - Google Patents

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Description

本発明は、パワー半導体・電子デバイス等に好適な窒化物半導体基板に関する。
特許文献1に、転位密度を低減して、形成する半導体デバイスの性能や寿命を向上させるような窒化物半導体の結晶成長方法を提供する技術として、気相成長によって基体上に複数の窒化物半導体の島状結晶領域を形成させる第1の結晶成長工程と、前記島状結晶領域の境界同士を結合させながら前記島状結晶領域を更に成長させる第2の結晶成長工程を有する窒化物半導体の結晶成長方法において、第2の結晶成長工程の結晶成長速度を第1の結晶成長工程の結晶成長速度より高く設定し、或いは第2の結晶成長工程の結晶成長温度を第1の結晶成長工程の結晶成長温度より低く設定することで、転位が境界の結合部分で曲げられ、転位密度を下げることができる、という技術の開示があり、下地基板上に窒化物半導体層を気相成長で形成する際の窒化物層の形成メカニズムは公知である。
また特許文献2に、低転位密度の窒化物半導体を成長することが可能な窒化物半導体成長用基板として、サファイア基板のC面である主面に、前記主面に対して90°未満で傾斜した側面を有する錐状または錐台状の凸部が格子状に配置して形成されており、前記主面からの前記凸部の高さが0.5μm以上3μm以下で、隣接する前記凸部間の距離が1μm以上6μm以下であって、前記凸部の前記側面の表面粗さRMSが10nm以下である窒化物半導体成長用基板の開示がある。すなわち、下地基板の一主面に凹凸形状を有することで、その上に形成される窒化物半導体の特性に影響を与えることも知られている。
特開2002−323733号公報 特開2013−087012号公報
特許文献1に記載の発明は、窒化物半導体層の成長条件の最適化で、窒化物半導体層を低転位化しようとするものである。従って、基板の面内全体で均一な窒化物半導体層の成長がなされないと、高品位な窒化物半導体層が得られない懸念がある。
特許文献2に記載の発明は、あらかじめ下地基板に凹凸を形成して、窒化物半導体層の成長速度を適正化して転位消滅を促すものである。しかし、このようなサイズの凹凸を、基板の面内に精度よく形成することは、下地基板の高コスト化につながる。また、凹凸が完全に埋没する程度まで、初期の窒化物半導体層を形成する必要があり、窒化物半導体層の製造コスト高となる。また、均一に凹凸が形成されないと、その上に形成される窒化物半導体層も均一にならない懸念がある。
すなわち、下地基板の一主面上の凹凸形状は、均一かつ適切なサイズで形成される必要がある。さらには、凹凸の形成は、工業的に安価で精度よく実現されることが望まれる。
本発明は、このような課題に鑑み、特に耐圧特性に優れた窒化物半導体を簡易に提供することを目的とする。
本発明に係る窒化物半導体基板は、1×10 18 atoms/cm 3 以上のボロンを含有し、かつ、酸素濃度が8×10 17 cm -3 以上1.8×10 18 cm -3 以下のシリコン単結晶からなる下地基板の一主面上に初期窒化物及び窒化物半導体が順次積層された窒化物半導体基板であって、前記窒化物半導体基板の任意の一断面において、前記下地基板と前記初期窒化物との界面から前記下地基板側に向かって、直径6nm以上60nm以下、深さ3nm以上45nm以下のくぼみ部を3×108個/cm2以上1×1011個/cm2以下することを特徴とする。かかる構成を有することで、耐圧特性に優れた窒化物半導体基板を、簡易な構造で提供することを可能とする。
前記くぼみ部は、組成、結晶構造、結晶方位、結晶相の少なくともいずれかが前記下地基板と異なるものである。
さらに、前記くぼみ部は、空隙、あるいは多結晶もしくは非晶質の無機材料で充填されている形態の、少なくともいずれかであると好ましい。
本発明によれば、下地基板とその上の初期窒化物とからなる初期層の形態の中に、直径6nm以上60nm以下のくぼみ部を3×108個/cm2以上1×1011個/cm2以下の密度で設けるという簡易な構成を設けることにより、従来よりも耐圧特性に優れた窒化物半導体基板を提供することができる。
本発明に係る窒化物半導体基板の、一例として挙げる積層構造の概略断面図である。 本発明に係る窒化物半導体基板の、下地基板の一主面表層部に形成されているくぼみ部を模式的に示した断面図である。 本発明に係る窒化物半導体基板の、くぼみ部の直径、平均深さを模式的に説明する断面図である。 本発明に係る窒化物半導体基板の、くぼみ部の充填状態を模式的に示した断面図である。
以下、本発明を、図面も参照して詳細に説明する。本発明に係る窒化物半導体基板の一例としては、図1に示す通り、下地基板1の一主面上に、初期窒化物からなる層2(以下単に「層2」ともいう。)、及び、窒化物半導体層3、4、5としてバッファ層3、電子走行層4、電子供給層5が、この順で積層されているものが挙げられる。
下地基板1には、窒化物半導体層の成長に用いられる公知の材料、例えば炭化ケイ素、サファイア等を適用できる。しかしながら、後述する理由により、シリコン単結晶を用いると、本発明の構成を容易かつ確実に実現できる点で、より好ましいものと言える。
そして、この下地基板1の一主面上には、初期窒化物からなる層2が形成されている。層2は、下地基板1上に格子定数や熱膨張係数が異なるバッファ層3(窒化物半導体層3)を適切に形成する役割を有するもので、その膜厚、組成等は、目的に応じて適宜設定すればよい。バッファ層の構成材料がGaとAlを含む窒化物半導体からなる層であれば、窒化アルミニウム(AlN)が、平坦性や転位制御性等の観点から、好適と言える。
初期窒化物からなる層2、バッファ層3(窒化物半導体層3)の形成方法は、例えば、気相成長法、特に有機金属気相成長(MOCVD)法が好適であるが、その他の手法を適用してもよい。
下地基板1の一主面上には、前記窒化物半導体基板の任意の一断面において、前記下地基板と前記初期窒化物との界面から前記下地基板1側に向かって直径6nm以上60nm以下のくぼみ部が3×108個/cm2以上1×1011個/cm2以下存在している。
図2は、下地基板1の一主面表層部に形成されているくぼみ部10を模式的に示した断面図である。ここで、Kは下地基板1の一主面、Wはくぼみ部10の直径、Dはくぼみ部10の平均深さである。本発明では、深さを平均深さDで表すものとする。くぼみ部10には材料Xが充填されていてもよい(図示せず)。
なお、前記窒化物半導体基板は、製法の関係から、基板のごく外周端部まで全く均一に製造することは困難であるため、前記任意の一断面は、前記窒化物半導体基板の、ごく外周端部を避けて観察すべきである。そのため、後述するように、例えば外周端部から5〜25mm程度内側の位置が、観察位置として好ましい。
本発明において「断面」とは、下地基板1の一主面に対して垂直方向の面とするが、厳密に垂直方向である必要はなく、該一主面に対する垂直方向から±20°程度のずれは許容される。例えば、面方位(111)のシリコン単結晶基板1をダイヤモンドペン等で劈開して得られる劈開面は19.47°であり、実用上問題ないものである。
本発明における直径Wは、図2に示すように、一主面K上で下地基板1と、くぼみ部10又は前記くぼみ部10に充填された材料X(図示せず)とで形成される角部p1、p2を両端として、その間隔を実側した値とする。なお、実際は、くぼみ部10を一主面方向から見ると略円形、略楕円形、あるいは角のとれた多角形であるが、本発明では、断面観察図で得られる角部p1、p2の間隔をもって、くぼみ部10の直径Wとみなす。
本発明における平均深さDは、図3に示すように、一主面Kの下方で下地基板1と、くぼみ部10又は前記くぼみ部10に充填された材料X(図示せず)との境界部において形成される角部p3、p4と、前記2箇所の角部で形成される線分の中央部p5、の計3点でそれぞれ計測されるKとの間隔の平均値、とする。
上記直径W、平均深さDおよび一主面Kは、好適な一例として、窒化物半導体基板を任意の直径に沿って、劈開、あるいはその他の方法で切断し、研磨等の手法を用いて形成される断面を観察することで得られる。そして、採取する箇所は、直径方向に対して劈開した面の、窒化物半導体基板中心部、両側の外周端部からそれぞれ20mm内側、の計3箇所とする。さらに、各採取箇所では、画像として幅500nmを観察した範囲内で、任意の5個のくぼみ部10を選択して、それらの直径W、平均深さDを観察し、測定した値を平均した値を用いる。
そして、本発明におけるくぼみ部10の密度(個/cm2)は、上記3箇所で、画像として幅500nmを観察した範囲内で隣接するくぼみ部10の個数を総平均して、単位面積cm2当たりの個数に換算して算出する。
上記は、好適な一例を示したものであるが、断面を得る箇所は、必ずしも中心と外周に限定されるものではなく、必要に応じて任意の3箇所でも差し支えない。また、幅についても、300nmから1000nmの範囲で、必要に応じて設定する事が出来る。
なお、好適な一例として、くぼみ部10の密度を単位面積当たりの個数で表現したが、単位長さ当たりの密度で表現してもよい。透過電子顕微鏡(TEM)による観察では、厚み方向も透過して見えてしまうので、単位面積当たりの個数でのカウントとなるが、走査電子顕微鏡(SEM)による観察では単位長さ当たりの個数のカウントとなるので、この場合は単位長さ換算の方が好ましい。一例として、単位長さ当たりに換算した場合は、1×103個/cm以上3×105個/cm以下が本発明の好適範囲となる。
くぼみ部10の各寸法、個数等は、好適には、TEMによる断面を撮影した画像から直接計測して得られるが、適切に画像処理をして解析してもよい。また、TEM以外の手法、例えばSEM、さらには、走査透過電子顕微鏡(STEM)、を用いてもよい。
公知技術にもある通り、平坦な一主面上には、初期窒化物による島状の形成体が生成しにくいので、その上(該一主面上)に形成される層2の結晶性が悪化する。そのため、下地基板1の一主面上に、ある程度の凹凸又は段差を形成する事が行われていた。
本発明では、凹凸に相当するくぼみ部10を、従来と比べて非常に小さいサイズとすることで、一主面上の単位面積当たりの初期窒化物による島状の形成体の発生頻度を、より高くすることができる。かつ、島状の形成体自体のサイズも非常に小さくなり、小さいサイズの島状の形成体が数多く生成されることで、層2は、従来にも増して平坦性に優れた結晶性に優れた層となる。
その結果、形成された層2は、その良好な結晶性により、層2の上に形成される窒化物半導体層3、4、5の耐圧特性が改善されることが分かった。
本発明においては、窒化物半導体基板の任意の一断面において、下地基板1と層2との界面から前記下地基板1側に直径6nm以上60nm以下のくぼみ部10が3×108個/cm2以上1×1011個/cm2以下の密度で存在している。
くぼみ部10の直径Wは6nm以上60nm以下である。直径Wは、6nm未満では島状の形成体が生成されないことがあり、60nm超では、くぼみ部10自体が新たな結晶欠陥の発生源となることがある。
くぼみ部10は、下地基板1と層2との界面から前記下地基板1側に向って3nm以上45nm以下の深さ(平均深さD)を有していると好ましい。平均深さDが3nm未満では、島状の形成体が生成されないことがあり、45nm超では、くぼみ部10自体が新たな結晶欠陥の発生源となることがある。より好ましくは、10nm以上20nm以下である。
本発明において、くぼみ部10は、3×108個/cm2以上1×1011個/cm2以下の密度で存在している。
3×108個/cm2未満では、島状の形成体同士の間隔が広すぎて、互いに成長して結合する確率が極端に低くなり、結晶欠陥として残存することがある。一方、1×1011個/cm2超では、くぼみ部10同士の間隔が狭すぎて、これを起点として発生する島状の形成体同士が結合して成長したものが突起状のまま残存して、やはり結晶欠陥の発生源となることがある。
くぼみ部10は、組成、結晶構造、結晶方位、結晶相の少なくともいずれかが前記下地基板1と異なるものである。すなわち、くぼみ部10が、下地基板1とは前記に挙げた形態の内、少なくとも1つが異なるものであれば、本発明の効果が発揮される。言い換えると、くぼみ部10は、下地基板1と「同一」のものでなければよく、広範囲の形態をとることができる。
なお、くぼみ部10は、何かしらの材料が存在しない、いわゆる空隙でも、本発明の効果が得られる。空隙とは、例えば欠陥、ボイド、閉気孔、等が挙げられる。また、空隙は、必ずしもくぼみ部10全体が空間でなくても、一部に何かしらの材料が存在する形態でも構わない。
あるいは、材料Xが下地基板1と組成は同一であるが、単結晶に対して多結晶あるいは非晶質であるか、もしくは、単結晶同士でも結晶方位が異なる、という相違の場合も、本発明の範囲と言える。
上記のような構成を有することで、くぼみ部10の上部で成長する初期窒化物は、下地基板1上部で成長する初期窒化物とは、成長速度と成長する方向が有意に異なるので、島状の形成体が成長の初期段階で効果的に生成される。
一例として、下地基板1が結晶方位(111)を有する単結晶であれば、材料Xは、同じ単結晶ではあるが、結晶方位(111)以外の方位、例えば(100)、(110)、(115)等の結晶方位を有する単結晶で構成される。
充填される材料Xとしては、無機材料が好ましく、多結晶または非晶質の、酸化物、窒化物であると、より好ましい。材料Xの具体例としては、高濃度ボロンドープのシリコン単結晶基板の表層部等に含まれる酸素析出物が挙げられる。すなわち、材料Xが多結晶または非晶質である場合、くぼみ部10への多結晶または非晶質材料の充填が簡易かつ確実に行われるためである。
ここで、本発明において「充填」とは、一主面Kを境界として、その下方、すなわち下地基板1側にあるくぼみ部10が、材料X(例えば、前記各種無機材料)のみで構成されていることを示すものとする。ただし、材料Xと層2との界面が、一主面Kと完全に一致している必要はなく、材料Xと層2との界面領域が緩やかな凹凸を形成していてもよい。すなわち、図4に示すように、境界線20または21で形成される上下方向への張り出し部12の存在も、本発明の範疇といえる。
なお、張り出し部12の間隔(張り出し部12表面の凹凸の範囲)は、平均深さDの±20%以内が好ましく、±10%以内がさらに好ましい。この張り出し部12の間隔が大きすぎると、凹凸の湾曲度合が過大であるので、直上に形成される層2が、この湾曲度合に依存して成長してしまい、結晶欠陥の原因となるおそれが生じる。
本発明に係る窒化物半導体基板は、下地基板1の一主面K上に、初期窒化物からなる層2及び窒化物半導体層3、4、5(バッファ層3、電子走行層4、電子供給層5)が、この順で積層されている。下地基板1が、上記の通り特徴的なくぼみ部10を有するので、初期窒化物及び窒化物半導体中の転位が少なく、それにより耐圧特性の向上した窒化物半導体基板とすることができる。
また、本発明においては、下地基板1がシリコン単結晶である場合に、前記シリコン単結晶が1×1018atoms/cm3以上のボロンを含有すると、より好ましい。なお、ボロン濃度が高すぎると、新たな結晶欠陥発生要因となる懸念があるので、上限は5×1020atoms/cm3以下が好ましい。
シリコン単結晶基板1は、高濃度ボロンドープであると、基板の強度が増し、反りが低減される。反りの小さい下地基板1は、初期窒化物積層時の下地基板1の変形が小さく、転位の発生抑制効果が相乗的に発揮される。
さらに、高濃度ボロンドープのシリコン単結晶基板1は、くぼみ部10の元となる酸素析出物、すなわち材料Xが比較的小さいものが高密度に、その表層部に多く存在するため、後述する熱処理によって、本発明の実施形態に係るサイズと分布を有するくぼみ部10を作製するのに好適である。
なお、ボロン濃度が5×1018atoms/cm3以上であると、酸素析出物の密度が本発明の実施範囲内でより高密度化して本発明の効果も向上するので、さらに好ましい。
また、本発明の窒化物半導体基板の、好ましい一製造方法としては、酸素濃度が8×1017cm-3以上1.8×1018cm-3以下のシリコン単結晶基板1を少なくとも1000℃以上かつ1分以上非酸化性雰囲気で熱処理する工程を含むものである。
酸素濃度が8×1017cm-3以上1.8×1018cm-3以下のシリコン単結晶基板1を少なくとも1000℃以上かつ1分以上非酸化性雰囲気で熱処理すると、基板表面部に露出した酸素析出物の一部もしくは全部が、非酸化性雰囲気の熱処理により、酸素の外方拡散によって消失し、析出物の跡が空洞として残る。本発明では、これをくぼみ部10として活用する。
ここで、大きな空洞のくぼみは初期窒化物で充填され、小さなくぼみは残留した酸化シリコンと初期窒化物が充填され、凹部がない析出部は酸化シリコンがそのままくぼみ部10の材料Xを構成する。
酸素濃度が8×1017cm-3以上1.8×1018cm-3以下のシリコン単結晶基板1を、少なくとも1000℃以上かつ1分以上非酸化性雰囲気にて熱処理することで、本発明のような、直径W、平均深さD、密度の分布を有する下地基板1とすることができる。酸素濃度が低すぎると密度が小さくなりすぎ、酸素濃度が高すぎると直径Wおよび平均深さDが過大になるおそれがある。
また、くぼみ部10の直径W、平均深さD、および密度は、1000℃以上かつ1分以上非酸化性雰囲気での熱処理で調整できる。前記熱処理の温度が低すぎる、または前記熱処理の時間が短すぎると、直径Wおよび平均深さDの値が過小になり、前記熱処理の温度が高すぎる、または前記熱処理の時間が長すぎると、直径Wおよび平均深さDが大きくなりすぎるおそれがある。
もちろん、本発明の直径W、平均深さD、および密度を実現できる他の手法、例えば化学的表面処理等により、くぼみ部10の形成を実施してもよい。
以上の通り、本発明に係る窒化物半導体基板は、下地基板の一主面に、無機材料で充填されていてもよい、非常に小さいくぼみ部10が多数形成されている、という特異な構造を有することで、この構成だけで、下地基板上に形成される窒化物半導体層の転位を低減し、特に耐圧特性を飛躍的に向上させることが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
(下地基板の準備)
まず、直径6インチ、面方位(111)、ボロンドープで比抵抗0.004Ωcm、酸素濃度が1.0×1018cm-3のシリコン単結晶基板を下地基板として準備した。
(初期窒化物および窒化物半導体の積層)
図1に示すような層構造を備えた窒化物半導体基板を、以下の工程により作製した。
まず、前記のシリコン単結晶基板をMOCVD装置内にセットし、昇温、ガス置換後に、1000℃×15分、水素100%雰囲気で熱処理を行った。
続いて、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(TMA)、アンモニア(NH3)を用い、炭素濃度1×1018atoms/cm3、厚さ100nmのAlN単結晶からなる初期窒化物の層2を、500℃で気相成長させた。なお、これ以降の13族窒化物半導体層の形成は全て、成長温度の基準を1000℃とし、これに1〜15℃の範囲で微調整を加えている。前記層2の上に、原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)、TMA、NH3を用い、炭素濃度5×1019atoms/cm3、厚さ300nmのAlxGa1-xN単結晶層(x=0.1)を気相成長させた。
次に、原料ガスとしてTMG、TMA、NH3を用い、炭素濃度5×1019atoms/cm3で、厚さ5nmのAlN単結晶層及び厚さ30nmのGaN単結晶層を交互に各8層気相成長させて、続いて、炭素濃度1×1018atoms/cm3にて、厚さ1250nmのGaN単結晶層を同様にして積層し、バッファ層3を形成した。
その後、活性層4である電子走行層として、炭素濃度1×1016atoms/cm3、厚さ700nmのGaN単結晶層を同様にして積層し、さらに、電子供給層として、厚さ18nmのAlGa1-yN単結晶層(y=0.26)を同様にして積層し、13族窒化物半導体基板を得た。
なお、気相成長により形成した各層の厚さや炭素濃度の制御は、原料ガスの流量と供給時間及び基板温度、その他公知の成長条件の調整により行った。
[比較例1]
前記熱処理の条件を、1000℃×5分とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1のサンプルを作製、評価した。
上記の通り作製した窒化物半導体基板の耐圧評価を行った。耐圧評価は、得られた各窒化物半導体基板に対して、リセスゲート領域及び素子分離領域の溝をドライエッチングにより形成し、電子供給層5側にゲート電極としてNi/Au電極を、ソース電極及びドレイン電極としてTi/Al電極を、また、下地基板の裏面側に裏面電極としてTi/Al電極を、それぞれ真空蒸着により形成し、HEMT素子を面内に28個作製した。このHEMT素子について、市販のカーブトレーサーを用いて、耐圧を測定した。600V以上を合格、600V未満を不合格として、全28個中の合格率を、耐圧歩留り(%)として判定した。
表1に、基板一主面中央部1か所、外周部から20mm内側(両端)の計3箇所において、TEMを用いてくぼみ部10の各サイズと密度を測定し、耐圧歩留りの結果と合わせて示す。なお、表1中、耐圧歩留まりが50%以上を(○)、50%未満を(×)として評価した。
Figure 0006556664
表1の結果から、本発明の実施範囲にある実施例1は、耐圧歩留りが80%以上と良好であった。これに対して、直径Wが本発明の実施範囲外である比較例1は、耐圧歩留りが50%を下回り、実施例1と比べて見劣りするものであった。
シリコン単結晶基板の表面に形成されていた酸化膜は、前記熱処理の時間の長い実施例1では完全に消失、実施例1と比べて前記熱処理の時間の短い比較例1では部分的に残存している。このため、実施例1では、くぼみ部10が一主面上で全体的に均質に形成され、その結果、個々の直径Wが比較的小さいくぼみ部10が高密度で形成される。
これに対して、比較例1は、酸化膜が部分的に残存しているので、酸化膜が残っている箇所ではくぼみ部10がほとんど形成されず、酸化膜がない箇所に集中してくぼみ部10が形成される。その結果、単体のくぼみ部10の直径Wが大きくなり、かつ、くぼみ部10の密度も低下する。
なお、実施例1、比較例1で観察されたくぼみ部10は、全体が空隙のもの、及び、一部が空隙で残りがシリコン、酸素、窒素を含む非晶質体の材料Xが存在しているもの、が混在しているものであった。
ここで、実施例1と比較例1の比較において、前記熱処理の時間の長い実施例1の方が、比較例1より直径Wおよび平均深さDが小さくなっており、前述した前記熱処理の条件による傾向とやや異なる挙動を示した。そこで、本発明の発明者らは、更に実験を行い、本発明を実施するためのより好ましい条件を検討した。
[実施例2]
前記熱処理の条件を1000℃×7分とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2のサンプルを作製、評価した。
[実施例3]
前記熱処理の条件を1000℃×10分とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3のサンプルを作製、評価した。
[実施例4]
前記熱処理の条件を1000℃×30分とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4のサンプルを作製、評価した。
[比較例2]
前記熱処理の条件を1100℃×10分とした以外は、実施例1と同じ条件で比較例2のサンプルを作製、評価した。
[比較例3]
前記熱処理の条件を900℃×10分とした以外は、実施例1と同じ条件で比較例3のサンプルを作製、評価した。
[比較例4]
前記熱処理の条件を800℃×10分とした以外は、実施例1と同じ条件で比較例4のサンプルを作製、評価した。
表1と同様に、実施例2〜4と比較例2〜4のくぼみ部10の各サイズと密度を測定した。表2に、耐圧の歩留り結果と合わせて示す。表2中、耐圧歩留まりが60%超を(○)、50%以上60%以下を(△)、50%未満を(×)として評価した。
Figure 0006556664
表2の結果から、実施例2は耐圧歩留りが60%であり、実施例1の耐圧歩留り90%に比べると見劣りするものであった。これは、実施例2は、実施例1と比較して、前記熱処理の時間が短いので、部分的に酸化膜が残っており、直径Wのサイズが相対的に大きくなったためと考えられる。ただし、実施例2でも、比較例1と比較してくぼみ部10の密度は十分高いので、耐圧歩留り50%を超えるレベルを確保できている。
実施例3は耐圧歩留りが95%であり、実施例1の耐圧歩留り90%に比べるとより優れたものとなった。前述の通り、シリコン単結晶基板の表面に形成されていた酸化膜が残存すると、くぼみ部10の直径Wは大きくなる傾向にあるが、実施例3は、前記熱処理の時間が酸化膜をほぼ完全に除去できる程度の最適な時間であったので、直径Wのサイズが実施例1よりも小さく、かつ適切なものとなった。また、酸化膜がほぼ無いことで、くぼみ部10も一主面上で均質に形成され、耐圧歩留りがより向上したと考えられる。
そのため、実施例3より前記熱処理の時間の短い実施例2では、酸化膜の残存による影響で耐圧歩留りがやや低下する傾向がみられた。すなわち、前記熱処理の時間が最適に制御され、シリコン単結晶基板の表面に形成されていた酸化膜がちょうどゼロになった状態が本発明の最良の形態といえ、この時、耐圧歩留りが格別高いものとなる。
しかしながら、前記熱処理の時間が長すぎると、生成したくぼみ部10がさらに成長して直径W、平均深さDともに大きくなる。実施例1は実施例3より前記熱処理の時間が長いので、個々のくぼみ部10のサイズが相対的に大きい。耐圧歩留りについても実施例3は実施例1と比較して、より耐圧歩留りが向上していることがみてとれる。すなわち、実施例3は、くぼみ部10のサイズがより適正化され、本発明の直径Wのより好ましい範囲は10nm以上20nm以下にあると考えられる。
実施例4は耐圧歩留りが85%であり、実施例2よりは良好であったが、実施例1よりは見劣りするものであった。実施例4は、前記熱処理の時間を実施例1より長い30分としたので、くぼみ部10の成長がさらに進み、直径Wのより好ましい範囲である10nm以上20nmから離れてしまったことにより、耐圧歩留りはやや低下したものとみられる。
一方、比較例2は、直径Wが本発明の実施範囲を超えた70nmとなり、その結果、耐圧歩留りも30%と大きく低下した。これは、比較例2が、前記熱処理の温度を、実施例1〜4の1000℃と比べてさらに高い1100℃としたことで、くぼみ部10の成長が急激に促進され、そのサイズが巨大化したことが原因と考えられる。なお、くぼみ部10の成長には、前記熱処理の時間よりも前記熱処理の温度の方が大きく影響する。
比較例3は、前記熱処理の温度を900℃まで下げたものである。その結果、直径Wは4nmと非常に小さくなり、耐圧歩留りも10%まで低下した。前記熱処理の温度が低いと、酸化膜には部分的に極微小な穴が多数形成され、それらの穴の下に微小なくぼみ部10が形成される。従って、くぼみ部10自体は形成されるものの、実施例1〜4と比較すると酸化膜の影響によりほとんどサイズが大きくならず、かつ、酸化膜はほとんど残っているため、その上に形成される窒化物半導体層の結晶性が悪化してしまい、結果としてリーク電流が多く、耐圧歩留りの低下につながる。
比較例4は、比較例3よりも前記熱処理の温度を更に下げて、800℃としたものである。この場合は、温度が低すぎて酸化膜がほぼ残存するので、くぼみ部10は形成されない。そのため、酸化膜が下地基板の全面に残っているので、その上に形成される窒化物半導体層の結晶性が著しく悪化してしまい、リーク電流が多くなり、耐圧歩留りはゼロとなった。
以上のことから、下地基板1にシリコン単結晶を用いた場合においては、シリコン単結晶基板上に形成されている酸化膜をほぼ完全に除去しつつ、くぼみ部10のサイズは本発明の効果が得られる範囲の適切なサイズになるように、初期窒化物から成る層の形成前の熱処理条件を最適化することが、本発明の好適な一実施態様といえる。
1 下地基板(シリコン単結晶基板)
2 初期窒化物からなる層
3 窒化物半導体層(バッファ層)
4 窒化物半導体層(電子走行層)
5 窒化物半導体層(電子供給層)
10 くぼみ部
12 張り出し部
20、21 下地基板と初期窒化物からなる層との境界線
W くぼみ部10の直径
D くぼみ部10の平均深さ
K 下地基板の一主面
X 材料
p1、p2、p3、p4 角部
p5 中央部

Claims (3)

  1. 1×10 18 atoms/cm 3 以上のボロンを含有し、かつ、酸素濃度が8×10 17 cm -3 以上1.8×10 18 cm -3 以下のシリコン単結晶からなる下地基板の一主面上に初期窒化物及び窒化物半導体が順次積層された窒化物半導体基板であって、
    前記窒化物半導体基板の任意の一断面において、前記下地基板と前記初期窒化物との界面から前記下地基板側に向かって、直径6nm以上60nm以下、深さ3nm以上45nm以下のくぼみ部3×108個/cm2以上1×1011個/cm2以下することを特徴とする窒化物半導体基板。
  2. 前記くぼみ部は、組成、結晶構造、結晶方位、結晶相の少なくともいずれかが前記下地基板と異なるものであることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板。
  3. 前記くぼみ部は、空隙、あるいは多結晶もしくは非晶質の無機材料で充填されている形態の、少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項記載の窒化物半導体基板。
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