以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の広い局面では、本発明に係る接続構造体の製造方法では、
(B)熱硬化性成分と複数のはんだ粒子とを含む第2の導電ペースト、
(A’/C’/D’)少なくとも1つの第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材と、少なくとも1つの第2の電極を上面に有しかつ少なくとも1つの第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材とが、導電性粒子を含む第1の接続部により接続されており、上面の上記第1の電極と下面の上記第2の電極とが上記導電性粒子に由来する第1の導電部により電気的に接続されている積層体、かつ、
(E)少なくとも1つの第3の電極を下面に有する第3の接続対象部材を用いる。
本発明では、上記の(B)、(A’/C’/D’)及び(E)の第2の導電ペースト、積層体及び第2の接続対象部材を用いる場合に、上記第2の接続対象部材として、上記第2の接続対象部材の上面及び下面で、上記第2の電極が対向しておらず、上記第2の接続対象部材の上面及び下面で、上記第2の電極の位置がずれている第2の接続対象部材を用いる。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記の(B)、(A’/C’/D’)及び(E)の第2の導電ペースト、積層体及び第2の接続対象部材を用いる場合に、
(第4’の工程)上記積層体における上記第2の接続対象部材の上面上に、上記第2の導電ペーストを用いて、第2の導電ペースト層を配置する工程と、
(第5の工程)上記第2の導電ペースト層の上面上に、上記第3の接続対象部材を下面側から、上面の上記第2の電極と下面の上記第3の電極とが対向するように配置する工程と、
(第6の工程)上記第2の導電ペースト層に含まれる上記はんだ粒子の融点以上かつ上記熱硬化性成分の硬化温度以上に上記第2の導電ペースト層を加熱することで、上記第2の接続対象部材と上記第3の接続対象部材とを接続している第2の接続部を、上記第2の導電ペースト層により形成し、かつ、上面の上記第2の電極と下面の上記第3の電極とを、上記第2の接続部中の第2のはんだ部により電気的に接続する工程と、
を備える。
本発明では、上記の(B)、(A’/C’/D’)及び(E)の第2の導電ペースト、積層体及び第2の接続対象部材を用いる場合に、上記積層体は、後述する第1,第2,第3の工程を経て得られていてもよく、後述する第1,第2,第3の工程を経て得られていなくてもよい。
また、本発明の広い局面では、本発明に係る接続構造体の製造方法は、
(A)熱硬化性成分と複数のはんだ粒子とを含む第1の導電ペースト、
(B)熱硬化性成分と複数のはんだ粒子とを含む第2の導電ペースト、
(C)少なくとも1つの第1の電極を上面に有する第1の接続対象部材、
(D)少なくとも1つの第2の電極を上面に有しかつ少なくとも1つの第2の電極を下面に有する第2の接続対象部材、及び、
(E)少なくとも1つの第3の電極を下面に有する第3の接続対象部材、
を用いる。
本発明では、上記の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の導電ペースト及び接続対象部材を用いる場合に、上記第2の接続対象部材として、上記第2の接続対象部材の上面及び下面で、上記第2の電極が対向しておらず、上記第2の接続対象部材の上面及び下面で、上記第2の電極の位置がずれている第2の接続対象部材を用いる。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記の(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の導電ペースト及び接続対象部材を用いる場合に、
(第1の工程)上記第1の接続対象部材の上面上に、上記第1の導電ペーストを塗布して、第1の導電ペースト層を配置する工程と、
(第2の工程)上記第1の導電ペースト層の上面上に、上記第2の接続対象部材を下面側から、上面の上記第1の電極と下面の上記第2の電極とが対向するように配置する工程と、
(第3の工程)上記第1の導電ペースト層に含まれる上記はんだ粒子の融点以上かつ上記熱硬化性成分の硬化温度以上に上記第1の導電ペースト層を加熱することで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している第1の接続部を、上記第1の導電ペースト層により形成し、かつ、上面の上記第1の電極と下面の上記第2の電極とを、上記第1の接続部中の第1のはんだ部により電気的に接続する工程と、
(第4の工程)上記第2の接続対象部材の上面上に、上記第2の導電ペーストを用いて、第2の導電ペースト層を配置する工程と、
(第5の工程)上記第2の導電ペースト層の上面上に、上記第3の接続対象部材を下面側から、上面の上記第2の電極と下面の上記第3の電極とが対向するように配置する工程と、
(第6の工程)上記第2の導電ペースト層に含まれる上記はんだ粒子の融点以上かつ上記熱硬化性成分の硬化温度以上に上記第2の導電ペースト層を加熱することで、上記第2の接続対象部材と上記第3の接続対象部材とを接続している第2の接続部を、上記第2の導電ペースト層により形成し、かつ、上面の上記第2の電極と下面の上記第3の電極とを、上記第2の接続部中の第2のはんだ部により電気的に接続する工程と、
を備える。
本発明では、上記の構成が備えられているので、複数のはんだ粒子が電極間に集まりやすく、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上に効率的に配置することができる。特に上面の第2の電極と下面の第3の電極との間に、複数のはんだ粒子を効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
具体的には、第2の接続対象部材の上面と下面とで第2の電極の位置がずれているために、第2の導電ペースト層の熱硬化時に、熱が下面の第2の電極によって放散されない。このため、上面の第2の電極と下面の第3の電極との間の第2の導電ペースト層の温度を充分に高めることができ、第2の導電ペースト層の溶融粘度を充分に低くすることができ、上面の第2の電極と下面の第3の電極との間に、はんだ粒子を効果的に集めることができる。
一方で、第2の接続対象部材の上面と下面とで第2の電極の位置がずれていない場合には、第2の導電ペースト層の熱硬化時に、熱が下面の第2の電極によって放散される。このため、上面の第2の電極と下面の第3の電極との間の第2の導電ペースト層の温度が充分に高くならず、第2の導電ペースト層の溶融粘度が充分に低くならず、上面の第2の電極と下面の第3の電極との間に、はんだ粒子が効果的に集まらない傾向がある。
なお、本発明では、複数のはんだ粒子を電極間に効率的に集める他の方法を更に採用してもよい。複数のはんだ粒子を電極間に効率的に集める方法としては、接続対象部材間の導電ペーストに、熱を付与した際、熱により導電ペーストの粘度を低下させることで、導電ペーストの対流を発生させる方法等が挙げられる。この方法において、接続対象部材の表面の電極とそれ以外の表面部材との熱容量の差異により対流を発生させる方法、接続対象部材の水分を、熱により水蒸気として対流を発生させる方法、並びに上下の接続対象部材との温度差により対流を発生させる方法等が挙げられる。これにより、導電ペースト中のはんだ粒子を、電極の表面に効率的に移動させることができる。
なお、本発明では、電極の表面に選択的にはんだ粒子を凝集させる方法を更に採用してもよい。電極の表面に選択的にはんだ粒子を凝集させる方法としては、溶融したはんだ粒子の濡れ性がよい電極材質と、溶融したはんだ粒子の濡れ性の悪いその他の表面材質とにより形成された接続対象部材を選択し、電極の表面に到達した溶融したはんだ粒子を選択的に電極に付着させ、その溶融したはんだ粒子に対し、別のはんだ粒子を溶融させて付着させる方法、熱伝導性がよい電極材質と、熱伝導性が悪いその他の表面材質とにより形成された接続対象部材を選択し、熱を付与した際に、電極の温度を他の表面部材に対し高くすることで、選択的に電極上ではんだを溶融させる方法、金属により形成された電極上に存在するマイナスの電荷に対して、プラスの電荷を持つように処理されたはんだ粒子を用いて、電極に選択的にはんだ粒子を凝集させる方法、並びに、親水性の金属表面を有する電極に対して、導電ペースト中のはんだ粒子以外の樹脂を疎水性とすることで、電極に選択的にはんだ粒子を凝集させる方法等が挙げられる。
電極間でのはんだ部の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、好ましくは150μm以下、より好ましくは80μm以下である。電極の表面上のはんだ濡れ面積(電極の露出した面積100%中のはんだが接している面積)は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、好ましくは100%以下である。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記第1の導電ペースト層には、上記第2の接続対象部材の重量が加わるか、又は、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の接続部を形成する工程の内の少なくとも一方において、加圧を行い、かつ、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の接続部を形成する工程の双方において、加圧の圧力が1MPa未満であることが好ましい。1MPa以上の加圧の圧力を加えないことで、はんだ粒子の凝集がかなり促進される。接続対象部材の反りを抑える観点からは、本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の接続部を形成する工程の内の少なくとも一方において、加圧を行い、かつ、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の接続部を形成する工程の双方において、加圧の圧力が1MPa未満であってもよい。加圧を行う場合に、上記第2の接続対象部材を配置する工程のみにおいて、加圧を行ってもよく、上記第1の接続部を形成する工程のみにおいて、加圧を行ってもよく、上記第2の接続対象部材を配置する工程と上記第1の接続部を形成する工程との双方において、加圧を行ってもよい。加圧の圧力が1MPa未満には、加圧していない場合が含まれる。加圧を行う場合に、加圧の圧力は、好ましくは0.9MPa以下、より好ましくは0.8MPa以下である。加圧の圧力が0.8MPa以下である場合に、加圧の圧力が0.8MPaを超える場合と比べて、はんだ粒子の凝集がより一層顕著に促進される。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第3の接続対象部材を配置する工程及び上記第2の接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記第2の導電ペースト層には、上記第3の接続対象部材の重量が加わるか、又は、上記第3の接続対象部材を配置する工程及び上記第2の接続部を形成する工程の内の少なくとも一方において、加圧を行い、かつ、上記第3の接続対象部材を配置する工程及び上記第2の接続部を形成する工程の双方において、加圧の圧力が1MPa未満であることが好ましい。1MPa以上の加圧の圧力を加えないことで、はんだ粒子の凝集がかなり促進される。接続対象部材の反りを抑える観点からは、本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第3の接続対象部材を配置する工程及び上記第2の接続部を形成する工程の内の少なくとも一方において、加圧を行い、かつ、上記第3の接続対象部材を配置する工程及び上記第2の接続部を形成する工程の双方において、加圧の圧力が1MPa未満であってもよい。加圧を行う場合に、上記第3の接続対象部材を配置する工程のみにおいて、加圧を行ってもよく、上記第2の接続部を形成する工程のみにおいて、加圧を行ってもよく、上記第3の接続対象部材を配置する工程と上記第2の接続部を形成する工程との双方において、加圧を行ってもよい。加圧の圧力が1MPa未満には、加圧していない場合が含まれる。加圧を行う場合に、加圧の圧力は、好ましくは0.9MPa以下、より好ましくは0.8MPa以下である。加圧の圧力が0.8MPa以下である場合に、加圧の圧力が0.8MPaを超える場合と比べて、はんだ粒子の凝集がより一層顕著に促進される。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記第1の導電ペースト層には、上記第2の接続対象部材の重量が加わることが好ましく、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の接続部を形成する工程において、上記第1の導電ペースト層には、上記第2の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。さらに、上記第3の接続対象部材を配置する工程及び上記第2の接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記第2の導電ペースト層には、上記第3の接続対象部材の重量が加わることが好ましく、上記第3の接続対象部材を配置する工程及び上記第2の接続部を形成する工程において、上記第2の導電ペースト層には、上記第3の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。これらの場合には、はんだ部の厚みをより一層効果的に厚くすることができ、複数のはんだ粒子が電極間に多く集まりやすくなり、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上により一層効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をより一層少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続をより一層防ぐことができ、絶縁信頼性をより一層高めることができる。
また、複数のはんだ粒子を電極上に効率的に配置し、かつ電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくするためには、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いる必要があることを、本発明者は見出した。
さらに、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記第1の導電ペースト層に、上記第2の接続対象部材の重量が加われば、接続部が形成される前に電極が形成されていない領域(スペース)に配置されていたはんだ粒子が第1の電極と第2の電極との間により一層集まりやすくなり、上記第3の接続対象部材を配置する工程及び上記第2の接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記第2の導電ペースト層に、上記第3の接続対象部材の重量が加われば、接続部が形成される前に電極が形成されていない領域(スペース)に配置されていたはんだ粒子が第1の電極と第2の電極との間により一層集まりやすくなり、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上により一層効率的に配置することができることも、本発明者は見出した。本発明では、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いるという構成と、加圧を行わず、上記第1の導電ペースト層には、上記第2の接続対象部材の重量が加わるようにするという構成、又は、加圧を行わず、上記第2の導電ペースト層には、上記第3の接続対象部材の重量が加わるようにするという構成とを組み合わせて採用することには、本発明の効果をより一層高いレベルで得るために大きな意味がある。
なお、WO2008/023452A1では、はんだ粉を電極表面に押し流して効率よく移動させる観点からは、接着時に所定の圧力で加圧するとよいことが記載されており、加圧圧力は、はんだ領域をさらに確実に形成する観点では、例えば、0MPa以上、好ましくは1MPa以上とすることが記載されており、更に、接着テープに意図的に加える圧力が0MPaであっても、接着テープ上に配置された部材の自重により、接着テープに所定の圧力が加わってもよいことが記載されている。WO2008/023452A1では、接着テープに意図的に加える圧力が0MPaであってもよいことは記載されているが、0MPaを超える圧力を付与した場合と0MPaとした場合との効果の差異については、何ら記載されていない。また、WO2008/023452A1では、フィルム状ではなく、ペースト状の導電ペーストを用いることの重要性についても何ら認識されていない。
また、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いれば、導電ペーストの塗布量によって、接続部及びはんだ部の厚みを調整することが容易になる。一方で、導電フィルムでは、接続部の厚みを変更したり、調整したりするためには、異なる厚みの導電フィルムを用意したり、所定の厚みの導電フィルムを用意したりしなければならないという問題がある。また、導電フィルムでは、はんだの溶融温度で、導電フィルムの溶融粘度を十分に下げることができず、はんだ粒子の凝集が阻害されるという問題がある。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
先ず、図1に、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られる接続構造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第3の接続対象部材4と、第1の接続部5と、第2の接続部6とを備える。
第1の接続部5は、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している。第1の接続部5は、熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含む第1の導電ペーストにより形成されている。第1の接続部5は、第1の導電ペーストの硬化物である。但し、第1の接続部5は、導電性粒子を含む導電材料により形成されていてもよく、この導電性粒子ははんだ粒子でなくてもよい。また、上記導電材料は、導電ペーストであってもよく、導電フィルムであってもよく、熱硬化性成分を含まずかつ熱可塑性成分を含んでいてもよい。
第2の接続部6は、第2の接続対象部材3と第3の接続対象部材4とを接続している。第2の接続部6は、熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含む第2の導電ペーストにより形成されている。第2の接続部6は、第2の導電ペーストの硬化物である。
第1の接続部5は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合した第1のはんだ部5Aと、熱硬化性成分が熱硬化された第1の硬化物部5Bとを有する。第1の接続部が、熱硬化性成分と複数の導電性粒子とを含む導電材料により形成されている場合には、第1の接続部は、複数の導電性粒子に由来する第1の導電部と、熱硬化性成分が熱硬化された第1の硬化物部とを有する。
第1の接続対象部材2は上面に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は下面に、複数の第2の電極3aを有する。上面の第1の電極2aと下面の第2の電極3aとが、第1のはんだ部5Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、第1のはんだ部5Aにより電気的に接続されている。なお、第1の接続部5において、上面の第1の電極2aと下面の第2の電極3aとの間に集まった第1のはんだ部5Aとは異なる領域(第1の硬化物部5B部分)では、はんだは存在しない。第1のはんだ部5Aとは異なる領域(第1の硬化物部5B部分)では、第1のはんだ部5Aと離れたはんだは存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まった第1のはんだ部5Aとは異なる領域(第1の硬化物部5B部分)に、はんだが存在していてもよい。
第2の接続部6は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合した第2のはんだ部6Aと、熱硬化性成分が熱硬化された第2の硬化物部6Bとを有する。
第2の接続対象部材3は上面に、複数の第2の電極3bを有する。第3の接続対象部材4は下面に、複数の第3の電極4aを有する。上面の第2の電極3bと下面の第3の電極4aとが、第2のはんだ部6Aにより電気的に接続されている。従って、第2の接続対象部材3と第3の接続対象部材4とが、第2のはんだ部6Aにより電気的に接続されている。なお、第2の接続部6において、上面の第2の電極3bと下面の第3の電極4aとの間に集まった第2のはんだ部6Aとは異なる領域(第2の硬化物部6B部分)では、はんだは存在しない。第2のはんだ部6Aとは異なる領域(第2の硬化物部6B部分)では、第2のはんだ部6Aと離れたはんだは存在しない。なお、少量であれば、第2の電極3bと第3の電極4aとの間に集まった第2のはんだ部6Aとは異なる領域(第2の硬化物部6B部分)に、はんだが存在していてもよい。
図1に示すように、接続構造体1では、上面の第1の電極2aと下面の第2の電極3aとの間に、複数のはんだ粒子が集まり、複数のはんだ粒子が溶融した後、はんだ粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、第1のはんだ部5Aが形成されている。本実施形態では、接続構造体1において上面の第1の電極2aと下面の第2の電極3aとの間に位置している第1のはんだ部5Aの厚みは、上記第1の導電ペーストに含まれる複数の上記はんだ粒子の平均粒子径よりも大きい。このため、第1のはんだ部5Aと第1の電極2a、並びに第1のはんだ部5Aと第2の電極3aとの接触面積が大きくなる。はんだ粒子を用いることにより、導電性の外表面がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、第1のはんだ部5Aと第1の電極2aとの接触面積、並びに第1のはんだ部5Aと第2の電極3aとの接触面積が大きくなる。このことによっても、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。
また、図1に示すように、接続構造体1では、上面の第2の電極3bと下面の第3の電極4aとの間に、複数のはんだ粒子が集まり、複数のはんだ粒子が溶融した後、はんだ粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、第2のはんだ部6Aが形成されている。本実施形態では、接続構造体1において上面の第2の電極3bと下面の第3の電極4aとの間に位置している第2のはんだ部6Aの厚みは、上記第2の導電ペーストに含まれる複数の上記はんだ粒子の平均粒子径よりも大きい。このため、第2のはんだ部6Aと第2の電極3b、並びに第2のはんだ部6Aと第3の電極4aとの接触面積が大きくなる。はんだ粒子を用いることにより、導電性の外表面がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、第2のはんだ部6Aと第2の電極3bとの接触面積、並びに第2のはんだ部6Aと第3の電極4aとの接触面積が大きくなる。このことによっても、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。
なお、導電ペーストにフラックスが含まれる場合に、フラックスは、一般に、加熱により次第に失活する。
次に、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法を説明する。
先ず、熱硬化性成分11Bと、複数のはんだ粒子11Aとを含む第1の導電ペーストを用意する。また、第1の電極2aを上面に有する第1の接続対象部材2を用意する。
図2(a)に示すように、第1の接続対象部材2の上面上に、上記第1の導電ペーストを用いて、第1の導電ペースト層11を配置する(第1の工程)。第1の接続対象部材2の上面の第1の電極2aが設けられた表面上に、第1の導電ペースト層11を配置する。第1の導電ペースト層11の配置の後に、はんだ粒子11Aは、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
第1の導電ペースト層11及び後述する第2の導電ペースト層12の配置方法としては、特に限定されないが、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
また、第2の電極3aを下面に有し、かつ第2の電極3bを上面に有する第2の接続対象部材3を用意する。
次に、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の上面上の第1の導電ペースト層11において、第1の導電ペースト層11の第1の接続対象部材2側とは反対側の表面(上面)上に、第2の接続対象部材3を下面側から配置する(第2の工程)。第1の導電ペースト層11の上面上に、下面の第2の電極3a側から、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、上面の第1の電極2aと下面の第2の電極3aとを対向させる。
次に、はんだ粒子11Aの融点以上及び熱硬化性成分11Bの硬化温度以上に第1の導電ペースト層11を加熱する(第3の工程)。すなわち、第1の導電ペースト層11に含まれるはんだ粒子11Aの融点及び熱硬化性成分11Bの硬化温度の内のより低い温度以上に、第1の導電ペースト層11を加熱する。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子11Aは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まる(自己凝集効果)。また、本実施形態では、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いているために、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まる。また、はんだ粒子11Aは溶融し、互いに接合する。また、熱硬化性成分11Bは熱硬化する。この結果、図2(c)に示すように、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している第1の接続部5を、第1の導電ペースト層11により形成する。第1の導電ペースト層11により第1の接続部5が形成され、複数のはんだ粒子11Aが接合することによって第1のはんだ部5Aが形成され、熱硬化性成分11Bが熱硬化することによって第1の硬化物部5Bが形成される。はんだ粒子11Aが十分に移動すれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動が開始してから、第1の電極2aと第2の電極3aとの間にはんだ粒子11Aの移動が完了するまでに、温度を一定に保持しなくてもよい。
また、熱硬化性成分12Bと、複数のはんだ粒子12Aとを含む第2の導電ペーストを用意する。
図3(a)に示すように、第2の接続対象部材3の上面上に、上記第2の導電ペーストを用いて、第2の導電ペースト層12を配置する(第4の工程)。第2の接続対象部材3の上面の第2の電極3bが設けられた表面上に、第2の導電ペースト層12を配置する。第2の導電ペースト層12の配置の後に、はんだ粒子12Aは、第2の電極3b(ライン)上と、第2の電極3bが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
また、第3の電極4aを下面に有する第3の接続対象部材4を用意する。
次に、図3(b)に示すように、第2の接続対象部材3の上面上の第2の導電ペースト層12において、第2の導電ペースト層12の第2の接続対象部材3側とは反対側の表面(上面)上に、第3の接続対象部材4を下面側から配置する(第5の工程)。第2の導電ペースト層12の上面上に、下面の第3の電極4a側から、第3の接続対象部材4を配置する。このとき、上面の第2の電極3bと下面の第3の電極4aとを対向させる。
次に、第2の導電ペースト層12に含まれるはんだ粒子12Aの融点以上及び熱硬化性成分12Bの硬化温度以上に第2の導電ペースト層12を加熱する(第6の工程)。すなわち、はんだ粒子12Aの融点及び熱硬化性成分12Bの硬化温度の内のより低い温度以上に、第2の導電ペースト層12を加熱する。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子12Aは、第2の電極3bと第3の電極4aとの間に集まる(自己凝集効果)。また、本実施形態では、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いているために、はんだ粒子12Aが、第2の電極3bと第3の電極4aとの間に効果的に集まる。また、はんだ粒子12Aは溶融し、互いに接合する。また、熱硬化性成分12Bは熱硬化する。この結果、図3(c)に示すように、第2の接続対象部材3と第3の接続対象部材4とを接続している第2の接続部6を、第2の導電ペースト層12により形成する。第2の導電ペースト層12により第2の接続部6が形成され、複数のはんだ粒子12Aが接合することによって第2のはんだ部6Aが形成され、熱硬化性成分12Bが熱硬化することによって第2の硬化物部6Bが形成される。はんだ粒子12Aが十分に移動すれば、第2の電極2bと第3の電極4aとの間に位置していないはんだ粒子12Aの移動が開始してから、第2の電極2bと第3の電極4aとの間にはんだ粒子12Aの移動が完了するまでに、温度を一定に保持しなくてもよい。
本実施形態では、複数の第2のはんだ部6Aにおいて、はんだ量を多くすることができる。これは、第2の接続対象部材3の上面及び下面で、第2の電極3aと第2の電極3bとが対向しておらず、第2の接続対象部材3の上面及び下面で、第2の電極3aと第2の電極3bとの位置がずれているためである。第2の接続対象部材本体を介して、第2の電極3aと第2の電極3bとが対向しておらず、第2の接続対象部材3の上面及び下面で、第2の電極3aと第2の電極3bとの位置がずれている。下面の第2の電極3aの上方に、上面の第2の電極3bがない。上面の第2の電極3bの下方に、下面の第2の電極3aがない。このため、加熱によって上面の第2の電極3b上のはんだ粒子12Aが移動する際に、上面の第2の電極3bの下方に熱が放散されにくく、第2の導電ペースト層12の粘度が充分に下がりやすい。結果として、はんだ粒子12Aが効率的に移動する。
仮に、第2の接続対象部材103の上面及び下面で、第2の電極103a,103bが対向しており、第2の接続対象部材103の上面及び下面で、第2の電極103a,103bの位置がずれていない場合には、図5に示すような接続構造体101が得られやすい。接続構造体101は、第1の接続対象部材102と、第2の接続対象部材103と、第3の接続対象部材104と、第1の接続部105と、第2の接続部106とを備える。第1の接続対象部材102は上面に、複数の第1の電極102aを有する。第2の接続対象部材103は下面に、複数の第2の電極103aを有し、上面に、複数の第2の電極103bを有する。第3の接続対象部材104は下面に、複数の第3の電極104aを有する。第1の接続部105は、第1のはんだ部105Aと、第1の硬化物部105Bとを有する。第2の接続部106は、第2のはんだ部106Aと、第1の硬化物部106Bとを有する。
接続構造体101を得る際には、加熱によって上面の第2の電極103a上のはんだ粒子が移動する際に、上面の第2の電極103aの下方に熱が放散されやすい。このため、上面の第2の電極103aと下面の第3の電極104aとの間の第2の導電ペースト層の温度が充分に高くならず、第2の導電ペースト層の溶融粘度が充分に低くならず、上面の第2の電極103aと下面の第3の電極103bとの間に、はんだ粒子が効果的に集まりにくい。
上記第2の接続対象部材の主面方向において、上記第2の接続対象部材の上面の上記第2の電極の端部と上記2の接続対象部材の下面の上記第2の電極の端部との距離D(図1参照)は0μm以上、好ましくは0μmを超え、より好ましくは0.1μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、更に一層好ましくは5μm以上、更に一層好ましくは10μm以上、更に一層好ましくは50μm以上、特に好ましくは100μm以上、特に好ましくは150μm以上、最も好ましくは200μm以上、好ましくは1000μm以下である。上記距離Dが大きいほど、下面の第2の電極による熱の放散をより一層防ぐことができる。上記第2の接続対象部材の主面方向は、一般に、得られる接続構造体における第1,第2,第3の接続対象部材の積層方向と直交する方向である。
なお、図1に示す接続構造体1では、第1のはんだ部5Aの全てが、第1,第2の電極2a,3a間の対向している領域に位置しており、第2のはんだ部6Aの全てが、第2,第3の電極3b,4a間の対向している領域に位置している。図4に示す変形例の接続構造体1Xは、第1,第2の接続部5X,6Xのみが、図1に示す接続構造体1と異なる。第1,第2の接続部5X,6Xは、第1,第2のはんだ部5XA,6XAと第1,第2の硬化物部5XB,6XBとを有する。接続構造体1Xのように、第1のはんだ部5XAの多くが、第1,第2の電極2a,3aの対向している領域に位置しており、第1のはんだ部5XAの一部が第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出している第1のはんだ部5XAは、第1のはんだ部5XAの一部であり、第1のはんだ部5XAから離れたはんだではない。接続構造体1Xのように、第2のはんだ部6XAの多くが、第2,第3の電極3b,4aの対向している領域に位置しており、第2のはんだ部6XAの一部が第2,第3の電極3b,4aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第2,第3の電極3b,4aの対向している領域から側方にはみ出している第2のはんだ部6XAは、第2のはんだ部6XAの一部であり、第2のはんだ部6XAから離れたはんだではない。なお、本実施形態では、はんだ部から離れたはんだの量を少なくすることができるが、はんだ部から離れたはんだが硬化物部中に存在していてもよい。
はんだ粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体1を得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量を多くすれば、接続構造体1Xを得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量が多いと、接続構造体において電極間に位置しているはんだ部の厚みを、導電ペーストに含まれるはんだ粒子の平均粒子径よりも大きくすることが容易である。
本実施形態では、上記第2の工程及び上記第3の工程において、加圧を行っておらず、上記第5の工程及び上記第6の工程において、加圧を行っていない。本実施形態では、第1の導電ペースト層11には、第2の接続対象部材3の重量が加わり、第2の導電ペースト層12には、第3の接続対象部材4の重量が加わる。また、本実施形態では、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いている。このため、第1,第2の接続部5,6の形成時に、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まり、はんだ粒子12Aが、第2の電極3bと第3の電極4aとの間に効果的に集まる。結果として、第1の電極2aと第2の電極3aとの間の第1のはんだ部5Aの厚み及び第2の電極3bと第3の電極4aとの間の第2のはんだ部6Aの厚みが厚くなりやすい。なお、上記第2の工程及び上記第3の工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、はんだ粒子が第1の電極と第2の電極との間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなり、上記第5の工程及び上記第6の工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、はんだ粒子が第2の電極と第3の電極との間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなる。このことは、本発明者によって見出された。
また、本実施形態では、加圧を行っていないため、接続対象部材の電極のアライメントがずれた状態で、接続対象部材が重ね合わされた場合でも、そのずれを補正して、電極間を接続させることができる(セルフアライメント効果)。これは、電極間に自己凝集した溶融したはんだが、電極間のはんだと導電ペーストのその他の成分とが接する面積が最小となる方がエネルギー的に安定になるため、その最小の面積となる接続構造であるアライメントのあった接続構造にする力が働くためである。この際、導電ペーストが硬化していないこと、及び、その温度、時間にて、導電ペーストのはんだ粒子以外の成分の粘度が十分低いことが望ましい。
はんだの融点温度での上記第1の導電ペースト及び上記第2の導電ペーストの粘度は、好ましくは50Pa・s以下、より好ましくは10Pa・s以下、更に好ましくは1Pa・s以下、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.2Pa・s以上である。所定の粘度以下であれば、はんだ粒子を効率的に凝集させることができ、所定の粘度以上であれば、接合部でのボイドを抑制し、接続部以外への導電ペーストのはみだしを抑制し、並びに、複数のはんだ部において、はんだ量の均一性をより一層高めることができる。
このようにして、図1に示す接続構造体1が得られる。なお、上記第2の工程と上記第3の工程とは連続して行われてもよく、上記第5の工程と第6の工程とは連続して行われてもよい。また、上記第2の工程を行った後に、第1の接続対象部材2と第1の導電ペースト層11と第2の接続対象部材3とが積層された状態で、加熱部材に移動させて、上記第3の工程を行ってもよい。上記第5の工程を行った後に、第2の接続対象部材3と第2の導電ペースト層12と第3の接続対象部材4とが積層された状態で、加熱部材に移動させて、上記第6の工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
上記第3の工程及び上記第6の工程における加熱温度は、第1,第2の導電ペースト層にそれぞれ含まれるはんだ粒子の融点以上及び熱硬化性成分の硬化温度以上であれば特に限定されない。上記加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
はんだ粒子の移動をより一層促進し、かつ接続構造体の製造効率をより一層高める観点からは、上記第1の接続部を、上記第1の導電ペースト層により形成する際に、上記第1の導電ペースト層の加熱開始から上記第1の導電ペースト層に含まれる上記はんだ粒子の融点に達するまでの時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは2秒以上、好ましくは300秒以下、より好ましくは120秒以下、更に好ましくは60秒以下にする。この時間は、2秒以上、60秒以下であることが特に好ましい。
はんだ粒子の移動をより一層促進し、かつ接続構造体の製造効率をより一層高める観点からは、上記第2の接続部を、上記第2の導電ペースト層により形成する際に、上記第2の導電ペースト層の加熱開始から上記第2の導電ペースト層に含まれる上記はんだ粒子の融点に達するまでの時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは2秒以上、好ましくは300秒以下、より好ましくは120秒以下、更に好ましくは60秒以下にする。この時間は、2秒以上、60秒以下であることが特に好ましい。
なお、上記第3の工程の後に、位置の修正や製造のやり直しを目的として、第1の接続対象部材又は第2の接続対象部材を、接続部から剥離することができる。上記第5の工程の後に、位置の修正や製造のやり直しを目的として、第2の接続対象部材又は第3の接続対象部材を、接続部から剥離することができる。この剥離を行うための加熱温度は、第1,第2の導電ペースト層にそれぞれ含まれるはんだ粒子の融点を考慮して、好ましくははんだ粒子の融点以上、より好ましくははんだ粒子の融点(℃)+10℃以上である。この剥離を行うための加熱温度は、はんだ粒子の融点(℃)+100℃以下であってもよい。
上記第3の工程及び上記第6の工程における加熱方法としては、はんだ粒子の融点以上及び熱硬化性成分の硬化温度以上に、接続構造体全体を、リフロー炉を用いて又はオーブンを用いて加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
局所的に加熱する方法に用いる器具としては、ホットプレート、熱風を付与するヒートガン、はんだゴテ、及び赤外線ヒーター等が挙げられる。
また、ホットプレートにて局所的に加熱する際、接続部直下は、熱伝導性の高い金属にて、その他の加熱することが好ましくない個所は、フッ素樹脂等の熱伝導性の低い材質にて、ホットプレート上面を形成することが好ましい。
なお、上記第1の接続対象部材は、少なくとも1つの第1の電極を有していればよい。上記第1の接続対象部材は複数の第1の電極を有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は、上面及び下面のそれぞれに、少なくとも1つの第2の電極を有していればよい。上記第2の接続対象部材は、上面及び下面のそれぞれに、複数の第2の電極を有することが好ましい。上記第3の接続対象部材は、少なくとも1つの第3の電極を有していればよい。上記第3の接続対象部材は複数の第2の電極を有することが好ましい。
上記第1,第2,第3の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2,第3の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記第1,第2,第3の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材、上記第2の接続対象部材及び上記第3の接続対象部材の内の少なくとも1つが、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第2の接続対象部材が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第3の接続対象部材が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような接続対象部材の接続に導電フィルムを用いた場合には、はんだ粒子が電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、はんだ粒子を電極上に効率的に集めることで、電極間の導通信頼性を充分に高めることができる。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いる場合に、半導体チップなどの他の接続対象部材を用いた場合と比べて、加圧を行わないことによる電極間の導通信頼性の向上効果がより一層効果的に得られる。
上記第2の接続対象部材が、リジッドフレキシブル基板を除くリジッド基板であり、上記第3の接続対象部材が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブル基板又はフレキシブルフラットケーブルであることが好ましい。第2の接続対象部材がリジッド基板であると、リジッド基板が硬いので、第2の導電ペーストを高精度に配置することができる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置するために、上記第1の導電ペースト及び上記第2の導電ペーストの25℃での粘度ηは好ましくは10Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上、更に好ましくは100Pa・s以上、好ましくは800Pa・s以下、より好ましくは600Pa・s以下、更に好ましくは500Pa・s以下である。
上記粘度は、配合成分の種類及び配合量に適宜調整可能である。また、フィラーの使用により、粘度を比較的高くすることができる。
上記粘度は、例えば、E型粘度計(東機産業社製)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定可能である。
複数のはんだ部において、はんだ量の均一性を高める観点からは、上記第1の電極の電極幅、上記第2の電極の電極幅及び上記第3の電極の電極幅は、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは250μm以下である。上記電極幅は、L/Sにおけるライン(L)の幅である。はんだ粒子を電極間により一層効率的に配置する観点からは、上記第1の電極の電極間幅、上記第2の電極の電極間幅及び上記第3の電極の電極間幅は、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは250μm以下である。上記電極間幅は、L/Sにおけるスペース(S)の幅である。電極幅及び電極間幅が100μm以下、85μm以下、70μm以下の順で小さくなるほど、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。
上記第1の導電ペーストは、熱硬化性成分と複数のはんだ粒子とを含むことが好ましい。上記第2の導電ペーストは、熱硬化性成分と複数のはんだ粒子とを含む。上記熱硬化性成分は、加熱により硬化可能な硬化性化合物(熱硬化性化合物)と、熱硬化剤とを含むことが好ましい。はんだ粒子の表面及び電極の表面の酸化膜を効果的に除去し、接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記導電ペーストはフラックスを含むことが好ましい。
以下、本発明の他の詳細を説明する。
(はんだ粒子)
上記はんだ粒子は、はんだを導電性の外表面に有する。上記はんだ粒子では、中心部分及び導電性の外表面とのいずれもがはんだにより形成されている。上記はんだ粒子は、中心部分及び導電性の外表面とのいずれもがはんだである粒子である。
電極上にはんだ粒子を効率的に集める観点からは、上記はんだ粒子の表面のゼータ電位がプラスであることが好ましい。但し、本発明では、上記はんだ粒子の表面のゼータ電位がプラスでなくてもよい。
ゼータ電位は以下のようにして測定される。
ゼータ電位の測定方法:
はんだ粒子0.05gを、メタノール10gに入れ、超音波処理等をすることで、均一に分散させて、分散液を得る。この分散液を用いて、かつBeckman Coulter社製「Delsamax PRO」を用いて、電気泳動測定法にて、ゼータ電位を測定することができる。
はんだ粒子のゼータ電位は好ましくは0mVを超え、好ましくは10mV以下、より好ましくは5mV以下、より一層好ましくは1mV以下、更に好ましくは0.7mV以下、特に好ましくは0.5mV以下である。ゼータ電位が上記上限以下であると、使用前の導電ペースト中にて、はんだ粒子が凝集しにくくなる。ゼータ電位が0mV以上であると、実装時に電極上にはんだ粒子が効率的に凝集する。
表面のゼータ電位をプラスにすることが容易であることから、上記はんだ粒子は、はんだ粒子本体と、上記はんだ粒子本体の表面上に配置されたアニオンポリマーとを有することが好ましい。上記はんだ粒子は、はんだ粒子本体をアニオンポリマー又はアニオンポリマーとなる化合物で表面処理することにより得られることが好ましい。上記はんだ粒子は、アニオンポリマー又はアニオンポリマーとなる化合物による表面処理物であることが好ましい。上記アニオンポリマー及び上記アニオンポリマーとなる化合物はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
はんだ粒子本体をアニオンポリマーで表面処理する方法としては、アニオンポリマーとして、例えば(メタ)アクリル酸を共重合した(メタ)アクリルポリマー、ジカルボン酸とジオールとから合成されかつ両末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリマー、ジカルボン酸の分子間脱水縮合反応により得られかつ両末端にカルボキシル基を有するポリマー、ジカルボン酸とジアミンから合成されかつ両末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリマー、並びにカルボキシル基を有する変性ポバール(日本合成化学社製「ゴーセネックスT」)等を用いて、アニオンポリマーのカルボキシル基と、はんだ粒子本体の表面の水酸基とを反応させる方法が挙げられる。
上記アニオンポリマーのアニオン部分としては、上記カルボキシル基が挙げられ、それ以外には、トシル基(p−H3CC6H4S(=O)2−)、スルホン酸イオン基(−SO3 −)、及びリン酸イオン基(−PO4 −)等が挙げられる。
また、他の方法としては、はんだ粒子本体の表面の水酸基と反応する官能基を有し、さらに、付加、縮合反応により重合可能な官能基を有する化合物を用いて、この化合物をはんだ粒子本体の表面上にてポリマー化する方法が挙げられる。はんだ粒子本体の表面の水酸基と反応する官能基としては、カルボキシル基、イソシアネート基等が挙げられ、付加、縮合反応により重合する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
上記アニオンポリマーの重量平均分子量は好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、好ましくは10000以下、より好ましくは8000以下である。
上記重量平均分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子本体の表面上にアニオンポリマーを配置することが容易であり、はんだ粒子の表面のゼータ電位をプラスにすることが容易であり、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
はんだ粒子本体をアニオンポリマーとなる化合物で表面処理することにより得られたポリマーの重量平均分子量は、はんだ粒子中のはんだを溶解し、ポリマーの分解を起こさない希塩酸等により、はんだ粒子を除去した後、残存しているポリマーの重量平均分子量を測定することで求めることができる。
上記はんだは、融点が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。上記はんだ粒子は、融点が450℃以下である金属粒子(低融点金属粒子)であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記はんだ粒子は錫を含む。上記はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記はんだ粒子における錫の含有量が上記下限以上であると、はんだ部と電極との接続信頼性がより一層高くなる。
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記はんだ粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだ部が電極間を導通させる。例えば、はんだ部と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、はんだ粒子の使用により、はんだ部と電極との接合強度が高くなる結果、はんだ部と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性及び接続信頼性が効果的に高くなる。
上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。なかでも、電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
上記はんだ粒子は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだ粒子の組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだ粒子は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むか、又は錫とビスマスとを含むことが好ましい。
上記はんだ部と電極との接合強度をより一層高めるために、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだ部と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、はんだ粒子100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記はんだ粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm未満、より一層好ましくは75μm以下、より一層好ましくは60μm以下、より一層好ましくは40μm以下、より一層好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記はんだ粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。上記はんだ粒子の平均粒子径は、3μm以上、30μm以下であることが特に好ましい。
上記はんだ粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。はんだ粒子の平均粒子径は、例えば、任意のはんだ粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記はんだ粒子の粒子径の変動係数は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記粒子径の変動係数が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。但し、上記はんだ粒子の粒子径の変動係数は、5%未満であってもよい。
上記変動係数(CV値)は下記式で表される。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:はんだ粒子の粒子径の標準偏差
Dn:はんだ粒子の粒子径の平均値
上記はんだ粒子の形状は特に限定されない。上記はんだ粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状などの球形状以外の形状であってもよい。
上記導電ペースト100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。上記はんだ粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだ粒子を多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記はんだ粒子の含有量は多い方が好ましい。
特に、上記導電ペースト100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は好ましくは1重量%以上、好ましくは80重量%以下である。この場合には、電極上にはんだ粒子が効率的に集まり、導通信頼性がより一層高くなる。
(加熱により硬化可能な化合物:熱硬化性成分)
上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。なかでも、導電ペーストの硬化性及び粘度をより一層良好にし、接続信頼性をより一層高める観点から、エポキシ化合物が好ましい。
上記エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物が挙げられる。中でも、レゾルシノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ベンゾフェノン型エポキシ化合物等の結晶性エポキシ化合物が好ましい。常温(23℃)で固体であり、かつ溶融温度がはんだの融点以下であるエポキシ化合物が好ましい。溶融温度は好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、好ましくは40℃以上である。上記の好ましいエポキシ化合物を用いることで、接続対象部材を貼り合わせた段階では、粘度が高く、搬送等の衝撃が、加速度が付与された際に、接続対象部材の位置ずれを抑制することができ、なおかつ、硬化時の熱により、導電ペーストの粘度を大きく低下させることができ、はんだ粒子の凝集を効率よく進行させることができる。
上記導電ペースト100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性成分の含有量は多い方が好ましい。
(熱硬化剤:熱硬化性成分)
上記熱硬化剤は、上記熱硬化性化合物を熱硬化させる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤などのチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なかでも、導電ペーストを低温でより一層速やかに硬化可能であるので、イミダゾール硬化剤、チオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、加熱により硬化可能な硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性チオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記チオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン開始剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイゾブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。上記熱硬化剤の反応開始温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子が電極上により一層効率的に配置される。上記熱硬化剤の反応開始温度は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化剤の反応開始温度は、上記はんだ粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、DSCでの発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、導電ペーストを充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
(フラックス)
上記導電ペーストは、フラックスを含むことが好ましい。フラックスの使用により、はんだを電極上により一層効果的に配置することができる。該フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記フラックスの活性温度(融点)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、より一層好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下、更に一層好ましくは140℃以下である。上記フラックスの活性温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、はんだ粒子が電極上により一層効率的に配置される。上記フラックスの活性温度は80℃以上、190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの活性温度は80℃以上、かつ140℃以下であることが特に好ましい。
融点が80℃以上、190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、リンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
また、上記フラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記はんだ粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記熱硬化剤の反応開始温度よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
上記フラックスは、導電ペースト中に分散されていてもよく、はんだ粒子の表面上に付着していてもよい。
フラックスの融点が、はんだの融点より高いことにより、電極部分にはんだ粒子を効率的に凝集させることができる。これは、接合時に熱を付与した場合、接続対象部材上に形成された電極と、電極周辺の接続対象部材の部分とを比較すると、電極部分の熱伝導率が電極周辺の接続対象部材部分の熱伝導率よりも高いことにより、電極部分の昇温が早いことに起因する。はんだ粒子の融点を超えた段階では、はんだ粒子の内部は溶解するが、表面に形成された酸化被膜は、フラックスの融点(活性温度)に達していないので、除去されない。この状態で、電極部分の温度が先に、フラックスの融点(活性温度)に達するため、優先的に電極上に来たはんだ粒子の表面の酸化被膜が除去され、はんだ粒子が電極の表面上に濡れ拡がることができる。これにより、電極上に効率的にはんだ粒子を凝集させることができる。
上記フラックスは、加熱によりカチオンを放出するフラックスであることが好ましい。加熱によりカチオンを放出するフラックスの使用により、はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。
上記加熱によりカチオンを放出するフラックスとしては、上記熱カチオン開始剤が挙げられる。
上記導電ペースト100重量%中、上記フラックスの含有量は好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記導電ペーストは、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
(他の成分)
上記導電ペーストは、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
ポリマーA:
ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂との反応物(ポリマーA)の合成:
ビスフェノールF(4,4’−メチレンビスフェノールと2,4’−メチレンビスフェノールと2,2’−メチレンビスフェノールとを重量比で2:3:1で含む)72重量部、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル70重量部、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON EXA−830CRP」)30重量部を、3つ口フラスコに入れ、窒素フロー下にて、150℃で溶解させた。その後、水酸基とエポキシ基の付加反応触媒であるテトラーn−ブチルスルホニウムブロミド0.1重量部を添加し、窒素フロー下にて、150℃で6時間、付加重合反応させることにより、反応物(ポリマーA)を得た。
NMRにより、付加重合反応が進行したことを確認して、反応物(ポリマーA)が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に由来する水酸基と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂のエポキシ基とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつエポキシ基を両末端に有することを確認した。
GPCにより得られた反応物(ポリマーA)の重量平均分子量は10000、数平均分子量は3500であった。
ポリマーB:両末端エポキシ基剛直骨格フェノキシ樹脂、三菱化学社製「YX6900BH45」、重量平均分子量16000
熱硬化性化合物1:レゾルシノール型エポキシ化合物、ナガセケムテックス社製「EX−201」
熱硬化性化合物2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC社製「EPICLON EXA−830CRP」
熱硬化剤1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、昭和電工社製「カレンズMT PE1」
潜在性エポキシ熱硬化剤1:T&K TOKA社製「フジキュア7000」
フラックス1:アジピン酸、和光純薬工業社製、融点(活性温度)152℃
はんだ粒子1〜3の作製方法:
アニオンポリマー1を有するはんだ粒子:はんだ粒子本体200gと、アジピン酸40gと、アセトン70gとを3つ口フラスコに秤量し、次にはんだ粒子本体の表面の水酸基とアジピン酸のカルボキシル基との脱水縮合触媒であるジブチル錫オキサイド0.3gを添加し、60℃で4時間反応させた。その後、はんだ粒子を濾過することで回収した。
回収したはんだ粒子と、アジピン酸50gと、トルエン200gと、パラトルエンスルホン酸0.3gとを3つ口フラスコに秤量し、真空引き、及び還流を行いながら、120℃で、3時間反応させた。この際、ディーンスターク抽出装置を用いて、脱水縮合により生成した水を除去しながら反応させた。
その後、ろ過によりはんだ粒子を回収し、ヘキサンにて洗浄し、乾燥した。その後、得られたはんだ粒子をボールミルで解砕した後、所定のCV値となるように篩を選択した。
(ゼータ電位測定)
また、得られたはんだ粒子を、アニオンポリマー1を有するはんだ粒子0.05gを、メタノール10gに入れ、超音波処理をすることで、均一に分散させて、分散液を得た。この分散液を用いて、かつBeckman Coulter社製「Delsamax PRO」を用いて、電気泳動測定法にて、ゼータ電位を測定した。
(アニオンポリマーの重量平均分子量)
はんだ粒子の表面のアニオンポリマー1の重量平均分子量は、0.1Nの塩酸を用い、はんだを溶解した後、ポリマーをろ過により回収し、GPCにより求めた。
(はんだ粒子のCV値)
CV値を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」)にて、測定した。
はんだ粒子1(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「ST−3」を選別したはんだ粒子本体を用い、表面処理を行ったアニオンポリマー1を有するはんだ粒子、平均粒子径4μm、CV値7%、表面のゼータ電位:+0.65mV、ポリマー分子量Mw=6500)
はんだ粒子2(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「DS10」を選別したはんだ粒子本体を用い、表面処理を行ったアニオンポリマー1を有するはんだ粒子、平均粒子径13μm、CV値20%、表面のゼータ電位:+0.48mV、ポリマー分子量Mw=7000)
はんだ粒子3(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「10−25」を選別したはんだ粒子本体を用い、表面処理を行ったアニオンポリマー1を有するはんだ粒子、平均粒子径25μm、CV値15%、表面のゼータ電位:+0.4mV、ポリマー分子量Mw=8000)
導電性粒子1:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み3μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子
導電性粒子1の作製方法:
平均粒子径10μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−210」)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.1μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ1μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ3μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み3μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子1を作製した。
フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「YP−50S」)
(実施例1)
(1)異方性導電ペーストの作製
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、異方性導電ペーストを得た。
(2)第1の接続構造体
電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが1mmであるように、基板の上面に有し、かつ、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、上面と下面との電極が交互に等間隔で並ぶように、基板の下面に有するガラスエポキシ基板を用意した。上記ガラスエポキシ基板の主面方向(厚み方向と直交する方向)において、上面の電極の端部と下面の電極の端部との距離Dは250μmであった。
また、ガラスエポキシ基板では、銅電極の厚みを12μm、ソルダーレジストの厚みを30μm、基板の総厚みを0.6mmとした。
次に、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが1mmであるように、一方の表面に有する第1,第2のフレキシブルプリント基板(総厚み100μm)を用意した。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを、ガラスエポキシ基板の電極上で厚さ100μmとなるように、メタルマスクを用い、スクリーン印刷にて塗工し、第1の異方性導電ペースト層を形成した。次に、第1の異方性導電ペースト層の上面に上記第1のフレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。このとき、加圧を行わなかった。第1の異方性導電ペースト層には、上記第1のフレキシブルプリント基板の重量は加わる。その後、第1の異方性導電ペースト層の温度が190℃となるように、ホットプレート上で加熱しながら、はんだを溶融させ、かつ第1の異方性導電ペースト層を190℃及び10秒で硬化させ、積層体を得た。
得られた積層体を反転させ、その上面に、作製直後の異方性導電ペーストを、積層体の電極上で厚さ100μmとなるように、メタルマスクを用い、スクリーン印刷にて塗工し、第2の異方性導電ペースト層を形成した。次に、第2の異方性導電ペースト層の上面に上記第2のフレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。このとき、加圧を行わなかった。第2の異方性導電ペースト層には、上記第2のフレキシブルプリント基板の重量は加わる。その後、第2の異方性導電ペースト層の温度が190℃となるようにホットプレート上で加加熱しながら、はんだを溶融させ、かつ第2の異方性導電ペースト層を190℃及び10秒で硬化させ、第1の接続構造体を得た。
(実施例2)
電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが750μmであるように、上面に有し、かつ、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、上面と下面との電極が交互に等間隔で並ぶように、基板の下面に有するガラスエポキシ基板を用意した。上記ガラスエポキシ基板の主面方向(厚み方向と直交する方向)において、上面の電極の端部と下面の電極の端部との距離Dは125μmであった。
次に、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが750μmであるように、一方の表面に有する第1,第2のフレキシブルプリント基板(総厚み100μm)を用意した。
上記のガラスエポキシ基板及び第1,第2のフレキシブルプリント基板を用いたこと以外は、実施例1の第1の接続構造体と同様にして第2の接続構造体を得た。
(実施例3)
電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが500μmであるように、上面に有し、かつ、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、上面と下面との電極が交互に等間隔で並ぶように、基板の下面に有するガラスエポキシ基板を用意した。上記ガラスエポキシ基板の主面方向(厚み方向と直交する方向)において、上面の電極の端部と下面の電極の端部との距離Dは0μmであった。
次に、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが500μmであるように、一方の面に有する第1,第2のフレキシブルプリント基板(総厚み100μm)を用意した。
上記のガラスエポキシ基板及び第1,第2のフレキシブルプリント基板を用いたこと以外は、実施例1の第1の接続構造体と同様にして第3の接続構造体を得た。
(実施例4)
異方性導電ペーストの配合成分及び配合量を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、第1の接続構造体を得た。
(実施例5)
実施例4で得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例2と同様にして、第2の接続構造体を得た。
(実施例6)
実施例4で得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例3と同様にして、第3の接続構造体を得た。
(参考例7)
第2の導電ペースト層の加熱時に1Mpaの圧力を加えたこと以外は実施例1と同様にして、第1の接続構造体を得た。
(実施例8)
異方性導電ペーストの配合成分及び配合量を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、第1の接続構造体を得た。
(実施例9)
実施例8で得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例2と同様にして、第2の接続構造体を得た。
(実施例10)
実施例8で得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例3と同様にして、第3の接続構造体を得た。
(実施例11)
電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが600μmであるように、上面に有し、かつ、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、上面と下面との電極が交互に等間隔で並ぶように、基板の下面に有するガラスエポキシ基板を用意した。上記ガラスエポキシ基板の主面方向(厚み方向と直交する方向)において、上面の電極の端部と下面の電極の端部との距離Dは50μmであった。
次に、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが600μmであるように、一方の面に有する第1,第2のフレキシブルプリント基板(総厚み100μm)を用意した。
上記のガラスエポキシ基板及び第1,第2のフレキシブルプリント基板を用いたこと以外は、実施例1の第1の接続構造体と同様にして第4の接続構造体を得た。
(実施例12)
電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが520μmであるように、上面に有し、かつ、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、上面と下面との電極が交互に等間隔で並ぶように、基板の下面に有するガラスエポキシ基板を用意した。上記ガラスエポキシ基板の主面方向(厚み方向と直交する方向)において、上面の電極の端部と下面の電極の端部との距離Dは10μmであった。
次に、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが520μmであるように、一方の面に有する第1,第2のフレキシブルプリント基板(総厚み100μm)を用意した。
上記のガラスエポキシ基板及び第1,第2のフレキシブルプリント基板を用いたこと以外は、実施例1の第1の接続構造体と同様にして第5の接続構造体を得た。
(実施例13)
電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、電極間のスペースが1mmであるように、基板の上面に有し、かつ、電極サイズ500μm×500μmの銅電極パターンの電極20個を、上面と下面との電極が交互に等間隔で並ぶように、基板の下面に有するフレキシブルプリント基板を用意した。上記フレキシブルプリント基板の主面方向(厚み方向と直交する方向)において、上面の電極の端部と下面の電極の端部との距離Dは250μmであった。
また、フレキシブルプリント基板では、銅電極の厚みを12μm、ソルダーレジストの厚みを30μm、基板の総厚みを0.6mmとした。
ガラスエポキシ基板をフレキシブルプリント基板に変更したこと以外は実施例1と同様にして、第6の接続構造体を得た。
(比較例1)
上記ガラスエポキシ基板の上面及び下面で、電極が対向しており、上記第1のフレキシブルプリント基板の上面及び下面で、電極の位置がずれていないように変更したこと以外は実施例1と同様にして、第7の接続構造体(ガラスエポキシ基板の電極対向)を得た。
(比較例2)
フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「YP−50S」)18重量部をメチルエチルケトン(MEK)に固形分が50重量%となるように溶解させて、溶解液を得た。下記の表1に示すフェノキシ樹脂を除く成分を下記の表1に示す配合量と、上記溶解液の全量とを配合して、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌した後、バーコーターを用いて乾燥後の厚みが30μmになるよう離型PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗工した。室温で真空乾燥することで、MEKを除去することにより、異方性導電フィルムを得た。
異方性導電フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、第1の接続構造体を得た。
(比較例3)
異方性導電ペーストの配合成分及び配合量を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、第1の接続構造体を得た。
(評価)
(1)粘度
異方性導電ペーストの25℃での粘度ηを、E型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定した。
(2)はんだ部の厚み
得られた接続構造体を断面観察することにより、上下の電極の間に位置しているはんだ部の厚みを評価した。
(3)電極上のはんだの配置精度
得られた接続構造体の上記第1,第2のフレキシブルプリント基板間の断面(図1に示す方向の断面)において、はんだの全面積100%中、電極間に配置されたはんだ部から離れて硬化物中に残存しているはんだの面積(%)を評価した。なお、5つの断面における面積の平均を算出した。電極上のはんだの配置精度を下記の基準で判定した。
[電極上の導電性粒子の配置精度の判定基準]
○○:断面に現れているはんだの全面積100%中、電極間に配置されたはんだ部から離れて硬化物中に残存しているはんだ(はんだ粒子)の面積が0%以上、1%以下
○1:断面に現れているはんだの全面積100%中、電極間に配置されたはんだ部から離れて硬化物中に残存しているはんだ(はんだ粒子)の面積が1%を超え、5%以下
○2:断面に現れているはんだの全面積100%中、電極間に配置されたはんだ部から離れて硬化物中に残存しているはんだ(はんだ粒子)の面積が5%を超え、10%以下
△:断面に現れているはんだの全面積100%中、電極間に配置されたはんだ部から離れて硬化物中に残存しているはんだ(はんだ粒子)の面積が10%を超え、30%以下
×:断面に現れているはんだの全面積100%中、電極間に配置されたはんだ部から離れて硬化物中に残存しているはんだ(はんだ粒子)の面積が30%を超える
(4)上下の電極間の導通信頼性
得られた第1,第2,第3の接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の1接続箇所当たりの接続抵抗をそれぞれ、4端子法により、測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を下記の基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50mΩ以下
○1:接続抵抗の平均値が50mΩを超え、60mΩ以下
○2:接続抵抗の平均値が60mΩを超え、70mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が70mΩを超え、100mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が100mΩを超える
(5)隣接する電極間の絶縁信頼性
得られた第1,第2,第3の接続構造体(n=15個)において、85℃、湿度85%の雰囲気中に100時間放置後、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が107Ω以上
○:接続抵抗の平均値が106Ω以上、107Ω未満
△:接続抵抗の平均値が105Ω以上、106Ω未満
×:接続抵抗の平均値が105Ω未満
結果を下記の表1に示す。
第1,第2のフレキシブルプリント基板にかえて、樹脂フィルム、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。