本発明の一実施の形態に係る自動変速機は、変速機ケースと、変速機ケースに締結され、変速機ケースの内部から変速機ケースの外部に延びるシフトアンドセレクト軸を支持するシフトケースと、変速機ケースの外部に設置され、シフトアンドセレクト軸を自動的に操作することにより、変速を行う変速ユニットとを備え、変速ユニットが、シフトアンドセレクト軸を軸方向に移動および軸線回りに回転させるアクチュエータ部と、アクチュエータ部を駆動する駆動装置と、変速機ケースに締結され、アクチュエータ部および駆動装置が連結されるベースプレートとを備えた自動変速機であって、変速機ケースに複数の第1の被締結部が設けられており、ベースプレートに複数の第2の締結部が設けられており、シフトケースに、第1の被締結部に締結される複数の第1の締結部と、第2の締結部が締結される第2の被締結部とが設けられており、第2の被締結部の少なくとも半数以上が変速機ケースから分離されている。
これにより、既存の変速機ケースを大幅に改造せずに、変速ユニットを変速機ケースに安定して取付けることができ、自動変速機の生産性を向上できる。
以下、本発明に係る自動変速機の実施例について、図面を用いて説明する。
図1から図12は、本発明に係る一実施例の自動変速機を示す図である。なお、図1から図12において、上下左右方向は、車両に搭乗した運転者から見た方向を表わしている。
まず、構成を説明する。
図1から図3において、車両の図示しないエンジンルームには、例えば、AMTからなる自動変速機1が搭載されている。図1、図2において、自動変速機1は、変速機ケース2を備えており、変速機ケース2は、クラッチハウジング3と、クラッチハウジング3に隣接するトランスミッションケース4とを含んで構成されている。
クラッチハウジング3には発進用のクラッチ51(図2参照)が収容されている。図4において、トランスミッションケース4には入力軸6、第1のカウンタ軸7、第2のカウンタ軸8およびディファレンシャル装置9が収容されている。入力軸6、第1のカウンタ軸7および第2のカウンタ軸8は、それぞれ軸線方向が平行となるように設置されている。
入力軸6の一端部は、トランスミッションケース4からクラッチハウジング3に突出しており、入力軸6には内燃機関50(図2参照)からクラッチ51を介して動力が伝達される。入力軸6には変速用の入力ギヤ6Aが設けられており、入力ギヤ6Aは、変速段に応じた数だけ入力軸6の軸線方向に離隔して設置されている。
第1のカウンタ軸7および第2のカウンタ軸8にはそれぞれ変速用の第1のカウンタギヤ7Aおよび第2のカウンタギヤ8Aが設けられており、第1のカウンタギヤ7Aおよび第2のカウンタギヤ8Aは、入力ギヤ6Aに噛み合っている。
第1のカウンタ軸7および第2のカウンタ軸8のそれぞれにはファイナルドライブギヤ7B、8Bが設けられており(図3に仮想線で示す)、ファイナルドライブギヤ7B、8Bは、ディファレンシャル装置9のファイナルドリブンギヤ9Aに噛み合っている。
ディファレンシャル装置9は、ファイナルドリブンギヤ9Aと、ファイナルドリブンギヤ9Aが外周部に取付けられたデフケース9Bと、デフケース9Bに収容された図示しない差動ギヤとを含んで構成されている。
トランスミッションケース4の上壁には開口部4A(図5参照)が形成されており、トランスミッションケース4には開口部4Aを通してシフトアンドセレクト軸10が収容されている。シフトアンドセレクト軸10は、入力軸6の軸線と直交する上下方向の軸線を有し、トランスミッションケース4の内部からトランスミッションケース4の外部に延びている(図6参照)。
トランスミッションケース4の上壁にはシフトケース5が締結されており、シフトアンドセレクト軸10は、その軸線方向に移動自在で、軸線回りに回転自在となるようにシフトケース5に取付けられている。
トランスミッションケース4の上壁には環状の接合部4Bが形成されている(図45参照)。シフトケース5の下面には環状の接合部5J(図10参照)が形成されており、接合部5Jは、接合部4Bに接合される。本実施例の接合部5Jは、上下方向に板厚を有しており、本発明の接合部を構成する。
第1のカウンタ軸7、第2のカウンタ軸8およびファイナルドリブンギヤ9Aは、入力軸6に対してシフトアンドセレクト軸10と反対側に設置されている。
シフトアンドセレクト軸10には上下に離隔してインナレバー10A、10Bが設けられている(図11参照)。図4において、インナレバー10Aは、シフトピース12A、12Bに選択的に係合可能となっており、インナレバー10Bは、シフトピース12C、12Dに選択的に係合可能となっている。
シフトピース12Aから12Dは、それぞれシフトシャフト13Aから13Dに連結されている。シフトシャフト13Aから13Dは、入力軸6の軸線方向に沿って移動自在となるようにトランスミッションケース4に取付けられている。
シフトシャフト13Aから13Dにはシフトフォーク14Aから14Dが固定されており、シフトフォーク14Aから14Dは、それぞれ図示しない噛み合いクラッチに連結されている。噛み合いクラッチは、第1のカウンタ軸7および第2のカウンタ軸8の軸線上において、第1のカウンタ軸7および第2のカウンタ軸8の軸線方向に移動自在に設けられている。
本実施例の自動変速機1は、シフトアンドセレクト軸10が軸線方向に対応した上下方向に移動すると、セレクト操作が行われ、シフトアンドセレクト軸10が所定の変速段のセレクト位置でその軸線回りに回転すると、シフト操作が行われる。
具体的には、シフトアンドセレクト軸10が上下方向に移動して、所定の変速段においてインナレバー10A、10Bがシフトピース12Aから12Dのいずれか1つに嵌合し、シフトアンドセレクト軸10が回転すると、シフトシャフト13Aから13Dのいずれか1つが入力軸6の軸線方向に移動する。
このとき、シフトフォーク14Aから14Dのいずれか1つが噛み合いクラッチを第1のカウンタ軸7または第2のカウンタ軸8の軸線方向に移動させ、第1のカウンタギヤ7Aまたは第2のカウンタギヤ8Aを第1のカウンタ軸7または第2のカウンタ軸8に連結する。
これにより、第1のカウンタ軸7または第2のカウンタ軸8に連結される第1のカウンタギヤ7Aまたは第2のカウンタギヤ8Aに噛み合う入力ギヤ6Aとの間で所定の変速段が成立する。
所定の変速段が成立すると、内燃機関50の動力が入力軸6から第1のカウンタギヤ7Aまたは第2のカウンタギヤ8Aを介して第1のカウンタ軸7または第2のカウンタ軸8に伝達される。
このとき、第1のカウンタ軸7または第2のカウンタ軸8からファイナルドライブギヤ7B、8Bを介してファイナルドリブンギヤ9Aに動力が伝達された後、デフケース9Bに内蔵された差動ギヤから図示しない左右のドライブシャフトを介して図示しない左右の駆動輪に動力が伝達される。これにより、左右の駆動輪が差動回転する。
一方、内燃機関50は、図示しないクランク軸と、クランク軸に設けられた図示しないフライホイールとを備えている。クラッチ51は、入力軸6の端部に設けられた図示しない摩擦プレート等を備えている。
クラッチ51は、摩擦プレートをフライホイールに接触させることにより、クランク軸から入力軸6に動力を伝達し、摩擦プレートをフライホイールから離隔させることにより、クランク軸から入力軸6に伝達される動力を遮断する。
図1において、クラッチハウジング3にはクラッチレリーズ部材20が収容されている。クラッチレリーズ部材20は、レリーズベアリング21およびレリーズシリンダ22を含んで構成されており、レリーズベアリング21およびレリーズシリンダ22は、入力軸6上に設置されている。
レリーズシリンダ22には油圧配管23を通して作動油が導入される。レリーズベアリング21は、レリーズシリンダ22に導入された油圧によって作動され、クラッチ51の摩擦プレートをフライホイールに接触させ、あるいは、フライホイールから離隔させる。これにより、内燃機関50から入力軸6に動力が伝達され、あるいは、動力の伝達が遮断される。
変速機ケース2の外側である変速機ケース2の上部には油圧発生装置32と、変速アクチュエータ33と、制御装置34とが設置されている。油圧発生装置32、変速アクチュエータ33および制御装置34は、ベースプレート35に取付けられており、ベースプレート35は、シフトケース5に取付けられている。
油圧発生装置32は、リザーバタンク36、モータ37、オイルポンプ38およびアキュムレータ39を備えている。リザーバタンク36には作動油が貯留されている。オイルポンプ38は、モータ37によって駆動されることにより、リザーバタンク36に貯留される作動油をベースプレート35に形成される図示しない油路を介してアキュムレータ39に供給する。
アキュムレータ39は、作動油の圧力を蓄え、ベースプレート35に形成された図示しない油路を通して高圧の油圧を変速アクチュエータ33に供給する。
図7において、ベースプレート35は、水平方向に延びる板状に形成されている。ベースプレート35にはアキュムレータ39が取付けられるアキュムレータ取付部35Aと、モータ37が取付けられるモータ取付部35Bとが設けられている。ベースプレート35には連通孔35Cが形成されており、連通孔35Cは、リザーバタンク36とオイルポンプ38とを連通する油路を構成している。
ベースプレート35には変速アクチュエータ33が取付けられる変速アクチュエータ取付部35Eが形成されており、変速アクチュエータ取付部35Eには開口部35eが形成されている。開口部35eにはシフトアンドセレクト軸10が挿通されており、シフトアンドセレクト軸10の上部は、開口部35eを通してベースプレート35の上面から上方に突出している。
図6において、シフトアンドセレクト軸10の上部にはアウターレバー16およびコイルスプリング17が取付けられている。コイルスプリング17は、シフトアンドセレクト軸10の軸線方向においてシフトアンドセレクト軸10を上方に付勢している。
図8において、変速アクチュエータ33は、クラッチ操作ソレノイド40、セレクト操作ソレノイド41、シフト操作ソレノイド42、セレクトアクチュエータ43およびシフトアクチュエータ44を有する。本実施例の変速アクチュエータ33は、本発明のアクチュエータ部を構成する。
図7において、ベースプレート35には作動油供給部35Dが形成されており、作動油供給部35Dには油圧配管23の端部が取付けられている。作動油供給部35Dには油路35dが形成されており、油路35dは、ベースプレート35に形成された図示しない油路を介してアキュムレータ39に連通している。これにより、アキュムレータ39の高圧の油圧は、作動油供給部35Dの油路35dおよび油圧配管23を通してレリーズシリンダ22に供給される。
クラッチ操作ソレノイド40は、アキュムレータ39が発生する高圧の油圧を作動油供給部35Dの油路35dから油圧配管23を介してレリーズシリンダ22に供給することにより、クラッチ51を操作する。
セレクト操作ソレノイド41は、アキュムレータ39が発生する高圧の油圧を調整してセレクトアクチュエータ43に供給し、シフト操作ソレノイド42は、アキュムレータ39が発生する高圧の油圧を調整してシフトアクチュエータ44に供給する。
セレクトアクチュエータ43は、セレクト操作ソレノイド41から供給される油圧に基づいて、コイルスプリング17の付勢力に抗してシフトアンドセレクト軸10を押圧して、シフトアンドセレクト軸10をセレクト方向の一方に操作する。アウターレバー16の押圧力が解除されると、シフトアンドセレクト軸10がコイルスプリング17に付勢されることでセレクト方向の他方に移動する。
このようにシフトアンドセレクト軸10は、セレクトアクチュエータ43とコイルスプリング17とによってセレクト方向に移動される。コイルスプリング17は、シフトアンドセレクト軸10が上方において最大に移動する位置に付勢している。
シフトアンドセレクト軸10がこの位置にあるときに任意の変速段(あるいはニュートラル)が成立しており、シフトアンドセレクト軸10が任意の変速段を成立する位置からコイルスプリング17の付勢力に抗して下方に移動すると、他の変速段が成立する。
シフトアクチュエータ44は、シフト操作ソレノイド42から供給される油圧に基づいて、シフトアンドセレクト軸10のシフトレバーを押圧してシフトアンドセレクト軸10をシフト方向に操作する。
制御装置34は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含んだマイクロコンピュータから構成されている。制御装置34は、例えば、運転席に設けられる図示しないシフトレバーのシフト操作を検出する図示しないシフトポジョンセンサの検出情報、車速を検出する図示しない車速センサの検出情報、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ等からの検出情報に基づいて変速点を判断する。
制御装置34は、変速点を判断したときに、クラッチ操作ソレノイド40を操作してレリーズシリンダ22に油圧を供給する。レリーズシリンダ22に油圧が供給されると、レリーズベアリング21がクラッチ51の摩擦プレートをフライホイールから離隔させることにより、クランク軸から入力軸6に伝達される動力が遮断される。
レリーズシリンダ22に油圧を供給することを停止すると、レリーズベアリング21がクラッチ51の摩擦プレートをフライホイールに接触させることにより、クランク軸から入力軸6に動力が伝達される。
制御装置34は、クラッチ51の切断時に、セレクト操作ソレノイド41およびシフト操作ソレノイド42を制御して、シフトアクチュエータ44およびセレクトアクチュエータ43を駆動することにより、シフトアンドセレクト軸10を軸線方向および軸線回りに操作して変速を行う。
図1において、入力軸6上にはクラッチストロークセンサ24が設けられており、クラッチストロークセンサ24は、配線24aを介して制御装置34に接続されている。クラッチストロークセンサ24は、レリーズシリンダ22の移動位置を検出し、検出情報を制御装置34に出力する。制御装置34は、クラッチストロークセンサ24の検出情報に基づいて、クラッチ51の状態(例えは、クラッチ51が半クラッチ状態にある等)を判断する。
本実施例のリザーバタンク36、モータ37、オイルポンプ38およびアキュムレータ39からなる油圧発生装置32は、本発明の駆動装置を構成し、モータ37、オイルポンプ38およびアキュムレータ39は、本発明のオイル供給部を構成する。
クラッチ操作装置31、油圧発生装置32、変速アクチュエータ33、制御装置34およびベースプレート35は、変速ユニット30を構成する。
図6において、シフトケース5にはガイド板18が設けられており、ガイド板18にはシフトパターンに沿った形状のガイド溝18Aが形成されている。ガイド溝18Aにはシフトアンドセレクト軸10に設けられたガイドピン10Cの先端が挿入されている。
ガイドピン10Cは、シフトアンドセレクト軸10が各変速段に変速されたときに各変速段に対応するガイド溝18Aの壁面に当接する。これにより、シフトアンドセレクト軸10のセレクト方向およびシフト方向への移動量が規制されて、シフトアンドセレクト軸10がセレクト方向およびシフト方向にがたつくことが防止される。
図5において、トランスミッションケース4の接合部4Bにはねじ穴4a、4b、4c、4d、4eが設けられており、ねじ穴4aから4eは、接合部4Bの円周方向に一定の間隔で離隔している。接合部4Bには図示しないノックピンが嵌合される2つのピン孔4j、4kが形成されており、ピン孔4j、4kは、車幅方向に対峙している。
図9において、シフトケース5には5つのボス部5A、5B、5C、5D、5Eが設けられており、ボス部5Aから5Eにはそれぞれボルト穴5a、5b、5c、5d、5e(図10参照)が形成されている。
図10において、ボルト穴5aから5eは、接合部5Jの円周方向に一定の間隔で離隔している。接合部5Jにはノックピンが嵌合される2つのピン孔5j、5kが形成されており、ピン孔5j、5kは、車幅方向に対峙している。
シフトケース5は、ノックピンを介してピン孔4j、4k、5j、5kが連結されることにより、ねじ穴4aから4eとボルト穴5aから5eとがそれぞれ合致するようにトランスミッションケース4に位置決めされる。
ねじ穴4aから4eとボルト穴5aから5eとがそれぞれ合致した状態でボルト穴5aから5eを通してねじ穴4aから4eにボルト19A、19B、19C、19D、19Eを嵌合させることにより、シフトケース5がトランスミッションケース4に締結される(図12参照)。
図7において、ベースプレート35には4つのボス部35F、35G、35H、35Iが設けられており、ボス部35Fから35Iにはそれぞれボルト穴35f、35g、35h、35iが形成されている。
図9、図10において、シフトケース5には張出部5S、5Tが形成されている。張出部5S、5Tは、接合部5Jよりも外方に張り出しており、トランスミッションケース4から分離されている。すなわち、張出部5S、5Tは、トランスミッションケース4とは別の部品に設置されている。ここで、接合部5Jよりも外方とは、接合部5Jに対してシフトアンドセレクト軸10と反対側である。
張出部5S、5Tにはボス部5F、5G、5Hが設けられており、ボス部5Fから5Hにはそれぞれねじ穴5f、5g、5hが形成されている。これにより、ボス部5Fから5Hは、トランスミッションケース4から分離されている。
シフトケース5の上面にはボス部5Iが設けられており、ボス部5Iにはねじ穴5iが形成されている。ボス部5Iは、接合部5Jに対してシフトアンドセレクト軸10側に設けられている。ボス部5Iは、トランスミッションケース4から分離されている。
ベースプレート35は、ねじ穴5fから5iとボルト穴35fから35iとが合致した状態でボルト穴35fから35iを通してねじ穴5fから5iにボルト19F、19G、19H、19Iを嵌合させることにより、シフトケース5のみに締結される(図2参照)。
図9において、ボス部5Hには図示しないノックピンが嵌合されるピン孔5mが形成されている。図6において、シフトケース5の上面には嵌合部5Mが形成されており、嵌合部5Mは、シフトアンドセレクト軸10を取り囲むようにしてシフトケース5の上面から上方に突出している。
ベースプレート35の下面には図示しない嵌合部およびノックピンが嵌合される図示しないピン孔が形成されている。シフトケース5の嵌合部5Mがベースプレート35の嵌合部に嵌合され、かつ、ベースプレート35のピン孔とシフトケース5のピン孔5mとがノックピンを介して連結されると、ボルト穴35fから35iとねじ穴5fから5iとが合致するようにベースプレート35がシフトケース5に位置決めされる。
図2において、リザーバタンク36には凹部36aが形成されており、凹部36aにはベースプレート35をシフトケース5に締結するためのボルト19Iが収容されている。
本実施例のボス部5Aから5Eおよびボルト19Aから19Eは、本発明の第1の締結部を構成し、ねじ穴4aから4eは、本発明の第1の被締結部を構成する。ボス部35Fから35Iおよびボルト19Fから19Iは、本発明の第2の締結部を構成し、ねじ穴5fから5iおよびボス部5Fから5Iは、本発明の第2の被締結部を構成する。
ボルト19Fから19Iは、本発明の締結具を構成し、ボルト穴35fから35iは、本発明の挿通穴を構成する。ねじ穴5fから5iは、本発明の締結穴を構成する。なお、ねじ穴4aから4e、ボス部5Aから5E、ボス部5Fから5Iおよびボス部35Fから35Iの数は、4つまたは5つに限定されるものではない。
図3において、自動変速機1を入力軸6の軸線方向から見た場合に、クラッチハウジング3には膨出部3Aが形成されており、膨出部3Aは、トランスミッションケース4の上下方向に延びる縦壁4Cよりも外側に膨れ出ている。
ベースプレート35の延びる方向の端部には延出部35pが形成されており、延出部35pは、トランスミッションケース4の縦壁4Cよりも外方で、かつ、膨出部3Aの側方3aに延びている。
油圧発生装置32は、延出部35pの上面側にリザーバタンク36およびモータ37が設置されており、延出部35pの下面側にオイルポンプ38およびアキュムレータ39が設置されている。
次に、作用を説明する。
図11に示すように、変速ユニット30が変速機ケース2に取付けられる前の状態において、トランスミッションケース4、シフトケース5と一体化されたシフトアンドセレクト軸10および変速ユニット30が別体となっている。
この状態からシフトアンドセレクト軸10をトランスミッションケース4に取付ける場合には、トランスミッションケース4の開口部4Aを通してシフトアンドセレクト軸10をトランスミッションケース4に収容する。
次いで、ノックピンを介してピン孔4j、4kとピン孔5j、5kとを連結することにより、ねじ穴4aから4eとボルト穴5aから5eとをそれぞれ合致させる。
次いで、それぞれのボルト穴5aから5eにボルト19Aから19Eを挿通し、ボルト19Aから19Eをねじ穴4aから4eにそれぞれ締結することにより、ボルト19Aから19Eを介してボス部5Aから5Eをねじ穴4aから4eに締結する。これにより、シフトケース5がトランスミッションケース4に締結される。この状態を図12に示す。
次いで、ベースプレート35の開口部35eにシフトアンドセレクト軸10の上部を挿通してベースプレート35をシフトケース5に載置する。
このとき、シフトケース5の嵌合部5Mがベースプレート35の嵌合部に嵌合され、かつ、ベースプレート35のピン孔とシフトケース5のピン孔5mとがノックピンを介して連結されると、ボルト穴35fから35iとねじ穴5fから5iが合致するようにベースプレート35がシフトケース5に位置決めされる。
図12において、合致するボルト穴35fから35iとねじ穴5fから5iとを線で結んでいる。ベースプレート35をシフトケース5に位置決めした後、ボルト穴35fから35iにボルト19Fから19Iをそれぞれ挿通し、ボルト19Fから19Iをねじ穴5fから5iに締結する。
これにより、ボルト19Fから19Iを介してボス部35Fから35Iがボス部5Fから5Iに締結され、ベースプレート35がシフトケース5に締結される。この結果、変速ユニット30がシフトケース5に取付けられる。
本実施例の自動変速機1は、トランスミッションケース4の外部に設置され、シフトアンドセレクト軸10を自動的に操作することにより、変速を行う変速ユニット30を備えている。
変速ユニット30は、シフトアンドセレクト軸10を軸方向に移動および軸線回りに回転させる変速アクチュエータ33と、変速アクチュエータ33を駆動する油圧発生装置32と、トランスミッションケース4に締結され、変速アクチュエータ33および油圧発生装置32が連結されるベースプレート35とを備えている。
トランスミッションケース4にはねじ穴4aから4eが設けられており、ベースプレート35にはボルト穴35fから35iが形成されたボス部35Fから35Iが設けられている。
シフトケース5にはボルト19Aから19Eが挿通されるボルト穴5aから5eが形成され、ボルト19Aから19Eによってねじ穴4aから4eに締結されるボス部5Aから5Eと、ボルト19Fから19Iによってボス部35Fから35Iが締結されるボス部5Fから5Iとが設けられており、ボス部5Fから5Iがトランスミッションケース4から分離されている。
これにより、ボルト19Fから19Iによってベースプレート35をシフトケース5に強固に締結することができ、変速ユニット30を安定した状態でトランスミッションケース4に取付けることができる。
また、ベースプレート35をシフトケース5に締結する半数以上のボス部5Fから5Iがトランスミッションケース4から分離されているので、変速機ケース2を大幅に改造せずにベースプレート35を変速機ケース2に取付けることができる。この結果、自動変速機1の生産性を向上できる。
また、本実施例の自動変速機1によれば、ボス部5Fから5Iがシフトケース5のみに形成されており、ベースプレート35がシフトケース5のみに締結されている。これにより、自動変速機1のベースとなる変速機ケース2の改造個所を削減できるので、例えば、手動変速機の変速機ケースを自動変速機の変速機ケースに容易に転用できる。この結果、自動変速機1の生産性をより効果的に向上できる。
また、本実施例の自動変速機1によれば、シフトケース5は、ボス部5Aから5Eが設けられ、トランスミッションケース4に接合される環状の接合部5Jと、接合部5Jよりも外方に張り出す張出部5S、5Tとを備えており、ボス部5Fから5Hが張出部5S、5Tに設けられている。
これにより、変速ユニット30をより一層安定した状態でトランスミッションケース4に取付けることができる。
なお、本実施例のボス部5Iは、接合部5Jに対してシフトアンドセレクト軸10側に設けられており、張出部には配置されていないが、張出部に配置してもよい。
このようにすれば、ボス部5Fから5Iの全てをトランスミッションケース4から分離させることができ、自動変速機1のベースとなる変速機ケース2の改造個所をより効果的に削減して、自動変速機1の生産性をより効果的に向上できる。
また、本実施例の自動変速機1によれば、リザーバタンク36が、ベースプレート35をシフトケース5に締結するためのボルト19Iを収容する凹部36aを有する。これにより、リザーバタンク36の位置に影響されずに、変速ユニット30をトランスミッションケース4に締結するための最適な位置にボルト19Iおよびボス部5I、35Iを設置できる。
なお、本実施例の自動変速機1は、AMTを例にしているが、自動変速機としては、AT(Automatic Transmission)であってもよい。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。