JP6430983B2 - バルブ装置 - Google Patents

Description

本発明はバルブ装置に係り、特に、バルブボデーに設けられた組付穴にソレノイド部品が組み付けられるバルブ装置の改良に関するものである。

(a) 組付穴を有するバルブボデーと、(b) 一部が前記組付穴内に挿入されるソレノイド部品と、(c) そのソレノイド部品が前記組付穴から突き出す部位に係止される係止部を備え、その係止部がそのソレノイド部品に係止された状態で前記バルブボデーに固定されることにより、そのソレノイド部品をそのバルブボデーに対して位置決めして固定する固定部材と、を有するバルブ装置が知られている。特許文献１に記載の装置はその一例で、バルブボデーに設けられた複数の組付穴に複数のソレノイド部品が並列に組み付けられるとともに、そのソレノイド部品の外周面に設けられた係合溝に、固定部材に設けられた矩形の係止部が係合させられることにより、複数のソレノイド部品が抜け止めされるようになっている。

特開２００２−１５６０６３号公報

しかしながら、このような従来のバルブ装置においては、ソレノイド部品の軸方向の位置は規定されるものの、係合溝の溝底と係止部との間に隙間があるため、軸心まわりの位相がばらついたりガタついたりする可能性がある。ソレノイド部品の軸心を挟んで両側に係止部が係合させられるため、係合溝の溝底と係止部との間の隙間を無くすことは技術的に困難である。また、例えばスプール等の弁体を収容しているバルブ部を一体的に備えているソレノイドバルブの場合には、連結ポートとの関係等で軸心まわりの位相の精度が要求される場合がある。

本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、ソレノイド部品の軸方向位置および軸心まわりの位相を簡単で且つ安価な手法で高い精度で規定できるようにすることにある。

かかる目的を達成するために、第１発明は、(a) 組付穴を有するバルブボデーと、(b) 一部が前記組付穴内に挿入されるソレノイド部品と、(c) そのソレノイド部品が前記組付穴から突き出す部位に係止される係止部を備え、その係止部がそのソレノイド部品に係止された状態で前記バルブボデーに固定されることにより、そのソレノイド部品をそのバルブボデーに対して位置決めして固定する固定部材と、を有するバルブ装置において、(d) 前記ソレノイド部品の外周面には、軸心に対して交差する方向に係合溝が設けられており、前記係止部がその係合溝内に挿入されてその係合溝の側壁と係合させられることによりそのソレノイド部品の軸方向の位置が規定されるとともに、その係止部がその係合溝の溝底と係合させられることによりそのソレノイド部品の軸心まわりの位相が規定される一方、(e) 前記バルブボデーには、前記組付穴の開口周縁部のうち前記固定部材の前記係止部が前記係合溝内に挿入される側に、前記ソレノイド部品が前記バルブボデーに組み付けられた状態において前記係合溝が外部に露出するように上面がそのソレノイド部品の軸方向に延びる切欠状の逃がし段差が設けられ、その逃がし段差よりも下側の下側端面が上側の上側端面よりも前記ソレノイド部品の軸方向へ突き出しており、(f) 前記組付穴は前記下側端面および前記上側端面に跨がって開口しており、前記ソレノイド部品の軸心まわりにおいて前記係合溝と反対側の部分は、前記下側端面に開口するように設けられた前記組付穴によって支持されるとともに、(g) 前記逃がし段差の上面高さは、前記固定部材を介して前記ソレノイド部品が前記バルブボデーに組み付けられた状態において前記係合溝の溝底よりも低くなる位置に定められていることを特徴とする。

第２発明は、第１発明のバルブ装置において、前記係止部の先端は一直線に設けられているとともに、前記係合溝の溝底はその係合溝の長手方向に一直線に設けられており、その係止部の先端とその係合溝の溝底とが一直線に沿って係合させられることを特徴とする。

第３発明は、第１発明または第２発明のバルブ装置において、(a) 前記固定部材は平板状の固定プレートで、その固定プレートと平行な方向の位置調整可能に前記バルブボデーに固定される一方、(b) 前記固定プレートの端縁によって前記係止部の先端面が構成されているとともに、(c) その係止部の先端面は前記端縁の他の部分に比べて面精度が高くされていることを特徴とする。

第４発明は、第１発明〜第３発明の何れかのバルブ装置において、(a) 前記バルブボデーには、前記組付穴が互いに平行に且つ一直線に並んで複数設けられており、(b) その複数の組付穴にそれぞれ前記ソレノイド部品が並列に組み付けられるとともに、(c) その複数のソレノイド部品には、それぞれ前記係合溝が軸心に対して直角な方向に一直線に設けられている一方、(d) 前記固定部材は、一直線の端縁に沿って複数の係止部が設けられた平板状の固定プレートで、その複数の係止部がそれぞれ前記複数のソレノイド部品の前記係合溝に係止されることを特徴とする。

このようなバルブ装置においては、ソレノイド部品の外周面に設けられた係合溝内に固定部材の係止部が挿入され、その係合溝の側壁と係合させられることによりソレノイド部品の軸方向の位置が規定されるとともに、係合溝の溝底と係合させられることによりソレノイド部品の軸心まわりの位相が規定される。すなわち、単一の係止部を一つの係合溝内に挿入するだけで、ソレノイド部品の軸方向位置および軸心まわりの位相を同時に高い精度で規定できるのである。また、係止部が係合溝内に挿入された固定部材をバルブボデーに固定するだけで良いため、簡単で且つ安価に実施することができる。

また、バルブボデーに切欠状の逃がし段差が設けられて固定部材が配設されるが、その逃がし段差の上面高さは係合溝の溝底よりも低くなる位置に定められているため、固定部材の係止部を確実に係合溝の溝底に係合させて、軸心まわりの位相を規定することができる。また、ソレノイド部品の軸心まわりにおいて係合溝と反対側の部分が逃がし段差の下側端面に開口するように設けられた前記組付穴によって支持されるため、ソレノイド部品がバルブボデーによって支持される軸方向の支持範囲が大きくなり、ソレノイド部品の姿勢が安定してより高い位置精度でバルブボデーに固定することができる。

第２発明では、係止部の先端が一直線に設けられているとともに、係合溝の溝底も長手方向に一直線に設けられており、その係止部の先端と係合溝の溝底とが一直線に沿って係合させられるため、ソレノイド部品の軸心まわりの位相を適切に規定することができる。

第３発明では、固定部材として単純な平板状の固定プレートが用いられ、その固定プレートと平行な方向の位置調整可能にバルブボデーに固定されるため、その固定プレートをプレスによる打ち抜き加工等によって簡単且つ安価に製作できるとともに、係止部を係合溝の溝底に確実に係合させることができる。また、固定プレートの端縁によって係止部の先端面が構成されているが、その先端部分は例えばシェービングプレスや切削加工等による後加工によって面精度が高くされているため、例えばプレスの打ち抜き加工によるバリやダレが除去されて、その先端が係合溝の溝底に係合させられることにより、ソレノイド部品の軸心まわりの位相を高い精度で規定することができる。

第４発明は、バルブボデーに複数の組付穴が設けられて複数のソレノイド部品が並列に組み付けられる場合で、平板状の固定プレートによって複数のソレノイド部品が位置決めされて固定されるため、部品点数が少ないとともに固定プレートをプレスによる打ち抜き加工によって製作できるなど、複数のソレノイド部品を有するバルブ装置を全体として簡単で且つ安価に構成できる。

また、固定プレートには、一直線の端縁に沿って複数の係止部が設けられ、複数のソレノイド部品にそれぞれ軸心に対して直角な方向に一直線に設けられた係合溝に係止されるため、その複数のソレノイド部品の軸心まわりの位相を高い精度で規定することができる。すなわち、複数の係止部が端縁に沿って一直線に設けられる単純形状であるため、それ等の係止部の相互間の位置精度を確保することが容易である。また、複数のソレノイド部品を、独立に構成された別々の固定部材を用いて固定する場合には、その複数の固定部材の寸法誤差や取付誤差等によってソレノイド部品の位置決め精度がばらつく可能性があるが、複数のソレノイド部品に跨がって固定プレートが配設されることから、個々のソレノイド部品の位置決め精度のばらつきが抑制される。

本発明が適用されたバルブ装置の一例を示す概略斜視図である。 図１におけるＡ矢視方向から見て部分的に拡大して示した正面図である。 図２における III−III 矢視部分の断面図である。 図３におけるIV−IV矢視部分の断面図である。 図３のIV−IV矢視部分におけるバルブボデーの断面図である。 図１のバルブ装置のリニアソレノイドバルブを単独で示した側面図である。 図６における VII−VII 矢視部分の断面図で、内部の弁体等を省略して示した図である。 図１のバルブ装置の固定プレートを単独で示した正面図である。

本発明のバルブ装置は、例えば油圧アクチュエータなどで変速される車両用自動変速機の油圧制御回路に好適に用いられるが、車両用の他の油圧制御回路や車両用以外の油圧制御回路、或いは空圧制御回路など、種々の油空圧制御回路に用いられる。ソレノイド部品は、励磁電流のＯＮ−ＯＦＦ制御やデューティ制御などで励磁されることにより、所定の電磁力を発生するバルブ駆動用のソレノイドを有するもので、例えばスプール等の弁体を一体的に内蔵しているリニアソレノイドバルブ等のソレノイドバルブを用いることができるが、スプール等の弁体をバルブボデーに直接配設し、ソレノイド等のバルブ駆動部のみを有するソレノイド部品を採用することもできる。ソレノイドバルブは、例えばスプールを軸方向へ往復移動させて油路を切り換える切換弁や開閉弁、或いはスプールを所定の電磁力で付勢して油圧を制御する調圧弁などである。このソレノイド部品は、例えば大径部および小径部を有する段付きの円筒形状を成し、その小径部がバルブボデーに設けられた組付穴内に挿入されるが、外径寸法が略一定の円筒形状のソレノイド部品を用いることもできる。バルブボデーに設けられる組付穴は、例えば断面が円形の有底穴や貫通穴である。

固定部材としては、例えば平板状の固定プレートが好適に用いられるが、係止部がクランク状に曲げられたものや、バルブボデーに固定される固定部がＬ字状に曲げられたものなど、種々の態様が可能である。この固定部材には、例えば固定部として取付穴が設けられ、その取付穴内を挿通させられたボルトによってバルブボデーに固定されるが、ばね板等によって構成されるクリップを用いてバルブボデーに固定することもできるし、固定部材そのものをばね板等により構成してクリップのようにワンタッチでバルブボデーに固定できるようにするなど、種々の態様が可能である。

ソレノイド部品の外周面に、軸心に対して交差する方向に設けられる係合溝は、軸心に対して直角な方向に一直線に設けることが望ましいが、軸心に対して直角な方向から傾斜した方向へ設けることもできるし、外周側から見て湾曲したり折れ曲がったりしている係合溝を設けることも可能である。係合溝の溝底は、係合溝の長手方向において一直線であることが望ましいが、軸心まわりの位相を規定する上で、少なくとも軸心を中心とする円弧形状以外であれば良く、湾曲形状などでも良い。係合溝に挿入されて係合させられる固定部材の係止部の形状は、係合溝の長手方向の形状や溝底の形状に応じて適宜定められる。係止部の先端部の形状は、例えば係合溝の長手方向の全長に亘って溝底と係合させられるように定められるが、ソレノイド部品の軸心まわりの位相を規定できる範囲で、係合溝の長手方向の一部で溝底と係合させられるだけでも良いし、長手方向に離間した複数箇所で係合させられても良い。

固定部材の係止部と係合溝の一対の側壁との係合により、ソレノイド部品の軸方向位置が規定されるが、その軸方向位置が所定の許容範囲内でばらついても良く、係止部と一対の側壁との間に所定の隙間（遊び）が設けられても良い。また、固定部材の係止部と係合溝の溝底との係合により、ソレノイド部品の軸心まわりの位相が規定されるが、その軸心まわりの位相が所定の許容範囲内でばらついても良く、係止部の先端と溝底との間に所定の隙間（遊び）を設けられても良い。

第２発明では、係止部の先端が一直線に設けられるとともに、係合溝の溝底が係合溝の長手方向に一直線に設けられているが、第１発明では必ずしも一直線である必要はない。

第３発明では、固定プレートの端縁によって構成されている係止部の先端面が、端縁の他の部分に比べて面精度が高くされているが、これはプレスによる打ち抜き加工を想定したもので、バリやダレ等による凹凸を除去するためのものである。したがって、固定プレートの材質や製作方法によっては、面精度を高くするための後加工を省略することもできる。また、第３発明の固定プレートは、固定プレートと平行な方向の位置調整可能で、係止部の先端を確実に係合溝の溝底に係合（当接）させることができるが、位置調整を可能とする手段としては、例えば取付穴内にボルトを挿通させてバルブボデーに固定する場合、その取付穴に所定の遊びを設けたり、取付穴として長穴を用いたりすることが考えられる。他の発明においても、係止部を確実に係合溝の溝底と係合（当接）させるために、固定部材を位置調整可能にバルブボデーに固定したり、ばね板等の弾性を利用して係合部を係合溝の溝底に係合させたりすることが望ましい。

第４発明では、バルブボデーに複数の組付穴が設けられて複数のソレノイド部品が並列に組み付けられるが、他の発明では、単一の組付穴に単一のソレノイド部品を組み付けるだけでも良い。また、第４発明では、複数のソレノイド部品が一直線に並ぶように並列に組み付けられ、一直線の端縁に沿って複数の係止部が設けられた固定プレートが用いられるが、複数のソレノイド部品を階段状に配置するとともに、階段状の端縁に複数の係止部が設けられた固定プレートを用いることもできるし、複数のソレノイド部品に対してそれぞれ別個の固定部材を用いて固定することもできるなど、種々の態様が可能である。

以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。

図１は、本発明が適用されたバルブ装置１０を示す概略斜視図で、図２は図１におけるＡ矢視方向から見て部分的に拡大して示した正面図であり、図３は図２における III−III 矢視部分の断面図であり、図４は図３におけるIV−IV矢視部分の断面図である。以下の説明では、図２および図３に示す姿勢を基準として、それ等の図の上下方向が上下方向或いは垂直方向、左右方向が水平方向として各部の位置関係等を説明するが、これは実際の車両への搭載姿勢を意味するものではない。

バルブ装置１０は、複数の油圧アクチュエータによって変速が行なわれる車両用自動変速機の油圧制御回路に用いられるもので、単一のバルブボデー１２に対して複数（実施例では８本）のリニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｈ（以下、特に区別しない場合は単にリニアソレノイドバルブ１４という）が組み付けられている。リニアソレノイドバルブ１４はソレノイド部品に相当するもので、軸心Ｓと同心に大径部１６および小径部１８を有する段付き円筒形状を成している。大径部１６は、励磁電流のデューティ制御などで励磁されることにより所定の電磁力を発生するバルブ駆動用のソレノイドを内蔵しているソレノイド部で、小径部１８は、スプール等の弁体やリターンスプリング等を内蔵しているバルブ部であり、例えば弁体が所定の電磁力で軸方向（軸心Ｓと平行な方向）へ付勢されることによって油圧を連続的に調圧する調圧弁などである。図６は、リニアソレノイドバルブ１４を単独で示した側面図で、図６の左側すなわち大径部１６側から見た図が図１におけるＡ矢視方向から見た正面図に相当する。また、図７は図６における VII−VII 矢視部分の断面図で、内部の弁体等を省略して示した図である。軸心Ｓについても、個別に説明する場合にはＳａ〜Ｓｈで区別するが、特に区別しない場合は単に軸心Ｓという。

バルブボデー１２には、上記リニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｈを組み付けるために複数（実施例では８個）の組付穴２０ａ〜２０ｈ（以下、特に区別しない場合は単に組付穴２０という）が設けられている。図５は、図３のIV−IV矢視部分におけるバルブボデー１２の断面図で、図２、図４に対応する図である。これ等の組付穴２０は、何れも円形断面の貫通穴で、図３における左側の開口部からリニアソレノイドバルブ１４の小径部１８が軸方向に移動可能で且つ軸心Ｓまわりに回転可能に挿入される。組付穴２０の径寸法は小径部１８の径寸法よりも僅かに大きいだけで、小径部１８は略隙間無く組付穴２０内に嵌め入れられる。

上記複数の組付穴２０は、略垂直な平坦面で且つ互いに平行な一対の上側端面２２および下側端面２４が段差部２６を挟んで設けられた組付面２８に開口するように設けられている。具体的には、総ての組付穴２０が組付面２８に対して垂直に且つ互いに平行に設けられているとともに、連続する６つの組付穴２０ａ〜２０ｆは水平方向（図５における左右方向）に一直線に並んで設けられている。そして、複数のリニアソレノイドバルブ１４は、それ等の組付穴２０に小径部１８が挿入された状態で、単一の固定プレート３０によりバルブボデー１２に位置決めされて固定される。上記６つの組付穴２０ａ〜２０ｆに小径部１８が挿入されるリニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｆは、組付穴２０ａ〜２０ｆと同様に互いに平行で且つ水平方向に一直線に並ぶように並列に組み付けられる。バルブボデー１２には、上記組付穴２０の内壁面に開口するように複数の油路３２が設けられ、小径部１８に設けられた複数の連結ポート（図示省略）に連通させられるようになっている。また、組付面２８の下端部から略水平に外方へ延び出すようにベース部３４が設けられているが、リニアソレノイドバルブ１４の大径部１６との間には所定の隙間が有り、バルブボデー１２に対するリニアソレノイドバルブ１４の組付位置および姿勢は専ら組付穴２０および固定プレート３０によって規定される。

リニアソレノイドバルブ１４の小径部１８のうち大径部１６の近傍の所定位置には、軸心Ｓに対して直角な方向に一直線に係合溝４０が設けられており、その係合溝４０が上側端面２２から外部に突き出す状態、実施例では係合溝４０が上側端面２２と略一致する状態で、組付穴２０内に挿入される。図３におけるIV−IV矢視部分の断面図である図４から明らかなように、その係合溝４０に固定プレート３０が係合させられる。係合溝４０は矩形断面或いは開口側程幅広の逆台形断面で、一対の側壁４２および溝底４４を備えており、切削加工等によって設けられる。溝底４４は、図６および図７から明らかなように、係合溝４０の幅方向において軸心Ｓと略平行で、係合溝４０の長手方向すなわち小径部１８の周方向において一直線に設けられており、単一の平坦面にて構成されている。また、この係合溝４０の溝深さは、小径部１８のケース（側壁）を貫通しないように定められる。軸心Ｓに対して直角な係合溝４０は、組付面２８に対して垂直に設けられた組付穴２０内に小径部１８が挿入されることにより、組付面２８と略平行な一平面内に位置させられる。

固定プレート３０は固定部材に相当し、図８は、この固定プレート３０を単独で示した正面図で、図１におけるＡ矢視方向から見た図に相当する。この固定プレート３０は略一定の板厚の平坦な金属板材にて構成されており、プレスによる打ち抜き加工によって全体形状が製作されたもので、長手形状を成している。そして、その長手形状の一方の側端縁、すなわち図８における下側の側端縁５０に沿って複数（本実施例では８つ）の係止部５２ａ〜５２ｈ（以下、特に区別しない場合は単に係止部５２という）が設けられている。側端縁５０は、略水平に一直線に設けられた直線部と、階段状に段差が形成された階段状部とを有し、直線部に前記組付穴２０ａ〜２０ｆと同じ間隔で係止部５２ａ〜５２ｆが設けられている。階段状部は、前記組付穴２０ｇ、２０ｈの位置に対応して設けられており、その階段状部の水平部分に係止部５２ｇ、５２ｈが設けられている。プレスによる打ち抜き加工では、その外周面すなわちせん断面にバリやダレ等が発生するなど面精度が悪いため、本実施例ではシェービングプレス等の後加工によって係止部５２の先端面および両側面の面精度が確保されている。

上記固定プレート３０にはまた、バルブボデー１２に固定するための固定部として複数（実施例では３個）の取付穴５４が設けられている。これ等の取付穴５４は、前記係止部５２が設けられた側端縁５０と反対の上側の側端縁に沿って互いに離間して設けられており、その取付穴５４内を挿通させられたボルト５６がバルブボデー１２のねじ穴５８に螺合されることにより、固定プレート３０がバルブボデー１２に一体的に固定される。ねじ穴５８は、図５に示されるように前記組付面２８の上側端面２２から上方へ延長して設けられた突出部６０に設けられており、固定プレート３０は上側端面２２に対して平行に略密着する状態で固定される。また、取付穴５４は何れもボルト５６のねじ部よりも大径の円穴で、固定プレート３０と平行な方向、すなわち上側端面２２に沿う方向において、固定プレート３０の取付位置が位置調整可能とされている。これにより、各部の寸法誤差等に拘らず係止部５２の先端を係合溝４０の溝底４４に係合（当接）させた状態で、固定プレート３０をバルブボデー１２に固定することができる。なお、バルブボデー１２にねじ穴５８を設ける代わりに、ナットを螺合して締結することもできるし、取付穴５４として上下方向に長い長穴を設けることも可能である。バルブボデー１２に長穴を設けて、固定プレート３０の取付位置を位置調整可能とすることもできる。

そして、固定プレート３０の係止部５２ａ〜５２ｈが、それぞれ前記リニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｈの各係合溝４０に挿入されて係合させられることにより、リニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｈが所定の姿勢に位置決めされてバルブボデー１２に一体的に固定される。具体的には、図４に示されるように、軸心Ｓまわりにおいて係合溝４０が上向きで且つ溝底４４が略水平になる位相で、その係合溝４０の長手方向においてその全長に亘って係止部５２の先端と溝底４４とが一直線に沿って略密着するように係合させられることにより、リニアソレノイドバルブ１４の軸心Ｓまわりの位相が規定される。また、係止部５２が係合溝４０の側壁４２と係合させられることにより、リニアソレノイドバルブ１４の軸方向の位置が規定される。

ここで、係合溝４０の溝幅は係止部５２の板厚よりも大きく、所定の遊びを有するが、その遊びは、リニアソレノイドバルブ１４の軸方向位置のばらつきの許容範囲内で定められる。リニアソレノイドバルブ１４の軸心Ｓまわりの位置決めについても、所定の許容範囲内でばらつくことは可能で、必ずしも総てのリニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｈの係合溝４０の溝底４４に総ての係止部５２ａ〜５２ｈの先端が係合（当接）させられる必要はなく、一部または全部のリニアソレノイドバルブ１４の係合溝４０の溝底４４と係止部５２の先端との間に隙間があっても良い。

組付面２８の段差部２６は、上記係合溝４０が組付穴２０の外部に露出し、その係合溝４０に対して係止部５２が係合させられた固定プレート３０をバルブボデー１２に固定できるようにするためのもので、切欠状の逃がし段差に相当する。また、この段差部２６の上面高さは、図４に示すように係止部５２の先端が係合溝４０の溝底４４に対して略平行に係合（当接）してリニアソレノイドバルブ１４の軸心Ｓまわりの位相が位置決めされる状態で、固定プレート３０と干渉しないように係合溝４０の溝底４４よりも低くなる位置に定められており、組付穴２０は段差部２６を挟んで上下の端面２２、２４に跨がる位置に設けられている。また、段差部２６の幅寸法、すなわち図３における左方向への突出寸法は、小径部１８の支持範囲を確保する上で、下側端面２４が大径部１６と干渉しない範囲でできるだけ大きい寸法に定められる。このような段差部２６は、例えば段差部２６の上方部分を切削加工等による後加工で除去することによって設けられるが、後加工によらず、鋳造等による成形時に設けることも可能である。

このように、本実施例のバルブ装置１０においては、リニアソレノイドバルブ１４の小径部１８の外周面に設けられた係合溝４０内に固定プレート３０の係止部５２が挿入され、その係合溝４０の側壁４２と係合させられることによりリニアソレノイドバルブ１４の軸方向の位置が規定されるとともに、係合溝４０の溝底４４と係合させられることによりリニアソレノイドバルブ１４の軸心Ｓまわりの位相が規定される。すなわち、個々のリニアソレノイドバルブ１４に関しては、単一の係止部５２を一つの係合溝４０内に挿入するだけで、そのリニアソレノイドバルブ１４の軸方向位置および軸心Ｓまわりの位相を同時に高い精度で規定できるのである。また、係止部５２が係合溝４０内に挿入された固定プレート３０をバルブボデー１２に固定するだけで良いため、簡単で且つ安価に実施することができる。

また、バルブボデー１２の組付面２８に段差部２６が設けられ、その上側端面２２に固定プレート３０が配設されるが、段差部２６の上面高さは係合溝４０の溝底４４よりも低くなる位置に定められているため、固定プレート３０の係止部５２を確実に係合溝４０の溝底４４に係合（当接）させて、軸心Ｓまわりの位相を規定することができる。また、リニアソレノイドバルブ１４の軸心Ｓまわりにおいて係合溝４０と反対側の下側部分が段差部２６の下側端面２４に開口するように設けられた組付穴２０によって支持されるため、リニアソレノイドバルブ１４の小径部１８がバルブボデー１２によって支持される軸方向の支持範囲が大きくなり、リニアソレノイドバルブ１４の姿勢が安定してより高い位置精度でバルブボデー１２に固定することができる。

また、係止部５２の先端が一直線に設けられているとともに、係合溝４０の溝底４４も係合溝４０の長手方向に一直線に設けられており、その係止部５２の先端と係合溝４０の溝底４４とが一直線に沿って係合させられるため、リニアソレノイドバルブ１４の軸心Ｓまわりの位相を適切に規定することができる。

また、固定部材として単純な平板状の固定プレート３０が用いられ、その固定プレート３０と平行な方向の位置調整可能にバルブボデー１２に固定されるため、その固定プレート３０をプレスによる打ち抜き加工等によって簡単且つ安価に製作できるとともに、係止部５２を係合溝４０の溝底４４に確実に係合（当接）させることができる。

また、固定プレート３０の側端縁５０によって係止部５２の先端面が構成されているが、その先端部分はシェービングプレス等による後加工によって面精度が高くされているため、プレスの打ち抜き加工によるバリやダレが除去されて、その先端が係合溝４０の溝底４４に係合させられることにより、リニアソレノイドバルブ１４の軸心Ｓまわりの位相を高い精度で規定することができる。

また、本実施例のバルブ装置１０は、バルブボデー１２に複数の組付穴２０が設けられて複数のリニアソレノイドバルブ１４が並列に組み付けられるが、平板状の単一の固定プレート３０によって複数のリニアソレノイドバルブ１４が位置決めされて固定されるため、部品点数が少ないとともに固定プレート３０をプレスによる打ち抜き加工によって製作できるなど、複数のリニアソレノイドバルブ１４を有するバルブ装置１０を全体として簡単で且つ安価に構成できる。

また、固定プレート３０には、側端縁５０の直線部に沿って複数の係止部５２ａ〜５２ｆが設けられ、一直線に組み付けられる複数のリニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｆにそれぞれ軸心Ｓに対して直角な方向に一直線に設けられた係合溝４０に係止されるため、その複数のリニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｆの軸心Ｓまわりの位相を高い精度で規定することができる。すなわち、側端縁５０の直線部に沿って複数の係止部５２ａ〜５２ｆが一直線に設けられる単純形状であるため、それ等の係止部５２ａ〜５２ｆの相互間の位置精度を確保することが容易である。また、複数のリニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｆを、独立に構成された別々の固定部材を用いて固定する場合には、その複数の固定部材の寸法誤差や取付誤差等によってリニアソレノイドバルブ１４の位置決め精度がばらつく可能性があるが、複数のリニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｆに跨がって固定プレート３０が配設されることから、個々のリニアソレノイドバルブ１４ａ〜１４ｆの位置決め精度のばらつきが抑制される。

以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更，改良を加えた態様で実施することができる。

１０：バルブ装置 １２：バルブボデー １４、１４ａ〜１４ｈ：リニアソレノイドバルブ（ソレノイド部品） ２０ｃ〜２０ｅ：組付穴 ２２：上側端面 ２４：下側端面 ２６：段差部（逃がし段差） ３０：固定プレート（固定部材） ４０：係合溝 ４２：側壁 ４４：溝底 ５０：側端縁（端縁） ５２ａ〜５２ｈ：係止部 Ｓ、Ｓｃ、Ｓｄ、Ｓｅ：軸心

Claims (4)

1. 組付穴を有するバルブボデーと、
   一部が前記組付穴内に挿入されるソレノイド部品と、
   該ソレノイド部品が前記組付穴から突き出す部位に係止される係止部を備え、該係止部が該ソレノイド部品に係止された状態で前記バルブボデーに固定されることにより、該ソレノイド部品を該バルブボデーに対して位置決めして固定する固定部材と、
   を有するバルブ装置において、
   前記ソレノイド部品の外周面には、軸心に対して交差する方向に係合溝が設けられており、前記係止部が該係合溝内に挿入されて該係合溝の側壁と係合させられることにより該ソレノイド部品の軸方向の位置が規定されるとともに、該係止部が該係合溝の溝底と係合させられることにより該ソレノイド部品の軸心まわりの位相が規定される一方、
   前記バルブボデーには、前記組付穴の開口周縁部のうち前記固定部材の前記係止部が前記係合溝内に挿入される側に、前記ソレノイド部品が前記バルブボデーに組み付けられた状態において前記係合溝が外部に露出するように上面が該ソレノイド部品の軸方向に延びる切欠状の逃がし段差が設けられ、該逃がし段差よりも下側の下側端面が上側の上側端面よりも前記ソレノイド部品の軸方向へ突き出しており、
   前記組付穴は前記下側端面および前記上側端面に跨がって開口しており、前記ソレノイド部品の軸心まわりにおいて前記係合溝と反対側の部分は、前記下側端面に開口するように設けられた前記組付穴によって支持されるとともに、
   前記逃がし段差の上面高さは、前記固定部材を介して前記ソレノイド部品が前記バルブボデーに組み付けられた状態において前記係合溝の溝底よりも低くなる位置に定められている
   ことを特徴とするバルブ装置。
2. 前記係止部の先端は一直線に設けられているとともに、前記係合溝の溝底は該係合溝の長手方向に一直線に設けられており、該係止部の先端と該係合溝の溝底とが一直線に沿って係合させられる
   ことを特徴とする請求項１に記載のバルブ装置。
3. 前記固定部材は平板状の固定プレートで、該固定プレートと平行な面方向の位置調整可能に前記バルブボデーに固定される一方、
   前記固定プレートの端縁によって前記係止部の先端面が構成されているとともに、
   該係止部の先端面は前記端縁の他の部分に比べて面精度が高くされている
   ことを特徴とする請求項１または２に記載のバルブ装置。
4. 前記バルブボデーには、前記組付穴が互いに平行に且つ一直線に並んで複数設けられており、
   該複数の組付穴にそれぞれ前記ソレノイド部品が並列に組み付けられるとともに、
   該複数のソレノイド部品には、それぞれ前記係合溝が軸心に対して直角な方向に一直線に設けられている一方、
   前記固定部材は、一直線の端縁に沿って複数の係止部が設けられた平板状の固定プレートで、該複数の係止部がそれぞれ前記複数のソレノイド部品の前記係合溝に係止される
   ことを特徴とする請求項１〜３の何れか１項に記載のバルブ装置。

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