JP6382237B2 - マイクロアンカー - Google Patents

Description

本発明は、マイクロアンカーに関するものである。

外科医は、軟組織修復処置を行うにあたって、様々な縫合糸アンカーを使用する。これらの処置においては、「修復縫合糸」と称される１つまたは複数の縫合糸が、骨に対して固定された縫合糸アンカーに対して、あるいは、その後に骨に対して取り付けられることとなる縫合糸アンカーに対して、取り付けられる。修復縫合糸を使用することにより、軟組織を直下の骨に対して結び付けることができる。修復縫合糸を縫合糸アンカーに対して取り付けるに際しては、従来技術によるアプローチにおいては、難点が存在する。

米国特許第８，５４５，８６６号明細書

図１は、従来技術による縫合糸アンカー連結アプローチを示している。この場合、縫合糸は、アンカーボディの表面上に設けられた縫合糸チャネルを通して外面上を延在しており、さらに、横方向穴を挿通している。このアプローチは、骨内に穿孔された孔（骨孔、あるいは、パイロット孔）に対してのアンカーリブの接触面積を低減させてしまい、その結果、固定強度が小さくなってしまう。加えて、周囲の骨からのいくらかの圧縮力が、縫合糸上へとおよびアンカー内へと作用する。これにより、縫合糸が損傷しかねないとともに、修復縫合糸のスライドが困難となってしまう。縫合糸のスライドは、結び目を作る際に必要とされる機能である。

本発明は、上記の欠点や他の欠点を克服し得るような、軟組織修復のための縫合糸アンカーおよびその例に関するものである。一見地においては、本発明における少なくとも１つの例は、縫合糸アンカーを提供する。縫合糸アンカーは、縫合糸アンカー挿入器具に対して係合可能とされた基端部と、先端部と、基端部と先端部との間にわたって延在する長手方向軸線と、基端部と先端部との間にわたって延在する外表面と、を有したボディを具備している。縫合糸アンカーは、さらに、外表面から延在する複数の突起を具備している。縫合糸アンカーは、さらに、長手方向軸線に対して横方向にボディを貫通して延在する穴を具備している。縫合糸アンカーは、さらに、自由端を有したソフトな縫合糸ブリッジであるとともに、自由端を通して修復縫合糸を供給し得るものとされ、ソフトな縫合糸ブリッジが、穴を通して延在し、自由端が、穴よりも基端側に位置している、ソフトな縫合糸ブリッジを具備している。

他の例においては、縫合糸アンカーは、さらに、以下の１つまたは複数の特徴点を、単独であるいは組み合わせて、具備することができる。ボディの基端部は、縫合糸アンカー挿入器具の相補的凹所に対して係合するための凸部を有することができる、あるいは、縫合糸アンカー挿入器具の相補的凸部に対して係合するための凹所を有することができる。ボディの先端部は、骨内に形成された孔内へと挿入され得るよう構成された先端チップによって終端することができる。あるいはこれに代えて、ボディの先端部は、骨内に孔を形成することなく骨内へと挿入され得るよう構成された先端チップによって終端することができる。突起は、複数の環状リブを備えることができる、あるいは、複数のウィングを備えることができる。自由端は、第１自由端と、第２自由端と、を有することができる。それら自由端の各々は、予成形されたアイレットを有し、この予成形されたアイレットは、修復縫合糸をスライドさせ得るようにして修復縫合糸を受領し得るサイズとされている。いくつかの例においては、予成形されたアイレットは、ボディの基端部の領域に配置される。他の例においては、予成形されたアイレットは、ボディの基端部よりも基端側に配置される。ソフトな縫合糸ブリッジは、縫合糸とすることができ、この縫合糸の自由端は、使用時には、修復縫合糸によって穿孔される。一対のチャネルを、ボディの外表面に形成することができ、穴から基端向きに延出することができる。複数の突起は、一対のチャネルの間に、複数の部分リブと複数のウィングとのうちの一方を有することができる。凹所を、基端部のところに形成し得るとともに、長手方向軸線に対して横方向に配向させることができる。この凹所の横断面積は、修復縫合糸の横断面積よりも大きなものとすることができ、これにより、修復縫合糸のスライドが可能とされる。一対のチャネルは、穴と凹所との間にわたって延在する。少なくとも１つの窓を、骨の内方成長を容易なものとし得るよう、ボディに形成することができる。ボディを貫通して延在している穴は、第１穴と、この第１穴よりも基端側に位置した第２穴と、を有することができる。ボディは、第１穴と第２穴との間に配置されたブリッジと、第２穴から長手方向軸線に沿って基端向きに延在するカニューレと、を有することができる。ソフトな縫合糸ブリッジは、ボディの基
端部に向けてカニューレを通してブリッジの周囲に延在することができる。修復縫合糸を、ソフトな縫合糸ブリッジの自由端を通して供給することができる。ボディは、１ｍｍ〜３ｍｍという直径を有することができる。ボディは、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体（ＰＬＧＡ）、β−リン酸３カルシウム（β−ＴＣＰ）、硫酸カルシウム、ポリ−Ｌ−乳酸−ヒドロキシアパタイト（ＰＬＬＡ−ＨＡ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、あるいは、これらの変異形、という組成の中から選択された材料を有することができる。ボディの先端部は、チタン、ステンレススチール、あるいは、これらの変異形、の中から選択された金属を有したチップにおいて終端することができる。

一見地においては、本発明の少なくとも１つの例は、縫合糸アンカー設置システムを提供する。このシステムは、縫合糸アンカー設置器具を具備している。この縫合糸アンカー設置器具は、ハンドルと、このハンドルから延出されたシャフトと、を備えている。この縫合糸アンカー設置器具は、さらに、シャフトから延出されたインサーターチップであるとともに、先端ターミナル端部のところにおいて終端したインサーターチップを備えている。システムは、さらに、上述したような縫合糸アンカーであるとともに、縫合糸アンカー設置器具の先端ターミナル端部のところに配置された縫合糸アンカーを具備している。

他の例においては、縫合糸アンカー設置システムは、さらに、以下の１つまたは複数の特徴点を、単独であるいは組み合わせて、具備することができる。長手方向軸線を有したインサーターチップは、長手方向軸線に沿って先端ターミナル端部からハンドルに向けて基端向きに延出された凹所と、を有することができる。ボディの基端部は、縫合糸アンカー挿入器具の凹所に対して相補的な形状とされた凸部を有することができる。インサーターチップは、このインサーターチップを通して延在する通路であるとともに長手方向軸線に対して横方向に配向された通路を有することができる。この通路は、修復縫合糸を、インサーターチップの外表面およびシャフトの外表面に沿って外面的に配置し得るよう構成することができる。

一見地においては、本発明の少なくとも１つの例は、軟組織を修復するための方法を提供する。この方法においては、ソフトな縫合糸ブリッジを有した縫合糸アンカーを準備する。この方法においては、さらに、骨内へと、先端部から先に、縫合糸アンカーを挿入する。この方法においては、さらに、ソフトな縫合糸ブリッジを通して修復縫合糸をスライドさせる。これにより、修復縫合糸内に結び目を形成することができ、骨に対して軟組織を取り付けることができる。

他の例においては、軟組織を修復するための方法は、以下の１つまたは複数の特徴点を、単独であるいは組み合わせて、具備することができる。この方法においては、骨内に孔を穿孔し、孔内に縫合糸アンカーを挿入することができる。この方法においては、ソフトな縫合糸ブリッジを通して修復縫合糸をスライドさせることによって、軟組織を再配置することができる。

一見地においては、本発明の少なくとも１つの例は、カニューレ付き縫合糸アンカーを提供する。カニューレ付き縫合糸アンカーは、アンカーボディを具備し、このアンカーボディは、先端部と、縫合糸アンカー挿入器具に対して係合可能とされた基端部と、を備えている。カニューレ付き縫合糸アンカーは、さらに、アンカーボディの基端部のところに配置されたソフトな縫合糸ブリッジを具備している。このソフトな縫合糸ブリッジを通して、修復縫合糸が供給される。修復縫合糸は、軟組織修復処置時には自由にスライドすることができる。アンカーボディは、カニューレを形成する。カニューレは、アンカーボディの基端部と先端部との間に延在している。カニューレを通して、ソフトな縫合糸ブリッジを形成する縫合糸が挿通される。縫合糸は、アンカーボディの先端部のところにソフトな縫合糸ブリッジを固定するための結び目を有している。カニューレ付き縫合糸アンカーのいくつかの例においては、アンカーボディの先端部のところにソフトな縫合糸ブリッジを固定するための結び目は、オーバーモールドされた結び目や、クリンプされた結び目や、あるいは、熱硬化された結び目、とされる。カニューレ付き縫合糸アンカーの他の例においては、アンカーボディの先端部のところにソフトな縫合糸ブリッジを固定するための結び目と、縫合糸のうちの、ソフトな縫合糸ブリッジを形成する部分とは、オーバーモールドされたアセンブリとされる、あるいは、クリンプされたアセンブリとされる、あるいは、熱硬化されたアセンブリとされる。

一見地においては、縫合糸の少なくとも１つの例は、インサートモールドされたソフトな縫合糸ブリッジを有した縫合糸アンカーを提供する。

一見地においては、本発明の少なくとも１つの例は、軟組織を修復するために、縫合糸アンカーのソフトな縫合糸ブリッジの一端部に結び目を形成するための方法を提供する。この方法においては、縫合糸の編み込み構造の内部へとニードルを挿通させる。ニードルが挿通する距離（第１挿通長さ）が、結び目のサイズおよび強度を決定する。この方法においては、さらに、縫合糸を引っ張り、これにより、ループの前方に、短い長さ部分を残すともに、ループの後方に、縫合糸の長い長さ部分を残す。この方法においては、さらに、縫合糸の長い長さ部分を、形成されたループを通して後方に配置する。この方法においては、さらに、縫合糸アイレットの所望長さ部分を二重に重ね、これにより、長さを決定する。この方法においては、さらに、縫合糸を最初に挿通させた位置から、決定された長さを測定し、これにより、ポイントを位置合わせする。この方法においては、さらに、位置合わせされたポイントのところにおいて、ニードルを、縫合糸の編み込み構造の内部へと挿通させ、他の距離（第２挿通距離）にわたって挿通させる。この第２挿通距離は、さらに、結び目のサイズおよび強度を決定する。この方法においては、さらに、結び目の双方をループを締め付け、これにより、縫合糸アイレットを形成する。この方法においては、さらに、軟組織修復処置において使用されるカニューレ付き縫合糸アンカーを通して、縫合糸アイレット引っ張る。

添付図面は、本明細書の一部を形成するものであって、本発明の様々な例を図示している。発明の詳細な説明および添付図面は、本発明の原理や特徴点や特性を説明するために機能する。

従来技術による縫合糸アンカー連結アプローチを使用した縫合糸アンカーを示す図である。 縫合糸アンカーを示す側面図であって、ソフトな縫合糸ブリッジが骨内に挿入されている。 縫合糸アンカーを示す側面図であって、ソフトな縫合糸ブリッジが骨内に挿入されている。 縫合糸アンカーを示す側面図であって、ソフトな縫合糸ブリッジが骨内に挿入されている。 ソフトな縫合糸ブリッジを有した縫合糸アンカーの一例を示す図である。 ソフトな縫合糸ブリッジを有した縫合糸アンカーの一例を示す図である。 ソフトな縫合糸ブリッジを有した縫合糸アンカーの他の例を示す図である。 ソフトな縫合糸ブリッジを有した縫合糸アンカーの他の例を示す図である。 ソフトな縫合糸ブリッジを有した窓付き縫合糸アンカーを示す図である。 ソフトな縫合糸ブリッジを有した窓付き縫合糸アンカーを示す図である。 ソフトな縫合糸ブリッジを有した窓付き縫合糸アンカーを示す図である。 縫合糸アンカーの様々な例を骨内へと挿入するために使用される縫合糸アンカー挿入器具のインサーターチップを示す図である。 縫合糸アンカーの様々な例を骨内へと挿入するために使用される縫合糸アンカー挿入器具のインサーターチップを示す図である。 縫合糸アンカーのボディ内に成型されたソフトな縫合糸ブリッジを有した縫合糸アンカーの一例を示す側面図である。 先端側にソフトな縫合糸ブリッジを有した縫合糸アンカーの一例を示す図である。 縫合糸アイレットを有したカニューレ付き縫合糸アンカーの例を示す図である。 縫合糸アイレットを有したカニューレ付き縫合糸アンカーの例を示す図である。 縫合糸アイレットを有したカニューレ付き縫合糸アンカーの例を示す図である。 縫合糸アイレットを有したカニューレ付き縫合糸アンカーの例を示す図である。 縫合糸アイレットを有したカニューレ付き縫合糸アンカーの例を示す図である。 縫合糸アイレットを有したカニューレ付き縫合糸アンカーの例を示す図である。 縫合糸アイレットを有したカニューレ付き縫合糸アンカーの例を示す図である。 縫合糸アイレットに結び目を形成する際の一連の写真である。 縫合糸アイレットに結び目を形成する際の一連の写真である。 縫合糸アイレットに結び目を形成する際の一連の写真である。 縫合糸アイレットに結び目を形成する際の一連の写真である。 縫合糸アイレットに結び目を形成する際の一連の写真である。 縫合糸アイレットに結び目を形成する際の一連の写真である。 縫合糸アイレットに結び目を形成する際の一連の写真である。

図示された例に関する以下の詳細な説明においては、添付図面が参照される。添付図面は、本明細書の一部を形成する。添付図面は、例示の目的のために、本発明の主題を実施し得る特定の複数の例を図示している。本発明の範囲を逸脱することなく、他の例を実施し得ること、および、構成を変更し得ることは、理解されるであろう。

図示された詳細は、例示の目的のためのものであって、最も有効であると考えられる例を提供しているとともに、本発明の原理および構成的見地を容易に理解し得る例を提供している。この点に関し、本発明の基本的な理解のために必要なものよりも、より詳細に本発明の主題に関する構成的詳細は、示されていない。添付図面を参照した説明により、本発明のいくつかの態様を実用的に具現し得る手法は、当業者には自明となるであろう。さらに、様々な図面にわたって、同様の構成部材には、同様の符号が付されている。

図２Ａ〜図２Ｃは、骨内へと挿入される縫合糸アンカー１００の一例を示している。図２Ｃにおいて明瞭に示すように、縫合糸アンカー１００は、ボディ１０５と、このボディ１０５に対して連結されたソフトな縫合糸ブリッジ１１０と、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０を通して供給された修復縫合糸１１５と、を備えている。縫合糸アンカー１００は、縫合糸アンカー挿入器具の端部に配置される。図２Ａに示すように、外科医は、縫合糸アンカー挿入器具を使用することにより、縫合糸アンカー１００を、この縫合糸アンカー１００の先端部の方から、骨内に形成された孔内へとすなわち「骨孔」内へと、挿入することができる。図２Ｂに示すように、外科医は、縫合糸アンカー挿入器具を押し込む、あるいは、マレットによって縫合糸アンカー挿入器具を打ち込む（挿入力として図示されている）。これにより、縫合糸アンカー１００を骨孔内へと押し込むことができる。縫合糸アンカー１００は、骨孔の内部へと移動し、最終的には、図２Ｃに示すように、所望の挿入深さへと到達する。所望の挿入深さは、例えばドリルガイドと縫合糸アンカー挿入器具との間の明確な係止特徴点によって、制御することができる。あるいは、縫合糸アンカー挿入器具上のマークがドリルガイド上の各ラインに対して調和されている場合には、制御することができる。

外科医は、修復縫合糸１１５を使用することにより、骨に対して軟組織を取り付けることができる。より詳細には、外科医は、軟組織を通して修復縫合糸１１５の１つまたは複数のリムを挿通し、修復縫合糸１１５に１つまたは複数の結び目を形成し、骨に対して軟組織を固定する。外科医が結び目を形成する際には、修復縫合糸１１５は、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０に対してスライドする。「縫合糸のスライド」と称されるような、修復縫合糸１１５がスライドする能力は、有利である。なぜなら、外科医が、修復縫合糸１１５に結び目を形成し得るからであり、骨に対して軟組織を固定し得るからである。縫合糸のスライドにより、さらに、外科医は、軟組織を容易に配置したり再配置したりすることができる。

図３Ａおよび図３Ｂは、縫合糸アンカー１００の一例を示している。ボディ１０５は、基端部１２０と、先端部１２５と、基端部１２０と先端部１２５との間にわたって延在する長手方向軸線１３０と、を有している。表面１３５は、基端部１２０と先端部１２５との間において長手方向軸線１３０に沿って延在している。複数の環状リブ１４０が、表面１３５から延出されている。縫合糸アンカー１００が骨内へと挿入されたときには、複数の環状リブ１４０は、嵌合を提供し、これにより、骨に対して縫合糸アンカー１００を固定する。図３Ｂに明瞭に図示されているように、先端部１２５のところには、ボディ１０５を貫通して延在する穴１４５が設けられている。穴１４５は、長手方向軸線１３０に対して横方向に延在している。ソフトな縫合糸ブリッジ１１０は、横方向穴１４５から延在している。

いくつかの例においては、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０は、縫合糸の長さの一部とされる、あるいは、縫合糸テープとされる。他の例においては、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０は、成型部材とされる。これらの例の各々においては、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０は、少なくとも１つの自由端１５０（例えば、１５０ａ）を有している。自由端１５０は、横方向穴１４５から基端向きに延在している。修復縫合糸１１５は、自由端１５０を通して供給することができる。ソフトな縫合糸ブリッジ１１０が縫合糸の長さの一部とされている一例においては、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０は、使用時には、穿孔され、修復縫合糸１１５と織り交ぜられるあるいは相互織り込みされる。

図示のように、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０の簡便な例は、第１自由端１５０ａと、第２自由端１５０ｂと、を有している。図３Ｂにおいて明瞭に示すように、自由端１５０ａ，１５０ｂの各々は、予成形されたアイレット１５５ａ，１５５ｂ（全体的には、符号１５５）を有している。予成形されたアイレット１５５は、修復縫合糸１１５のスライドを可能とする態様で修復縫合糸１１５を受領し得るサイズとされている。一例においては、予成形されたアイレット１５５は、修復縫合糸１１５の横断面積と比較して、０％〜３０％の分だけ大きなサイズの開口を規定する。

予成形されたアイレット１５５の他の例においては、開口のサイズは、修復縫合糸１１５の横断面積と比較して、０％〜３０％の分だけ小さなものとされている。予成形されたアイレット１５５のうちのアンダーサイズの開口を形成している周縁部分は、あるいは、アイレットの全体は、例えば、弾性材料から形成される。外科医が、予成形されたアイレット１５５を通して修復縫合糸１１５を引っ張ったときには、弾性材料が、アンダーサイズの開口の拡径を可能とする。これにより、修復縫合糸１１５は、スライドすることができる。外科医が、修復縫合糸１１５の引っ張り操作を停止したときには、アンダーサイズの開口は、元々のサイズへと復帰し、これにより、修復縫合糸１１５のスライドを禁止する。

図示のように、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０の簡便な構成は、修復縫合糸１１５の円形横断面に適合した円形開口を有した予成形されたアイレット１５５を備えている。予成形されたアイレット１５５の他の例が、２〜３の例を挙げるとすると三角形形状や正方形形状や楕円形状といったような形状の開口を有し得ることは、容易に理解されるであろう。さらに図示されているように、予成形されたアイレット１５５は、ボディ１０５の基端部１２０の近傍に配置されている。予成形されたアイレット１５５のこの配置は、修復縫合糸１１５の容易な移動を可能とする。

ボディ１０５の先端部１２５は、先端側チップ１６０において終端している。いくつかの例においては、先端側チップ１６０は、ボディ１０５と一体的とされている。あるいはこれに代えて、先端側チップ１６０は、ボディ１０５とは個別の部材として形成され、ボディに対して固定される。先端側チップ１６０は、任意の適切な材料から形成することができ、例えば、金属（例えば、外科手術グレードのステンレススチールやチタンや同様の材料）や、ポリマー（例えば、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ））や、複合材料（例えば、カーボンファイバによって強化されたＰＥＥＫ）や、生体吸収性材料、から形成することができる。本発明においては、インプラントとして通常的に使用される他の材料をも想定することができる。

変形例においては、先端側チップ１６０は、「孔開け不要タイプ」のチップと称されるように孔開けを必要とすることなく骨の硬質の外側皮質層を貫通し得るような、適切な強度や硬度や形状（例えば、尖鋭化されたチップ、円錐形状のチップ、金属製のチップ）を有した構成のものとすることができる。先端側チップ１６０のこの構成は、特に有利なものである。なぜなら、孔開けステップを不要とし得るからである。その結果、外科医は、孔開け不要タイプの縫合糸アンカー１００を、従来のねじ込み式のアンカーと比較して、降り短時間で挿入することができる。また、外科医は、所定の時間内において、より多数の孔開け不要タイプの縫合糸アンカーを設置することができる。よって、縫合糸アンカー１００のいくつかの例は、手術時間を短縮できて、有利である。

しかしながら、本発明の様々な例においては、先端側チップ１６０を、骨内に穴を形成した後に骨内へと挿入し得るものとして構成し得ることは、理解されるであろう。例えば、先端側チップ１６０は、円錐台形状という全体形状を有することができる。このような形状は、容易に理解されるように、骨孔内への設置がより容易である。先端側チップ１６０のそのような例は、先端側チップ１６０が、脆性を有した生体吸収性材料や骨結合性材料から形成されている場合に、特に有利である。

図示のように、複数の環状リブ１４０が、ボディ１０５の周縁まわりに形成されているとともに、ボディ１０５の長手方向長さの少なくとも一部に沿って積層されている。様々な例においては、環状リブ１４０は、ボディ１０５の長手方向長さの全体に沿って積層される。しかしながら、本発明の様々な例においては、環状リブ１４０を、ボディの長手方向長さの一部だけに沿って積層し得ることは、理解されるであろう。各環状リブの横断面形状は、三角形形状や、正方形形状や、台形形状や、多角形形状や、円形形状や、他の任意の適切な横断面形状、とすることができる。

環状リブ１４０の幾何形状は、骨孔内への挿入能力に基づいて、また、骨孔内における保持能力に基づいて、選択される。例えば、環状リブ１４０の簡便な例は、図示のように、ボディ１０５の基端部に位置する第１リブから、ボディ１０５の先端部における相対的に直径が小さな第２リブへと、テーパー形状をなすことである。このテーパー形状は、一例においては、骨内へと縫合糸アンカー１００を挿入するのに必要な力を低減させることができ、これにより、骨が無用に損傷を受けてしまうというリスクを低減することができる。本発明の様々な例においては、骨孔が望ましい場合には、複数の環状リブ１４０のうちの少なくとも１つの環状リブの直径は、骨孔の所定直径内に圧縮的に嵌合されるようなサイズとされる。

図４Ａおよび図４Ｂは、縫合糸アンカー１００の他の例を示しており、この縫合糸アンカー１００は、チャネル１６５を備えている。このチャネル１６５は、ボディ１０５の表面１３５に形成されている。チャネル１６５は、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０の一部を受領し得るよう構成されている。チャネル１６５は、ボディ１０５の表面１３５の少なくとも一部内に延在しつつ、横方向穴１４５から基端向きに延在している。一般に、２つのチャネル１６５が、互いに反対側に位置している。本発明の様々な例においては、チャネル１６５の深さは、一定とすることができる。あるいはこれに代えて、チャネル１６５の深さは、各チャネル１６５の長手方向長さに沿って変動するものとすることができる。簡便な例においては、チャネル１６５の深さは、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０のうちの、チャネル１６５内に受領された部分が、複数の環状リブ１４０を超えて位置するように、選択される。この構成においては、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０のそれらの部分は、チャネルと骨との間において圧縮される。これにより、縫合糸アンカー１００の全体的な嵌合に寄与することができる。

図４Ｂに明瞭に示すように、ボディ１０５の基端部１２０は、凹所１７０を備えている。凹所１７０は、長手方向軸線１３０に対して横方向に配向している。チャネル１６５は、横方向穴１４５と凹所１７０との間にわたって延在している。凹所１７０は、修復縫合糸１１５の横断面積よりも大きな横断面積を有している。これにより、修復縫合糸１１５は、凹所１７０を通してスライドすることができる。この構成においては、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０の第１自由端１５０ａおよび第２自由端１５０ｂは、ボディ１０５の基端部１２０のところに位置し、凹所１７０に対して位置合わせされる。修復縫合糸１１５は、第１自由端１５０ａ内へと導入され、凹所１７０を通過し、そして、第２自由端１５０ｂを通して導出される。

図示のように、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０の第１自由端１５０ａおよび第２自由端１５０ｂは、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０の平坦部分に形成された予成形されたアイレット１５５ａ，１５５ｂを有している。他の例においては、予成形されたアイレット１５５ａ，１５５ｂは、図３Ａおよび図３Ｂに図示した形状とされ、図３Ａおよび図３Ｂを参照して上述したようなものとされる。図４Ａおよび図４Ｂに図示した例は、チャネル１６５と凹所１７０との双方を有しているけれども、縫合糸アンカー１００の他の例は、チャネル１６５と凹所１７０とのうちの一方を有している。

図５Ａおよび図５Ｂは、窓付き縫合糸アンカー２００を示している。この窓付き縫合糸アンカー２００は、ボディ２０５と、このボディ２０５に対して連結されたソフトな縫合糸ブリッジ２１０と、ソフトな縫合糸ブリッジ２１０を通して供給された修復縫合糸２１５と、を備えている。ボディ２０５は、基端部２２０と、先端部２２５と、基端部２２０と先端部２２５との間にわたって延在する長手方向軸線２３０と、を有している。表面２３５は、基端部２２０と先端部２２５との間において長手方向軸線２３０に沿って延在している。ソフトな縫合糸ブリッジ２１０の例は、図３Ａ，３Ｂ，４Ａ，４Ｂを参照して上述したものと同様である。ソフトな縫合糸ブリッジ２１０の自由端２５０ａ，２５０ｂは、ボディ２０５の基端部２２０を超えて基端向きに延出されている。修復縫合糸２１５は、自由端２５０ａ，２５０ｂを通して供給することができる。

図５Ｂにおいて明瞭に示すように、窓付き縫合糸アンカー２００は、窓２７０を備えている。窓２７０は、表面２３５に形成されたものであり、ボディ２０５を貫通して形成されている。窓２７０は、窓付き縫合糸アンカー２００の内部へと骨が内方成長するための通路を提供する。このような骨の内方成長は、望ましいものである。なぜなら、軟組織修復の成功に寄与し得るからであり、また、自然治癒の促進に寄与し得るからである。窓２７０の数やサイズや構成（例えば、間隔や配置）は、骨の内方成長を容易とし得るように選択される。この選択を行うに際しては、骨内へと特にアンダーサイズの骨孔内へと窓付き縫合糸アンカー２００を挿入するのに必要な適切な圧縮強度を維持することが、さらに考慮される。あるいはこれに代えて、「孔開け不要」タイプの設置の場合には、骨内へと直接的に窓付き縫合糸アンカー２００を挿入するのに必要な適切な圧縮強度を維持することが、さらに考慮される。窓２７０は、ボディ２０５を完全に貫通して延在する通路として図示されているけれども、例えば凹所や非貫通孔といったようなアンカーのボディを完全には貫通していない他の例を想定することもでき、また、骨の内方成長を可能とする他の手段を採用することを想定することもできる。

窓付き縫合糸アンカー２００は、さらに、表面２３５から延出された複数のウィング２４０を備えている。窓付き縫合糸アンカー２００が骨内へと挿入されたときには、複数のウィング２４０は、嵌合を提供し、窓付き縫合糸アンカー２００を骨に対して固定する。図示のように、複数のウィング２４０は、２つの列にグループ分けされている。それら２つの列は、互いに径方向反対側に位置している。他の例は、ボディの周縁まわりに配置された３列以上の（例えば、３列、あるいは、４列）ウィングを備えている。複数のウィング２４０を構成している個々のウィングの構成について、詳細に後述する。

複数のウィングからなる隣接する列どうしの間において、窓付き縫合糸アンカー２００は、第１穴２４５ａと、この第１穴２４５ａの近傍に配置された第２穴２４５ｂと、を有している。図５Ｂにおいて明瞭に示すように、ブリッジ２６０が、第１穴２４５ａと第２穴２４５ｂとを分離している。ボディ２０５によって規定されたカニューレ２６５が、第２穴２４５ｂから基端向きに延在している。カニューレ２６５は、ソフトな縫合糸ブリッジ２１０を受領し得るサイズとされている。例えば、図示のように、カニューレ２６５の直径は、ソフトな縫合糸ブリッジ２１０の「二重」部分２１０ａを受領し得るものとされている。

ソフトな縫合糸ブリッジ２１０は、ブリッジ２６０まわりに延在し、さらに、カニューレ２６５を通り、ボディ２０５の基端部２２０に向けて延出されている。図示のように、縫合糸アンカー２００の簡便な例においては、ソフトな縫合糸ブリッジ２１０のうちの、第１穴２４５ａおよび第２穴２４５ｂから突出している部分２１０ｂは、ボディ２０５の表面２３５を超えて延在している。縫合糸アンカー２００が骨内に設置されたときには、ソフトな縫合糸ブリッジ２１０のこれらの部分２１０ｂは、ブリッジ２６０と骨との間において圧縮される。有利には、縫合糸のこのルートでの配置は、縫合糸アンカーの全体的な嵌合に寄与する。

図５Ｃに示すように、ウィング２７５は、ベース２７５ａと、ウィングチップ２７５ｂと、を有している。ウィング２７５は、ボディ２０５の表面２３５に対して傾斜して、ボディ２０５の基端部２２０に向けて、ベース２７５ａから外向きに延在している。その傾斜角度は、挿入力に応答してウィングチップ２７５ｂをボディ２０５の表面２３５に向けて移動させつつウィング２７５が内向きに撓むように、選択される。引っ張り力に応答して、ウィング２７５は、外向きに撓み、この時、ウィングチップ２７５ｂは、ボディ２０５の表面２３５から離間する向きに移動する。

ウィング２７５は、さらに、ベース２７５ａのところに、クリアランス２７５ｃを有している。クリアランス２７５ｃの寸法（例えば、長さ、幅、半径）は、ウィング２７５に対して適切なフレキシブルさを提供し得るように、選択される。ウィング２７５は、さらに、ベース２７５ａとウィングチップ２７５ｂとの間に規定されたプロファイルを有している。このプロファイルは、引っ張りに対しての十分な抵抗性を提供し得るように、選択される。例えば、図示のように、ウィング２７５のプロファイルは、ウィングチップ２７５ｂの近傍において外向きに拡径している。この拡径したプロファイルは、窓付き縫合糸アンカー２００が骨から引き抜かれる際に、硬質の外側皮質層に対して係合し得るよう構成されている。したがって、そのようなプロファイルは、窓付き縫合糸アンカー２００の大きな固定強度を得るに際して、有利である。

図６Ａおよび図６Ｂは、図３Ａおよび図３Ｂの縫合糸アンカー１００の例を挿入するに際して使用される縫合糸アンカー挿入器具のインサーターチップ３００を示している。図６Ａに明瞭に示すように、縫合糸アンカー１００は、ボディ１０５の基端部１２０のところに、凸部１７５を有している。インサーターチップ３００は、凸部１７５に対して係合するための相補的凹所３０５を有している。凸部１７５および凹所３０５は、円形横断面形状を有したものとして図示されている。他の例においては、例示するならば、三角形状や六角形状や多角形形状といったような横断面形状を有して構成することができる。さらに他の例においては、凸部１７５は、バヨネットタイプの係合のために、凹所３０５の内表面／壁内の相補的なグルーブまたは凹所に対して係合可能な突起を有している。あるいは逆に、凹所３０５は、バヨネットタイプの係合のために、凸部１７５の外表面／壁内の相補的なグルーブまたは凹所に対して係合可能な突起を有している。

インサーターチップ３００は、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０を通して供給された修復縫合糸１１５を収容するための通路３１０を有している。図６Ｂにおいて明瞭に示すように、縫合糸アンカー１００がインサーターチップ３００に対して連結された際には、ソフトな縫合糸ブリッジ１１０の自由端１５０ａ，１５０ｂは、インサーターチップ３００の両サイドに配置される。インサーターチップ３００は、シャフト（図示せず）の延長部分である。このシャフト（図示せず）は、最終的には、ハンドル（図示せず）によって終端する。ハンドルのいくつかの例は、修復縫合糸１１５を保持するためにハンドル内に形成された１つまたは複数の縫合糸保持グルーブあるいはノブを有している。

図５Ａ〜図５Ｃの縫合糸アンカー２００の例を挿入するに際しては、上述したインサーターチップ３００と同様のインサーターチップを使用することができる。このインサーターチップは、縫合糸アンカー２００の基端部に対して係合可能な幾何形状を有している。インサーターチップ、および、このインサーターチップに関連する縫合糸アンカー挿入器具は、さらに、図６Ａおよび図６Ｂを参照して上述したいくつかの特徴点を有することができる。

図７は、縫合糸アンカー５００の例を示している。この縫合糸アンカー５００は、縫合糸アンカー５００の基端部のところにソフトな縫合糸ブリッジ５１０を形成するように挿入成型された１つまたは複数の縫合糸（例えば、単一のストランド縫合糸）を有している。この例においては、縫合糸は、縫合糸アンカー５００の（射出）成型の前に、縫合糸アンカーモールド内に配置される。

ソフトな縫合糸ブリッジの上記の例は、縫合糸アンカーの基端部のところに配置されるものとして説明されているけれども（例えば、図２Ａ〜図２Ｃにおけるソフトな縫合糸ブリッジ１１０）、図８は、縫合糸アンカー６００の先端部のところに配置されたソフトな縫合糸ブリッジ６１０を有した縫合糸アンカー６００を示している。縫合糸アンカー６００の一例は、ボディと、円錐形状チップと、を備えている。ボディは、スロット付きの先端部を有している。円錐形状チップをボディの先端部内へと移動させることにより、先端部を径方向において拡径させることができる。この拡径は、縫合糸アンカー６００と骨孔との間の嵌合を引き起こし、これにより、縫合糸アンカー６００を骨に対して固定する。縫合糸アンカーの他の例は、円錐形状チップに代えて、拡径可能な結び目を有している。拡径可能な結び目を先端部内へと移動させることにより、拡径可能な結び目によって、先端部を拡径させて嵌合を引き起こすことができる。縫合糸アンカー６００を径方向に拡径させる手法であることに加えて、拡径可能な結び目は、修復縫合糸のためのプーリとしても機能する。拡径可能な結び目の例には、引っ張られたときに塊状となる縫合糸構成がある。

図９Ａ〜図９Ｆは、カニューレ付き縫合糸アンカー４００およびその例を示している。カニューレ付き縫合糸アンカー４００は、ボディ４０５と、このボディ４０５に対して連結されたソフトな縫合糸ブリッジ４１０と、ソフトな縫合糸ブリッジ４１０を通して供給された修復縫合糸４１５と、を備えている。ボディ４０５は、基端部４２０と、先端部４２５と、基端部４２０と先端部４２５との間にわたって延在する長手方向軸線４３０と、を有している。表面４３５は、基端部４２０と先端部４２５との間において長手方向軸線４３０に沿って延在している。複数の環状リブ４４０が、表面４３５から延出されている。環状リブ４４０の例は、図３Ａ，３Ｂを参照して上述したものと同様である。

カニューレ付き縫合糸アンカー４００およびその例は、縫合糸通路という独自のアプローチを包含している。この縫合糸通路というアプローチは、ソフトな縫合糸ブリッジ４１０を保護するとともに、修復縫合糸のスライドを容易なものとする。図９Ｂにおいて明瞭に示すように、カニューレ付き縫合糸アンカー４００は、カニューレ４４５（あるいは、管腔、あるいは、軸線方向貫通穴）を備えている。このカニューレ４４５は、ボディ４０５の基端部４２０と先端部４２５との間にわたって延在している。ソフトな縫合糸ブリッジ４１０の部分４１０ａは、カニューレ４７０を挿通している。参照を容易とするために、この「内部の」ソフトな縫合糸ブリッジは、「縫合糸アイレット」４１０と称される。この構成は、骨に対しての縫合糸の接触面積を最大化させる。これにより、縫合糸アンカーの固定強度が増大する。この構成の他の利点は、骨内への縫合糸アンカーの挿入時に縫合糸アイレット４１０が損傷することを防止し得ることである。

図示のように、縫合糸アイレット４１０の２つの自由端４５０ａ，４５０ｂは、ボディ４０５の基端部４２０を超えて基端側に延在している。修復縫合糸４１５は、２つの自由端４５０ａ，４５０ｂを通して供給することができる。この構成は、有利である。なぜなら、縫合糸アイレット４１０を通しての修復縫合糸４１５の移動を容易とし得るからである。縫合糸アイレット４１０の簡便な例は、２つの自由端を有するものとして上述されているけれども、他の例においては、図９Ｃに示すように、単一の自由端を有することができる。

縫合糸アイレット４１０の先端部のところに位置した結び目４６０は、ボディ４０５の内径と比較して、わずかに大きなサイズとされている。結び目４６０は、ボディ４０５を通しての引っ張りに抗して、縫合糸アイレット４１０を維持する。図９Ａ〜図９Ｃにおいては、結び目４６０は、可視化の目的のために、球として図示されている。結び目４６０の実際の幾何形状は、これとは相違するものとすることができる。結び目４６０、および、結び目４６０を形成するための方法の例について、詳細に後述する。

図９Ｄ〜図９Ｇは、カニューレ付き縫合糸アンカー４００の他の例を示している。この例は、縫合糸アイレット４１０の先端部における機械的に構成された結び目４６５を利用している。縫合糸アイレット４１０および機械的に構成された結び目４６５というこの構成は、「構造化された縫合糸アイレット」と称される。有利には、構造化された縫合糸アイレット４７０は、剛直なボディとすることができる。これにより、カニューレ付き縫合糸アンカー４００による成功的な軸外の非同一平面的な稠密骨を通しての挿入の傾向を増大させることができる。これは、特に、図９Ｆ，９Ｇに示すカニューレ付き縫合糸アンカー４００の例において、当てはまる。図９Ｆ，９Ｇにおいては、構造化された縫合糸アイレット４７０の長さのほぼ全体が、オーバーモールドされる（図示においては、スリーブ状の構造として図示されている）。

機械的に構成された結び目４６５は、カニューレ付き縫合糸アンカー４００のボディ４０５に対して係合する。簡便な例においては、機械的に構成された結び目４６５は、ボディ４０５の相補的凹所内に係合する突起を有している。有利には、これにより、ボディ４０５と縫合糸アイレット４１５との間において、同一平面的係合形状が可能とされる。これにより、カニューレ付き縫合糸アンカー４００の設置時に骨を損傷させてしまうリスクを最小化することができる。

機械的に構成された結び目４６５は、例えばオーバーモールドといったような製造技術によって、あるいは、例えば熱的な硬化やクリンピングといったような機械的技術によって、得ることができる。機械的に構成された結び目４６５によって、より信頼性の高い縫合糸アイレット４１０を得ることができる。これにより、カニューレ付き縫合糸アンカー４００の使用時とカニューレ付き縫合糸アンカー４００の製造時との双方の際に、結び目が損傷してしまうというリスクを低減することができる（場合によっては、そのようなリスクを除去することができる）。結び目が機械的に構成されていることに基づく他の利点は、先端結び目の形状のバラツキが少ないことである。

他の例には、縫合糸アンカーおよび構造化された縫合糸アイレットに関する様々なモールド形状がある。縫合糸アンカーおよび構造化された縫合糸アイレットを一緒に形成する手法には、様々なものがある。加えて、縫合糸アイレットの先端部の結び目（すなわち、「縫合糸アイレットの先端結び目」）を形成する方法は、様々な手法とすることができる（モールディング、クリンピング、あるいは、熱硬化）。

次に、「縫合糸アイレット結び目」と称されるような、縫合糸アイレット（例えば、図９Ａ〜図９Ｃを参照して上述したような縫合糸アイレット４１０）を結ぶために使用される結び目について説明する。縫合糸アイレット結び目は、解けてしまわないような態様でもって、それ自体によって形成される。縫合糸アイレット結び目およびその例を使用することにより、組織修復において直面する様々な課題を克服することができる。多くの場合、縫合糸アイレット結び目の一例は、一旦形成された後には、解けてしまうことがない。

医療分野に関し、外科医は、軟組織修復処置を実施するに際し、アンカーを使用する必要がある。修復縫合糸を使用することにより、軟組織を骨に対して結び付けることができる。いくつかのカニューレ付きアンカーにおいては、アンカーの内径を通して縫合糸アイレット（あるいは、ソフトな縫合糸ブリッジ）を延在させることが望ましい。縫合糸アイレットは、様々な結び方のものとし得る結び目を使用して、結び付けることができる。しかしながら、ある種の結び目は、周期的負荷を受けた際に、あるいは、高張力の衝撃力を受けた際に、解けてしまいかねない。上記のものは、他の結び目を、予測しにくいものとする。

過去においては、様々なタイプの結び目が使用されていた。それらのいくつかは、縫合糸アイレット結び目の場合のように自身に対して結ばれたもの、ではなかった。いくつかの場合においては、結び目の形成という課題が回避された。例えば、結び目の必要性は、アンカーの周囲にあるいはアンカーを通して縫合糸を延在させることにより、除去される。他の固定手法には、クランプ、接着、等がある。いくつかのアンカーは、縫合糸をアンカー内にオーバーモールドすることによってあるいは様々な態様の結び目が抜けてしまうというリスクを許容することによって、結び目の形成という課題に対処している。

以下においては、縫合糸アイレット結び目の形成方法およびその例について説明する。

図１０Ａに示すように、ステップ１においては、ニードルを、約１ｍｍという長さにわたって、編み込まれた縫合糸の内部を挿通させる（挿通長さは、所望の結び目サイズや強度に応じて変更される）。ニードルは、ニードルが導入されたサイドと同じサイドから導出されるべきである。明瞭化のために、このことは、ニードルが一方のサイドから侵入し他のサイドから出るのではないことを意味する。ニードルは、周縁的に編み込まれた中空糸の内部を挿通する。

縫合糸は、自身のまわりに巻回されるべきである。より詳細には、縫合糸のうちの、ニードルの尖鋭チップに対向する端部は、最初に孔開けされたニードル孔端部をまず最初に通過しその後に他端から出て行くようにして、延在するべきである。

図１０Ｂに示すように、ステップ２においては、自身を通して縫合糸を引っ張り、これにより、ループの前に、縫合糸の短い長さを残すとともに、ループの後に、縫合糸の長い長さを残す。

図１０Ｃに示すように、ステップ３においては、縫合糸の長い端部を、形成されたループを挿通させる。

図１０Ｄに示すように、ステップ４においては、所望のアイレット長さに応じて、二重に重ね、その後、（ステップ１において）自身を通して縫合糸が延在している場所から、この長さを測定する。

図１０Ｅに示すように、ステップ５においては、ステップ４で測定されたポイントのところにおいて、（ステップ１の場合と同様に）約１ｍｍという長さにわたって縫合糸の内径を通してサイドニードルを挿通させる。ニードルは、縫合糸の短い端部に対向しているべきである（ステップ２に関して上述したのと同様）。つまり、ニードルが、その方向において縫合糸の残りの長さ部分に延在する場合には、ニードルは、縫合糸の短い長さ部分に出現することとなる。縫合糸は、ニードルが挿通しているのと同様に、ニードルが形成したこの孔を挿通する。孔のうちの、ニードルによって最初に孔開けされた端部は、孔のうちの、縫合糸の長い端部が最初に通過した端部となることとなる。

上記の様々なステップは、縫合糸アイレットの独自の結び目を形成する。強く引っ張るほど、結び目がより強くなる。自身を通して縫合糸を挿通させることによって形成された２つの縫合糸ループは、また、互いにループを形成する。この縫合糸結び目は、自身を２度にわたって結び付けており、互いに逆向きの２つのループを形成している。これらループは、また、互いに編み込まれる。破損の主要なモードは、縫合糸が、過度の張力によって破損することである。

図１０Ｆに示すように、ステップ６においては、結び目の双方をループを締め付ける。これにより、縫合糸アイレットを様々な用途で使用することができる。

図１０Ｇに示すように、縫合糸アイレットは、軟組織修復のために使用される縫合糸アンカー（例えば、図９Ａ〜図９Ｃにおけるカニューレ付き縫合糸アンカー４００）を通して、引っ張られる。縫合糸の両端部は、必要であれば、熱によってカットされる。

縫合糸アンカー１００，２００，４００，５００，６００のいくつかの例は、小さな直径のアンカーすなわち「マイクロアンカー」であり、１ｍｍ〜３ｍｍという程度の直径を有している。他の例には、身体の異なる部位において使用するための、より大きな直径のアンカーがある。縫合糸アンカー１００，２００，４００，５００，６００の例は、全体的にあるいは部分的に（例えば、ボディ）、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体（ＰＬＧＡ）、β−リン酸３カルシウム（β−ＴＣＰ）、硫酸カルシウム、ポリ−Ｌ−乳酸−ヒドロキシアパタイト（ＰＬＬＡ−ＨＡ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、あるいは、これらの変異形、という組成から、形成することができる。ＰＬＧＡとβ−ＴＣＰと硫酸カルシウムとの組合せから形成された縫合糸アンカー１００，２００，４００，５００，６００の生体複合体の例は、身体によって吸収され得るものであり、これは、自然治癒にとって有利である。ＰＬＧＡとβ−ＴＣＰと硫酸カルシウムとの組成例は、特許文献１に開示されている。この文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。本発明においては、インプラントとして通常的に使用される他の材料をも想定することができる。

上記の様々な例示が、単に説明のためのものに過ぎないこと、および、本発明の範囲を何ら制限するものではないことに注意されたい。本発明につき、様々な例示を参照して説明したけれども、上記の説明は、説明および例示のためのものであって、限定のためのものではないことは、理解されるであろう。本発明の精神および範囲ならびに本発明の見地を逸脱することなく、現状のものであるか補正されたものであるかにかかわらず特許請求の範囲内において、変更を行うことができる。本発明につき、特定の手段や特定の材料や特定の例を参照して説明したけれども、本発明は、上述した細部に限定されるものではなく、むしろ、本発明は、特許請求の範囲内において、機能的に等価なすべての構造や方法や使用へと拡張される。

１００ 縫合糸アンカー
１０５ ボディ
１１０ ソフトな縫合糸ブリッジ
１１５ 修復縫合糸
１２０ 基端部
１２５ 先端部
１３０ 長手方向軸線
１３５ 表面
１４０ 環状リブ
１４５ 穴、横方向穴
１５０ 自由端
１５０ａ 第１自由端
１５０ｂ 第２自由端
１５５ アイレット、予成形されたアイレット
１５５ａ アイレット
１５５ｂ アイレット
１６０ 先端側チップ
１６５ チャネル
１７０ 凹所
１７５ 凸部
２００ 窓付き縫合糸アンカー
２０５ ボディ
２１０ ソフトな縫合糸ブリッジ
２１５ 修復縫合糸
２２０ 基端部
２２５ 先端部
２３０ 長手方向軸線
２３５ 表面
２５０ａ 自由端
２５０ｂ 自由端
２４０ ウィング
２４５ａ 第１穴
２４５ｂ 第２穴
２６０ ブリッジ
２６５ カニューレ
２７０ 窓
３００ インサーターチップ
３０５ 相補的凹所
３１０ 通路
４００ カニューレ付き縫合糸アンカー
４０５ ボディ
４１０ ソフトな縫合糸ブリッジ
４１５ 修復縫合糸
４２０ 基端部
４２５ 先端部
４３０ 長手方向軸線
４４０ 環状リブ
４４５ カニューレ
４５０ａ 自由端
４５０ｂ 自由端
４６０ 結び目
５００ 縫合糸アンカー
５１０ ソフトな縫合糸ブリッジ
６００ 縫合糸アンカー
６１０ ソフトな縫合糸ブリッジ

Claims (19)

1. 軟組織修復のための縫合糸アンカーであって、
   縫合糸アンカー挿入器具に対して係合可能とされた基端部と、先端部と、前記基端部と前記先端部との間にわたって延在する長手方向軸線と、前記基端部と前記先端部との間にわたって延在する外表面と、を有したボディと；
   前記外表面から延在する複数の突起と、
   前記長手方向軸線に対して横方向に前記ボディを貫通して延在する穴と；
   第１自由端と第２自由端とを有するソフトな縫合糸ブリッジであって、前記自由端を通って修復縫合糸を供給することが可能であり、前記縫合糸ブリッジの前記自由端のそれぞれが、前記修復縫合糸がスライドすることを可能とする、前記修復縫合糸を受け入れるサイズとされた予成形されたアイレットを有し、前記ソフトな縫合糸ブリッジは、前記自由端が前記穴から基端側に突出するように前記穴を通過する、ソフトな縫合糸ブリッジと；
   を具備している、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
2. 請求項１記載の縫合糸アンカーにおいて、
   前記ボディの前記基端部が、前記縫合糸アンカー挿入器具の相補的凹所に対して係合するための凸部を有している、あるいは、前記縫合糸アンカー挿入器具の相補的凸部に対して係合するための凹所を有している、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
3. 請求項１または２記載の縫合糸アンカーにおいて、
   前記ボディの前記先端部が、骨内に形成された孔内へと挿入され得るよう構成された先端チップによって終端している、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
4. 請求項１または２記載の縫合糸アンカーにおいて、
   前記ボディの前記先端部が、骨内に孔を形成することなく骨内へと挿入され得るよう構成された先端チップによって終端している、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
5. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
   前記突起が、複数の環状リブ、あるいは、複数のウィング、あるいは、複数の環状リブと複数のウィングとの組合せ、を有している、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
6. 請求項１記載の縫合糸アンカーにおいて、
   前記予成形されたアイレットが、前記ボディの前記基端部の領域に配置されている、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
7. 請求項１記載の縫合糸アンカーにおいて、
   前記予成形されたアイレットが、前記ボディの前記基端部よりも基端側に配置されている、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
8. 請求項１〜５のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
   前記ソフトな縫合糸ブリッジが、縫合糸とされ、
   この縫合糸の自由端が、使用時には、修復縫合糸によって穿孔される、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
9. 請求項１〜８のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
   さらに、前記ボディの前記外表面に、前記穴から基端向きに延出された一対のチャネルを具備している、
   ことを特徴とする縫合糸アンカー。
10. 請求項９に記載の縫合糸アンカーにおいて、
    さらに、前記基端部のところに形成されるとともに、前記長手方向軸線に対して横方向に配向した凹所を具備し、
    この凹所の横断面積が、前記修復縫合糸の横断面積よりも大きなものとされ、これにより、前記修復縫合糸のスライドが可能とされ、
    前記一対のチャネルが、前記穴と前記凹所との間にわたって延在している、
    ことを特徴とする縫合糸アンカー。
11. 請求項１〜８のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
    前記ボディを貫通して延在している前記穴が、第１穴と、この第１穴よりも基端側に位置した第２穴と、を有し、
    前記ボディが、さらに、前記第１穴と前記第２穴との間に配置されたブリッジと、前記第２穴から前記長手方向軸線に沿って基端向きに延在するカニューレと、を有し、
    前記ソフトな縫合糸ブリッジが、前記ボディの前記基端部に向けて前記カニューレを通して前記ブリッジの周囲に延在している、
    ことを特徴とする縫合糸アンカー。
12. 請求項１〜１１のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
    前記ボディが、さらに、骨の内方成長を容易なものとし得るよう、少なくとも１つの窓を有していることを特徴とする縫合糸アンカー。
13. 請求項１〜１２のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
    さらに、前記ソフトな縫合糸ブリッジの前記自由端を通して供給された修復縫合糸を具備している、
    ことを特徴とする縫合糸アンカー。
14. 請求項１〜１３のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
    前記ボディが、１ｍｍ〜３ｍｍという直径を有している、
    ことを特徴とする縫合糸アンカー。
15. 請求項１〜１４のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
    前記ボディが、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体（ＰＬＧＡ）、β−リン酸３カルシウム（β−ＴＣＰ）、硫酸カルシウム、ポリ−Ｌ−乳酸−ヒドロキシアパタイト（ＰＬＬＡ−ＨＡ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、あるいは、これらの変異形、という組成の中から選択された材料を有している、
    ことを特徴とする縫合糸アンカー。
16. 請求項３〜１５のいずれか１項に記載の縫合糸アンカーにおいて、
    前記ボディの前記先端部が、チタン、ステンレススチール、あるいは、これらの変異形、の中から選択された金属を有したチップにおいて終端している、
    ことを特徴とする縫合糸アンカー。
17. 軟組織修復のための縫合糸アンカーシステムであって、
    縫合糸アンカー挿入器具であるとともに、
    ハンドルと、
    このハンドルから延出されたシャフトと、
    このシャフトから延出されたインサーターチップであるとともに、先端ターミナル端部のところにおいて終端したインサーターチップと、
    を備えた縫合糸アンカー挿入器具と；
    請求項１〜１６のいずれか１項に記載された縫合糸アンカーであるとともに、前記縫合糸アンカー挿入器具の前記先端ターミナル端部のところに配置された縫合糸アンカーと；
    を具備している、
    ことを特徴とするシステム。
18. 請求項１７記載のシステムにおいて、
    前記インサーターチップが、長手方向軸線と、前記長手方向軸線に沿って前記先端ターミナル端部から前記ハンドルに向けて基端向きに延出された凹所と、を有し、
    前記ボディの前記基端部が、前記縫合糸アンカー挿入器具の前記凹所に対して相補的な形状とされた凸部を有している、
    ことを特徴とするシステム。
19. 請求項１８記載のシステムにおいて、
    前記インサーターチップが、このインサーターチップを通して延在する通路であるとともに前記長手方向軸線に対して横方向に配向された通路を有し、
    この通路が、前記修復縫合糸を、前記インサーターチップの外表面および前記シャフトの外表面に沿って外面的に配置し得るよう構成されている、
    ことを特徴とするシステム。

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