ところが、上記の特許文献に開示されている冷却水供給装置には、以下の問題点が存在する。すなわち、上記の冷却水供給装置では、水タンクの側面における下側部位に形成された流出口から水ポンプによって冷却対象(溶接トーチ)に冷却水を供給すると共に、冷却対象を冷却することで温度上昇した冷却水を、水タンクの側面における上側部位に形成された流入口から水タンク内に回収して貯水する構成が採用されている。この場合、上記の冷却水供給装置では、水タンク内に冷却水と共に空気が収容されており、この空気の収容部位(水タンクにおける上側部位)に流入口が形成されている。
したがって、上記の冷却水供給装置では、冷却対象から回収した冷却水が流入口から水タンク内に流入し、この冷却水が水タンク内に貯水されている冷却水の水面に接触した際に、水タンク内に収容されている空気が気泡となって、貯水されている冷却水の中に取り込まれることがある。また、冷却対象を十分に冷却し得る十分な量の冷却水を冷却対象に供給しているとき、すなわち、多量の冷却水が流出口から流出し、かつ、多量の冷却水が流入口から水タンク内に流入して多量の気泡(空気)が水タンク内の冷却水に取り込まれる状態においては、水タンク内で冷却水に取り込まれた気泡(空気)が冷却水と共に流出口から流出して水ポンプまで到達することとなる。
この場合、この種の装置に搭載されているポンプ(液体圧送ポンプ)では、混入している気泡(空気)の量が過剰に多いときに、液体を圧送する能力が低下する。このため、上記の冷却水供給装置では、水タンク内で冷却水に取り込まれた気泡(空気)が冷却水と共に流出口から流出することに起因して、冷却対象に対して十分な量の冷却水を供給するのが困難となることがあるという問題点が存在する。
また、この種のポンプでは、異物や気泡が混入している液体を長時間に亘って圧送し続けたときに、内部機構が減耗して液体を圧送する能力が徐々に低下し、冷却対象に対して十分な量の冷却水を供給するのが困難な状態となる。したがって、上記の冷却水供給装置では、水タンク内で冷却水に取り込まれた気泡(空気)が冷却水と共に流出口から流出することに起因して、冷却対象に対して十分な量の冷却水を供給し得る状態を長期間に亘って維持するのが困難となっている。このため、冷却対象を好適に冷却し得る十分な量の冷却水を供給可能な状態を維持するために、水ポンプのメンテナンス作業(部品の交換作業や、新たな水ポンプに交換する作業)を頻繁に行う必要があり、このメンテナンス作業が煩雑となっているという問題点も存在する。
さらに、上記の冷却水供給装置では、冷却対象に供給した冷却水を水タンクに回収し、水タンク内で温度低下させた後に、冷却対象に再び供給する構成が採用されている。この場合、冷却対象(溶接トーチ等)の発熱量が多いときには、水タンクに回収される冷却水の温度が高温となる。したがって、冷却対象を十分に冷却し得る低温の冷却水を冷却対象に対して継続的に供給するには、回収した高温の冷却水が十分に温度低下する以前に冷却対象に供給されることのないように、十分な量の冷却水を水タンク内に貯水しておく必要が生じる。このため、上記の冷却水供給装置では、十分な量の冷却水を貯水可能な大型の水タンクを備えている必要があり、これに起因して、装置を小型化するのが困難となっているという問題点もある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、装置の小型化を図ると共に、冷却対象を好適に冷却し得る十分な量の冷却水を供給可能で、しかも、ポンプのメンテナンス作業を頻繁に行うことなく十分な量の冷却水を供給可能な状態を長期間に亘って維持し得る冷却水供給装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1記載の冷却液供給装置は、冷却対象に供給する冷却液を貯液可能に構成された第1容器体と、前記第1容器体から前記冷却対象に前記冷却液を圧送するポンプとを備えて構成された冷却液供給装置であって、前記冷却液を冷却可能にする冷凍サイクルの蒸発器で構成された冷却器と、前記第1容器体の上方に配置されて連結管を介して当該第1容器体に連結された第2容器体とを備え、前記第2容器体内への前記冷却液の導入および当該第2容器体内の空気の排出が可能な第1連通孔と、前記連結管が接続されると共に前記第2容器体内から当該連結管への前記冷却液の流出および当該連結管から当該第2容器体内への空気の流入が可能な第2連通孔とが当該第2容器体に形成され、前記ポンプが接続されると共に前記第1容器体内の前記冷却液の流出が可能な流出口と、前記連結管が接続されると共に当該連結管から前記第1容器体内への前記冷却液の流入および当該第1容器体内から当該連結管への空気の流出が可能な第3連通孔とが当該第1容器体に形成され、かつ前記冷却対象から回収される前記冷却液を前記第1容器体内に流入させる第1流入口と、前記冷却対象から回収される前記冷却液を前記第2容器体内に流入させる第2流入口との少なくとも一方が形成されている。
また、請求項2記載の冷却液供給装置は、請求項1記載の冷却液供給装置において、前記第3連通孔が前記第1容器体の天板に形成されている。
さらに、請求項3記載の冷却液供給装置は、請求項2記載の冷却液供給装置において、前記第3連通孔が前記天板における中央部に形成されている。
また、請求項4記載の冷却液供給装置は、請求項2または3記載の冷却液供給装置において、前記天板の内面が前記第3連通孔に近付くほど上方に位置するように当該内面を傾斜させられている。
さらに、請求項5記載の冷却液供給装置は、請求項1から4のいずれかに記載の冷却液供給装置において、前記第2容器体に前記第2流入口が形成されることなく、前記第1容器体に前記第1流入口が形成されている。
また、請求項6記載の冷却液供給装置は、請求項1から5のいずれかに記載の冷却液供給装置において、平面視において前記第2容器体の全域が前記第1容器体と重なるように平面視における当該第2容器体の大きさが平面視における当該第1容器体の大きさ以下となるように当該第1容器体および当該第2容器体が形成されている。
さらに、請求項7記載の冷却液供給装置は、請求項1から6のいずれかに記載の冷却液供給装置において、前記冷却器が前記第1容器体内に収容されて当該第1容器体内に貯液されている前記冷却液を当該冷却器によって冷却可能に構成されている。
請求項1記載の冷却水供給装置では、冷却液を冷却可能にする冷凍サイクルの蒸発器で構成された冷却器と、冷却液を貯液可能に構成された第1容器体の上方に配置されて連結管を介して第1容器体に連結された第2容器体とを備え、第2容器体内への冷却液の導入および第2容器体内の空気の排出が可能な第1連通孔と、連結管が接続されると共に第2容器体内から連結管への冷却液の流出および連結管から第2容器体内への空気の流入が可能な第2連通孔とが第2容器体に形成され、冷却対象に冷却液を圧送するポンプが接続されると共に第1容器体内の冷却液の流出が可能な流出口と、連結管が接続されると共に連結管から第1容器体内への冷却液の流入および第1容器体内から連結管への空気の流出が可能な第3連通孔とが第1容器体に形成され、かつ冷却対象から回収される冷却液を第1容器体内に流入させる第1流入口と、冷却対象から回収される冷却液を第2容器体内に流入させる第2流入口との少なくとも一方が形成されている。
したがって、請求項1記載の冷却水供給装置によれば、冷却対象から回収した高温の冷却液を冷凍サイクル(冷却器)によって十分に温度低下させることができるため、多量の冷却液を貯液しておく必要がなくなり、冷却対象を冷却するのに必要十分な量の冷却液を少容量の第1容器体によって貯液できる結果、冷却水供給装置を十分に小型化することができる。また、第1容器体と第2容器体とを連結管によって連結し、冷却水供給装置に対する冷却液の給水時に第2容器体および連結管を介して第1容器体内に冷却液を流入させる構成を採用した冷却水供給装置では、冷却液の水面が第2容器体内に位置するまで十分な量の冷却液を給水することで、第1容器体内に冷却液だけが存在する状態、すなわち、第1容器体内に空気が存在しない状態とすることができると共に、連結間の存在によって第2容器体内の空気が第1容器体内に流入し難くなるため、冷却対象に対する冷却液の供給時に、冷却液と共に空気(気泡)が第1容器体から流出してポンプに到達する事態を好適に回避することができる。これにより、この冷却水供給装置によれば、空気(気泡)の存在に起因して冷却液を圧送する能力が低下する事態を招くことなく、冷却対象を好適に冷却し得る十分な量の冷却液を供給することができると共に、空気(気泡)の存在に起因してポンプの内部機構が短期間で減耗する事態を回避することができるため、煩雑なメンテナンス作業を頻繁に行うことなく、冷却対象を好適に冷却し得る十分な量の冷却液を供給可能な状態を長期間に亘って維持することができる。また、第2容器体内に冷却液を導入するための孔、および第2容器体内の空気を排出する孔として第1連通孔を兼用させる構成を採用した分だけ冷却水供給装置を簡易に構成できる結果、冷却水供給装置の製造コストを十分に低減することができる。
請求項2記載の冷却水供給装置によれば、第3連通孔を第1容器体の天板に形成したことにより、例えば、第1容器体の側面に第3連通孔を形成した構成と比較して、第1容器体内に存在する空気を第3連通孔からスムーズに流出させることができる結果、冷却液と共に空気(気泡)が第1容器体から流出してポンプに到達する事態を一層好適に回避することができる。
請求項3記載の冷却水供給装置によれば、第3連通孔を天板における中央部に形成したことにより、例えば、天板の外縁部に第3連通孔を形成した構成と比較して、第1容器体内の各部に存在する空気を第3連通孔から一層スムーズに流出させることができる。
請求項4記載の冷却水供給装置によれば、天板の内面が第3連通孔に近付くほど上方に位置するように天板の内面を傾斜させたことにより、第1容器体内を浮上する空気(気泡)が天板の内面に接したときに、この空気が第3連通孔に向かって案内されるため、第1容器体内の空気を第3連通孔から一層スムーズに流出させることができる。
請求項5記載の冷却水供給装置によれば、第2容器体に第2流入口を形成することなく、第1容器体に第1流入口を形成したことにより、第2容器体に第2流入口を形成して冷却対象から回収した冷却液を第2容器体に流入させる構成と比較して、第2容器体内の空気が第1容器体内に流入する事態が生じ難いため、冷却液と共に空気(気泡)が第1容器体から流出してポンプに到達する事態を一層好適に回避することができる。
請求項6記載の冷却水供給装置によれば、平面視において第2容器体の全域が第1容器体と重なるように平面視における第2容器体の大きさが平面視における第1容器体の大きさ以下となるように第1容器体および第2容器体を形成したことにより、冷却水供給装置による占有面積を十分に狭くすることができるため、設置場所に余裕がない環境下においても冷却対象に対して冷却液を供給することができる。
請求項7記載の冷却水供給装置によれば、第1容器体内に貯液されている冷却液を冷却可能にする冷却器を第1容器体内に収容したことにより、冷却器によって冷却液を冷却するための容器体を第1容器体とは別個に設けた構成と比較して、第1容器体内に冷却器を収容して第1容器体内において冷却液を冷却する構成を採用した分だけ、冷却水供給装置を十分に小型化することができる。
以下、添付図面を参照して、冷却液供給装置の実施の形態について説明する。
最初に、「冷却水供給装置」の一例であるチラー1の構成について、添付図面を参照して説明する
図1に示すチラー1は、「循環式冷却水供給装置」であって、メインタンク2、クッションタンク3、冷凍サイクル4、ポンプ5、圧力計6、温度センサ7および制御部8を備え、アーク溶接機やレーザー加工機などの各種の冷却対象Xに、「冷却液」の一例である冷却水Wを供給して冷却対象Xを冷却可能に構成されている。なお、本例のチラー1では、メインタンク2が「第1容器体」に相当すると共にクッションタンク3が「第2容器体」に相当する。
メインタンク2は、図2に示すように、円筒状に形成された外筒11と、外筒11の下開口部を閉塞する底板12と、外筒11の上側開口部を閉塞する天板13とを備えて冷却水Wを貯水可能な容器状に形成されると共に、その下端部が底板12に接するようにして外筒11の内側に円筒状の内筒14が取り付けられている。また、クッションタンク3は、メインタンク2における外筒11と同径の円筒状に形成された外筒21と、外筒21の下開口部を閉塞する底板22と、外筒21の上側開口部を閉塞する天板23とを備えて容器状に形成され、メインタンク2の上方に配置されて連結管Pa(「連結管」の一例)を介してメインタンク2に連結されている。なお、メインタンク2を構成する外筒11および内筒14や、クッションタンク3を構成する外筒21の断面形状は円筒状に限定されず、各種断面形状の筒状(角筒状等)に形成することができる。
また、メインタンク2の底板12には、メインタンク2内に貯水された冷却水Wの流出が可能な流出口H1a(「流出口」の一例)が形成され、図1に示すように、この流出口H1aに供給用配管Pbを介してポンプ5が接続されている。この場合、本例のメインタンク2では、図2に示すように、流出口H1aが底板12における中央部に形成されると共に、底板12の内面(上面)が、流出口H1aに近付くほど下方に位置するように傾斜させられている。
さらに、メインタンク2の天板13には、後述するように連結管Paからメインタンク2内への冷却水Wの流入、およびメインタンク2内から連結管Paへの空気の流出が可能な連通孔H1b(「第3連通孔」の一例)が形成されている。この場合、本例のメインタンク2では、連通孔H1bが天板13における中央部に形成されると共に、天板13の内面(下面)が、連通孔H1bに近付くほど上方に位置するように傾斜させられている。さらに、メインタンク2の外筒11における下側部位には、後述するように冷却対象Xから回収される冷却水Wをメインタンク2内に流入させる流入口H1c(「第1流入口」の一例)が形成されて回収用配管Pcが接続されている。
また、クッションタンク3の天板23には、後述するようにクッションタンク3内への冷却水Wの導入、およびクッションタンク3内の空気の排出が可能な連通孔H2a(「第1連通孔」の一例)が形成されている。この場合、本例のクッションタンク3では、連通孔H2aが天板23における中央部に形成されると共に、天板23の内面(下面)が、連通孔H2aに近付くほど上方に位置するように傾斜させられている。これにより、本例のチラー1では、後述するようにメインタンク2およびクッションタンク3内に貯水される冷却水Wが連通孔H2aから不用意に流出する事態が回避されると共に、クッションタンク3内の冷却水Wをメインタンク2に向けて好適に流出(流下)させることが可能となっている。
また、本例のクッションタンク3では、連通孔H2aからの空気の排出を許容するための小孔(図示せず)が形成されたキャップ24が連通孔H2aに装着されており、これにより、連通孔H2aからクッションタンク3内への塵埃の侵入が阻止されている。さらに、クッションタンク3の底板22には、後述するようにクッションタンク3内から連結管Paへの冷却水Wの流出、および連結管Paからクッションタンク3内への空気の流入が可能な連通孔H2b(「第2連通孔」の一例)が形成されている。この場合、本例のクッションタンク3では、連通孔H2bが底板22における中央部に形成されると共に、底板22の内面(上面)が、連通孔H2bに近付くほど下方に位置するように傾斜させられている。
この場合、本例のチラー1では、前述したように、クッションタンク3の外筒21がメインタンク2の外筒11と同径の円筒状に形成されると共に(「平面視における第2容器体の大きさが平面視における第1容器体の大きさ以下となるように第2容器体および第1容器体が形成されている」との構成の一例)、クッションタンク3がメインタンク2の上方に配置されて連結管Paを介してメインタンク2に連結されている。したがって、本例のチラー1では、平面視においてクッションタンク3の全域がメインタンク2と重なっており、メインタンク2およびクッションタンク3の2つのタンクを備えているにも拘わらず、狭い場所にチラー1を設置することが可能となっている。
なお、本例のチラー1では、冷却対象Xから回収される冷却水Wをクッションタンク3内に流入させる「第2流入口」がクッションタンク3に形成されることなく、前述したように流入口H1cがメインタンク2に形成されて、流入口H1cのみから冷却水Wを回収する構成が採用されている。また、本例のチラー1では、透過性を有する材料で細管状に形成されて、メインタンク2における下側部位とクッションタンク3における上側部位とを連結する液面計(メインタンク2およびクッションタンク3内の冷却水Wにおける水面の位置を特定するための管:図示せず)が配設されている。
冷凍サイクル4は、図1に示すように、圧縮機31、凝縮器32、膨張弁33および冷却器(蒸発器:「冷凍サイクルの蒸発器で構成された冷却器」の一例)34を備え、制御部8の制御下で、冷却水Wを冷却可能に構成されている。この場合、本例のチラー1では、冷凍サイクル4の冷却器34がメインタンク2に収容されて、メインタンク2内に貯水されている冷却水Wを冷却器34によって冷却可能に構成されている。また、本例の冷凍サイクル4では、凝縮器32にファン32aが装着されており、ファン32aの回転数を変化させることによって凝縮器32における冷媒の凝縮量が調整される構成が採用されている。さらに、本例の冷凍サイクル4では、一例として、膨張弁33がキャピラリーチューブで構成されている。
また、本例のチラー1における冷却器34は、一例として、図2に示すように銅やアルミニウム等の高伝熱製材料で形成された細管を螺旋状に巻回したコイル式冷却器で構成されている。具体的には、本例の冷凍サイクル4では、メインタンク2における内筒14内の内側空間S1に設置された内側コイル部34aと、メインタンク2における外筒11と内筒14との間の隙間S2に設置された外側コイル部34bとが相互に連結されて冷却器34が構成され、後述するように膨張弁33を通過させられた冷媒が内側コイル部34aおよび外側コイル部34bをこの順で通過させられる(すなわち、メインタンク2内の内側空間S1および隙間S2をこの順で通過させられる)際に周囲の冷却水Wと熱交換させられて冷却水Wを冷却する構成が採用されている。
ポンプ5は、「ポンプ」の一例であって、制御部8の制御に従ってメインタンク2から冷却対象Xに冷却水Wを圧送する。圧力計6は、図1に示すように、供給用配管Pbにおけるポンプ5の下流側に配設されて管内圧力を表示する。温度センサ7は、回収用配管Pcにおける流入口H1cの近傍に配設されて、冷却対象Xからメインタンク2に回収される冷却水Wの温度(水温)を検出し、制御部8にセンサ信号を出力する。
制御部8は、チラー1を総括的に制御する。具体的には、制御部8は、ポンプ5を制御してメインタンク2から冷却対象Xに冷却水Wを供給させる(圧送させる)。また、制御部8は、温度センサ7からのセンサ信号に基づいて冷却対象Xから回収される冷却水Wの温度(水温)を演算すると共に、演算した温度に基づいてチラー1に加わる負荷量(冷却対象Xに供給すべき冷却水Wの水温)を特定する。さらに、制御部8は、特定した負荷量に応じて冷凍サイクル4(圧縮機31およびファン32a)を制御して、予め設定された温度まで冷却水Wを冷却させる。
次に、チラー1による冷却水Wの供給処理について、添付図面を参照して説明する。
このチラー1の使用に際しては、まず、使用場所への設置が完了しているチラー1のメインタンク2内に必要量の冷却水Wを給水して貯水させると共に、供給用配管Pbや回収用配管Pc内の空気を脱気する。この場合、本例のチラー1では、メインタンク2の天板13に形成された連通孔H1bに連結管Paを介してクッションタンク3が連結されている。したがって、メインタンク2内に冷却水Wを給水する際には、クッションタンク3の連通孔H2aからキャップ24を取り外して連通孔H2aから冷却水Wを注ぎ入れる。
この際には、連通孔H2aからクッションタンク3内に導入された冷却水Wが連通孔H2bから連結管Paに流出し、この冷却水Wが連通孔H1bからメインタンク2内に流入して貯水される。また、メインタンク2内への冷却水Wの流入に伴い、メインタンク2内に収容されている空気が連通孔H1bから連結管Paに流出し、この空気が連通孔H2bからクッションタンク3内に流入する。また、クッションタンク3内に流入した空気は、連通孔H2aからクッションタンク3の外に排出される。
したがって、冷却水Wの水面が図1,2に破線で示すようにクッションタンク3に達するまで十分な量の冷却水Wを連通孔H2aから注ぎ入れることにより、メインタンク2内には冷却水Wだけが収容された状態(メインタンク2内に空気が存在しない状態)となる。なお、メインタンク2内に冷却水Wが流入したときには、供給用配管Pb内、ポンプ5内および回収用配管Pc内の空気が、例えば流入口H1cからメインタンク2内に流入する(両管Pb,Pcおよびポンプ5が脱気される)が、流入口H1cからメインタンク2内に流入した空気は、メインタンク2内に収容されていた空気と共に連結管Paおよびクッションタンク3を介して連通孔H2aからクッションタンク3の外に排出される。これにより、冷却水Wを供給する準備が整う。
一方、冷却対象Xに対する冷却水Wの供給に際しては、制御部8が、ポンプ5を制御して冷却水Wの圧送を開始させると共に、冷凍サイクル4を制御して冷却水Wの冷却を開始させる。この際には、供給用配管Pb内の冷却水Wがポンプ5によって冷却対象Xに圧送されるのに伴い、メインタンク2内に貯水されている冷却水Wが流出口H1aから供給用配管Pb内に流出し、図2に矢印A1で示すようにポンプ5によって吸引されて冷却対象Xに圧送される。また、冷却対象Xに圧送された冷却水Wは、冷却対象Xを冷却することで温度上昇した状態で回収用配管Pcを介してチラー1に回収される。この際には、回収用配管Pcを介して矢印A2で示すように回収される冷却水Wが流入口H1cからメインタンク2内に流入させられる。
また、冷凍サイクル4では、圧縮機31において圧縮された高温高圧の冷媒が凝縮器32において冷却されて凝縮させられる。また、凝縮させられた冷媒は、膨張弁33を通過させられた後に、図2に矢印B1で示すように冷媒配管を介してメインタンク2内の冷却器34における内側コイル部34a内に吐出され、その周囲の冷却水Wと熱交換することで冷却水Wを冷却しつつ、外側コイル部34bを通過して矢印B2で示すように冷媒配管内に流入して圧縮機31に吸引される。
この場合、本例のチラー1では、前述したように、膨張弁33を通過させられた冷媒が、メインタンク2における内筒14の内側に設置されている内側コイル部34a内に吐出される構成が採用されている。したがって、本例のチラー1では、メインタンク2における内筒14内の冷却水Wが、矢印C1で示すように内筒14内を下方に向かって流動させられているとき(底板12における中央部に形成されている流出口H1aから供給用配管Pbに流出させられる以前)に、内側コイル部34a内の低温の冷媒と熱交換させられて、十分に温度低下した状態で流出口H1aから供給用配管Pbに流出して冷却対象Xに供給される。
また、本例のチラー1では、前述したように、メインタンク2における外筒11に流入口H1cが形成されると共に、冷却器34の外側コイル部34bがメインタンク2における外筒11と内筒14との間の隙間S2に設置されている。したがって、冷却対象Xを冷却することで温度上昇した冷却水Wは、流入口H1cから隙間S2内に流入して隙間S2を矢印C2で示すようにメインタンク2の上方に向かって流動させられる際に、外側コイル部34b内の低温の冷媒と熱交換させられて、十分に温度低下した状態で内筒14内に到達することとなる。
このため、上記したように内側コイル部34a内の冷媒との熱交換によって冷却されるのに先立ち、冷却対象Xから回収した冷却水Wが隙間S2において十分に温度低下した状態となる。したがって、冷凍サイクル4による冷却水Wの冷却、およびポンプ5による冷却水Wの圧送を継続して実行することにより、十分に冷却された冷却水Wによって冷却対象Xが十分に冷却される。
この場合、冷却対象Xを好適に冷却するには、冷却対象Xに対して十分な量の冷却水Wを継続的に供給する必要がある。また、冷却対象Xに対して十分な量の冷却水Wを供給している状態では、冷却対象Xからメインタンク2に回収される冷却水Wの水量も多量となる。したがって、本例のチラー1では、冷却対象Xに対する冷却水Wの供給時に、メインタンク2から冷却対象Xへの冷却水Wの供給、および冷却対象Xからメインタンク2への冷却水Wの回収によって、メインタンク2内において冷却水Wがある程度激しく移動する状態となることがある。
しかしながら、本例のチラー1では、前述したようにクッションタンク3および連結管Paを介してメインタンク2内に冷却水Wを給水し、メインタンク2内に冷却水Wだけが存在する状態(メインタンク2内に空気が存在しない状態)となっている。このため、メインタンク2内の冷却水Wと共に流出口H1aから連結管Pa(ポンプ5)に向かって空気(気泡)が流出する事態が回避される。また、メインタンク2に接続されているクッションタンク3内には空気が存在した状態となっているが、メインタンク2とクッションタンク3とが連結管Paを介して接続されている本例のチラー1では、メインタンク2内の冷却水Wの流動に伴ってクッションタンク3内の空気がメインタンク2内の冷却水Wの中に取り込まれることがないため、冷却水Wと共に流出口H1aから連結管Pa(ポンプ5)に空気(気泡)が流出する事態が確実に回避される。
さらに、供給用配管Pb、ポンプ5および回収用配管Pc内の脱気が不十分で、少量の空気が残存していたときや、各配管の接続部および冷却対象Xなどにおいて冷却水Wの流路中に少量の空気が混入したときには、冷却対象Xから回収される冷却水Wと共に流入口H1cからメインタンク2内に少量の空気が流入することがある。しかしながら、流入した空気は、メインタンク2内を上方に向かって浮上して、連通孔H1bから連結管Paに流出し、連通孔H2bからクッションタンク3内に流出した後に、連通孔H2aからクッションタンク3の外に排出される。
この場合、本例のチラー1では、前述したように、連通孔H1bがメインタンク2の天板13における中央部に形成されると共に、天板13の内面(下面)が、連通孔H1bに近付くほど上方に位置するように傾斜させられている。このため、メインタンク2内を浮上して天板13に接した空気(気泡)が連通孔H1bに向かって案内される結果、メインタンク2内の空気(気泡)を連結管Pa内にスムーズに流出させることが可能となっている。したがって、本例のチラー1では、冷却対象Xから回収される冷却水Wと共にメインタンク2内に空気が流入したとしても、この空気が、冷却対象Xに供給される冷却水Wと共に流出口H1aから流出する事態も好適に回避される。
このように、このチラー1では、冷却水Wを冷却可能にする冷凍サイクル4の蒸発器で構成された冷却器34と、冷却水Wを貯液可能に構成されたメインタンク2の上方に配置されて連結管Paを介してメインタンク2に連結されたクッションタンク3とを備え、クッションタンク3内への冷却水Wの導入およびクッションタンク3内の空気の排出が可能な連通孔H2aと、連結管Paが接続されると共にクッションタンク3内から連結管Paへの冷却水Wの流出および連結管Paからクッションタンク3内への空気の流入が可能な連通孔H2bとがクッションタンク3に形成され、冷却対象Xに冷却水Wを圧送するポンプ5が接続されると共にメインタンク2内の冷却水Wの流出が可能な流出口H1aと、連結管Paが接続されると共に連結管Paからメインタンク2内への冷却水Wの流入およびメインタンク2内から連結管Paへの空気の流出が可能な連通孔H1bとがメインタンク2に形成され、かつ冷却対象Xから回収される冷却水Wをメインタンク2内に流入させる「第1流入口」としての流入口H1cが形成されている。
したがって、このチラー1によれば、冷却対象Xから回収した高温の冷却水Wを冷凍サイクル4(冷却器34)によって十分に温度低下させることができるため、多量の冷却水Wを貯水しておく必要がなくなり、冷却対象Xを冷却するのに必要十分な量の冷却水Wを少容量のメインタンク2によって貯水できる結果、チラー1を十分に小型化することができる。また、メインタンク2とクッションタンク3とを連結管Paによって連結し、チラー1に対する冷却水Wの給水時にクッションタンク3および連結管Paを介してメインタンク2内に冷却水Wを流入させる構成を採用したチラー1では、冷却水Wの水面がクッションタンク3内に位置するまで十分な量の冷却水Wを給水することで、メインタンク2内に冷却水Wだけが存在する状態、すなわち、メインタンク2内に空気が存在しない状態とすることができると共に、連結管Paの存在によってクッションタンク3内の空気がメインタンク2内に流入し難くなるため、冷却対象Xに対する冷却水Wの供給時に、冷却水Wと共に空気(気泡)がメインタンク2から流出してポンプ5に到達する事態を好適に回避することができる。これにより、このチラー1によれば、空気(気泡)の存在に起因して冷却水Wを圧送する能力が低下する事態を招くことなく、冷却対象Xを好適に冷却し得る十分な量の冷却水Wを供給することができると共に、空気(気泡)の存在に起因してポンプ5の内部機構が短期間で減耗する事態を回避することができるため、煩雑なメンテナンス作業を頻繁に行うことなく、冷却対象Xを好適に冷却し得る十分な量の冷却水Wを供給可能な状態を長期間に亘って維持することができる。また、クッションタンク3内に冷却水Wを導入するための孔、およびクッションタンク3内の空気を排出する孔として連通孔H2aを兼用させる構成を採用した分だけチラー1を簡易に構成できる結果、チラー1の製造コストを十分に低減することができる。
また、このチラー1によれば、連通孔H1bをメインタンク2の天板13に形成したことにより、例えば、メインタンク2の側面に「第3連通孔」を形成した構成と比較して、メインタンク2内に存在する空気を連通孔H1bからスムーズに流出させることができる結果、冷却水Wと共に空気(気泡)がメインタンク2から流出してポンプ5に到達する事態を一層好適に回避することができる。
さらに、このチラー1によれば、連通孔H1bを天板13における中央部に形成したことにより、例えば、天板13の外縁部に「第3連通孔」を形成した構成と比較して、メインタンク2内の各部に存在する空気を連通孔H1bから一層スムーズに流出させることができる。
また、このチラー1によれば、天板13の内面が連通孔H1bに近付くほど上方に位置するように天板13の内面を傾斜させたことにより、メインタンク2内を浮上する空気(気泡)が天板13の内面に接したときに、この空気が連通孔H1bに向かって案内されるため、メインタンク2内の空気を連通孔H1bから一層スムーズに流出させることができる。
さらに、このチラー1によれば、クッションタンク3に「冷却対象から回収される冷却液を第2容器体内に流入させる第2流入口」を形成することなく、メインタンク2に「第1流入口」としての流入口H1cを形成したことにより、クッションタンク3に「第2流入口」を形成して冷却対象Xから回収した冷却水Wをクッションタンク3に流入させる構成と比較して、クッションタンク3内の空気がメインタンク2内に流入する事態が生じ難いため、冷却水Wと共に空気(気泡)がメインタンク2から流出してポンプ5に到達する事態を一層好適に回避することができる。
また、このチラー1によれば、平面視においてクッションタンク3の全域がメインタンク2と重なるように平面視におけるクッションタンク3の大きさが平面視におけるメインタンク2の大きさ以下(本例では、等しい大きさ)となるようにメインタンク2およびクッションタンク3を形成したことにより、チラー1による占有面積を十分に狭くすることができるため、設置場所に余裕がない環境下においても冷却対象Xに対して冷却水Wを供給することができる。
さらに、このチラー1によれば、メインタンク2内に貯液されている冷却水Wを冷却可能にする冷却器34をメインタンク2内に収容したことにより、「冷却器」によって冷却水Wを冷却するための容器体を「第1容器体」とは別個に設けた構成と比較して、メインタンク2内に冷却器34を収容してメインタンク2内において冷却水Wを冷却する構成を採用した分だけ、チラー1を十分に小型化することができる。
なお、「冷却液供給装置」の構成は、上記のチラー1の構成に限定されるものではない。例えば、「第2容器体」としてのクッションタンク3に「第2流入口」を形成することなく、「第1容器体」としてのメインタンク2に「第1流入口」としての流入口H1cを形成して冷却対象Xから回収した冷却水Wをメインタンク2に流入させる構成のチラー1を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、「第2容器体」に「第2流入口」を形成し、冷却対象から回収した冷却液を「第2容器体」内に流入させる構成を採用することができる。このような構成を採用した場合においても、「第1容器体」と「第2容器体」とを「連結管」によって連結する構成を採用している限り、「第2容器体」に流入した冷却液と共に「第2容器体」内の空気が「第1容器体」内に流入し難いため、上記のチラー1と同様にして、冷却液と共に「第1容器体」から空気が流出する事態を好適に回避することができる。
また、「第3連通孔」としての連通孔H1bをメインタンク2の天板13に形成した構成を例に挙げて説明したが、「第1容器体」の側面に「第3連通孔」を形成することもできる。この場合、「第1容器体」内の空気をスムーズに流出させるには、「第3連通孔」をできるだけ上方に形成するのが好ましい。さらに、連通孔H1bを天板13の中央部に形成した構成を例に挙げて説明したが、「第1容器体」の天板における外縁部寄りに「第3連通孔」を形成することもできる。このような構成を採用する場合においても、天板の内面を、「第3連通孔」に近付くほど上方に位置するように傾斜させることで、「第1容器体」内の空気を「第3連通孔」に案内してスムーズに流出させることができる。
また、メインタンク2およびクッションタンク3を1本の連結管Paによって連結した構成のチラー1を例に挙げて説明したが、「第1容器体」に複数の「第3連通孔」を形成し、かつ「第2容器体」に複数の「第2連通孔」を形成して複数の「連結管」によって「第1容器体」と「第2容器体」とを連結する構成を採用することもできる。さらに、平面視における大きさが等しいメインタンク2およびクッションタンク3を備えて構成したチラー1を例に挙げて説明したが、「平面視において第2容器体の全域が第1容器体と重なる」との条件を満たしる限り、平面視における「第2容器体」の大きさを平面視における「第1容器体」の大きさよりも小さくしたとしても、上記のチラー1と同様にして、チラーの占有面積を十分に狭くすることができる。
また、「第3連通孔」としての連通孔H1bを「第1容器体」としてのメインタンク2の天板13に形成した構成を例に挙げて説明したが、そのような構成に代えて、「第1容器体」の側面に「第3連通孔」を形成して「第2容器体」に「連通管」を介して連結する構成を採用することもできる。さらに、「第1連通孔」としての連通孔H2aを「第2容器体」としてのクッションタンク3の天板23に形成した構成を例に挙げて説明したが、そのような構成に代えて、「第2容器体」の側面に「第1連通孔」を形成することもできる。このような構成を採用する場合には、「第2容器体」の側面における上側部位に「第1連通孔」を形成したり、側面に形成した「第1連通孔」に一端部を接続した配管の他端部を「第2容器体」の「天板」よりも上方に位置させたりすることにより、「第2容器体」から「冷却水」が不用意に流出する事態を回避することができる。
また、「第1容器体」としてのメインタンク2内に冷却器34を収容してメインタンク2内において冷却水Wを冷却する構成のチラー1を例に挙げて説明したが、「冷却水供給装置」の構成はこれに限定されず、「第1容器体」や「第2容器体」とは別個に形成した「第3容器体」内に「冷却器」を収容し、「第3容器体」内で冷却した「冷却液」を「第1容器体」内に貯液して「第1容器体」から「冷却対象」に「冷却液」を供給する構成や、「第1容器体」から流出させた「冷却液」を「冷却対象」に供給するのに先立って「第3容器体」を通過させることによって冷却する構成を採用することもできる。これらの構成を採用した場合においても、「第1容器体」の上方に「連結管」を介して「第2容器体」を接続する上記の構成を採用することで、空気(気泡)が混入した「冷却液」が「冷却対象」に供給される事態を好適に回避することができる。加えて、「冷却液」は、「冷却水(水)」に限定されず、オイルや、不凍液等の各種の「冷却液」を供給する構成を採用することができる。