以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明に係る電子機器として、所謂、コンパクトタイプのデジタルカメラを取り上げることとする。
図1(a)は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1の正面側斜視図である。また、図1(b)は、デジタルカメラ1の背面側斜視図である。図1(a)に図示するように、デジタルカメラ1の本体1aの正面には、鏡筒ユニット2が配置されている。
なお、鏡筒ユニット2は沈胴式のズームレンズであり、デジタルカメラ1が撮影不能状態(電源オフ状態)になると、鏡筒ユニット2が沈胴し、被写体側のレンズはレンズバリア2aによって保護された状態となる。
デジタルカメラ1の本体1aの正面側から見て右上方には、内蔵式のポップアップストロボ3が設けられている。一方、デジタルカメラ1の本体1aの正面側から見て左側の上面には、レリーズボタン4が配置されている。レリーズボタン4の外周には、回転操作型のズームレバー5が設けられている。デジタルカメラ1の本体1aの正面側から見てズームレバー5の右側には、電源ボタン6が配置されている。また、電源ボタン6の両隣りには、本体1aに内蔵したマイク(不図示)に音声を取り込むマイク穴7が設けられている。
デジタルカメラ1の本体1aの正面側から見てズームレバー5の左側には、モード設定ダイヤル8が配置されている。デジタルカメラ1の本体1aの上面中央部には、外付けのストロボ発光装置や外付けの電子ファインダ等のアクセサリを装着する為のアクセサリシュー10が設けられている。なお、図1の各図には、アクセサリシュー10の内部のコネクタを保護するためのシューカバー10aが取り付けられた状態が示されている。外付けのストロボ発光装置等のアクセサリをアクセサリシュー10に装着する際には、シューカバー10aを本体1aの背面側へスライドさせて取り外した後、アクセサリのコネクタ部を背面側から正面側へスライドさせてアクセサリシュー10に装着する。
デジタルカメラ1の本体1aの下面には、電池蓋9が配置されている。デジタルカメラ1の本体1aの側面には、信号入出力端子(不図示)が設けられており、信号入出力端子はジャックカバー11によって覆われて保護されている。
図1(b)に図示するように、デジタルカメラ1の本体1aの背面には、被写体像の確認を行う表示装置としての表示ユニット20が設けられている。表示ユニット20は、表示部21を有し、本体1aに密着した収納位置と図10に示したデジタルカメラ90と同様に本体1aの正面側に表示部21が向いた状態との間で、略180°回転自在となっている。なお、表示部21には、撮影した画像の再生表示およびデジタルカメラ1の各種設定を行うためのメニュー表示を行うことができる。
図1(b)に図示するように、デジタルカメラ1の本体1aの背面には、複数の操作ボタンからなる操作ボタン群12が設けられている。
次に、デジタルカメラ1における表示ユニット20及びその周辺の構造について説明する。図2(a)は、デジタルカメラ1の背面側の分解斜視図である。表示部21は、保護窓、静電容量方式等のタッチパネル及び液晶パネルで構成されており、その外形に沿って形成されたロの字形の両面テープ23によって外装カバー22に接着される。なお、液晶パネルは有機ELパネル等の表示パネルであってもよい。外装カバー22に対する表示部21の組み付け方向とは逆の方向から外装カバー22に対して背面遮光カバー24が組み付けられる。
背面遮光カバー24には、フレキシブル配線板25(以下「フレキ板25」と記す)を通過させる開口部24aが形成されており、開口部24a以外の部位は、表示部21の4辺を覆い、表示部21に対する遮光と補強の役割を担っている。また、背面遮光カバー24には、表示部21と背面遮光カバー24とを接着する両面テープ26が複数箇所に貼り付けられている。両面テープ26は、ロの字形の両面テープ23の接着面積を広く取ることができず、また、厚さを厚くすることができない等の理由から設けられているもので、表示部21の浮き上がり防止や剥がれ防止を補助する役割を担っている。表示ユニット20は、ヒンジユニット30を介して本体1aの背面側に回転自在に軸支される。
表示ユニット20は、外装カバー22に形成された凹部に収納されて、接着固定された磁場発生手段としてのマグネット27を有する。マグネット27は、本体1a内に配置された磁気センサ(不図示)がマグネット27の位置を検出することにより、本体1aに対する表示ユニット20の状態を検出することができる。磁気センサには、例えば、巨大磁気抵抗(Giant Magnet Resistance:GMR)素子や半導体ホール素子が用いられる。本実施形態では、磁気センサにGMR素子を用い、GMR素子が検出する磁気の値に閾値を設定し、マグネット27の位置によって変化する磁気の値に応じて表示部21に表示される画像の上下を反転させる。
表示ユニット20の回転操作の詳細については後述する。図1(b)の状態にある表示ユニット20を図10(b)に示す状態となるように回転させたときの回転角度が予め定められた所定の角度を超えたことが検出される。このとき、表示部21に表示される画像(映像)の上下反転が行われる。表示ユニット20の回転角度がこの所定角度から略180°までの間にあるときには、上下反転された画像(映像)表示状態が維持され、この状態では、表示部21は、概ね、デジタルカメラ1の正面側を向く。つまり、撮影方向と表示画面の方向が同一方向になるため、撮影者が自分自身を撮影する、所謂、自分撮り撮影に適した状態が維持される。
図2(b)は、フレキ板25の概略構造を示す平面図である。フレキ板25は、表示部21の背面側に配置され、その裏面側が両面テープ(不図示)によって表示部21に貼り付けられて固定される。フレキ板25には、表示部21を駆動させる駆動回路25g及びコネクタ25a,25bが実装されている。コネクタ25a,25bには、表示部21から引き出されるフレキ板(不図示)が接続される。フレキ板25においてコネクタ25a,25bが実装されている側の反対側には、本体1aの内部に配置された主基板(不図示)と接続される接続端子部25cが形成されている。フレキ板25は、コネクタ25a,25b及び接続端子部25cを介して、本体1aの内部に配置された主基板(不図示)と表示部21との間で各種の信号の伝達を行う。
フレキ板25は、第1の折り返し部25d、第2の折り返し部25e及び第3の折り返し部25fにて、折り返された状態で表示ユニット20の内部に収容されている。
図3は、ヒンジユニット30の分解斜視図である。ヒンジユニット30は、互いに平行な2つのヒンジ回転軸を備える。本実施形態では、これら2つのヒンジ回転軸のうち、図3中で上方に配置されるヒンジ回転軸を「回転軸A」と定義し、図3中で下方に配置されるヒンジ回転軸を「回転軸B」と定義する。
図3に図示するように、スタンドプレート38,39は、本体1aの下側の左右それぞれにビスで締結され、スタンドプレート38,39の立ち壁部には、回転軸Bと同軸となるように孔部38b,39bが設けられている。本体1aと表示ユニット20とは、本体1aと一体となるスタンドプレート38,39を介してベースプレート31(第1のプレート部材)によって可動に連結される。そして、ベースプレート31に対して、アームプレート32(第2のプレート部材)が、ベースプレート31に重ね合わせられるように可動に連結される。
図3に図示するように、ベースプレート31の両端の立ち壁部にはそれぞれ、一対の側面カバー60,61が、上下2本のビス63で締結される。側面カバー60,61は、表示ユニット20を本体1aに対して動かすと外観に露出する準外観部品であり、そのため、塗装或いは表面シボ加工が施されており、また、回転軸Bのカシメ加工痕を覆い隠すように形成されている。
側面カバー60,61にはそれぞれ、カム部として傾斜部60a,61aと凹形状部60b,61bとが形成されている。傾斜部60a,61aは、本体1aに表示ユニット20を収納する際に表示ユニット20の外装カバー22のフォロワ部(不図示)に当接し、収納時に作用する押圧力によってフォロワ部が摺動する面となる。そのため、傾斜部60a,61aは、摺動面として、シボ加工等の凹凸のない鏡面仕上げとなっている。
本体1aに表示ユニット20が収納される際には、外装カバー22のフォロワ部が凹形状部60b,61bに係合することにより、表示ユニット20が本体1aに保持される。
図3に図示するように、支持ピン40が、スペーサワッシャ44、スタンドプレート38に設けられた孔部38b、ベースプレート31に設けられた回転軸孔31b1及びクリックプレート42に挿通され、カシメ固定される。同様に、支持ピン41が、スペーサワッシャ45、スタンドプレート39に設けられた孔部39b、ベースプレート31に設けられた回転軸孔31b2及びクリックプレート43に挿通され、カシメ固定される。これにより、ベースプレート31は、スタンドプレート38,39に対して、回転軸B回りに回転自在に連結される。ベースプレート31がクリックプレート42,43から回転摩擦抵抗力を受けることで、表示ユニット20は所定角度の回転位置で摩擦保持される。
図3に図示するように、支持ピン46が、カバー部材28、スペーサワッシャ51、アームプレート32に設けられた回転軸孔32a1、ベースプレート31に設けられた回転軸孔31a1及びクリックプレート48に挿通され、カシメ固定される。同様に、支持ピン47が、カバー部材29、スペーサワッシャ50、アームプレート32に設けられた回転軸孔32a2、ベースプレート31に設けられた回転軸孔31a2及びクリックプレート49に挿通され、カシメ固定される。これにより、アームプレート32は、ベースプレート31に対して回転軸A回りに回転自在に連結される。アームプレート32がクリックプレート48,49から回転摩擦抵抗力を受けることで、表示ユニット20は所定角度の回転位置で摩擦保持される。アームプレート32には、フレキカバー70が取り付けられている。フレキカバー70は、低摩擦な摺動性に優れる樹脂、例えば、ポリアセタール(POM)やポリアミド(PA)等からなる。
カバー部材28,29は、外装カバー22の切り欠き部からヒンジユニット30の一部が外観に露出しないように覆い隠す部材であるため、カバー部材28,29の外観への露出部には、外装カバー22と同じ表面処理又はシボ加工が施される。
図3に図示するように、スライドプレート33(第3のプレート部材)の両端にはそれぞれ、略コの字形のスライダ部材52が固定され、アームプレート32の両方の端面32bがそれぞれスライダ部材52に摺動するように係合される。つまり、スライドプレート33は、スライダ部材52を介してアームプレート32に対してスライド可能に保持される。スライダ部材52は、低摩擦な摺動性に優れる樹脂、例えば、ポリアセタール(POM)やポリアミド(PA)等からなる。また、アームプレート32の両方の端面32bには、摩擦を小さくする表面処理やオイル(グリス)塗布がなされており、これにより摺動性が高められている。
図3に図示するように、アームプレート32に形成された凹形状部32cには、トーションバネ34が配置されている。トーションバネ34の各端部は、アームプレート32とスライドプレート33のそれぞれにカシメ加工により設けられた係止ピン35,36に係止されている。これにより、トーションバネ34は、アームプレート32に対してスライドプレート33を常に矢印S方向に付勢する第2の付勢部材として機能する。
図3に図示するように、アームプレート32の凹形状部32cと重なる領域には、ベースプレート開口部31cとスライドプレート開口部33cとが設けられている。これにより、トーションバネ34は、ベースプレート31及びスライドプレート33と厚さ方向で重なり合うことがないため、ヒンジユニット30の薄型化を図ることができる。また、トーションバネ34が伸縮してもベースプレート31と接触することがなく、スライドプレート33とも接触しない。
図3に図示するように、スライドプレート33には、ストッパ部材37が固定されている。スライドプレート33をスライドさせると、所定量移動したときに、ストッパ部材37がアームプレート32にカシメ固定された係止ピン35と当接する。これにより、スライドプレート33のスライドが制限される。ストッパ部材37は、例えば、ポリアセタール(POM)やポリアミド(PA)等の樹脂が用いられ、これにより衝突音の軽減と、良好な耐摩耗性の確保が図られている。
図3に図示するように、アームプレート32の凹形状部32cには、アームプレート32とスライドプレート33との電気的接続を確保するためのグランドプレート55が取り付けられている。グランドプレート55は、バネ性を有する接点部55aを有する。グランドプレート55は、接点部55aがスライドプレート33のスライド範囲内で常にスライドプレート33と接触するように配置されている。図2(a)に図示した表示ユニット20は、スライドプレート33に取り付けられている。
図4(a)は、ヒンジユニット30と表示ユニット20との位置関係を示す分解斜視図である。なお、図4(a)では、表示ユニット20について、背面遮光カバー24がスライドプレート33に取り付けられた状態が示されている。
図4(a)に図示するように、背面遮光カバー24に形成された開口部24bからは、トーションバネ34が露出している。トーションバネ34は、フレキ板25とも厚さ方向で重ならない。これにより、ヒンジユニット30の薄型化が実現されると共に、トーションバネ34が伸縮したとしてもフレキ板25と接触しない。
図4(a)に図示するように、背面遮光カバー24には、付勢部材としての線バネ(バネ部材)65が配置されている。線バネ65は、フレキ板25に挟まれるように配置され、フレキ板25の第1の折り返し部25dを矢印T方向に付勢する第1の付勢部材として機能する。図4(b)は、線バネ65の構造を示す斜視図である。線バネ65は、取り付け部65bと、第1の折り返し部25dフレキ板付勢部65aと、弾性変形する弾性変形部65cとからなる。取り付け部65bは、線バネ65が背面遮光カバー24に取り付けられる部分である。フレキ板付勢部65aは、線バネ65が第1の折り返し部25dを付勢する部分である。弾性変形部65cは、取り付け部65bに対してフレキ板付勢部65aが矢印Q方向(上下方向)に移動する際に、弾性変形する部分である。なお、フレキ板付勢部65aはフレキ板25に直接接触するため、フレキ板付勢部65aには樹脂コーティングを施して、フレキ板25にダメージを与えないようにしている。樹脂コーティングに代えて、フレキ板付勢部65aに保護テープを巻き付けても、同様の効果を得ることができる。
線バネ65の取り付け部65bは、背面遮光カバー24に取り付けられた状態では矢印R方向に付勢力が作用するために、背面遮光カバー24から外れることはない。弾性変形部65cは、1カ所以上の屈曲(山折りと谷折り)が繰り返された形状となっており、両側で線対称形状をなしている。弾性変形部65cを両側で線対称形状とすることにより、フレキ板付勢部65aが、傾くことなく矢印Q方向に動くことが可能になる。弾性変形部65cの屈曲の繰り返し回数を多くすることによってフレキ板付勢部65aの移動量を増やすことができる。
図5乃至9を参照して、ヒンジユニット30による表示ユニット20のスライド動作と、表示ユニット20をスライドさせた際のフレキ板25の撓みの吸収について説明する。
図5(a)は、表示ユニット20がデジタルカメラ1の本体1aに収納された収納位置にあるときのデジタルカメラ1の背面側斜視図である。図5(b),(c)は、図5(a)中の矢視C−C断面図であり、図5(b)は表示ユニット20及びヒンジユニット30の上側部分を、図5(c)は表示ユニット20及びヒンジユニット30の下側部分をそれぞれ示している。図5(a)に図示するように表示ユニット20が本体1aに収納されているときの表示ユニット20の位置を、「第1の位置」と定義する。この状態では、外装カバー22のフォロワ部が、側面カバー60,61に形成された凹形状部60b,61bにそれぞれ係合する。
図5(b),(c)に図示するように、表示ユニット20を構成する外装カバー22の上部及び下部にはそれぞれ、突起形状部22a及び窪み形状部22bが形成されている。突起形状部22a及び窪み形状部22bはそれぞれ、表示ユニット20を回転させる際に、指掛かりとして機能する。外装カバー22において、突起形状部22aの両脇(外装カバー22の上部両端近傍)には、切り欠き部22cが設けられており、切り欠き部22cからカバー部材28,29の一部が露出している。前述した通り、カバー部材28,29の露出部には、外装カバー22と同じ表面処理又はシボ加工が施されている。
図5(c)に図示するように、フレキ板25の第1の折り返し部25dは、表示部21とアームプレート32とに挟まれて収納されている。線バネ65のフレキ板付勢部65aは、フレキ板25の第1の折り返し部25dを矢印T方向へ付勢している。そのため、図5(b)に図示するように、フレキ板25の上部の第2の折り返し部25eにて、第2の折り返し部25eが膨らむことがない。本実施形態では、表示ユニット20がどのような状態であっても、フレキ板25の撓みを防止することができるので、表示ユニット20の内部でフレキ板25が暴れ、断線することがない。
図6(a)は、デジタルカメラ1の本体1aに対して表示ユニット20を回転軸A回りに回転させるために、表示ユニット20を第1の位置(収納位置)から移動させたときのデジタルカメラ1の背面側斜視図である。図6(b),(c)は、図6(a)中の矢視D−D断面図であり、図6(b)は表示ユニット20及びヒンジユニット30の上側部分を、図6(c)は表示ユニット20及びヒンジユニット30の下側部分をそれぞれ示している。
表示ユニット20を回転軸A回りに回転させる際には、図6(a)に図示するように、外装カバー22に形成された窪み形状部22bに指を掛け、表示ユニット20の下側を撮影者側に引き出す。このとき、外装カバー22のフォロワ部と側面カバー60,61に形成される凹形状部60b,61bとの係合が外れ、ヒンジユニット30のトーションバネ34が表示ユニット20に作用する。外装カバー22のフォロワ部と凹形状部60b,61bとの係合が外れると、外装カバー22のフォロワ部が側面カバー60,61に形成される傾斜部60a,61a上をそれぞれ摺動する。このとき、スライドプレート33に固定されたストッパ部材37がアームプレート32に固定された係止ピン35に当接するまで、スライドプレート33がアームプレート32に対してスライドする。これによって、表示ユニット20は矢印P方向にスライドする。表示ユニット20は、図6(a)に図示する状態で、デジタルカメラ1の上方側の回転軸Aを中心に回転させることができる。
表示ユニット20が矢印P方向にスライドすると、図6(c)に図示するように、フレキ板25の第1の折り返し部25dは、線バネ65のフレキ板付勢部65aの付勢力に抗して矢印P方向とは逆方向となる矢印U方向に移動する。
図7(a)は、図6(a)に図示する状態から表示ユニット20をデジタルカメラ1の本体1aに対して回転軸A回りに略180°回転させた状態を示す背面側斜視図である。図7(b)は、図7(a)中の矢視E−E断面図であり、回転軸A近傍の構造を示している。
図7(a)に図示する状態では、表示ユニット20の表示部21がデジタルカメラ1の本体1aの正面側を向く。この状態は、所謂、自分撮り撮影に適した状態であり、このときの表示ユニット20の位置を「第2の位置」と定義する。なお、表示部21が本体1aの正面側を向く回転の途中で、GMR素子がマグネット27の位置を検出して画面表示の切り替えスイッチが動作し、表示部21に表示される画像(映像)の上下が反転する。
図7(b)に図示するように、この状態では、フレキ板25の第2の折り返し部25eが展開される。このとき、アームプレート32に取り付けられるフレキカバー70(図3参照)によって、展開された第2の折り返し部25eが回転軸Aの中心近傍に位置するように案内される。表示ユニット20を図7(a)に図示する状態から図6(a)に図示する状態に回転させると、フレキ板25の第2の折り返し部25eは、図7(b)に図示する状態から図6(b)に図示する状態となる。この場合にも、フレキ板25はフレキカバー70の先端に沿って折り曲げられる。そのため、フレキ板25に対して表示ユニット20の内部から引き出される方向に力が作用することなく、フレキ板25は第2の折り返し部25eにて折り曲げられる。
なお、表示ユニット20が第2の位置にあるとき、フレキカバー70は、フレキ板25が外観に露出する面積を減少させる役割を担っている。これにより撮影者が不意にフレキ板25に触れる等して信号線に断線が生じる等の不具合の発生を防止することができる。
本実施形態では、第1の位置にある表示ユニット20は回転軸Aから遠ざかる方向にスライドさせた後に、回転軸A回りに回転させている。そのため、デジタルカメラ1の本体1aの上面にアクセサリシュー10等が配置されていても、デジタルカメラ1を正面から見たときにアクセサリシュー10等によって表示部21の一部が隠れることなく、撮影者は表示部21全体を視認することができる。
表示ユニット20を図6(a)に図示する状態から図5(a)に図示する状態に回転させると、フレキ板25の第2の折り返し部25eは、図6(b)に図示する状態から図5(b)に図示する状態となる。また、フレキ板25の第1の折り返し部25dは、図6(c)に図示する状態から図5(c)に図示する状態となる。フレキ板25の第1の折り返し部25dは、線バネ65のフレキ板付勢部65aによって矢印T方向に付勢されているので、フレキ板25の第1の折り返し部25dは矢印T方向に引き込まれ、フレキ板25の撓みが解消される。これによって、フレキ板25の上側の第2の折り返し部25eは、図5(b)に図示するように、フレキカバー70の先端に沿った状態となり、第2の折り返し部25eが膨らむことがない。本実施形態では、表示ユニット20がどのような状態であっても、フレキ板25の撓みを防止することができるので、表示ユニット20の内部でフレキ板25が暴れ、断線することがない。
また、デジタルカメラ1は、表示ユニット20を回転軸B回りに回転させることができる。図8(a)は、デジタルカメラ1において表示ユニット20を回転軸B回りに回転させた状態を示す背面側斜視図である。図8(b)は、図8(a)中の矢視F−F断面図である。
表示ユニット20を構成する外装カバー22の上部に設けられた突起形状部22aに指を掛け、矢印V方向に表示ユニット20の上側を引き起こすと、ヒンジユニット30の下側に設けられた回転軸B回りに表示ユニット20を回転させることができる。
表示ユニット20を回転軸B回りに回転させたときには、フレキ板25は第3の折り返し部25fの折り返し状態が変化だけで、フレキ板25に不要な張力が掛かることはなく、撓みが生じることも殆どない。
次に、図9を参照して、表示ユニット20の変形例である表示ユニット20aについて説明する。表示ユニット20aと組み合わせられるヒンジユニット30は上述したものと同じであるため、ここでの詳細な説明を省略する。
図9(a)は、ヒンジユニット30と表示ユニット20aとの位置関係を示す分解斜視図である。図9(a)では、表示ユニット20aについては、背面遮光カバー24がヒンジユニット30に取り付けられた状態が示されており、また、表示部21の図示を省略している。
背面遮光カバー24には、表示ユニット20aをスライドさせた際に生じるフレキ板25の撓みを吸収する第1の折り返し部25dを下方向へ付勢する付勢部材の一例としての略コの字型のゴム(弾性部材)66が配置されている。図9(b)は、ゴム66の概略構造を示す斜視図である。ゴム66は、フレキ板付勢部66aと、ゴム66を背面遮光カバー24に組み込むための取り付け部66bとからなる。
フレキ板付勢部66aは、フレキ板25の第1の折り返し部25dに接触するため、角Rが設けられている。取り付け部66bは、背面遮光カバー24に圧入により取り付けられた状態で位置決めされており、容易に脱落し或いは外れることはない。前述した付勢部材の一例としての線バネ65は、第1の折り返し部25dを下方向へ押圧することによってフレキ板25が撓まないように構成した。これに対して、ゴム66は、第1の折り返し部25dを下方向(T方向)へ引っ張ることによってフレキ板25が表示ユニット20aの内部で撓まないように構成している。すなわち、ゴム66は、第1の折り返し部25dをT方向へ付勢する第1の付勢部材として機能する。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。例えば、上記実施形態では、ヒンジユニット30をコンパクトタイプのデジタルカメラ1に適用したが、これに限られるものではない。例えば、本実施形態に係るヒンジユニット30の構造は、デジタル一眼レフカメラ、デジタルビデオカメラ等の他の撮像装置や携帯情報端末等の他の電子機器に適用することができる。