JP6210376B2 - シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタ、ファクシミ、複写機などの画像形成装置に用いられるシート搬送装置、及び、そのシート搬送装置を備えた画像形成装置に関するものである。
画像形成装置に用いられるシート搬送装置において、積載された原稿や記録紙等のシートを分離して搬送する方法として、吸着ベルトに電界を形成し、これをシートに接触させて吸着し分離する静電吸着分離方式が提案されている。
特許文献1に記載の静電吸着分離方式のシート搬送装置は、二本のローラに巻き掛けられた誘電体の吸着ベルトと、この吸着ベルトに交番電荷を付与する吸着手段としての電荷付与手段と、これらを保持するホルダとで構成された吸着分離ユニットを備えている。ホルダは、前記二本のローラを回転自在に支持しており、その二本のローラよりもシート搬送方向上流側に設けられた回転軸に固定されている。また、吸着位置と搬送位置との間を吸着ベルトが往復移動するように、上記回転軸を支点にして吸着分離ユニットを揺動させる揺動手段が設けられている。前記吸着位置は、用紙トレイの底板に積載されたシート束の最上位シートを、吸着ベルトに接触させ吸着させる位置である。また、前記搬送位置は、吸着位置よりもシート束から離れ、吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送する位置である。
二本のローラのうち、シート搬送方向上流側に配置された上流側ローラは、以下のようにホルダに支持されている。すなわち、吸着分離ユニットを上記吸着位置から上記搬送位置へ移動させるとき、吸着分離ユニットが所定角度揺動するまで、シート束の上面に接触しつづけ、所定角度以上揺動するとホルダとともにシート束から離間するように、所定の範囲で移動可能にホルダに支持されている。一方、シート搬送方向下流側に配置された下流側ローラは、以下のようにホルダに支持されている。すなわち、吸着分離ユニットを上記吸着位置から上記搬送位置へ吸着分離ユニットを移動させるとき、その移動の当初から、ホルダとともにシート束から離間し始めるように、ホルダに支持されている。
給紙の前段階においては、二本のローラを介してホルダに保持された吸着ベルトは、シート束から離間した位置に位置している。シート束の最上位シートを分離して搬送するときは、まず、吸着ベルトを回転させて、吸着ベルトに交番電荷を付与する。吸着ベルトに交番電荷を付与したら、吸着ベルトの回転を停止し、揺動機構を駆動して吸着分離ユニットをシート束側へ揺動させ、吸着ベルトをシート束の最上位シートに接触させ、シート束の最上位シートを吸着ベルトに吸着させる。このとき、上流側張架ローラは、ホルダとの支持が解除され、シート束の上面に載置された状態となっている。
シート束上面に接触させた吸着ベルトの表面部分に、シート束の最上位シートが吸着ベルトに吸着したら、揺動機構を駆動して吸着分離ユニットを吸着位置から搬送位置に向けて揺動させる。吸着位置から搬送位置への揺動を開始すると、下流側ローラがホルダとともにシート束から離間する方向へ移動する。一方、上流側ローラは自重により、吸着ベルトを挟んでシート束の上面から動かない。これにより、上流側ローラよりもシート搬送方向下流側の吸着ベルトの前記表面部分がシート束上面に対して傾斜し、吸着ベルトを挟んで上流側ローラにより押えられた部分を支点にして、前記表面部分に吸着した最上位シートの部分が曲げられながら持ち上げられる。その後、上流側ローラが、ホルダに持ち上げられ、上流側ローラがホルダとともに移動し、シート束の上面から離間し、搬送位置に到達する。吸着分離ユニットが搬送位置に到達したら、吸着ベルトを回転駆動させ、吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送する。
密着力により最上位シートに密着した2番目のシートは、吸着ベルトを挟んで上流側ローラにより押えられた部分を支点にして、曲げられることで、自らのコシにより分離する。この分離するときの上流側ローラよりもシート搬送方向下流側の吸着ベルトの前記表面部分とシート束上面との傾斜角度は、シートの剛性により異なる。コシの強い剛性の高いシートは小さい傾斜角度で分離するが、コシの弱い剛性の低いシートは大きな傾斜角度でないと分離しない。そして、このコシの弱い剛性の低いシートを分離する大きな傾斜角度をコシの強い剛性の高いシートでも採用すると、最上位シートまでもが自らのコシにより吸着ベルトから剥がれてしまう。
このため、特許文献1に記載のシート搬送装置においては、シートの剛性に応じて、上流ローラがシート束から離間するときの吸着ベルトのシート束上面に対する傾斜角度を異ならせている。具体的には、シートの剛性に応じて、上流ローラのホルダに対する移動範囲を変更する手段を有しており、搬送するシートの剛性が高くなるに従って、ホルダに対する上流ローラの移動範囲を狭くしている。従って、搬送するシートの剛性が高くなるほど、小さい傾斜角度で、上流ローラがホルダにより持ち上げられる。これにより、剛性の高いシートにおいて、最上位シートが吸着ベルトから剥がれてしまうのを抑制することができる。
このように、特許文献1に記載のシート搬送装置は、上流ローラがシート束から離間するときの吸着ベルトの傾斜角度をシートの剛性に応じて変更することで、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができる。
しかしながら、上記特許文献1に記載のシート搬送装置において、薄紙などの剛性の低いシートにおいて、2番目のシートが最上位シートから分離しない場合があるという課題があった。本出願人は、上記課題について、鋭意研究した結果、以下のことがわかった。すなわち、シートの分離性は、傾斜角度よりも、シート曲げ部分の曲率が大きく影響していることがわかったのである。具体的には、シートの剛性が低くなるほど、シートの曲げ部分の曲率を大きくして、きつく曲げることで、最上位シートから2番目のシートを分離させることができるのである。これに対し、上記特許文献1のシート搬送装置は、剛性の低いシートのときも、シートは、上流ローラの曲率により曲げられる。このため、薄紙などの剛性の低いシートにおいて、2番目のシートが最上位シートから分離しない場合があることが判明したのである。シートの曲げ部分の曲率を大きくするために、上流ローラの直径を小さくすることが考えられる。しかしながら、この場合、厚紙などの剛性の高いシートにおいても、シートがきつく曲げられてしまい、最上位シートまでもが自らのコシにより吸着ベルトから剥がれてしまうおそれがあった。
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、剛性の低いシートでも、良好な分離性を得ることができるシート搬送装置および画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、積載されたシート束の上面に対向配置された回転可能な無端状の吸着ベルトと、前記シート束の最上位シートを前記吸着ベルトに吸着させる吸着手段とを備えたシート搬送装置において、前記吸着ベルトに押し当てて、最上位シートが吸着する吸着領域を屈曲させて、最上位シート以外のシートを、前記吸着ベルトから分離させる分離手段を備え、前記分離手段の吸着ベルトとの接触面の曲率を、変更可能に構成したことを特徴とするものである。
本発明によれば、剛性の低いシートでも、良好な分離性を得ることができる。
本実施形態に係る複写機を示す模式図。 給紙部の概略構成を示す斜視図。 給紙部を示す模式図。 吸着分離ユニットの要部構成を示す図。 ハウジングの分解図。 吸着ベルトを回転駆動する駆動機構の概略構成図。 吸着分離ユニットの要部構成を示す斜視図。 吸着分離ユニットの変形例を示す斜視図。 シート搬送装置を用いたシート搬送動作について説明する図。 吸着分離ユニットの重心と、揺動機構の噛み合い位置との関係を説明する図。 ベルト幅方向一端側にのみ、ラックアンドピニオン機構を設けた構成について説明する図。 ピニオンギヤをブラケットに設け、ラックギヤを装置本体に設けた構成について説明する図。 図12に示す構成のシート搬送装置の駆動機構と揺動機構の概略構成図。 揺動機構の変形例を示す図。 同変形例の揺動機構を備えたシート搬送装置を示す概略構成図。 揺動機構の別の変形例を給紙部とともに示す図。 図16の斜視図。 上流側張架ローラと下流側張架ローラとを、各ブラケットにシート束上面に対して垂直方向に移動可能に保持するよう構成した例を示す図。 図18に示すシート搬送装置のシート搬送動作について説明する図。 図18に示すシート搬送装置の第1変形例を示す図。 図18に示すシート搬送装置の第2変形例を示す図。 図18に示すシート搬送装置の第3変形例を示す図。 図18に示すシート搬送装置の第4変形例を示す図。 本実施形態のシート搬送装置の特徴点を示す模式図。 同シート搬送装置における上流側帳架ローラの長穴内の移動停止位置の一例を示す図。 (a)は吸着分離ユニットが吸着位置に位置する状態を示す模式図であり、(b)吸着分離ユニットのシート搬送方向と直交するシート幅方向の一端側を上方から見た場合の模式図。 押し当て部材の斜視図。 ブラケットの位置に圧縮スプリングを設けた場合の吸着分離ユニットを上方から見た図。 ブラケットよりもシート幅方向内側で吸着ベルトの内部に圧縮スプリングを設けた場合の吸着分離ユニットを上方から見た図。 押し当て部材の断面図。 厚紙のときの分離動作について説明する図。 薄紙のときの分離動作について説明する図。 押し当て部材の変形例を示す図。 吸着分離ユニットの揺動範囲を変更する構成の変形例を示す図。 吸着分離ユニットの揺動範囲を変更する構成の他の変形例を示す図。 変形例1のシート搬送装置の奥側を示す平面図 変形例1のシート搬送装置の手前側を示す平面図。 図36のA−A断面図。 図36のB−B断面図。 変形例1における吸着ベルトの揺動角度と、押し付け部材の回動範囲との変更について説明する図。 変形例1における厚紙のときの分離動作について説明する図。 変形例1の分離動作における各部材の移動について説明する図。 駆動モータによりローラ保持部材および押し付け保持部材を、回転駆動させる構成を示す概略構成図。 (a)は、図42に示す構成において、吸着ベルトを駆動させる様子を示す図であり、(b)は、図42に示す構成において、ローラ保持部材および押し付け保持部材を駆動させる様子を示す図。 吸着ベルトを吸着位置から搬送位置へ移動させるときの各部材の移動について説明する図。 変形例2のシート搬送装置の概略構成図。 図46のC−C断面図。 変形例3のシート搬送装置の概略構成図。 図48のC−C断面図。
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機に適用した一実施形態について説明する。なお、本発明は、本実施形態の画像形成装置に限らず、例えばインクジェット方式の画像形成装置などにも適用することができることは言うまでもない。
図1は、本実施形態に係る複写機100を示す模式図である。
この複写機100は、自動原稿搬送装置59や、原稿読取部58や画像形成部50や給紙部52などを備えている。自動原稿搬送装置59は、原稿トレイ59aに載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して原稿読取部58上のコンタクトガラスに自動給紙するものである。原稿読取部58は、自動原稿搬送装置59によってコンタクトガラス上に搬送された原稿を読み取るものである。画像形成部50は、給紙部52から給紙された記録材であるシートに対して、原稿読取部58によって読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段である。給紙部52は、複数枚のシートが積層されたシート束1を収容していて、このシート束1からその最上位に位置する最上位シート1aを画像形成部50に給紙する。
画像形成部50は、潜像担持体として感光体61のまわりに、帯電装置62、現像装置64、転写装置54、感光体クリーニング装置65等を備えている。また、画像形成部50は、感光体61にレーザー光63を照射するための光書込ユニット(不図示)、シート上のトナー画像を定着する定着装置55等を備えている。
上記構成の画像形成部50では、感光体61の回転とともに、まず帯電装置62で感光体61の表面を一様に帯電する。次いで、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ等から入力される画像データや、原稿読取部58によって読み取った原稿の画像データに基づく光書込ユニット(不図示)からのレーザー光63を照射して感光体61上に静電潜像を形成する。その後、現像装置64によりトナーを付着させ静電潜像を可視像化することで感光体61上にトナー画像を形成する。
一方、給紙部52は、シートを1枚づつ分離して搬送して、レジストローラ53に突き当てて止める。そして、画像形成部50のトナー画像形成のタイミングに合わせて、レジストローラ53に突き当てて止めたシートを、感光体61と転写装置54とが対向する転写部に送り出す。転写部では、感光体61上のトナー画像が供給されたシートに転写される。トナー画像が転写されたシートは、定着装置55によりトナー画像を定着後、排紙ローラ対56により排紙トレイ57へ排出される。一方、トナー画像転写後の感光体61の表面は、感光体クリーニング装置65で残留トナーを除去して清掃して再度の画像形成に備える。
図2は、給紙部52の概略構成を示す斜視図であり、図3は、給紙部52を示す模式図であり、図4は、吸着分離ユニット110の要部構成を示す図である。
給紙部52は、複数枚のシートを積載して収容するシート材収容部としての給紙カセット11と、給紙カセット11上の複数枚のシートからなるシート束1から最上位に位置する最上位シート1aを分離して搬送するシート搬送装置200とを含んで構成されている。
図3に示すように、給紙カセット11には、積層された複数枚のシート束1を積載する底板7を有している。給紙カセット11の底部と底板7との間には、底板7を支持する支持部材8が回動自在に取り付けられている。また、図2に示すように、給紙部52には、シート束1の最上位シート1aが、所定の位置に到達したことを検知するシート検知手段140が設けられている。
シート検知手段140は、装置本体に設けられた軸142に回転自在に支持されたフィラー144と、透過型光学センサ143とで構成されている。支持部材8を不図示の駆動モータにより回動させ、底板7を上昇させると、底板7に積載されたシート束1が上昇し、最上位シート1aがフィラー144と当接する。このとき、透過型光学センサ143の受光部143aは、発光部143bからの光を受光している。さらに、底板7を上昇させると、フィラー144が、発光部143bの光を遮り、受光部143aが光を受光しなくなる。これにより、シート束1の最上位シート1aが、所定の位置に到達したことが検知され、支持部材8の回転を停止する。
シート搬送装置200は、吸着分離ユニット110、この吸着分離ユニット110を揺動させる揺動手段たる揺動機構120、及び、吸着ベルト2を無端移動させる駆動機構130などを備えている。吸着分離ユニット110は、図4に示すように、下流側張架ローラ5と上流側張架ローラ6とに張架される吸着ベルト2を備えている。
吸着ベルト2は、10[Ω・cm]以上の抵抗を有する50[μm]程度の厚さのポリエチレンテレフタレートからなる表層と、アルミ蒸着により形成された10[Ω・cm]以下の抵抗を有する導電層とを有する2層構造となっている。
吸着ベルト2を上記のような2層構造とすることで、導電層を接地された対向電極として使用することができ、吸着ベルト2に電荷を与える帯電手段としての帯電部材3を、吸着ベルト2の表層に接した位置であればどこでも設けることができる。また、吸着ベルト2の幅方向両側端縁の内側には、寄止め用のリブ23が設けられており、下流側張架ローラ5や上流側張架ローラ6の両側端面とリブ23とが係合し、吸着ベルト2の寄りを防止している。
下流側張架ローラ5は、抵抗値が10[Ω・cm]の導電性ゴム層が表面に設けられ、上流側張架ローラ6は金属ローラである。下流側張架ローラ5及び上流側張架ローラ6は、ともに接地されている。
下流側張架ローラ5は、吸着ベルト2からシートを曲率により分離するのに適した小径にされている。すなわち、下流側張架ローラ5の径を小さく設定して曲率を大きくすることにより、吸着ベルト2に吸着されて搬送されたシートが、下流側張架ローラ5から離れて搬送方向下流側のガイド部材10により形成される搬送路Hに入ることができるようになっている。
また、図4に示すように、下流側張架ローラ5の軸5aは、ハウジング20に回転自在に支持されている。上流側張架ローラ6の軸6aは、ハウジング20のハウジング本体部20aに対してシート搬送方向に摺動可能に保持された軸受22に回転支持されている。軸受22は、スプリング21によりシート搬送方向上流側へ付勢されている。これにより、上流側張架ローラ6が、シート搬送方向上流側に付勢され、吸着ベルト2に張力を付与している。
図5は、ハウジング20の分解図である。ハウジング20に設けられた下流側張架ローラ5の軸5aを軸支する軸孔を有する2つの軸孔部20bのうち一方は、ハウジング20のハウジング本体部20aとは別体で設けられている。この別体の軸孔部20bは、固定用ビス20cによって、その一方の軸孔部20bをハウジング本体部に取り付けている。
下流側張架ローラ5の軸5aにハウジング20を組み付け時には、ハウジング本体部に対して一方の軸孔部20bを取り外し、他方の軸孔部20bに下流側張架ローラ5の軸5aを軸支させる。その後、取り外している一方の軸孔部20bに下流側張架ローラ5の軸5aを軸支させつつ、前記一方の軸孔部20bをハウジング本体部20aに固定用ビス20cで取り付け固定する。
図2、図3に示すように、吸着分離ユニット110は、吸着ベルト2を揺動自在に保持するためのブラケット12がベルト幅方向両端に設けられている。各ブラケット12は、上流側張架ローラ6よりもシート搬送方向上流側に設けられた支持軸14に回転自在に支持されている。これにより、吸着分離ユニット110は、後述する揺動機構120により、吸着位置と搬送位置との間を、支持軸14を支点にして揺動することができる。
なお、吸着位置とはシート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させる位置であり、搬送位置とは吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送する位置である。
各ブラケット12には、長穴12aが設けられており、この長穴12aに上流側張架ローラ6の軸6aが貫通している。これにより、上流側張架ローラ6は、ブラケット12に対して移動可能に保持される。一方、下流側張架ローラ5の軸5aは、ブラケット12に設けられた不図示の孔に貫通し、下流側張架ローラ5は、ブラケット12に対して移動不能に保持される。図3に示すように、吸着分離ユニット110が搬送位置にあるとき、上流側張架ローラ6の軸6aは、長穴12aの下端面41aに突き当たっている。
ブラケット12に設けられた長穴12aは、上流側張架ローラ6の軸6aが長穴12a内を移動しても、上流側張架ローラ6の回転中心と下流側張架ローラ5の回転中心との距離が変化しないように、下流側張架ローラ5の回転中心を中心とする円弧形状となっている。その結果、上流側張架ローラ6が、長穴12a内を移動しても、吸着ベルト2の張力が変化することがない。
通常、吸着ベルト2の張力は、5[N]以下でも下流側張架ローラ5及び上流側張架ローラ6と吸着ベルト2との間でスリップすることなく、吸着ベルト2を回転駆動して、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送することが可能である。
一方で、密着力の高いシートなど、特殊な条件のシートを搬送する場合には、下流側張架ローラ5及び上流側張架ローラ6と吸着ベルト2との間にてスリップが起こることが考えられる。そのため、上流側張架ローラ6の表面や下流側張架ローラ5の表面の吸着ベルト2に対する摩擦係数を高くして、スリップを生じにくくしておくことが好ましい。
図6は、吸着ベルト2を回転駆動する駆動機構130の概略構成図である。
各ブラケット12を回転自在に支持する支持軸14の一端には、従動第1プーリ26aと、駆動第2プーリ26bとが固定されている。下流側張架ローラ5の一端には従動第2プーリ25が固定されており、従動第1プーリ26aと従動第2プーリ25とには、従動タイミングベルト28が巻き掛けられている。
また、支持軸14よりもシート搬送方向上流側には、駆動モータ24が設けられており、駆動モータ24のモータ軸24aには、駆動第1プーリ27が固定されている。駆動第1プーリ27と駆動第2プーリ26bとには、駆動タイミングベルト29が巻き掛けられている。
駆動モータ24が駆動すると、駆動タイミングベルト29及び従動タイミングベルト28を介して下流側張架ローラ5が回転駆動する。これにより、吸着ベルト2が回転駆動し、上流側張架ローラ6が、吸着ベルト2の内周面の摩擦により従動回転する。
また、本実施形態においては、ブラケット12を支持する支持軸14を中継して、下流側張架ローラ5に駆動モータ24の駆動力が伝達されるようになっている。このように構成することにより、後述するように、吸着分離ユニット110は、支持軸14を支点にして揺動するため、吸着分離ユニット110が揺動しても、下流側張架ローラ5と支持軸14との距離が変動しない。よって、従動タイミングベルト28の張りは維持されて良好に下流側張架ローラ5に駆動力を伝達することができる。
なお、駆動モータ24から上流側張架ローラ6に駆動力が伝達されるように駆動機構130を構成し、吸着ベルト2を回転させる駆動ローラとして上流側張架ローラ6を用いても良い。
また、図2、図3に示すように、給紙部52のシート搬送方向下流側には、ブラケット12を揺動させる揺動手段としての揺動機構120が設けられている。揺動機構120は、各ブラケット12のシート搬送方向下流側端部に形成された第1駆動伝達部としてのラックギヤ部13と、回転軸16に固定され、ラックギヤ部13にそれぞれ噛み合う第2駆動伝達部材たるピニオンギヤ15とを有している。また、揺動機構120は、揺動モータ30を備えている。回転軸16の一端には、揺動モータ30のモータ軸30aに固定されたモータギヤ31と噛み合う従動ギヤ32が設けられている。
また、各ブラケット12に対応させて設けられた各ピニオンギヤ15を、同一の軸部材である回転軸16に固定することにより、揺動モータ30で回転軸16を回転させることで、各ピニオンギヤ15を回転させることができる。これにより、一つの揺動モータ30で、ベルト幅方向両端に設けられた2つのピニオンギヤ15を回転駆動することができ、部品点数を削減することができ、装置を安価にすることができる。また、簡単な構成で、ベルト幅方向両端に設けられたラックアンドピニオンの駆動を同期することができる。
ラックギヤ部13は、支持軸14を中心としたR形状となっている。ブラケット12に形成されたラックギヤ部13は、吸着分離ユニット110の揺動時、支持軸14を中心にして揺動する。よって、ラックギヤ部13を、支持軸14を中心としたR形状とすることにより、吸着分離ユニット110の揺動時もラックギヤ部13とピニオンギヤ15との噛み合いを維持することができる。また、ブラケット12のシート搬送方向下流側端部にラックギヤ部を形成することにより、ブラケット12と別体のラックギヤをブラケット12に取り付ける場合に比べて、部品点数を削減でき、構成を簡素化することができる。また、揺動機構120のラックアンドピニオンのうち、装置側にピニオンを設けることにより、ピニオンへ駆動を伝達するための構成を、ピニオンを吸着分離ユニット110に設けた場合に比べて、簡単にすることができる。
このような構成の揺動機構120では、揺動モータ30を駆動することにより、各ピニオンギヤ15が回転し、ラックギヤ部13が、シート束1に対して接離する方向へ移動する。これにより、各ブラケット12が、支持軸14を支点にして揺動する。
また、各ブラケット12は、補強部材70により連結固定されている。各ブラケット12を、補強部材70により連結固定することにより、一方のブラケット12と他方のブラケット12とを一体的に揺動させることができる。これにより、ブラケット揺動時に各ブラケット12に保持された吸着ベルト2が、捩れてしまうのを抑えて、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが、吸着ベルト2から分離するのを抑制することができる。
図7に示すように、吸着ベルト2の表面には、吸着ベルト2の表面を帯電させる帯電手段としてのローラ状の帯電部材3が当接している。帯電部材3は吸着分離ユニット110に回転可能に設けられており、吸着ベルト2に対する位置は一意的に決定している。また、帯電部材3は、交流を発生する帯電電源4に接続されている。
なお、本実施形態では、帯電手段としてローラ状の帯電部材3を用いているが、図8に示すようなブレード状の電極部材103を用いてもよい。電極部材103をブレード状にすることで、ローラ状の帯電部材3に比べ、ピッチ幅の小さい電荷パターンを形成することが可能となる。これにより、積載されたシート束の最上位シート1aに対する吸着力増加が早く、また、2枚目以降のシートに作用する吸着力の減少が早くなる。そのため、分離動作に要する時間の短縮が図れる点で有利である。また、交番した帯電間隔を小ピッチ化しやすく、吸着ベルト2に微小な波うちなどがあっても、安定した帯電を行えなうことができる。
次に、本実施形態のシート搬送装置200を用いた基本的なシート搬送動作について、図9を用いて説明する。
図9(a)に示すように、通常、底板7は下降位置にあり、吸着分離ユニット110は吸着位置にある。まず、給紙信号が入ると、揺動モータ30(図2参照)を駆動して、ピニオンギヤ15を図中時計回りに回転駆動させ、支持軸14を支点して図中反時計回り(シート束1から離れる方向)に吸着分離ユニット110を揺動させる。そして、吸着分離ユニット110が搬送位置まで揺動したら、揺動モータ30の駆動を停止する。
図9(b)に示すように、吸着分離ユニット110が搬送位置で停止したら、駆動モータ24(図2参照)を駆動させて、吸着ベルト2を無端移動させる。次に、無端移動する吸着ベルト2に帯電部材3を介して帯電電源4により交番電圧を印加する。そして、吸着ベルト2の表面に交流電源周波数と吸着ベルト2の周動速度に応じたピッチ(ピッチは5[mm]〜15[mm]程度とするのがよい)で交番する電荷パターンを形成する。帯電電源4は交流の他、直流を高低交互の電位に変化させたものでもよく、矩形波、正弦波などが考えられる。本実施形態では、吸着ベルト2の表面に対して4[kV]の振幅を持った矩形波を印加している。
吸着ベルト2への帯電が完了したら、図9(c)に示すように、吸着ベルト2の回転を停止するとともに、下降位置で待機していた底板7の上昇を開始する。また、これと前後して、揺動モータ30を逆回転させ、ピニオンギヤ15を図中反時計回りに回転させて、支持軸14を支点にして図中時計回り(シート束1に近接する方向)に吸着分離ユニット110を揺動させる。
底板7が上昇し、吸着分離ユニット110が下降していくと、シート束1の最上位シート1aが、吸着ベルト2を介して上流側張架ローラ6に当接する。さらに、底板7を上昇させ、吸着分離ユニット110を下降させていくと、上流側張架ローラ6が、シート束1により押し上げられ、長穴12aの下端面41aに突き当たっていた上流側張架ローラ6は、長穴12aに案内されながら、上方へ移動していく。また、底板7の上昇に伴い、フィラー144が図中反時計回りに回転する。シート束1の最上位シート1aが所定の位置にくると、このフィラー144が、透過型光学センサ143の発光部143bの光を遮る。これにより、透過型光学センサ143がシート束1の最上位シート1aが所定の位置に到達したことを検知し、底板7の上昇を停止する。
また、吸着分離ユニット110が、吸着位置に到達したら、揺動モータ30の回転を停止する。揺動モータ30がステッピングモータの場合は、回転角度(パルス数)に基づいて揺動モータ30を制御することにより、吸着分離ユニット110を吸着位置に精度よく停止することができる。揺動モータ30がDCモータの場合は、駆動時間に基づいて揺動モータ30を制御することにより、吸着分離ユニット110を吸着位置に精度よく停止することができる。
図9(d)に示すように、底板7の上昇が停止し、吸着分離ユニット110の下降(揺動)が停止すると、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域が、シート束1の最上位シート1aと当接する。吸着ベルト2が最上位シート1aと当接すると、誘電体であるシートには吸着ベルト2の表面の電荷パターンにより形成される不平等電界により、Maxwellの応力が働き、シート束1の最上位シート1aが吸着ベルト2に吸着する。
図9(d)に示す状態にて所定時間待機し、吸着ベルト2に最上位シート1aが吸着したら、揺動モータ30を駆動して、ピニオンギヤ15を時計回りに回転駆動させ、吸着分離ユニット110を、支持軸14を支点にして図中反時計回りに揺動させる。すると、下流側張架ローラ5は、ブラケット12とともにシート束1から離間する方向へ移動する。
一方、上流側張架ローラ6は、自重により、シート束1の上面から動かず、ブラケット12に対して相対的にシート束方向へ移動する。これにより、シート束上面に接触させた吸着ベルト2の表面部分がシート束上面に対して傾斜するように、その表面部分がシート束上面から離間する。これにより、シートが曲げられて、吸着ベルト2の表面部分に吸着している最上位シート1aの部分が、吸着ベルト2の揺動動作に伴ってシート束上面からめくられる。この際、吸着ベルト2に吸着したシートに復元力が働き、最上位シート1aのみを吸着ベルト2に吸着させ、二番目のシート1bをシートの復元力により分離させることができる。
吸着分離ユニット110が、支持軸14を支点にしてさらに図中反時計回りに回動すると、上流側張架ローラ6の軸6aが、長穴12aの下端面41aに突き当たる。このように、上流側張架ローラ6が、長穴12aの下端面41aに突き当たった状態から、さらに吸着分離ユニット110を回動させると、上流側張架ローラ6もブラケット12とともに移動し、上流側張架ローラ6が、シート束1の上面から離間する。
図9(e)に示すように、吸着分離ユニット110がシートを搬送する搬送位置に到達すると、揺動モータ30の駆動を停止する。そして、駆動モータ24を駆動して、吸着ベルト2を無端移動させて、吸着ベルト2に吸着している最上位シート1aを、搬送ローラ対9へ向けて搬送する。吸着ベルト2に静電吸着した最上位シート1aの先端が、吸着ベルト2の下流側張架ローラ5の巻き回し部分に到達すると、曲率分離により吸着ベルト2から分離し、ガイド部材10に案内されながら、搬送ローラ対9へ向けて移動する(図9(e)参照)。
搬送ローラ対9と吸着ベルト2との線速は同一にされており、搬送ローラ対9がタイミングを取って間欠駆動されているような場合は、吸着ベルト2も間欠駆動されるように駆動モータ24を制御する。また、駆動機構130に電磁クラッチを設け、電磁クラッチを制御することにより、吸着ベルト2の駆動を制御してもよい。
また、吸着ベルト2の帯電は、吸着ベルト2のシートの分離位置から、搬送ローラ対9の長さ分だけ行うようにして、それ以降は、帯電部材3で吸着ベルト2を除電するようにしてもよい。これによりシートは、搬送ローラ対9へ搬送された後は吸着ベルト2の影響を受けずに、搬送ローラ対9の搬送力のみによって搬送される。また、吸着ベルト2を除電することによって、2番目のシート1bが、離間した吸着ベルト2に静電吸着するのを抑制することができる。
また、本実施形態においては、ブラケット12に長穴12aを設けて、この長穴12aに上流側張架ローラ6の軸6aを保持しているが、以下の構成であればよい。すなわち、上流側張架ローラ6が、ブラケット12に対して、下流側張架ローラ5を中心にして揺動可能に保持されている構成であること。また、吸着分離ユニット110が給送位置にあるとき、吸着ベルト2のシート束の上面に対する傾斜角度が、所定の角度となるよう、上流側張架ローラ6を支持する構成であること。この2つの構成を備えていればよい。
電荷パターンによる用紙吸着力は最上位シート1aにのみ作用し、二番目のシート1b以下の紙には作用しない。本給紙方式ではピックアップ手段と用紙との間の摩擦力を利用しないので、吸着ベルト2とシート束1との接触圧は充分小さくすることができるので、摩擦による重送を起こさない。
吸着ベルト2は、最上位シート1aの後端が上流側張架ローラ6の対向位置に達する前に、シート束1より離間され二番目のシート1bが吸着ベルト2に吸着されないようにしている。
また、本実施形態においては、ピニオンギヤ15とラックギヤ部13とのギヤの噛み合いにより、吸着分離ユニット110を揺動させる。よって、吸着位置から給送位置への揺動および給送位置から吸着位置の揺動いずれも、揺動モータ30の駆動力により行うことができる。これにより、吸着分離ユニット110の自由落下の速度よりも早く、吸着分離ユニットを、吸着位置まで下降させることができる。よって、1枚目のシート搬送後、すばやく、次のシートの吸着動作を開始することができ、シート間隔を短くすることができる。これにより、生産性を高めることができる。
また、本実施形態においては、揺動機構120を、吸着分離ユニット110の揺動の支点である支持軸14から離れたシート搬送方向下流側に設けている。よって、吸着分離ユニット110のシート搬送方向下流側を、ピニオンギヤ15とラックギヤ部13との噛み合いにより支持することができる。その結果、吸着分離ユニット110が、支持軸14と、揺動機構120とにより両持ち支持され、吸着分離ユニット110を片持ち支持する場合に比べて、吸着分離ユニット110の振動を抑制することができる。これにより、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが、吸着分離ユニット110の振動により、吸着ベルト2から分離してしまうのを抑制することができる。また、吸着分離ユニット110の揺動の支点である支持軸14から最も離れたシート搬送方向下流側端部で、吸着分離ユニット110に駆動力を伝達して、吸着分離ユニット110を揺動させている。このように、駆動力を伝達する箇所を、支持軸14から離すことで、てこの原理により支持軸側(吸着分離ユニット110のシート搬送方向上流側)で駆動力を伝達する場合に比べて、小さい負荷で、吸着分離ユニット110の揺動を行うことができる。これにより、揺動モータ30の大型化を回避することができ、装置の大型化を抑制することができる。また、ピニオンギヤ15とラックギヤ部13との噛み合い部の磨耗を抑制することができる。
また、吸着分離ユニット110のシート搬送方向下流端部にピニオンギヤ15とラックギヤ部13を設けることで、以下の利点も得ることができる。すなわち、図10に示すように、吸着分離ユニット110の重心Pよりも、ピニオンギヤ15とラックギヤ部13との噛み合い位置Kをシート搬送方向下流側に設けることができるという利点である。噛み合い位置Kが、吸着分離ユニット110の重心Pよりもシート搬送方向上流側にあると、支持軸14と揺動機構の噛み合いにより支持されていない自由端側(噛み合い位置よりもシート搬送方向下流側)に吸着分離ユニット110の重心Pが位置してしまう。その結果、吸着分離ユニット110を揺動させたとき、吸着分離ユニット自身のイナーシャの影響などにより、吸着分離ユニット110の自由端(シート搬送方向下流側端部)が、噛み合い位置Kから重心位置Pの距離に応じて弾性振動してしまう。また、重心位置Pが自由端側にあるため、吸着分離ユニット110が弾性振動した際の振幅も大きくなり、振動の収束も遅くなってしまう。
しかし、本実施形態のように、噛み合い位置Kを吸着分離ユニット110の重心Pよりもシート搬送方向下流側に設けることにより、吸着分離ユニット110の弾性振動を、両端支持の弾性振動にでき、振動の振幅を小さく、かつ収束を早くすることができる。
また、ピニオンギヤ15のラックギヤ部13との噛み合いにより吸着分離ユニット110の位置が保持されるので、揺動モータ30を精度よく制御することにより、吸着分離ユニットの位置を精度よく制御することができる。これにより、吸着分離ユニット110を給送位置に精度よく位置させることができる。特に、本実施形態においては、揺動機構120をシート搬送方向下流側に設けて、揺動の支点である支持軸14から離れた位置に設けている。よって、支持軸14側(シート搬送方向上流側)に設けた場合に比べて、1ピッチあたりの吸着分離ユニット110の移動量を少なくすることができる。これにより、より高精度な吸着分離ユニット110の位置制御を行うことができる。その結果、吸着分離ユニット110を狙いの給送位置に精度よく位置させることができ、搬送ローラ対9のニップにスムーズに最上位シート1aを搬送することができる。これにより、最上位シート1aの先端が、搬送ローラ対9に突き当って、そのときの振動などにより吸着ベルトから分離してしまうのを防止することができる。
また、ラックギヤ部13と、ピニオンギヤ15とをベルト幅方向両端に設けることにより、吸着分離ユニット110のベルと幅方向両端が、ラックギヤ部13とピニオンギヤ15との噛み合いにより支持される。これにより、吸着分離ユニット110の捩れを抑制することができる。また、図11に示すように、ベルト幅方向一端側にのみ、ラックアンドピニオン機構を設けた構成であってもよい。
なお、吸着分離ユニット110を揺動させる揺動機構としては、図12や図13に示すような構成を採用してもよい。図13は、吸着ベルト2などは、図示を省略している。
図12、図13に示す揺動機構120は、ラックアンドピニオンのうち、ピニオンギヤ145を、ブラケット12に設け、ラックギヤ146を装置本体に設けている。図13に示すように、ピニオンギヤ145は、下流側張架ローラ5の軸5aに回転自在に支持されている。ピニオンギヤ145には、プーリ部145aが設けられており、このプーリ部145aと、支持軸14に設けられた従動プーリ47とに第1タイミングベルト48が巻きつけられている。また、この従動プーリ47と、揺動モータ30のモータ軸に設けられた駆動プーリ310とに第2タイミングベルト49が巻きつけられている。これにより、揺動モータ30の駆動力が支持軸14を中継して、ピニオンギヤ145に伝達することができる。よって、上述した駆動機構130と同様、吸着分離ユニット110の揺動によって、第1タイミングベルト48が弛むことなくなり、ピニオンギヤ145に揺動モータ30の駆動力を良好に伝達することができる。
ピニオンギヤ145を吸着分離ユニット110に設ける構成は、吸着分離ユニットの揺動量が多い場合に有利な構成である。これは、ラックギヤは、吸着分離ユニットの揺動量に応じて大きくする必要があるが、ピニオンギヤは、吸着分離ユニットの揺動量に関係なく一定の大きさにすることができる。よって、吸着分離ユニットの大型化を回避することができ、吸着分離ユニットの重量増加による揺動時の負荷の増大を抑制することができる。よって、揺動量が多い場合には、図12、図13に示す揺動機構を採用することで、吸着分離ユニット110の揺動スピードを高速化することができ、生産性を高めることができる。
また、揺動機構120を、図14、図15に示すような構成としてもよい。すなわち、吸着分離ユニット110が給送位置にあるとき、シート搬送方向における吸着分離ユニット110の重心の位置Pと、揺動機構120のラックギヤ部13とピニオンギヤ15との噛み合い位置Kとを同じ位置となる構成である。この構成にするため、図15に示すように、ブラケット12のシート搬送方向下流端部に段差部を設け、この段差部にラックギヤ部13を形成している。
吸着分離ユニット110が給送位置で停止したとき、吸着分離ユニット110のイナーシャにより弾性振動する。特に、生産性を高めるために、吸着分離ユニット110を高速で揺動させた場合、吸着分離ユニット110のイナーシャの影響が大きくなり、弾性振動が大きくなりやすい。吸着分離ユニット110が給送位置で弾性振動すると、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが、吸着ベルト2から分離するおそれがある。
一方、この図14、図15に示す構成では、吸着分離ユニット110が給送位置にあるとき、吸着分離ユニット110の重心の位置Pと、揺動機構120のラックギヤ部13とピニオンギヤ15との噛み合い位置Kとを同じ位置にしている。従って、吸着分離ユニット110が給送位置で停止したときの弾性振動を最も効果的に抑制することができ、最上位シート1aが吸着ベルト2から分離するのを抑制することができる。
さらには、図16や図17に示すような構成を採用してもよい。
図16、図17において、吸着分離ユニット110を揺動させる揺動機構は、ブラケット112、回転ギヤ113、回動軸114、回転ギヤ115及び回転モータ117などを有している。
下流側張架ローラ5と上流側張架ローラ6とのローラ軸と平行で、且つ、繰り出し方向とは反対側の位置に回動軸114を設ける。そして、下流側張架ローラ5と上流側張架ローラ6との両端部を回転可能に支持するブラケット112により、吸着分離ユニット110を上下に揺動させる。回動軸114の軸方向一端側には、回転モータ117のモータ軸116に設けられた回転ギヤ115と噛み合う、回転ギヤ113が設けられている。そして、回転モータ117の回転駆動方向に応じてブラケット112を上下方向に回動させる。
なお、揺動機構120は、上記構成に限らず、ブラケット12の下流側端部に係合するワイヤーと、このワイヤーを巻き上げる巻上げ装置とで揺動機構120を構成してもよい。
また、図18に示すように、上流側張架ローラ6と下流側張架ローラ5とを、各ブラケット12にシート束上面に対して垂直方向に移動可能に保持するよう構成してもよい。具体的には、図18に示すように、各ブラケット12に上流側長穴12aと、下流側長穴45とを設ける。上流側長穴12aに上流側張架ローラ6の軸6aを貫通させ、下流側長穴45に下流側張架ローラ5の軸5aを貫通させる。また、下流側張架ローラ5は、バネ46によりシート束側へ付勢する。図18に示すように、吸着分離ユニット110が給送位置にあるとき、上流側張架ローラ6の軸6aは、上流側長穴12aの下端41に突き当っており、下流側張架ローラ5の軸5aは、下流側長穴45の下端に突き当っている。また、上流側張架ローラ6が突き当る上流側長穴12aの下端41は、下流側張架ローラ5が突き当る下流側長穴45の下端よりもシート束1側に設けられている。
図19は、図18に示すシート搬送装置200のシート搬送動作について説明する図である。
図19(a)に示すように、通常、底板7は下降位置にあり、吸着分離ユニット110は、吸着位置にあり、給紙信号が入ると、揺動モータ30を駆動して、ピニオンギヤ15を図中時計回りに回転駆動させ、吸着分離ユニット110が、給送位置まで揺動させる。
次に、図19(b)に示すように、駆動モータ24を駆動させて、吸着ベルト2を無端移動させて、吸着ベルト2を帯電させる。帯電が完了したら、図19(c)に示すように、吸着ベルト2の回転を停止するとともに、下降位置で待機していた底板7の上昇を開始する。また、これと前後して、揺動モータ30を逆回転させ、ピニオンギヤ15を図中反時計回りに回転させて、吸着分離ユニット110を、支持軸14を支点にして図中時計回り(シート束に近接する方向)へ揺動させる。底板7が上昇し、吸着分離ユニット110が下降していくと、シート束1の最上位シート1aが、吸着ベルト2を介して上流側張架ローラ6に当接する。さらに、底板7を上昇させ、吸着分離ユニット110を下降させていくと、上流側張架ローラ6が、シート束1により押し上げられ、上流側長穴12aの下端41に突き当っていた上流側張架ローラ6は、上流側長穴12aに案内されながら、上方へ移動していく。また、底板7の上昇に伴い、フィラー144が図中反時計回りに回転する。そして、シート束1の最上位シート1aが所定の位置にくると、このフィラー144が、透過型光学センサ143の発光部143bの光を遮り、シート検知手段140がシート束1の最上位シート1aが所定の位置にきたことを検知し、底板7の上昇を停止する。
また、吸着分離ユニット110を、さらに図中時計回り(シート束に近接する方向)へ揺動させると、下流側張架ローラ5が吸着ベルト2を介してシート束1の最上位シート1aと当接する。この状態から、吸着分離ユニット110を、さらに図中時計回り(シート束に近接する方向)へ揺動させると、図19(d)に示すように、下流側張架ローラ5が、バネ46の付勢力に抗してシート束1により押し上げられる。その結果、下流側長穴45の下端に突き当っていた下流側張架ローラ5は、下流側長穴45に案内されながら、上方へ移動する。そして、揺動モータ30の回転を停止し、吸着分離ユニット110の揺動が停止する。
図19(d)に示すように、吸着分離ユニット110の下降(揺動)が停止すると、上流側張架ローラ6、下流側張架ローラ5いずれも、長穴12a,45の下端から離間する。これにより、各張架ローラ5、6の支持が解除され、各張架ローラ5、6は、シート束に載るような状態となり、吸着分離ユニットに支持されていた吸着ベルト2は、シート束1に支持される形となる。これにより、シート束1の最上位シート1aの高さ方向(図中上下方向)の位置が多少ずれていたり、シート束1が、傾いていたりしても、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域を、確実にシート束1の最上位シート1aと当接させることができる。吸着ベルト2が最上位シート1aと当接すると、上述と同様、誘電体であるシートには吸着ベルト2の表面の電荷パターンにより形成される不平等電界により、Maxwellの応力が働き、シート束1の最上位シート1aが吸着ベルト2に吸着する。
上述と同様、図19(d)に示す状態にて所定時間待機し、吸着ベルト2に最上位シート1aが吸着させる。吸着ベルト2に最上位シート1aが吸着したら、揺動モータ30を駆動して、ピニオンギヤ15を時計回りに回転駆動させ、吸着分離ユニット110を、支持軸14を支点にして図中反時計回りに揺動させる。すると、シート束に載っていた下流側張架ローラ5は、下流側長穴45の下端に突き当って、ブラケット12に支持され、ブラケット12とともにシート束1から離間する方向へ移動する。上流側長穴12aの下端41は、下流側長穴45よりもシート束側にあるので、このとき、上流側張架ローラ6は、自重によりシート束1の上面から動かず、ブラケット12に対して相対的にシート束1方向へ移動する。これにより、シートが曲げられて、吸着ベルト2の表面部分に吸着している最上位シート1aの部分が、吸着ベルト2の揺動動作に伴ってシート束上面からめくられ、二番目のシート1bをシートの復元力により分離させる。
吸着分離ユニット110が、支持軸14を支点にしてさらに図中反時計回りに回動すると、上流側張架ローラ6が、長穴12aの下端41に突き当たる。このように、上流側張架ローラ6が、長穴12aの下端41に突き当たった状態から、さらに吸着分離ユニット110を回動させると、上流側張架ローラ6もブラケット12に支持される。そして、ブラケット12とともに移動し、上流側張架ローラ6が、シート束1の上面から離間する。図19(e)に示すように、吸着分離ユニット110がシートを搬送する給送位置に到達すると、揺動モータ30の駆動を停止する。そして、駆動モータ24を駆動して、吸着ベルト2を無端移動させて、吸着ベルト2に吸着している最上位シート1aを、搬送ローラ対9へ向けて搬送する。吸着ベルト2に静電吸着した最上位シート1aの先端が、吸着ベルト2の下流側張架ローラ5の巻き回し部分に到達すると、曲率分離により吸着ベルト2から分離し、ガイド部材10に案内されながら、搬送ローラ対9へ向けて移動する(図19(e)参照)。
図18に示すシート搬送装置においては、吸着ベルト2がシート束の上面に支持された状態で、シート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着することができる。これにより、シート束1の最上位シート1aの高さ方向(図中上下方向)の位置が多少ずれていたり、シート束1が、傾いていたりしても、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域を、シート束1の最上位シート1aと確実に当接させることができる。従って、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域を、シート束1の最上位シート1aと確実に当接させた状態で、最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させることができる。その結果、確実に最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させることができる。さらに、下流側張架ローラ5を、バネ46によりシート束1側に付勢しているので、下流側張架ローラ5を所定の圧力でシート束1の最上位シート1aに当接させることができる。よって、さらに確実に最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させることができる。
また、通常、吸着ベルト2が、シート束1の最上位シート1aと当接する位置から、吸着分離ユニット110を所定量、図中時計回り(シート束側)へ揺動させるだけで、吸着ベルト2を、シート束1の最上位シート1aと確実に当接させることができる。これにより、吸着ベルト2がシート束1の最上位シート1aに当接したことを検知する手段を設けて、その検知手段の検知結果に基づいて、吸着分離ユニットの揺動を制御する必要がない。従って、簡単な制御で吸着ベルト2のシート束1と対向する領域をシート束1の最上位シート1aに当接させることができる。よって、シート搬送装置200の部品点数を削減することができ、シート搬送装置200のコストダウンを図ることができ、かつ、揺動の制御を簡素化することができる。
また、上述では、ブラケット12に下流側長穴45を設けて、下流側長穴45に下流側張架ローラ5の軸5aを保持しているが、以下の構成であればよい。すなわち、シート束1の上面から離間しているとき、下流側張架ローラ5の軸5aが支持され、かつ、下流側張架ローラ5が、ブラケット12に対して、シート束の上面の垂直方向に移動可能な構成である。
また、図18に示す構成では、下流側張架ローラ5を、バネ46によりシート束1側へ付勢しているが、図20に示すように、バネ46は無くてもよい。図20に示すように、バネ46を無くした構成でも、吸着分離ユニット110が、吸着位置にあるとき、吸着ベルト2は、シート束1に支持され、吸着ベルト2のシート束1と対向する領域を確実にシート束1の最上位シートに当接させることができる。
また、図21に示すように、下流側長穴45を、吸着分離ユニット110の揺動の支点である支持軸14を中心とした円弧形状にしてもよい。このように、下流側長穴45を円弧形状にすることにより、以下の利点を得ることができる。すなわち、下流側張架ローラ5がシート束に当接して、ブラケット12に対して相対的にシート束から離間する方向へ移動するとき、下流側長穴45に軸5aが引っ掛かることない。従って、下流側長穴45に軸5aが、下流側長穴45をスムーズに移動させることができるという利点である。また、下流側張架ローラ5がシート束1の最上位シート1aに当接した状態からブラケット12を、図中時計回りに揺動させても、軸5aが、長穴の短手方向側の面に押されて、下流側張架ローラ5のシート搬送方向の位置が変化することがない。これにより、下流側張架ローラの軸5aと、支持軸14との位置関係を一定に維持することができ、従動タイミングベルト28が撓んだり、伸びたりすることがない。
また、図22に示すように、下流側長穴45の上端が、下端に対してシート搬送方向上流側となるよう、下流側長穴45を傾かせてもよい。これにより、下流側張架ローラの軸5aと下流側長穴45の下端との接触点が、下流側張架ローラ5の中心よりも下流側となる。下流側張架ローラの軸5aは、下流側長穴の下端に向けて付勢されているので、吸着分離ユニット110が、給送位置から吸着位置へ揺動するとき、下流側張架ローラ5が、バネによりシート搬送方向下流側に向けて付勢される。吸着分離ユニットの揺動により、下流側張架ローラ5には遠心力が加わり、下流側張架ローラ5をシート搬送方向下流側へ移動しようとする。しかし、バネにより下流側張架ローラ5は、下流側張架ローラ5の中心よりもシート搬送方向下流側の下流側長穴の下端に既に突き当てられているので、移動することがない。その結果、シート束に当接して、下流側張架ローラ5のブラケット12への支持が解除されて、下流側張架ローラに加わっていた遠心力が無くなっても、下流側張架ローラ5が、シート搬送方向上流側へ移動することがない。これにより、下流側張架ローラ5に振動が生じるのを抑制することができる。
また、図23に示すように、吸着分離ユニット110を吸着位置で停止したとき、下流側長穴45が、シート束に対して垂直方向に延びるように構成してもよい。このように構成することにより、下流側張架ローラ5が、バネ46によりシート束1の上面に対して、垂直方向に真直ぐ付勢される。よって、バネ46で良好に吸着ベルト2をシート束側へ付勢することができ、最上位シート1aを良好に吸着ベルト2に吸着させることができる。
上述のシート搬送装置200においては、上流側張架ローラ6が長穴12aの下端41aに当接することで、吸着ベルト2がシート束1から離間する構成である。このため、上流側張架ローラ6がシート束1から離間するときの傾斜角度(吸着ベルト2のシート束の最上位シート1aと接触する面と、シート束の最上位シート1aとの角度)が一定である。その結果、様々な紙種や環境条件に対応できないという課題があった。そこで、本実施形態のシート搬送装置200は、シートの種類や環境によって、傾斜角度を変更できるように構成した。
図24は、本実施形態のシート搬送装置200の特徴点を示す模式図である。
図24に示すシート搬送装置200においては、揺動機構120は、ブラケット12の下流側端部に係合するワイヤー121と、このワイヤー121を巻き上げる巻上げ装置122とで構成されている。
図24に示すように、シート搬送装置200には、上流側張架ローラ6の長穴12a内での移動範囲を変更することで、吸着ベルトユニット110の揺動範囲を変更する変更手段たる揺動範囲変更機構80が設けられている。揺動範囲変更機構80は、ラック83とピニオンギヤ84を有している。ラック83は、長穴12aを貫通する上流側張架ローラ6の軸6a端部に不図示の軸受を介して固定されている。具体的には、軸受の外径をD形状にし、ラック83にD形状の穴を設け、軸受にこのラック83のD形状の穴に嵌合させるとともに、ラック83を軸受にネジ止めする。このラック83と噛み合う、ピニオンギヤ84は、ブラケット12に回転自在に固定されている。ピニオンギヤ84と同軸上には不図示の第1プーリが設けられている。支持軸14には、第2プーリ86と不図示の第3プーリとが回転自在に取り付けられている。不図示の第1プーリと第2プーリ86とには、従動タイミングベルト87が巻きまわされており、不図示の第3プーリと変更駆動手段88の駆動軸88aとには、駆動タイミングベルト81が巻きまわされている。変更駆動手段以外の揺動範囲変更機構80を構成する部品(ラック83、ピニオンギヤ84、各プーリ、各タイミングベルト)は、吸着分離ユニット110のブラケット12の外側に配置され、軸方向両側に対称に配置し、両側で動作させることがより望ましい。
吸着分離ユニット110の揺動の支点である支持軸14に駆動伝達部材である第2プーリ86と不図示の第3プーリとを設け、これらのプーリを介して、変更駆動手段88の駆動力が、ピニオンギヤ84に伝達されるようにしている。このように、構成することで、吸着分離ユニット110が揺動しても、ピニオンギヤ84と同軸上の不図示の第1プリーリと支持軸14と同軸上の第2プーリ86との距離が変動することがない。これにより、不図示の第1プーリと第2プーリ86とに、巻き回された従動タイミングベルト87が引っ張られたり、撓んだりすることがない。また、同様に支持軸14と同軸上に設けられた不図示の第3プーリと駆動軸88aとに巻き回された駆動タイミングベルト81も、吸着分離ユニット110が揺動しても引っ張られたり、たわんだりすることがない。これにより、吸着分離ユニット110が揺動しても、良好に、ピニオンギヤ84に変更駆動手段88の駆動力を伝達することができる。
変更駆動手段88には、制御手段たる制御部91が接続されている。また、制御部91には、操作入力部92や湿度検出手段としての温湿度計93が接続されている。温湿度計93は、給紙カセット11内に内蔵されており、制御部91は、温湿度計93の検知結果に基づいて、変更駆動手段88を制御している。湿度の検知は、複写機に設けられた湿度検知手段を用いてもよい。また、制御部91は、操作入力部92からユーザーが入力操作または選択操作を行うことにより、給紙カセット11に積載されているシートの材質や厚みなどのシート情報を取得する。すなわち、操作入力部92が、シート情報検知手段として機能している。一例を挙げると、シートの剛性・剛度の情報として、クラーク法(cm/100、JIS P 8143)などで測定された値を操作入力部に入力させたり、シートの剛性・剛度の情報として、シートの坪量を操作入力部に入力させたりする。一般に、坪量が大きい厚紙であればシートの剛性が高く、坪量が小さい薄紙であればシートの剛性が低いため、坪量に基づいて、給紙カセット11にセットされたシートの剛性を把握することができる。また、このようなシート情報は、シート束を梱包する包装紙(パッケージ)に貼付されているラベルなどから得ることができる。例えば、給紙カセット11にシート束がセットされたとき、操作入力部92の表示部にラベルに記載された商品番号を入力するよう指示する画面を表示し、ユーザーに商品番号を入力させる。制御部91には、商品番号とシートの剛性(クラーク法で測定された値や坪量)や電気抵抗値とが関連付けられたテーブルが記憶されている。ユーザーが入力した商品番号と、テーブルに基づいて、給紙カセット11にセットされたシートの情報(シートの剛性や電気抵抗値)を得ることができる。そして、取得したシート情報(シートの剛性や電気抵抗など)に基づいて、変更駆動手段88を制御する。また、検知したシート情報や温湿度計93の検知結果に基づいて、吸着ベルト2の帯電ピッチや帯電電圧、吸着時間(吸着ベルトがシート束に接触している時間)などを制御してもよい。これにより、分離・搬送するシートや環境条件に適した吸着を行うことができる。例えば、電気抵抗が高いシートの場合は、必要とする吸着力を得るのに時間がかかるので、給紙カセット11にこのような電気抵抗が高いシートが収容されている場合は、吸着時間を長くする。
変更駆動手段88を駆動することにより、ピニオンギヤ84が回転しラック83が移動する。これにより、上流側張架ローラ6の軸6aが長穴12a内を移動する。制御部91は、温湿度計93の検知結果やシート情報に基づいて、変更駆動手段88の駆動時間を特定し、特定した駆動時間、変更駆動手段88が駆動したら、変更駆動手段88を停止する。すると、上流側張架ローラ6の軸6aが長穴12a内の所定の位置で停止する。このように、ピニオンギヤ84、ラック83、変更駆動手段88により、上流側張架ローラ6の長穴12a内での移動範囲を任意に設定することができる。
変更駆動手段88は、揺動機構120の駆動に同期させる。これにより、吸着分離ユニット110が揺動する際、上流側張架ローラ6が変更駆動手段の駆動力により、ブラケット12に対して相対的にシート束方向へ移動する。これにより、上述同様、吸着ベルト2は、上流側張架ローラ6を支点にして揺動させることができ、吸着ベルト2に吸着したシートを、上流側張架ローラ6を支点にして曲げることができる。よって、上述と同様に、吸着ベルト2に吸着したシートに復元力を働かせ、2番目のシート1bをシートの復元力により分離させることができる。
そして、変更駆動手段88の駆動時間が紙種情報や環境情報に基づき決定された駆動時間に到達したら、変更駆動手段88の駆動を停止する。例えば、給紙カセット11に収容されているシートが厚紙など剛性のあるシートの場合や、高湿環境下など、吸着ベルト2の傾斜角度が大きいと最上位シート1aが吸着ベルト2から分離するおそれがある。この場合、上流側張架ローラ6の軸6aが長穴12aの下端41aに突き当たる前に変更駆動手段88の駆動が停止する。一方、揺動機構120は、変更駆動手段88の駆動が停止しても、駆動し続け、吸着分離ユニット110を揺動させる。その結果、図25に示すように、上流側張架ローラ6が長穴12aの下端41aに到達せずに、上流側張架ローラ6がシート束1の上面から離間する。これにより、上流側張架ローラ6が長穴12aの下端41aに突き当ってから、上流側張架ローラ6がシート束1の上面から離間する場合に比べて、吸着ベルト2の揺動範囲が短くなる。従って、上流側張架ローラ6がシート束1の上面から離間したときにおける傾斜角度を小さくすることができる。その結果、剛性のあるシートを分離・搬送する場合や、高湿環境下でも、最上位シート1aが吸着ベルト2から分離することなく、搬送することができ、搬送不良を抑制することができる。
また、シートの電気抵抗が低い場合など、吸着ベルト2に対する吸着力が小さいシートが収容されている場合も、上流側張架ローラ6が長穴12aの下端に到達する前に、変更駆動手段88の駆動を停止する。これにより、上流側張架ローラ6がシート束1から離間するときの傾斜角度が小さくなり、吸着力が小さくても、シートの復元力がシートの吸着力よりも大きくなるのを抑制することができる。従って、最上位シートが吸着ベルトから分離するのを抑制することができる。
一方、給紙カセット11に収容されているシートが薄紙などの剛性が弱いシートの場合や、低湿環境の場合など、傾斜角度が小さいと2番目のシート1bが吸着ベルト2から分離しないおそれがある。従って、この場合は、変更駆動手段88の駆動時間を長くして、上流側張架ローラ6の軸6aが長穴12aの下端41aに突き当るまで、駆動する。これにより、吸着ベルト2の揺動範囲が長くなり、傾斜角度を大きくすることができる。よって、剛性が弱いシートを分離・搬送する場合や、低湿環境下でも、2番目のシートを吸着ベルト2から分離させることができる。これにより、複数枚のシートが搬送される重送が生じるのを抑制することができる。
本実施形態においては、上述したように、紙厚などの条件に応じて、吸着分離ユニット110の揺動範囲を異ならせて吸着分離ユニット110の給送位置を異ならせている。具体的には、厚紙などの剛性の高いシートにおいては、吸着ベルト2の揺動範囲を狭くしてシートを軽く曲げ、薄紙などの剛性の低いシートは、揺動範囲を広げて、シートを大きく曲げている。しかし、剛性の低いシートにおいて、シートを大きく曲げても、2番目のシートが最上位シート1aから分離しない場合があった。このことについて、本出願人が鋭意研究した結果、シートが曲がる部分の曲率が、分離性に大きく影響することが判明した。また、シートの先端に近ければ、近いほど、シートが剥がれ易いことも判明した。そこで、本実施形態においては、下記に示すように押し当て部材を設けて、この押し当て部材でシートの剛性に応じた最適な曲率で吸着ベルト2を屈曲させるようにした。以下に、図面を用いて具体的に説明する。
図26(a)は吸着分離ユニット110が吸着位置に位置する状態を示す模式図である。図26(b)は吸着分離ユニット110のシート搬送方向と直交するシート幅方向の一端側を上方から見た場合の模式図である。
図26に示すようにシート搬送装置200には、吸着ベルト2の内側に配置され、吸着ベルト2をシート束1に向かって押す押し当て部材35が設けられている。
図27は、押し当て部材35の斜視図である。
図27に示すように押し当て部材35は、吸着ベルト2に接触させる板状の押し当て部材本体部35aと、押し当て部材本体部35aのシート幅方向両端部に設けられ、ブラケット12の長穴12bで保持される2つの保持部35bを有している。この2つの保持部35bそれぞれの上面には、押し当て部材35を弾性的に付勢する弾性部材である圧縮スプリング36が設置される、凸形状の圧縮スプリング設置部35cが設けられている。また、押し当て部材本体部35aのシート搬送方向下流側には、下流側張架ローラ5の軸5aが挿入される軸孔が開けられた2つの軸孔部35dが設けられている。
軸孔部35dのうち一方は、押し当て部材本体部35aとは別体で設けられており、固定用ビス35eによって、その一方の軸孔部35dを押し当て部材本体部35aに取り付けている。下流側張架ローラ5の軸5aに押し当て部材35を組み付け時には、押し当て部材本体部35aに対して一方の軸孔部35dを取り外し、他方の軸孔部35dに下流側張架ローラ5の軸5aを軸支させる。その後、取り外した一方の軸孔部35dに下流側張架ローラ5の軸5aを軸支させつつ、押し当て部材本体部35aに前記一方の軸孔部35dを固定用ビス35eで取り付け固定する。
圧縮スプリング36の一端は押し当て部材35の凸形状をなす圧縮スプリング設置部35cに嵌り込んで接続され、圧縮スプリング36の他端は吸着分離ユニット110のブラケット12に設けられた長穴12b内の上端面に接続されている。そして、図28に示すように、吸着分離ユニット110のシート幅方向両端部、言い換えれば、ブラケット12の位置に設けられた圧縮スプリング36により押し当て部材35を押す構成となっている。
また、図26(b)に示すように、押し当て部材35は、上流側張架ローラ6の軸6aに軸孔部35dを介して回転可能に設けられている。シート吸着時、押し当て部材35は、押し当て部材自身の自重と圧縮スプリング36の付勢力とにより、吸着ベルト2の内側から外側に向かって吸着ベルト2を押圧し、吸着ベルト2を最上位シート1aの上面に押しつける。これにより、吸着ベルト2や最上位シート1aのうねりなどによる隙間が、吸着ベルト2と最上位シート1aとの間に生じるのを抑えて、吸着ベルト2と最上位シート1aとの接触性を確保することができる。
押し当て部材35のシート幅方向における長さは、シート幅以上であることが好ましい。そのため、本実施形態では、シート幅方向における押し当て部材35の幅は、シート搬送装置200が対応する最大シート幅よりも大きくしている。シート幅方向における押し当て部材35の幅を、シート搬送装置200が対応する最大シート幅よりも大きくすることで、シート搬送装置対応の全サイズのシートに対して、押し当て部材35の効果を発揮することができる。
また、シート搬送方向における押し当て部材35の吸着ベルト2を押す押し幅をできるだけ広くとるのが好ましい。具体的には、シート搬送方向における押し当て部材35の押し幅を、下流側張架ローラ5と上流側張架ローラ6とによる吸着ベルト2の張架領域の7割から8割程度にするのが良い。本実施形態では、押し当て部材35を板状にしている。これにより、押し当て部材としてローラ部材を用いた場合よりも、押し当て部材35による吸着ベルト2を押す面積を、容易に、上記張架領域の7割から8割程度にすることができる。
図29は、各ブラケット12よりもシート幅方向内側で、吸着ベルト2の内側に位置するハウジング20の部分に圧縮スプリング36を設けて、圧縮スプリング36により押し当て部材35を押す構成となっている。
圧縮スプリング36の設置位置は、図28などに示したように、吸着分離ユニット110のブラケット12などに設ける構成が最も組立てや交換には向いている。しかしながら、この場合、圧縮スプリングは、シート幅方向両端部よりも外側に設けられた構成となる。シート幅が297[mm]ある、A4ヨコシートやA3タテシートのようなカット紙を吸着しようとする場合、前記カット紙のシート幅方向両端部あるいはその付近を押し可能なように圧縮スプリング36を設けたほうが良い。このため、図29に示すように、吸着ベルト2の内側に位置するハウジング20の部分に圧縮スプリング36を設ける。これにより、吸着分離ユニット110のシート幅方向両端部のブラケット12に圧縮スプリング36を設けて押すよりも、吸着性確保の効果が高くなる。
図30は、押し当て部材35の断面図である。
図30に示すように、押し当て部材の先端部は、曲率が互いに異なる2つの曲率部351a,351bが設けられている。上流側張架ローラ6に配置された第1曲率部351aの曲率半径をR1、第1曲率部351aのシート搬送方向下流側に隣接する第2曲率部351bの曲率半径をR2としたとき、R2<R1となっている。すなわち、先端側の曲率部ほど、その曲率が大きくなっているのである。第1曲率部351aの曲率は、厚紙などの剛性が高いシートにおいて、吸着ベルト2に吸着した最上位シートを曲げた際に、最上位シートが吸着ベルトからはがれないような曲率に設定されている。一方、第2曲率部351bの曲率は、薄紙などの剛性の低いシートを曲げた際に、2番目のシートが最上位シートから剥がれるような曲率に設定されている。
図45は、吸着ベルト2を吸着位置から搬送位置へ移動させるときの各部材の移動について説明する図である。なお、図45では、便宜上、各部材について、丸で示している。
吸着ベルト2が、シート束の最上位シートに接触する吸着位置においては、図45(a)に示すように、下流側張架ローラ5、押し付け部材35、上流側張架ローラ6が略一直線上に並んでいる。
ブラケット12を、支持軸14を中心にして図中反時計回りに回動させると、図45(b)に示すように、下流側張架ローラ5は、支持軸14を中心にして、図中反時計回りに移動する。上流側張架ローラ6は、下流側張架ローラ5を中心にして図中反時計回りに移動する。押し付け部材35は、上流側張架ローラ6を中心にして図中時計回りに回動する。
図31は、厚紙のときの分離動作について説明する図である。
図31(a)に示すように、吸着ベルト2が、吸着位置にあるとき、押し当て部材35によって吸着ベルト2が最上位シート1aに押し当てられている。このとき、押し当て部材35の保持部35bは、ブラケット12に設けられた長穴12bの下端から離間している。また、このとき、押し当て部材35の第1曲率部351aよりもシート搬送方向上流側が、吸着ベルト2に接触しており、第1曲率部351a,第2曲率部351bは、吸着ベルト2から離間している。
吸着分離ユニット110を揺動させて、吸着ベルト2を吸着位置から搬送位置へ持ち上げていくと、下流側張架ローラ5が持ち上げられ、シート束1の上面から離間していく。一方、上流側張架ローラ6の軸6aと押し当て部材35の保持部35bがそれぞれ、長穴12a,12b内を下方に移動していく。そのため、吸着ベルト2は、押し当て部材35によりシート束側へ押し込まれ、押し当て部材35の押し位置よりもシート搬送方向上流側は、シート束の上面に接触した状態が維持される。一方、吸着ベルト2の押し当て部材35の押し位置よりも下流側は、シート束上面から浮き上がる。これにより、吸着ベルト2に吸着したシートは、押し当て部材35の押し位置より上流側が吸着ベルト2に押さえられながら、押し当て部材35の押し位置より下流側(シート先端側)が吸着ベルト2の吸着力により持ち上げられる。そして、吸着ベルト2が、厚紙に対応する傾斜角度になると、揺動範囲変更機構80の変更駆動手段88の駆動が停止し、上流側張架ローラ6の軸6a長穴12a内の移動が停止する。この駆動の停止までの間に、吸着ベルト2が、下流側張架ローラ5によりさらに持上げられ、図31(b)に示すように、吸着ベルト2が押し当て部材35の第1曲率部351aに接触する。これにより、吸着ベルト2が、第1曲率部351aの曲率で屈曲し、吸着ベルト2に吸着したシートが吸着ベルト2の屈曲に倣って屈曲する。これにより、吸着ベルト2に吸着したシートが、第1曲率部351aの曲率で曲がる。第1曲率部351aの曲率は、最上位シートを曲げた際に、吸着ベルト2から離間しないような曲率に設定されている。従って、図31(b)に示すように、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが吸着ベルト2から剥がれることなく、2番目のシート1bを最上位シート1aから分離することができる。その後、上流側張架ローラ6が、シート束から離間し、吸着ベルト2が搬送位置まで移動する。また、変更駆動手段88の駆動が停止したとき、押し当て部材35の回動を規制する手段を有しており、変更駆動手段88の駆動が停止した後は、押し当て部材35は、回動しない。従って、図31(b)の状態から、吸着ベルト2を搬送位置へ移動するときに、押し当て部材35が上流側張架ローラ6の軸6aを支点にして回転して、押し当て部材35により吸着ベルト2がさらに屈曲せしめられることはない。よって、吸着ベルト2から最上位シートが剥がれることはない。
このように、本実施形態においては、厚紙を、押し当て部材35の第1曲率部の曲率で、曲げることができる。これにより、厚紙を確実に最上位シートが吸着ベルト2から剥がれない曲率で曲げることができ、最上位シートが吸着ベルト2から剥がれるのを良好に抑制することができる。
図32は、薄紙のときの分離動作について説明する図である。
上述と同様にして、図32(a)に吸着位置から図32(b)に示す位置まで、吸着ベルト2を持上げると、吸着ベルト2が押し当て部材35の第1曲率部351aに接触する。これにより、吸着ベルト2に吸着したシートが、第1曲率部351aの曲率で曲がる。しかし、このとき、吸着ベルト2に吸着しているシートは、コシの弱い薄紙であるので、第1曲率部351aの曲率でシートが曲がっても、2番目のシート1bは、最上位シートから分離しない。薄紙のときは、上流側張架ローラ6の軸6aが長穴12aの下端に当たるまで、揺動範囲変更機構80の変更駆動手段88の駆動は停止しない。従って、図32(b)の状態から、さらに、吸着分離ユニット110を揺動させていくと、上流側張架ローラ6の軸6aと押し当て部材35の保持部35bがそれぞれ、長穴12a,12b内を下方に移動していく。そして、上流側張架ローラ6の軸6aと押し当て部材35の保持部35bがそれぞれ、長穴12a,12b下端に突き当たると、揺動範囲変更機構80の変更駆動手段88の駆動が停止する。このとき、図32(c)示すように、吸着ベルト2の下流側がさらに持ち上げられ、吸着ベルト2が第2曲率部351bに接触する。その結果、吸着ベルト2に、第2曲率部351bの曲率で屈曲する部分が生じる。上述したように、第2曲率部351bの曲率は、第1曲率部351aの曲率よりも大きい。また、第2曲率部351bは、第1曲率部351aよりシート搬送方向下流側に配置されている。従って、薄紙などの剛性の低いシートにおいては、厚紙よりもシート先端付近で、厚紙よりも大きな曲率で屈曲せしめられる。これにより、剛性の低いシートにおいて、2番目のシート1bを良好に最上位シート1aから分離することができる。その後、上流側張架ローラ6が、シート束から離間し、吸着ベルト2が搬送位置まで移動する。
また、本実施形態においては、押し付け部材35を設けることで、シート先端部付近を屈曲させることができる。先端部に近ければ、近いほど、最上位シートから2番目のシートを剥がす面積が減るため、剥がすのに必要な力(2番目のシートのコシ)が小さくて済む。従って、シートをさほど屈曲させずに、最上位シートから2番目のシートを分離させることができる。これにより、吸着ベルト2のシート束に対する傾斜角度を小さくすることができ、吸着分離ユニット110の揺動量を抑えることができる。また、押し付け部材35を設けることで、下流側張架ローラ5付近を支点にして、吸着ベルト2を屈曲させることができる。これにより、吸着ベルトの押し付け部材35の当接箇所よりもシート搬送方向下流側の傾斜がつきやすくなる。その結果、吸着ベルト2を所定の傾斜角度にするまでの下流側張架ローラ5のシート束からの離間量を、上流側張架ローラ6を支点してシートを曲げる場合に比べて、抑えることができる。その結果、吸着分離ユニット110の揺動量をさらに抑えることができる。
このように、押し付け部材35を設けることで、吸着分離ユニット110の揺動量を抑えることができ、吸着位置と搬送位置との間の移動時間を短縮することができ、生産性(単位時間当たりの搬送枚数)を向上させることができる。
[変形例1]
図36は、変形例1のシート搬送装置の奥側を示す平面図であり、図37は、変形例1のシート搬送装置の手前側を示す平面図である。また、図38は、図36のA−A断面図であり、図39は、図36のB−B断面図である。
この変形例1のシート搬送装置は、シートの剛性に応じて、吸着ベルト2の揺動角度を変更するとともに、押し付け部材35の回動範囲を変更することで、吸着ベルト2に接触させる曲率部を切り替えるようにしたものである。
この変形例1のシート搬送装置は、図36、図37に示すように、各ブラケット12には、上流側張架ローラ6を保持するローラ保持部材157が回転自在に支持されている。これらローラ保持部材157は、図39に示すように、楕円形状のローラ保持孔157aを有しており、上流側張架ローラ6の軸6aが、このローラ保持孔157aに保持される。また、ローラ保持部材157の回転中心に対して、ローラ保持孔157aの回転中心がずれる(偏心する)ように、ローラ保持孔157aが形成されている。
また、図36、図37に示すように、各ブラケット12には、押し付け部材35を保持する押し付け保持部材158が回転自在に支持されている。これら押し付け保持部材158も、図39に示すように、楕円形状の押し付け保持孔158aを有しており、押し付け部材35の保持部35bがこの押し付け保持孔158aに保持される。本実施形態における押し付け保持孔158aの楕円形状は、ローラ保持孔157aの楕円形状と異ならせているが、同じ形状であってもよい。また、押し付け保持部材158も、押し付け保持部材158の回転中心に対して、押し付け保持孔158aの回転中心がずれる(偏心する)ように、保持孔158aを形成している。
各押し付け保持部材158および各ローラ保持部材157は、切替モータ150により回転駆動される。図36に示すように、切替モータ150のモータ軸150aの不図示の駆動プーリと、支持軸14に固定された第1多段プーリ152とには、駆動タイミングベルト151が掛けまわされている。奥側のローラ保持部材157の回転軸157bの端部には、プーリ部とギヤ部と有する第1駆動伝達部材154が固定されている。この第1駆動伝達部材154のプーリ部と第1多段プーリ152とには、奥側タイミングベルト153が掛けまわされている。第1駆動伝達部材154のギヤ部には、奥側アイドラギヤ155が噛み合っている。この奥側アイドラギヤ155は、奥側の押し付け保持部材158の回転軸158bに固定された奥側従動ギヤ158に噛み合っている。
また、図37に示すように、支持軸14の手前側端部には、プーリ159が固定されている。手前側のローラ保持部材157の回転軸157bの端部には、プーリ部とギヤ部と有する第2駆動伝達部材162が固定されている。この第2駆動伝達部材162のプーリ部と第2多段プーリ159とには、手前側タイミングベルト161が掛けまわされている。第2駆動伝達部材162のギヤ部には、手前側アイドラギヤ163が噛み合っている。この手前側アイドラギヤ163は、手前側の押し付け保持部材158の回転軸158bに固定された手前側従動ギヤ164に噛み合っている。
図38に示すように、押し付け部材35は、実施形態と同様な構成であり、先端部には、曲率が互いに異なる2つの曲率部351a,351bが設けられている。また、この変形例1のシート搬送装置は、先の図29に示したように、吸着ベルト2の内側に位置するハウジング20の部分に圧縮スプリング36を設けている。
図40は、吸着ベルト2の揺動角度と、押し付け部材35の回動範囲との変更について説明する図である。図40(a)は、薄紙のときのローラ保持部材157と押し付け保持部材158とを示す図であり、図40(b)は、厚紙のときのローラ保持部材157と押し付け保持部材158とを示す図である。また、図40は、吸着ベルト2が、シート束の最上位シートに接触する吸着位置にあるときの様子を示している。
図40(a)に示すように、薄紙のときは、ローラ保持孔157aの下端と、上流側張架ローラの軸6aとの距離は、a1であり、押し付け保持孔158aの下端と押し付け部材の保持部35bとの距離はb1である。すなわち、薄紙のときにおいては、吸着位置から搬送位置へ吸着ベルト2が移動する際の上流側張架ローラの上下方向の移動範囲は、a1である。また、吸着位置から搬送位置へ吸着ベルト2が移動する際の押し付け部材35の回動範囲が、b1となる。また、ローラ保持孔157aの下端から押し付け保持孔158aの下端までの距離は、c1である。
上記ローラ保持孔157aの下端から押し付け保持孔158aの下端までの距離をc1とすることで、薄紙のとき、押し付け部材35と上流側張架ローラ6とを同時にシート束から離間させることができる。すなわち、押し付け部材35の保持部35bが押し付け保持孔158aの下端に当たると同時に、上流側張架ローラ6の軸6aがローラ保持孔157aの下端に当たるようにしているのである。これは、ブラケット12が支持軸14中心に回転しており、支持軸からの距離に応じて、上昇量が異なるためである。すなわち、支持軸14からの距離が、ローラ保持部材157よりも遠い押し付け保持部材158の方が、ブラケット12を回動させたときの移動量が多くなる。よって、吸着ベルトが吸着位置にあるとき、押し付け保持孔158aの下端を、距離c1分、ローラ保持孔157aの下端よりも下側に位置させることで、押し付け部材35の保持部35bと、上流側張架ローラ6の軸6aとを同時にそれぞれの保持孔157a,158aの下端に当てることができる。
吸着ベルト2の揺動角度と、押し付け部材35の回動範囲とを図40(b)に示す厚紙に対応する揺動角度と回動範囲に変更するときは、先の図36に示した切替モータ150を駆動する。切替モータ150が駆動すると、駆動タイミングベルト151を介して第1多段プーリ152に伝達される。そして、多段プーリ152から奥側タイミングベルト153を介して、第1駆動伝達部材154に駆動力が伝達され、奥側のローラ保持部材157が図39に示すように、図中時計回りに回動する。また、第1駆動伝達部材154に伝達された駆動力が奥側アイドラギヤ155を介して奥側従動ギヤ158に伝達され、奥側の押し付け保持部材158が図39に示すように、図中時計回りに回動する。
また、駆動タイミングベルト151を介して第1多段プーリ152に伝達された駆動力により支持軸14が回転駆動する。これにより、図37に示す支持軸14の手前側端部に固定されたプーリ159が回転駆動し、切替モータ150の駆動力が手前側タイミングベルト161を介して第2駆動伝達部材162に伝達され、手前側のローラ保持部材157が回転駆動する。また、第2駆動伝達部材162に伝達された駆動力が手前側アイドラギヤ163を介して手前側従動ギヤ164に伝達され、手前側の押し付け保持部材158が図中時計回りに回動する。
ローラ保持部材157、押し付け保持部材158が、半回転したら、切替モータ150の駆動を停止することで、ローラ保持部材157、押し付け保持部材158が、図40(b)に示す姿勢で停止する。
図40(b)に示すように、厚紙のときは、ローラ保持孔157aの下端と上流側張架ローラの軸6aとの距離が、薄紙ときの距離a1よりも短いa2となり、上流側張架ローラ6の上下方向の移動範囲が変更される。また、押し付け保持孔158aの下端と押し付け部材35の保持部35bとの距離が、薄紙ときの距離b1よりも短いb2となり、押し付け部材35の回動範囲が変更される。また、厚紙のときのローラ保持孔157aの下端から押し付け保持孔158aの下端までの距離は、c2であり、薄紙ときの距離c1よりも短い。
厚紙のときは、薄紙のときよりも吸着ベルト2の傾斜角度が小さいので、薄紙のときより早い段階で、上流側張架ローラ6をシート束から離間させる必要がある。従って、上記距離a2が、上記距離a1よりも短いのである。また、厚紙のときは、押し付け部材35の第1曲率部351aのみを吸着ベルト2に接触させる必要がある。従って、厚紙のときは、薄紙のときに比べて、押し付け部材の回動量を少なくする必要がある。よって、上記距離b2が、上記距離b1よりも短いのである。
また、上記距離a2、上記距離b2が、薄紙のときよりも短いので、ブラケット12の回動量が、薄紙のときよりも少ない段階で、押し付け部材35および上流側張架ローラ6がシート束から離間する。ローラ保持部材157の移動量と押し付け保持部材158の移動量の差は、ブラケット12の回動量が多くなればなるほど、大きくなる。従って、上記距離c2が、上記c1よりも短いのである。
また、上述したように、ローラ保持部材157と押し付け保持部材158との上昇量が異なる。従って、ローラ保持孔157aおよび押し付け保持孔158aの形状は、それぞれ上昇量に応じた形状にする必要があるため、ローラ保持孔157aの形状と押し付け保持孔158aの形状とは互いに異なる。
図41は、変形例1における厚紙のときの分離動作について説明する図であり、図42は、変形例1の分離動作における各部材の移動について説明する図である。
上述と同様にして、図41(a)に示す吸着位置から吸着ベルト2を持ち上げていくと、図41(b)に示すように、ブラケット12に回転自在に支持されているローラ保持部材157および押し付け保持部材158が上昇していく。その結果、ローラ保持孔157a内の上流側張架ローラ6の軸6aが、ローラ保持孔157aに対して相対的に下方へ移動する。また、同様に、押し付け保持孔158a内の押し付け部材35の保持部35bが、押し付け保持孔158aに対して相対的に下方へ移動する。これにより、吸着ベルト2は、押し当て部材35によりシート束側へ押し込まれ、押し当て部材35の押し位置よりもシート搬送方向上流側は、シート束の上面に接触した状態が維持される。一方、吸着ベルト2の押し当て部材35の押し位置よりも下流側は、シート束上面から浮き上がる。これにより、吸着ベルト2に吸着したシートは、押し当て部材35の押し位置より上流側が吸着ベルト2に押さえられながら、押し当て部材35の押し位置より下流側(シート先端側)が吸着ベルト2の吸着力により持ち上げられる。
ここまでの各部材の動きを図42(a)、(b)を参照して説明すると、下流側張架ローラ5は、支持軸14を中心にして図中反時計回りに移動する。上流側張架ローラ6は、下流側張架ローラ5の中心にして図中反時計回りに移動する。また、押し付け部材35は、上流側張架ローラ6を中心にして図中時計回りに回動する。
そして、押し付け部材35の第1曲率部351aが吸着ベルトに接触し、吸着ベルト2が第1曲率部351aの曲率で曲がると、押し付け部材35の保持部35bが押し付け保持孔158aの下端に接触する。また、これと同時に、上流側張架ローラ6の軸6aが、ローラ保持孔157aの下端に接触する。吸着ベルト2が、第1曲率部351aの曲率で曲がることで、吸着ベルト2に吸着したシートが吸着ベルト2の屈曲に倣って屈曲し、吸着ベルト2に吸着したシートが、第1曲率部351aの曲率で曲がる。これにより、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが吸着ベルト2から剥がれることなく、2番目のシート1bを最上位シート1aから分離する。
この状態から、図41(c)に示すように、さらに、ブラケット12が、支持軸14を支点にして図中反時計周りに回動すると、上流側張架ローラ6が、ローラ保持孔157aにより持ち上げらる。また、押し付け部材35が、押し付け保持孔158aにより持ち上げられる。これにより、押し付け部材35の第1曲率部351aの曲率で屈曲した状態を維持し、かつ、所定の傾斜角度で吸着ベルト2がシート束から離間する。これにより、2番目のシートを、最上位シート1aから分離させることができる。そして、吸着ベルト2が所定の傾斜角度で上昇していき、図41(d)に示す搬送位置に吸着ベルト2が到達したら上昇を停止する。
変形例1においては、上流側張架ローラ6と押し付け部材35とを同時にシート束から離間させている。これにより、以下の利点を得ることができる。すなわち、押し付け部材35の保持部35bが、先に押し付け保持孔157aの下端に接触して、上流側張架ローラ6よりも先にシート束から離間した場合、押し付け部材35離間後、上流側張架ローラ6の曲率でシートが屈曲するこになる。その結果、厚紙などの高剛性のシートの場合、最上位シートが上流側張架ローラ6の曲率により分離するおそれがある。特に、上流側張架ローラ6の曲率が、押し付け部材35の第1曲率部351aの曲率よりも大きい場合、最上位シート1aが吸着ベルト2から分離するおそれが高くなる。一方、上流側張架ローラ6と押し付け部材35とを同時にシート束から離間させることで、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aが、押し付け部材35の曲率部以外で屈曲するのを抑制することができる。これにより、吸着ベルト2に吸着した最上位シートが分離するのを抑制することができる。
ここまでの各部材の動きを図42(c)を参照して説明すると、下流側張架ローラ5、上流側張架ローラ6および押し付け部材35は、ブラケット12とともに、支持軸14をs中心にして図中反時計回りに回動する。
この変形例1においては、押し付け部材35の第1曲率部351aの曲率で屈曲した状態を維持し、かつ、所定の傾斜角度で吸着ベルト2が搬送位置へ移動する。これにより、吸着ベルト2に吸着した最上位の厚紙が、吸着ベルト2が搬送位置へ到達するまでの間で吸着ベルト2から剥がれることを防止することができる。
この変形例1においては、押し付け保持部材158やこれを回転駆動させる駆動機構などにより、押し付け部材35の回動範囲を変更する回動範囲変更手段が構成されている。また、この変形例1では、ローラ保持部材157やこれを回転駆動させる駆動機構などにより、吸着ベルト2の傾斜角度を変更する傾斜角度変更手段が構成されている。そして、この変形例1では、上記回動範囲変更手段と傾斜角度変更手段とにより吸着ベルトの内周面に押し当てる押し当て部を切り替える切替手段を構成している。
一方、薄紙のときは、吸着ベルト2の傾斜角度が、厚紙のときの傾斜角度となっても、上流側張架ローラ6の軸6aは、ローラ保持孔157aの下端に当接していない。また、押し付け部材35の第1曲率部351aが吸着ベルト2に接触して吸着ベルト2が第1曲率部351aの曲率で屈曲した状態となっても、押し付け部材35の保持部35bが押し付け保持孔158aの下端に当接していない。この状態からさらにブラケット12を上昇させると、吸着ベルト2の下流側がさらに持ち上げられ、吸着ベルト2が第2曲率部351bに接触する。これにより、吸着ベルト2に吸着した薄紙が、第2曲率部351bの曲率で曲がり、2番目の薄紙を最上位の薄紙から分離することができる。また、吸着ベルト2が第2曲率部351bに接触すると、上流側張架ローラ6の軸6aが、ローラ保持孔157aの下端に当接する。また、厚紙のときと同様、上流側張架ローラ6の軸6aのローラ保持孔157aの下端への当接と同時に、押し付け部材35の保持部35bが押し付け保持孔158aの下端に当接する。そして、上流側張架ローラ6と押し付け部材35とを同時にシート束から離間する。これにより、第2曲率部351bの曲率で屈曲した状態、かつ、厚紙のときよりも大きな傾斜角度を維持した状態で、吸着ベルト2がシート束から離間し、搬送位置まで上昇する。
上述では、ローラ保持部材157および押し付け保持部材158の回転を、切替モータ150で行っていたが、吸着ベルト2を無端移動させる駆動モータにより、ローラ保持部材157および押し付け保持部材158の回転させてもよい。
図43は、駆動モータ24によりローラ保持部材157および押し付け保持部材158を、回転駆動させる構成を示す概略構成図である。
支持軸14に固定されるプーリを、ワンウェイクラッチを有する多段プーリ167にし、下流側張架ローラ5の軸5aの一端に固定されるプーリをワンウェイクラッチを有するプーリ169に変更した以外は、先の図6に示した駆動機構130と同様な構成である。また、手前側のローラ保持部材157および押し付け保持部材158を回転駆動させる駆動機構は、先の図37に示した駆動機構と同様な構成である。また、奥側のローラ保持部材157と押し付け保持部材158とを回転駆動させる駆動機構は、支持軸14に固定するプーリを、多段プーリから一段のプーリに変更した以外は、先の図36に示した駆動機構と同様な構成を有している。
図44(a)は、吸着ベルト2を駆動させる様子を示す図であり、図44(b)は、ローラ保持部材157および押し付け保持部材158を駆動させる様子を示す図である。
図44(a)に示すように、吸着ベルト2を回転駆動させるときは、駆動モータ24を図中反時計回りに回転駆動させると、駆動タイミングベルト29を介して、ワンウェイクラッチを有する多段プーリ167が、図中反時計回りに回動する。このとき、多段プーリ167のワンウェイクラッチは、支持軸14につながらず、多段プーリ167が支持軸14に対して空回りする。その結果、支持軸14に固定された各プーリ152、159が回転駆動せず、ローラ保持部材157および押し付け保持部材158が回転駆動せずに、停止した状態となる。一方、多段プーリ167に伝達された駆動モータ24の駆動力は、従動タイミングベルト28を介してワンウェイクラッチを有するプーリ169に伝達され、プーリ169が図中反時計回りに回動する。このとき、プーリ169のワンウェイクラッチ169は、下流側張架ローラ5に軸5aに繋がり、下流側張架ローラが、図中反時計周りに回転駆動する。これにより、吸着ベルト2が無端移動する。
一方、ローラ保持部材157および押し付け保持部材158を回転駆動させるときは、図44(b)に示すように、駆動モータ24を図中時計回りに回転駆動させ、多段プーリ167を図中時計回りに回転させる。このとき、多段プーリ167のワンウェイクラッチは、支持軸14に繋がって、支持軸14を回転駆動させる。これにより、支持軸14に固定されている各プーリ152、159が回転駆動して、ローラ保持部材157、押し付け保持部材158が回転駆動する。
一方、多段プーリ167に伝達された駆動モータ24の駆動力は、従動タイミングベルト28を介してワンウェイクラッチを有するプーリ169に伝達して、プーリ169を図中時計回りに回転駆動させる。このとき、プーリ169のワンウェイクラッチは、下流側張架ローラ5の軸5aには繋がらず、プーリ169は、軸5aに対して空回りする。これにより下流側張架ローラ5は回転駆動せず、吸着ベルト2は、回転駆動することがない。
図44に示す構成のように、駆動モータ24によりローラ保持部材157および押し付け保持部材158を、回転駆動させることで、各保持部材157、158を回転駆動させるモータを別に設ける構成に比べて、部品点数を削減できる。これにより、装置のコストアップを抑制することができる。
[変形例2]
図46は、変形例2のシート搬送装置の概略構成図であり、図47は、図46のC−C断面図である。
この変形例2のシート搬送装置は、スライド部材をラックとピニオン機構によりスライド移動させることで、吸着ベルト2の揺動角度と、押し付け部材35の回動範囲とを変更するものである。
図46,図47に示すように、吸着分離ユニット110のブラケット12には、スライド部材170が取り付けられている。スライド部材170のシート搬送方向両端には、支持突起170a,170bが設けられており、これら支持突起170a,170bが、ブラケット12に設けられたシート搬送方向に延びるスライド支持穴12c,12dに挿入されている。これにより、スライド部材170が、ブラケット12に対してシート搬送方向にスライド自在に取り付けられる。
スライド部材170は、ブラケット12に設けられた上流側張架ローラ6を保持する長穴12aと、押し当て部材35の保持部35bを保持する長穴12bとを横切るように、ブラケット12に取り付けられている。長穴12aに保持された上流側張架ローラ6の軸6aと、長穴12bに保持された押し当て部材35の保持部35bが、スライド部材170の規制部たる上部170cより上方に設けられている。そして、軸6aと保持部35bとが上部170cに突き当たるように、それぞれ、ブラケット12から突出している。軸6aと保持部35bとが上部170cに突き当たることにより、軸6aと保持部35bとが、各長穴12a,12bでの移動範囲が規制される。上部170cは、シート搬送方向下流側にいくほど、その高さが高くなるような傾斜となっている。
スライド部材170の下部には、ラックギヤ170dが設けられており、ブラケット12に回動自在に取り付けられたピニオンギヤ171と噛み合っている。
図46に示すように、ピニオンギヤ171の軸171aには、不図示のプーリが設けられており、このプーリと、支持軸14に回動自在に取り付けられた従動プーリ173とには、第1タイミングベルト172が巻きつけられている。また、従動プーリ173と、スライド駆動モータ175の駆動軸176に固定された不図示の駆動プーリとには、第2タイミングベルト174が巻きつけられている。
吸着ベルト2の揺動角度と、押し付け部材35の回動範囲とを変更するときは、スライド駆動モータ175を駆動する。スライド駆動モータ175が駆動すると、第2タイミングベルト174を介して従動プーリ173に伝達される。そして、従動プーリ173から第1タイミングベルト172を介して、ピニオンギヤ171に駆動力が伝達され、スライド部材170が図中矢印X1方向にスライド移動する。
厚紙に対応する吸着ベルト2の揺動角度と押し付け部材の回動範囲に変更するときは、ピニオンギヤ171を図47の反時計回りに回動させて、スライド部材170をシート搬送方向上流側へ移動させる。すると、第2張架ローラ6の軸6aが、スライド部材170の上部170cと突き当たる位置が上方に変更される。これにより、上流側張架ローラ6の上下方向の移動範囲が狭くなる。その結果、厚紙のときは、薄紙のときよりも早い段階で、上流側張架ローラ6の軸6aが、スライド部材170の上部170cに突き当たり、薄紙のときより早い段階で、上流側張架ローラ6をシート束から離間させることができる。これにより、薄紙のときよりも吸着ベルト2の傾斜角度を小さくすることができる。
また、スライド部材170が、シート搬送方向上流側へ移動することにより、押し当て部材35の保持部35bが、スライド部材170の上部170cと突き当たる位置も上方に変更される。これにより、厚紙のとき、保持部35bの移動範囲が狭まり、押し当て部材35の回動量を少なくすることができ、押し付け部材35の第1曲率部351aのみを吸着ベルト2に接触させることができる。これにより、薄紙よりもシート後端側で、薄紙よりも小さな曲率でシートを屈曲させることができる。
一方、薄紙に対応する揺動角度と回動範囲に変更するときは、ピニオンギヤ171を図46の時計回りに回動させて、スライド部材170をシート搬送方向下流側へ移動させる。すると、第2張架ローラ6の軸6aが、スライド部材170の上部170cと突き当たる位置が下方に変更される。これにより、上流側張架ローラ6の上下方向の移動範囲が広がる。その結果、薄紙のときは、厚紙のときよりも遅い段階で、上流側張架ローラ6の軸6aが、スライド部材170の上部170cに突き当たり、厚紙のときより遅い段階で、上流側張架ローラ6をシート束から離間させることができる。これにより、厚紙のときよりも吸着ベルト2の傾斜角度を大きくすることができる。
また、スライド部材170が、シート搬送方向下流側へ移動することにより、押し当て部材35の保持部35bが、スライド部材170の上部170cと突き当たる位置も下方に変更される。これにより、薄紙とき、保持部35bの移動範囲が広がり、押し当て部材35の回動量を多くすることができ、押し付け部材35の第2曲率部351bを吸着ベルト2に接触させることができる。これにより、厚紙よりもシート先端付近で、厚紙よりも大きな曲率でシートを屈曲させることができる。
スライド部材170の上部170cの傾斜は、上流側張架ローラ6と押し付け部材35とを同時にシート束から離間できるような傾斜となっている。また、揺動角度変更用のスライド部材と、押し付け部材の回動範囲変更用のスライド部材とをそれぞれ設けてもよい。
[変形例3]
図48は、変形例3のシート搬送装置の概略構成図であり、図49は、図48のC−C断面図である。
この変形例3は、回動部材をラックとピニオン機構により回動させることで、吸着ベルト2の揺動角度と、押し付け部材35の回動範囲とを変更するものである。
図48,図49に示すように、吸着分離ユニット110のブラケット12には、回動部材177が回動自在に取り付けられている。回動部材177は、シート搬送方向上流端部に支点部184を有し、この支点部184が、ブラケット12に回動自在に支持されている。
回動部材177は、ブラケット12の上流側張架ローラ6を保持する長穴12aに重なるように設けられた軸規制穴177aを有している。上流側張架ローラ6の軸6aは、ブラケット12を貫通し、軸規制穴177aに挿入されている。上流側張架ローラ6の軸6aが、軸規制穴の下端に突き当たることで軸6aの下方の移動が規制される。
また、回動部材177は、ブラケット12の押し当て部材35の保持部35bを保持する長穴12bに重なるように設けられた保持部規制穴177bを有している。押し付け部材35の保持部35bは、ブラケット12を貫通し、保持部規制穴177bに挿入されている。押し付け部材35の保持部35bが、保持部規制穴177bの下端に突き当たることで保持部35bの下方の移動が規制される。
また、回動部材177のシート搬送方向下流側端部には、ラックギヤ177cが設けられており、ブラケット12に回動自在に取り付けられたピニオンギヤ178と噛み合っている。
図49に示すように、ピニオンギヤ178を回転駆動させる機構は、変形例2と同様である。すなわち、ピニオンギヤ178の軸178aに設けられた不図示のプーリと、支持軸14に回動自在に取り付けられた従動プーリ180とに第1タイミングベルト179が巻きつけられている。また、従動プーリ180と、駆動モータ182の駆動軸183の不図示の駆動プーリとに、第2タイミングベルト181が巻きつけられている。
吸着ベルト2の揺動角度と、押し付け部材35の回動範囲とを変更するときは、駆動モータ182を駆動して、ピニオンギヤ178を回転駆動させる。すると、回動部材177が、支点部184を支点にして回動する。
厚紙に対応する吸着ベルト2の揺動角度と押し付け部材35の回動範囲に変更するときは、ピニオンギヤ178を図49の時計回りに回動させて、回動部材177を図49の反時計回りに回動させる。すると、軸規制穴177aと保持部規制穴177bとが上昇する。軸規制穴177aが上昇することで、上流側張架ローラ6の軸6aが突き当たる軸規制穴177aの下端の位置が上方に変更される。これにより、上流側張架ローラ6の上下方向の移動範囲が狭くなる。その結果、厚紙のときは、薄紙のときよりも早い段階で、上流側張架ローラ6の軸6aが、軸規制穴177aの下端に突き当たり、薄紙のときより早い段階で、上流側張架ローラ6をシート束から離間させることができる。これにより、薄紙のときよりも吸着ベルト2の傾斜角度を小さくすることができる。
また、回動部材177が、図49の反時計回りの回動により、保持部規制穴177bが上昇することで、押し付け部材35の保持部35bが突き当たる保持部規制穴177bの下端の位置が上方に変更される。これにより、押し付け部材35の回動量が少なくなる。その結果、押し付け部材35の第1曲率部351aのみを吸着ベルト2に接触させることができる。これにより、薄紙よりもシート後端側で、薄紙よりも小さな曲率でシートを屈曲させることができる。
一方、薄紙に対応する揺動角度と回動範囲に変更するときは、ピニオンギヤ171を図49の反時計回りに回動させて、回動部材177を図49の時計回りに回動させる。すると、軸規制穴177aと保持部規制穴177bとが下降する。軸規制穴177aが下降することで、上流側張架ローラ6の軸6aが突き当たる軸規制穴177aの下端の位置が下方に変更される。これにより、上流側張架ローラ6の上下方向の移動範囲が広くなる。その結果、薄紙のときは、厚紙のときよりも遅い段階で、上流側張架ローラ6の軸6aが、軸規制穴177aの下端に突き当たり、厚紙のときより遅い段階で、上流側張架ローラ6をシート束から離間させることができる。これにより、厚紙のときよりも吸着ベルト2の傾斜角度を大きくすることができる。
また、回動部材177が、図49の時計回りの回動により、保持部規制穴177bが下降することで、押し付け部材35の保持部35bが突き当たる保持部規制穴177bの下端の位置が下方に変更される。これにより、押し付け部材35の回動量が多くなる。その結果、押し付け部材35の第2曲率部351bを吸着ベルト2に接触させることができる。これにより、厚紙よりもシート先端側で、厚紙よりも大きな曲率でシートを屈曲させることができる。
また、この変形例3においても、揺動角度変更用の回動部材と、押し付け部材の回動範囲変更用の回動部材とをそれぞれ設けてもよい。
図33は、押し当て部材35の変形例を示す図である。
図33(a)に示す押し当て部材は、曲率部を3つ設けたものである。この構成においては、厚紙のときは、第1曲率部351a、普通紙のときは第2曲率部351b、薄紙のときは、第3曲率部でシートを分離する。
図33(b)は、各曲率部を区切る溝部352を設けたものである。各曲率部は、吸着ベルト2が、紙厚に対応する傾斜角度になったときに、紙厚に対応する曲率部が吸着ベルトに接触するように、各曲率部の位置を精度よく形成する必要がある。また、各曲率部で対応する紙厚において、良好な分離性を得るためには、各曲率部も精度よく形成する必要がある。しかしながら、図33(a)に示すように、複数の曲率部を区切りなく連続的に形成する構成においては、設計上、厳密に各曲率部を形成することができない場合がある。このような場合は、図33(b)に示すように、溝部352を設けて、各曲率部を区切ることで、各曲率部の位置精度や曲率の精度を出しやすくなるというメリットがある。
また、図33(c)に示すように、押し当て部材35の先端部を先端に行くにつれ、徐々に曲率が大きくなるような形状にしてもよい。例えば、押し当て部材35の先端の吸着ベルト2と接触する面を、放物線状にすることにより、押し当て部材35の先端部を先端に行くにつれ、徐々に曲率が大きくなるような形状にすることができる。かかる構成を備えることで、吸着ベルト2の傾斜角度によって、任意の曲率でシートを変形させることができ、多種多様なシートに対応することが可能となる。
また、図34に示す構成にして、吸着ベルト2の傾斜角度を紙厚に応じて変更してもよい。この図34に示す例では、ブラケット12に回動自在に設けられた突き当て部材により、上流側張架ローラ6の長穴12aの移動範囲を規制する。具体的には、剛性の高いシートを搬送する場合は、突き当て部材20を図中時計回りに所定角度回転させる。これにより、吸着位置から搬送位置へ吸着ベルト2を移動させるとき、上流側張架ローラ6は、長穴12aの下端まで移動せず、途中で、突き当て部材に突き当たる。これにより、小さい傾斜角度で上流側張架ローラ6をシート束から離間させることができ、シートの曲げ量を抑えることができる。一方、剛性の低いシートのときは、突き当て部材を回動させずに、図34の位置で停止させておく。これにより、剛性の低いシートのときは、上流側張架ローラ6は、長穴12aの下端まで移動し、下端により持ち上げられる。これにより、シートの剛性が低いときに吸着ベルト2の傾斜角度を大きくすることができ、曲げ量を多くすることができる。
また、図35に示す構成にして、吸着ベルト2の傾斜角度を紙厚に応じて変更してもよい。この図35に示す例では、上流側張架ローラ6を、ブラケット12に対して移動不能し、シートの厚みなどの条件に応じて、吸着分離ユニットの揺動範囲を変更する構成である。
また、シート束の上面から吸着ベルト2が離間したら、押し当て部材35で、吸着ベルト2を屈曲させて、2番目のシートを分離させてもよい。この場合は、例えば、吸着ベルト2が搬送位置に到達後、押し当て部材35を回転駆動させて、吸着ベルト2のシート吸着領域をシート束側へ押し込んで、吸着ベルトを屈曲させる。このとき、押し付け部材の回動量を制御することにより、吸着ベルト2の屈曲量と、吸着ベルト2に当接させる曲率部とを変更することができる。これにより、シートの剛性に応じた曲率と屈曲量とでシートを曲げることができ、良好な分離性を得ることができる。
また、シート束の最上位シートをエアーの吸引力によって吸着ベルト2に吸着させる方式のシート搬送装置にも、本発明を適用することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
積載されたシート束1の上面に対向配置された回転可能な無端状の吸着ベルト2と、シート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させる帯電部材3などの吸着手段とを備えたシート搬送装置において、吸着ベルト2に押し当てて、最上位シート1aが吸着する吸着領域を屈曲させて、最上位シート以外のシートを、吸着ベルト2から分離させる押し当て部材35などの分離手段を備え、分離手段の吸着ベルト2との接触面の曲率を、変更可能に構成した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シートの剛性に応じて、押し当て部材35などの分離手段の吸着ベルト2との接触面の曲率を変更することができる。分離手段により吸着ベルト2を屈曲させたとき、吸着ベルト2の屈曲箇所は、分離手段の吸着ベルト2との接触面に曲率に倣って屈曲する。また、吸着ベルト2に吸着しているシートは、吸着ベルト2の屈曲に倣って屈曲するため、シートもまた、分離手段の吸着ベルト2との接触面の曲率で屈曲する。よって、シートの剛性に応じて、押し当て部材35などの分離手段の吸着ベルト2との接触面の曲率を変更することで、シートの剛性に応じた曲率で、シートを曲げることができる。従って、シートの剛性が低いほど、曲率の大きい接触面を吸着ベルトに押し当てることで、上記屈曲箇所でシートをきつく曲げることができる。これにより、剛性の低いシートを、上流側張架ローラなどの第2張架ローラの曲率で屈曲させていた特許文献1に記載のシート搬送装置に比べて、剛性の低いシートにおいて、2番目のシートを良好に最上位シート1aから分離させることができる。
(態様2)
(態様1)において、押し当て部材35などの分離手段は、曲率が互いに異なる複数の曲率部などの押し当て部を有し、吸着ベルト2の内周面に押し当てる押し当て部を切り替える切替手段(本実施形態では、揺動範囲変更機構80、変形例1では、押し付け保持部材158およびローラ保持部材157など)を備えた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、押し付け部材35などの分離手段の吸着ベルト2との接触面の曲率を変更することができる。
(態様3)
また、(態様2)において切替手段は、前記吸着ベルトに吸着させるシートの剛性に基づいて、前記吸着ベルトの内周面に押し当てる押し当て部を切り替える。
かかる構成を備えることで、シートの剛性に応じた最適な曲率でシートを曲げることができ、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができる。
(態様4)
(態様3)において、切替手段は、前記シートの剛性が小さいほど、前記曲率の大きい押し当て部が吸着ベルトに押し当たるように切り替える。
かかる構成とすることで、実施形態で説明したように、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができる。
(態様5)
(態様2)乃至(態様4)いずれかにおいて、シート束1と吸着ベルト2とが接触関係にあり、シート束1の最上位シート1aを吸着ベルト2に吸着させる吸着位置から、シート束1と吸着ベルト2とが離間関係にあり、吸着ベルト2に吸着した最上位シート1aを搬送する搬送位置へ、吸着ベルト2をシート束の上面に対して傾斜させながら吸着ベルト2を移動させる揺動機構120などの移動手段を備え、前記切替手段は、シートの剛性に応じて搬送位置での吸着ベルト2とシート束1の上面との傾斜角度を変更する揺動範囲変更機構80などの傾斜角度変更手段を備え、押し当て部材35などの分離手段を、傾斜角度に応じて、吸着ベルト2の内周面に押し当てる押し当て部が変更されるように構成した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができる。
(態様6)
(態様5)において、揺動範囲変更機構80などの傾斜角度変更手段は、シートの剛性が小さいほど、傾斜角度が大きくなるように変更するものであり、傾斜角度が大きいほど、曲率の大きい曲率部などの押し当て部が吸着ベルト2に押し当たるように構成した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シートの剛性によらず、良好な分離性を得ることができる。
(態様7)
(態様5)または(態様6)において、吸着ベルト2を張架する下流側張架ローラ5などの第1張架ローラ、および第1張架ローラよりもシート搬送方向上流側に位置し、吸着ベルト2を張架する上流側張架ローラ6などの第2張架ローラを有し、第2張架ローラを、シート束の上面に対して所定範囲垂直方向に移動可能に支持する吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットを備え、揺動機構120などの移動手段は、第2張架ローラよりもシート搬送方向上流側を支点にして吸着ベルトユニットを揺動させることにより、吸着位置から搬送位置へ、吸着ベルト2をシート束1の上面に対して傾斜させながら吸着ベルト2を移動させるものであって、揺動範囲変更機構80などの傾斜角度変更手段は、第2張架ローラの移動範囲を変更することにより、傾斜角度を変更する。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、吸着ベルト2の傾斜角度を変更することができる。
(態様8)
(態様7)において、傾斜角度変更手段は、上流側張架ローラ6などの第2張架ローラの軸6aを保持する楕円形状のローラ保持孔157aなどの保持孔を有し、回転可能に支持されたローラ保持部材157を備え、ローラ保持部材157を回転させることで、第2張架ローラの移動範囲を変更する。
かかる構成を備えることで、変形例1で説明したように、第2張架ローラの移動範囲を変更することができ、傾斜角度を変更することができる。
(態様9)
(態様7)において、傾斜角度変更手段は、上流側張架ローラ6などの第2張架ローラの軸6aが突き当たり、鉛直下向きの移動を規制する上部170cなどの規制部を有し、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットに対してシート搬送方向にスライド移動可能に設けられたスライド部材170を備え、スライド部材170を、スライド移動させることで、規制部の鉛直方向の位置が変更され、第2張架ローラの移動範囲が変更される。
(態様9)によれば、変形例2で説明したように、上部170cなどの規制部の位置を上方に変更すると、吸着位置から吸着ベルトユニットを揺動させていったとき、早期に上流側張架ローラ6などの第2張架ローラの軸6aが上部170cなどの規制部に突き当たる。これにより、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットに対する第2張架ローラの移動範囲を狭くすることができ、搬送位置での吸着ベルト2とシート束1の上面との傾斜角度を小さく変更することができる。逆に、規制部の位置を下方に変更されると第2張架ローラの軸6aが規制部に突き当たるまでの吸着ベルトユニットの揺動量が多くなる。その結果、第2張架ローラの移動範囲を広げることができ、搬送位置での吸着ベルト2とシート束1の上面との傾斜角度を大きく変更することができる。
(態様10)
(態様7)において、傾斜角度変更手段は、上流側張架ローラ6などの第2張架ローラの軸6aが突き当たり、鉛直下向きの移動を規制する軸規制穴177aの下端などの規制部を有し、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットに対して回動自在に設けられた回動部材177を備え、回動部材177を回動させることで、規制部の鉛直方向の位置が変更され、第2張架ローラの移動範囲が変更される。
(態様10)によれば、変形例3で説明したように、回動部材177を回動させて、規制部の位置を鉛直方向上方に変更すれば、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットに対する第2張架ローラの移動範囲を狭くすることができる。これにより、搬送位置での吸着ベルト2とシート束1の上面との傾斜角度を小さく変更することができる。逆に、回動部材177を回動させて、規制部の位置を鉛直方向下方に変更すれば、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットに対する第2張架ローラの移動範囲を広くすることができる。これにより、搬送位置での吸着ベルト2とシート束1の上面との傾斜角度を大きく変更することができる。
(態様11)
(態様5)乃至(態様10)いずれかにおいて、押し当て部材35などの分離手段のシート搬送方向上流端側が、回転自在に支持されており、分離手段のシート搬送方向下流側端部から上流に向けて、曲率部などの複数の押し当て部が並べて設けられており、シート搬送方向下流側の押し当て部ほど、曲率を大きくした。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、傾斜角度が大きいほど、曲率の大きい曲率部などの押し当て部を吸着ベルト2に押し当てることができる。
(態様12)
また、(態様11)において、複数の押し当て部は、連続的に形成されている。
かかる構成を備えることで、図33(c)を用いて説明したように、吸着ベルト2の傾斜角度によって、任意の曲率でシートを変形させることができ、多種多様なシートに対応することが可能となる。
(態様13)
また、(態様11)において、曲率部などの複数の押し当て部が、それぞれ区切られて形成されている。
かかる構成を備えることで、図33(b)を用いて説明したように、曲率部などの複数の押し当て部を精度よく形成することができる。
(態様14)
(態様11)乃至(態様13)いずれかにおいて、切替手段は、押し付け部材35などの分離手段の回動範囲を変更する回動範囲変更手段(押し付け保持部材158などで構成)を備える。
かかる構成を備えることで、変形例1で説明したように、回転範囲を多くすれば、シート搬送方向下流側の曲率の大きな押し当て部を吸着ベルト2に接触させることができる。これにより、任意の曲率でシートを変形させることができ、多種多様なシートに対応することが可能となる。また、押し付け部材35などの分離手段と、第2張架ローラなどの上流側張架ローラ6とを同時にシート束から離間させることが可能となる。これにより、分離手段により2番目のシートが分離した後、第2張架ローラの曲率により最上位シート1aが吸着ベルト2から分離するのを防止することができる。
(態様15)
(態様14)において、回動範囲変更手段は、押し付け部材35などの分離手段のシート幅方向両端に設けられた保持部35bを保持する楕円形状の押し付け保持孔158aなどの保持孔を有し、回転可能に支持された押し付け保持部材158などの分離保持部材を備え、分離保持部材を回転させることで、回動範囲を変更する。
かかる構成を備えることで、変形例1で説明したように、押し付け部材35などの分離手段の回動範囲を変更することができる。
(態様16)
(態様14)において、回動範囲変更手段は、押し付け部材35などの分離手段(押し付け部材35の保持部35b)が突き当たり、分離手段の回動を規制する上部170cなどの分離用規制部を有し、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットに対してシート搬送方向にスライド移動可能に設けられたスライド部材170などの分離用スライド部材を備え、分離用スライド部材を、スライド移動させることで、分離用規制部の鉛直方向の位置が変更され、分離手段の回動範囲が変更される。
(態様14)によれば、変形例2で説明したように、スライド部材170などの分離用スライド部材を移動させて上部170cなどの規制部の位置を上方に変更すると、吸着位置から吸着ベルトユニットを揺動させていったとき、早期に押し付け部材35などの分離手段の保持部35bが、上部170cなどの規制部に突き当たる。これにより、分離手段の回動が停止し、分離手段の回動範囲を狭くすることができる。逆に、分離用スライド部材を移動させて上部170cなどの規制部の位置を下方に変更すると、吸着位置から吸着ベルトユニットを揺動させていったとき、分離手段が、規制部に当たるタイミングを遅くなる。その結果、分離手段の回動範囲を広くすることができる。
(態様17)
(態様14)において、回動範囲変更手段は、押し付け部材35などの分離手段(押し付け部材35の保持部35b)が突き当たり、分離手段の回動を規制する保持部規制穴177bの下端などの分離用規制部を有し、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットに対して回動自在に設けられた回動部材177などの分離用回動部材を備え、分離用回動部材を回動させることで、分離用規制部の鉛直方向の位置が変更され、分離手段の回動範囲が変更される。
(態様17)によれば、変形例3で説明したように、回動部材177などの分離用回動部材を回動させて、保持部規制穴177bの下端などの規制部の位置を鉛直方向上方に変更すれば、早期に押し付け部材35などの分離手段の保持部35bが、上部170cなどの規制部に突き当たる。これにより、分離手段の回動が停止し、分離手段の回動範囲を狭くすることができる。逆に、分離用回動部材を回動させて規制部の位置を下方に変更すると、吸着位置から吸着ベルトユニットを揺動させていったとき、分離手段が規制部に当たるタイミングを遅くなる。その結果、分離手段の回動範囲を広くすることができる。
(態様18)
(態様1)乃至(態様17)いずれかにおいて、切替手段を駆動する駆動源として、切替手段以外の手段を駆動する駆動源を用いた。
かかる構成を備えることで、切替手段専用の駆動源を設ける場合に比べて、駆動源の数を減らすことができ、装置のコストアップを抑制することができる。
(態様19)
(態様18)において、切替手段を駆動する駆動源として、前吸着ベルトを回転駆動させる駆動モータ24などの駆動源を用いた。
かかる構成を備えることで、図42を用いて説明したように、駆動源の数を減らすことができ、装置のコストアップを抑制することができる。
(態様20)
(態様1)乃至(態様19)いずれかにおいて、吸着ベルト2を張架する下流側張架ローラ5などの第1張架ローラと、第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する上流側張架ローラ6などの第2張架ローラとを有する吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットを備え、揺動機構120などの移動手段は、吸着ベルトユニット110のシート搬送方向下流側端部に取り付けられた第1駆動伝達部と、装置本体に取り付けられた第1駆動伝達部と噛み合う第2駆動伝達部とを備え、第1駆動伝達部と、第2駆動伝達部との噛み合いにより吸着ベルトユニット110を揺動させる。
かかる構成を備えることにより、上述したように、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットの揺動時に吸着ベルトユニットを両持ち支持することができ、吸着ベルトユニットの振動を抑制することができる。また、第1駆動伝達部と第2駆動伝達部との噛み合い位置を、吸着ベルトユニットの揺動の支点から離すことができるので、揺動機構120にかかる負荷を低減することができる。これにより、揺動モータ30の大型化を回避することができ、かつ、第1駆動伝達部と第2駆動伝達部との噛み合い部の磨耗を抑制することができる。
(態様21)
また、(態様1)乃至(態様20)いずれかにおいて、吸着ベルト2を張架する下流側張架ローラ5などの第1張架ローラと、第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する上流側張架ローラ6などの第2張架ローラとを有する吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットを備え、の吸着ベルトユニットは、張架ローラが、シート束の最上位シートに吸着ベルトを介して当接すると、張架ローラの支持が解除されるように、各張架ローラを支持した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、シート束1の最上位シート1aの高さ方向(図中上下方向)の位置が多少ずれていたり、シート束1が、傾いていたりしても、吸着ベルト2を、シート束1の最上位シート1aと確実に当接させることができる。
(態様22)
また、(態様1)乃至(態様21)いずれかにおいて、吸着ベルト2を張架する下流側張架ローラ5などの第1張架ローラと、第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する上流側張架ローラ6などの第2張架ローラとを有する吸着分離ユニット110を備え、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットは、第2張架ローラを、シート束の上面に対して所定範囲垂直方向に移動可能に支持した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、吸着分離ユニット110などの吸着ベルトユニットを揺動させるだけで、吸着ベルト2をシート束1の上面から離間させることができる。
(態様23)
シートに画像を形成する画像形成部50などの画像形成手段と、積載されたシート束から最上位シートを分離し、前記画像形成手段へ最上位シートを搬送するシート搬送装置200などのシート搬送手段とを備えた複写機100などの画像形成装置において、シート搬送手段として、(態様1)乃至(態様22)いずれかのシート搬送装置を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、高剛性のシートを用いた場合に吸着ベルトに吸着したシートが剥がれてしまうのを抑制することができ、良好なシート搬送を行って画像形成を行うことができる。また、低剛性のシートを用いた場合でも重送が生じるのを抑制することができ、ジャムが発生するのを抑制することができる。
1 シート束
1a 最上位シート
1b 2番目のシート
2 吸着ベルト
3 帯電部材
4 帯電電源
5 下流側張架ローラ
6 上流側張架ローラ
7 底板
8 支持部材
9 搬送ローラ対
10 ガイド部材
11 給紙カセット
12 ブラケット
12a 上流側長穴
12b 押し部材用長穴
13 ラックギヤ部
14 支持軸
15 ピニオンギヤ
16 回転軸
20 ハウジング
20a ハウジング本体部
20b 軸孔部
20c 固定用ビス
21 スプリング
22 軸受
23 リブ
24a モータ軸
24 駆動モータ
25 従動第2プーリ
26a 従動第1プーリ
26b 駆動第2プーリ
27 駆動第1プーリ
28 従動タイミングベルト
29 駆動タイミングベルト
30 揺動モータ
30a モータ軸
31 モータギヤ
32 従動ギヤ
35 押し当て部材
35a 部材本体部
35b 保持部
35c 圧縮スプリング設置部
35d 軸孔部
35e 固定用ビス
36 圧縮スプリング
41a 下端
46 バネ
47 従動プーリ
48 第1タイミングベルト
49 第2タイミングベルト
50 画像形成部
52 給紙部
53 レジストローラ
54 転写装置
55 定着装置
56 排紙ローラ対
57 排紙トレイ
58 原稿読取部
59a 原稿トレイ
59 自動原稿搬送装置
61 感光体
62 帯電装置
63 レーザー光
64 現像装置
65 感光体クリーニング装置
70 補強部材
80 揺動範囲変更機構
81 駆動タイミングベルト
83 ラック
84 ピニオンギヤ
86 プーリ
87 従動タイミングベルト
88 変更駆動手段
88a 駆動軸
91 制御部
92 操作入力部
93 温湿度計
100 複写機
103 電極部材
110 吸着分離ユニット
112 ブラケット
113 回転ギヤ
114 回動軸
115 回転ギヤ
116 モータ軸
117 回転モータ
120 揺動機構
121 ワイヤー
122 巻き上げ装置
130 駆動機構
140 シート検知手段
142 軸
143 透過型光学センサ
143a 受光部
143b 発光部
144 フィラー
150 切替モータ
157 ローラ保持部材
157a ローラ保持孔
158 押し付け保持部材
158a 押し付け保持孔
167 ローラ保持部材
167 多段プーリ
169 プーリ
169 ワンウェイクラッチ
170 スライド部材
170c 上部
170d ラックギヤ
171 ピニオンギヤ
177 回動部材
177a 軸規制穴
177b 保持部規制穴
177c ラックギヤ
178 ピニオンギヤ
185 保持部材
200 シート搬送装置
310 駆動プーリ
351a,351b 曲率部
352 溝部
特開2012−56711号公報

Claims (23)

  1. 積載されたシート束の上面に対向配置された回転可能な無端状の吸着ベルトと、
    前記シート束の最上位シートを前記吸着ベルトに吸着させる吸着手段とを備えたシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトに押し当てて、最上位シートが吸着する吸着領域を屈曲させて、最上位シート以外のシートを、前記吸着ベルトから分離させる分離手段を備え、
    前記分離手段の吸着ベルトとの接触面の曲率を、変更可能に構成したことを特徴とするシート搬送装置。
  2. 請求項1に記載のシート搬送装置において、
    前記分離手段は、曲率が互いに異なる複数の押し当て部を有し、
    前記吸着ベルトの内周面に押し当てる押し当て部を切り替える切替手段を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
  3. 請求項2に記載のシート搬送装置において、
    前記切替手段は、前記吸着ベルトに吸着させるシートの剛性に基づいて、前記吸着ベルトの内周面に押し当てる押し当て部を切り替えることを特徴とするシート搬送装置。
  4. 請求項3に記載のシート搬送装置において、
    前記切替手段は、前記シートの剛性が小さいほど、前記曲率の大きい押し当て部が吸着ベルトに押し当たるように切り替えることを特徴とするシート搬送装置。
  5. 請求項2乃至4いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記シート束と前記吸着ベルトとが接触関係にあり、前記シート束の最上位シートを前記吸着ベルトに吸着させる吸着位置から、前記シート束と前記吸着ベルトとが離間関係にあり、前記吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送する搬送位置へ、前記吸着ベルトをシート束の上面に対して傾斜させながら前記吸着ベルトを移動させる移動手段を備え、
    前記切替手段は、前記シートの剛性に応じて前記搬送位置での前記吸着ベルトとシート束の上面との傾斜角度を変更する傾斜角度変更手段を備え、
    前記分離手段を、前記傾斜角度に応じて、前記吸着ベルトの内周面に押し当てる押し当て部が変更されるように構成したことを特徴とするシート搬送装置。
  6. 請求項5に記載のシート搬送装置において、
    前記傾斜角度変更手段は、シートの剛性が小さいほど、前記傾斜角度が大きくなるように変更するものであり、
    前記傾斜角度が大きいほど、前記曲率の大きい押し当て部が吸着ベルトに押し当たるように構成したことを特徴とするシート搬送装置。
  7. 請求項5または6に記載のシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトを張架する第1張架ローラ、および該第1張架ローラよりもシート搬送方向上流側に位置し、前記吸着ベルトを張架する第2張架ローラを有し、前記第2張架ローラを、シート束の上面に対して所定範囲垂直方向に移動可能に支持する吸着ベルトユニットを備え、
    前記移動手段は、第2張架ローラよりもシート搬送方向上流側を支点にして前記吸着ベルトユニットを揺動させることにより、前記吸着位置から前記搬送位置へ、前記吸着ベルトをシート束の上面に対して傾斜させながら前記吸着ベルトを移動させるものであって、
    前記傾斜角度変更手段は、前記第2張架ローラの移動範囲を変更することにより、傾斜角度を変更することを特徴とするシート搬送装置。
  8. 請求項7のシート搬送装置において、
    前記傾斜角度変更手段は、前記第2張架ローラの軸を保持する楕円形状の保持孔を有し、回転可能に支持されたローラ保持部材を備え、前記ローラ保持部材を回転させることで、前記第2張架ローラの移動範囲を変更することを特徴とするシート搬送装置。
  9. 請求項7に記載のシート搬送装置において、
    前記傾斜角度変更手段は、前記第2張架ローラの軸が突き当たり、鉛直下向きの移動を規制する規制部を有し、前記吸着ベルトユニットに対してシート搬送方向にスライド移動可能に設けられたスライド部材を備え、前記スライド部材を、スライド移動させることで、前記規制部の鉛直方向の位置が変更され、前記第2張架ローラの移動範囲が変更されることを特徴とするシート搬送装置。
  10. 請求項7に記載のシート搬送装置において、
    前記傾斜角度変更手段は、前記第2張架ローラの軸が突き当たり、鉛直下向きの移動を規制する規制部を有し、前記吸着ベルトユニットに対して回動自在に設けられた回動部材を備え、前記回動部材を回動させることで、前記規制部の鉛直方向の位置が変更され、前記第2張架ローラの移動範囲が変更されることを特徴とするシート搬送装置。
  11. 請求項5乃至10いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記分離手段のシート搬送方向上流端側が、回転自在に支持されており、前記分離手段のシート搬送方向下流側端部から上流に向けて、複数の押し当て部が並べて設けられており、シート搬送方向下流側の押し当て部ほど、曲率を大きくしたことを特徴とするシート搬送装置。
  12. 請求項11に記載のシート搬送装置において、
    前記複数の押し当て部は、連続的に形成されていることを特徴とするシート搬送装置。
  13. 請求項11に記載のシート搬送装置において、
    前記複数の押し当て部が、それぞれ区切られて形成されていることを特徴とするシート搬送装置。
  14. 請求項11乃至13いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記切替手段は、前記分離手段の回動範囲を変更する回動範囲変更手段を備えることを特徴とするシート搬送装置。
  15. 請求項14に記載のシート搬送装置において、
    前記回動範囲変更手段は、前記分離手段のシート幅方向両端に設けられた保持部を保持する楕円形状の保持孔を有し、回転可能に支持された分離保持部材を備え、前記分離保持部材を回転させることで、回動範囲を変更することを特徴とするシート搬送装置。
  16. 請求項14に記載のシート搬送装置において、
    前記回動範囲変更手段は、前記分離手段が突き当たり、前記分離手段の回動を規制する分離用規制部を有し、前記分離手段に対してシート搬送方向にスライド移動可能に設けられた分離用スライド部材を備え、前記分離用スライド部材を、スライド移動させることで、前記分離用規制部の鉛直方向の位置が変更され、前記分離手段の回動範囲が変更されることを特徴とするシート搬送装置。
  17. 請求項14に記載のシート搬送装置において、
    前記回動範囲変更手段は、前記分離手段が突き当たり、前記分離手段の回動を規制する分離用規制部を有し、前記分離手段に対して回動自在に設けられた分離用回動部材を備え、前記分離用回動部材を回動させることで、前記分離用規制部の鉛直方向の位置が変更され、前記分離手段の回動範囲が変更されることを特徴とするシート搬送装置。
  18. 請求項乃至17いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記切替手段を駆動する駆動源として、前記切替手段以外の手段を駆動する駆動源を用いたことを特徴とするシート搬送装置。
  19. 請求項18に記載のシート搬送装置において、
    前記切替手段を駆動する駆動源として、前記吸着ベルトを回転駆動させる駆動源を用いたことを特徴とするシート搬送装置。
  20. 請求項1乃至19いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトを張架する第1張架ローラと、該第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する第2張架ローラとを有する吸着ベルトユニットと、
    前記シート束と前記吸着ベルトとが接触関係にあり、前記シート束の最上位シートを前記吸着ベルトに吸着させる吸着位置から、前記シート束と前記吸着ベルトとが離間関係にあり、前記吸着ベルトに吸着した最上位シートを搬送する搬送位置へ、前記吸着ベルトをシート束の上面に対して傾斜させながら前記吸着ベルトを移動させる移動手段とを備え、
    前記移動手段は、前記吸着ベルトユニットのシート搬送方向下流側端部に取り付けられた第1駆動伝達部と、装置本体に取り付けられた上記第1駆動伝達部と噛み合う第2駆動伝達部とを備え、上記第1駆動伝達部と、上記第2駆動伝達部との噛み合いにより上記吸着ベルトユニットを揺動させることを特徴とするシート搬送装置
  21. 請求項1乃至20いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトを張架する第1張架ローラと、該第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する第2張架ローラとを有する吸着ベルトユニットを備え、
    前記吸着ベルトユニットは、前記第1張架ローラおよび前記第2張架ローラが、前記シート束の最上位シートに上記吸着ベルトを介して当接すると、前記第1張架ローラおよび前記第2張架ローラの支持が解除されるように、各張架ローラを支持したことを特徴とするシート搬送装置。
  22. 請求項1乃至21いずれかに記載のシート搬送装置において、
    前記吸着ベルトを張架する第1張架ローラと、該第1張架ローラのシート搬送方向上流側に位置する第2張架ローラとを有する吸着ベルトユニットを備え、
    前記吸着ベルトユニットは、前記第2張架ローラを、シート束の上面に対して所定範囲垂直方向に移動可能に支持したことを特徴とするシート搬送装置。
  23. シートに画像を形成する画像形成手段と、
    積載されたシート束から最上位シートを分離し、前記画像形成手段へ前記最上位シートを搬送するシート搬送手段とを備えた画像形成装置において、
    前記シート搬送手段として、請求項1乃至22いずれかに記載のシート搬送装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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