JP6208060B2 - ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法 - Google Patents

ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガスセンサの使用開始にあたってセンサ素子を昇温する際に適用する昇温プロファイルの設定方法に関する。
従来より、被測定ガス中の所望のガス成分の濃度を知るために、各種のガスセンサが用いられている。例えば、燃焼ガス等の被測定ガス中のNOx濃度を測定する装置として、ジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質を用いて形成したセンサ素子を備えるNOxセンサが公知である(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1には、素子内に設けられた空所(内部空所)内に被測定ガスを導入することによってNOx濃度を求めるガスセンサにつき、これを構成するセンサ素子の作製プロセスが開示されている。特に、特許文献1には、3つの内部空所を備えたいわゆる3室構造型のセンサ素子が開示されている。
また、特許文献2には、センサ素子の昇温過程でのヒータ抵抗値の時間変化を指数関数(1次遅れ関数)に近似した曲線等を用いる態様が開示されている。
特開平9−113484号公報 特許第434486号公報
特許文献1および特許文献2に開示されているようなガスセンサの使用を開始するにあたっては、センサ素子を測定可能な状態とするために、センサ素子を素子内部に備わるヒータにて所定の動作温度にまで昇温し、かつ、測定電極が備わる内部空所における酸素濃度が、実質的に酸素が存在していないとみなすことができる所定の値以下となるまで、当該内部空所から酸素を汲み出しておかねばならない。使用開始のためにガスセンサに対して通電を開始した後、係る使用可能な状態に至るまでの時間を、ライトオフ時間と称する。
ライトオフ時間は短い方がよく、そのためには、センサ素子をできるだけ早く動作温度にまで加熱することが求められるが、一方で、昇温速度を大きくしすぎると、センサ素子に作用する熱応力が原因となって、センサ素子にクラックが生じてしまうという問題がある。
しかしながら、従来はせいぜい、クラックが発生しないことが経験的に確認されてなる一定の昇温速度で昇温がなされるか、あるいは、特許文献2に開示されているような、実測したヒータ抵抗が所定値に到達する度にヒータ抵抗の増加率を下げるというフィードバック制御が使用されているに過ぎなかった。これらは必ずしも、クラック発生の抑制とライトオフ時間の短縮との両立という観点から最適化されたものではなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、クラックの発生を確実に抑制しつつセンサ素子を迅速に昇温させることが可能な昇温プロファイルの設定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ガスセンサに備わる、酸素イオン伝導性の固体電解質からセンサ素子を、前記ガスセンサの使用開始時に昇温するための昇温プロファイルの設定方法であって、前記センサ素子が、被測定ガスが導入される内部空所と、前記内部空所に設けられてなる測定電極と、前記内部空所と異なる部位に設けられたポンプ電極と、前記固体電解質からなる電気化学的ポンプセルと、前記センサ素子を加熱するためのヒータと、を備えており、前記ガスセンサが、前記被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を、前記電気化学的ポンプセルにおけるポンプ電流に基づいて特定するものであり、前記昇温プロファイルが、前記ガスセンサの起動時に前記ヒータによって前記センサ素子を昇温する際の昇温時間に対する設定昇温温度の変化を表すものである場合において、前記ヒータによって所定のプロファイル設定用温度に昇温した複数の前記センサ素子のそれぞれについて、前記ヒータによる急速昇温を、クラックが発生するまで昇温速度を違えつつ繰り返す急速昇温工程と、前記所定のプロファイル設定用温度についての、前記急速昇温工程における前記複数の前記センサ素子におけるクラック発生の累積度数である故障率を、前記昇温速度を分布パラメータとしてワイブルプロットする故障率プロット工程と、前記故障率プロット工程におけるワイブルプロットの結果から故障率が1ppmとなる昇温速度を昇温速度上限として特定する昇温速度上限特定工程と、前記センサ素子の動作温度以上の温度を含む相異なる複数のプロファイル設定用温度についての前記昇温速度上限に基づいて、昇温温度に対する前記昇温速度上限の変化を表す昇温速度上限曲線を定める昇温速度上限曲線設定工程と、前記昇温プロファイルを、任意の温度における昇温速度が当該温度についての前記昇温速度上限曲線上の値を超えない範囲で任意の関数として定める、昇温プロファイル設定工程と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、前記昇温プロファイル設定工程においては、前記昇温プロファイルを、任意の温度における昇温速度が前記昇温速度上限曲線上の値を超えない範囲で上に凸の関数として定める、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、前記昇温プロファイル設定工程が、任意の温度における昇温速度が前記昇温速度上限曲線上の値を超えない範囲で、昇温温度に対する昇温速度の変化を表す昇温速度基準曲線を定める基準曲線設定工程と、昇温速度が前記昇温速度基準曲線に従う仮昇温プロファイルを設定する仮プロファイル設定工程と、前記センサ素子の前記動作温度を最高値とした複数の制御切替温度を設定する制御切替温度設定工程と、前記ガスセンサの起動時の前記センサ素子の温度である昇温開始温度から前記動作温度までの温度範囲を、前記複数の制御切替温度のそれぞれを境界値とした複数の段階に分割する多段分割工程と、前記複数の段階のそれぞれにおける前記仮プロファイルの近似直線の傾きを当該段階における前記昇温速度として設定することにより前記昇温プロファイルを得る近似直線設定工程と、を有することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、前記複数の段階を4段階以上とする、ことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、前記複数の段階を10段階以下とする、ことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、前記複数の段階を5段階以上10段階以下とする、ことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項3ないし請求項6のいずれかに記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、前記基準曲線設定工程においては、前記基準曲線を、前記複数のプロファイル設定用温度における昇温速度上限の1/3の値を通るように定める、ことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1または請求項2に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、前記昇温プロファイル設定工程が、任意の温度における昇温速度が前記昇温速度上限曲線上の値を超えない範囲で、昇温温度に対する昇温速度の変化を表す昇温速度基準曲線を定める基準曲線設定工程と、昇温速度が前記昇温速度基準曲線に従うように昇温プロファイルを設定する設定工程と、を有することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、前記センサ素子が、前記内部空所として、外部空間と所定の拡散抵抗のもとで連通する第1の内部空所と、前記第1の内部空所と所定の拡散抵抗のもとで連通する第2の内部空所と、前記第2の内部空所と所定の拡散抵抗のもとで連通する第3の内部空所と、を備えており、前記測定電極が前記第3の内部空所に設けられてなる、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項9の発明によれば、ガスセンサの使用開始時にセンサ素子を昇温させるための昇温プロファイルを、センサ素子を急速昇温した場合のクラックの発生状況に基づいて定めることで、クラックの発生を確実に抑制しつつセンサ素子を迅速に昇温させることが可能となる。
ガスセンサ100の構造を模式的に示す、長手方向に沿った断面図である。 昇温プロファイルの設定の手順を示す図である。 ステップS4およびステップS6における設定温度プロファイルを模式的に示す図である。 昇温速度vを分布パラメータtとしたときの故障率F(t)のワイブルプロット結果を示す図である。 昇温速度上限vkをプロファイル設定用温度Tk(T1〜T5)に対してプロットした結果を示す図である。 図5に示した設定基準曲線C2に忠実に沿うように昇温速度を定めた場合の昇温プロファイルPF1を示す図である。 昇温プロファイルPF2を模式的に示す図である。 制御段数と昇温時間との関係を示す図である。
<ガスセンサの概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るガスセンサ100の構造を模式的に示す、長手方向に沿った断面図である。本実施の形態に係るガスセンサ100は、被測定ガス中の所定の測定対象ガス成分を検出し、その濃度を求めるためのものである。その要部たるセンサ素子101は、酸素イオン伝導性固体電解質であるジルコニアを主成分とするセラミックスを構造材料として構成されてなる。なお、以下においては、測定対象ガス成分がNOxガスである場合を例として説明を行う。
概略的には、センサ素子101は、それぞれが酸素イオン伝導性固体電解質からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された構造を有する。
センサ素子101の一先端部側であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、第1内部空所20と、第2拡散律速部30と、第2内部空所40、第3拡散律速部45と、第3内部空所80とが備わっている。さらに、第1拡散律速部11と第1内部空所20との間には、緩衝空間12と、第4拡散律速部13とが設けられていてもよい。ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第4拡散律速部13と、第1内部空所20と、第2拡散律速部30と、第2内部空所40と、第3拡散律速部45と、第3内部空所80とは、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。ガス導入口10から第3内部空所80に至る部位を、ガス流通部とも称する。
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40と、第3内部空所80とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた内部空間である。緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40と、第3内部空所80とはいずれも、上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されてなる。
第1拡散律速部11、第2拡散律速部30、第4拡散律速部13、および、第3拡散律速部45はいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。
また、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、ガス流通部よりも先端側から遠い位置には、基準ガス導入空間43が設けられてなる。基準ガス導入空間43は、上部をスペーサ層5の下面で、下部を第3基板層3の上面で、側部を第1固体電解質層4の側面で区画された内部空間である。基準ガス導入空間43には、基準ガスとして、例えば酸素や大気が導入される。
ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれる。
第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。なお、ガス導入口10を設けず、第1拡散律速部11の端部がセンサ素子101の端部となるようにセンサ素子101を構成し、第1拡散律速部11がガス導入口10の役割を果たすようにしてもよい。
緩衝空間12は、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によって生じる被測定ガスの濃度変動を、打ち消すことを目的として設けられる。なお、センサ素子101が緩衝空間12を備えるのは必須の態様ではない。
第4拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに、所定の拡散抵抗を付与する部位である。第4拡散律速部13は、緩衝空間12が設けられることに付随して設けられる部位である。
緩衝空間12および第4拡散律速部13が設けられない場合は、第1拡散律速部11と第1内部空所20とが直接に連通する。
第1内部空所20は、ガス導入口10から導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられる。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
主ポンプセル21は、第1内部空所20を区画する第1固体電解質層4の上面、第2固体電解質層6の下面、および、スペーサ層5の側面のそれぞれのほぼ全面に設けられた内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の内側ポンプ電極22と対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた酸素イオン伝導性固体電解質とを含んで構成される電気化学的ポンプセル(第1の電気化学的ポンピングセル)である。内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、平面視矩形状の多孔質サーメット電極(例えば、0.1wt%〜30.0wt%のAuを含むPtなどの貴金属とZrOとのサーメット電極)として形成される。なお、内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNO成分に対する還元能力を弱めた、あるいは、還元能力のない材料を用いて形成される。すなわち、内側ポンプ電極22は、NO成分に対する還元性が抑制された低NO還元性ポンプ電極として設けられる。
主ポンプセル21においては、センサ素子101外部に備わる可変電源24によりポンプ電圧Vp0を印加して、外側ポンプ電極23と内側ポンプ電極22との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20内に汲み入れることが可能となっている。
また、センサ素子101においては、内側ポンプ電極22と、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる基準電極42と、これらの電極に挟まれた酸素イオン伝導性固体電解質とによって、電気化学的センサセルである第1酸素分圧検出センサセル60が構成されている。基準電極42は、外側ポンプ電極等と同様の多孔質サーメットからなる平面視ほぼ矩形状の電極である。また、基準電極42の周囲には、多孔質アルミナからなり、基準ガス導入空間につながる基準ガス導入層48が設けられてなり、基準電極42の表面に基準ガス導入空間43の基準ガスが導入されるようになっている。第1酸素分圧検出センサセル60においては、第1内部空所20内の雰囲気と基準ガス導入空間43の基準ガスとの間の酸素濃度差に起因して内側ポンプ電極22と基準電極42との間に起電力V0が発生する。
第1酸素分圧検出センサセル60において生じる起電力V0は、第1内部空所20に存在する雰囲気の酸素分圧に応じて変化する。センサ素子101においては、係る起電力V0が、主ポンプセル21の可変電源24をフィードバック制御するために使用される。これにより、可変電源24が主ポンプセル21に印加するポンプ電圧Vp0を、第1内部空所20の雰囲気の酸素分圧に応じて制御することができる。本実施の形態に係るセンサ素子101においては、第1内部空所20の雰囲気の酸素分圧が、第2内部空所40において酸素分圧制御が行え得る程度に十分低い所定の値となるように、可変電源24が主ポンプセル21に印加するポンプ電圧Vp0が制御される。
第2拡散律速部30は、第1内部空所20から第2内部空所40に導入される被測定ガスに、所定の拡散抵抗を付与する部位である。
第2内部空所40は、第2拡散律速部30を通じて導入された該被測定ガスにおける可燃性ガス成分を、炭化水素ガスのみとする処理を行うための空間として設けられる。
補助ポンプセル50は、第2内部空所40を区画する第1固体電解質層4の上面、第2固体電解質層6の下面、および、スペーサ層5の側面のそれぞれのほぼ全面に設けられた補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた酸素イオン伝導性固体電解質とを含んで構成される、補助的な電気化学的ポンプセル(第2の電気化学的ポンピングセル)である。補助ポンプ電極51も、外側ポンプ電極23および内側ポンプ電極22と同様、平面視矩形状の多孔質サーメット電極として形成される。なお、外側ポンプ電極23を用いることは必須の態様ではなく、外側ポンプ電極23に代えて、センサ素子101の外面に設けられた他のサーメット電極が補助ポンプセル50の外側ポンプ電極を構成する態様であってもよい。
係る補助ポンプセル50においては、センサ素子101外部に備わる可変電源52によりポンプ電圧Vp1を印加して、外側ポンプ電極23と補助ポンプ電極51との間に正方向にポンプ電流Ip1が流れるようにすることにより、第2内部空所40から酸素を汲み出すことが可能となっている。
また、センサ素子101においては、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、これらの電極に挟まれた酸素イオン伝導性固体電解質とによって、電気化学的センサセルである第2酸素分圧検出センサセル61が構成されている。第2酸素分圧検出センサセル61においては、第2内部空所40内の雰囲気と基準ガス導入空間43の基準ガス(大気)との間の酸素濃度差に起因して補助ポンプ電極51と基準電極42との間に起電力V1が発生する。
第2酸素分圧検出センサセル61において生じる起電力V1は、第2内部空所40に存在する雰囲気の酸素分圧に応じて変化する。センサ素子101においては、係る起電力V1が、補助ポンプセル50の可変電源52をフィードバック制御するために使用される。これにより、可変電源52が補助ポンプセル50に印加するポンプ電圧Vp1を、第2内部空所40の雰囲気の酸素分圧に応じて制御することができる。本実施の形態に係るセンサ素子101においては、第2内部空所40の雰囲気の酸素分圧が、NOx濃度の測定に実質的に影響のない程度の十分低い所定の値となるように、可変電源52が補助ポンプセル50に印加するポンプ電圧Vp1が制御される。
第3拡散律速部45は、第2内部空所40から第3内部空所80に導入される被測定ガスに、所定の拡散抵抗を付与する部位である。
第3内部空所80は、第3拡散律速部45を通じて導入された該被測定ガス中のNOxガスの濃度測定に係る処理を行うための空間として設けられる。センサ素子101においては、測定ポンプセル47が作動することにより、第3内部空所80に存在する酸素を汲み出すことができるようになっている。測定ポンプセル47は、外側ポンプ電極23と、測定電極44と、これらの電極に挟まれた酸素イオン伝導性固体電解質とを含んで構成される電気化学的ポンプセル(測定ポンピングセル)である。
測定電極44は、第3内部空所80に備わる平面視ほぼ矩形状の多孔質サーメット電極である。測定電極44は、NOxガスを還元し得る金属と、ジルコニアからなる多孔質サーメットにて構成される。金属成分としては、主成分であるPtに、Rhを添加したものを用いることができる。これによって、測定電極44は、第3内部空所80内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。係る測定電極44においては、その触媒活性作用によって被測定ガス中のNOxが還元あるいは分解されることによって酸素が生じる。
また、センサ素子101には、測定センサセル41が備わっている。測定センサセル41は、測定電極44と、基準電極42と、これらの電極に挟まれた酸素イオン伝導性固体電解質とによって構成される電気化学的センサセルである。測定センサセル41においては、第3内部空所80内の雰囲気(特に測定電極44の表面近傍の雰囲気)と基準ガス導入空間43の基準ガスとの間の酸素濃度差に応じて、測定電極44と基準電極42との間に起電力V2が生じる。センサ素子101においては、係る起電力V2に基づいて、センサ素子101の外部に設けられた測定ポンプセル47の可変電源46をフィードバック制御することにより、可変電源46が測定ポンプセル47に印加するポンプ電圧Vp2を、第3内部空所80内の雰囲気の酸素分圧に応じて制御するようになっている。
ただし、被測定ガスは、第1内部空所20および第2内部空所40において酸素が汲み出されたうえで第3内部空所80に到達することから、第3内部空所80内の雰囲気中に酸素が存在する場合、それは、測定電極44におけるNOxの分解によって生じたものである。それゆえ、測定ポンプセル47を流れる電流(NOx電流)Ip2は被測定ガス中のNOx濃度に略比例する(NOx電流Ip2とNOx濃度とが線型関係にある)ことになる。センサ素子101においては、係るNOx電流Ip2を検出し、あらかじめ特定しておいたNOx電流Ip2とNOx濃度との関数関係(線形関係)に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を求めるようになっている。
なお、センサ素子101においては、外側ポンプ電極23と基準電極42との間に生じる起電力Vrefを測定することにより、センサ素子101外部の酸素分圧を知ることもできるようになっている。
さらに、センサ素子101においては、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて、ヒータ70が形成されてなる。ヒータ70は、第1基板層1の下面に設けられた図示しないヒータ電極を通して外部から給電されることより発熱する。ヒータ70が発熱することによって、センサ素子101を構成する固体電解質の酸素イオン伝導性が高められる。ヒータ70は、第1内部空所20から第2内部空所40の全域に渡って埋設されており、センサ素子101の所定の場所を所定の温度に加熱、保温することができるようになっている。なお、ヒータ70の上下面には、第2基板層2および第3基板層3との電気的絶縁性を得る目的で、アルミナ等からなるヒータ絶縁層72が形成されている(以下、ヒータ70、ヒータ電極、ヒータ絶縁層72をまとめてヒータ部とも称する)。
<ガスセンサ使用開始時の昇温プロファイル設定>
次に、本実施の形態に係るガスセンサ100の使用を開始するにあたって、センサ素子101をヒータ70にて所定の動作温度(例えば700℃〜900℃)にまで昇温する際の、昇温プロファイルの設定の仕方について説明する。本実施の形態においては、センサ素子101にクラックが生じることのない範囲で昇温プロファイルを設定する。
図2は、係る昇温プロファイルの設定の手順を示す図である。
まず、複数のプロファイル設定用温度Tk(kは自然数でk=1〜n)を適宜の温度間隔にて、kの値が大きいほど高い温度となるように定める(ステップS1)。プロファイル設定用温度は必ずしも等温度間隔である必要はないが、少なくとも上限となる温度k=nの時のプロファイル設定用温度Tnについてはセンサ素子101の動作温度と同じ温度か、動作温度よりも100℃程度高い温度までの範囲で設定するのが好ましい。以下においては、センサ素子101の動作温度を830℃とし、T1=120℃、T2=320℃、T3=520℃、T4=710℃、T5=890℃の場合を例として説明する。
次に、各プロファイル設定用温度Tkごとにm個の、すなわちn×m=nm個のセンサ素子101を用意する(ステップS2)。
次に、k=1の場合(ステップS3)について、プロファイル設定用温度Tk用のm個のセンサ素子101を、ヒータ70によって該プロファイル設定用温度Tkまで昇温する(ステップS4)。このときの昇温速度は、センサ素子101にクラックが発生しないことが経験的に確認されてなる値とする。なお、ヒータ70によってセンサ素子101を昇温させる際の昇温速度は、ヒータ70に印加する電圧を調整することによって制御可能である。また、センサ素子101の実際の温度は、放射温度計やヒータ抵抗値などから把握することが出来る。
そして、センサ素子101の温度をプロファイル設定用温度T1で安定させた後、i=1、j=1の場合(ステップS5)について、i個目のセンサ素子101をそのヒータ70により昇温速度vにて急速昇温させる(ステップS6)。ただし、iは1〜mの自然数であり、jは1以上の自然数である。また、昇温速度vは時間に対する温度の変化率であって、v=(dT/dt)とも表す。
図3は、ステップS4およびステップS6における設定温度プロファイルを模式的に示す図である。係る設定温度プロファイルはヒータ70に対する印加電圧プロファイルの縦軸を温度に置き換えたものに相当する。
まずステップS4にて室温からプロファイル設定用温度Tkまで所定の速度にてセンサ素子101を昇温し、当該プロファイル設定用温度Tkにてセンサ素子101を所定時間保った後、ステップS6にて昇温速度vでセンサ素子101を急速昇温する。係る急速昇温の後は直ちにセンサ素子101の温度をもとのプロファイル設定用温度Tkまで低下させる。より詳細には、図3に示すように、急速昇温は時間Δtの間の三角波の印加によって行うものとし、図3においては、急速昇温開始後、係る時間Δtの間における最高到達温度をTpと表している。
次に、急速昇温を行った結果として、センサ素子101にクラックが発生しているか否かを目視等にて確認する(ステップS7)。
急速昇温の結果、センサ素子101にクラックが発生していない場合(ステップS7でNO)、j=j+1(ステップS8)とし、ステップS6に戻って同じセンサ素子101を昇温速度vよりも大きな昇温速度vj+1にて急速昇温する。換言すると、これは、センサ素子101にクラックが発生するまで、昇温速度を高めつつ急速昇温を繰り返す処理である。
急速昇温の結果、センサ素子101にクラックが発生していた場合(ステップS7でYES)、i≠mつまりは急速昇温を行っていないセンサ素子101が残っている場合(ステップS9でNO)は、i=i+1(ステップS10)として、i+1個目のセンサ素子101について、ステップS6およびステップS7を繰り返す。
なお、ステップS6およびステップS7は、m個のセンサ素子101に対し同時並行で行うようにしてもよい。
i=mつまりは全てのセンサ素子101について急速昇温を行いクラックが発生した場合(ステップS9でYES)は、プロファイル設定用温度Tkについて、昇温速度vとクラック発生の累積度数(故障率)との関係をワイブルプロットする(ステップS11)。
図4は、昇温速度vを分布パラメータtとしたときの故障率F(t)のワイブルプロット結果を示す図である。図4においては、m=8の場合を例示しており、図中、黒丸印がi=1〜8の8個のセンサ素子101についてのプロット結果を表している。
そして、ワイブルプロットが得られると、そのプロット結果から故障率F(t)が1ppm=0.0001%のときの昇温速度vを見積り、その値をプロファイル設定用温度Tkにおける昇温速度上限vkとする(ステップS12)。
具体的には、図4に示すような近似曲線Cを描き、その外挿点を故障率F(t)が1ppmのときの昇温速度vを読み取って昇温速度上限vkとする。近似曲線Cの設定には、最小二乗法などの公知の手法を適用可能である。なお、図4に示す場合においては、故障率F(t)が1%以下のところで近似曲線Cはほぼ直線となっている。
k≠nつまりは昇温速度上限vkを定めていないプロファイル設定用温度Tkがある場合(ステップS13でNO)には、k=k+1(ステップS14)としたうえで、ステップS4からステップS12を繰り返す。すなわち、全てのプロファイル設定用温度Tkについて昇温速度上限vkを定める。
k=nつまりは全てのプロファイル設定用温度Tkについて昇温速度上限vkを定めた場合(ステップS13でYES)は、それらn個の昇温速度上限vk(v1〜v5)をプロファイル設定用温度Tkに対してプロットし、その結果に基づいて、ガスセンサ100の使用を開始する際の昇温プロファイルを得る(ステップS15)。
図5は、昇温速度上限vk(v1〜v5)をプロファイル設定用温度Tk(T1〜T5)に対してプロットした結果を示す図である。図5においては、各昇温速度上限v1〜v5を表すデータ点を黒四角印にて示すとともに、それらのデータ点についての近似曲線である昇温上限曲線C1を示している。昇温上限曲線C1の設定には、最小二乗法などの公知の手法を適用可能である。昇温上限曲線C1は、横軸の温度(ヒータ温度)にまでセンサ素子101を加熱する際に取り得る昇温速度の上限を表している。また、図5においては、それぞれの温度T1〜T5について、i=1〜8の8個のセンサ素子101にクラックが発生した昇温速度vの平均値を黒丸印で示すとともに、それらの平均値を通る曲線CLを概略的に示しているが、該曲線CLは、クラック発生の確実性が高くなるクラック限界に相当する。
図5に示した結果は、クラックを発生させることなくセンサ素子101を昇温するには、高い温度にまで昇温するほど、昇温速度を小さくする必要があることを意味している。その一方で、低温側では、昇温速度は比較的大きくてもよいということも示唆している。これは、ライトオフ時間の短縮に有効である。なぜならば、ライトオフ時間を短縮するには、ガスセンサ100の起動後、測定ポンプセル47によって測定電極44が備わる第3内部空所80から酸素をできるだけ早く排出する必要があるところ、センサ素子101の温度がある程度高くなって抵抗値が安定したうえでないと、測定ポンプセル47を作動させることが出来ないからである。
また、昇温速度が昇温上限曲線C1に沿って変化するように昇温プロファイルを定めれば、プロファイル設定用温度Tk以外の温度においても、理論上は、故障率が十分に小さい範囲での昇温が可能となる。
ただし、実際のセンサ素子101の温度上昇には、場所による温度不均一や応答時間の遅れやオーバーシュートなどが生じることがあり、その結果として、昇温途中において一時的にではあってもクラック限界以上の昇温速度で昇温がなされてしまうことが起こり得る。
クラック発生をより確実に抑制するという観点からは、昇温上限曲線C1そのものを用いて昇温プロファイルを定めるよりも、一定の安全率を見込んだうえで昇温プロファイルを決定するのが好ましい。
そのような昇温プロファイルの設定の仕方には、種々の態様があるが、以下においては、その一例として、各プロファイル設定用温度Tkの昇温速度上限vkを3で割った値であるλk=vk/3を昇温プロファイル設定の基準(基準速度)に用いる場合について説明する。なお、昇温速度上限vkを3で割った値を基準速度λkとすることは必須の態様ではなく、他の値(整数はなくてもよい)で割った値を用いるようにしてもよい。
この場合、具体的には、図5に示すように、各プロファイル設定用温度T1〜T5について基準速度λkを表すデータ点を黒三角印にてプロットするとともに、それらのデータ点についての近似曲線である設定基準曲線C2を求め、該設定基準曲線C2に基づいて、昇温プロファイルを定めるようにする。設定基準曲線C2の設定には、昇温上限曲線C1の場合と同様、公知の手法を適用可能である。
図6は、図5に示した設定基準曲線C2に忠実に沿うように昇温速度を定めた場合の昇温プロファイルPF1を示す図である。すなわち、昇温プロファイルPF1は、任意の温度について、当該温度での昇温速度が設定基準曲線C2上の値となっている、という条件をみたすプロファイルとなっている。係る昇温プロファイルPF1は、図6に示したように、昇温開始速度がもっとも昇温速度が大きく、徐々に昇温速度が小さくなる上に凸の曲線(関数)として得られている。もっとも、昇温プロファイルは上に凸の曲線(関数)である必要はなく、下に凸などの任意の曲線(関数)であってもよい。図6に示した昇温プロファイルPF1によれば、ガスセンサ100の使用開始にあたって、センサ素子101のヒータ70に通電して昇温を開始した後、30秒以内に、センサ素子101を動作温度である830℃にまで昇温することができることになる。
いったんこのような昇温プロファイルPF1を作成しておけば、同一のプロセスにて作成したセンサ素子101については、係る昇温プロファイルPF1を適用した昇温を行うことで、クラックを生じさせることなく動作温度まで迅速に加熱することが可能となる。
ただし、図6に示した昇温プロファイルPF1に基づく昇温を行う場合、素子温度に到達するまでの温度変化が曲線的であるため、その変化率である昇温速度を連続的に変化させる必要があることから、制御が煩雑なものとなる。一方で、そもそも、実際のセンサ素子101の温度上昇においては設定した昇温プロファイルに必ずしも忠実に従うわけではなく、過渡的に時間遅れやオーバーシュートなどが生じることがあるため、そこまでの煩雑な制御を行わず、ある程度の範囲であれば、プロファイルを単純化したとしても、効果はさほど変わらないことも、すでに確認されている。
たとえば、図7は、この点を考慮してなる昇温プロファイルPF2を模式的に示す図である。昇温プロファイルPF2は、昇温開始温度と、昇温プロファイルPF1上の複数の制御切替温度および動作温度における点を順次に直線で結んでなるものである。すなわち、昇温プロファイルPF2は、昇温開始温度から動作温度に到達するまでの間を複数の段階に分割し、各制御切替温度に到達するまではそれぞれ一定の昇温速度にて加熱する、という態様(多段制御)にて昇温を行うものである。換言すれば、係る昇温プロファイルPF2は、いったん昇温プロファイルPF1を仮のプロファイルとして求めておき、昇温開始温度から動作温度までの温度範囲を、複数の制御切替温度のそれぞれを境界値とした複数の段階に分割したうえで、それら複数の段階のそれぞれにおける仮プロファイルの近似直線の傾きを当該段階における昇温速度として設定することにより、得られたものであるといえる。
図7に示す場合であれば、時刻0における昇温開始後、4つの制御切替温度Ta(到達時刻t1)、Tb(到達時刻t2)、Tc(到達時刻t3)、Td(到達時刻t4)、および動作温度Te(到達時刻t5)にそれぞれ到達した時点で、昇温速度を切り替える5段階の制御を行うようにしている。なお、昇温プロファイルPF1は通常、図6に示したように、昇温開始速度がもっとも昇温速度が大きく、徐々に昇温速度が小さくなることから、これに基づいて設定される多段制御用の昇温プロファイルPF2においても、昇温開始速度がもっとも昇温速度が大きく、徐々に昇温速度が小さくなる。
なお、制御切替温度の設定数(制御段数)は、動作温度を含め4段以上に設定するのが好ましく、5段以上とするのがより好ましい。制御段数が3段以下であると、昇温プロファイルPF1との乖離が大きくなるため好ましくない。
一方、制御段数の上限に特段の制限はないが、制御段数を多くするほど昇温プロファイルPF1に近づき、昇温プロファイルを単純化するという多段制御のメリットが失われることから、実用上は10段階以内の範囲とするのが好ましい。
図8は、これらの点を説明するための、制御段数と昇温時間との関係を示す図である。
図8において、グラフGaは、昇温プロファイルPF1に基づいて制御段数を1段から18段まで違えたときの、センサ素子101が動作温度830℃に到達するまでの時間を表している。なお、制御段数が1段の場合とは、初めから一定の昇温速度にてセンサ素子101を昇温した場合に該当する。具体的には、図5に示した設定基準曲線C2の830℃における値を昇温速度とした昇温を行った場合がこれにあたる。また、制御段数が複数の場合、最終の制御切替温度は動作温度であるが、途中の制御切替温度は概ね等温度間隔で設定している。
また、グラフGbは、図5に示した昇温上限曲線C1に基づいて図6に示した昇温プロファイルPF1と同様の昇温プロファイルを作成し、当該プロファイルに基づいて制御段数を違えた場合の結果である。
グラフGaおよびグラフGbのいずれも、制御段数が多くなるほど昇温時間は低下していき、やがては飽和する、という変化をしている。なお、グラフGaの飽和値は概ね、昇温プロファイルPF1において動作温度に到達するまでの時間と同じである。また、詳細は省略するが、グラフGbについても、対応する図示しない昇温プロファイルにおける同様の時間と概ね同じとなっている。
そして、グラフGaの場合であれば、制御段数が4段とした場合に、昇温時間と飽和値との差が10秒強となっており、5段以上とした場合には、係る差異は10秒以下にまで低減されてなる。同様に、グラフGbの場合であれば、制御段数が4段以上とした場合に、昇温時間と飽和値との差が5秒以下にまで低減されてなる。
さらに、グラフGaについていえば、制御段数を4段以下とした場合には、グラフGbで制御段数が1段の場合と同程度以下の昇温時間が実現されてなる。このことは、昇温上限曲線C1よりも総じて昇温速度が小さい設定基準曲線C2に基づいて昇温プロファイルを設定する場合であっても、多段制御とすることで、クラック発生の可能性をより低減しつつ、迅速なセンサ素子101の昇温が可能であることを意味している。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、ガスセンサの使用開始時にセンサ素子を昇温させるための昇温プロファイルを、センサ素子を急速昇温した場合のクラックの発生状況に基づいて定めることで、具体的には、室温から素子動作温度までの温度範囲において急速昇温を行った際の故障率が1ppm以下となるように昇温プロファイルを定めることで、クラックの発生を確実に抑制しつつセンサ素子を迅速に昇温させることが可能となる。係る昇温プロファイルにおいては、低温の範囲における昇温速度を比較的大きくできることから、ライトオフ時間の短縮に効果がある。
しかも、昇温開始温度からセンサ素子の動作温度に到達するまでの間、動作温度を含めあらかじめ4段階〜10段階に定めた制御切替温度に到達するまではそれぞれ一定の昇温速度にて加熱する、という多段制御の態様にて昇温を行うことで、制御が単純化された昇温プロファイルを使用しつつも、クラックの発生を確実に抑制しつつセンサ素子を迅速に昇温させることが可能となる。
(実施例)
図8のグラフGaにおいて制御段数が5段の場合についての、実際のセンサ素子101の昇温速度変化の様子を、図5において曲線C3として示す。すなわち、曲線C3は、上述の実施の形態において設定した昇温プロファイルに基づいて、センサ素子101が実際にどのような態様にて昇温をされているのかを示している。
曲線C3を見ると、若干の変動はあるが、概ね、設定基準曲線C2に沿って昇温速度が変化していることがわかる。昇温時間は図8に示すように35秒であった。また、曲線C3は昇温上限曲線C1を下回っており、かつ、昇温後のセンサ素子101にクラックの発生は確認されなかった。なお、曲線C3の低温部分において設定基準曲線C2との乖離が大きいのは、昇温に使用した制御装置が昇温開始時に高い昇温速度を与えることが出来なかったためである。
以上の結果は、上述の実施の形態に基づくセンサ素子101の昇温が実際に実現可能なものであることを指し示している。
(比較例)
特許文献2に開示されている手法と同様、ヒータ抵抗値の時間変化を指数関数(1次遅れ関数)に近似した曲線を用いた、ヒータ抵抗に基づくフィードバック制御によってセンサ素子101を昇温した。目標となるヒータ抵抗値は4段階に設定した。その際の昇温速度変化の様子を、図5において曲線C4として示す。
係る場合、曲線C4からもわかるように、特に2段階目以降の昇温速度の安定性は優れていたが、実施例よりも総じて昇温速度は低く、動作温度までの昇温には65秒を要した。なお、昇温後のセンサ素子101にクラックの発生は確認されなかった。
係る結果は、実施例の方が迅速な昇温が可能であることを指し示している。
44 測定電極
47 測定ポンプセル
70 ヒータ
80 第3内部空所
100 ガスセンサ
101 センサ素子
C1 昇温上限曲線
C2 設定基準曲線
PF1、PF2 昇温プロファイル
T1〜T5(Tk) プロファイル設定用温度
v1〜v5(vk) 昇温速度上限

Claims (9)

  1. ガスセンサに備わる、酸素イオン伝導性の固体電解質からセンサ素子を、前記ガスセンサの使用開始時に昇温するための昇温プロファイルの設定方法であって、
    前記センサ素子が、
    被測定ガスが導入される内部空所と、
    前記内部空所に設けられてなる測定電極と、前記内部空所と異なる部位に設けられたポンプ電極と、前記固体電解質からなる電気化学的ポンプセルと、
    前記センサ素子を加熱するためのヒータと、
    を備えており、
    前記ガスセンサが、前記被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を、前記電気化学的ポンプセルにおけるポンプ電流に基づいて特定するものであり、
    前記昇温プロファイルが、前記ガスセンサの起動時に前記ヒータによって前記センサ素子を昇温する際の昇温時間に対する設定昇温温度の変化を表すものである場合において、
    前記ヒータによって所定のプロファイル設定用温度に昇温した複数の前記センサ素子のそれぞれについて、前記ヒータによる急速昇温を、クラックが発生するまで昇温速度を違えつつ繰り返す急速昇温工程と、
    前記所定のプロファイル設定用温度についての、前記急速昇温工程における前記複数の前記センサ素子におけるクラック発生の累積度数である故障率を、前記昇温速度を分布パラメータとしてワイブルプロットする故障率プロット工程と、
    前記故障率プロット工程におけるワイブルプロットの結果から故障率が1ppmとなる昇温速度を昇温速度上限として特定する昇温速度上限特定工程と、
    前記センサ素子の動作温度以上の温度を含む相異なる複数のプロファイル設定用温度についての前記昇温速度上限に基づいて、昇温温度に対する前記昇温速度上限の変化を表す昇温速度上限曲線を定める昇温速度上限曲線設定工程と、
    前記昇温プロファイルを、任意の温度における昇温速度が当該温度についての前記昇温速度上限曲線上の値を超えない範囲で任意の関数として定める、昇温プロファイル設定工程と、
    を有することを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
  2. 請求項1に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、
    前記昇温プロファイル設定工程においては、前記昇温プロファイルを、任意の温度における昇温速度が前記昇温速度上限曲線上の値を超えない範囲で上に凸の関数として定める、
    ことを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、
    前記昇温プロファイル設定工程が、
    任意の温度における昇温速度が前記昇温速度上限曲線上の値を超えない範囲で、昇温温度に対する昇温速度の変化を表す昇温速度基準曲線を定める基準曲線設定工程と、
    昇温速度が前記昇温速度基準曲線に従う仮昇温プロファイルを設定する仮プロファイル設定工程と、
    前記センサ素子の前記動作温度を最高値とした複数の制御切替温度を設定する制御切替温度設定工程と、
    前記ガスセンサの起動時の前記センサ素子の温度である昇温開始温度から前記動作温度までの温度範囲を、前記複数の制御切替温度のそれぞれを境界値とした複数の段階に分割する多段分割工程と、
    前記複数の段階のそれぞれにおける前記仮プロファイルの近似直線の傾きを当該段階における前記昇温速度として設定することにより前記昇温プロファイルを得る近似直線設定工程と、
    を有することを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
  4. 請求項3に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、
    前記複数の段階を4段階以上とする、
    ことを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
  5. 請求項4に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、
    前記複数の段階を10段階以下とする、
    ことを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
  6. 請求項5に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、
    前記複数の段階を5段階以上10段階以下とする、
    ことを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
  7. 請求項3ないし請求項6のいずれかに記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、
    前記基準曲線設定工程においては、前記基準曲線を、前記複数のプロファイル設定用温度における昇温速度上限の1/3の値を通るように定める、
    ことを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
  8. 請求項1または請求項2に記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、
    前記昇温プロファイル設定工程が、
    任意の温度における昇温速度が前記昇温速度上限曲線上の値を超えない範囲で、昇温温度に対する昇温速度の変化を表す昇温速度基準曲線を定める基準曲線設定工程と、
    昇温速度が前記昇温速度基準曲線に従うように昇温プロファイルを設定する設定工程と、
    を有することを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のセンサ素子の昇温プロファイル設定方法であって、
    前記センサ素子が、前記内部空所として、
    外部空間と所定の拡散抵抗のもとで連通する第1の内部空所と、
    前記第1の内部空所と所定の拡散抵抗のもとで連通する第2の内部空所と、
    前記第2の内部空所と所定の拡散抵抗のもとで連通する第3の内部空所と、
    を備えており、
    前記測定電極が前記第3の内部空所に設けられてなる、
    ことを特徴とする、ガスセンサに備わるセンサ素子の昇温プロファイル設定方法。
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