以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係るPONシステムの概略構成を示すブロック図である。
図1を参照して、PONシステム301は、局側装置101と、光ファイバであるN本のPON回線1〜N(203−1〜203−N)と、N個の光カプラ204−1〜204−Nと、複数のONU202とを備える。局側装置101は、光回線ユニット(以下、OSU(Optical Subscriber Unit)とも称する)1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、光スイッチ14と、局側装置101の全体的な制御を行なう全体制御部(切り替え制御部)11とを含む。ここで、Nは1以上の整数である。また、ONUから上位ネットワーク(以下「アップリンク」とも称する。)への方向を上り方向と称し、アップリンクからONUへの方向を下り方向と称する。
ここでは、PONシステム301において、各PON回線は10ギガビット/秒の通信速度を実現するEPONである10G−EPONに対応しており、アップリンクは10ギガビット/秒の通信速度を実現するイーサネット(登録商標)に対応すると仮定して説明する。また、MPCPフレームによってONUの登録、離脱、ONUへの帯域割り当て、およびONUからの帯域要求が行なわれると仮定して説明する。なお、PONシステム301は、GE−PONであってもよい。
局側装置101は、10G−EPONに対応するPON回線を複数回線収容する。1本のPON回線には1または複数のONUが接続される。局側装置101は、これらのPON回線からのデータを1または複数の通信回線を有するアップリンクに多重する。また、局側装置101は、アップリンクからのデータを振り分けて各PON回線における各ONUへ送信する。また、局側装置101は、PON回線の上り帯域および下り帯域を各ONUに割り当てる。たとえば、各ONUから局側装置101への上り光信号はバースト信号であり、局側装置101から各ONUへの下り光信号は連続的な信号である。PONシステム301では、各ONU202から局側装置101への光信号が時分割多重される。
具体的には、局側装置101は、N本のPON回線1〜Nに接続され、このN本のPON回線を終端する。各OSUは、PON回線に対応して設けられ、配下のONUすなわち対応のPON回線に接続された1または複数のONUとフレームを送受信する。PON回線1〜Nは、光カプラ204−1〜204−Nにそれぞれ接続されており、これらの光カプラを介して各ONU202に接続されている。
局側装置101は、たとえば、N:1の冗長構成を有している。すなわち、N+1個のOSUのうち、OSU1〜Nが運用系(現用)OSUであり、OSU N+1が待機系(予備)OSUである。なお、局側装置101は、2個以上の待機系OSUを含む構成であってもよい。
OSU12は、配下の各ONU202とバースト信号である制御フレームおよびデータフレームを送受信する。上り方向において、OSU12は、配下の各ONU202から共通のPON回線を介して制御フレームおよびデータフレームを受信し、各ONU202からOSU12への制御フレームおよびデータフレームが時分割多重される。すなわち、ONU202は、他のONU202とともに共通のPON回線を介して時分割多重により制御フレームおよびデータフレームをOSU12へ送信する。
また、ONU202は、局側装置101から受信した光信号から受信クロックを抽出する受信リカバリ処理を行なう。また、ONU202は、受信リカバリ処理によって抽出された受信クロックに同期する送信クロックを生成するとともに、局側装置101へ送信すべきデータを、生成した送信クロックのタイミングに従って局側装置101へ送信する送信リカバリ処理を行なう。
また、OSU12は、各ONU202から受信した上りフレームの一部または全部をアップリンクへ送信するとともに、アップリンクから受信した下りフレームの一部または全部を各ONU202へ送信する。
全体制御部11は、ONU202とフレームを送受信すべきOSU12を、運用系のOSU12から待機系のOSU12へ切り替える切り替え処理を行なう。
光スイッチ14は、全体制御部11からの指示に従い、N+1個のOSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、N本のPON回線1〜N(203−1〜203−N)との間の通信経路を切り替える。
図2は、本発明の実施の形態に係る局側装置におけるOSUの構成を示す図である。
図2を参照して、OSU12は、アップリンクIF(Interface)部31と、制御IF部32と、受信処理部33と、送信処理部34と、PON送受信部35と、PON制御部(通信制御部)36と、上りフレームを蓄積するFIFO37と、下りフレームを蓄積するFIFO38と、クロック生成部39とを含む。なお、以下で説明するPON制御部36の動作の一部または全部を、全体制御部11が行なう構成であってもよいし、PON制御部36自体がOSU12の外部に設けられてもよい。
クロック生成部39は、たとえばVCO(Voltage Controlled Oscillator)を含み、OSU12における各部が動作するためのクロックを生成する。
すなわち、局側装置101では、複数のOSU12の各々は、クロックを生成するための別個のクロック生成部39を有する。OSU12は、このクロックのタイミングに従って時刻情報すなわちタイムスタンプを生成し、タイムスタンプに従ってフレームを送受信する。また、OSU12は、時刻情報をフレームに含めて配下の各ONU202へ送信する。
PON送受信部35は、PON線路の親局側起点として、PON回線である1本の光ファイバと光スイッチ14を介して接続される。PON送受信部35は、この光ファイバを介して各ONUと双方向通信が行なえるように、特定の波長、たとえば1310nm帯の上り光信号を受信し、電気信号に変換して受信処理部33へ出力するとともに、送信処理部34から受けた電気信号を別波長の下り光信号に変換して送信する。たとえば、PON送受信部35は、送信処理部34から受けた10Gbpsの電気信号を1570nm帯の下り光信号に変換して送信する。
受信処理部33は、PON送受信部35から受けた電気信号からフレームを再構成するとともに、フレームの種別に応じてPON制御部36またはFIFO37にフレームを振り分ける。具体的には、データフレームをFIFO37へ出力し、制御フレームをPON制御部36へ出力する。
また、受信処理部33は、どのロジカルリンクからフレームをいつ受信するかを示すグラント情報を送信処理部34から受けて、バースト受信を支援するための制御信号をPON送受信部35へ出力してもよい。また、受信処理部33は、このグラント情報を受けて、当該グラント情報に示されていない受信フレームをフィルタリングする、すなわち廃棄するようにしてもよい。
アップリンクIF部31は、FIFO37に蓄積された上りフレームをアップリンクへ送信する。また、アップリンクIF部31は、アップリンクからフレームを受信すると、当該フレームが通常のデータフレームである場合にはFIFO38へ出力し、当該フレームが制御フレームである場合にはPON制御部36へ出力する。
アップリンクIF部31は、PON制御部36から制御フレームを受けた場合には、FIFO37からのフレーム列の合間において、当該制御フレームをFIFO37からのフレームよりも優先してアップリンクへ出力する。
送信処理部34は、FIFO38またはPON制御部36が送信すべきフレームを有する場合、優先順位に従ってそのフレームを受け取り、PON送受信部35へ出力する。
PON制御部36は、MPCPおよびOAMなど、PON回線の制御および管理に関する局側処理を行なう。すなわち、PON回線に接続されている各ONUとMPCPメッセージおよびOAMメッセージをやりとりすることによって、ONUの登録、離脱および帯域割り当てを含めた上りアクセス制御、下りアクセス制御、ならびにONUの運用管理などを行なう。
たとえば、PON制御部36は、各ONU202から受けたPON回線における上り帯域の割り当て要求に基づいて、PON回線における上り帯域を各ONU202に割り当てる。具体的には、PON制御部36は、ONU202から受けたPON回線における帯域の割り当て要求を示すレポートフレームに基づいて、PON回線における帯域をONU202に割り当てる、すなわちグラントを示すゲートフレームをONU202へ送信する。PON制御部36は、ゲートフレームを用いて、ONU202に対して、上りフレームの送信開始タイミングおよび送信可能データ長を通知する。
制御IF部32は、全体制御部11からの指示に基づいて、アップリンクIF部31、受信処理部33、送信処理部34、PON送受信部35およびPON制御部36への設定を行ない、これら各ユニットの状態を全体制御部11に通知する。また、これら各ユニットに異常が発生した場合は、全体制御部11からの指示に依らず、異常が発生したユニットの状態を全体制御部11に通知する。全体制御部11は、たとえばこれらの情報に基づいて、OSU12の冗長切り替えを行なってもよい。
図3は、本発明の実施の形態に係るONUの構成を示す図である。
図3を参照して、ONU202は、光トランシーバ21と、PON受信処理部(通信部)22と、バッファメモリ23と、UNI送信処理部24と、UNI(User Network Interface)ポート25と、UNI受信処理部26と、バッファメモリ27と、PON送信処理部(通信部)28と、制御部(通信制御部)29と、ロック判定回路43と、ロックカウンタ44とを備える。PON受信処理部22は、受信クロックリカバリ回路(受信CDR(Clock and Data Recovery))41を含む。PON送信処理部28は、送信クロックリカバリ回路(送信CDR)42を含む。受信クロックリカバリ回路41および送信クロックリカバリ回路42により、同期処理部45が構成される。
PON受信処理部22およびPON送信処理部28は、光トランシーバ21経由で局側装置101と制御フレームおよびデータフレームを送受信する。
より詳細には、光トランシーバ21は、局側装置101から送信される下り光信号を電気信号に変換してPON受信処理部22へ出力する。
PON受信処理部22は、光トランシーバ21から電気信号を受けて、当該電気信号からフレームを再構成するとともに、フレームの種別に応じて制御部29またはUNI送信処理部24にフレームを振り分ける。具体的には、PON受信処理部22は、データフレームをバッファメモリ23経由でUNI送信処理部24へ出力し、制御フレームを制御部29へ出力する。
UNI送信処理部24は、PON受信処理部22から受けたデータフレームをUNIポート25経由で図示しないパーソナルコンピュータ等のユーザ端末へ送信する。
UNI受信処理部26は、UNIポート25経由でユーザ端末から受信したデータフレームをバッファメモリ27経由でPON送信処理部28へ出力する。
制御部29は、MPCPおよびOAM等、PON回線の制御および管理に関する宅側処理を行なう。すなわち、PON回線に接続されている局側装置101とMPCPメッセージおよびOAMメッセージをやりとりすることによって、アクセス制御等の各種制御を行なう。制御部29は、各種制御情報を含む制御フレームを生成し、バッファメモリ27経由でPON送信処理部28へ出力する。
PON送信処理部28は、UNI受信処理部26から受けたデータフレームおよび制御部29から受けた制御フレームを光トランシーバ21へ出力する。
光トランシーバ21は、PON送信処理部28から受けた電気信号を上り光信号に変換して局側装置101へ送信する。
同期処理部45は、自己のONU202を局側装置101に同期させる同期処理を行なう。同期処理部45は、局側装置101から受信した下り光信号に基づいて、自己のONU202が局側装置101と同期して動作するための基準タイミング信号たとえばクロックを生成する。ONU202における各ユニットは、同期処理部45によって生成されたクロックのタイミングに従って動作する。
より詳細には、受信クロックリカバリ回路41は、PLL回路を含み、PLL回路を用いて、局側装置101から受信した信号から受信クロックを抽出する。
送信クロックリカバリ回路42は、PLL回路を含み、PLL回路を用いて、受信クロックリカバリ回路41によって抽出された受信クロックに同期する送信クロックを生成するとともに、局側装置101へ送信すべきデータを、生成した送信クロックでリタイミングする。
具体的には、受信クロックリカバリ回路41は、光トランシーバ21から受けた電気信号に基づいて、基準タイミング信号である受信クロックを生成する。受信クロックリカバリ回路41は、光トランシーバ21から受けた電気信号である受信バースト信号を、受信クロックを用いてサンプリングする、すなわち、受信バースト信号を、受信クロックのタイミングでサンプリングして出力する。また、受信クロックリカバリ回路41は、受信クロックを送信クロックリカバリ回路42へ出力する。
送信クロックリカバリ回路42は、受信クロックリカバリ回路41から受けた受信クロックに基づいて、基準タイミング信号である送信クロックを生成する。送信クロックリカバリ回路42は、UNI受信処理部26から受けたデータフレームおよび制御部29から受けた制御フレームを、送信クロックを用いてリタイミングする、すなわち、フレームを、送信クロックのタイミングに従って出力する。
ロック判定回路43は、たとえば、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路における位相比較結果を示す位相差信号、および送信クロックリカバリ回路42のPLL回路における位相比較結果を示す位相差信号に基づいて、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路のロック状態、および送信クロックリカバリ回路42のPLL回路のロック状態をそれぞれ監視する。
ロック判定回路43は、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路および送信クロックリカバリ回路42のPLL回路がロック状態になると、ロックカウンタ44のカウント動作を開始させる。そして、ロック判定回路43は、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路または送信クロックリカバリ回路42のPLL回路がアンロック状態になると、ロックカウンタ44のカウント動作を停止させ、ロックカウンタ44のカウント値をリセットする。
ここで、ロック状態とは、たとえば、局側装置101からの下り光信号の周波数と受信クロックの周波数または送信クロックの周波数とのずれが閾値より小さい状態であり、かつ、局側装置101からの下り光信号の位相と受信クロックの位相または送信クロックの位相とのずれが閾値より小さい状態である。アンロック状態とは、上記に該当しない状態である。
制御部29は、ロックカウンタ44のカウント値を参照する。また、ロック判定回路43は、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路がロック状態になった旨および送信クロックリカバリ回路42のPLL回路がロック状態になった旨を制御部29に通知することも可能である。
図4は、本発明の実施の形態に係る同期処理部における受信クロックリカバリ回路の構成を示す図である。
図4を参照して、受信クロックリカバリ回路41は、分周回路54と、サンプリング回路55と、逓倍回路56と、周波数比較器57と、PLL回路58とを含む。PLL回路58は、位相比較器51と、チャージポンプ&ループフィルタ52と、VCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)53とを含む。
PLL回路58は、光トランシーバ21から受けた受信バースト信号のタイミングを基準に、VCXO53を制御する。より詳細には、PLL回路58は、VCXO53を含み、光トランシーバ21から受けた受信バースト信号、およびONU202において生成される参照クロックに基づいて制御電圧VCを生成し、VCXO53に供給する。これにより、PLL回路58は、光トランシーバ21から受けた受信バースト信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分が減衰された周波数成分を有し、かつ受信バースト信号に同期する受信クロックを生成する。
具体的には、PLL回路58において、位相比較器51は、受信バースト信号の位相とVCXO53の出力信号の位相とを比較し、比較結果を示す位相差信号をチャージポンプ&ループフィルタ52へ出力する。
チャージポンプ&ループフィルタ52の時定数により、PLL回路58の追従性が設定される。具体的には、高調波などの高い周波数成分を持つノイズに対してはPLL回路58が追従しないように、チャージポンプ&ループフィルタ52の時定数が設定される。
VCXO53は、発振信号を生成して出力する。VCXO53は、チャージポンプ&ループフィルタ52を通過した位相差信号を制御電圧VCとして受けて、制御電圧VCに応じて発振信号の周波数を変更する。VCXO53から出力された発振信号は、位相比較器51および分周回路54へ出力される。
分周回路54は、VCXO53から受けた発振信号を分周し、受信クロックとして出力する。
サンプリング回路55は、分周回路54から受けた受信クロックに応答して、光トランシーバ21からの受信バースト信号を保持するとともに受信データとして出力する。PON受信処理部22は、この受信データからフレームを再構成する。
逓倍回路56は、ONU202において生成される参照クロックを所定数倍したクロックを出力する。
周波数比較器57は、逓倍回路56から受けたクロックおよび分周回路54から受けた受信クロックを比較し、これらのクロックの周波数差を示す周波数差信号をチャージポンプ&ループフィルタ52へ出力する。
周波数比較器57からチャージポンプ&ループフィルタ52へ出力される周波数差信号により、逓倍回路56から出力されるクロックの周波数に受信クロックの周波数が一致するように、制御電圧VCが調整される。
図5は、本発明の実施の形態に係る同期処理部における送信クロックリカバリ回路の構成を示す図である。
図5を参照して、送信クロックリカバリ回路42は、分周回路64と、リタイミング回路65と、逓倍回路66と、周波数比較器67と、PLL回路68とを含む。PLL回路68は、位相比較器61と、チャージポンプ&ループフィルタ62と、VCXO63とを含む。
PLL回路68は、受信クロックリカバリ回路41から受けた受信クロックのタイミングを基準に、VCXO63を制御する。より詳細には、PLL回路68は、VCXO63を含み、受信クロックリカバリ回路41から受けた受信クロック、およびONU202において生成される参照クロックに基づいて制御電圧VCを生成し、VCXO63に供給する。これにより、PLL回路68は、受信クロックリカバリ回路41から受けた受信クロックの周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分が減衰された周波数成分を有し、かつ受信クロックに同期する送信クロックを生成する。
具体的には、PLL回路68において、位相比較器61は、受信クロックの位相とVCXO63の出力信号の位相とを比較し、比較結果を示す位相差信号をチャージポンプ&ループフィルタ62へ出力する。
チャージポンプ&ループフィルタ62の時定数により、PLL回路68の追従性が設定される。具体的には、高調波などの高い周波数成分を持つノイズに対してはPLL回路68が追従しないように、チャージポンプ&ループフィルタ62の時定数が設定される。
VCXO63は、発振信号を生成して出力する。VCXO63は、チャージポンプ&ループフィルタ62を通過した位相差信号を制御電圧VCとして受けて、制御電圧VCに応じて発振信号の周波数を変更する。VCXO63から出力された発振信号は、位相比較器61および分周回路64へ出力される。
分周回路64は、VCXO63から受けた発振信号を分周し、送信クロックとして出力する。
リタイミング回路65は、分周回路64から受けた送信クロックに応答して、バッファメモリ27からのデータフレームまたは制御フレームである送信データを保持するとともに出力する。光トランシーバ21は、リタイミング回路65から出力される送信データを上り光信号に変換して局側装置101へ送信する。
逓倍回路66は、ONU202において生成される参照クロックを所定数倍したクロックを出力する。
周波数比較器67は、逓倍回路66から受けたクロックおよび分周回路64から受けた送信クロックを比較し、これらのクロックの周波数差を示す周波数差信号をチャージポンプ&ループフィルタ62へ出力する。
周波数比較器67からチャージポンプ&ループフィルタ62へ出力される周波数差信号により、逓倍回路66から出力されるクロックの周波数に送信クロックの周波数が一致するように、制御電圧VCが調整される。
ここで、送信クロックリカバリ回路42のPLL回路68の時定数T2は、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路58の時定数T1よりも大きくなるように設定される。たとえば、時定数T1は、数十マイクロ秒〜数百マイクロ秒であり、時定数T2は、数ミリ秒〜数十ミリ秒である。
時定数T1,T2をこのように設定することにより、局側装置101からの下り光信号の受信マージンを大きくするとともに、局側装置101への上り光信号の周波数精度を高めることができる。
すなわち、同期処理部45の状態には、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路58および送信クロックリカバリ回路42のPLL回路68がアンロック状態である未同期状態と、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路58がロック状態であり、かつ送信クロックリカバリ回路42のPLL回路68がアンロック状態である準同期状態と、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路58および送信クロックリカバリ回路42のPLL回路68がロック状態である同期完了状態とがある。同期処理部45の状態は、準同期状態を経て未同期状態から同期完了状態へ遷移する。
図6は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置およびONU間の帯域割り当て処理およびデータの流れの一例を示す図である。
図6を参照して、OSUは、登録済のONUから帯域要求を示すレポートフレームを送信させ、その後、帯域要求のあったONUに1または複数のデータフレームを送信させる。OSUは、ONUにレポートフレームを送信させる前に、ONUごとに一つのゲートフレームを作成してONUへ送信することにより、ONUにレポートフレームの送信を指示する。また、OSUは、ONUにデータフレームを送信させる場合には、1つのゲートフレームによってレポートフレームおよびデータフレームの送信を指示する。以後、OSUは、これらの動作を予め決められた周期すなわち帯域割り当て周期で繰り返す。
ここで、PONシステム301において、局側装置101におけるOSU12の冗長切り替え(以下、OSU冗長切り替えとも称する。)が発生する場合を考える。
前述のように、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路58の時定数T1は、送信クロックリカバリ回路42のPLL回路68の時定数T2よりも小さい値に設定される。
この場合、送信クロックリカバリ回路42のPLL回路68がロック状態となる前に、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路58がロック状態となる。すなわち、PON送信処理部28がOSU12と同期する前に、PON受信処理部22は、OSU12と同期し、OSU12からの下りフレームを受信することが可能となる。
PON送信処理部28がOSU12と同期する前に、PON受信処理部22がゲートフレームを受信した場合、PON送信処理部28は、OSU12と同期する前に、制御部29の作成したレポートフレームをOSU12へ送信する。
OSU12は、ONU202からレポートフレームを受信すると、ゲートフレームを当該ONU202へ送信する。
そして、ONU202は、OSU12から受信したゲートフレームに基づいて、データフレームをOSU12へ送信する。
このような場合、OSU12は、ONU202からのフレームを受信できない可能性がある。その理由は、たとえば以下の通りである。すなわち、OSU12は、ONU202からのフレームであるバースト信号の先頭部分を用いて、当該バースト信号を受信するためのクロックの周波数および位相を決定する。
ONU202におけるPON送信処理部28が、OSU12と同期する前に上りフレームをOSU12へ送信した場合、バースト信号の先頭部分と末尾部分とでONU202における送信クロックの周波数が異なる場合がある。
制御フレーム等、バースト信号のデータ長が比較的短い場合には、バースト信号の先頭部分と末尾部分とで送信クロックの周波数のずれが小さいことから、OSU12は、当該バースト信号を受信できる可能性が高い。
一方、データフレーム等、バースト信号のデータ長が比較的長い場合には、バースト信号の先頭部分と末尾部分とで送信クロックの周波数のずれが大きくなることから、OSU12において、当該バースト信号の末尾部分について受信エラーが発生し、通信データが欠損する可能性が高い。
そこで、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、以下のような動作により、上記問題点を解決する。
すなわち、OSU12において、PON制御部36は、運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替え処理が行なわれた後、ONU202と切り替え先OSUとの間で制御フレームを送受信する期間を経て、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
より詳細には、PON制御部36は、切り替え元OSUの通信相手であるONU202から切り替え先OSUへ制御フレームを送信可能な状態において、当該ONU202と切り替え先OSUとの同期を保証するための条件が満たされた後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
言い換えれば、PON制御部36は、切り替え元OSUの通信相手であるONU202から切り替え先OSUへ制御フレームを送信可能な状態において、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信が可能になったと判断した後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
たとえば、PON制御部36は、ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理として、切り替え先OSUの通信相手となるONU202に対して、データフレームを送信するための帯域を割り当てる処理を開始する。
次に、本発明の実施の形態に係るPONシステムがOSU冗長切り替えおよびONUに対する帯域割り当て処理を行なう際の動作について図面を用いて説明する。
[動作]
図7は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置およびONU間の帯域割り当て処理およびデータの流れの一例を示す図である。
図7を参照して、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替え後、所定時間経過後にMPCPフレームの送信を開始する。すなわち、OSU12において、PON制御部36は、運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替え処理が行なわれてから所定時間経過後に、ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
より詳細には、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替えが行なわれてから時間Twが経過するまで、ONU202に対する帯域割り当てを停止する、具体的には、ONU202へのゲートフレームの送信を行なわない。ここで、時間Twは、たとえば複数の帯域割り当て周期に相当する時間である。
次に、切り替え先OSUは、時間Twが経過すると、ONU202に対する帯域割り当てを開始する。すなわち、切り替え先OSUは、ゲートフレームGaを作成してONU202へ送信することにより、ONU202にレポートフレームRaの送信を指示する。
次に、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGaに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRaを切り替え先OSUへ送信する。
次に、切り替え先OSUは、ONU202から受信したレポートフレームRaに基づいて、ONU202が送信可能なフレームのデータ長を示すゲートフレームGbをONU202へ送信する。
次に、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGbに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRbを切り替え先OSUへ送信するとともに、ゲートフレームGbの示すデータ長に応じた量のデータフレームを切り替え先OSUへ送信する。
以降、切り替え先OSUおよびONU202間でゲートフレーム、レポートフレームおよびデータフレームの送受信が行なわれる。
図8は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、切り替え先OSUが帯域割り当てを開始する動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図8を参照して、まず、OSU冗長切り替えが発生すると(ステップS1でYES)、切り替え先OSUは、配下のONU202に対する帯域割り当ての開始を保留するとともに(ステップS2)、当該ONU202において自己との同期が確立したか否かを判断する(ステップS3)。
切り替え先OSUは、配下のONU202において自己との同期が確立したと判断するまで(ステップS3でNO)、当該ONU202に対する帯域割り当ての開始保留を継続する(ステップS2)。
一方、切り替え先OSUは、配下のONU202において自己との同期が確立したと判断すると(ステップS3でYES)、当該ONU202に対する帯域割り当てを開始する(ステップS4)。たとえば、図7に示す例では、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替えが行なわれてから時間Twが経過したことにより、配下のONU202において自己との同期が確立したと判断する。
図9は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置およびONU間の帯域割り当て処理およびデータの流れの一例を示す図である。
図9を参照して、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替え後、所定時間経過後にデータフレーム用の帯域割り当てを開始する。すなわち、OSU12において、PON制御部36は、運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替え処理が行なわれてから所定時間経過後に、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
より詳細には、OSU冗長切り替えが行なわれると、切り替え先OSUは、ONU202に対する制御フレーム用の帯域割り当てを開始する一方で、OSU冗長切り替えが行なわれてから時間Twが経過するまで、ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当てを停止する。ここで、時間Twは、たとえば複数の帯域割り当て周期に相当する時間である。
たとえば、OSU12におけるPON制御部36は、データ用帯域割り当て許可フラグを有する。そして、PON制御部36は、データ用帯域割り当て許可フラグを無効から有効にすることで、ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当てを開始する。
具体的には、たとえばIEEE Std 802.3−2008規格に従うPONシステムでは、PON制御部36は、データ用帯域割り当て許可フラグが無効である場合、グラント数が1を示し、かつグラントとしてForceReportFlagフィールドが有効かつグラント長がレポートフレームのデータ長を示すゲートフレームをONU202へ送信する。すなわち、PON制御部36は、ONU202がレポートフレームを送信するのに必要な帯域のみをONU202に割り当てる。
このとき、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームを切り替え先OSUへ送信するが、データフレーム用の帯域が割り当てられないため、切り替え先OSUへのデータフレームの送信は行なわない状態となる。
次に、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替えが行なわれてから時間Twが経過すると、ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当てを開始する。すなわち、切り替え先OSUは、時間Twが経過するまでにONU202から受信していたレポートフレームに基づいて、ONU202が送信可能なフレームのデータ長を示すゲートフレームGaをONU202へ送信する。
次に、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGaに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRaを切り替え先OSUへ送信するとともに、ゲートフレームGaの示すデータ長に応じた量のデータフレームを切り替え先OSUへ送信する。
以降、切り替え先OSUおよびONU202間でゲートフレーム、レポートフレームおよびデータフレームの送受信が行なわれる。
図10は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置およびONU間の帯域割り当て処理およびデータの流れの一例を示す図である。
OSU12において、PON制御部36は、ONU202における同期処理の完了を示す情報を取得すると、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
より詳細には、PON制御部36は、ONU202が切り替え先OSUと同期した旨の通知をONU202から受けた後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
たとえば、PON制御部36は、ONU202が切り替え先OSUと同期したか否かを当該ONU202に問い合わせる。
具体的には、図10を参照して、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替え後、専用の拡張OAMフレームをONU202との間で送受信することにより、ONU202の同期状態を判断する。
より詳細には、OSU冗長切り替えが行なわれると、切り替え先OSUは、ONU202に対する制御フレーム用の帯域割り当てを開始する一方で、ONU202において自己との同期状態が安定したと判断するまで、ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当てを停止する。
このとき、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームを切り替え先OSUへ送信するが、データフレーム用の帯域が割り当てられないため、切り替え先OSUへのデータフレームの送信は行なわない状態となる。
ここで、切り替え先OSUは、たとえば、ゲートフレームGaに対するレポートフレームRaをONU202から受信した後、ゲートフレームGbとともに拡張OAMフレームF1をONU202へ送信する。ここで、拡張OAMフレームF1は、ONU202の同期状態を報告する要求を示す。また、ゲートフレームGbは、たとえば、レポートフレームおよび拡張OAMフレームのデータ長の合計を示している。
次に、ONU202は、レポートフレームGbおよび拡張OAMフレームF1を受信して、レポートフレームRbおよび拡張OAMフレームF2を切り替え先OSUへ送信する。ここで、拡張OAMフレームF2は、ONU202の同期処理が完了していない旨を示しているものとする。
具体的には、ONU202における制御部29は、ロックカウンタ44のカウント値を参照し、当該カウント値が所定値未満である場合、ONU202の同期処理が完了していない旨を示す拡張OAMフレームを切り替え先OSUへ送信する。
次に、切り替え先OSUは、レポートフレームRbおよび拡張OAMフレームF2を受信して、ゲートフレームGcをONU202へ送信する。ここで、レポートフレームGcは、たとえば、レポートフレームおよび拡張OAMフレームのデータ長の合計を示している。
次に、ONU202は、レポートフレームGcを受信して、レポートフレームRcおよび拡張OAMフレームF3を切り替え先OSUへ送信する。ここで、拡張OAMフレームF3は、ONU202の同期処理が完了した旨を示しているものとする。
具体的には、ONU202における制御部29は、ロックカウンタ44のカウント値を参照し、当該カウント値が上記所定値以上である場合、ONU202の同期処理が完了した旨を示す拡張OAMフレームを切り替え先OSUへ送信する。
次に、切り替え先OSUは、レポートフレームRcおよび拡張OAMフレームF3を受信して、ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当てを開始する。すなわち、切り替え先OSUは、ONU202から受信したレポートフレームRcに基づいて、ONU202が送信可能なフレームのデータ長を示すゲートフレームGdをONU202へ送信する。
次に、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGdに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRdを切り替え先OSUへ送信するとともに、ゲートフレームGdの示すデータ長に応じた量のデータフレームを切り替え先OSUへ送信する。
以降、切り替え先OSUおよびONU202間でゲートフレーム、レポートフレームおよびデータフレームの送受信が行なわれる。
図11は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置およびONU間の帯域割り当て処理およびデータの流れの一例を示す図である。
PON制御部36は、切り替え先OSUの通信相手となるONU202から帯域割り当て要求を所定回数受けると、ONU202がデータフレームを送信するための帯域を割り当てる処理を開始する。
具体的には、図11を参照して、切り替え先OSUは、ONU202からのレポートフレームを所定回数受信すると、データフレーム用の帯域割り当てを開始する。
より詳細には、OSU冗長切り替えが行なわれると、切り替え先OSUは、ONU202に対する制御フレーム用の帯域割り当てを開始する一方で、ONU202からレポートフレームRを所定回数たとえば3回受信するまで、ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当てを停止する。
このとき、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRを切り替え先OSUへ送信するが、データフレーム用の帯域が割り当てられないため、切り替え先OSUへのデータフレームの送信は行なわない状態となる。
次に、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替えが行なわれた後、ONU202からレポートフレームRを所定回数たとえば3回受信すると、ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当てを開始する。すなわち、切り替え先OSUは、ONU202から受信済みのレポートフレームRに基づいて、ONU202が送信可能なフレームのデータ長を示すゲートフレームGaをONU202へ送信する。
次に、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGaに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRaを切り替え先OSUへ送信するとともに、ゲートフレームGaの示すデータ長に応じた量のデータフレームを切り替え先OSUへ送信する。
以降、切り替え先OSUおよびONU202間でゲートフレーム、レポートフレームおよびデータフレームの送受信が行なわれる。
なお、図11に示す例では、前述のデータ用帯域割り当て許可フラグを用いることにより、ONU202から確実にレポートフレームを送信させることができるため、データ用帯域割り当て許可フラグがより有効である。
図12は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、切り替え先OSUが帯域割り当てを開始する動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図12を参照して、まず、OSU冗長切り替えが発生すると(ステップS11でYES)、切り替え先OSUは、配下のONU202に対する制御フレーム用の帯域割り当てを開始する一方で、当該ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当ての開始を保留するとともに(ステップS12)、当該ONU202において自己との同期が確立したか否かを判断する(ステップS13)。
切り替え先OSUは、配下のONU202において自己との同期が確立したと判断するまで、当該ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当ての開始保留を継続する(ステップS13でNO)。
一方、切り替え先OSUは、配下のONU202において自己との同期が確立したと判断すると(ステップS13でYES)、当該ONU202に対するデータフレーム用の帯域割り当てを開始する(ステップS14)。
たとえば、図9に示す例では、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替えが行なわれてから時間Twが経過したことにより、配下のONU202において自己との同期が確立したと判断する。また、図10に示す例では、切り替え先OSUは、同期処理が完了した旨を示す拡張OAMフレームを配下のONU202から受信したことにより、当該ONU202において自己との同期が確立したと判断する。また、図11に示す例では、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替えが行なわれた後、配下のONU202からレポートフレームを所定回数受信したことにより、当該ONU202において自己との同期が確立したと判断する。
図7〜図12に示す動作は、局側装置101側でOSU12とONU202との同期を保障する動作である。これらは、動作に矛盾が生じない限り、一部または全部を組み合わせてもよい。
一方、以下の図13〜図17に示す動作は、ONU202側でOSU12とONU202との同期を保障する動作である。これらも、動作に矛盾が生じない限り、一部または全部を組み合わせてもよい。
すなわち、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、以下のような動作により、前述の問題点を解決する。
ONU202において、制御部29は、局側装置101においてOSU12の切り替え処理が行なわれ、自己のONU202と切り替え先OSUとの同期を保証するための条件が満たされた後、自己のONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
言い換えれば、制御部29は、局側装置101においてOSU12の切り替え処理が行なわれ、自己のONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信が可能になったと判断した後、自己のONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
たとえば、制御部29は、ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理として、自己のONU202が切り替え先OSUへデータフレームを送信するための帯域を局側装置101に要求する処理を開始する。
図13は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置およびONU間の帯域割り当て処理およびデータの流れの一例を示す図である。
ONU202において、制御部29は、準同期状態において自己のONU202が送信するフレームのデータ長を、同期完了状態において自己のONU202が送信するフレームのデータ長よりも短く抑制する。
すなわち、図13を参照して、ONU202は、切り替え先OSUとの同期が確立した後、データフレーム用の帯域割り当て要求を開始する、すなわち、送信したいデータフレームのデータ長を加味した値を示すレポートフレームを切り替え先OSUへ送信する。
より詳細には、OSU冗長切り替えが行なわれると、ONU202は、切り替え先OSUに対する制御フレーム用の帯域割り当て要求を開始する一方で、切り替え先OSUとの同期処理が完了するまで、切り替え先OSUに対するデータフレーム用の帯域割り当て要求を停止する。
具体的には、ONU202における制御部29は、ロックカウンタ44のカウント値を参照し、当該カウント値が所定値未満である場合、データフレーム用の帯域割り当て要求を開始しない。この所定値は、たとえば、イーサネット(登録商標)の最大フレーム長である1522バイトに相当する値である。
このとき、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGに基づいて、レポートフレームのデータ長を示すレポートフレームRを切り替え先OSUへ送信するが、データフレーム用の帯域を要求していないため、切り替え先OSUへのデータフレームの送信は行なっていない状態である。
次に、ONU202は、切り替え先OSUとの同期処理が完了すると、切り替え先OSUに対するデータフレーム用の帯域割り当て要求を開始する。すなわち、ONU202は、自己が送信したいデータフレームのデータ長を加味した値を示すレポートフレームRaを切り替え先OSUへ送信する。
具体的には、ONU202における制御部29は、ロックカウンタ44のカウント値を参照し、当該カウント値が上記所定値以上である場合、データフレーム用の帯域割り当て要求を開始する。
次に、切り替え先OSUは、ONU202から受信したレポートフレームRaに基づいて、ONU202が送信可能なフレームのデータ長を示すゲートフレームGaをONU202へ送信する。
次に、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGaに基づいて、自己が送信したいデータフレームのデータ長を加味した値を示すレポートフレームRbを切り替え先OSUへ送信するとともに、ゲートフレームGaの示すデータ長に応じた量のデータフレームを切り替え先OSUへ送信する。
以降、切り替え先OSUおよびONU202間でゲートフレーム、レポートフレームおよびデータフレームの送受信が行なわれる。
図14は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、ONUが帯域割り当て要求を開始する動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図14を参照して、まず、ONU202は、OSU冗長切り替えが発生した後(ステップS21でYES)、受信リカバリ処理が可能になると(ステップS22でYES)、切り替え先OSUに対する制御フレーム用の帯域割り当て要求を開始する一方で、切り替え先OSUに対するデータフレーム用の帯域割り当て要求開始を保留する(ステップS23)。
具体的には、ONU202における制御部29は、ロック判定回路43からの通知により、受信クロックリカバリ回路41のPLL回路58がアンロック状態からロック状態になったか否かを認識する。
次に、ONU202は、送信リカバリ処理が可能になるまで、切り替え先OSUに対するデータフレーム用の帯域割り当て要求の開始保留を継続する(ステップS24でNO)。
一方、ONU202は、送信リカバリ処理が可能になると(ステップS24でYES)、切り替え先OSUに対するデータフレーム用の帯域割り当て要求を開始する(ステップS25)。
具体的には、ONU202における制御部29は、ロック判定回路43からの通知により、送信クロックリカバリ回路42のPLL回路68がアンロック状態からロック状態になったか否かを認識する。
図15は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置およびONU間の帯域割り当て処理およびデータの流れの一例を示す図である。
図15を参照して、ONU202は、切り替え先OSUとの同期が確立した後、制御フレーム用およびデータフレーム用の帯域割り当て要求を開始する、すなわち、レポートフレームの切り替え先OSUへの送信を開始する。
より詳細には、OSU冗長切り替えが行なわれた後、ONU202は、切り替え先OSUに対する帯域割り当て要求を保留する、具体的には、切り替え先OSUへのレポートフレームの送信を行なわない。
このとき、ONU202は、切り替え先OSUからゲートフレームGを受信するが、切り替え先OSUへのレポートフレームおよびデータフレームの送信は行なわない状態である。
次に、ONU202は、切り替え先OSUとの同期処理が完了すると、切り替え先OSUに対する帯域割り当て要求を開始する。すなわち、ONU202は、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRaを切り替え先OSUへ送信する。
次に、切り替え先OSUは、ONU202から受信したレポートフレームRaに基づいて、ONU202が送信可能なフレームのデータ長を示すゲートフレームGaをONU202へ送信する。
次に、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGaに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRbを切り替え先OSUへ送信するとともに、ゲートフレームGaの示すデータ長に応じた量のデータフレームを切り替え先OSUへ送信する。
以降、切り替え先OSUおよびONU202間でゲートフレーム、レポートフレームおよびデータフレームの送受信が行なわれる。
図16は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置およびONU間の帯域割り当て処理およびデータの流れの一例を示す図である。
図16を参照して、ONU202は、切り替え先OSUからのゲートフレームを所定回数受信すると、制御フレーム用およびデータフレーム用の帯域割り当て要求を開始する、すなわち、レポートフレームの切り替え先OSUへの送信を開始する。
より詳細には、ONU202は、OSU冗長切り替えが行なわれた後、切り替え先OSUからゲートフレームGを所定回数たとえば3回受信するまで、切り替え先OSUに対する帯域割り当て要求を保留する、具体的には、切り替え先OSUへのレポートフレームの送信を行なわない。
このとき、ONU202は、切り替え先OSUからゲートフレームGを受信するが、切り替え先OSUへのレポートフレームおよびデータフレームの送信は行なわない状態である。
次に、ONU202は、OSU冗長切り替えが行なわれた後、切り替え先OSUからゲートフレームGを所定回数たとえば3回受信すると、切り替え先OSUに対する帯域割り当て要求を開始する。すなわち、ONU202は、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRaを切り替え先OSUへ送信する。
次に、切り替え先OSUは、ONU202から受信したレポートフレームRaに基づいて、ONU202が送信可能なフレームのデータ長を示すゲートフレームGaをONU202へ送信する。
次に、ONU202は、切り替え先OSUから受信したゲートフレームGaに基づいて、自己が送信したいフレームのデータ長を示すレポートフレームRbを切り替え先OSUへ送信するとともに、ゲートフレームGaの示すデータ長に応じた量のデータフレームを切り替え先OSUへ送信する。
以降、切り替え先OSUおよびONU202間でゲートフレーム、レポートフレームおよびデータフレームの送受信が行なわれる。
図17は、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、ONUが帯域割り当て要求を開始する動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図17を参照して、まず、ONU202は、OSU冗長切り替えが発生した後(ステップS31でYES)、切り替え先OSUに対する帯域割り当て要求開始を保留するとともに(ステップS32)、自己において切り替え先OSUとの同期が確立したか否かを判断する(ステップS33)。
ONU202は、切り替え先OSUとの同期が確立したと判断するまで、切り替え先OSUに対する帯域割り当て要求の開始保留を継続する(ステップS33でNO)。
一方、ONU202は、切り替え先OSUとの同期が確立したと判断すると(ステップS33でYES)、切り替え先OSUに対する帯域割り当て要求を開始する(ステップS34)。
たとえば、図15に示す例では、ONU202は、ロックカウンタ44のカウント値を参照し、当該カウント値が上記所定値以上であることにより、切り替え先OSUとの同期が確立したと判断する。また、図16に示す例では、ONU202は、OSU冗長切り替えが行なわれた後、切り替え先OSUからゲートフレームを所定回数受信したことにより、切り替え先OSUとの同期が確立したと判断する。
なお、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、局側装置101における全体制御部11が、OSU12の切り替え処理を行ない、OSU12におけるPON制御部36またはONU202における制御部29が、PON回線におけるデータフレームの送受信を開始する処理を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではない。局側装置101またはONU202の代わりに、PONシステム301における局側装置101およびONU202以外の他の装置が、局側装置101にOSU12の冗長切り替えを行なわせる制御、およびPON回線におけるデータフレームの送受信を許可する処理を行なう構成であってもよい。
より詳細には、PONシステム301は、切り替え制御部および通信制御部を備える。切り替え制御部は、運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替え処理を行なう。
通信制御部は、切り替え元OSUの通信相手であるONU202から切り替え先OSUへ制御フレームを送信可能な状態において、当該ONU202と切り替え先OSUとの同期を保証するための条件が満たされた後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
言い換えれば、通信制御部は、切り替え元OSUの通信相手であるONU202から切り替え先OSUへ制御フレームを送信可能な状態において、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信が可能になったと判断した後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
図18は、本発明の実施の形態に係るPONシステムが局側装置およびONU間の帯域割り当てを開始する動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図18を参照して、まず、PONシステム301における切り替え制御部は、運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替え処理を行なう(ステップS41)。
次に、PONシステム301における通信制御部は、受信リカバリ処理を行なうことが切り替え元のOSU12の通信相手であるONU202において可能となった後(ステップS42でYES)、当該ONU202から切り替え先のOSU12への制御フレームの送信を許可するとともに、当該ONU202から切り替え先のOSU12へのデータフレームの送信許可を保留する(ステップS43)。
次に、PONシステム301における通信制御部は、送信リカバリ処理を行なうことが切り替え元のOSU12の通信相手であるONU202において可能となった後(ステップS44でYES)、保留したデータフレームの送信を許可する(ステップS45)。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムにおいて、ONU202の同期状態の安定を判断または確認してから開始するデータフレームの送受信は、種々の条件に応じて、上り方向および下り方向の両方とする構成であってもよいし、上り方向のみとする構成であってもよい。たとえば、切り替え先OSUは、OSU冗長切り替えが行なわれた後、ONU202における送信クロックリカバリ回路42のPLL回路68のロック状態への遷移を待つことなく、下りデータフレームの送信を開始してもよい。
ところで、PONシステムにおいて、局側装置およびONU間で通信を行なうためには、局側装置とONUとが同期している必要がある。
具体的には、たとえば、局側装置からの下り光信号に、ONUが周波数同期および位相同期している必要がある。ここで、周波数同期とは、下り光信号から抽出されるクロックと同じ周波数のクロックのタイミングに従って上り光信号を出力することである。また、位相同期とは、下り光信号から抽出されるクロックと同じ位相のクロックのタイミングに従って上り光信号を出力することである。
局側装置が、ONUと光信号を送受信するための複数のOSU(Optical Subscriber Unit)を備えている場合、運用系のOSUから待機系のOSUへの冗長切り替えにおいて、ONUは、切り替え先のOSUと新たに同期する必要がある。すなわち、運用系のOSUから待機系のOSUへの冗長切り替えにおいて、ONUは、切り替え先のOSUからの下り光信号に新たに同期する必要がある。
仮に、運用系のOSUおよび待機系のOSU間の動作周波数が同一であっても、OSUおよびONU間の光経路長が異なることから、切り替え元OSUからの下り光信号と切り替え先OSUからの下り光信号には位相ずれが存在する。このため、ONUにおける切り替え先のOSUとの同期状態が安定するまでにはある程度の時間を要する。
このように、ONUにおける切り替え先のOSUとの同期状態が安定するまでにはある程度の時間を要するところ、ONUの当該同期状態が安定する前に切り替え先のOSUとONUとの間で通信が開始されると、通信データの欠損が生じてしまう場合がある。
これに対して、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、通信制御部は、切り替え元OSUの通信相手であるONU202から切り替え先OSUへ制御フレームを送信可能な状態において、当該ONU202と切り替え先OSUとの同期を保証するための条件が満たされた後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。言い換えれば、通信制御部は、切り替え元OSUの通信相手であるONU202から切り替え先OSUへ制御フレームを送信可能な状態において、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信が可能になったと判断した後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、まず、運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替え処理を行なう。次に、受信リカバリ処理を行なうことが切り替え元OSUの通信相手であるONU202において可能となった後、当該ONU202から切り替え先OSUへの制御フレームの送信を許可するとともに、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信許可を保留する。次に、送信リカバリ処理を行なうことが当該ONU202において可能となった後、保留したデータフレームの送信を許可する。
また、本発明の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36は、運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替え処理が行なわれた後、ONU202と切り替え先OSUとの間で制御フレームを送受信する期間を経て、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。より詳細には、本発明の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36は、切り替え元OSUの通信相手であるONU202から切り替え先OSUへ制御フレームを送信可能な状態において、当該ONU202と切り替え先OSUとの同期を保証するための条件が満たされた後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。言い換えれば、PON制御部36は、切り替え元OSUの通信相手であるONU202から切り替え先OSUへ制御フレームを送信可能な状態において、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信が可能になったと判断した後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、局側装置101においてOSU12の切り替え処理が行なわれ、自己のONU202と切り替え先OSUとの同期を保証するための条件が満たされた後、自己のONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。言い換えれば、制御部29は、局側装置101においてOSU12の切り替え処理が行なわれ、自己のONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信が可能になったと判断した後、自己のONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
すなわち、冗長切り替え後、ONU202が新たに収容されるOSU12に安定的に同期したことを保証してからOSU12およびONU202間の通信を開始する。
このように、ONU202における受信器および送信器が切り替え先OSUの下り光信号に同期してから、すなわちONU202の同期状態の安定を確認してから、切り替え先OSUからONU202へのデータフレームの送信を開始する構成により、OSU冗長切り替え後の通信トラフィックの欠損を防ぐことができる。
したがって、局側装置の冗長切り替えを行なう際の局側装置および宅側装置間の通信データの欠損を防ぎ、信頼性の高い通信システムを提供することができる。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、通信制御部は、運用系のOSU12から待機系のOSU12への切り替え処理が行なわれてから所定時間経過後に、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
このような構成により、ONU202の同期状態が安定したかどうかを簡易な処理で判断することができる。
また、本発明の実施の形態に係るPONシステムでは、ONU202は、局側装置101から受信した信号を用いて自己を局側装置101に同期させる同期処理を行なう。そして、通信制御部は、同期処理の完了を示す情報を取得すると、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
このような構成により、ONU202の同期状態が安定したことを正確に判断することができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、同期処理部45は、ONU202を局側装置101に同期させる同期処理を行なう。同期処理部45の状態には、未同期状態と、準同期状態と、同期完了状態とがある。そして、制御部29は、準同期状態において自己のONU202が送信するフレームのデータ長を、同期完了状態において自己のONU202が送信するフレームのデータ長よりも短く抑制する。
このように、ONU202における同期処理部45の同期に関して3つの状態を設け、局側装置101へ送信するフレームのデータ長を、同期処理部45の状態遷移に応じて抑制する構成により、OSU冗長切り替え後、ONU202における送信クロックのずれに伴う通信トラフィックの欠損を防ぐことができる。
したがって、本発明の実施の形態に係るONUでは、局側装置の冗長切り替えを行なう際の局側装置および宅側装置間の通信データの欠損を防ぎ、信頼性の高い通信システムを提供することができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、同期処理部45の状態は、準同期状態を経て未同期状態から同期完了状態へ遷移する。
このように、局側装置101へ送信するフレームのデータ長を、同期完了状態の前段階である準同期状態において抑制する構成により、OSU冗長切り替え後、ONU202における送信クロックのずれに伴う通信トラフィックの欠損を防ぐことができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、同期処理部45において、受信クロックリカバリ回路41は、PLL回路58を含み、PLL回路58を用いて、局側装置101から受信した信号から受信クロックを抽出する。送信クロックリカバリ回路42は、PLL回路68を含み、PLL回路68を用いて、受信クロックリカバリ回路41によって抽出された受信クロックに同期する送信クロックを生成するとともに、局側装置101へ送信すべきデータを、生成した送信クロックでリタイミングする。そして、送信クロックリカバリ回路42におけるPLL回路68の時定数は、受信クロックリカバリ回路41におけるPLL回路58の時定数よりも大きい。
このような構成により、特に、局側装置101からの下り光信号の受信マージンを大きくするとともに、局側装置101への上り光信号の周波数精度を高めながら、OSU冗長切り替え後、ONU202における送信クロックのずれに伴う通信トラフィックの欠損を防ぐことができる。
また、本発明の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36は、PON回線における帯域をONU202に割り当てる処理を行なう。PON制御部36は、ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理として、切り替え先OSUの通信相手となるONU202に対して、データフレームを送信するための帯域を割り当てる処理を開始する。
このような構成により、各ONU202から局側装置101へのフレームが時分割多重されるPONシステムにおいて、既存の帯域割り当てを利用した簡易な処理で、ONU202の同期状態の安定を確認してから、切り替え先OSUからONU202へのデータフレームの送信を開始することができる。
また、本発明の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36は、ONU202が切り替え先OSUと同期した旨の通知をONU202から受けた後、当該ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう。
このような構成により、ONU202の同期状態が安定したことを正確に判断することができる。
また、本発明の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36は、ONU202が切り替え先OSUと同期したか否かを当該ONU202に問い合わせる。
このように、局側装置101が、ONU202に対して同期状態を確認する構成により、ONU202の同期状態が安定したか否かの情報を、より早期かつ確実に取得することができる。
また、本発明の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36は、各ONU202から受けたPON回線における帯域の割り当て要求に基づいて、帯域をONU202に割り当てる処理を行なう。そして、PON制御部36は、切り替え先OSUの通信相手となるONU202から割り当て要求を所定回数受けると、ONU202がデータフレームを送信するための帯域を割り当てる処理を開始する。
このような構成により、各ONU202から局側装置101へのフレームが時分割多重されるPONシステムにおいて、既存の帯域割り当てを利用した簡易な処理で、ONU202の同期状態が安定したかどうかを判断することができる。
また、本発明の実施の形態に係るONUでは、制御部29は、PON回線における帯域の自己のONU202への割り当てを局側装置101に要求する処理を行なう。そして、制御部29は、ONU202から切り替え先OSUへのデータフレームの送信を開始する処理として、自己のONU202が切り替え先OSUへデータフレームを送信するための帯域を局側装置101に要求する処理を開始する。
このような構成により、各ONU202から局側装置101へのフレームが時分割多重されるPONシステムにおいて、既存の帯域割り当てを利用した簡易な処理で、ONU202の同期状態が安定してから、切り替え先OSUからONU202へのデータフレームの送信を開始することができる。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
1または複数の宅側装置と制御フレームおよびデータフレームを送受信するための複数の光回線ユニットと、
運用系の前記光回線ユニットから待機系の前記光回線ユニットへの切り替え処理を行なうための切り替え制御部と、
切り替え元の前記光回線ユニットの通信相手である前記宅側装置から切り替え先の前記光回線ユニットへ制御フレームを送信可能な状態において、前記宅側装置と前記切り替え先の前記光回線ユニットとの同期を保証するための条件が満たされた後、前記宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信を開始する処理を行なうための通信制御部とを備える、局側装置。
[付記2]
1または複数の宅側装置と制御フレームおよびデータフレームを送受信するための複数の光回線ユニットと、
運用系の前記光回線ユニットから待機系の前記光回線ユニットへの切り替え処理を行なうための切り替え制御部と、
前記光回線ユニットおよび前記宅側装置間の通信を開始する処理を行なうための通信制御部とを備え、
前記通信制御部は、切り替え元の前記光回線ユニットの通信相手である前記宅側装置から切り替え先の前記光回線ユニットへ制御フレームを送信可能な状態において、前記宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信が可能になったと判断した後、前記宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう、局側装置。
[付記3]
前記光回線ユニットは、各前記宅側装置から共通の通信回線を介して制御フレームおよびデータフレームを受信し、前記各宅側装置から前記光回線ユニットへの制御フレームおよびデータフレームが時分割多重され、
前記通信制御部は、前記通信回線における帯域を前記宅側装置に割り当てる処理を行ない、
前記通信制御部は、前記宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信を開始する処理として、前記切り替え先の前記光回線ユニットの通信相手となる前記宅側装置に対して、データフレームを送信するための前記帯域を割り当てる処理を開始する、付記1または付記2に記載の局側装置。
[付記4]
前記通信制御部は、前記宅側装置が前記切り替え先の前記光回線ユニットと同期した旨の通知を前記宅側装置から受けた後、前記宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信を開始する処理を行なう、付記1から付記3のいずれか1項に記載の局側装置。
[付記5]
前記通信制御部は、前記宅側装置が前記切り替え先の前記光回線ユニットと同期したか否かを前記宅側装置に問い合わせる、付記4に記載の局側装置。
[付記6]
前記光回線ユニットは、各前記宅側装置から共通の通信回線を介して制御フレームおよびデータフレームを受信し、前記各宅側装置から前記光回線ユニットへの制御フレームおよびデータフレームが時分割多重され、
前記通信制御部は、前記各宅側装置から受けた前記通信回線における帯域の割り当て要求に基づいて、前記帯域を前記宅側装置に割り当てる処理を行ない、
前記通信制御部は、前記切り替え先の前記光回線ユニットの通信相手となる前記宅側装置から前記割り当て要求を所定回数受けると、前記宅側装置がデータフレームを送信するための前記帯域を割り当てる処理を開始する、付記1から付記3のいずれか1項に記載の局側装置。
[付記7]
複数の光回線ユニットを含む局側装置であって、運用系の前記光回線ユニットから待機系の前記光回線ユニットへの切り替え処理を行なう局側装置、と制御フレームおよびデータフレームを送受信するための通信部と、
前記切り替え処理が行なわれ、自己の宅側装置から切り替え先の前記光回線ユニットへ制御フレームを送信可能な状態において、自己の宅側装置と前記切り替え先の前記光回線ユニットとの同期を保証するための条件が満たされた後、自己の宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信を開始する処理を行なうための通信制御部とを備える、宅側装置。
[付記8]
複数の光回線ユニットを含む局側装置であって、運用系の前記光回線ユニットから待機系の前記光回線ユニットへの切り替え処理を行なう局側装置、と制御フレームおよびデータフレームを送受信するための通信部と、
前記切り替え処理が行なわれ、自己の宅側装置から切り替え先の前記光回線ユニットへ制御フレームを送信可能な状態において、自己の宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信が可能になったと判断した後、自己の宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信を開始する処理を行なうための通信制御部とを備える、宅側装置。
[付記9]
前記宅側装置は、他の宅側装置とともに共通の通信回線を介して時分割多重により制御フレームおよびデータフレームを前記光回線ユニットへ送信し、
前記通信制御部は、前記通信回線における帯域の自己の前記宅側装置への割り当てを前記局側装置に要求する処理を行ない、
前記通信制御部は、前記宅側装置から前記切り替え先の前記光回線ユニットへのデータフレームの送信を開始する処理として、自己の前記宅側装置が前記切り替え先の前記光回線ユニットへデータフレームを送信するための前記帯域を前記局側装置に要求する処理を開始する、付記7または付記8に記載の宅側装置。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。