JP6113588B2 - 床材 - Google Patents

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Description

本発明は、汚れ除去性に優れた床材に関する。
従来、各種の床材が広く用いられている。床材は、足裏や靴裏によって踏みつけられて汚れが付着する。
特許文献1には、中心線平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、表面光沢度(60°)が30%以上であるカレンダー成形法によるコンポジションビニル床タイルが開示されている。この文献によれば、かかるコンポジションビニル床タイルは、塗料やワックスの使用量を低減でき、且つ、床材表面の汚れを容易に除去できると記載されている。
しかしながら、床材に付着した汚れは、床材の形成材料に化学的に結合することによって取れ難くなっており、特許文献1のように表面の中心線平均粗さ(Ra)などを特定の範囲にしても、十分に汚れを除去できない。
それ故、優れた汚れを除去できる性質(汚れ除去性)を有する床材が求められる。
特開2005−002692号公報
本発明の目的は、汚れ除去性に優れた床材を提供することである。
本発明の床材は、床材本体と、前記床材本体の上に設けられた表層と、前記表層の上に設けられ且つ硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方が重合した硬化性樹脂を含む表面保護層と、を有し、前記表層が、塩化ビニル樹脂及び下記式(I)又は(II)で表される化合物を含み且つそれらが混在した形成材料を前記床材本体の表面に積層することにより形成されている。
Figure 0006113588
Figure 0006113588
式(I)及び(II)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基であり、nは、0〜100の整数であり、mは、0〜100の整数であり、n+mは、1〜200の整数である。
本発明の好ましい床材は、前記R乃至Rが、それぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基である。
本発明の好ましい床材は、前記R乃至Rが、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、ブチル基又はプロピル基である。
本発明の好ましい床材は、前記表層の厚みが、0.1mm〜1mmである
本発明の好ましい床材は、前記表層の形成材料が、可塑剤を含み、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対し、前記式(I)又は式(II)で表される化合物が、2質量部〜10質量部含まれ、前記可塑剤が、35質量部〜50質量部含まれている。
本発明の好ましい床材は、前記表面保護層の厚みが、1μm〜100μmである
本発明の床材においては、表層に付着した汚れを容易に除去できる。従って、本発明によれば、汚れ除去性に優れた床材を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る床材の平面図。 床材を図1のII−II線で切断した拡大断面図。 第2実施形態に係る床材の拡大断面図(図1のII−II線と同様な箇所で切断)。 第3実施形態に係る床材の拡大断面図(図1のII−II線と同様な箇所で切断)。 第5実施形態に係る床材の拡大断面図(図1のII−II線と同様な箇所で切断)。 実施例1と比較例1の各試験用表層の保管期間とZ値の変化を示すグラフ図。 実施例2乃至4及び比較例2乃至4の各試験用表層のZ値を示すグラフ図。 実施例2乃至4及び比較例2乃至4で用いた各表層形成材料の粘度を示すグラフ図。
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、ある層又は部材の「表面」は、床材を敷設する床面から遠い側の面を指し、「裏面」は、その反対側の面(床材を敷設する床面に近い側)の面を指す。
本明細書において、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
また、各図における、ある層及び部材の厚み及び大きさなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
[床材の基本的構成]
図1は、第1実施形態の床材の平面図である。図2は、第1実施形態の床材の断面図であり、図3は、第2実施形態の床材の断面図であり、図4は、第3実施形態の床材の断面図であり、図5は、第4実施形態の床材の断面図である。なお、第2乃至第4実施形態の床材の平面図は、図1と同様なので省略している。
図1乃至図3における床材1は、床材本体2と、前記床材本体2の上に設けられた表層3と、を有し、前記表層3の上に表面保護層4が設けられる。
図4及び図5における床材1は、床材本体2と、前記床材本体2の上に設けられた表層3と、からなる。
図1に示すように、床材1は、平面視長尺帯状に形成されている。長尺帯状は、一方向の長さが他方向(他方向は一方向に対して直交する方向)の長さに比して十分に長い長方形状であり、例えば、一方向の長さが他方向の長さの2倍以上、好ましくは4倍以上である。長尺帯状の床材1は、通常、ロールに巻かれて保管及び運搬に供され、施工現場において、所望の形状に裁断して使用される。もっとも、本発明の床材1は、長尺帯状に限られず、平面視正方形状などの枚葉状に形成されていてもよい(図示せず)。
(床材本体2)
床材本体2は、床材1の強度及び重量を構成する主たる部分である。
本発明では、床材本体2は、主として合成樹脂から形成されている。もっとも、床材本体2は、合成樹脂以外を用いて形成することもできる。
前記床材本体2は、例えば、樹脂層5と、形状安定化層6と、を有する。
図2及び図4に示す床材本体2は、裏面側から表面側に順に、発泡樹脂層51と、形状安定化層6と、中間樹脂層52と、化粧層7と、を有する。第1実施形態では、樹脂層5は、発泡樹脂層51と中間樹脂層52からなる。第1実施形態の床材本体2は、樹脂層5の裏面にエンボス加工による複数の凹部1aが形成されている。複数の凹部1aによって床材1の裏面の表面積が増すので、接着剤を用いて床材1を敷設した際の床面に対する接着性を向上させることができる。もっとも、このような凹部1aは形成されていなくてもよい。
図3及び図5に示す床材本体2は、裏面側から表面側に順に、基材層8と、下方樹脂層53と、形状安定化層6と、上方樹脂層54と、化粧層7と、を有する。第2実施形態では、樹脂層5は、下方樹脂層53と上方樹脂層54からなる。
樹脂層5(発泡樹脂層51、中間樹脂層52、下方樹脂層53及び上方樹脂層54)の合成樹脂成分としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、一般的には、熱可塑性樹脂が用いられる。
前記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂;オレフィン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル樹脂;エチレン−メタクリレート樹脂などのアクリル樹脂;アミド樹脂;エステル樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの各種エラストマーなどの各種エラストマー;ゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を併用できる。優れた可撓性を有し、さらに、表層3と強固に密着することから、塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層5が好ましい。塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層5を有する床材1は、柔軟性に優れているので、歩行感が良好であり、さらに、湾曲させながら床面(床材1を敷設する施工面)に施工できる。また、塩化ビニル樹脂は、安価である上、これを用いると、床材1の製造も簡易となる。なお、前記塩化ビニルは、ペーストタイプでもよいし、サスペンションタイプでもよい。
前記樹脂層5には、通常、上記樹脂以外に各種添加剤が含まれる。添加剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、充填剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤、防黴剤などが挙げられる。
前記樹脂層5は、非発泡でもよいし、或いは、発泡されていてもよい。第1及び第2実施形態においては、中間樹脂層52、下方樹脂層53及び上方樹脂層54が非発泡である。もっとも、中間樹脂層52、下方樹脂層53及び上方樹脂層54から選ばれる少なくとも1つが発泡されていてもよい。
発泡樹脂層51の発泡倍率は特に限定されないが、好ましくは1.2倍〜20倍であり、より好ましくは1.5倍〜4倍である。発泡倍率が余りに低いと、床材1に実質的にクッション性を付与できず、一方、発泡倍率が余りに高いと、床材1が柔らかくなりすぎる。
前記樹脂層5の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.2mm〜3mmであり、好ましくは1mm〜2.5mmである。
前記形状安定化層6は、経時的な収縮や膨張による、床材1の寸法変化を抑制するための層である。形状安定化層6は、必要に応じて設けられる。形状安定化層6を設ける場合、各図に示すように、形状安定化層6は、樹脂層5の厚み方向中間部に設けられていてもよいし、特に図示しないが、樹脂層5の表面に設けられていてもよい。
前記形状安定化層6としては、不織布又は織布などを用いることができる。不織布及び織布を構成する繊維の材質は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成樹脂繊維;ガラス、カーボンなどの無機繊維;天然繊維などが挙げられる。床材1の寸法安定性を高めることができ、有機繊維に比べて極めて寸法変動が少ない上、樹脂との馴染みも良いことから、形状安定化層6として、ガラス繊維不織布を用いることが好ましい。
前記形状安定化層6の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1mm〜0.5mmであり、より好ましくは0.2mm〜0.4mmであり、さらに好ましくは0.25mm〜0.35mmである。形状安定化層6の厚みが小さすぎると、床材1の寸法安定性が十分に向上せず、一方、形状安定化層6の厚みが大きすぎると、床材1の使用感が低下するおそれがある。
前記基材層8は、床材本体2(床材1)の最も裏面に位置する層であって、床材1の反りを防止する作用を有する。従って、床材1を敷設した際には、基材層8の裏面が床面に接する。もっとも、基材層8は、必要に応じて設けられるので、例えば、図2に示すように、基材層8が設けられていない場合には、樹脂層5の裏面が床面に接する。
前記基材層8としては、不織布(フェルトを含む)、織布及び紙などが挙げられ、好ましくは不織布又は織布であり、より好ましくは不織布である。不織布又は織布を用いることにより、樹脂層5の合成樹脂成分が基材層8に含浸し、床材1の反りを効果的に防止できる。
前記不織布としては、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布などが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を併用できる。中でも、スパンボンド不織布を用いることが好ましい。不織布及び織布を構成する繊維の材質は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成樹脂繊維;ガラス、カーボンなどの無機繊維;天然繊維などが挙げられる。
前記基材層8の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜0.5mmであり、好ましくは0.2mm〜0.4mmである。前記不織布の目付けは特に限定されないが、好ましくは30g/m〜50g/mである。基材層8の厚みが小さすぎる又は目付けが小さすぎると、床材1の反りを十分に防止できないおそれがあり、一方、基材層8の厚みが大きすぎる又は目付けが大きすぎると、基材層8に樹脂層5の樹脂成分が十分に含浸しないおそれがある。
前記化粧層7は、床材1にデザインを付与する層である。化粧層7は、必要に応じて設けられる。
前記化粧層7は、デザイン印刷の転写層又はデザイン印刷層から構成されていてもよいし、熱可塑性樹脂層から構成されていてもよい。前記転写層は、デザイン印刷の施された転写シートを樹脂層5の表面に転写することによって形成される。前記デザイン印刷層は、樹脂層5の表面に、直接にデザイン印刷を施す又はデザイン印刷シートを積層することによって形成できる。前記熱可塑性樹脂層としては、上記樹脂層5の欄で例示したようなものが挙げられ、樹脂層5と表層3とに強固に密着することから、塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂が好ましい。その熱可塑性樹脂層には、着色剤が混合されていてもよい。前記熱可塑性樹脂層には、着色剤と着色剤の色彩以外の色を呈する樹脂チップとが混合されていてもよい。
前記化粧層7の厚みは特に限定されないが、例えば、0.01mm〜1mmであり、好ましくは0.01mm〜0.8mmである。
(表層)
表層3は、床材に付着した汚れを容易に除去できるようにするために設けられた層である。すなわち、表層3は、床材1に汚れ除去性を付与する。表層3は、透明又は不透明でもよいが、表層3の裏面側に設けられた化粧層7のデザインを視認できるようにするため(化粧層7が設けられていない場合には、床材本体2の着色を視認できるようにするため)、透明であることが好ましい。
表層3は、塩化ビニル樹脂とアルコキシシランのモノマー又はオリゴマーとを少なくとも含む形成材料を前記床材本体2の表面に積層することにより形成されている。以下、前記表層の形成材料を、表層形成材料という。アルコキシシランのモノマー又はオリゴマーは、モノマー及びオリゴマーの少なくとも一方を含むという意味である。また、表層3の樹脂成分は、塩化ビニル樹脂のみに限られず、他の熱可塑性樹脂が混合されていてもよい。
前記塩化ビニル樹脂としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで製造されたものを用いることができる。加工し易く且つ取り扱い易いことから、乳化重合法、又は、懸濁重合法で得られる塩化ビニル樹脂が好ましい。これらの塩化ビニル樹脂は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
前記乳化重合法で得られる塩化ビニル樹脂は、多数の微粒子集合体からなる基本粒子径数μm以下(好ましくは1〜3μm)の微細粉末の表面に界面活性剤がコーティングされたものであり、可塑剤などを配合することによってペースト状になるものである。前記乳化重合法による塩化ビニル樹脂は、その平均重合度が1000〜2000程度のものが好ましく用いられる。
前記懸濁重合法で得られる塩化ビニル樹脂は、好ましくは20〜100μmの微細粉末であり、カレンダー成形法にてシート加工されて使用されるものである。カレンダー成形法に適したロールタック性を付与できる点から、前記懸濁重合法による塩化ビニル樹脂は、その平均重合度が700〜1500程度のものが好ましく、更に700〜1000程度のものがより好ましい。
前記各塩化ビニル樹脂は、K値60〜95程度のものが好ましく、K値65〜80程度のものがより好ましい。
前記アルコキシシランは、分子中にアルコキシ基を有するシラン化合物である。アルコキシシランのオリゴマーは、モノマーの重合体であり、その重合度は、例えば、1〜200であり、好ましくは2〜100であり、より好ましくは2〜50である。
本発明で用いられるアルコキシシランのモノマー又はオリゴマーは、下記式(I)又は(II)で表される化合物である。
Figure 0006113588
Figure 0006113588
式(I)及び(II)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基であり、nは、0〜100の整数であり、mは、0〜100の整数であり、n+mは、1〜200の整数である。前記「置換若しくは無置換の」とは、「置換基を有する又は置換基を有さない」という意味である。
前記R及びRの炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状でもよいし、分枝状でもよい。好ましくは、前記炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状である。前記炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。前記R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、置換若しくは無置換の炭素数1又は2のアルキル基がより好ましい。前記R及びRの炭素数1〜6のアルキル基が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基及びこれらの塩基などが挙げられる。これらの置換基は、1種又は2種以上置換されていてもよい。特に、前記R及びRは、それぞれ独立して、無置換の炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、無置換の炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、無置換の炭素数1又は2のアルキル基が特に好ましい。前記R及びRは、同一でもよいし、互いに異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
前記R乃至Rの炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状でもよいし、分枝状でもよい。好ましくは、前記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状である。前記R乃至Rは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。前記R乃至Rの炭素数1〜18のアルキル基が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基及びこれらの塩基などが挙げられる。これらの置換基は、1種又は2種以上置換されていてもよい。特に、前記R乃至Rは、それぞれ独立して、無置換の炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、無置換の炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく、無置換の炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、無置換の炭素数1〜4のアルキル基が最も好ましい。前記無置換の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、特に、メチル基、エチル基、ブチル基又はプロピル基が好ましい。前記R乃至Rは、同一でもよいし、互いに異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
式(I)及び(II)のn+mは、1以上の整数である。前記n又はmの何れか一方が1で且つ何れか他方が零であるときは、式(I)又は式(II)で表される化合物は、モノマーである。式(I)又は式(II)のn+mは、1〜200の整数であり、好ましくは2〜100の整数であり、より好ましくは2〜50の整数である。
前記表層形成材料は、前記式(I)又は(II)で表される化合物と塩化ビニル樹脂を含み、必要に応じて、縮合反応促進触媒、可塑剤及び他の添加剤を含む。前記式(I)又は(II)で表される化合物は、モノマー及びオリゴマーの少なくとも一方を含んでいればよく、モノマー及びオリゴマーの双方を含んでいてもよい。また、前記式(I)又は(II)で表される化合物は、1種単独で又は2種以上含んでいてもよい。
前記縮合反応促進触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;スルホン酸、有機リン酸などの有機酸;イソシアネート基又はイソシアヌレート基を含む化合物;チタネート、ジルコネートなどの有機金属化合物;などが挙げられる。縮合反応促進触媒は、1単独で又は2種以上を併用できる。
前記可塑剤としては、フタル酸ジオクチル(DOP)、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、リン酸エステル系、塩素化パラフィン、トリメリット酸エステルなどの可塑剤が挙げられる。可塑剤は、1単独で又は2種以上を併用できる。
前記他の添加剤としては、例えば、加工助剤、防滑剤、充填剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、防黴剤などが挙げられる。
前記式(I)又は(II)で表される化合物の配合量は、特に限定されないが、余りに小さいと、十分な汚れ除去性を奏さないおそれがあり、余りに大きいと、表層形成材料の粘度が低くなりすぎて加工性が低下するおそれがある。このような観点から、前記式(I)又は(II)で表される化合物は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部〜10質量部配合され、好ましくは1.5質量部〜10質量部配合され、より好ましくは2質量部〜10質量部配合され、特に好ましくは2質量部〜8質量部配合される。
前記可塑剤の配合量は、特に限定されないが、余りに小さいと、表層形成材料の粘度が高くなりすぎてそれを塗布することが困難となり、余りに大きいと、汚れ除去性が低下するおそれがある。このような観点から、前記可塑剤は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、例えば、30質量部〜50質量部配合され、好ましくは35質量部〜50質量部配合され、より好ましくは35質量部〜45質量部配合される。
また、表層形成材料に他の熱可塑性樹脂を配合する場合、その熱可塑性樹脂は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部〜50質量部配合され、好ましくは、1質量部〜30質量部配合される。
前記表層形成材料に含まれるアルコキシシランのモノマー又はオリゴマーは、加水分解により、側鎖のアルコキシシリル基(Si−OR)の一部又は全部がシラノール基(Si−OH)となり、さらに、縮合して高分子化してポリシロキサンとなる。具体的には、式(I)又は式(II)の化合物は、モノマー(n+m=1)又はオリゴマー(n+m=2〜50)であり、これらのアルコキシ基が部分的に加水分解し縮合することにより、シロキサン結合(Si−O−Si結合)を有する重合体であるポリシロキサンを生じる。従って、表層形成材料を積層して得られる表層3は、ポリシロキサンの固化物を含む。なお、前記縮合反応促進触媒は、式(I)又は式(II)の化合物の加水分解を促進させるために混合されているが、かかる触媒が混合されていなくても、アルコキシシランのモノマー又はオリゴマーは、加水分解及び縮合を生じ得る。
前記表層3の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜1mmであり、好ましくは0.1mm〜0.7mmであり、より好ましくは0.2mm〜0.5mmである。
(表面保護層)
表面保護層4は、床材1の最も表面側に位置する層であって、床材1の表面を保護する層である。表面保護層4は必要に応じて設けられる。
表面保護層4は、透明又は不透明でもよいが、表層3の裏面側に設けられた化粧層7のデザインを視認できるようにするため、透明であることが好ましい。
前記表面保護層4は、硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方が重合した硬化性樹脂を含み、必要に応じて、その他の成分を含んで形成されている。
前記硬化性樹脂としては、例えば、熱により硬化する樹脂、電離放射線により硬化する樹脂、非電離放射線により硬化する樹脂などが挙げられる。加工性の良さ及び表層3に熱損傷を与え難いなどの点から、電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましく、さらに、汎用的であることから、紫外線硬化性樹脂を用いることがより好ましい。
熱により硬化する硬化性モノマー又はオリゴマーとしては、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレンなどのモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
電離放射線により硬化する硬化性モノマー又はオリゴマーとしては、通常、紫外線又は電子線で硬化する硬化性モノマー又はオリゴマーが挙げられる。以下、電離放射線により硬化する硬化性モノマー又はオリゴマーを、電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーと記す。
前記電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーとしては、分子中に(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合基又はエポキシ基等を有するモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
前記電離放射線硬化性モノマーの具体例としては、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、分子中に2個以上のチオール基を有するポリオール化合物などが挙げられる。前記電離放射線硬化性オリゴマーの具体例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のアクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシなどが挙げられる。これらの硬化性モノマー又はオリゴマーは、1種単独で又は2種以上を併用できる。
これらの中では、電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーとして、分子中に(メタ)アクリレート基を有するモノマー又はオリゴマーを用いることが好ましく、さらに、ウレタン(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
前記硬化性モノマー又はオリゴマーの分子量は、特に限定されないが、例えば、200〜10000の範囲内などが挙げられる。
電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーには、通常、光重合開始剤が添加される。前記光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、その他のチオキサント系化合物などが挙げられる。
また、前記表面保護層4のその他の成分としては、溶剤、レベリング剤、微粒子、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤、防黴剤などが挙げられる。
表面保護層4は、前記硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくとも何れか一方が重合して高分子化した硬化性樹脂を含む比較的硬質の層である。
前記表面保護層4の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜100μmであり、好ましくは5μm〜70μmであり、より好ましくは10μm〜50μmである。
上記床材1は、ポリシロキサンを含む表層3を有するので、汚れ除去性に優れている。
具体的には、上述のように、アルコキシシランのモノマー又はオリゴマーが加水分解し縮合することにより、表層3は、ポリシロキサンの固化物を含む。このポリシロキサンは、主鎖にシロキサン結合を有し且つ側鎖にシラノール基を有するので、表層3は、ガラス質と親水性を有し、その表層3の表面に付着した汚れを簡単に除去できる。また、前述のように、ポリシロキサンは、側鎖にシラノール基を有し、反応性が高いことから、表面保護層4に結合するので、表面保護層4が表層3から剥がれ難くなる。このため、表面保護層4で保護された表層3が、脱落し難くなり、汚れ除去性を長期間維持できる床材1を提供できる。
また、表層3に表面保護層4が設けられた床材1にあっては、仮に、摩耗などによって表面保護層4が部分的又は全体に欠落しても、表層3が存在するので、床材1は、施工後、長期間にわたって優れた汚れ除去性を発揮できる。
また、表層3は、アルコキシシランを含有していても柔軟性が損なわれないので、表面保護層4が表層3の上に形成されている場合でも、床材1の柔軟性を維持できる。
[本発明の床材の製造方法]
本発明の床材1は、例えば、次の工程を経て製造することができる。
(床材本体の形成工程)
床材本体2の形成工程は、床材本体2を形成する工程である。
床材本体2の形成は、従来公知の方法で行うことができる。
簡単に説明すると、例えば、図2に示す床材本体2を形成する場合、発泡剤含有塩化ビニルペーストなどの発泡樹脂材料を、展開用フィルムなどの展開面に塗布し、その上に、ガラスシートなどの形状安定化層6を載せ、その上に、塩化ビニルペーストを塗布して、発泡樹脂層51と形状安定化層6と中間樹脂層52の積層体を形成し、その積層体を140℃〜150℃でプリゲル化する。化粧層7を設ける場合には、前記中間樹脂層52に転写シートからデザインを転写する。このようにしてゲル化前の床材本体2を得ることができる。
前記塩化ビニルペーストは、塩化ビニル樹脂及び可塑剤などの添加剤からなる。塩化ビニルペーストは、その粘度が1500mPa・s〜10000mPa・sであるものが好ましい。かかる粘度の塩化ビニルペーストは、良好に塗布できる上、形状安定化層6の繊維間に含浸し易い。
本明細書において、粘度は、20℃で、リオン株式会社製の粘度計(商品名「ビスコテスタ」)を用いて測定できる。
(表層の形成工程)
表層3の形成工程は、前記ゲル化前の床材本体2の表面に表層3を形成する工程である。
例えば、表層形成材料を前記床材本体2の表面に積層して膜を形成する。
表層形成材料は、前記表層の欄で述べたような、塩化ビニル樹脂、前記式(I)又は(II)で表されるアルコキシシランのモノマー又はオリゴマー、縮合反応促進触媒、可塑剤、他の添加剤などからなる。
表層形成材料は、その粘度を1000mPa・s〜8000mPa・sに調整することが好ましく、2000mPa・s〜6000mPa・sに調整することがより好ましい。かかる粘度の表層形成材料は、良好に塗布できる。表層形成材料の粘度は、塩化ビニル樹脂の選択及び可塑剤の配合量の調整によって行うことができるが、アルコキシシランのモノマー又はオリゴマーは粘度を下げる効果があるので、可塑剤の配合量と共に、アルコキシシランのモノマー又はオリゴマーの配合量を調整することにより、粘度を調整することもできる。
(床材本体のゲル化工程)
床材本体2のゲル化工程は、ゲル化前の床材本体2及び表層形成材料をゲル化させる工程である。
前記表層形成材料を塗布した後のゲル化前の床材本体2を、加熱する。加熱温度は、好ましくは160℃〜200℃である。加熱時間は、好ましくは2分〜10分である。加熱により、塩化ビニル樹脂がゲル化し、床材本体2と表層3の積層体を得ることができる。
(表面保護層の形成工程)
表面保護層4の形成工程は、前記表層3の表面上に表面保護層4を形成する工程である。
例えば、表面保護層形成材料を前記表層3の表面に塗布して未硬化の塗膜を形成する。
表面保護層形成材料は、前記表面保護層の欄で述べたような、硬化性モノマー又はオリゴマー及びその他の成分からなる。
前記表面保護層形成材料として、硬化性樹脂を含む市販の硬化性樹脂塗料を用いてもよい。
前記市販の塗料は、硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくとも何れか一方と光重合開始剤とを含み、さらに、溶剤、レベリング剤、微粒子、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤及び防黴剤などから選ばれる少なくとも1種の添加剤が含まれている。かかる市販の塗料は、そのまま又は必要に応じて粘度調製をした上で、表層3に塗布することにより、前記未硬化の塗膜を形成できる。
前記市販の塗料としては、代表的には、紫外線硬化性の樹脂組成物が挙げられ、具体的には、例えば、オーレックス(中国塗料(株)製)、アデカオプトマー(旭電化工業(株)製)、コーエイハード(広栄化学工業(株)製)、セイカビーム(大日精化工業(株)製)、EBECRYL(ダイセル・サイテック(株)製)、ユニディック(DIC(株)製)、サンラッド(三洋化成工業(株)製)などが挙げられる。
前記表面保護層形成材料の未硬化の塗膜に対して、重合開始手段を施すことにより、硬化性モノマー及びオリゴマーが重合して高分子化する。かかる重合により、未硬化の塗膜が硬化して、表面保護層4が形成される。
前記重合開始手段は、硬化性モノマー又はオリゴマーの種類に応じて適宜選択できる。硬化性モノマーなどが熱硬化性である場合には、重合開始手段は、加熱であり、硬化性モノマーなどが電離放射線硬化性である場合には、重合開始手段は、電離放射線の照射であり、硬化性モノマーなどが非電離放射線硬化性である場合には、重合開始手段は、非電離放射線の照射である。
ここで、前記「電離放射線」とは、広く一般に定義される波長の紫外線、X線、γ線、荷電粒子線、中性子線等の電離放射線を意味し、前記「非電離放射線」とは、広く一般に定義される電波、マイクロ波、赤外線、可視光、近紫外線等の非電離放射線を意味する。そして、「電離放射線硬化樹脂」は、電離放射線を照射されることにより硬化する特徴を有する樹脂であり、「非電離放射線硬化樹脂」は、非電離放射線を照射されることにより硬化する特徴を有する樹脂である。前記電離放射線硬化樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル酸変性アルキッド、アクリル変性ポリエステルなどが挙げられる。前記非電離放射線硬化樹脂としては、例えばアクリル樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、ブチラール樹脂などが挙げられる。
前記電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線を照射する装置としては、電離放射線硬化型樹脂中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常、紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線などを用いてもよい。紫外線源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ブラックライト、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素の線源などが挙げられる。電離放射線の照射量は、硬化性モノマーなどに応じて適宜設定されるが、例えば、紫外線波長365nmでの積算光量で、50〜5,000mJ/cm程度が挙げられる。
前記非電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる非電離放射線を照射する装置としては、紫外線照射装置の他にも赤外線照射装置や可視光線照射装置を挙げることができる。中でも、光学特性や適用の容易性、生産性等の観点から、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する紫外線照射装置を用いるのが好ましい。
以上のようにして、表面保護層4、表層3及び床材本体2を有する床材1を得ることができる。なお、表面保護層4を形成せずに、表層3及び床材本体2を有する床材1としてもよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(使用材料)
(1)塩化ビニル樹脂:K値94の第1塩化ビニル樹脂((株)カネカ製の商品名「PSH985」)とK値68の第2塩化ビニル樹脂((株)カネカ製の商品名「PBMB5G」)の混合物。第1塩化ビニル:第2塩化ビニル(質量比)=60:40。
(2)シラン化合物(a):異なる重合度のSi(OEt)オリゴマー混合物。EVONIK社製の商品名「ダイナシラン40」。
(3)シラン化合物(b):Si(OEt)。EVONIK社製の商品名「ダイナシランA」。
(4)シラン化合物(c):異なる重合度のSi(OMt)オリゴマー混合物。三菱化学(株)製の商品名「MS56S」。
(5)シラン化合物(d):C1633Si(OMt)。EVONIK社製の商品名「ダイナシラン9116」。
(6)シラン化合物(e):C17Si(OEt)。EVONIK社製の商品名「ダイナシランOCTEO」。
(7)可塑剤:フタル酸ジオクチル。(株)ジェイプラス製。
(8)加工助剤:安定剤。(株)アデカ製の商品名「AC323」。
[汚れ除去性試験]
下記実施例1乃至6及び比較例1乃至6で作製した各試験用表層について、東京工業大学汚れ試験方法に準じて、その表面に汚れを付着させ、その後、その汚れを布拭きした後の試験用表層の表面の汚れ具合を評価した。具体的な試験方法は、下記の通りである。
各試験用表層を縦×横=15cm×15cmの矩形状に裁断してサンプルを作製した。このサンプルの表層の表面の一部分を露出させ、一部分を保護フィルムで覆った(すなわち、表層の表面の一部分に、汚れが付着しないブランクを形成した)。サンプルの表層の表面とは反対側の面を、回転式試験機(安田精機(株)製、商品名:東工大式汚れ試験機)の正六角柱状の中空容器(六角柱の6つの側面の大きさがそれぞれ、縦(軸方向)×横(周方向)=16.0cm×16.3cm)の側面内壁に両面テープを用いて貼り付けた。この中空容器内に、150gの炭化ケイ素(No.80)、2gの粉末パステル及び110gの鉄球10個(直径3cm)を入れ、この容器を時計回り及び半時計回りに計3分間回転(回転速度:20回転/分)させた。
回転停止後、サンプルを容器から取り出し、保護フィルムで覆われていない表層の表面を乾燥した布で拭きとり、汚れを除去した。布拭き後の表面と保護フィルムを外した表面(ブランクの表面)との色差を、色差計(日本電色工業(株)製の商品名「ZE−2000」。測定径30mmφ。0°−d方式によるダブルビーム方式)を用いて測定した。下記式に従い、色差からY値を求め、Y値からZ値を求めた。
式(1):色差ΔE={(L−L−(a−a−(b−b1/2
式(2):Y値=0.6531×ΔE−0.4333
式(3):Z値=0.2581×Y値+1.4493
ただし、Lは、ブランクの表面の明度を、Lは、布拭き後の表面の明度を、aは、ブランクの表面の緑色から赤色を、aは、布拭き後の表面の緑色から赤色を、bは、ブランクの表面の青色から黄色を、bは、布拭き後の表面の青色から黄色を示す。
前記Z値は、東京工業大学小野英治氏の論文(昭和55年9月の日本建築学会退会学術講演梗概集の第337頁及び第338頁「建築物床仕上材料の汚れおよびその評価方法に関する研究(2)」)で規定されている。
Z値に基づく評価は、表1の通りである。Z値が、4以下の場合、汚れ除去性が良好と言える。
Figure 0006113588
[実施例1]
上記塩化ビニル樹脂を100質量部、シラン化合物(a)を3質量部、可塑剤を40質量部、及び、加工助剤を4質量部、十分に混合して、表層形成材料を調製した。
この表層形成材料を、展開シート(東リ(株)製の厚み200μmの柔軟な塩化ビニル製シート)の上に、アプリケータ法により厚み350μmで塗布した後、200℃のオーブンで3分間加熱してゲル化させた。その後、自然冷却することにより、厚み350μmの試験用表層を形成した。
なお、実施例では、表層の表面に付着した汚れの除去を確認することが目的であるため、表層の表面には、表面保護層を形成しなかった。また、前記目的下では、表層の下方に図2乃至図5に示すような床材本体を設ける必要はないので、実施例においては、床材本体の代用として、前記展開シートを用いた。
実施例1の試験用表層を作製した直後に、それから汚れ除去性試験に従ってサンプルを切り出し、汚れ除去試験を行ってZ値を求めた。
さらに、残った試験用表層を、温度23℃、湿度50%の恒温室に入れ、作製から1週間放置した後、それからサンプルを切り出し、同様に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。さらに、残った試験用表層を同様に恒温室に入れ、同様に、作製から2週間後、作製から4週間後の各Z値を求めた。その結果を、図6に示す。
ただし、図6に示すZ値は、式(3)から求められた計算値を、0.5刻みに変換したものである(以下、同様)。例えば、計算値が、3を越え3.5以下の場合には、3とし、計算値が、3.5を越え4以下の場合には、4とした。
[比較例1]
上記シラン化合物(a)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成した。
比較例1の試験用表層についても、実施例1と同様に、作製直後、作製から1週間後、2週間後及び4週間後の各Z値を求めた。その結果を図6に示す。
図6の結果から明らかなように、実施例1は、時間が経つにつれて、汚れ除去性が向上していることが判る。これは、表層中に含まれるポリシロキサンのアルコキシシリル基が空気中の水分と加水分解して反応が進んだ結果、表層中にガラス質が形成されたこと及び表層の親水性が向上したことが要因と推察される。
[実施例2]
実施例2(実施例2−1乃至2−5)は、可塑剤を35質量部配合し、シラン化合物(a)の配合量を変えたグループである。
具体的には、表2に示すような配合量で、各材料を配合して表層形成材料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成した。
実施例2の試験用表層を作製した直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表2に示す。
[比較例2]
上記シラン化合物(a)を配合しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成し、同様に、作製直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 0006113588
[実施例3]
実施例3(実施例3−1乃至3−5)は、可塑剤を40質量部配合し、シラン化合物(a)の配合量を変えたグループである。
具体的には、表3に示すような配合量で、各材料を配合して表層形成材料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成した。
実施例3の試験用表層を作製した直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表3に示す。
[比較例3]
上記シラン化合物(a)を配合しなかったこと以外は、実施例3と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成し、同様に、作製直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表3に示す。
Figure 0006113588
[実施例4]
実施例4(実施例4−1乃至4−5)は、可塑剤を45質量部配合し、シラン化合物(a)の配合量を変えたグループである。
具体的には、表4に示すような配合量で、各材料を配合して表層形成材料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成した。
実施例4の試験用表層を作製した直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表4に示す。
[比較例4]
上記シラン化合物(a)を配合しなかったこと以外は、実施例4と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成し、同様に、作製直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表4に示す。
Figure 0006113588
実施例2乃至4及び比較例2乃至4の結果を、図7に纏めてグラフ化している。これらの結果から、可塑剤の量を多くすると、汚れ除去性が低下するが(比較例2乃至4参照)、実施例2乃至4のようにシラン化合物を配合することにより、汚れ除去性が向上することが判る。特に、シラン化合物を1.5質量部以上、好ましくは2質量部以上配合することにより、Z値が4以下の表層が得られることが判る。可塑剤の配合量を少なくすることにより、可塑剤に起因する汚れ付着の量を低減でき、一方で、ポリシロキサンによる優れた汚れ除去性により、汚れが付着し難く且つ付いた汚れを除去し易い床材を得ることができる。
さらに、実施例2乃至4及び比較例2乃至4の各表層形成材料を調製した際、その粘度を測定した。その結果を、図8に示す。
粘度は、20℃で、粘度計(リオン(株)製の商品名「ビスコテスタ」)を用いて測定した。
図8の通り、シラン化合物の配合量が増加するに従って粘度の低い表層形成材料を得ることができることが判る。従って、シラン化合物を比較的多く配合することにより、可塑剤の配合量を少なくしつつ、塗布可能な表層形成材料を調製できる。
[実施例5]
上記シラン化合物(a)に代えて、シラン化合物(b)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成し、同様に、作製直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表5に示す。
[実施例6]
上記シラン化合物(a)に代えて、シラン化合物(c)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成し、同様に、作製直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表5に示す。
[比較例5]
上記シラン化合物(a)に代えて、シラン化合物(d)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成し、同様に、作製直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表5に示す。
[比較例6]
上記シラン化合物(a)に代えて、シラン化合物(e)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み350μmの試験用表層を形成し、同様に、作製直後に、汚れ除去性試験に従ってZ値を求めた。その結果を表5に示す。
Figure 0006113588
1 床材
2 床材本体
3 表層
4 表面保護層

Claims (6)

  1. 床材本体と、前記床材本体の上に設けられた表層と、前記表層の上に設けられ且つ硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方が重合した硬化性樹脂を含む表面保護層と、を有し、
    前記表層が、塩化ビニル樹脂及び下記式(I)又は(II)で表される化合物を含み且つそれらが混在した形成材料を前記床材本体の表面に積層することにより形成されている、床材。
    Figure 0006113588
    Figure 0006113588
    式(I)及び(II)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基であり、nは、0〜100の整数であり、mは、0〜100の整数であり、n+mは、1〜200の整数である。
  2. 前記R乃至Rが、それぞれ独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基である、請求項1に記載の床材。
  3. 前記R乃至Rが、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、ブチル基又はプロピル基である、請求項1または2に記載の床材。
  4. 前記表層の厚みが、0.1mm〜1mmである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の床材。
  5. 前記表層の形成材料が、可塑剤を含み、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対し、前記式(I)又は(II)で表される化合物が、2質量部〜10質量部含まれ、前記可塑剤が、35質量部〜50質量部含まれている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の床材。
  6. 前記表面保護層の厚みが、1μm〜100μmである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の床材。
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