JP6104653B2 - 導光板用ポリスチレン系樹脂組成物及び導光板 - Google Patents
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Description
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、透過率及び色調が向上し、かつ、離型性に優れた賦型導光板の製造に好適なポリスチレン系樹脂組成物を提供することである。
[1]ポリスチレン系樹脂100質量部、リン系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、フェノール系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、及び離型剤0.1〜1質量部を含むポリスチレン系樹脂組成物。
<ポリスチレン系樹脂組成物>
本発明の実施形態では、ポリスチレン系樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、離型剤、及び所望により各種の添加剤を含む。
ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系単量体を主成分として(具体的には50質量%超で)含む樹脂である。本発明に係るスチレン系樹脂を形成する為に使用されるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。本発明に係る「スチレン系樹脂」としては、スチレンと共重合可能なコモノマーを共重合されたものを用いても構わない。スチレンと共重合可能なコモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、αーメチルスチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル単量体類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジ脂肪酸無水物類,N−フェニルマレイミド等の不飽和ジ脂肪酸イミド類等が挙げられる。これらの単量体は1種類又は2種類以上併用しても構わない。
リン系酸化防止剤は、分子中にリン原子を有する化合物を含む酸化防止剤である。リン系酸化防止剤は、高温下で劣化の原因となるヒドロキシペルオキシドを還元することで安定化するため、比較的短い波長(例えば、420〜500nm)の光の透過率の向上に寄与し、特に黄変の低減に寄与する。リン系酸化防止剤としては、例えば、アルキルホスファイト類、及びアリールホスファイト類が挙げられ、工業的には、(株)ADEKA製のアデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112等が入手可能である。これらの中でも、アデカスタブ2112が好ましい。
本発明のスチレン系樹脂組成物における離型剤としては、高級アルコール及び/又は高級脂肪酸が好ましい。その他の離型剤では、色調、透過率と離型性の両方を向上させることは難しい。
高級アルコールとしては、炭素数が6〜20の一価のアルコールが挙げられ、具体的にはオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等である。高級アルコールの含有量としては、スチレン系樹脂組成物100質量部に対して0.1〜1質量部であり、好ましくは0.2〜0.8質量部である。高級アルコールの含有量が0.1質量部未満では離型性が向上しないおそれがあり、1質量部を超えると耐熱性や強度を低下させるおそれがある。
高級脂肪酸としては炭素数が12〜20の脂肪酸が挙げられ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等である。高級脂肪酸の含有量としては、スチレン系樹脂組成物100質量部に対して0.1〜1質量部であり、好ましくは0.2〜0.8質量部である。高級脂肪酸の含有量が0.1質量部未満では離型性が向上しないおそれがあり、1質量部を超えると耐熱性や強度を低下させるおそれがある。
本発明の実施形態では、導光板は、上述のポリスチレン系樹脂組成物を成形して得られるものである。成形の方法としては既知の方法を用いることができ、シート成形押出機で成形することによりシート状成形体を得る方法、又は圧縮成形、射出成形等により、所望の成形体を得る方法等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂組成物のペレット1gをメチルエチルケトン20mlに十分溶解した後に、メタノールを5ml滴下し、約20分間攪拌した。遠心分離機により分離した上澄み液をガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。濃度の決定については、それぞれの酸化防止剤に対して予め作成した検量線を用いた。
GC測定条件:
GC装置:島津製作所GC-2010
カラム:DB-1(0.25mm i.d.×30m)
液相厚 0.10mm
カラム温度:240℃(1min保持)→(10℃/min昇温)→320℃(5min保持) 合計14min
注入口温度:320℃
注入法:スプリット法(スプリット比1:5)
試料量:1μl
本発明のポリスチレン系樹脂祖組成物について射出成形を行い、300×20×4(mm)の試験片を作製した。成形条件は下記の通りであった。
射出成形機:東芝機械IS-100G
スクリュー径:36mm
シリンダー設定温度:250℃
スクリュー回転数:80rpm
作製した試験片に対して日本電色工業(株)製長光路分光透過色計ASA-1を用いて、波長400〜700nmの範囲で、20nm間隔で光路長300mmの透過率を測定した。また、透過率から、JIS Z-8722に記載の方法に従ってXYZ値を求め、JIS K-7105に記載の方法に従って黄色度(YI)を求めた。YIが0に近いほど黄色味が少ないことを示している。
300×20×4(mm)の試験片を、エスペック製ギアオーブンGPH-201を用いて、温度を80℃に設定した槽内で500時間曝露を実施した。曝露後の試験片について、日本電色工業(株)製長光路分光透過色計ASA-1を用いて、波長400〜700nmの範囲で、20nm間隔で光路長300mmの透過率を測定した。曝露前のYIと曝露後のYIの差分ΔYI求めた。ΔYIの値が小さいほど曝露試験による黄変度が小さいことを示している。
格子状の成形品を成形可能な最大の保圧にて評価をおこなった。保圧の値が大きいほど離型性が良好であることを示している。
<ポリスチレン系樹脂組成物の製造>
スチレン83重量%、エチルベンゼン17重量%の混合液100重量部に対し、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.05重量部添加した重合液を5.4リットルの完全混合型反応器に0.70リットル/hrで連続的に仕込み、104℃に調整した。重合体溶液を引き続き、攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な3.0リットルの層流型反応器に連続的に仕込んだ。層流型反応器の温度を115℃/123℃/130℃に調整した。
得られた重合溶液を2段ベント付き脱揮押出機連続的に供給し、押出機温度225℃、1段ベント及び2段ベントの真空度を15torrで、未反応単量体及び溶媒を回収した後に、添加剤フィード口からリン系酸化防止剤(商品名:アデカスタブ2112)、フェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1076)、ステアリルアルコール(商品名:NAA-45)を重合体100質量部に対してそれぞれ0.05質量部、0.05質量部、0.4質量部になるように添加してスチレン系重合体を得た。単量体の重合率は、70%であった。得られたペレット状のスチレン系樹脂組成物について分析及び評価の結果を以下の表1に示す。
ステアリルアルコール(商品名:NAA-45)をポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.2質量部の濃度になるよう添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
ステアリルアルコールをステアリン酸0.2質量部に代えた以外は、実施例1と同様にポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
リン系酸化防止剤をポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.1質量部の濃度になるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
フェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1076)を重量体100質量部に対して、0.1質量部の濃度になるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
ステアリルアルコールを添加していないこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
リン系酸化防止剤をポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.3質量部の濃度になるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
フェノール系酸化防止剤をポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.3質量部の濃度になるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
リン系酸化防止剤を添加していないこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
フェノール系酸化防止剤を添加していないこと以外は、実施例1と同様にポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
ステアリルアルコールをペンタエリスリトールテトラステアレート0.4質量部に代えた以外は、実施例1と同様にポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
ステアリルアルコールをエルカ酸アミド0.4質量部に代えた以外は、実施例1と同様にポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
StOH:ステアリルアルコール 日油製 NAA-45
StAc:ステアリン酸 大日化学工業 ダイワックスSTF
PETS:ペンタエリスリトールテトラステアレート 日油製 ユニスター H-476
EA:エルカ酸アミド 日油製 アルフロー P-10
Claims (5)
- スチレン系単量体のみからなるポリスチレン系樹脂100質量部、リン系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、フェノール系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、及び離型剤0.1〜1質量部を含み、かつ前記離型剤が高級アルコール又は高級脂肪酸である、ポリスチレン系樹脂組成物。
- 前記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された、光路長300mmの平板試験板を用いた試験における500〜600nmの平行光の平均透過率が84%以上である、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- 前記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された、光路長300mmの平板試験板を用いた試験における黄色度(YI)が10以下である、請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- 前記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された、光路長300mmの平板試験板を用いた試験における80℃及び500時間の曝露処理後におけるΔYIが6以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂組成物を成形して製造された導光板。
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