JP5995661B2 - 半導体膜、半導体膜の製造方法、太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタおよび電子デバイス - Google Patents

半導体膜、半導体膜の製造方法、太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタおよび電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、半導体膜、半導体膜の製造方法、太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタおよび電子デバイスに関する。
近年、第三世代太陽電池と呼ばれる高効率太陽電池の研究が盛んである。その中でもコロイド量子ドットを用いた太陽電池は、例えば、マルチエキシトン生成効果により量子効率を高められる事が報告されており、注目を集めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、コロイド量子ドットを用いた太陽電池(量子ドット太陽電池とも称される)では、変換効率が最大でも7%程度であり、更なる変換効率の向上が求められている。
このような量子ドット太陽電池では、量子ドットの集合体からなる半導体膜が光電変換層を担っていることから、量子ドットの集合体からなる半導体膜自体の研究も盛んに行われている。
例えば、炭化水素基数が6以上の比較的長い配位子を用いた半導体ナノ粒子が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
量子ドットの集合体からなる半導体膜の特性を改善する手法としては、コロイド量子ドット(例えば2nm〜10nm程度)に結合している配位子分子をより短い配位子分子に置換する事で、電気伝導性が向上することが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。非特許文献2では、PbSeの量子ドットの周囲のオレイン酸(分子鎖長2nm〜3nm程度)をエタンジチオール(分子鎖長1nm以下)に置換する事によって量子ドット同士が近接化し、電気伝導性が向上することが報告されている。
特許第4425470号
S.Geyerら著、「Charge transport in mixed CdSe and CdTe colloidal nancrystal films」、Physical Review B(2010) J. M. Lutherら著。「Structural, Optical,and Electrical Properties of Self−Assembled Films of PbSe Nanocrystals Treated with 1,2−Ethanedithiol」、ACS Nano (2008)
しかし、特許文献1に記載される半導体膜は、配位子が大きく、半導体量子ドット同士の近接化が不十分であるため、光電変換特性に優れない。また、非特許文献1で用いられているブチルアミン、または、非特許文献2で用いられているエタンジチオールを配位子として用いた場合でも、例えば、非特許文献1によれば、最大でも数百nA程度の光電流値しか得ることができていない。また、配位子としてエタンジチオールを用いると、半導体膜の膜剥がれが生じ易い。
本発明は、高い光電流値が得られ、かつ、膜剥がれが抑制される半導体膜およびその製造方法を提供することを課題とし、かかる課題を解決することを目的とする。
また、高い光電流値が得られ、かつ膜剥がれが抑制される太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタ、及び電子デバイスを提供することを課題とし、かかる課題を解決することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
<1> 金属原子を含む半導体量子ドットの集合体と、
半導体量子ドットに配位し、下記一般式(I)で表される少なくとも1種の配位子と、
を有する半導体膜。

(式(I)中、Aは、水素原子、又は、末端がNH若しくはSH以外の原子数10以下の置換基を表す。)
<2> 一般式(I)におけるAが、原子数7以下の置換基である<1>に記載の半導体膜。
<3> 一般式(I)におけるAが、水素原子であるか、OHを含む置換基である<1>または<2>に記載の半導体膜。
<4> 配位子は、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、又はこれらの化合物の誘導体から選ばれる少なくとも1種類である<1>〜<3>のいずれかに記載の半導体膜。
<5> 半導体量子ドットの直径が2nm〜15nmである<1>〜<4>のいずれかに記載の半導体膜。
<6> 半導体量子ドットが、PbS、PbSe、InN、InAs、InSb及びInPから選択される少なくとも1種を含む<1>〜<5>のいずれかに記載の半導体膜。
<7> 半導体量子ドットが、PbSを含む<1>〜<6>のいずれかに記載の半導体膜。
<8> 半導体量子ドット、半導体量子ドットに配位した第1の配位子、及び第1の溶媒を含有する半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、
半導体量子ドットの集合体に、下記一般式(I)で表され、前記第1の配位子よりも分子鎖長が短い第2の配位子及び第2の溶媒を含有する溶液を付与して半導体量子ドットに配位している第1の配位子を第2の配位子に交換する配位子交換工程と、
を有する半導体膜の製造方法。

(式(I)中、Aは、水素原子、又は、末端がNH若しくはSH以外の原子数10以下の置換基を表す。)
<9> 前記第1の配位子は、直鎖炭素数が6以上の配位子である<8>に記載の半導体膜の製造方法。
<10> 半導体量子ドット集合体形成工程と、配位子交換工程と、を2回以上行う<8>又は<9>に記載の半導体膜の製造方法。
<11> 一般式(I)におけるAが、原子数7以下の置換基である<8>〜<10>のいずれかに記載の半導体膜の製造方法。
<12> 一般式(I)におけるAが、水素原子であるか、OHを含む置換基である<8>〜<11>のいずれかに記載の半導体膜の製造方法。
<13> 配位子は、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、又はこれらの化合物の誘導体から選ばれる少なくとも1種類である<8>〜<12>のいずれかに記載の半導体膜の製造方法。
<14> 半導体量子ドットの直径が2nm〜15nmである<8>〜<13>のいずれかに記載の半導体膜の製造方法。
<15> 半導体量子ドットが、PbS、PbSe、InN、InAs、InSb及びInPから選択される少なくとも1種を含む<8>〜<14>のいずれかに記載の半導体膜の製造方法。
<16> 半導体量子ドットが、PbSを含む<8>〜<15>のいずれかに記載の半導体膜の製造方法。
<17> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の半導体膜を備える太陽電池。
<18> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の半導体膜を備える発光ダイオード。
<19> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の半導体膜を備える薄膜トランジスタ。
<20> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の半導体膜を備える電子デバイス。
本発明によれば、高い光電流値が得られ、かつ膜剥れが抑制される半導体膜およびその製造方法が提供される。
また、本発明によれば、高い光電流値が得られ、かつ膜剥れが抑制される太陽電池、発光ダイオード、薄膜トランジスタ、及び電子デバイスが提供される。
本発明の半導体膜を適用したpn接合型太陽電池の構成の一例を示す概略図である。 実施例で用いたくし型電極基板を示す概略図である。 実施例で作製した半導体膜(評価用デバイス)にモノクロ光を照射する方法を示す概略図である。 実施例において発光測定に用いた実験系の構成を示す概略図である。 フォトルミネッセンスの測定結果を配位子ごとに示す図である。 フォトルミネッセンスの測定結果を配位子ごとに示す図である。 半導体量子ドット(PbS)にオレイン酸が配位した半導体量子ドット分散液を用いて形成した膜を示すTEM画像である。 半導体量子ドット(PbS)に配位したオレイン酸をエタンジチオールに配位子交換した膜を示すTEM画像である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
<半導体膜>
本発明の半導体膜は、金属原子を含む半導体量子ドットの集合体と、半導体量子ドットに配位し、下記一般式(I)で表される少なくとも1種の配位子(以下、「特定配位子」と称する場合がある。)と、を有して構成されている。
式(I)中、Aは、水素原子、又は、末端がNH若しくはSH以外の原子数10以下の置換基を表す。
本発明の半導体膜は、半導体量子ドットが、一般式(I)で表される原子数の少ない特定配位子によって配位結合で結ばれているため、半導体量子ドット間の間隔が短くなっていると考えられる。そのため、半導体量子ドットが緻密に並び、半導体量子ドット間の波動関数の重なりを強めることができると考えられる。その結果、電気伝導性が高まり、光電流値を高めることができると考えられる。
また、一般式(I)におけるヒドロキシル基とカルボキシル基のOHで5員環キレートを形成し、これによって半導体量子ドットの表面上の金属元素に高い配位力をもって配位すると考えられる。その結果、半導体量子ドットと特定配位子との結びつきを強固なものとするため、半導体量子ドットと特定配位子とを含んで構成される半導体膜の剥がれを抑制するものと考えられる。
従って、本発明の半導体膜は、高い光電流値が得られ、かつ膜剥がれを抑制することができると考えられる。
(半導体量子ドットの集合体)
半導体量子ドットとは、金属原子を含んで構成される半導体粒子であり、粒径が数nm〜数十nmとなるナノサイズの粒子である。
そして、半導体量子ドットの集合体とは、多数(例えば、1μm四方あたり100個以上)の半導体量子ドットが互いに近接して配置された形態である。
なお、本発明における「半導体」とは、比抵抗値が10−2Ωcm以上10Ωcm以下であることを意味する。
本発明において、半導体量子ドットを構成する金属原子としては、Si原子に代表される半金属原子も含まれる。半導体量子ドットを構成する材料(半導体量子ドット材料)は、例えば一般的な半導体結晶(IV族半導体、あるいはIV−IV族、III−V族、II−VI族の化合物半導体、あるいはII族、III族、IV族、V族、VI族元素の内3つ以上の組み合わせからなる化合物半導体)のナノ粒子(0.5nm以上100nm未満)が挙げられる。具体的には、PbS、PbSe、InN、Ge、InAs、InGaAs、CuInS、CuInSe、CuInGaSe、InSb、Si、InP等の比較的バンドギャップの狭い半導体材料が挙げられる。
半導体量子ドットは、半導体量子ドット材料を少なくとも1種類を含んで構成されている。
また、半導体量子ドット材料は、バルクとしてのバンドギャップが1.5eV以下であることが望ましい。このような比較的バンドギャップの狭い半導体材料を用いることによって、本発明の半導体膜を、例えば、太陽電池の光電変換層に用いた場合には、高い変換効率を実現することが可能である。
本発明に係る半導体量子ドットは、半導体量子ドット材料を核(コア)とし、半導体量子ドット材料を被覆層で覆ったコアシェル構造であってもよい。被覆層を構成する材料としては、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnCdS等が挙げられる。
さらに、本発明の半導体膜を太陽電池用途に適用する場合は、半導体量子ドットは、1つの高いエネルギーの光子で2つ以上の電子−正孔対が生じるマルチエキシトン生成効果と呼ばれる多励起子生成効果による光電変換効率の増強を見据えて、更にバンドギャップが狭いことが好ましい。具体的には、1.0eV以下であることが望ましい。
バンドギャップをより狭くし、マルチエキシトン生成効果を増強する観点から、半導体量子ドット材料は、PbS、PbSe、またはInSbであることが好ましい。
また、マルチエキシトン生成効果を増強する観点と粒子合成のし易さから半導体量子ドット材料はPbS又はPbSeである事が望ましい。環境負荷が小さいという観点からは、InNも望ましい。
半導体量子ドットの直径は、2nm〜15nmであることが望ましい。なお、半導体量子ドットの平均粒径は、半導体量子ドット10個の平均粒径をいう。半導体量子ドットの粒径の測定には、透過型電子顕微鏡を用いればよい。
一般的に半導体量子ドットは、数nm〜数十nmまでの様々な大きさの粒子を含む。半導体量子ドットでは内在する電子のボーア半径以下の大きさまで半導体量子ドットの直径を小さくすると、量子サイズ効果により半導体量子ドットのバンドギャップが変化する現象が生じる。例えばII−VI族半導体では、比較的ボーア半径が大きく、PbSでは18nm程度であると言われている。またIII−V族半導体であるInPでは、ボーア半径は10nm〜14nm程度であると言われている。
従って、例えば半導体量子ドットの直径が、15nm以下であれば、量子サイズ効果によるバンドギャップの制御が可能となる。
特に、本発明の半導体膜を太陽電池に応用する場合は、半導体量子ドット材料にかかわらず、量子サイズ効果によって、バンドギャップを最適な値へ調整することが重要となる。しかし、半導体量子ドットの平均粒径が小さくなればなるほどバンドギャップが増大するため、半導体量子ドットの平均粒径は10nm以下であれば、より大きなバンドギャップの変化が期待できる。半導体量子ドットが結果としてナローギャップ半導体であっても、太陽光のスペクトルに最適なバンドギャップに調整することが容易となる事から、量子ドットのサイズは10nm以下であることがより望ましい。また、半導体量子ドットの平均粒径が小さく、量子閉じ込めが顕著な場合は、マルチエキシトン生成効果の増強が期待できるというメリットもある。
一方、半導体量子ドットの平均粒径は、2nm以上であることが好ましい。半導体量子ドットの平均粒径を2nm以上とすることで、量子閉じ込めの効果が強くなりすぎず、バンドギャップを最適値とし易い。また、半導体量子ドットの平均粒径を2nm以上とすることで、半導体量子ドットを合成において、半導体量子ドットの結晶成長を制御し易くすることができる。
半導体膜の厚みは、特に制限されないが、高い電気伝導性を得る観点から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、キャリア濃度が過剰になる恐れがある事、製造しやすさの観点からは、半導体膜の厚みは、300nm以下であることが好ましい。
(一般式(I)で表される配位子)
本発明の半導体膜において半導体量子ドットの表面に配位する配位子は、一般式(I)で表される構造を有する。式(I)中、Aは、末端がNH若しくはSH以外の原子数10以下の置換基を表し、メチル基、エチル基等の炭化水素基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
一般式(I)においてAで表される置換基の原子数が11以上となり、配位子の分子鎖長が長い場合には、半導体量子ドットと半導体量子ドットの間の立体障害として働くため高い電気伝導性を実現する事が難しくなる。
また、一般的に分子量が増大すると沸点が増大するため、配位子交換処理に用いる一般式(I)で表される配位子を含む溶液自体が膜中に残留してしまい、不純物として働く恐れがある。
一般式(I)で表される構造を有する配位子(特定配位子)として、具体的には、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、L−リンゴ酸、D−リンゴ酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸、L−酒石酸、D−酒石酸、タルトロン酸、又はこれらの誘導体が挙げられる。
本発明の半導体膜は、一般式(I)で表される配位子の中でも、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、又はこれらの誘導体を1種以上含む事が望ましい。上記いずれかの配位子の場合、例えばエタンジチオールを配位子とした場合と比較して高い光電流が得られる。
その他にも、好ましい配位子として、L−リンゴ酸、D−リンゴ酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸、L−酒石酸、D−酒石酸、タルトロン酸等が挙げられる。
一般式(I)で表される配位子の場合、ヒドロキシル基とカルボキシル基のOHで5員環キレートを形成し、これによって半導体量子ドットの表面上の金属元素に高い配位力をもって配位すると考えられる。
一般式(I)における置換基Aは、メチル基、エチル基等の炭化水素基であってもよいし、ヒドロキシル基であってもよい。置換基Aがヒドロキシル基である場合には多座配位キレートとなり、更に良好な配位結合を形成する事が可能である。
一般的に、半導体量子ドットの表面に配位させる配位子は、結合の強さが高いほうが長分子鎖配位子を置換する上でより効率的であり、より高い電気伝導性を得る事が可能となる。また、半導体量子ドットを構成する材料が変わった場合、半導体量子ドットへの配位子分子の修飾のしやすさである錯安定度定数logβの値が変動するが、本発明に係る配位子は、分子鎖長が短く且つ配位しやすいため、種々の半導体量子ドットに適用可能である。
なお、錯安定度定数は、配位子と配位結合の対象となる金属原子との関係で定まる定数であり、下記式(b)により表される。
式(b)において、[ML]は、金属原子と配位子が結合した錯体のモル濃度を表し、[M]は配位結合に寄与することができる金属原子のモル濃度を表し、[L]は配位子のモル濃度を表す。
実際には一つの金属原子に複数の配位子が配位する場合もあるが、本発明では、一つの金属原子に一つの配位子分子が配位する場合の式(b)で表される錯安定度定数logβを、配位結合の強さの指標として規定する。
特定配位子と半導体量子ドットの金属原子との間の錯安定度定数logβは、8以上であることで錯体が形成され易くなる。
錯安定度定数logβは、半導体量子ドットと配位子との組み合わせにおいて、より高い方が望ましい。また、配位子がキレートのように多座配位するものであればより結合の強さを高めることが出来る。一般的に、配位結合の強さが高いほうが、従来の長分子鎖配位子が効率的に置換され、より高い電気伝導性を得易くなる。また、特定配位子錯安定度定数logβの値は、半導体量子ドットを構成する半導体量子ドット材料が変わることで変動するが、本発明に係る特定配位子は基本的には分子鎖長が短く且つ配位しやすいため、種々の半導体量子ドット材料に適用可能である。
logβは、8以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。
本発明の半導体膜における特定配位子と半導体量子ドットの金属原子との間の錯安定度定数logβの求め方としては、分光法、磁気共鳴分光法、ポテンショメトリー、溶解度測定、クロマトグラフィー、カロリメトリー、凝固点測定、蒸気圧測定、緩和測定、粘度測定、表面張力測定等がある。
本発明では様々な手法や研究機関からの結果がまとめられた、Sc−Databese ver.5.85 (Academic Software)(2010)を使用することで、錯安定度定数を定める。なお、このデータベースに記載が無い場合は、A.E.MartellとR.M.Smith著Critical Stability Constantsに記載の値を用いる。それでも記載が無いものについては上記測定方法を用いるか、錯安定度定数を計算するプログラムPKAS法(A.E.Martellら著、The Determination and Use of Stability Constants,VCH(1988))を用いて算出する。
一般式(I)において、末端がNH若しくはSH以外の原子数10以下の置換基Aとして、具体的には、炭素数1〜3のアルキル基〔メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基〕、炭素数2〜3のアルケニル基〔エテニル基およびプロペニル基〕、炭素数2〜4のアルキニル基〔エチニル基、プロピニル基等〕、シクロプロピル基、炭素数1〜2のアルコキシ基〔メトキシ基およびエトキシ基〕、炭素数2〜3のアシル基〔アセチル基、及びプロピオニル基〕、炭素数2〜3のアルコキシカルボニル基〔メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基〕、炭素数2のアシルオキシ基〔アセチルオキシ基〕、炭素数2のアシルアミノ基〔アセチルアミノ基〕、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基〔ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基〕、アルデヒド基〔−COH〕、ヒドロキシ基〔−OH〕、カルボキシ基〔−COOH〕、スルホ基〔−SOH〕、ホスホ基〔−OPO(OH)〕、シアノ基〔−CN〕、イソシアネート基〔−N=C=O〕、ニトロ基〔−NO〕、ニトロキシ基〔−ONO〕、イソチオシアネート基〔−NCS〕、シアネート基〔−OCN〕、チオシアネート基〔−SCN〕、アセトキシ基〔OCOCH〕、アセトアミド基〔NHCOCH〕、ホルミル基〔−CHO〕、ホルミルオキシ基〔−OCHO〕、ホルムアミド基〔−NHCHO〕、スルファミノ基〔−NHSOH〕、スルフィノ基〔−SOH〕、ホスホノ基〔−PO〕、アセチル基〔−COCH〕、ハロゲン原子〔フッ素原子、塩素原子、臭素原子等〕、アルカリ金属原子〔リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子等〕等が挙げられる。
置換基Aは、末端がNH若しくはSHではなく、総原子数が10以下であれば、さらに置換基を有していてもよい。
置換基Aの原子数が10以下であることで、配位子による立体障害を抑制し、半導体量子ドットを近接化することができるため、半導体膜の電気伝導性を高くすることができる。
置換基Aは、半導体量子ドット間をより近接化する観点から、原子数7以下であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
<半導体膜の製造方法>
本発明の半導体膜を製造する方法は特に限定されるものではないが、好ましい製造方法として、表面に配位子を有する半導体量子ドットの集合体を基板上に形成した後、半導体量子ドットの表面に配位している配位子の少なくとも一部を一般式(I)で表される配位子に交換する方法が挙げられる。
本発明の半導体膜を製造する方法は、具体的には、半導体量子ドット、半導体量子ドットに配位した第1の配位子、及び第1の溶媒を含有する半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、半導体量子ドットの集合体に、下記一般式(I)で表され、第1の配位子よりも分子鎖長が短い第2の配位子及び第2の溶媒を含有する溶液を付与して半導体量子ドットに配位している第1の配位子を第2の配位子に交換する配位子交換工程と、を有する。
式(I)中、Aは、水素原子、又は、末端がNH若しくはSH以外の原子数10以下の置換基を表す。
〔半導体量子ドット集合体形成工程〕
金属原子を含む半導体量子ドット、半導体量子ドットの表面に配位した第1の配位子(以下「分散用配位子」と称する場合がある。)、及び第1の溶媒を含む半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体を形成する。
半導体量子ドット分散液は、基板表面に直接塗布してもよいし、基板上に設けられた他の層に塗布してもよい。
基板上に設けられた他の層としては、基板と半導体量子ドットの集合体との密着を向上させるための接着層、透明導電層等が挙げられる。
−半導体量子ドット分散液−
半導体量子ドット分散液としては、低分子量の配位子を有しておらず、比較的長い分子鎖長を有する半導体量子ドットを含む分散液を用いる。半導体量子ドットが分散している分散液では、コロイド状の半導体量子ドットが非常に長い分子鎖の配位子を有している事が一般的である。このような長い分子鎖(原子数が11以上)の配位子を有する半導体量子ドットを含む分散液を用い、半導体量子ドットが長い分子鎖を有したまま基板上に半導体量子ドットの膜(集合体)を形成した後、配位子交換によって配位したい配位子を含む溶液を塗布、あるいは基板を溶液に浸漬する事によって膜の状態で配位子交換処理を進行させる方法がある。このような手法を用いた場合には、液の状態では非常に長い分子鎖を有しているために、半導体量子ドット同士が凝集することが無い状態で半導体膜の形成が可能となる。
(半導体量子ドット)
半導体量子ドット分散液が含有する金属原子を含む半導体量子ドットの詳細は既述のとおりであり、好ましい態様も同様である。
なお、半導体量子ドット分散液中の半導体量子ドットの含有量は、1mg/ml〜100mg/mlであることが好ましく、5mg/ml〜40mg/mlであることがより好ましい。
半導体量子ドット分散液中の半導体量子ドットの含有量が、1mg/ml以上であることで、基板上の半導体量子ドット密度が高くなり、良好な膜が得られ易い。一方、半導体量子ドットの含有量が、100mg/ml以下であることで、半導体量子ドット分散液を一回付与したときに得られる膜の膜厚が大きくなり過ぎにくくなる。そのため、膜中の半導体量子ドットに配位する第1の配位子の配位子交換を十分に行うことができる。
半導体量子ドット分散液は、金属原子を含む半導体量子ドット、第1の配位子、および第1の溶媒を含有する。
半導体量子ドット分散液は、本発明の効果を損なわない限度において、更に他の成分を含有していてもよい。
(第1の配位子)
半導体量子ドット分散液が含有する第1の配位子は、半導体量子ドットに配位する配位子として働くと共に、立体障害となりやすい分子構造を有しており、第1の溶媒中に半導体量子ドットを分散させる分散剤としての役割も果たす。
第1の配位子としては、配位子交換工程で用いられる一般式(I)で表される第2の配位子よりも分子鎖長が長いものを用いる。なお、一般式(I)で表される配位子は、半導体量子ドット分散液に用いた場合にはそもそも有機溶媒系への分散が困難であり、第1の配位子として用いることはできない。ここで分散とは、粒子の沈降や濁りがない状態であることを言う。
分散性の観点から、半導体量子ドット分散液が含有する第1の配位子は直鎖炭素数が6以上である事が望ましく、更には直鎖炭素数が10以上である事が望ましい。具体的には、飽和化合物でも、不飽和化合物のいずれでもよく、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸、オレイルアミン、ドデシルアミン、ドデカンチオール、1,2−ヘキサデカンチオール、トリオクチルホスフィンオキシド、臭化セトリモニウム等が挙げられる。
第1の配位子は、半導体膜形成時に、膜中に残存し難いものが好ましい。
直鎖炭素数が6以上の第1の配位子は、半導体量子ドットに分散安定性を持たせつつ、半導体膜に残存し難い観点から、以上の中でも、オレイン酸が好ましい。
半導体量子ドット分散液中の第1の配位子の含有量は、半導体量子ドット分散液の全体積に対し、10mmol/l〜200mmol/lであることが望ましい。
(第1の溶媒)
半導体量子ドット分散液が含有する第1の溶媒は、特に制限されないが、半導体量子ドットを溶解し難く、第1の配位子を溶解し易い溶媒であることが好ましい。第1の溶媒は、有機溶剤が好ましく、具体的には、アルカン〔n−ヘキサン、n−オクタン等〕、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
第1の溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。
第1の溶媒は、以上の中でも、形成される半導体膜中に残存し難い溶媒が好ましい。比較的沸点が低い溶媒であれば、最終的に半導体膜を得たときに、残留有機物の含有量を抑えることができる。
さらに、基板への濡れ性が良いものが当然好ましい。たとえば、ガラス基板上へ塗布する場合には、ヘキサン、オクタン等のアルカンがより好ましい。
半導体量子ドット分散液中の第1の溶媒の含有量は、半導体量子ドット分散液全質量に対し、90質量%〜98質量%であることが好ましい。
−基板−
半導体量子ドット分散液は、基板上に付与される。
基板の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基板の構造は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。基板としては、例えば、ガラス、YSZ(Yttria−Stabilized Zirconia;イットリウム安定化ジルコニウム)等の無機材料、樹脂、樹脂複合材料等からなる基板を用いることができる。中でも軽量である点、可撓性を有する点から、樹脂または樹脂複合材料からなる基板が好ましい。
樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族エーテル、マレイミドーオレフィン、セルロース、エピスルフィド化合物等の合成樹脂が挙げられる。
無機材料および樹脂の複合材料としては、樹脂と、次の無機材料との複合プラスチック材料が挙げられる。すなわち、樹脂と酸化珪素粒子との複合プラスチック材料、樹脂と金属ナノ粒子との複合プラスチック材料、樹脂と無機酸化物ナノ粒子との複合プラスチック材料、樹脂と無機窒化物ナノ粒子との複合プラスチック材料、樹脂とカーボン繊維との複合プラスチック材料、樹脂とカーボンナノチューブとの複合プラスチック材料、樹脂とガラスフェレークとの複合プラスチック材料、樹脂とガラスファイバーとの複合プラスチック材料、樹脂とガラスビーズとの複合プラスチック材料、樹脂と粘土鉱物との複合プラスチック材料、樹脂と雲母派生結晶構造を有する粒子との複合プラスチック材料、樹脂と薄いガラスとの間に少なくとも1回の接合界面を有する積層プラスチック材料、無機層と有機層を交互に積層することで、少なくとも1回以上の接合界面を有するバリア性能を有する複合材料等が挙げられる。
ステンレス基板またはステンレスと異種金属とを積層した金属多層基板、アルミニウム基板または表面に酸化処理(例えば陽極酸化処理)を施すことで表面の絶縁性を向上させた酸化皮膜付きのアルミニウム基板等を用いてもよい。
なお、樹脂または樹脂複合材料からなる基板(樹脂基板または樹脂複合材料基板)は、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、および低吸湿性等に優れていることが好ましい。樹脂基板および樹脂複合材料基板は、水分、酸素等の透過を防止するためのガスバリア層や、樹脂基板の平坦性や下部電極との密着性を向上するためのアンダーコート層等を備えていてもよい。
また基板上に、下部電極、絶縁膜等を備えていてもよく、その場合には基板上の下部電極や絶縁膜上に半導体量子ドット分散液が付与される。
基板の厚みに特に制限はないが、50μm〜1000μmが好ましく、50μm〜500μmであることがより好ましい。基板の厚みが50μm以上であると、基板自体の平坦性が向上し、基板の厚みが1000μm以下であると、基板自体の可撓性が向上し、半導体膜をフレキシブル半導体デバイスとして使用することがより容易となる。
半導体量子ドット分散液を基板上に付与する手法は、特に限定はなく、半導体量子ドット分散液を基板上に塗布する方法、基板を半導体量子ドット分散液に浸漬する方法等が挙げられる。
半導体量子ドット分散液を基板上に塗布する方法としては、より具体的には、スピンコート法、ディップ法、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、スプレーコート法等の液相法を用いることができる。
特に、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、及び、凹版印刷法は、基板上の任意の位置に塗布膜を形成することができ、且つ、成膜後のパターンニング工程が不要なことから、プロセスコストを低減することができる。
また、基板上に電極、絶縁膜等を備えていても良く、その場合には基板上の電極や絶縁膜上に本発明の半導体膜が形成される。
[配位子交換工程]
基板上に半導体量子ドットの集合体を形成した後、半導体量子ドットの集合体に、一般式(I)で表され、第1の配位子よりも分子鎖長が短い第2の配位子(以下、「交換用配位子」と称する場合がある)及び第2の溶媒を含有する溶液(配位子溶液)を付与する。これにより集合体を構成する半導体量子ドットの表面に配位している第1の配位子(分散用配位子)を一般式(I)で表される第2の配位子(交換用配位子)に交換する。
−配位子溶液−
一般式(I)で表される交換用配位子(第2の配位子)としては、交換前の第1の配位子よりも分子鎖長が短いものを用いる。具体的には、既述した特定配位子の通りである。なお、本発明で用いる配位子(第1の配位子、第2の配位子)が枝分れを有する分子である場合は「分子鎖長」は分子の主鎖で定義する。
なお、一般式(I)で表される交換用配位子は、ヒドロキシル基を含むために基本的にはアルコールとの混和性は高く、第2の溶媒としてアルコール系を用いる場合に効率的に配位子交換処理を行う事が出来る。また、例えば置換基Aにもヒドロキシル基を有する分子構造であれば、配位子の溶媒として有効なアルコールへの混和性、溶解度を高める事が出来る。
配位子溶液中の交換用配位子の含有量は、配位子溶液全体積に対し、5mmol/l〜200mmol/lであることが好ましく、10mmol/l〜100mmol/lであることがより好ましい。
−第2の溶媒−
配位子溶液に含まれる溶媒(第2の溶媒)としては、一般式(I)で表される配位子を溶解するものであれば特に限定されないが、誘電率が高い溶媒であることが好ましい。例えば、エタノール、アセトン、メタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ブタノール、プロパノールが挙げられる。
第2の溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。
第2の溶媒は、上記の中でも、形成される半導体膜中に残存し難い溶媒が好ましい。乾燥し易く、洗浄により除去し易いとの観点から、低沸点のアルコール、または、アルカンが好ましく、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、またはn−オクタンがより好ましい。
また、第2の溶媒は、第1の溶媒とは交じり合わないことが好ましく、例えば、第1の溶媒として、ヘキサン、オクタン等のアルカンを用いた場合は、第2の溶媒は、メタノール、アセトン等の極性溶媒を用いることが好ましい。
基板上の半導体量子ドットの集合体に一般式(I)で表される第2の配位子を含有する配位子溶液を付与して配位子交換処理を行う方法としては、基板上の半導体量子ドットの集合体に一般式(I)で表される第2の配位子を含む配位子溶液を塗布する方法、半導体量子ドットの集合体が形成された基板を一般式(I)で表される第2の配位子を含む配位子溶液に浸漬する方法などが挙げられる。
配位子溶液を、半導体量子ドットの集合体に付与する方法は、半導体量子ドット分散液を基板上に付与する手法と同様であり、好ましい態様も同様である。
半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程は、交互に繰り返し行ってもよい。半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程を繰り返し行うことで、第2の配位子が配位した半導体量子ドットの集合体を有する半導体膜の電気伝導度を高め、半導体膜の厚みを厚くすることができる。
半導体量子ドット集合体形成工程、および、配位子交換工程の繰り返しは、それぞれの工程を別途独立に繰り返してもよいが、半導体量子ドット集合体形成工程を行ってから配位子交換工程を行うサイクルを繰り返すことが好ましい。半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とのセットで繰り返すことで、配位子交換のムラを抑制し易くなる。
なお、半導体量子ドット集合体形成工程および配位子交換工程を繰り返して行う場合は、1サイクルごとに十分に膜乾燥を行うことが好ましい。
半導体量子ドット集合体の配位子交換における第2の配位子への交換率が高いほど、半導体膜の光電流値が大きくなることが期待される。
なお、半導体量子ドットの、第1の配位子と第2の配位子との配位子交換は、半導体量子ドット集合体の少なくとも一部において行われていれば本発明の効果が得られるため、100%(個数)が第2の配位子に交換されていなくてもよく、一部分に一般式(I)で表される第2の配位子が修飾されていれば良い。
[洗浄工程]
さらに、本発明の半導体膜の製造方法は、基板上の半導体量子ドット集合体を洗浄する洗浄工程を有していてもよい。
洗浄工程を有することで、半導体量子ドットから脱離した分散用配位子および過剰な交換用配位子を除去することができる。また、残存した溶媒、その他不純物を除去することができる。
半導体量子ドット集合体の洗浄は、半導体量子ドットの集合体上に、第1の溶媒および第2の溶媒の少なくとも一方を注いだり、半導体量子ドット集合体または半導体膜が形成された基板を、第1の溶媒および第2の溶媒の少なくとも一方に浸漬すればよいが、配位子交換処理に用いた有機溶媒を用いることが望ましい。
洗浄工程による洗浄は、半導体量子ドット集合体形成工程の後に行ってもよいし、配位子交換工程の後に行ってもよい。また、半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とのセットの繰り返しの後に行ってもよい。
[乾燥工程]
本発明の半導体膜の製造方法は、乾燥工程を有していてもよい。
乾燥工程は、半導体量子ドット集合体形成工程の後に、半導体量子ドット集合体に残存する溶媒を乾燥する分散液乾燥工程であってもよいし、配位子交換工程の後に、残存する配位子溶液を乾燥する溶液乾燥工程であってもよい。また、半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程を繰り返して行う場合は、半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とのセットの繰り返しの後に行う総合的な工程であってもよい。
以上説明した各工程を経ることによって、基板上に本発明の半導体膜が製造される。
得られた半導体膜は、半導体量子ドット同士が従来よりも短い特定配位子で配位結合が結ばれているため、電気伝導性が高く、高い光電流値が得られる。また、特定配位子は、錯安定度定数が高いため半導体量子ドットと特定配位子とによって構成される本発明の半導体膜は配位結合が安定しており、膜強度にも優れ、膜剥がれも抑制される。
<電子デバイス>
本発明の半導体膜の用途は限定されないが、本発明の半導体膜は光電変換特性を有し、剥離が生じ難いため、半導体膜又は光電変換膜を有する各種電子デバイスに好適に適用することができる。
具体的には、本発明の半導体膜は、太陽電池の光電変換膜、発光ダイオード(LED)、薄膜トランジスタの半導体層(活性層)、間接型放射線撮像装置の光電変膜、可視〜赤外領域の光検出器等に好適に適用することができる。
(太陽電池)
本発明の半導体膜、または、本発明の半導体膜の製造方法により製造された半導体膜を備えた電子デバイスの一例として、太陽電池について説明する。
例えば、本発明の半導体膜を含むp型半導体層と、n型半導体層とを備えるpn接合を有する半導体膜デバイスを用いて、pn接合型太陽電池とすることができる。
pn接合型太陽電池のより具体的な実施形態としては、例えば、透明基板上に形成された透明導電膜上にp型半導体層およびn型半導体層が隣接して設けられ、p型半導体層およびn型半導体層の上に金属電極を形成する形態が挙げられる。
pn接合型太陽電池の一例を、図1を用いて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係るpn接合型太陽電池100の模式断面を示す。pn接合型太陽電池100は、透明基板10と、透明基板10上に設けられた透明導電膜12と、透明導電膜12上に本発明の半導体膜で構成されたp型半導体層14と、p型半導体層14上に、n型半導体層16と、n型半導体層16上に設けられた金属電極18とが積層されて構成される。
p型半導体層14とn型半導体層16とが隣接して積層されることで、pn接合型の太陽電池とすることができる。
透明基板10としては、透明であれば、本発明の半導体膜の製造方法で用いる基板と同じ材料を用いることができる。具体的には、ガラス基板、樹脂基板等が挙げられる。本発明では、
透明導電膜12としては、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnO等により構成される膜が挙げられる。
p型半導体層14は、既述のように、本発明の半導体膜を用いる。
n型半導体層16としては金属酸化物が好ましい。具体的には、Ti、Zn、Sn、Inの少なくとも一つを含む金属の酸化物が挙げられ、より具体的には、TiO、ZnO、SnO、IGZO等が挙げられる。n型半導体層は、製造コストの観点から、p型半導体層と同様に、湿式法(液相法ともいう)で形成されることが好ましい。
金属電極18としては、Pt、Al、Cu、Ti、Ni等を使用することができる。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
<評価用デバイスの作製>
〔半導体量子ドット分散液1の調製〕
まず、PbS粒子をトルエンに分散したPbS粒子分散液を用意した。PbS粒子分散液は、Evident technology社製のPbSコアエヴィドット(公称粒径3.3nm、20mg/ml、溶媒トルエン)を用いた。
次いで、遠沈管に、PbS粒子分散液2mlを取り、38μlのオレイン酸を添加した後、さらに20mlのトルエンを加えたPbS粒子分散液を得た。その後、PbS粒子分散液について超音波分散を行い、PbS粒子分散液をよく攪拌させた。次に、PbS粒子分散液にエタノール40mlを加えて、更に超音波分散を行い、10000rpm、10分、3℃の条件で遠心分離を行った。遠沈管中の上澄みを廃棄した後、遠沈管にオクタンを20ml加えて超音波分散を行い、沈殿した量子ドットをオクタン溶媒によく分散させた。得られた分散物について、ロータリーエバポレーター(35hpa、40℃)を用いて、溶液の濃縮を行い、結果としておよそ10mg/ml濃度の半導体量子ドット分散液1(オクタン溶媒)を4ml程度得た。
半導体量子ドット分散液1に含まれるPbS粒子の平均粒径は3nmであった。
なお、半導体量子ドットの平均粒径は、TEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)測定における写真観察により、半導体量子ドット10個の平均として算出した。測定装置にはFEI社製 TITAN80−300を用いた。
〔半導体量子ドット分散液2の調製〕
まず、InP粒子を合成し、オレイルアミンが配位したInP粒子のオクタン分散液の調製を調製した。
−オレイルアミン修飾InP粒子のオクタン分散液の調製−
グローブボックス中、Nガス雰囲気下で、三つ口丸底フラスコに、1−オクタデセン30ml、オレイルアミン1.81ml、無水塩化インジウム0.60g、トリスジメチルアミノホスフィン0.49ml、およびマグネット撹拌子を入れた。次いで、三つ口丸底フラスコを三方弁付きの栓で密閉した状態でグローブボックスから取り出し、マグネットスターラー付きアルミブロック恒温槽にセットした。その後、三方弁を操作してフラスコ内にNガスを通気し、マグネット撹拌子で混合物を激しく撹拌しながら、アルミブロック恒温槽の加熱を開始した。アルミブロック恒温槽の温度は、約30分で150℃まで昇温し、そのまま5時間保持した。その後、加熱を停止して、三つ口丸底フラスコを、送風ファンを用いて室温まで冷却した。
三つ口丸底フラスコ内から生成物を取り出し、遠心分離機を用いた遠心分離により未反応物と副生成物を除去した。良溶媒として超脱水トルエンを用い、貧溶媒として脱水エタノールを用いて、生成物(InP粒子)を精製した。具体的には、生成物を良溶媒に溶解し、InP粒子溶解物を貧溶媒に再分散し、得られたInP粒子分散液を遠心分離する処理を繰り返した。なお、再分散には超音波洗浄機を用いた。InP粒子分散液の遠心分離を繰り返した後、InP粒子分散液中に残った脱水エタノールは、ロータリーエバポレーターを用いて減圧蒸留して取り除いた。最後にオクタンに、抽出したInP粒子を分散させたオレイルアミン修飾InP粒子濃度が1mg/mlのオクタン分散液を得た。
得られたInP粒子をTEM観察したところ、平均粒径が約4nmの粒子であった。
−半導体量子ドット分散液2の調製−
半導体量子ドット分散液1の調製において、PbS粒子分散液に代えて、オレイルアミン修飾InP粒子のオクタン分散液を用いたほかは同様にして、InP粒子濃度が1mg/mlの半導体量子ドット分散液2を調製した。
〔配位子溶液の調製〕
表1の「配位子」欄の「化合物」欄に示す配位子を1mmol取り分け、10mlのメタノールに溶かし、0.1mol/l濃度の配位子溶液を調製した。配位子溶液中の配位子の溶解を促進するため、超音波照射し、可能な限り配位子の溶け残りがないようにした。
〔基板〕
基板は、石英ガラス上に、図2に示す65対のくし型白金電極を有する基板を準備した。くし型白金電極は、BAS社製のくし型電極(型番012126、電極間隔5μm)を用いた。
〔半導体膜の製造〕
(1)半導体量子ドット集合体形成工程
調製した半導体量子ドット分散液1または半導体量子ドット分散液2を基板に滴下後、2500rpmでスピンコートし、半導体量子ドット集合体膜を得た。
(2)配位子溶液付与工程
さらに、半導体量子ドット集合体膜の上に、表1に示す配位子のメタノール溶液(配位子溶液)を滴下した後、2500rpmでスピンコートし、半導体膜を得た。
(3)洗浄工程1
次いで、配位子溶液の溶媒であるメタノールだけを半導体膜上に滴下し、スピンコートした。
(4)洗浄工程2
さらに、洗浄工程1による洗浄後の半導体膜に、オクタン溶媒だけを滴下し、スピンコートした。
(1)〜(4)の一連の工程を15サイクル繰り返すことで、PbS量子ドットの集合体からなり、配位子交換が施された厚み100nmの半導体膜を得た。
以上のようにして、基板上に半導体膜を有する評価用デバイスを作製した。
[評価]
1.電気伝導性
作製した評価用デバイスについて半導体パラメータアナライザーを用いることで、半導体膜の電気伝導性の評価を行った。
まず、評価用デバイスに光を照射しない状態で電極への印加電圧を−5〜5Vの間で掃引し、暗状態でのI−V特性を取得した。+5Vのバイアスを印加した状態での電流値を暗電流の値Idとして採用した。
次に、評価用デバイスにモノクロ光(照射強度1013フォトン)を照射した状態での光電流値を評価した。なお、評価用デバイスへのモノクロ光の照射には、図3に示す装置を用いて行った。モノクロ光の波長は280nm〜700nmの間で系統的に変化させた。280nmの波長の光を照射した場合の暗電流からの電流の増加分を光電流値Ipとした。
評価結果を、表1に示す。なお、表1中、CTABは臭化セトリモニウムである。
2.基板からの膜剥がれ
実施例および比較例の評価用デバイスについて、目視により、半導体膜の膜剥がれを評価した。膜剥がれの有無を表1に示す。
表1に示すように、半導体量子ドット(PbS)の表面を一般式(I)で表される配位子で修飾する事によって、比較例1のエタンジチオール修飾の半導体膜に比べ、高い光電流値・暗電流値が得られる事が分かった。
また、半導体量子ドットとしてInPを用いた実施例6では、電流値はあまり高くないものの、グリコール酸を配位子とする事で、半導体量子ドットとしてPbSを用いた場合と同様、エタンジチオールを配位子とする比較例10と比べて高い光電流値が観測された。これにより、本発明は半導体量子ドットの材質にかかわらず高い光電流を提供する事が可能である事がわかる。
また、配位子がエチレンジアミンの場合(比較例2)には、光電流値、暗電流がともに著しく低くなる事が分かった。この結果は、単純な1級アミン、ジアミンの場合には良好な電気伝導特性が得られない事を示唆している。これはlogβがあまり高くなく、配位子の配位があまり進行していないことが可能性として考えられる。そのためオレイン酸が配位子分子として残り、半導体量子ドット間のキャリアの輸送を阻害していると推測される。
また、比較例1、10のエタンジチオール修飾の半導体膜については肉眼で顕著な膜剥れが生じているのに対し、各実施例には膜剥れが認められなかった。
上記のように半導体量子ドットに、一般式(I)で表される特定の配位子を修飾させた半導体膜を作製することによって高い光電流と電気伝導性が実現できる事が示された。
3.半導体量子ドットにおける発光スペクトル
表1に示される実施例および比較例の評価結果からわかるように、特定配位子を用いて半導体量子ドット同士を近接化することで、半導体膜の電気伝導性を向上することができる。しかし、その一方で、半導体量子ドット同士が近接化し過ぎると、半導体量子ドットの凝集化を生じ易い。半導体量子ドットは、凝集することでバルクのような性質になってしまうことが予想される。
半導体膜は、良好な電気特性を示しながらも、半導体量子ドットとしての物性を保持していることが望ましい。特に、半導体膜をLEDまたは太陽電池に応用することを考えた場合には、半導体膜が、半導体量子ドットとしての物性を有していなければ、目的とする波長の吸収や発光を得にくくなる。
このことは、配位子を有する半導体量子ドットにおけるPL(Photo Luminescence)スペクトルのピーク波長から判断することができる。
フォトルミネッセンス測定に用いた実験系のセットアップの構成を図4に概略的に示す。この実験装置は、主に、レーザ照射器20、全反射ミラー22、ダイクロイックミラー24、レンズ26,28、分光器32を備え、レーザ照射器20から発せられたレーザ光が、全反射ミラー22、ダイクロイックミラー24、レンズ26,28を経て、それぞれ測定サンプル(評価用デバイスの半導体膜)30と分光器32に到達する構成を有している。
図5および図6に配位子ごとにフォトルミネッセンスの測定結果を、それぞれ示す。また、配位子ごとにピーク波長を表2にまとめた。
配位子交換処理を行っていない半導体膜(実験例1)については発光ピークが1100nm程度であったのに対し、配位子交換処理を行った半導体膜では60nm〜120nm程度発光波長が長波側にシフトしている事が分かる。このような発光波長の長波側へのシフト(レッドシフト)は配位子交換処理によって半導体量子ドットの間隔が近接化したことによって、半導体量子ドットの閉じ込めポテンシャルが減少し、実効的にバンドギャップが低下している事を示唆していると考えられる。最も大きいものでその低下分はおよそ100meV程度である。
一方、バルクのPbSの場合、バンドギャップがおよそ0.37eV程度であり、発光ピークは3350nm程度に存在することから、半導体量子ドットが凝集してバルク状になっていれば発光ピークはこの近辺に現れるはずである。
従って、配位子交換処理によって半導体量子ドットの間隔が減少し、半導体量子ドットを介した良好な伝導特性を示す一方で半導体量子ドットとしての物性(バンドギャップ等)を保持していると考えられる。
なお、PbSバルクは、一般的なII−VI族半導体でありPbSの単結晶であり、サイズが100nmよりも大きく、量子サイズ効果が生じていない半導体である。
4.半導体量子ドットの平均粒径(直径)
半導体量子ドットの平均粒径を、TEM装置により測定した。測定装置には、FEI社製のTITAN80−300を用いた。試料は2種用意した。1つは、半導体量子ドット分散液1を、Si基板上にドロップキャストしたものを、サンプリングナイフで採取して、測定ステージに乗せたものである。もう1つは、エタンジチオールで配位子交換を行ったスピンコート膜を石英ガラス基板上に形成し、同様にサンプリングナイフで採取したものである。後者の試料は、つまり、比較例1の半導体膜の作製において、基板として石英ガラス基板を用いたほかは同様にして得た半導体膜である。
図7に、半導体量子ドット分散液1をドロップキャストした場合のTEM画像を示す。図7から量子ドットの平均粒径(10個平均)が3nmであることが確認された。また、配位子交換をせずに、長鎖脂肪酸であるオレイン酸が配位したままとなっているために、半導体量子ドットの間隔が非常に広い(2nm〜4nm)ことが分かる。
一方、配位子交換を行ったスピンコート膜のTEM画像を図8に示す。Ip/Idがあまり高くないエタンジチオールにより配位している半導体膜ではあるものの、半導体量子ドット間の間隔が狭まり、半導体量子ドット同士が密集するような構造を示していることが分かる。
14 p型半導体層
16 n型半導体層
20 レーザ照射器
22 全反射ミラー
24 ダイクロイックミラー
26 レンズ
28 レンズ
30 分光器
32 測定用サンプル(半導体膜)
100 pn接合型太陽電池

Claims (20)

  1. 金属原子を含む半導体量子ドットの集合体と、
    前記半導体量子ドットに配位し、下記一般式(I)で表される少なくとも1種の配位子と、
    を有する半導体膜。

    (式(I)中、Aは、水素原子、又は、末端がNH若しくはSH以外の原子数10以下の置換基を表す。)
  2. 前記一般式(I)におけるAが、原子数7以下の置換基である請求項1に記載の半導体膜。
  3. 前記一般式(I)におけるAが、水素原子であるか、OHを含む置換基である請求項1または請求項2に記載の半導体膜。
  4. 前記配位子は、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、又はこれらの化合物の誘導体から選ばれる少なくとも1種類である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の半導体膜。
  5. 前記半導体量子ドットの直径が2nm〜15nmである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の半導体膜。
  6. 前記半導体量子ドットが、PbS、PbSe、InN、InAs、InSb及びInPから選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の半導体膜。
  7. 前記半導体量子ドットが、PbSを含む請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の半導体膜。
  8. 半導体量子ドット、前記半導体量子ドットに配位した第1の配位子、及び第1の溶媒を含有する半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、
    前記半導体量子ドットの集合体に、下記一般式(I)で表され、前記第1の配位子よりも分子鎖長が短い第2の配位子及び第2の溶媒を含有する溶液を付与して前記半導体量子ドットに配位している前記第1の配位子を前記第2の配位子に交換する配位子交換工程と、
    を有する半導体膜の製造方法。

    (式(I)中、Aは、水素原子、又は、末端がNH若しくはSH以外の原子数10以下の置換基を表す。)
  9. 前記第1の配位子は、直鎖炭素数が6以上の配位子である請求項8に記載の半導体膜の製造方法。
  10. 前記半導体量子ドット集合体形成工程と、前記配位子交換工程と、を2回以上行う請求項8又は請求項9に記載の半導体膜の製造方法。
  11. 前記一般式(I)におけるAが、原子数7以下の置換基である請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の半導体膜の製造方法。
  12. 前記一般式(I)におけるAが、水素原子であるか、OHを含む置換基である請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載の半導体膜の製造方法。
  13. 前記配位子は、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、又はこれらの化合物の誘導体から選ばれる少なくとも1種類である請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の半導体膜の製造方法。
  14. 前記半導体量子ドットの直径が2nm〜15nmである請求項8〜請求項13のいずれか一項に記載の半導体膜の製造方法。
  15. 前記半導体量子ドットが、PbS、PbSe、InN、InAs、InSb及びInPから選択される少なくとも1種を含む請求項8〜請求項14のいずれか一項に記載の半導体膜の製造方法。
  16. 前記半導体量子ドットが、PbSを含む請求項8〜請求項15のいずれか一項に記載の半導体膜の製造方法。
  17. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の半導体膜を備える太陽電池。
  18. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の半導体膜を備える発光ダイオード。
  19. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の半導体膜を備える薄膜トランジスタ。
  20. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の半導体膜を備える電子デバイス。
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