[構成説明]
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との関係を説明する図であり、図2は、図1の空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との概略構成を示すブロック図であり、図3は、本実施例にかかる空気調和機のリモコンの平面図である。
本実施例にかかる空気調和機は、図1に示すように、空気調和機本体としてのエアコン室内機2とリモコン1とで構成され、RFモジュールによる双方向無線通信を利用して、リモコン1からエアコン室内機2に対して遠隔操作や各種設定を行い、エアコン室内機2から各種運転情報をリモコン1が取得すると、リモコン1の表示手段に情報を表示させて、運転管理や各種設定に利用する。また、本実施例にかかるリモコン1は、取得した各種運転情報を外部接続端子としてのUSB接続端子を介してパーソナルコンピュータ(PC)3と有線接続し、運転情報管理をPC3側で行うことができる。また、本実施例にかかるリモコン1は、エアコン室内機2以外の操作対象機器である加湿器4等を赤外線送信手段としての赤外線(IR)LEDを用いて遠隔操作を行うことができる。
図1のように構成されたリモコン1と、空気調和機本体としてのエアコン室内機2、USB接続端子を介して接続されるPC3、および加湿器4の概略構成について、図2を用いて説明する。リモコン1は、エアコン室内機2との間で双方向無線通信を行うための送受信機やアンテナ等を含むリモコン送信手段およびリモコン受信手段としてのRFモジュール11、情報管理等を行うパーソナルコンピュータ(PC)3とUSB接続するためのUSBソケット12、加湿器4に対して赤外線(IR)ダイオードによりコマンドを送信してコントロールするIRLED13、エアコン室内機2から受信した各種運転情報等のデータを一定期間(ここでは、40日間分)保持するメモリを含み、リモコン1の各部を制御するMPU(マイクロプロセッサユニット)が搭載されたMPUボード14を備えている。このMPUボード14は、所定時間毎にリモコン1からエアコン室内機2へ運転情報を要求する要求信号を送信した際に、RFモジュール11を受信待ち状態とし、その受信待ち状態を一定時間で解除する省電力待ち受け手段としての省電力待ち受け部14aを備えている。また、MPUボード14は、リモコン1のRFモジュール11から操作信号を送信した際に、RFモジュール11を受信待ち状態とし、その受信待ち状態を一定時間で解除する受信時間限定手段としての受信時間限定部14bを備えている。さらに、MPUボード14は、リモコン1の設定時間後にエアコン室内機2へ運転停止信号を送信するタイマー設定部14cを備えており、この運転停止信号をエアコン室内機2へ送信した際に、RFモジュール11を受信待ち状態とし、その受信待ち状態を受信時間限定部14bにより一定時間で解除する。また、リモコン1は、リモコン1の操作情報やエアコン室内機2の運転情報(運転時間、消費電力等)や操作情報を表示する表示手段としてのLCDユニット15、操作対象機器を操作するキー操作部16、時間管理を行う計時専用のRTC(リアル・タイム・クロック)17、および、リモコン1の各部に電力を供給する電池18等により構成されている。
エアコン室内機2は、図2に示すように、リモコン1のRFモジュール11と双方向無線通信を行う本体受信手段および本体送信手段としてのRFモジュール21、および、RFモジュール21で受信したリモコン1からのコマンドに基づいてエアコン室内機2の各部を制御すると共に、エアコン室内機2の運転情報を収集し、運転時間と消費電力(電気代)とを計算して、一定期間(ここでは、10日間分)のデータを保持するメモリを含むMPUが搭載されたMPUボード22を備えている。また、エアコン室内機2には、人体を検知する人検知部24と、エアコン室内機2側で時間管理を行う計時専用のRTC23とを備えている。
また、PC3は、図2に示すように、リモコン1のUSBソケット12との間にUSBケーブルを接続するためのUSBソケット31を備えている。PC3は、運転情報管理ソフトをインストールすることにより、USB接続時にデータの送受信が行えるようになると共に、リモコン1を介してエアコン室内機2からの運転情報を定期的に収集し、PC画面上で継続的に運転管理を行うことができる。
また、加湿器4は、図2に示すように、リモコン1のIRLED13から送信される赤外線信号を受信するIRPD(赤外線受信)ユニット41を備えている。リモコン1は、この赤外線信号(コマンド)によって加湿器4をコントロールすることができる。
空気調和機を運転操作するリモコン1は、図3に示すように、運転情報(風向板の向き、運転の内容、運転時間、消費電力等)と操作情報とを表示する液晶表示部からなるLCDユニット15と、エアコン室内機2を運転操作するためのキー操作部16とを備えている。そして、キー操作部16の中には、エアコン室内機2の運転開始、および運転停止を操作する、運転/停止キー16aの他、ペアリング開始の際に必要な確定キー16b等を備えている。
本実施例の空気調和機は、上記したリモコン1とエアコン室内機2とにより構成されているが、RFモジュールを用いて双方向無線通信を行うため、近くに別機種のエアコンがあると操作対象機器が区別できなくなることから、事前にペアリング設定を行う必要がある。
[ペアリング設定]
図4は、本実施例にかかるリモコンとエアコンとの間で行われるペアリング設定動作の手順を説明する図であり、図5は、図4のペアリング設定中に受信可能なエアコンの機種情報の一例を示す図であり、図6は、図4のペアリング設定に最低限必要なエアコンの機種情報の一例を示す図である。
まず、リモコン1の登録設定が選択された場合、あるいは、リモコン1のMPUボード9に搭載された図示しない不揮発性メモリ(以下、EEPROMという)にペアリング相手が記憶されていない場合(LCDユニット15に「登録なし」が表示される場合)は、リモコン登録設定モードとなり、エアコン室内機2とペアリングを行う際の手順を表示するペアリング表示をする。同様に、エアコン室内機2もペアリング登録がない場合は、エアコン室内機2に備えられた図示しないランプで表示される。ペアリングは、図4に示すように、操作者がエアコン室内機2にある図示しないペアリングボタンを押下すると、ペアリング実行状態をブザーの鳴動、およびランプの点灯で示し、エアコン室内機2側のペアリング要求信号がRFモジュール21に送られて、ペアリングが開始される(ステップS60)。
また、リモコン1のLCDユニット15にペアリング表示がされている間は、図3に示すリモコン1のキー操作部16の運転/停止キー16aと、操作扉を開いた中の確定キー16bとを同時に押下すると、ペアリング要求信号がRFモジュール11に送られ、ペアリングが開始される(ステップS61)。リモコン1のLCDユニット15には、「ペアリング登録中」と表示される。ここで、RFモジュール11と21との間でペアリングのための通信を行い(ステップS62)、ペアリング登録可能な機種かどうかを確認した後(ステップS63)、RFモジュール21からMPUボード22にRFモジュールのペアリングが完了した旨のペアリング完了信号を送信し(ステップS64)、RFモジュール11からMPUボード14にRFモジュールのペアリングが完了した旨のペアリング完了信号を送信する(ステップS65)。
続いて、リモコン1からエアコン室内機2に対し、エアコン機種情報要求を汎用データとして送信する(ステップS66)。この時、エアコン室内機2から受信可能なエアコン機種情報の信号としては、図5に示すように、シリーズ名(Z/S)、室内機年度(A〜Z)、文字列(機種名16文字以内)、派生機種(1)、エアコンID(MACアドレス)などがある。エアコン室内機2側のRFモジュール21は、エアコン機種情報要求をエアコン室内機2で受信すると、リモコン1に対して汎用データ送信完了信号を送信し、送信が成功したことを通知する(ステップS67)。リモコン1のMPUボード14は、RFモジュール11を受信モードに切り換える(ステップS68)。
続いて、エアコン室内機2のMPUボード22は、エアコンの機種情報をリモコン1側に情報転送する(ステップS69)。エアコン室内機2の機種情報をリモコン1側で受信すると、RFモジュール11は、エアコン室内機2に対して情報転送完了信号を送信し、送信が成功したことを通知する(ステップS70)。
リモコン1は、エアコン機種情報を取得すると、受信モード中止をRFモジュール11に通知し(ステップS71)、受信モード完了を受け取る(ステップS72)。
リモコン1のMPUボード14は、取得したエアコン機種情報に基づいて、ペアリング設定を行うエアコン室内機2が該当機種か否かを判断する。リモコン1のMPUボード14は、該当機種で、受信した信号が図6に示す信号を少なくとも含む場合、ペアリング成立の汎用データをエアコン室内機2に送信する(ステップS73)。エアコン室内機2のRFモジュール21は、ペアリング成立の汎用データを受信すると、リモコン1に対して、汎用データの送信が完了(送信成功)したことを通知する(ステップS74)。リモコン1のMPUボード14は、ペアリングが成立したことをLCDユニット15に5.5秒間表示し、操作者はシリーズ名に合わせて「Z」または「S」を選択すると、選択された機種内容がEEPROMに書き込まれる。
一方、リモコン1のMPUボード14は、ペアリング設定を行うエアコン室内機2が該当機種でないと判断した場合、あるいは、受信したエアコン機種情報が図6に示す信号以外のものであった場合、ペアリング不成立の汎用データをエアコン室内機2に送信する(ステップS75)。エアコン室内機2のRFモジュール21は、ペアリング不成立の汎用データを受信すると、リモコン1に対して、汎用データの送信が完了したことを通知する(ステップS76)。リモコン1のMPUボード14は、ペアリング不成立表示をLCDユニット15に5.5秒間表示して、ペアリングクリア処理を行い(ステップS77)、ペアリングクリアが完了したことの通知を受ける(ステップS78)。
ペアリング不成立の場合、エアコン室内機2のMPUボード22側でもペアリングクリア処理を行い(ステップS79)、ペアリングクリアが完了したことの通知を受ける(ステップS80)。このようにして、ペアリング設定が終了する。
上記のペアリング設定が終了したリモコン1とエアコン室内機2との間では、リモコン1からエアコン室内機2に対して運転操作や各種設定を行う他、以下の通信シーケンスにより、エアコン室内機2に保存されている運転状況ログ(履歴)をリモコン1が要求することにより、ログを取得することができる。
[エアコンとリモコン間の通信シーケンス]
図7は、本実施例にかかるペアリング設定後のリモコンとエアコンとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。リモコン1は、毎日、定時刻にエアコン室内機2に対して運転状況ログを要求し、収集する動作が行われる。
まず、リモコン1のMPUボード14は、図7に示すように、RTC17により定時刻(ここでは、AM0:03とする)になると、RFモジュール11および21を介してエアコン室内機2のMPUボード22に対してログ要求を送信する(ステップS81)。リモコン1は、ログ要求を送信した後、エアコン室内機2からログデータが送られてくるのを待つ。ログを待つ際に、一定の時間が経過してもログが送られてこない場合は、受信タイムアウトによる受信エラーとし、ログの受信待ちを終了して、その日のログ収集を終了する。エアコン室内機2のMPUボード22のEEPROMは、エアコン運転状況のログを最大10日分保存できる容量を持っているため、受信エラーが生じても次にログの受信が可能になった時点で、まとめてログの転送が行われる。
図7に示すように、エアコン室内機2から順次ログデータが送られてくると(ステップS82、S83・・・)、その都度リモコン1のMPUボード14のEEPROMに保存する。ログの保存方法は、EEPROMに未保存のエリアがある場合は、その部分にログを書き込み、未保存のエリアが無い場合は、一番古いログの書き込みエリアを上書きして保存する。リモコン1は、エアコン室内機2からログデータの終了を示すログ終了を受信すると(ステップS84)、ログ取得が完了する。
また、リモコン1とエアコン室内機2との間では、上記した定時刻以外に、リモコン1が運転操作のコマンドを送信すると、エアコン室内機2から運転状況ログを取得して、リモコン1のLCDユニット15に表示することができる。
[RFモジュールを一定時間受信待ち状態にする]
図8は、リモコンのキー操作とタイマーセットによりエアコンの運転状況の変化を示す図であり、図9は、リモコンからエアコンに対して運転情報の要求信号を送信した場合の動作を説明するフローチャートであり、図10は、リモコンからエアコンに対して運転操作の操作信号を送信した場合の動作を説明するフローチャートであり、図11は、エアコンの人検知部により人体の不在を検知した場合の動作を説明する図である。
図8〜図11では、リモコン1側のリモコン受信手段としてのRFモジュール11を一定時間だけ受信待ち状態とする、種々の条件を説明するものである。リモコン1側を常時受信待ち状態にすると、電池の消耗が激しいため、受信待ち状態にする条件を複数持っていて、状況に応じて使い分ける必要がある。
図9の場合は、リモコン1からエアコン室内機2に対して、エアコン室内機2が持っている運転情報をリモコン側から要求する要求信号を送信する際に、RFモジュール11を立ち上げるため、この要求信号の送信時から一定時間のみ受信待ち状態にするものである。
まずリモコン1は、リモコン1からエアコン室内機2に対して、エアコン室内機2が持っている運転情報を要求するための要求信号を送信したか否かを判別し(ステップS100)、要求信号が送信されない場合は(ステップS100でNo)、要求信号が送信されるまで待機している(ステップS101)。
続いて、リモコン1がエアコン室内機2の運転情報を要求する要求信号を送信すると(ステップS100でYes)、MPUボード14の省電力待ち受け部14aは、RFモジュール11を受信待ち状態とし(ステップS102)、一定時間が経過するまで受信待ち状態とし(ステップS103)、一定時間が経過すると受信待ち状態を解除する(ステップS104)。
このように、リモコン1からエアコン室内機2に対して行う運転情報の要求信号の送信は、間隔などを自由に設定できるため、双方向通信の必要性と、リモコン側の省電力化との兼ね合いで、要求信号の送信間隔や受信待ち状態を続ける時間の長さを調整することが可能である。また、この要求信号の送信は、操作信号を送信する場合と異なり、操作者がリモコンを操作しなくても、予め決めた時刻や所定の時間間隔毎に送信することが可能となる。本実施例では、この運転情報の要求信号の送信時を基本とし、操作信号の送信時、運転停止信号の送信時、あるいは、切るタイマーのタイマーカウントアップ時などを利用して、受信待ち状態を間欠的にとることで、常時受信待ちにするよりも省電力化を図ることができる。
図10では、リモコン1は、リモコン1からエアコン室内機2に対して運転操作の操作信号を送信したか否かを判別し(ステップS200)、操作信号が送信されていなければ場合は(ステップS200でNo)、操作信号が送信されるまで待機している(ステップS201)。
また、リモコン1からエアコン室内機2に運転操作の操作信号が送信されると(ステップS200でYes)、MPUボード14の受信時間限定部14bは、RFモジュール11を受信待ち状態とし(ステップS202)、一定時間が経過するまで受信待ち状態とし(ステップS203)、一定時間が経過すると受信待ち状態を解除する(ステップS204)。
このように、操作信号の送信時にRFモジュール11を受信待ち状態にするのは、リモコン1によりエアコン室内機2に対して、ユーザの操作によらない運転操作を行う場合に有効である。
図8は、例えば切タイマーをセットし、切タイマーがタイムアップした時にエアコン室内機2に対して運転停止信号を送信する場合である。このタイマー設定手段としてのMPUボード14のタイマー設定部14cは、タイマー設定時間後にエアコン室内機2に対して運転停止信号を送信すると、リモコン1のMPUボード14の受信時間限定部14bによりRFモジュール11を受信待ち状態とし、一定時間が経過すると受信待ち状態を解除する。運転停止信号は、操作信号の一種であるため、操作信号と同様に処理される。
さらに、エアコン室内機2は、人体を検知する人検知手段としての人検知部24を備えており、人体の不在を検知してから所定時間タイマーカウントを行った後に、エアコン室内機2の運転を停止する。その後、リモコン1からの操作信号、あるいは、要求信号を受信した場合に、ステップS304とする。これを、図11で見ると、エアコン室内機2の人検知部24が人体の不在を検知したか否かを判断する(ステップS300)。不在が検知できなければ人体の不在を検知するまで待機する(ステップS301)。
そして、人体の不在を人検知部24が検知すると(ステップS300でYes)、エアコン室内機2のMPUボード21がRTC23を使ってタイマーカウントを行い(ステップS302)、カウントアップするとエアコン室内機2の運転を停止する(ステップS303)、そして、ステップS304を受信したら運転情報をリモコン1へ送信する(ステップS305)。
このように、リモコン1とエアコン室内機2との間で通信が行われる時(リモコンからの信号送信時)に合わせて、リモコン側を一定時間受信待ち状態にすることにより、エアコン室内機2からリモコン1に対して運転情報等を転送することができる。そして、リモコン1とエアコン室内機2との間で通信が行われたる時以外は、リモコン1側のRFモジュール11の電源を切っておくので、省電力化することができる。なお、上記した省電力待ち受け部14aと受信時間限定部14bとは、同一であってもよい。
ここで、上記した省電力待ち受け部14aと受信時間限定部14bは同一のものとしてもよく、その場合は要求信号あるいは操作信号のどちらかに基づいて、一定時間受信待ち状態とすればよい。また、要求信号あるいは操作信号を送信した場合だけにRFモジュール11を受信待ち状態にするのではなく、エアコン室内機2からの指令に基づいて受信待ち状態にするようにしても良い。具体的には、リモコン1とエアコン室内機2で通信を行った際に、エアコン室内機2から所定の設定時間あるいは設定時刻をリモコン1へ送信し、リモコン1がその設定時間あるいは設定時刻に達した際に、受信待ち状態となっていれば良い。
例えば、本実施例のリモコン1のキー操作部16には、図3に示すように、エアコン室内機2のメンテナンス動作の一つとして、エアフィルターを清掃するためのフィルタークリーンキーが配置されている。また、後述の図22には、エアコン室内機2の設定確認画面の中に、エアコンのメンテナンス動作の一つとして内部クリーンがあって、「冷房、除湿運転停止後に室内ユニット内部(熱交換機、送風ファン)を乾燥させ、カビや雑菌の発生を抑える」ことが記載されている。さらに、後述の図23には、エアコン室内機2の設定確認画面の中に、エアコンのメンテナンス動作の一つとしてフィルタークリーン間隔があって、「エアフィルターを自動的に清掃するタイミングを設定する」ことが記載されている。このように、本実施例のエアコン室内機2では、エアコン運転(冷房、除湿運転等)の停止後にリモコン1の操作によらずに、自動的にメンテナンス動作に移行する場合が考えられる。このため、エアコン室内機2の運転停止時には、上記のようにエアコン室内機2からリモコン1に運転情報等を転送する必要から、リモコン側を一定時間受信待ち状態にすることを行っている。しかしながら、エアコン室内機2のメンテナンス動作の場合は、リモコン1からの指令によらずにエアコン室内機2が自動で判断して動作を開始するため、リモコン1側ではメンテナンス動作の内容や時間がわからず、メンテナンス動作の終了時刻に合わせてリモコン側を一定時間受信待ち状態にすることが困難であった。そこで、本実施例では、エアコン室内機2からの指令に基づいてリモコン1側を一定時間受信待ち状態にする一例として、メンテナンス動作の場合で説明する。
図12は、エアコンからリモコンに対して受信待ち状態とする指令を送信した場合の動作を説明するフローチャートである。まず、エアコン室内機2のエアコン運転(冷房、除湿運転等)の停止は、リモコン1からの指令によるため、リモコン側は一定時間受信待ち状態になっている。ここで、エアコン室内機2は、エアコン運転停止からメンテナンス運転へ自動的に移行する場合に、メンテナンス動作の実施状況とそのメンテナンス動作にかかる時間をリモコン1側に送信する。つまり、メンテナンス動作中は、リモコン1を受信待ち状態とせずに、RFモジュール11の電源を切っておくので、省電力化することができる。そして、メンテナンス動作の終了時刻に合わせてリモコン1を一定時間受信待ち状態にすることにより、エアコン室内機2からリモコン1に対してメンテナンス動作を含めた運転情報を転送することが可能となる。このように、エアコン室内機2からリモコン1に対して所定時間後に受信待ち状態とする指令があると(ステップS400でYes)、次のステップS402に移行するが、受信待ち状態とする指令が無い場合は(ステップS400でNo)、指令があるまで待機する(ステップS401)。
リモコン1は、エアコン室内機2からメンテナンス動作の実施状況とそのメンテナンス動作にかかる時間を受け取ると、LCDユニット15にメンテナンスにかかる時間やメンテナンス内容を表示させても良い。また、メンテナンス時間をLCDユニット15に表示する場合は、リモコン1のRTC17によりメンテナンス時間をタイマーカウントして、カウントダウン表示を行うようにしても良い。リモコン1のMPUボード14は、RTC17により所定のメンテナンス時間(設定時間、設定時刻)が経過したか否かを判断し(ステップS402)、所定時間が経過した場合は(ステップS402でYes)、リモコン1側のRFモジュール11を受信待ち状態とする(ステップS403)。ここで所定時間とは、メンテナンス時間と同じ時間にすることもできるが、エアコン室内機2のRTC23とリモコン1のRTC17との間に誤差が生じる可能性もあるため、実際にはメンテナンス時間が終了する数秒〜数十秒前にリモコン1側のRFモジュール11を受信待ち状態に移行させることが望ましい。
このようにして、リモコン1を受信待ち状態にすると、エアコン室内機2は、メンテナンス終了後にメンテナンス動作にかかった電気代等を計算し、運転情報としてリモコン1に送信する。リモコン1は、エアコン室内機2からの運転情報を受信すると(ステップS404)、それをLCDユニット15に表示させることができる。リモコン1のMPUボード14の受信時間限定部14bは、RFモジュール11を受信待ち状態としてから、一定時間が経過すると受信待ち状態を解除する(ステップS405)。
また、メンテナンス動作にかかる時間がエアコン室内機2の判定で延長された場合、エアコン室内機2は、リモコン1に対して、それまでにかかった電気代、メンテナンス延長時間、または、別のメンテナンス動作とそれにかかる時間を送信するようにする。リモコン1は、これらの運転情報を受信すると、この情報に基づいて再度タイマーカウントを継続し、延長された時間が経過する前に受信待ち状態に移行させる。このように、エアコン室内機2が自動で判断して動作を開始するメンテナンス運転などでは、リモコン1をいつから受信待ち状態にすれば良いかがわからないため、エアコン室内機2からの指令に基づいてリモコン1を受信待ち状態とする。なお、本実施例では、エアコン室内機2からの指令に基づいてリモコン1を受信待ち状態にする一例として、メンテナンス動作をあげて説明したが、必ずしもこれに限定されない。
[リモコンとPC間の通信シーケンス]
また、本実施例のリモコン1は、エアコン室内機2の運転情報が管理可能なPC3と接続する外部接続端子としてのUSBソケット12を備えている。このため、リモコン1とPC3をUSB接続することにより、エアコン室内機2の運転情報をリモコン1を経由してPC3に収集することが可能となり、PC3においてエアコン室内機2の運転情報を管理することができる。
図13は、本実施例にかかるリモコンとPCとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。上記したエアコン1とリモコン2間の通信シーケンスにより、リモコン1のMPUボード14のEEPROMに保存されたエアコンの運転状況のログをPC3に送信するものである。リモコン1のMPUボード14のEEPROMは、エアコンから受信したログを最大40日分保存できる容量を持っている。
まず、リモコン1とPC3との間をUSB接続すると、USBドライバにより通信可能となるまでの一連の処理(エニュメレーション)が行われ、エニュメレーションの完了によりリモコン1とPC3との間で通信が可能になる(ステップS85)。エニュメレーションの間は、「接続検出:USB接続中」の表示がリモコン1のLCDユニット15に表示される。
エニュメレーションが完了すると、PC3は、リモコン1に対してエアコン情報を要求する(ステップS86)。リモコン1は、これに応答してMPUボード14のEEPROMに保存したエアコン情報をPC3に対して送信する(ステップS87)。エアコン情報としては、エアコンの製品名、シリーズ名、能力帯、室内機年度、使用電圧の他、エアコンMACアドレス、部屋情報、およびリモコンタイプなどがある。
PC3は、受信したエアコン情報と、管理しているエアコン情報とを照合し、受信したエアコン情報がどのエアコンに該当するのかを識別する。PC3において、複数のエアコンを管理している場合は、受信したエアコン情報がどのエアコンに該当するかを照合する必要がある。
続いて、PC3は、運転設定情報を読み込むため、リモコン1に対してエアコン運転設定情報を要求する(ステップS88)。リモコン1は、これに応答してMPUボード14のEEPROMに保存されているエアコン運転設定情報をPC3に送信する(ステップS89)。エアコン運転設定情報としては、音量レベル、ボイスの有無、不在エコの切り換え、内部クリーンの有無、お手入れ時間、省エネファンの有無、自動パワフルの有無、および電流切換などがある。
続いて、PC3は、リモコン1に対してログ読込みのために、ログ要求を行う(ステップS90)。リモコン1は、PC3からのログ要求に応答して、ログデータを送信する(ステップS91)。PC3とリモコン1とは、次データ要求とログデータの送信が繰り返される(ステップS92、S93、S94)。リモコン1は、送信するログデータが無くなった時点でPC3に対しログ終了を送信することにより(ステップS95)、PC3におけるログ読込み処理が完了する。その後、PC3とリモコン1とをつなぐUSB接続が切断され(ステップS96)、リモコン1がPC3との間の通信モードから解放されると、LCDユニット15の表示が通常表示に移行する。
このように、エアコン室内機2に一時的に保存された(最大10日間分保存可能)エアコンの運転ログは、リモコン1側に送信されて保存され(最大40日間分保存可能)、リモコン1とPC3とをUSB接続した時点で、リモコン1に保存されていたログがPC3側に転送される。PC3では、予めインストールされた運転情報管理ソフトを使って、図14〜図29に示すようにエアコン室内機2の運転情報を管理することができる。
[PCにおける運転情報の管理]
図14〜図29は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。まず、PC3は、運転情報管理ソフトにより図14に示すような画面が表示される。操作者は、エアコン選択タグ100をクリックし、その中の「リビング1」のボタン101をクリックすると共に、カレンダータグ102をクリックすると、「リビング1」のエアコンにおける毎日の運転時間と電気代、月単位、年単位の電気代、月目標電気代等が記載されたカレンダー画面103が表示される。これにより、エアコン毎の運転状況と電気代とを継続的に把握可能となり、エアコンの効率的な利用や設定に利用することができる。
PC3とリモコン1とをUSB接続した場合は、図15に示すように、リモコン1が接続され、データ受信中であることを示すウインドウ104が表示される。そして、PC3には、新たな運転情報がPC3に取り込まれると、図16に示すように、カレンダー画面103にリモコン1に保存されていた前日までの運転時間と電気代とが追加された画面が表示される。
続いて、操作者は、図16の状態から画面上のグラフタグ105をクリックすると、図17に示すように、毎日の電気代が棒グラフ化されたグラフ画面106を表示することができる。これにより、一カ月間のエアコンの電気代の増減を一目で把握することができる。また、累計電気代として、今月の「リビング1」にかかったエアコン電気代の合計、前の月の電気代の合計、年間の電気代の合計、前の年の電気代の合計、月目標電気代等も表示されるため、エアコンの運転状況を多角的に把握することが可能になる。
また、図22の画面において、エアコン選択タグ100の全室合計ボタン108をクリックすると、リビング1ボタン101と寝室1ボタン107のそれぞれが合計されたグラフ画面106が色違い(モノクロ表示であれば、濃度違い)で表示される。これにより、全室のエアコンの電気代の合計とその内訳を一目で把握することができる。また、グラフ画面106には、縮小ボタン109と拡大ボタン110が設けられている。例えば、図18に示す状態で拡大ボタン110をクリックすると、グラフ画面106は、図19のようにグラフのレートが変化し、拡大表示することができる。これにより、電気代の微妙な変化も明確に把握することができる。
例えば、図20に示すように、エアコン選択タグ100に、リビング1ボタン101、ダイニング1ボタン111、和室1ボタン112、寝室1ボタン113、子供部屋1ボタン114、その他1ボタン115、子供部屋2ボタンという多数のエアコンが登録されている場合は、全室合計ボタン108をクリックすると、1日毎の全室の電気代の合計のグラフが表示される。そして、1日の全室の電気代の合計のグラフは、さらに部屋毎の電気代が色違い(モノクロ表示であれば、濃度違い)で表示されるため、多数のエアコンの電気代の内訳も一目で把握することができる。
また、図18に示すグラフ表示において、特定の日にちをクリックすると、図21に示すように、その日の運転状況を詳細に示すウインドウ117を開くことができる。そのウインドウには、その日の全室合計の電気代、運転時間、および外気温度の平均気温などを表示することができる。
さらに、図22に示すエアコン設定確認画面119は、エアコン選択タグ100のリビング1ボタン101をクリックし、エアコン設定確認タグ118をクリックした場合の画面である。このエアコン設定確認画面119は、リビング1ボタン101に登録されているエアコンの設定内容の詳細をPC3の画面上で容易に確認することができる。また、エアコン設定確認画面119は、設定内容の機能が併せて表示されているため、操作者が設定内容を変更する際に設定内容を正しく理解しながら変更することができる。さらに、次のページボタン120をクリックすると、図23に示すように、次頁のエアコン設定確認画面119が表示される。そして、設定内容を変更する場合は、変更する設定内容をクリックすると、変更内容がメニュー表示され、所望の内容をクリックすることにより設定内容が変更される。前頁のエアコン設定確認画面119に戻りたい場合は、前のページボタン121をクリックする。このように変更された設定情報は、USB接続されたPC3からリモコン1に送られ、リモコン1からエアコン室内機2に対してコマンド等を送る際に、変更された設定情報を併せて送ることにより、エアコン室内機2の設定が変更される。
また、図16のカレンダー表示において、図24に示すワンポイントアドバイスボタン123がクリックされると、ワンポイントアドバイスウインドウ122が開いて、操作者に対しエアコンを効率的に使用するためのアドバイスが表示される。ワンポイントアドバイスウインドウ122が複数ある場合は、次頁ボタン122aや前頁ボタン122bをクリックすることにより、別のワンポイントアドバイスウインドウ122を開くことができる(図25参照)。
さらに、図26に示すように、エアコン選択タグ100の隣のファイル管理タグ124をクリックすると、CD−ROM等からのデータの読み込みを行う読み込みボタン125、CD−R等に対してデータの書き出しを行う書き出しボタン126、エアコン選択タグにおいて登録されているエアコンの機種を削除する機種削除ボタン127、フレキシブルディスク(FD)等にファイルを書き出すファイルボタン128、このPCソフトのヘルプ表示を行うためのこのソフトの使い方ボタン129、およびこのPCソフトの名称や提供元やバージョン情報等を表示させるこのソフトについてボタン130等が表示される。例えば、この中の機種削除ボタン127をクリックすると、図27に示すようなウインドウ131が開いて、既に登録されている機種一覧が表示される。例えば、この中のリビング1ボタン131をクリックすると、図28に示すように、削除確認のための確認ウインドウ132が開かれ、「はい」または「いいえ」をクリックすることで削除、あるいは削除を中止できる。
また、図29に示すように、ファイル管理タグ124のこのソフトについてボタン130をクリックすると、このPCソフトの名称、提供元名称、また、図示していないがリリース年月日等が表示された画面133を表示することができる。
このように、本実施例にかかる空気調和機は、エアコン室内機2からリモコン1に対して、定期的に運転情報を取りに行くことができるため、リモコン1を経由して収集されたエアコン室内機2のログをPC3に集めることで、PC3において空気調和機の運転管理を集中的に行うことができる。これにより、エネルギー効率の良い使い方や、空気調和機の設定を適切に行うことができるという効果を奏する。