JP5600431B2 - 障害物の超音波検知デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、障害物から反射される超音波によって障害物を検知するデバイスに関するものである。
近年、乗用車や自律移動ロボットの障害物検知や防犯用の侵入者検知センサ、あるいは視覚障害者用の行動補助装置のために、小型超音波センサが注目されている。超音波は、光に比べて伝搬速度が遅いため距離計測が容易である。超音波センサをアレイ化することにより、物体の三次元計測が可能である。
三次元空間内での障害物検知のためには、超音波センサをフェイズドアレイとして用い、各方位角及び仰角における反射点までの距離を測定する必要がある。機械的な可動部を用いずに角度情報を得るためには、受信波形を遅延加算することにより電子的に角度走査する必要がある。この際、アレイ各素子の出力信号の周波数が一致していることが前提となる。
特許文献1(特開2005-039720)においては、薄膜中空圧電体によって超音波センサを作製することが記載されている。また、特許文献2(特開2005-167820)では、多数の超音波センサを組み合わせてフェーズドアレイを作製し、三次元計測に適用することが記載されている。
また、非特許文献1によれば、タンタル酸リチウム単結晶のZ板の一方の表面をプロトン交換し、次いで熱処理することによって、Z板の一方の表面側だけを分極反転させ、他方の表面側は分極反転させずに残してある。更に、このようなZ板を厚み振動させ、厚み振動の共振レスポンスを測定している。これによって、タンタル酸リチウムのZ板を圧電共振子として用いることか示している。
なお、特許文献3(特開2007-228320)には、強誘電性単結晶のZ板を厚み振動させることで、共振子や発振子として用い得ることが記載されている。
特開2005-039720 特開2005-167820 特開2007-228320
電子情報通信学会 超音波研究会資料 US87-37(1987) 17〜22頁 「プロトン交換を利用したLiTaO3板の分極反転層形成」
一般に、超音波の発信源から放射された超音波は、空気中を伝播し、障害物によって反射され、超音波センサアレイに入射する。空気中にはノイズ音も存在するため、これと分離するため検出信号に閾値を設ける必要がある。検出信号が閾値よりも大きい場合には障害物が存在したものと判定し、閾値を超えない場合には、障害物がないものと判定する。
例えば車載用のセンサ、歩行補助用のセンサ、ロボット用のセンサにおいては、確実に障害物を検知しなければならない。もしも障害物の検知に失敗したり、あるいは障害物が存在しないのに検知信号を出してしまったりすると、事故を引き起こす原因となる可能性も否定でぎない。
しかし、特許文献2記載のような超音波センサアレイでは、小さい物体や、センサから離れた物体については正答率が低下する傾向が見られた。すなわち、障害物が実際に存在しているのにもかかわらず、障害物を検知できないことが多かった。本発明者は、この検知不能を防止するために、判定を行うときの閾値を小さくして感度を向上させることを検討した。しかし、実際には、閾値を小さくすると、ノイズ音の影響が大きくなり、障害物が存在しないのにもかかわらず、障害物を検知したとの信号を出すことが増えてきた。
非特許文献1では、分極反転されたタンタル酸リチウム薄板を厚み振動させることで、フィルターとして動作させている。しかし、仮にこのような圧電振動子を並べてフェーズアレイを作製したとしても、超音波の受信感度は極めて低く、障害物の確実な検知は考えられない。
なお、特許文献3に記載の圧電薄膜デバイスは、発振子、トラップ、フィルター、デュプレクサ等のFBARを目的とするものであり、このため圧電単結晶薄膜の厚み振動を利用して共振させている。このため、仮にこのような圧電振動子を並べてフェーズアレイを作製したとしても、超音波の受信感度は極めて低く、超音波センサとして用いることは考慮されていない。
本発明の課題は、障害物から反射される超音波によって障害物を検知する超音波センサアレイデバイスにおいて、障害物を確実に検知できるようにすることである。
本発明は、障害物から反射される超音波によって障害物を検知するデバイスであって、
支持基板、
超音波を受信して振動する複数の撓み振動部を含む強誘電性単結晶板、
支持基板および強誘電性単結晶板の裏面側に接合されており、支持基板と強誘電性単結晶板との間に複数の空隙を形成する脚部、
強誘電性単結晶板の裏面側に形成されている複数の第一の電極であって、撓み振動部にそれぞれ設けられている第一の電極、および
強誘電性単結晶板の表面側に形成されている複数の第二の電極であって、第一の電極に対応して撓み振動部にそれぞれ形成されている第二の電極
を備えており、前記強誘電性単結晶板が前記表面側の上部と前記裏面側の下部とに分かれており、前記上部の分極方向と前記下部の分極方向とが反対であり、各空隙上にそれぞれ撓み振動部が形成されており、障害物からの反射された超音波による各撓み振動部の各撓み振動によって各第一の電極と各第二の電極との間に励起される各電気信号に基づいて障害物までの距離と角度とを得ることを特徴とする。
本発明者は、特許文献2記載のような超音波センサについて、障害物の検知の確度が落ちた理由について検討した。その結果、圧電膜がゾルゲル法で成膜されているため、各圧電膜の膜厚や密度に微細なムラがあることを見いだした。このようなムラは特許文献1、2において解決されていたという記載があったため、意外な結果であった。このような微細な膜厚、膜質のムラが、圧電膜ごとの共振周波数の若干のズレをもたらし、この結果として障害物の位置情報を担持した波長の超音波の減衰とノイズレベルの上昇をもたらしたものと考えられる。
本発明者は、この仮説に基づき、圧電単結晶薄板を空隙上で規制することなしに共振させる構造とした。圧電単結晶板は研磨によって厚さを一定とすることが可能であり、かつ均質な単結晶を提供できる。このような圧電単結晶板を、空隙上で、機械的に規制することなしに撓み振動させることで、各素子を形成するとともに、一枚の圧電単結晶板について複数の素子をフェーズドアレイとして配列した。この結果として、障害物の位置情報を担持した超音波を高い信号/ノイズ比率で補足することに成功し、本発明に到達した。
本発明の一実施形態に係る超音波センサアレイデバイスを概略的に示す平面図である。 図1のデバイスをI−I線に沿って切ってみた模式的断面図である。 (a)、(b)は、図1のデバイスの一つの撓み振動部の振動を示す模式的断面図である。 センサ部と支持基板とが同種材料の場合における、放射角度の設定値と実測値との関係を示すグラフである。 センサ部と支持基板とが異種材料の場合における、放射角度の設定値と実測値との関係を示すグラフである。
図1、図2は、本発明の実施形態に係るデバイス1を示す図である。図1は、デバイスを上方から見た平面模式図であり、図2は、図1のI−I線切断面の断面模式図となっている。
支持基板9上に一定間隔を置いて圧電単結晶板2が脚部8を介して接着されている。脚部8には平面的に見て図1のような空隙部10A、10B、10Cが形成されており、各空隙部はそれぞれ支持基板9と圧電単結晶板2とによって挟まれている。圧電単結晶板は、本例では、上部2aと下部2bとに二分されており、上部2aの分極方向と下部2bの分極方向とは反対である。すなわち、上部2aと下部2bとの一方が自発分極しており、他方が分極反転されている。
圧電単結晶板2は、単独では自重に耐え得ない強度にまで薄くなっているので、支持基板9および脚部8によって支持されている。これによって、圧電単結晶板2のうち、脚部8に接触しない空隙10A、10B、10C上には、超音波を受信して撓み振動を起こす撓み振動部3A、3B、3Cが形成されている。
圧電単結晶板2の各撓み振動部3A、3B、3Cの空隙側の裏面2d側に第一の電極7A、7B、7Cが形成されており,表面2c側にはそれぞれ第二の電極4A、4B、4Cが形成されている。これによって、各撓み振動部が、超音波を感知して共振する超音波センサとして機能する。
圧電単結晶板2は、圧電単結晶材料を除去加工することにより得られる。具体的には、単独で自重に耐え得る厚み(例えば、50μm以上)を有する材料を、単独で自重に耐え得ない膜厚まで除去加工で薄肉化することにより得られる。この厚みは好ましくは10μm以下であり、更に好ましくは5〜1μmである。
また、撓み振動部の形態や寸法は、測定超音波の振動数および用途に合わせて適宜変更する。典型的には、円形や多角形であってよい。
図3に撓み振動を示す。各空隙部10A、10B、10C上では、圧電単結晶板2は容易に振動できる状態にある。各撓み振動部を挟む第一の電極7A、7B、7Cと第二の電極4A、4B、4Cとの間に、それぞれ撓み振動部の共振周波数に準じた交流電気信号を印加すると、圧電横効果で圧電単結晶の面内方向に伸縮変形が発生する。対向する方位を持つ上部と下部との間では伸縮方向が逆方向になるため、各振動部に撓み振動A、Bが発生し、超音波が発振される。なお、符号5A〜5C、6A〜6Cは各電極用の端子である。
また、図2に示すように、障害物20から超音波センサアレイデバイスに超音波が伝搬すると、各撓み振動部が、圧電単結晶板の表面に対して略垂直に、矢印A、Bのように変形する(図3)。この振動によって一対の電極間に励起される電気信号を、所定の演算処理装置へと伝送する。複数の撓み振動部から伝送されたすべての電気信号を演算し、障害物までの距離と角度とを計算する。
圧電単結晶板に撓み振動部を形成し、撓み振動を電気信号に変換するためには、分極方向の異なる部分2a、2bを形成する必要がある。この方法としては以下がある。
(1) 圧電単結晶材料を脚部8を介して支持基板に接着する。次いで、圧電単結晶材料を薄肉化することで下部2bを得る。次いで、分極方向が反対の別の圧電単結晶材料を下部2bに接合し、薄肉化することで、上部2aを形成する。
(2) 単一の圧電単結晶材料を薄肉化した後、熱処理による分極反転処理によって上部2aと下部2bを得る。
圧電単結晶板は、水晶(SiO2)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、酸化亜鉛(ZnO)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)及びランガサイト(La3Ga3SiO14)等の粒界を含まない単結晶からなる。
圧電単結晶板における結晶方位は、所望の圧電特性を有する結晶方位を選択する。ここで、撓み振動部における結晶方位を、共振周波数や***振周波数の温度特性が良好となる結晶方位、望ましくは、周波数温度係数が「0」となる結晶方位とすれば、温度特性が良好な圧電型超音波センサを実現可能になる。
圧電単結晶材料の除去加工は、切削、研削及び研磨等の機械加工並びにエッチング等の化学加工等により行う。ここで、複数の除去加工方法を組み合わせ、加工速度が速い除去加工方法から、加工対象に生じる加工変質が小さい除去加工方法へと除去加工方法を段階的に切り替えながら圧電体材料を除去加工できる。例えば、圧電体基板を固定砥粒に接触させて削る研削及び圧電体基板を遊離砥粒に接触させて削る研磨を順次行った後に、当該研磨によって圧電体基板に生じた加工変質層を仕上げ研磨により除去できる。
第一の電極、第二の電極は、導電材料を成膜することにより得られた導電体薄膜である。各電極の膜厚は、撓み振動部への密着性、電気抵抗及び耐電力等を考慮して決定される。
各電極の材質は、特に制限されないが、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属から選択することが望ましく、安定性に優れるアルミニウムを選択することが特に望ましい。また、電極材料としては、これらの合金を用いてもよい。
脚部8の材質は、絶縁性と機械的強度があれば特に制限されないが、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、五酸化二タンタル(Ta2O5)、四窒化三ケイ素(Si3N4)、二酸化チタン(TiO2)が好ましい。
圧電単結晶板を脚部8、支持基板9に接合する方法は、好ましくは有機接着剤である。これは更に好ましくは、充填効果を有し、接着対象が完全に平坦ではなくても十分な接着力を発揮するエポキシ接着剤(熱硬化性のエポキシ樹脂)およびアクリル接着剤(光硬化と熱硬化を併用するアクリル樹脂)を例示できる。
また、別の接合方法として、表面活性化接合、熱圧着接合、陽極接合、共晶結合等の接着剤を用いない方法で接合することも出来る。この場合、接合面に接着剤が存在しないため、振動の減衰など、超音波発信、受信特性への悪影響や、高温での接着剤材料の劣化などのセンサの劣化や製造プロセスの温度制限などの問題を解決することが出来る。
支持基板9の材質は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ジルコニア、シリコン単結晶が好ましい。
特に好ましくは、支持基板の材質が、圧電単結晶板の材質と同種である。これは、材質の主成分および結晶系が同一であることを意味しており、微量成分、ドープ成分ないし不可避的不純物は異なっていても良い。こうした材質としては、水晶(SiO2)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、酸化亜鉛(ZnO)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)及びランガサイト(La3Ga3SiO14)を例示できる。
圧電単結晶板と支持基板とが異種材料の場合、センサ部と基板との界面で音波反射が起きるので、アレイを構成する各センサ部間の音波がお互いに結合してしまい、いわゆるクロストークが発生することがある。すると、所望の放射角度を得るために必要な各素子の独立した制御ができなくなってしまう。この結果として、設定角度と現実の放射角度の差異が発生してしまう。また、このクロストークはセンサ部厚さや基板との接合状態などの差異の影響を受けるため、放射角度の素子毎のばらつきも発生する。こうしたことは、障害物の位置特定に不具合を及ぼし、実用上問題になる。支持基板の材質を圧電単結晶板の材質と同種とすることによって、こうした素子間(撓み振動部間)のクロストークに起因する問題点を解決できる。
本発明の超音波センサアレイデバイスを使用することで、障害物までの距離およびセンサに対する角度を測定することができる。この方法それ自体は知られており、例えば特許文献2に記載されている。
すなわち、各撓み振動部からの各出力信号を電気的に遅延加算することにより、フェイズドアレイを構成し、センサ素子自体を機械的に動かさずに指向性を走査することができる。これを実現するには各超音波センサ素子の共振周波数が一致している必要がある。
[実験1]
(デバイスの製造)
図1〜図3に示したような形態の超音波センサアレイデバイスを製造した。
ただし、本実施例では、圧電単結晶板2および支持基板9をニオブ酸リチウム単結晶によって形成し、第一の電極および第二の電極をアルミニウムによって形成し、脚部8を二酸化ケイ素によって形成した。
最初に、厚み0.5mm、直径3インチのニオブ酸リチウム単結晶の円形ウエハ(140°Y板)を、圧電単結晶及び支持基板9として準備した。圧電単結晶材料の一方の主面の全面に厚み1000オングストロームのアルミニウム膜をスパッタリングにより成膜し、フォトリソグラフィプロセスを用いて、エッチングにより第一の電極7A、7B、7Cをパターニングした。次いで、圧電単結晶材料の第一の電極側の主面に、全面にわたって厚み1μmの二酸化ケイ素膜8をスパッタリングにより成膜した。そして、フッ酸を用いたウエットエッチングにより、空隙10A〜10Cをパターニングした。
次いで、圧電単結晶板2および脚部8を支持基板9に対して表面活性化接合によって接合した。各空隙(キャビティ)の形状は円形とし、直径は2mmとした。空隙のピッチは3mmとした。
次いで、炭化珪素で作製した研磨治具に支持基板9を接着、固定し、圧電単結晶材料側を固定砥粒の研削機で研削加工し、材料の厚みを50μmまで薄肉化した。さらに、圧電単結晶材料の研削面をダイヤモンド砥粒で研磨加工し、その厚みを5μmまで薄肉化した。最後に、ダイヤモンド砥粒による研磨加工で基板に生じた加工変質層を除去するために、遊離砥粒及び不繊布系研磨パッドを使用して基板の仕上げ研磨を行い、厚みが4.00μm±0.01μmの圧電単結晶板2を形成した。
さらに、圧電単結晶板2を所定温度で熱処理し、分極反転処理することによって、上層2aと下層2bとを精製させた。下層2bは自発分極層であり、上層2aは分極反転層である。次いで、圧電単結晶板2の一部にをエッチング加工を施し、貫通孔を設け、下部電極取出し孔を設けた。さらに、圧電単結晶板の研磨面を有機溶剤で洗浄し、研磨面の全面に厚み1000オングストロームのアルミニウムの膜をスパッタリングにより成膜し、フォトリソグラフィプロセスを用いて、エッチングにより第二の電極4A、4B、4Cを形成した。
(障害物の検知)
障害物として、所定直径のコンクリート製球体を設け、これを以下の実験条件に基づく位置に設置した。実験に用いた障害物設置条件を下表に示す。
Figure 0005600431
「超音波センサからの距離」は、超音波センサアレイデバイスの振動部分表面から障害物までの最短距離である。「超音波センサからの角度」は、デバイスと障害物を結ぶ線が超音波センサ表面垂直方向となす角度を示す。
表1に示す各障害物設置条件にて、障害物検知実験を行った。具体的には、以下を検知した。
・ 障害物がある場合に、障害物があるという判断をできたか否か
・ 障害物が無い場合に、障害物が無いという判断をできたか否か
また、設定閾値レベルとして、標準レベルで行ったほか、正答率に問題がある場合には閾値レベルを振幅比で1/5に低く設定した高感度レベルにて実施した。特許文献2記載の超音波センサアレイを比較例とし、各実験条件での正答率を示す。
Figure 0005600431
条件1、2では90%程度の正答率が得られており、多少問題はあるが、ある程度の実用化が可能である。しかし、より厳しい条件3、4では、障害物有りの場合の正答率が著しく低下することがわかった。これは主に障害物が小さくなったり、障害物が遠方に置かれているため、障害物から反射された超音波のセンサへの入射強度が低くなったためと考えらえる。そこで、閾値レベルを高感度レベルにした場合の実験を行った。正答率を示す。
Figure 0005600431
条件3、4において、障害物有りの場合の正答率は改善されたものの、今度は障害物無しの場合の正答率が低下した。閾値レベルを下げたため、これまではノイズ音として切り捨てていた、センサ以外から発せられた音波や、センサからの音波のうち、目標の障害物以外で多重反射などで反射された音波を障害物からの反射と誤認識してしまったためと考えられる。従って、閾値レベルの設定変更では正答率の改善はみられなかった。
次いで、前記の実施例のデバイスでの正答率を示す。
Figure 0005600431
以上、良好な正答率が得られている。一部、誤判定が起きた例があるが、繰り返し測定を行い、誤りを訂正するなどの手法と組み合わせることで、実用上は問題の無い障害物検知が可能である。
[実験2]
実験1の実施例のデバイスを用い、各アレイ駆動条件に基づく放射角度設定値と実際の放射角度の関係を評価した。この結果を図4に示す。放射角度設定値と実際の放射角度とは、よく対応しており、正常な動作が行われていた。
次に、実験1の実施例の素子において、支持基板の材質をシリコン単結晶に変更した。3個の素子を作製し、それぞれについて、各アレイ駆動条件に基づく放射角度設定値と実際の放射角度の関係を評価した。この結果を図5に示す。
この結果、放射角度の設定値が大きい領域で、実際の放射角度が設定値に比べて小さく、また素子ごとの差異も見られることがわかる。こうしたことは、障害物の位置特定に不具合を及ぼし、実用上問題になる。
(符号の説明)
1 障害物検知デバイス 2 強誘電性単結晶板 2a 上層 2b 下層 3A、3B、3C 撓み振動部 4A、4B、4C 第二の電極 7A、7B、7C 第一の電極 8 脚部 9 支持基板 10A、10C、10C 空隙 20 空隙

Claims (3)

  1. 障害物から反射される超音波によって障害物を検知するデバイスであって、
    支持基板、
    前記超音波を受信して振動する複数の撓み振動部を含む強誘電性単結晶板、
    前記支持基板および前記強誘電性単結晶板の裏面側に接合されており、前記支持基板と前記強誘電性単結晶板との間に複数の空隙を形成する脚部、
    前記強誘電性単結晶板の前記裏面側に形成されている複数の第一の電極であって、前記撓み振動部にそれぞれ設けられている第一の電極、および
    前記強誘電性単結晶板の表面側に形成されている複数の第二の電極であって、前記第一の電極に対応して前記撓み振動部にそれぞれ形成されている第二の電極
    を備えており、前記強誘電性単結晶板が前記表面側の上部と前記裏面側の下部とに分かれており、前記上部の分極方向と前記下部の分極方向とが反対であり、前記各空隙上にそれぞれ前記撓み振動部が形成されており、前記障害物から反射された超音波による前記各撓み振動部の各撓み振動によって前記各第一の電極と前記各第二の電極との間に励起される各電気信号に基づいて前記障害物までの距離と角度とを得ることを特徴とする、障害物の超音波検知デバイス。
  2. 前記強誘電性単結晶板と前記支持基板とが同種の材質からなることを特徴とする、請求項1記載のデバイス。
  3. 前記強誘電性単結晶板の厚さが10μm以下であることを特徴とする、請求項1または2記載のデバイス。
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