(リフロー半田付け装置1の全体構成)
図1から図4を参照しながら、リフロー半田付け装置(以下、本装置と記載する。)1の全体構成を説明する。以下の説明において、図中、矢印X1−X2方向を左方(左側)−右方(右側)、矢印Y1−Y2方向を前方(前側)−後方(後側)、矢印Z1−Z2方向を上方(上側)−下方(下側)として説明を行う。
図1および図2は、本装置1の外観を示す図であり、図1は、本装置1を前方からみた図であり、図2は、本装置1を右方から見た図である。また、図3は、本装置1の内部構成を前方(図2におけるA−A方向)から見た図であり、図4は、本装置1の内部構成を右方(図1おけるB−B方向)から見た図である。なお、図3、図4は、本装置1の構成を判り易く説明するため、図1,2に示す本装置1の構成を一部透視した状態で示す図であり、一定の断面の構成を示すものではない。
本装置1は、半田接合部被形成体としてのプリント配線基板(以下、単に基板と記載する。)P(図10〜図24、図27参照)に対してリフロー半田付けを行うものである。つまり、本装置1は、電極部(ランド部)に予め半田ボールが搭載されている基板Pに対して半田付け処理を行うことで、電極部に半田接合部を形成することができる。なお、電極部への半田ボールの搭載は、たとえば、半田ボール搭載装置により行うことができる。半田ボール搭載装置は、本装置1とは別に設けられるものであり、不図示とされている。
本装置1は、架体2と、予熱機構3と加熱機構4と冷却機構5等を有するリフロー炉6と、超音波振動印加機構7と、搬送機構8とを有する。なお、本装置1は、制御部9により、リフロー炉6、超音波振動印加機構7、搬送機構8等の各機構部が所定の動作を行うことができるように構成されている。制御部9は、CPUやメモリ等を有し、リフロー炉6等に設けられるセンサ等から得られる諸情報とプログラムに基づいて、各機構部の動作を制御することができるように構成されている。リフロー炉6、超音波振動印加機構7、および搬送機構8は、架体2に対して取り付けられている。
本装置1は、基板Pを、リフロー炉6の左側の外側において搬送機構8に搭載することができるように構成れている。また、本装置1は、搬送機構8に搭載された基板P((図10〜図24参照)を、予熱機構3、加熱機構4、そして冷却機構5の順に搬送することができるように構成されている。つまり、基板Pは、予熱機構3において予熱された後、加熱機構4に搬送される。加熱機構4において、基板Pに搭載されている半田ボールHB(図27(B)(C)参照)が溶融される。そして、半田が溶融した状態の基板Pは、冷却機構5に搬送される。冷却機構5において、溶融した半田の冷却が行われ、半田が硬化され、半田付け処理が完了する。冷却機構5は、溶融した半田の冷却を促すことができるように構成されている。
加熱機構4は、図3,4に示すように、基板Pが載置されると共に載置された基板Pに超音波振動を与える超音波振動印加機構7を構成するホーン10と、このホーン10を加熱するヒータ11とを有している。ヒータ11により加熱されたホーン10に基板Pが載置され、基板Pがホーン10の熱により加熱されると、基板Pに搭載されている半田ボールHBが溶融される。加熱されたホーン10に載置された直後の基板Pは、基板Pの下側面(ホーン10側の面すなわちホーン10に接触する側の面)が、この面と反対側の上側面に比べて高温になり、該両面には温度差が発生する。この温度差は、基板Pがホーン10に載置された後の時間の経過と共に小さくなるが、ホーン10に載置された直後の該両面に発生する温度差が大きい場合には、基板Pが湾曲してしまう虞がある。しかしながら、予熱機構3により、基板Pを予熱し、基板Pの温度を上げておくことで、基板Pがホーン10に載置された直後の該両面の温度差を少なくすることができる。これにより、ホーン10に基板Pが載置されたときの基板Pの湾曲の発生を抑えることができる。
また、基板Pがホーン10に載置される前に、予熱機構3により基板Pを予熱することで、基板Pに設けられているフラックス塗付部Pa(図27参照)のフラックスを活性させることができる。加熱機構4により半田ボールHBを溶融するのに先立ち、フラックス塗付部Paのフラックスを予め活性化させておくことで、半田ボールHBが溶融する際の半田の酸化を効果的に抑制することができる。
超音波振動印加機構7は、基板Pに対し超音波を印加する機能を有し、超音波振動子12とホーン10とを有する。本装置1は、加熱されたホーン10に基板Pが載置される構成とされている。したがって、半田が溶融している状態の基板Pに対して、超音波振動を印加することができる。
搬送機構8は、基板Pが載置される2本の杆体13,13と、この杆体13,13を上下方向に移動させる上下移動機構14と、杆体13,13を水平方向(本実施の形態では左右方向)に移動させる水平移動機構15と(図1,3参照)を備える。搬送機構8は、上下移動機構14と水平移動機構15とにより、杆体13,13を上下方向および左方右方向に移動させることで、基板Pを、リフロー炉6の外側からリフロー炉6内に収容し、予熱機構3、加熱機構4、冷却機構5の順に搬送し、そして、リフロー炉6の外側に搬出させることができる。
(基板Pの構成)
図27の上段(A)から図27の下段(C)を参照しながら、基板Pの構成について説明する。図27(A)は、半田ボールHB(図27(B)(C)参照)が搭載された状態の基板Pを実装面側から見た平面図である。図27の中段(B)は、図27(A)のA部分の拡大図である。図27の下段(C)は、図27(B)に示す切断線C−Cにおける断面の概略の構成を示す断面図である。
基板Pは、たとえば、ポリイミド等から形成され、フレキシブルな性状(可撓性)を有するフィルム基板として構成されている。なお、基板Pは、ガラスエボキシ樹脂等から形成され、柔軟性の少ない板状に形成されるリジッド基板としても構成することができる。図27(C)に示すように、基板P上には、電極部Pbが形成され、この電極部Pbに重ねてフラックス塗付部Paが形成されている。そして、このフラックス塗付部Paに半田ボールHBが搭載されている。
フラックス塗付部Paの形成は、図示を省略する周知のフラックス塗付装置等を用いて行うことができる。フラックス塗付装置としては、たとえば、特開2009−71332号に開示される構成のものを使用することができる。また、半田ボールHBの搭載は、周知の半田ボール搭載装置を用いて行うことができる。半田ボール搭載装置としては、たとえば、特開2009−71332号に開示される構成のものを使用することができる。フラックス塗付部Paが形成された基板Pに、半田ボール搭載装置を用いて、フラックス塗付部Paの位置に合わせて半田ボールHBの搭載が行われる。
基板Pには、スリットPcが3箇所に形成されている。かかるスリットPcが形成されることで、基板Pが、予熱機構3および加熱機構4において、加熱された際に発生する虞がある湾曲の発生を抑えることができる。
(架体2の構成)
架体2は、底板16と、支柱17と、天板18とを有する。底板16は、平面視において略矩形を呈し、底板16の四隅にはそれぞれ支柱17が立設されている。そして、支柱17の上端部には、天板18が支持されている。底板16の上面には、固定板19が配置されている。固定板19は底板16に対して固定された状態で備えられている。そして、固定板19に対して、超音波振動印加機構7および搬送機構8が固定された状態で取り付けられている。そして、天板18の上面には、リフロー炉6が取り付けられている。
(リフロー炉6の構成)
(筐体20の構成)
リフロー炉6は、筐体20を有し、筐体20内に予熱機構3、加熱機構4および冷却機構5が配置されている。筐体20は、下側筐体21と、下側筐体21の上部に形成される開口部22(図5,図7参照)を開閉することができる蓋体23とを有している。蓋体23は、下側筐体21の後側に設けられる蝶番機構24により回動可能に支持されている。蝶番機構24の回動軸は左右方向に配置され、蓋体23は、該回動軸の周りに、図中矢印R(図2参照)で示すように前後方向に回動することができる。
図5は、蓋体23が後方に向けて回動され、下側筐体21が開放状態とされている状態を示すものである。図5の左欄(A)は、本装置1を右方から見た図であり、図5の右欄(B)は、本装置1を左方から見た図である。なお、筐体20は、下側筐体21が不図示のねじ等の固定手段により天板18に対して固定された状態で取り付けられている。
蓋体23の内側には、仕切板26、27と、ヒータ28,29と、酸化防止手段としての窒素ガス噴出部30,31,32とが備えられている。仕切板26は、上板26Aと、左右の側板26B,26Bとを有し、前後方向、および下方については開放されている。仕切板27も、仕切板26と同様の構成であり、上板27Aと左右の側板27B,27Bとを有している。仕切板26、27は、蓋体23の上底部33に対して吊下げ杆34を介して支持されている。
ヒータ28および窒素ガス噴出部30は、仕切板26の内側に配置され、仕切板26に対して不図示の取り付け具により取り付けられている。窒素ガス噴出部30は、ヒータ28よりも上板26A側に配置されている。ヒータ29および窒素ガス噴出部31も、仕切板27の内側に配置され、不図示の取り付け具により仕切板27に対して取り付けられている。窒素ガス噴出部31は、ヒータ29よりも上板27A側に配置されている。また、窒素ガス噴出部32は、吊下げ杆35により蓋体23に対して取り付けられている。
下側筐体21の内側には、予熱台36と、ホーン10と、冷却台37とが配置されている。図3に示すように、予熱台36とホーン10との左右方向における中心間隔S1と、ホーン10と冷却台37との左右方向における中心間隔S2とは同一とされている。図3,4に示すように、蓋体23が下側筐体21の開口部22を閉鎖した状態で、仕切板26の下方に予熱台36が配置され、また、仕切板27の下方にホーン10が配置され、さらに、窒素ガス噴出部32の下側に冷却台37が配置されるように、仕切板26、27,窒素ガス噴出部32、予熱台36、ホーン10、冷却台37等は配置されている。
予熱台36と冷却台37は、下側筐体21の底板38に取り付けられている。ホーン10は、底板38の略中央に形成されるホーン配置孔39内に、上下方向に挿通するように配置されている。ホーン配置孔39は、孔の内周縁とホーン10との間に、僅かな隙間が形成される大きさと形状に形成されている。したがって、ホーン10は、超音波振動子12の振動を受けて振動する際に、筐体20に接触することなく振動することができる。
筐体20は、図6に示すように、蓋体23が閉じられた状態で、左右の側面に開口部40Lと開口部40Rとが形成されるように構成されている。そして、筐体20は、開口部40L,40Rを、シャッタ41L,41Rにより開閉することができるように構成されている。図6の上段(A)は、蓋体23が閉じられた状態の本装置1を右方から見た図であり、開口部40Lが開口されている状態を示す。図6の下段(B)は、蓋体23が閉じられた状態の本装置1を左方から見た図であり、開口部40Rが開口されている状態を示す。
図5および図6に示すように、下側筐体20の縁部21Aの左右の辺部には、下方に凹む凹部21L,21Rが形成されている。蓋体23が閉められた状態で、凹部21L,21Rと蓋体23の縁部23Aとに囲まれた開口部40L,40Rが形成される。蓋体23の縁部23Aと下側筐体20の縁部21Aとは、開口部40L,40R以外の部分においては、互いに当接し、筐体20の外部と内部とで気体が行き来することができないように構成されている。
シャッタ41L,41Rは、蓋体23の側面に設けられるガイド部42により、上下方向にのみ移動可能に支持されている。蓋体23には、シャッタ41L,41Rを移動させるためのシャッタ駆動手段としてのエアーシリンダ43が、各シャッタ41L,41R毎に備えられている。シャッタ41L,41Rは、エアーシリンダ43による駆動力により、ガイド部42に沿って上下方向に移動することができる。
下側筐体20の底板38には、図示を省略する連通路を介してダクト部62に連通する複数の孔44(図7参照)が形成されている。窒素ガス噴出部30,31,32から筐体20内に噴出された窒素ガスは、孔44からダクト部62を介して本装置1の外部に排出される。
(予熱機構3の構成)
図3および図7を参照して、予熱機構3の構成について説明する。図7は、下側筐体20の内部を上方から見た図であり、予熱機構3、加熱機構4、冷却機構5のうち、下側筐体20の内部に配置される部分の構成を上方から見た構成が示されている。
予熱機構3は、ヒータ28と、予熱台36と、窒素ガス噴出部30等を有する。ヒータ28は、中波長の赤外線ヒータである。予熱台36は、たとえば、アルミ材から形成される塊体であり略直方体を呈し、内部にヒータ45が挿入されている。ヒータ45は、たとえば、シースヒータを用いることができる。
予熱台36は、基板Pを載置することができる載置面46を有する。載置面46は、予熱台36の上面に形成され、基板Pの全体を載置面46の内側に配置することができる面積と形状とされている。本実施の形態では、図7,27に示すように、基板Pおよび載置面46は矩形を呈し、基板の縦方向(長手方向)の長さT1に対して載置面46の前後方向の長さT2は、T2>T1とされている。また、基板の横方向(短手方向)の長さL1に対して載置面46の左右方向の長さL2は、L2>L1とされている。つまり、載置面46は、基板Pの全体を載置面46の内側に配置することができる面積と形状とされている。
載置面46には、後述するように、杆体13,13が入り込むことができる2本の溝46A,46Aが形成されている。溝46A,46Aは、予熱台36の左右の側面に貫通している。溝46A,46Aは、互いに平行に前後に並設されている。溝46A,46Aの前後方向の幅46W(図7参照)は、杆体13,13の前後方向の幅13Wよりも大きく、また、溝46A,46Aの深さ46D(図3参照)は、杆体13,13の上下方向の幅13Hよりも大きい。したがって、溝46A,46Aは、杆体13,13を、溝46A,46Aの内側面に接触することのないように、かつ、載置面46から杆体13,13が突出しないように、溝46A,46A内を通すことができる。
窒素ガス噴出部30は、図示外の窒素ガスタンクに接続されていて、図示外のコンプレッサー等の供給装置により、窒素ガスの供給を受ける。そして、蓋体23が閉じられた状態において、窒素ガス噴出部30は、予熱台36に向けて窒素ガスを噴射することができるように構成されている。
(加熱機構4の構成)
図3,4,7に示すように、加熱機構4は、ヒータ29と、ホーン10と、ヒータ11と、窒素ガス噴出部31等を有する。ヒータ29は、中波長の赤外線ヒータである。ホーン10は、たとえば、鋼材から形成される塊体であり略直方体を呈している。ホーン10には、超音波振動子12が接続されている。
超音波振動子12は、振動の伝播方向に振動方向が設定される縦振動型の振動子である。ホーン10は、共鳴体として機能し、超音波振動子12から発振される超音波振動を増幅し載置面47に伝播する機能を有する。また、ホーン10は、載置面47において、超音波振動子12から発振され伝播される振動の振幅が最大となるように形成されている。
ホーン10の内部には、ヒータ11が挿入されている。ヒータ11は、たとえば、シースヒータを用いることができる。ホーン10は、基板Pを載置することができる載置面47を有する。載置面47は、ホーン10の上面に形成され、基板Pの全体を載置面47の内側に配置することができる面積と形状とされている。
本実施の形態では、図7,27に示すように、載置面47は基板Pと同様に矩形を呈し、基板の縦方向(長手方向)の長さT1に対して載置面47の前後方向の長さT3は、T3>T1とされている。また、基板Pの横方向(短手方向)の長さL1に対して載置面47の左右方向の長さL3は、L3>L1とされている。つまり、載置面47は、基板Pの全体を載置面47の内側に配置することができる面積と形状とされている。
載置面47には、予熱台36と同様に、後述する杆体13,13が入り込むことができる2本の溝47A,47Aが形成されている。溝47A,47Aは、ホーン10の左右の側面に貫通している。溝47A,47Aは、互いに平行に前後に並設されている。溝47A,47Aの前後方向の幅47Wは、杆体13,13の前後方向の幅13W(図7参照)よりも大きく、また、溝47A,47Aの深さ47Dは、杆体13,13の上下方向の幅13H(図3参照)よりも大きい。したがって、溝47A,47Aは、杆体13,13を、溝47A,47Aの内側面に接触することのないように、かつ、載置面47から杆体13,13が突出しないように、溝47A,47Aを通すことができる。
また、図7に示すように、載置面47には、縦横に格子状に形成される溝47Bが形成されている。溝47Bは、ホーン10の内部に形成される気体流路を介して吸気手段としての吸引ポンプ等の吸気装置48に接続されている。つまり、吸気装置48を吸引駆動させることで、載置面47から溝47Bに向けて吸引力を発生させることができる。
窒素ガス噴出部31は、図示外の窒素ガスタンクに接続されていて、図示外のコンプレッサー等の供給装置により、窒素ガスの供給を受ける。そして、蓋体23が閉じられた状態において、窒素ガス噴出部31は、ホーン10に向けて窒素ガスを噴射することができるように構成されている。
(冷却機構5の構成)
冷却機構5は、図3および図7に示すように、冷却台37と、窒素ガス噴出部32等を有する。予熱台36は、たとえば、アルミ材から形成される塊体であり略直方体を呈している。冷却台37は、基板Pを載置することができる載置面49を有する。載置面49は、冷却台37の上面に形成され、基板Pの全体を載置面49の内側に配置することができる面積と形状とされている。
本実施の形態では、図7,27に示すように、載置面49は基板Pと同様に矩形を呈し、基板の縦方向(長手方向)の長さT1に対して載置面49の前後方向の長さT4は、T4>T1とされている。また、基板Pの横方向(短手方向)の長さL1に対して載置面49の左右方向の長さL4は、L4>L1とされている。したがって、載置面49は、基板Pの全体を載置面49の内側に配置することができる面積と形状とされている。
載置面49には、後述する杆体13,13が入り込むことができる2本の溝49A,49Aが形成されている。溝49A,49Aは、冷却台37の左右の側面に貫通している。溝49A,49Aは、互いに平行に前後に並設されている。溝49A,49Aの前後方向の幅49Wは、杆体13,13の前後方向の幅13W(図7参照)よりも大きく、また、溝49A,49Aの深さ49Dは、杆体13,13の上下方向の幅13H(図3参照)よりも大きい。したがって、溝49A,49Aは、杆体13,13を、溝49A,49Aの内側面に接触することのないように、かつ、載置面49から杆体13,13が突出しないように、溝49A,49A内を通すことができる。
前後の溝46A,46Aの中心間隔46S(図7参照)と、前後の溝47A,47Aの中心間隔47S(図7参照)と、前後の溝49A,49Aの中心間隔49S(図7参照)とは同一に形成されている。また、溝46A,46Aと、溝47A,47Aと、溝49A,49Aとは、左右方向に同一直線状に配置されている。したがって、前側に配置される杆体13は、前側に配置される溝46A,47A,49A内に入り込むことができ、後側に配置される杆体13は、後側に配置される溝46A,47A,49A内に入り込むことができる。
窒素ガス噴出部32は、図示外の窒素ガスタンクに接続されていて、図示外のコンプレッサー等の供給装置により、窒素ガスの供給を受ける。そして、蓋体23が閉じられた状態において、窒素ガス噴出部32は、冷却台37に向けて窒素ガスを噴射することができるように構成されている。
(超音波振動印加機構7)
超音波振動印加機構7は、超音波振動子12とホーン10とを有する。超音波振動子12は、固定板19に取り付けれている。ホーン10は、超音波振動子12に接続されている。超音波振動子12は、たとえば、5KHzから60KHzの周波数の振動を発振することができるものである。また、超音波振動子12により振動されるホーン10の載置面47における振幅は0.2μmから5μmとすることができる。振動周波数や振幅は、接合される半田の量、加熱温度、半田接合部への印加時間等に応じて、適宜に設定される。超音波振動子12から発振される振動は、共鳴体としての機能を有するホーン10により増幅されながら載置面47に伝播される。なお、本装置1では、超音波振動子12により振動されるホーン10の載置面47における振幅は、3μmとされている。5μmを超える振幅を超音波振動子12により得ることは、振動子の構造上難しく、また、振幅を0.2μm未満とすると、後述する半田の濡れ性の向上が得難くなる。振幅を、3μmとすることで、超音波振動子12の構造を現実的なものとすることができると共に、半田の濡れ性を十分に確保することができる。
本装置1においては、超音波振動子12は、ホーン10を上下方向に振動させる振動を発振するものである。すなわち、超音波振動子12は縦振動を発振することができる振動子である。超音波振動子12から発振された振動は、ホーン10を伝播し載置面47に伝播する。したがって、載置面47に載置されている基板Pに超音波振動が印加される。なお、ホーン10は、載置面47において、超音波振動子12から発振される振動の振幅が最大となるように形成されている。ホーン10には、振動の増幅や伝播方向を調整するための孔10Aが形成されている。孔10Aの形状・大きさ、形成位置を適切に設定することで、振動の増幅や伝播方向を調整することができる。
(搬送機構8)
搬送機構8は、基板Pを載置するための2本の杆体13,13と、杆体13,13を上下方向に移動させる上下移動機構14と、杆体13,13を水平方向に移動させる水平移動機構15と(図1,3参照)を備える。上下移動機構14は、杆体13,13を図8に実線で示す下方位置Zaと点線で示す上方位置Zbとに移動することができる。また、水平移動機構15は、杆体13,13を図8に実戦で示す左方位置Xaと点線で示す右方位置Xbとに移動することができる。杆体13,13は、前後方向に互いに平行に配置されている。
(上下移動機構14)
上下移動機構14は、上下駆動機構50と、支持板51と、4つのスライダ52,52,52,52とを有する。支持板51は、上方から見た形状が矩形を呈し、この支持板51の上面には、水平移動機構15が載置されている。
(上下駆動機構50)
上下駆動機構50は、図示を省略するモータおよびボールねじ機構を有している。ボールねじ機構は、周知な構成のものを用いることができる。つまり、回転軸を上下方向に向けて配置されるねじ軸と、このねじ軸にベアリングボールを介してねじ結合するナット部とを有し、ナット部が支持板51に対して固定される構成を有する。したがって、モータによりねじ軸を回転することで、ボールねじ機構を介して支持板51を上下に昇降させることができる。
固定板19と支持板51との間には、4つのスライダ52,52,52,52が配置されている。スライダ52,52,52,52は、支持板51の前後左右の4か所に配置されている。このスライダ52,52,52,52は、支持板51を上下方向にのみ移動可能にガイドする。上下駆動機構50による支持板51の昇降移動をスライダ52,52,52,52によりガイドさせることで、支持板51は水平状態を保ちながら上下に移動することができる。なお、支持板51の略中央には、超音波振動子12が通される超音波振動子配置孔51Aが形成されている。支持板51と超音波振動子12とが接触しないように、超音波振動子配置孔51Aの内周縁と超音波振動子12との間には、隙間が形成されている。
(水平移動機構15)
水平移動機構15は、杆体13,13が支持される移動枠53と、エアーシリンダ54と、2本の杆体13,13を移動枠53に対して支持する4本の支持柱55,55,55,55とを有している。移動枠53は、図9に示すように、前後に配置される枠辺53A,53Aと、左右に配置される枠辺53B,53Bとを有する。枠辺53Aと枠辺53Aは互いに平行に配置され、また、枠辺53Bと枠辺53Bとも互いに平行に配置されている。すなわち、移動枠53は矩形を呈している。
支持板51の上面には、前後に平行に配置されると共に、左右方向に延びる2本のガイドレール56,56(図1,2参照)が設けられている。移動枠53は、ガイドレール56,56上に配置されている。移動枠53の枠辺53A,53Aには、ガイドレール56,56に対して移動枠53をガイドさせるガイド受け部57が設けられている。ガイド受け部57は、前側の枠辺53Aの左右の2か所と、後側の枠辺53Aの左右の2か所に設けられている。移動枠53は、ガイド受け部57がガイドレール56,56のガイドを受けて左右方向に移動可能とされている。
エアーシリンダ54は、支持板51の上面であって、移動枠53の左側に備えられている。エアーシリンダ54は、可動部54Aを左右方向に進退させることができる構造を有する。移動枠53は、エアーシリンダの可動部54Aに連結されている。したがって、エアーシリンダ54の駆動により、移動枠53は左右方向に移動することができる。
図3,4,9に示されるように、枠辺53B,53Bには、それぞれ前後に2本ずつ支持柱55が立設されている。支持柱55,55,55,55は、左右一対として構成されている。そして、対となる左右2本の支持柱55,55の上端には、各対毎に杆体13が渡されている。2本の杆体13,13は、支持板51からの高さが同一であり、前後方向に平行な配置とされている。前後に配置される杆体13,13の前後方向の中心間隔13S(図7,図9参照)は、基板Pの前後の幅T1(図27参照)よりも狭く設定されている。したがって、前後に配置される杆体13,13の上縁13Aに、基板Pを前後方向に渡して載置することができる。
杆体13,13の上縁13Aには、それぞれ下方に凹む4つの凹部13Bが形成されている。各凹部13Bは、互いに同一形状である。また、左右方向に隣接する凹部13Bの中心間隔S3(図9参照)は、予熱台36とホーン10との中心間隔S1(図3参照)およびホーン10と冷却台37との中心間隔S2(図3参照)と同一に設定されている。また、前側の杆体13に形成される凹部13Bと、後側の杆体13に形成される凹部13Bとは、左右方向において同一の位置に形成されている。また、凹部13Bの左右方向の幅13L(図9参照)は、基板Pの左右方向の幅L1よりも若干大きく形成されている。したがって、基板Pを杆体13,13に載置する際に、凹部13Bにより、左右方向について位置決めすることができる。なお、説明のため、凹部13Bを左側から順に、凹部13Ba、13Bb,13Bc,13Bdとして以下の説明を行う。
上述のように構成される搬送機構8においては、上下駆動機構50を駆動し支持板51を上下方向に昇降させることで、杆体13,13を上下方向に昇降させることができる。また、水平移動機構15を駆動し移動枠53を左右方向に移動させることで、杆体13,13を左右方向に移動させることができる。
なお、杆体13と杆体13との中心間隔13S(図7参照)と、溝46A,46A、溝47A,47A、溝49A,49Aの各中心間隔46S,47S,49S(図7参照)とは同一に構成されている。したがって、杆体13,13は、予熱台36、ホーン10、および冷却台37の上方に配置される上方位置Zbから下方に向かって移動されたときに、溝46A,46A、溝47A,47A、溝49A,49A内に入り込むことができる。
杆体13,13が下方位置Zaに配置されているとき(図8参照)、杆体13,13の上縁13Aは、載置面46,47,49よりも下側に位置する。また、杆体13,13が上方位置Zbに配置されているとき(図8参照)、杆体13,13に形成される凹部13Bは、載置面46,47,49よりも上方に位置する。杆体13,13が左方位置Xaに配置されているとき(図8参照)、凹部13Baは、リフロー炉6の左側の外側に位置し、凹部13Bb,13Bc,13Bdは、載置面46,47,49の位置に配置される。また、杆体13,13が右方位置Xbに配置されてるときには(図8参照)、凹部13Bdは、リフロー炉6の右側の外側に位置し、凹部13Ba,13Bb,13Bcは、載置面46,47,49の位置に配置される。
(本装置1の動作)
次に、上述のように構成される本装置1の動作について、図10から図26を参照しながら説明する。なお、以下に説明する本装置1の動作は、制御部9(図1参照)により実行されるものであるが、必要に応じて、動作の一部を手動にて制御するようにすることもできる。図10から図24は、基板Pのリフロー炉6内における搬送の仕方を示すものである。図25,26は、シャッタ41L,41Rの開閉動作を示すものである。
本装置1においては、基板Pがリフロー炉6内を搬送されるのに先立ち、載置面46を含んで載置面46とヒータ28との間に形成される予熱領域58は、予熱機構3により所定の温度に加熱されている。また、載置面47を含んで載置面47とヒータ29との間に形成される加熱領域59は、加熱機構4により所定の温度に加熱されている。予熱領域58の温度は、フラックス塗付部Paのフラックスの消耗温度よりも低い温度とされ、たとえば、100℃から200℃の範囲に設定することができる。本装置1では、たとえば150℃とされる。予熱領域58の温度が200℃を超えてしまうと、フラックスが消耗してしまうため、加熱領域59で半田が加熱される際の酸化膜を化学的に除去する効果と酸化の抑制効果とを得られない虞がある。加熱領域59の温度は、基板Pに搭載されている半田ボールHBが溶融することができる温度とされ、たとえば、200℃から260℃の範囲に設定することができる。本装置1では、たとえば240℃とされる。
予熱領域58は、ヒータ28と、予熱台36を加熱するヒータ45とにより加熱される。載置面46が形成される予熱台36をヒータ45により加熱することで、載置面46に基板Pが載置されたときに、基板Pを直接加熱することができる。また、ヒータ28を載置面46の上方に備えることで、基板Pを上方から加熱することができると共に、予熱領域58の雰囲気を加熱することができる。
加熱領域59は、ヒータ29と、ホーン10を加熱するヒータ11とにより加熱される。載置面47が形成されるホーン10をヒータ11により加熱することで、載置面47に基板Pが載置されたときに、基板Pを直接加熱することができる。また、ヒータ29を載置面47の上方に備えることで、基板Pを上方から加熱することができると共に、加熱領域59の雰囲気を加熱することができる。
予熱領域58と加熱領域59とは、仕切板26と仕切板27により、仕切られている。仕切板26、27の前後方向および下側において、予熱領域58と加熱領域59とは、連通しているが、仕切板26と仕切板27とが備えられることで、予熱領域58と加熱領域59との間では、気体の流通がし難くなっている。つまり、加熱領域59内の温度に比べて温度が低い予熱領域58内の気体が、加熱領域59内に流れ込んだり、逆に、予熱領域58内の温度に比べて温度が高い加熱領域59内の気体が予熱領域58内に流れ込み難くい。そのため、予熱領域58と加熱領域59の温度を独立して制御し易い。
なお、予熱領域58と加熱領域59の温度は、下側筐体20内に、予熱領域58と加熱領域59とのそれぞれ対応して備えられる温度センサ60,61(図7参照)により検出することができ、この検出結果に基づき、制御部9(図1参照)は、ヒータ11,28,29,45の温度を制御することができる。
また、基板Pがリフロー炉6内を搬送されるのに先立ち、窒素ガス噴出部30,31,32からは、窒素ガスの噴出が開始される。窒素ガスの噴出は、リフロー半田付けが行われる間、継続して行われる。窒素ガス噴出部30,31,32から噴出された窒素ガスは、孔44(図7参照)からダクト部62に吸引され、本装置1の外部に排出される。そのため、半田の溶融により発生するガスやフラックスが加熱されることにより発生するガスをリフロー炉6内から排出することができると共に、リフロー炉6内を窒素ガスで充満させ易くなる。なお、リフロー炉6を窒素ガスで充満させることで、リフロー炉6内は、非酸化性雰囲気となり、加熱された半田の酸化を防止することができる。
下側筐体20内には、筐体6内の酸素の濃度を検出するガスセンサ63(図7参照)が備えられている。制御部9は、ガスセンサ63により検出されるリフロー炉6内の酸素濃度に基づき、加熱された半田の酸化を防止することができる酸素濃度になるように、窒素ガス噴出部30,31,32からの窒素ガスの噴出量を制御することができる。たとえば、酸素濃度を300ppm未満とすることで、加熱された半田の酸化を効果的に防止することができる。
上述のように、予熱領域58が、予熱機構3により所定温度に加熱されると共に、加熱領域59が、加熱機構4により所定温度に加熱され、さらに、窒素ガス噴出部30,31,32から窒素ガスが噴出されている状態で、以下に説明するように基板Pがリフロー炉6内を搬送され、リフロー半田付けが行われる。
(図10)
先ず、搬送の開始に先立って、杆体13,13は、図10に示すように、左方位置Xaかつ上方位置Zbに配置される。図10に示す杆体13,13の配置は、基板Pを搬送する杆体13,13の初期位置である。このとき、シャッタ41L,41Rは、図25の上段(A)および下段(B)に示すように開放位置に配置されている。杆体13,13が、上述の初期位置に配置されている状態で、1枚目の基板P1を、凹部13Baの位置に載置する。基板P1の杆体13,13への載置は、たとえば、図示を省略するローダーを用いて自動で行うことができる。
(図11)
そして、エアーシリンダ54を駆動させ、図11に示すように、杆体13,13を右方位置Xbかつ上方位置Zbに配置させる。杆体13,13が上方位置Zbに配置されているとき、凹部13B(13Ba,13Bb,13Bc,13Bd)は、載置面46,47,49よりも上方に位置している。したがって、凹部13Baに載置された基板P1は、杆体13,13が右方に移動する際に、載置面46よりも上方を移動し、予熱台36に衝突することはない。
(図12)
次いで、上下移動機構14を駆動して、図12に示すように、杆体13,13を右方位置Xbかつ下方位置Zaに配置させる。そして、図26の上段(A)および下段(B)に示すように、シャッタ41L,41Rを閉鎖位置に配置させる。杆体13,13が下方位置Zaに配置されることで、凹部13Baに載置されている基板P1が、載置面46に載置される。載置面46に載置された基板P1は、予熱処理が行われる。すなわち、載置面46に載置された基板P1は、ヒータ45により加熱された予熱台36およびヒータ28により加熱され予熱温度に加熱される。予熱温度は上述したように概ね150℃である。
載置面46は、基板P1の全体を載置面46の内側に配置することができる面積と形状とされている。したがって、基板P1の下面を、全面に亘って載置面46に接触させることができる。そのため、載置面46は、基板P1の下面を全面的に加熱することができる。これにより、基板P1を全体的に均等に加熱することができ、基板P1は、温度斑の少ない状態で加熱されるため、温度斑に起因する湾曲の発生が抑えられる。
なお、基板P1の形状は、図27に示す形状に限らず、楕円、あるいは矩形以外の多角形とすることができる。この場合も、載置面46は、基板P1の全体を内側に配置する面積と形状であることが好ましい。また、載置面46は、矩形の基板P1と略相似形とされているが、相似形である必要はない。しかしながら、相似形とすることで、載置面46の面積を小さくすることができ、基板P1を効率的に加熱することができる。
載置面46で予熱処理される基板P1は、窒素ガス噴出部30から噴出される窒素ガスにより窒素ガス雰囲気中に置かれる。そのため、加熱による半田の酸化が抑えられる。また、窒素ガス噴出部30は、ヒータ28の上方に配置されている。したがって、窒素ガス噴出部30から噴出された窒素ガスは、ヒータ28により加熱された後、載置面46に向けて送られる。そのため、予熱領域58の温度を所定の温度に保持し易い。
載置面46の周囲は、ヒータ28により加熱されている。そのため、リフロー炉6の外部から予熱領域58に搬送された基板P1は、基板P1の上面(実装面)および下面の両面から加熱される。したがって、基板P1が加熱される際に該両面に発生する温度差を少なくすることができる。
なお、シャッタ41L,41Rを閉じることにより、予熱領域58の温度を所定温度に維持し易くなり、また、リフロー炉6内への気体(酸素)の流入およびリフロー炉6内の窒素ガスが外部に漏れることを抑えることができる。
杆体13,13は、上方位置Zbから下方位置Zaに移動される際、基板P1が載置面46に接触する直前、たとえば、載置面46から0.2mm上方の位置で、所定時間、たとえば、5秒間、停止される。その後、杆体13,13は、下降させられ、基板P1は載置面46に載置される。
外部から予熱領域58に搬送された基板P1を、ヒータ45により加熱されている載置面46に直ぐに載置すると、基板P1の下面の温度が上面に比べて著しく高くなり、基板P1の下面と上面とで大きな温度差が発生し、基板P1が湾曲する虞がある。しかしながら、基板P1を載置面46に載置される際に直前で一旦停止し、その後、時間をかけて載置面46に載置することで、基板P1の下面と上面との温度差の発生を抑えながら基板P1を載置面46に載置することができる。これにより基板P1の湾曲の発生を抑えながら、基板P1を載置面46に載置することができる。
上述したように、上下駆動機構50は、ボールねじ機構により構成されている。そのため、たとえば、上下駆動機構50を水平移動機構15のようにエアーシリンダ54を用いる場合に比べて、杆体13,13を昇降させる際の位置制御や速度制御を精度の高いものとすることができる。
つまり、基板P1を載置面46に載置する際に、基板P1が載置面46に接触する直前で、一旦停止させることができると共に、極めてゆっくりした速度で、基板P1を載置面46に接近させることができる。このため、基板P1の上面と下面の温度差を少なくしながら、基板P1を載置面46に載置させることができる。なお、予熱領域58は仕切板26の内側に配置されている。そのため、シャッタ41L,41Rが開放位置に配置され、開口部40L,40Rが開口している状態でも、予熱領域58の熱が仕切板26の内側に留まり易く、開口部40L,40Rからリフロー炉6の外側に漏れにくい構成となっている。
また、支持板51は、スライダ52,52,52,52により平行状態を保ちながら上下に移動することができる。したがって、基板P1は載置面46に載置される際、基板P1の下面全体が同時に載置面46に接触させられる。そのため、載置面46は、基板P1の下面全体を同時に加熱し始めることができ、基板P1に温度斑が生じ難い。
たとえば、基板P1が、載置面46に対して傾斜して(上下方向に傾斜して)載置面46に載置された場合には、傾斜している基板P1の下方の部分ほど、上方の部分よりも早く載置面46に接触する。そのため、傾斜方向の下方の部分ほど早く加熱が開始され、基板P1に温度斑が発生する虞がある。これに対し、基板P1を平行に載置面46に載置することで、基板P1が傾斜して載置面46に載置されることによる温度斑の発生を防止することができる。これにより、基板P1に発生する温度斑に起因する基板P1の湾曲の発生を抑制すことができる。
基板P1が加熱領域59に搬送される前に、予熱領域58により基板P1を予熱することで、基板P1に設けられているフラックス塗付部Paのフラックスを活性させることができる。基板P1が加熱領域59に搬送され半田ボールHBが溶融するのに先立ち、フラックスを活性化させておくことで、半田ボールHBが溶融される際の半田の酸化を効果的に抑制することができる。
(図13)
基板P1を載置面46に載置させた後、エアーシリンダ54を駆動して、杆体13,13を下方位置Zaに配置したまま左方に移動させ、図13に示すように、杆体13,13を左方位置Xaかつ下方位置Zaに配置させる。杆体13,13が下方位置Zaに配置されているとき、上縁13Aは載置面46,47,49よりも下方に位置している。そのため、杆体13,13が左方に移動させられても、載置面46に載置されている基板P1に杆体13,13が衝突することはない。
(図14)
次いで、図25(A)(B)に示すように、シャッタ41L,41Rを開放位置に配置させると共に、上下移動機構14を駆動して、杆体13,13を上方位置Zbに移動させ、図14に示すように、左方位置Xaかつ上方位置Zbに移動させる。すなわち、杆体13,13を初期位置に移動させる。杆体13,13を図13に示す位置から上方に移動させると、載置面46に載置されている1枚目の基板P1は、杆体13,13の凹部13Bbの部分に載置された状態で、杆体13,13と共に上方に移動し、載置面46から離間させられる。杆体13,13が、初期位置に配置されている状態で、2枚目の基板P2を、凹部13Baの位置に載置する。
(図15)
そして、エアーシリンダ54を駆動して、図15に示すように、杆体13,13を右方位置Xbかつ上方位置Zbに配置させる。これにより、1枚面の基板P1は、載置面47の上方に配置され、2枚目の基板P2は、載置面46の上方に配置される。
(図16)
次いで、上下移動機構14を駆動して、図16に示すように、杆体13,13を右方位置Xbかつ下方位置Zaに配置させる。そして、図26(A)(B)に示すように、シャッタ41L,41Rを閉鎖位置に配置させる。杆体13,13が下方位置Zaに配置されることで、凹部13Baに載置されている2枚目の基板P2は、載置面46に載置され、予熱機構3により予熱される。一方、1枚目の基板P1は、載置面47に載置される。載置面47に載置された基板P1は、半田溶融処理が行われる。つまり、載置面47に載置された1枚目の基板P1は、ヒータ11により加熱されているホーン10およびヒータ29による加熱により半田ボールHBの溶融温度に加熱され、半田ボールHBが溶融させられる。
載置面47は、基板P1の全体を載置面47の内側に配置することができる面積と形状とされている。したがって、基板P1の下面を、全面に亘って載置面47に接触させることができる。そのため、載置面47は、基板P1の下面を全面的に加熱することができる。これにより、基板P1を全体的に均等に加熱することができ、基板P1は、温度斑が少ない状態で加熱されるため、温度斑に起因する湾曲の発生が抑えられる。また、各半田ボールHBを半田ボールHBの搭載位置によらず均等に加熱することができるため、半田ボールHB毎に溶融に要する時間に差が生じ難い。
なお、基板P1の形状は、図27に示す形状に限らず、楕円、あるいは矩形以外の多角形とすることができる。この場合も、載置面47は、基板P1の全体を内側に配置する面積と形状であることが好ましい。また、載置面47は、矩形の基板P1と略相似形とされているが、相似形である必要はない。しかしながら、相似形とすることで、載置面47の面積を小さくすることができ、基板P1を効率的に加熱することができる。
載置面47で半田溶融処理される基板P1は、窒素ガス噴出部31から噴出される窒素ガスにより窒素ガス雰囲気中に置かれる。そのため、加熱による半田の酸化が抑えられる。また、窒素ガス噴出部31は、ヒータ29の上方に配置されている。したがって、窒素ガス噴出部31から噴出された窒素ガスは、ヒータ29により加熱された後、載置面47に向けて送られる。そのため、加熱領域59の温度を所定の温度に支持し易い。
なお、ヒータ29により載置面47の周囲についても温度が加熱されている。そのため、予熱領域58から加熱領域59に搬送された1枚目の基板P1は、基板P1の上面(実装面)および下面の両面から加熱される。したがって、基板P1が加熱される際に該両面に発生する温度差を少なくすることができる。シャッタ41L,41Rを閉じることにより、予熱領域58および加熱領域59の温度を所定温度に維持し易くなり、また、リフロー炉6内への気体(酸素)の流入およびリフロー炉6内の窒素ガスが外部に漏れることを抑えることができる。
上方位置Zbから下方位置Zaに移動される際、上述したように、上下駆動機構50により、杆体13,13は、ゆっくりとした速度で、時間をかけて下降させられる。そのため、2枚目の基板P2は、湾曲の発生が抑えられた状態で、載置面46に載置される。また、1枚目の基板P1についても、載置面47に直ぐに載置する場合に比べて、湾曲の発生が抑えられる。
また、基板P1は、載置面47に載置される際、スライダ52,52,52,52の作用により、基板Pの下面全体が同時に載置面47に接触させられる。そのため、載置面47は、基板P1の下面全体を同時に加熱し始めることができ、基板P1に温度斑が生じ難い。つまり、基板P1に発生する温度斑に起因する基板P1の湾曲の発生を抑制すことができる。また、基板P1の下面全体が同時に加熱され始められるため、基板P1に搭載されている各半田ボールHBを半田ボールHBの搭載位置によらず均等に加熱することができる。つまり、半田ボールHB毎に溶融に要する時間に差が生じ難い。
1枚目の基板P1が載置面47に載置されるタイミングに合わせて、吸気装置48の駆動を開始し、溝47B(図7参照)に吸引力を発生させる。この吸引力により、基板P1は載置面47に対して固定される。溝47Bは、載置面47の一部に偏って形成されることなく全体的に均等な配置で形成されている。本装置1においては、前後左右に等間隔のピッチで形成される格子状に配置されている。載置面47に全体的に均等な配置で溝47Bが形成されることで、載置面47に載置された基板P1を全体的に吸引することができる。
なお、溝47Bは、半田ボールHBが搭載される領域Pd(図27(A)参照)を避けた位置に形成される。したがって、領域Pdの下側には、溝47Bにより囲まれた平坦部47E(図7参照)が位置する。そのため、溝47Bによる吸引力は、主に、領域Pd以外の部分に作用する。つまり、領域Pdを溝47Bの吸引力により変形させてしまうことがないため、半田ボールHBが溶融した場合に、溶融した半田が偏った位置に流れてしまうことを防止することができる。特に、基板P1が可撓性を有するフィルム基板の場合は、領域Pdの下側に溝47Bが位置すると、領域Pdの部分が撓み易い。したがって、溝47Bを領域Pdを避けた位置に形成することで、溶融した半田が偏った位置に流れてしまうことを防止することができる。
なお、基板P1は、杆体13,13に載置される際に、前後方向、および左右方向について所定位置に載置されることで、基板P1が、載置面47に載置されたときに、平坦部47E内に領域Pdが配置されるようにすることができる。杆体13,13に載置される基板P1の左右方向の所定位置は、たとえば、凹部13B(凹部13Ba)により規定することができる。
また、杆体13,13に載置される基板P1の前後方向の所定位置は、たとえば、基板P1に左右方向に突出する突起部Pe(図27(A)参照)を用いて規定することができる。つまり、基板P1が凹部13Ba内に配置された状態で、突起部Peを1方の杆体13の側面に添わせることで、杆体13,13に載置される基板P1の前後方向の位置を規定することができる。
半田溶融処理では、基板P1に対して超音波振動が印加される。つまり、1枚目の基板P1が載置面47に載置されるタイミングに合わせて、吸気装置48の駆動を開始し、次いで、超音波振動子12を駆動する。そして、載置面47に載置されている基板P1に対してホーン10を介して超音波振動を印加する。載置面47に載置されている基板P1に搭載されている半田ボールHBは溶融状態にある。溶融状態にある半田に基板P1に超音波振動を印加することで、半田の電極部Pb上での濡れ性を向上させることができ、これにより、半田が電極部Pbに接合する際の接合を確実なものとすることができる。
載置面47に載置された基板P1は、溝47Bによる吸引により載置面47上に固定されている。しかも、溝47Bは、載置面47の一部に偏って形成されることなく全体的に均等な配置で形成されている。したがって、超音波振動を基板P1の全体に確実に印加させることができる。たとえば、基板P1が載置面47に固定されていない状態で超音波振動を印加した場合には、載置面47の振動により基板P1が載置面47から離れた状態となってしまい、基板P1に振動が伝わり難くなる。
さらに、載置面47は、上述したように、基板P1の全体を載置面47の内側に配置することができる面積と形状とされている。そのため、基板P1の下面の全面に対して超音波振動を印加することができる。基板P1の下面の全面に対して超音波振動を印加することで、基板P1上に載置される半田ボールHBの全てに対して斑なく超音波振動を印加することができるため、半田ボールHBが溶融した際の半田全てについて電極部Pbに対する濡れ性を向上させることができる。
(図17)
1枚目の基板P1を載置面47に載置させると共に、2枚目の基板P2を載置面46に載置させた後、エアーシリンダ54を駆動して、杆体13,13を下方位置Zaに配置したまま左方に移動し、図17に示すように、杆体13,13を左方位置Xaかつ下方位置Zaに配置させる。
(図18)
次いで、図25(A)(B)に示すように、シャッタ41L,41Rを開放位置に配置させると共に、上下移動機構14を駆動して、杆体13,13を上方位置Zbに移動させ、図18に示すように、左方位置Xaかつ上方位置Zb、すなわち初期位置に移動させる。杆体13,13を図17に示す位置から上方に移動させると、載置面46に載置されている2枚目の基板P2は、杆体13,13の凹部13Bbの部分に載置された状態で、杆体13,13と共に上方に移動され、載置面46から離間される。また、載置面47に載置されている1枚目の基板P1は、杆体13,13の凹部13Bcの部分に載置された状態で、杆体13,13と共に上方に移動され、載置面47から離間される。杆体13,13が、初期位置に配置されている状態で、3枚目の基板P3を、凹部13Baの位置に載置する。
(図19)
そして、エアーシリンダ54を駆動して、図19に示すように、杆体13,13を右方位置Xbかつ上方位置Zbに配置させる。これにより、1枚面の基板P1は、載置面49を含んで載置面49上に形成される冷却領域64に配置される。また、2枚目の基板P2は、載置面47の上方に配置されると共に、3枚目の基板P3は、載置面46の上方に配置される。
(図20)
次いで、上下移動機構14を駆動して、図20に示すように、杆体13,13を右方位置Xbかつ下方位置Zaに配置させる。そして、図26(A)(B)に示すように、シャッタ41L,41Rを閉鎖位置に配置させる。杆体13,13が下方位置Zaに配置されることで、凹部13Baに載置されている3枚目の基板P3は、載置面46に載置され、予熱機構3により予熱処理される。また、凹部13Bbに載置されている2目の基板P2は、載置面47に載置され、加熱機構4により半田溶融処理される。
半田溶融処理においては、上述したように、溶融された半田に対して超音波が印加される。また、凹部13Bcに載置されている1枚目の基板P1は、載置面49に載置され、冷却処理される。つまり、加熱領域59にて半田ボールHBは溶融し、溶融状態の半田が、載置面49上で冷却され硬化する。溶融された半田が硬化すると、図28に示すように電極部Pb上に半田接合部Pfが形成される。すなわち、半田付け処理が完了する。冷却台37は、鉄材などの金属に比べて熱伝導率の高いアルミ材から形成されている。したがって、載置面49に基板P1を載置することで、基板P1の熱を冷却台37に速やかに放出することができ、溶融された半田の硬化を促すことができる。
載置面49は、基板P1の全体を載置面49の内側に配置することができる面積と形状とされている。したがって、基板P1の下面を、全面に亘って載置面47に接触させることができる。そのため、載置面49は、基板P1の吸熱を下面の全面に対して行うことができる。これにより、基板P1の冷却を効率的に行うことができる。
また、基板P1の下面の全面から吸熱を行うことで、温度斑の発生を抑えて基板P1を冷却することができ、温度斑に起因する湾曲の発生が抑えられる。なお、基板P1の形状は、図27(A)に示す形状に限らず、楕円、あるいは矩形以外の多角形とすることができる。この場合も、載置面49は、基板P1の全体を内側に配置する面積と形状であることが好ましい。
載置面49で冷却処理される基板P1は、窒素ガス噴出部32から噴出される窒素ガスにより窒素ガス雰囲気中に置かれる。載置面47から載置面49上に搬送された直後の半田は高温であり、酸化し易い状態にある。そのため、載置面47から搬送された基板P1を窒素ガス雰囲気中に置くことで、半田の酸化を抑えることができる。また、基板P1に窒素ガスを噴射することで、基板P1の冷却を促すことができる。
また、基板P1は、載置面49に載置される際、スライダ52,52,52,52の作用により、基板P1の下面全体が同時に載置面49に接触させられる。そのため、載置面49は、基板P1の下面全体に対して同時に吸熱を始めることができ、基板P1に温度斑が生じ難い。つまり、基板P1に発生する温度斑に起因する基板P1の湾曲の発生を抑制することができる。
また、載置面49は、基板P1の下面全体に対して同時に吸熱を開始することができるため、基板P1に温度斑が生じ難い。つまり、基板P1に搭載されている各半田ボールHBを半田ボールHBの搭載位置によらず均等に冷却することができる。したがって、半田ボールHB毎に冷却に要する時間に差が生じ難く、冷却が不十分な半田ボールHBを残したまま、リフロー炉6から排出(図23参照)されてしまうことを防止できる。
(図21)
1枚目の基板P1を載置面49に載置すると共に、2枚目の基板P2を載置面47に載置し、そして3枚目の基板P3を載置面46に載置した後、エアーシリンダ54を駆動して、杆体13,13を下方位置Zaに配置したまま左方に移動し、図21に示すように、杆体13,13を左方位置Xaかつ下方位置Zaに配置させる。
(図22)
次いで、図25(A)(B)に示すように、シャッタ41L,41Rを開放位置に配置させると共に、上下移動機構14を駆動して、杆体13,13を上方位置Zbに移動させ、図22に示すように、左方位置Xaかつ上方位置Zb、すなわち初期位置に移動させる。杆体13,13を図21に示す位置から上方に移動させると、載置面46に載置されている3枚目の基板P3は、杆体13,13の凹部13Bbの部分に載置された状態で、杆体13,13と共に上方に移動され、載置面46から離間される。
また、載置面47に載置されている2枚目の基板P2は、杆体13,13の凹部13Bcの部分に載置された状態で、杆体13,13と共に上方に移動され、載置面47から離間される。また、載置面49に載置されている1枚目の基板P1は、杆体13,13の凹部13Bdの部分に載置された状態で、杆体13,13と共に上方に移動され、載置面49から離間される。そして、杆体13,13が、初期位置に配置されている状態で、4枚目の基板P4を、凹部13Baの位置に載置する。
(図23)
そして、エアーシリンダ54を駆動して、図23に示すように、杆体13,13を右方位置Xbかつ上方位置Zbに配置させる。杆体13,13が右方位置Xbかつ上方位置Zbに配置されると、半田付け処理が完了し半田接合部が形成された1枚面の基板P1は、リフロー炉6の右側の外側に排出される。そして、2枚目の基板P2は、載置面49の上方に配置され、3枚目の基板P3は、載置面47の上方に配置され、4枚目の基板P4は、載置面46の上方に配置される。リフロー炉6の右側の外側に排出された1枚目の基板P1は、図示を省略するアウトローダーにより杆体13,13から取り除かれる。
(図24)
次いで、上下移動機構14を駆動して、図24に示すように、杆体13,13を右方位置Xbかつ下方位置Zaに配置させる。そして、図26(A)(B)に示すように、シャッタ41L,41Rを閉鎖位置に配置させる。杆体13,13が下方位置Zaに配置されることで、凹部13Baに載置されている4枚目の基板P4は、載置面46に載置され、予熱機構3により予熱処理される。また、凹部13Bbに載置されている3枚目の基板P3は、載置面47に載置され、加熱機構4により半田溶融処理される。半田溶融処理においては、上述したように、溶融された半田に対して超音波が印加される。また、凹部13Bcに載置されている2枚目の基板P2は、載置面49に載置され、冷却処理される。
そして、以降、上述した図21から図24に示した動作を繰り返すことで、初期位置において杆体13,13に載置された基板Pは、順次、予熱処理、半田溶融処理、冷却処理が施され、リフロー半田付け処理が行われる。
なお、予熱処理の時間、加熱処理の時間、冷却処理の時間、および基板Pを下降させる時間(杆体13,13を上方位置Zbから下方位置Zaに移動する時間)等の動作時間は、基板Pの厚さ、半田ボールHBの大きさ・種類、フラックスの性質等に応じて適宜に決定する。
(実施の形態の主な効果)
上述したように、本実施の形態における本装置1は、半田接合部が形成される半田接合部被形成体としての基板Pに搭載されている半田ボールHBを加熱し溶融させる加熱手段として加熱機構4と、加熱機構4により加熱を行う前に、半田ボールHBの溶融温度よりも低く、かつ、基板Pの温度よりも高い温度で基板Pを加熱する予熱手段としての予熱機構3と、加熱機構4により半田ボールHBが溶融された後、溶融された半田を冷却する冷却手段としての冷却機構5と、加熱機構4により基板Pを加熱する際に、基板Pに対して超音波振動を印加する超音波振動印加手段としての超音波振動印加機構7と、予熱機構による予熱時、および加熱機構4による加熱時において、基板Pの雰囲気を非酸化性雰囲気である窒素雰囲気とすることができる酸化防止手段としての窒素ガス噴出部30,31と、基板Pを、予熱機構3により形成される予熱領域58、加熱機構により形成される加熱領域59、冷却機構5により形成される冷却領域64の順で搬送する搬送手段としての搬送機構8とを備えている。
本装置1はこのように構成されているため、基板Pの加熱処理に先立って予熱処理を行うことができる。そのため、基板Pが加熱処理される際の湾曲の発生を抑制することができる。また、本装置1は、予熱領域58、加熱領域59、冷却領域64を備え、しかも、基板Pを、予熱領域58、加熱領域59、冷却領域64の順に搬送する搬送機構8を備えるため、半田付け処理時間の短縮化を図ることができる。さらに、予熱領域58、加熱領域59、および冷却領域64は、同一の筐体20内に配置されている。そのため、各領域に基板Pを搬送する際に、筐体20の外の空気に晒されることがないため、温度変化による基板Pの破損や半田の電極部Pbへの接合不良等の発生を防止することができる。
本装置1の超音波振動子12は、ホーン10を上下方向に振動させる縦振動型の振動子である。そのため、固定板19の上に、超音波振動子12とホーン10と載置面47とを上下方向に配置することができる。載置面47の前後方向の長さT3と左右方向の長さL3が、たとえば、それぞれ20センチ、8センチの場合、超音波振動子12の振動を有効に載置面47に伝播させるには、ホーン10の上下方向の長さは25センチ程度となる。ホーン10は鉄の塊体であるため、上述の大きさとなるホーン10と超音波振動子12とを含めた重量は数十キロとなる。したがって、超音波振動子12とホーン10とを固定板19上に上下に載置することで、ホーン10を本装置1へ安定した状態で組み付けることができる。
また、本装置1の超音波振動印加機構7は、基板Pが載置され超音波振動を印加することができる載置面として載置面47を有し、載置面47は、基板Pの全体を、載置面47の内側に配置することができる形状とされている。
本装置1は、このように形成されているため、基板Pの下面の全面に対して超音波振動を印加することができる。これにより、基板P上に載置される半田ボールHBの全てに対して斑なく超音波振動を印加することができ、半田ボールHBが溶融した際の半田全てについて電極部Pbに対する濡れ性を向上させることができる。
また、本装置1の超音波振動印加機構7の載置面47には、載置面47に沿って溝47Bが形成され、前記載置面に前記半田接合部被形成体が載置された状態で、上記溝47B内を吸気することができる吸気手段としての吸気装置48を備えている。
本装置1は、このように形成されているため、吸気装置48を駆動して溝47Bに吸引力を持たせることで、載置面47に載置された基板Pを載置面47に対して固定することができる。これにより、超音波振動を確実に基板P1に印加させることができる。溝47Bは、載置面47の一部に偏って形成されることなく全体的に均等な配置で形成されている。このため、超音波振動を基板P1の全体に確実に印加させることができる。本装置1では、溝47Bは、均等ピッチの格子状に配置されているが、格子状に限らず、たとえば、左右方向、あるいは前後方向に平行に配置される複数の線条に配置することもできる。
また、本装置1の載置面47に形成される溝47Bは、載置面47に基板Pが載置されたときに、基板Pの半田ボールHBが搭載される位置である領域Pdと重ならない位置に配置されている。
本装置1は、このように形成されているため、溝47Bによる吸引力は、主に、領域Pd以外の部分に作用する。そのため、領域Pdを溝47Bの吸引力により変形させてしまうことがない。したがって、半田ボールHBが溶融した場合に、溶融した半田が偏った位置に流れてしまうことを防止することができる。
また、本装置1の搬送手段としての搬送機構8は、載置面47が、加熱機構4により加熱され、搬送手段としての上下移動機構14は、基板P体を上下方向に移動する上下移動手段としての上下移動機構14と、水平方向に移動する水平移動手段としての水平移動機構15とを有し、上下移動機構14は、ボールねじ機構により、基板Pの上下方向への移動を行い、加熱領域59に搬送された基板Pは、上下移動機構14により載置面47に載置される。
本装置1の上下移動機構14は、ボールねじ機構を備え、基板Pの載置面47への載置をボールねじ機構により行う。ボールねじ機構を用いることで、基板Pを載置面47に載置する際の位置制御や速度制御を精度の高いものとすることができる。このため、基板Pを、載置面46に載置する際、基板P1が載置面46に接触する直前で基板Pの下降を停止し、この状態を所定時間継続させることができる。これにより、基板Pの上面と下面との温度差を小さくした状態で基板Pを載置面47に載置することができる。このため、基板Pに発生する温度差に起因して発生する基板Pの湾曲を防止することができる。
また、上下移動機構14は、支持板51を平行状態を保ちながら上下に移動することができるガイド機構としてのスライダ52,52,52,52を備えている。そのため。基板Pは、載置面47に載置される際、スライダ52,52,52,52の作用により、基板Pの下面全体が同時に載置面47に接触させられる。そのため、載置面47は、基板Pの下面全体を同時に加熱し始めることができ、基板Pに温度斑が生じ難い。つまり、基板Pに発生する温度斑に起因する基板Pの湾曲の発生を抑制すことができる。
(小径半田ボール搭載基板への好適合性)
本装置1は、直径が150μm以下の半田ボールHB(以下、小径半田ボールHBと記載する。)が搭載される基板Pに対して行う半田付け処理に特に適している。直径が150μmを超える半田ボール(以下、大径半田ボールと記載する。)が搭載される基板は、半田ボールの配置間隔が比較的広く、フラックス塗付部を形成する間隔を大きくすることができる。したがって、フラックス塗付部に塗付されるフラックスの量も多くすることができる。一方、小径半田ボールHBが搭載される基板Pは、小径半田ボールHBの配置間隔が比較的狭く、フラックス塗付部Paを形成する間隔も狭くなる。
したがって、小径半田ボールHBが搭載される基板Pのフラックス塗付部Paに塗付されるフラックスの量は、大径半田ボールが搭載される基板のフラックス塗付部に塗付されるフラックスの量に比べて少ない。そのため、半田溶融処理に際して、小径半田ボールHBが搭載される基板Pについては、大径半田ボールが搭載される基板に比べて、加熱された小径半田ボールHBの半田は酸化され易く、電極部Pbへの半田の接合強度を十分に高くすることができない虞がある。
しかしながら、本装置1では、半田溶融処理に際して基板Pに超音波振動が印加される。半田溶融処理に際して基板Pに対して超音波振動が印加されることで、溶融された半田の電極部Pbへの濡れ性が向上される。そのため、フラックスの量が少なくても、半田の電極部Pbへの接合を確実なものとすることができる。
また、超音波振動の印加により溶融した半田の濡れ性が向上するため、溶融した半田が電極部Pbに広がる速さを速くすることができる。そのため、半田溶融処理に要する時間を短縮することができ、フラックスが加熱されている時間を短縮することができる。フラックスが加熱されている時間が短縮されることで、フラックスの量が少なくても、フラックスの酸化の進行度が少ない状態で半田溶融処理を完了することができ、半田の電極部Pbへの接合を確実なものとすることができる。
小径半田ボールHBの半田量は、大径半田ボールの半田量よりも少ない。また、上述のように、小径半田ボールHBが搭載される基板Pのフラックス塗付部Paのフラックス量は、大径半田ボールが搭載される基板のフラックス塗付部のフラックス量よりも少ない。そのため、半田量が少ない小径半田ボールHBやフラックス量が少ないフラックス塗付部Paのフラックスは、温度変化等の環境要因による影響を受けやすい。
つまり、基板Pが予熱領域58から加熱領域59に移動される間に、基板Pが外気に晒されたり、あるいは、移動に時間を要すると、折角予熱された半田やフラックスの温度が低下してしまい、加熱領域59において、フラックスの活性や半田の溶融が不十分となる虞がある。また、半田やフラックスは、外気に晒されることで、外気の酸素により酸化されてしまう虞がある。
基板Pが加熱領域59から冷却領域64に移動される間に、基板Pが外気に晒されると、フラックスや溶融状態にある半田が外気の酸素により酸化される虞がある。また、加熱領域59から冷却領域64への移動に時間を要する場合には、フラックスの消耗が進み、半田の電極部Pbへの接合強度が低下する虞がある。
しかしながら、本装置1においては、予熱領域58、加熱領域59、冷却領域64を備え、しかも、基板Pを、予熱領域58、加熱領域59、冷却領域64の順に搬送する搬送機構8を備える。したがって、基板Pが予熱領域58から加熱領域59に搬送される搬送時間、および基板Pが加熱領域59から冷却領域64に搬送される搬送時間を短縮できる。そのため、基板Pが予熱領域58から加熱領域59に搬送される間の半田やフラックスの温度低下を抑えることができる。また、基板Pが加熱領域59から冷却領域64に搬送される間に進行するフラックスの消耗を少なくすることができる。
また、本装置1においては、予熱領域58、加熱領域59、および冷却領域64は、同一の筐体20内に配置されている。したがって、基板Pが予熱領域58から加熱領域59に搬送される間、筐体20の外の空気に晒されることがない。そのため、基板Pが予熱領域58から加熱領域59に搬送される間の半田やフラックスの温度低下や酸化を抑えることができる。また、加熱領域59から冷却領域64に搬送される間に、筐体20の外の空気に晒されることがない。そのため、基板Pが加熱領域59から冷却領域64に搬送される間の半田やフラックスの酸化を抑えることができる。
上述のように、予熱領域58、加熱領域59、および冷却領域64を同一の筐体20内に配置することで、小径半田ボールHBが搭載される基板Pに対しても、温度変化等の環境要因による影響を少なくして半田付け処理を行うことができる。
リフロー炉6は、シャッタ41L,41Rが閉鎖位置に配置されているときに、外気がリフロー炉6内に入らないように、リフロー炉6内の圧力が外気圧に対して正圧となるように、窒素ガスの噴出量を設定することが好ましい。また、シャッタ41L,41Rが開放されるのは基板Pを杆体13,13により搬送するときのみとすることが好ましい。さらに、開口部40L,40Rは、基板Pが開口部40L,40Rを通過するのに必要な最小の大きさに設定することが好ましい。これにより、シャッタ41L,41Rが開放位置に配置されている間に、リフロー炉6内に外気が入り込み難くすることができるため、加熱領域59内を酸素濃度200ppmとすることができ、直径80μmの半田ボールをリフローし良好な半田接合部(半田バンプ)を形成することができた。シャッター41L,41Rの開放時間の短縮と、窒素ガスの噴出による酸素パージを継続させることで、予熱領域58あるいは冷却領域64から加熱領域59への酸素の流入を効果的に防ぐことができ、加熱領域59内の酸素濃度を20ppm〜400ppmに低下させることができる。このように、加熱領域59内を低酸素濃度とすることで、直径が30〜150μm以下の微小な半田ボールを用いても、溶融した半田と電極部との濡れ性が良好であり、さらに電極部との接合強度が良好な半田接合部(半田バンプ)を形成することができる。