以下に、本願の開示する光伝送システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例では、本願の開示する光伝送システムが、複数の光ノード装置を光伝送路を介して互いに格子状に接続している例を示すが、光伝送システムが、複数の光ノード装置を光伝送路を介して互いに線状その他の如何なる形状に接続して構成されていてもよい。
まず、実施例1に係る光伝送システムの構成について説明する。図1は、実施例1に係る光伝送システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施例に係る光伝送システム1は、波長の異なる複数の信号光が多重化された波長多重光を伝送する複数の光ノード装置2を有しており、これら複数の光ノード装置2を光伝送路を介して互いに格子状に接続している。光ノード装置2は、波長ごとに割り当てられた信号光の挿入(Add)又は分岐(Drop)を行うOADM装置である。
本実施例に係る光伝送システム1では、各光ノード装置2が、各光ノード装置2で周波数が同一(共通)の低周波信号(A・sin(ω・t)、ただし、Aは定数、ωは角速度、tは時間)による振幅変調を波長多重光に含まれる信号光の各々に対して行うことにより、信号光のそれぞれに対して低周波信号を重畳する。また、各光ノード装置2は、波長多重光に含まれる複数の信号光のそれぞれから、所定範囲の周波数の低周波信号を抽出し、抽出した低周波信号の周波数スペクトルを解析する。
ここで、各光ノード装置2が低周波信号の周波数スペクトルを解析した結果について説明する。波長多重光が1つの光ノード装置2を通過した場合、1つの光ノード装置2が低周波信号を波長多重光に対して重畳するため、低周波信号の周波数スペクトルは、A・sin(ω・t)となる。また、波長多重光が2つの光ノード装置2を通過した場合、2つの光ノード装置2が低周波信号を波長多重光に対して重畳するため、低周波信号の周波数スペクトルは、A・sin(ω・t)×A・sin(ω・t)=B・cos(2ω・t)+C(ただし、B及びCは定数)となる。また、波長多重光が3つの光ノード装置2を通過した場合、3つの光ノード装置2が低周波信号を波長多重光に対して重畳するため、低周波信号の周波数スペクトルは、A・sin(ω・t)×A・sin(ω・t)×A・sin(ω・t)=D・sin(3ω・t)+E・sin(ω・t)(ただし、D及びEは定数)となる。すなわち、波長多重光がn個の光ノード装置2を通過した場合、低周波信号の周波数スペクトルに含まれる信号成分の周波数の最大値は、n・ω・tとなる(ただし、nは自然数)。
そして、各光ノード装置2は、解析した周波数スペクトルに基づいて、その光ノード装置2へ伝送されるまでに波長多重光が通過した光ノード装置2の数(通過ノード数)を計測する。具体的には、光ノード装置2は、周波数スペクトルに含まれる信号成分のうち、最も周波数が高い信号成分を特定し、その特定した信号成分の周波数を、各光ノード装置2で同一の低周波信号の周波数で除算することにより、通過ノード数を計測する。すなわち、波長多重光がn個の光ノード装置2を通過した場合、最も周波数が高い信号成分の周波数は、上述のように、n・ω・tであるので、通過ノード数は、n・ω・t/(ω・t)=n個と計測される。なお、通過ノード数は、各光ノード装置2に設けられた所定の表示装置等に表示される。
このように、本実施例に係る光伝送システム1では、各光ノード装置2が、各光ノード装置2で周波数が同一の低周波信号を、波長多重光に含まれる複数の信号光のそれぞれに対して重畳する。また、各光ノード装置2は、波長多重光に含まれる複数の光信号から所定範囲の周波数の低周波信号を抽出し、抽出した低周波信号の周波数スペクトルを解析する。そして、各光ノード装置2は、解析した周波数スペクトルに基づいて、その光ノード装置2へ伝送されるまでに波長多重光が通過した光ノード装置2の数(通過ノード数)を計測する。これにより、光伝送経路の変更や光ノード装置の種別の変更が行われた場合に、通過ノード数を使用者側に提示することができるため、各光ノード装置によって通過ノード数を管理システム側へ問い合わせる従来の処理を省略することができる。その結果、波長多重光の伝送ができるか否かの使用者側の判断を迅速化することができる。
次に、光ノード装置2の具体的な構成について説明する。図2は、光ノード装置2の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、各光ノード装置2は、プリアンプ3と、波長選択スイッチ4と、ポストアンプ5とを有する。プリアンプ3及びポストアンプ5は、波長多重光を増幅する光増幅器であり、波長選択スイッチ4の上流側及び下流側にそれぞれ配設される。
波長選択スイッチ4は、光ノード装置2に入力された波長多重光から任意の波長の信号光を分岐(Drop)し、若しくは、当該波長多重光へ任意の波長の信号光を挿入(Add)する。また、波長選択スイッチ4は、波長多重光から任意の波長の信号光を選択し、選択した波長の信号光を任意の出力ポートへ出力する。具体的には、波長選択スイッチ4は、AWGや回折格子等の分光デバイスと、MEMSミラーや液晶デバイス等の光スイッチデバイスとを備えており、入力された波長多重光を分光デバイスによって任意の波長の信号光に分離し、各波長に対応して光スイッチデバイスを可動することで出力ポートを切り替える。
図3は、波長選択スイッチ4に含まれる低周波信号の抽出・重畳を実行するための構成を示す機能ブロック図である。なお、図3に示す例では、波長選択スイッチ4の抽出・重畳の特徴に関わる構成のみを示しており、複数入力または複数出力に対応した構成については図示を省略する。
図3に示すように、波長選択スイッチ4は、分波部15と、合波部16と、低周波信号抽出・重畳部(10−1〜10−n)とを有する。低周波信号抽出・重畳部 10−1〜10−nは、分波部15により分波された波長λ1〜λnの信号光をそれぞれ入力し、重畳信号光生成部11と、信号抽出部12と、周波数スペクトル解析部13と、通過ノード数計測部14とをそれぞれ有する。
重畳信号光生成部11は、各光ノード装置2で周波数が同一の低周波信号による振幅変調を波長多重光に含まれる信号光の各々に対して行い、各信号光に低周波が重畳された波長多重光(以下、「低周波重畳信号多重光」と言う)を生成する。
具体的には、重畳信号光生成部11は、低周波信号発生部11aと、重畳回路部11bと、低周波重畳部11cを有する。低周波信号発生部11aは、各光ノード装置2で周波数が同一の低周波信号(A・sin(ω・t)、ただし、Aは定数、ωは角速度、tは時間)を出力する。
重畳回路部11bは、信号抽出部12によって抽出された低周波信号と、低周波信号発生部11aより出力された低周波信号A・sin(ω・t)とを乗算して得られた重畳低周波信号を出力する。低周波重畳部11cは、分波部15より分波された信号光λ1に重畳低周波信号により振幅変調を行うことにより、低周波重畳信号多重光を生成する。
信号抽出部12は、直前の光ノード装置2における重畳信号光生成部11によって生成された重畳信号光から、所定範囲の周波数の低周波信号を抽出し、抽出した低周波信号を周波数スペクトル解析部13へ出力する。例えば、波長多重光が既に2つの光ノード装置2を通過している場合、信号抽出部12は、低周波信号A・sin(ω・t)×A・sin(ω・t)を抽出し、この抽出した低周波信号をスペクトル解析部13へ出力する。このとき、重畳回路部11bは、信号抽出部12によって抽出された低周波信号と低周波信号発生部11aにて発生した低周波信号A・sin(ω・t)とを乗算して得られた新たな低周波信号Asin(ω・t)×Asin(ω・t)×Asin(ω・t)を波長多重光に対して重畳する。
周波数スペクトル解析部13は、スペクトラムアナライザにより構成されており、信号抽出部12によって抽出された低周波信号の周波数スペクトルを解析し、解析した周波数スペクトルを通過ノード数計測部14へ出力する。
通過ノード数計測部14は、周波数スペクトル解析部13によって解析された周波数スペクトルに基づいて、当該光ノード装置2へ伝送されるまでに波長多重光が通過した光ノード装置2の数である通過ノード数を計測する。具体的には、通過ノード数計測部14は、周波数スペクトル解析部13によって解析された周波数スペクトルに含まれる信号成分のうち、最も周波数が高い信号成分を特定し、この特定した信号成分の周波数を、各光ノード装置2で同一の低周波信号A・sin(ω・t)の周波数ω・tで除算することにより、通過ノード数を計測する。すなわち、波長多重光がn個の光ノード装置2を通過した場合、最も周波数が高い信号成分の周波数は、n・ω・tであるので、通過ノード数は、nω・t/(ω・t)=n個と計測される。
次に、実施例1に係る光伝送システム1による光伝送処理について説明する。図4は、実施例1に係る光伝送システム1による光伝送処理の処理手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、光伝送システム1を構成する各光ノード装置2では、波長選択スイッチ4の重畳信号光生成部11が、各光ノード装置2で周波数が同一の低周波信号Asin(ω・t)を、波長多重光に含まれる信号光の各々に対して重畳する(ステップS101)。なお、各光ノード装置2は、低周波信号の重畳された波長多重光を、低周波重畳波長多重光として直後の光ノード装置2へ伝送する。
また、各光ノード装置2では、波長選択スイッチ4の信号抽出部12は、直前の光ノード装置2の重畳信号光生成部11によって生成された低周波重畳信号光から所定範囲の周波数の低周波信号を抽出する(ステップS102)。そして、信号抽出部12は、抽出した低周波信号を周波数スペクトル解析部13へ出力する。
続いて、周波数スペクトル解析部13は、信号抽出部12によって抽出された低周波信号の周波数スペクトルを解析する(ステップS103)。続いて、通過ノード数計測部14は、周波数スペクトル解析部13によって解析された周波数スペクトルに基づいて、通過ノード数を計測する(ステップS104)。なお、計測された通過ノード数は、光ノード装置2に設けられた所定の表示装置等に表示される。
上述してきたように、実施例1に係る光伝送システム1では、各光ノード装置2が、各光ノード装置2で周波数が同一の低周波信号を、波長多重光に含まれる複数の信号光に対して重畳する。また、各光ノード装置2は、低周波重畳信号光から所定範囲の周波数の低周波信号を抽出し、抽出した低周波信号の周波数スペクトルを解析する。そして、各光ノード装置2は、解析した周波数スペクトルに基づいて、通過ノード数を計測する。これにより、光伝送経路の変更や光ノード装置の種別の変更が行われた場合に、通過ノード数を使用者側に提示することができるため、各光ノード装置によって通過ノード数を管理システム側へ問い合わせる従来の処理を省略することができる。その結果、波長多重光の伝送ができるか否かの使用者側の判断を迅速化することができる。
上記実施例1では、低周波信号を波長多重光に含まれる信号光の各々に対して重畳し、その重畳した低周波信号の周波数スペクトルを解析することにより、通過ノード数を計測する例を説明した。これに対して、実施例2では、低周波信号を波長多重光に含まれる信号光の各々に対して重畳し、その重畳した低周波信号の周波数スペクトルを解析することにより、当該光ノード装置へ伝送されるまでに波長多重光が通過した光ノード装置である通過光ノード装置を特定する光伝送システムについて説明する。
まず、実施例2に係る光伝送システムが有する光ノード装置6の構成について説明する。図5は、実施例2に係る光伝送システムが有する光ノード装置6の構成を示す機能ブロック図である。なお、以下では、実施例1と同様の機能を有する部位には同一の符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。また、実施例2に係る光伝送システムの概略構成は、図1に示した概略構成と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
図5に示すように、各光ノード装置6は、図2に示す光ノード装置2が有する波長選択スイッチ4に代えて、波長選択スイッチ104と、重畳信号光生成部51とを新たに有する。
波長選択スイッチ104は、光ノード装置6に入力された波長多重光から任意の波長の信号光を分岐(Drop)し、若しくは、当該波長多重光へ任意の波長の信号光を挿入(Add)する。また、波長選択スイッチ104は、波長多重光から任意の波長の信号光を選択し、選択した波長の信号光を任意の出力ポートへ出力する。具体的には、波長選択スイッチ104は、AWGや回折格子等の分光デバイスと、MEMSミラーや液晶デバイス等の光スイッチデバイスとを備えており、入力された波長多重光を分光デバイスにより任意の波長の信号光に分離し、各波長に対応して光スイッチデバイスを可動することで出力ポートを切り替える。
重畳信号光生成部51は、各光ノード装置6で周波数が異なる低周波信号を波長多重光に対して重畳することにより得られる波長多重光(以下、「重畳信号光」と言う)を生成する。例えば、本実施例の光伝送システムが、光ノード装置(1)から光ノード装置(9)まで9個の光ノード装置6を有しているとすれば、重畳信号光生成部51は、光ノード装置(N)を通過する波長多重光に対して、周波数α(N)の低周波信号を重畳する(ただし、N=1〜9とし、Nが異なる場合はα(N)の値も異なるものとする)。
なお、図5に示した例では、重畳信号光生成部51は、各光ノード装置6で周波数が異なる低周波信号をポストアンプ5へ出力し、ポストアンプ5内で低周波信号を波長多重光に対して重畳する。これにより、重畳信号光生成部51は、波長多重光に含まれる全波長の信号光に対して低周波信号を一括して重畳することができる。
図6は、波長選択スイッチ104に含まれる低周波信号の抽出・重畳を実行するための構成を示す機能ブロック図である。なお、図6に示す例では、波長選択スイッチ104の抽出・重畳の特徴に関わる構成のみを示しており、複数入力または複数出力に対応した構成については図示を省略する。
図6に示すように、波長選択スイッチ104は、分波部115と、合波部116と、低周波信号抽出部(10−1〜10−n)とを有する。低周波信号抽出部10−1〜10−nは、分波部115により分波された波長λ1〜λんの信号光をそれぞれ入力し、信号抽出部112と、周波数スペクトル解析部113と、通過ノード装置特定部114とをそれぞれ有する。
信号抽出部112は、直前の光ノード装置2における重畳信号光生成部51によって生成された重畳信号光から所定範囲の周波数の低周波信号を抽出し、抽出した低周波信号を周波数スペクトル解析部113へ出力する。
周波数スペクトル解析部113は、スペクトラムアナライザにより構成されており、信号抽出部112によって抽出された低周波信号の周波数スペクトルを解析し、解析した周波数スペクトルを通過ノード装置特定部114へ出力する。
通過ノード装置特定部114は、周波数スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルに基づいて、当該光ノード装置6へ伝送されるまでに波長多重光が通過した光ノード装置6である通過光ノード装置を特定する。具体的には、通過ノード装置特定部114は、周波数スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルに含まれる低周波信号の周波数を識別することにより、通過ノード装置を特定する。
ここで、通過ノード装置特定部114が通過ノード装置を特定する手法について説明する。図7は、周波数スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルの一例を示す図である。なお、図7では、本実施例の光伝送システムが、光ノード装置(1)から光ノード装置(10)まで10個の光ノード装置6を有するとした場合に、光ノード装置(10)のスペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルを示している。また、重畳信号光生成部51は、光ノード装置(N)を通過する波長多重光に対して、周波数α(N)の低周波信号を重畳するものとする(ただし、N=1〜9とし、Nが異なる場合はα(N)の値も異なるものとする)。
図7に示すように、周波数スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルは、周波数α1、α3、α4及びα6〜α9の低周波信号を含んでいるが、周波数α2及びα5の低周波信号を含んでいない。この場合、通過ノード装置特定部114は、周波数スペクトルに含まれる低周波信号の周波数α1、α3、α4及びα6〜α9を識別することにより、9個の光ノード装置6のうち光ノード装置(1)、(3)、(4)及び(6)〜(9)を通過ノード装置として特定する。なお、周波数α2及びα5の低周波信号は、周波数スペクトルに含まれていないため、光ノード装置(10)へ至った波長多重光は、光ノード装置(2)及び(5)を通過していないことが分かる。
次に、実施例2に係る光伝送システムによる光伝送処理について説明する。図8は、実施例2に係る光伝送システムによる光伝送処理の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、光伝送システムを構成する各光ノード装置6では、重畳信号光生成部51は、各光ノード装置2で周波数が異なる低周波信号を、波長多重光に含まれる信号光の各々に対して重畳する(ステップS201)。なお、各光ノード装置6は、低周波信号の重畳された波長多重光を、重畳信号光として直後の光ノード装置6へ伝送する。
また、各光ノード装置6では、波長選択スイッチ104の信号抽出部112は、直前の光ノード装置6における重畳信号光生成部51によって生成された低周波重畳信号光から所定範囲の周波数の低周波信号を抽出する(ステップS202)。そして、信号抽出部112は、抽出した低周波信号を周波数スペクトル解析部113へ出力する。
続いて、周波数スペクトル解析部113は、信号抽出部112によって抽出された低周波信号の周波数スペクトルを解析する(ステップS203)。続いて、通過ノード装置特定部114は、スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルに基づいて、通過ノード装置を特定する(ステップS204)。なお、通過ノード装置は、光ノード装置6に設けられた所定の表示装置等に表示される。
上述してきたように、実施例2に係る光伝送システムでは、各光ノード装置6が、各光ノード装置6で周波数が異なる低周波信号を波長多重光に含まれる複数の信号光に対して重畳する。また、各光ノード装置6は、重畳信号光から所定範囲の周波数の低周波信号を抽出し、抽出した低周波信号の周波数スペクトルを解析する。そして、各光ノード装置6は、解析した周波数スペクトルに基づいて、通過ノード装置を特定する。これにより、光伝送経路の変更や光ノード装置の種別の変更が行われた場合に、通過ノード装置を使用者側に提示することができる。この通過ノード装置の情報は、光伝送システム全体におけるトラフィックの偏りや、伝送障害が生じた場合の迂回経路を検討する際に有用である。
上記実施例2では、低周波信号を波長多重光に含まれる信号光の各々に対して重畳し、その重畳した低周波信号の周波数スペクトルを解析することにより、通過光ノード装置を特定する例について説明した。これに対して、実施例3では、通過光ノード装置を特定すると共に、通過光ノード装置に含まれる光ノード装置のうち、波長多重光へ任意の波長の信号光を挿入した光ノード装置である挿入ノード装置を特定する光伝送システムについて説明する。
まず、実施例3に係る光伝送システムが有する光ノード装置7の構成について説明する。図9は、実施例3に係る光伝送システムが有する光ノード装置7の構成を示す機能ブロック図である。なお、以下では、実施例2と同様の機能を有する部位には同一の符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。また、実施例3に係る光伝送システムの概略構成は、図1に示した概略構成と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
図9に示すように、各光ノード装置7は、図5に示す光ノード装置6が有する重畳信号光生成部51に代えて、第1の重畳信号光生成部52と、第2の重畳信号光生成部54とを新たに有する。
第1の重畳信号光生成部52は、各光ノード装置7で周波数が異なる第1の低周波信号を、波長選択スイッチ104による分岐(Drop)若しくは挿入(Add)の位置よりも上流側で、波長多重光に含まれる光信号の各々に対して重畳する。例えば、本実施例の光伝送システムが、光ノード装置(1)から光ノード装置(9)まで9個の光ノード装置7を有しているとすれば、第1の重畳信号光生成部52は、光ノード装置(N)を通過する波長多重光に対して、周波数α(N)の低周波信号を第1の低周波信号として重畳する(ただし、N=1〜9とし、Nが異なる場合はα(N)の値も異なるものとする)。
なお、図9に示した例では、第1の重畳信号光生成部52は、第1の低周波信号をプリアンプ3へ出力し、プリアンプ3内で第1の低周波信号を波長多重光に対して重畳する。これにより、第1の重畳信号光生成部52は、波長多重光に含まれる全波長の信号光に対して第1の低周波信号を一括して重畳することができる。
第2の重畳信号光生成部54は、各光ノード装置7で周波数が異なり、かつ、第1の低周波信号と周波数が異なる第2の低周波信号を、波長選択スイッチ104による分岐(Drop)若しくは挿入(Add)の位置よりも下流側で、波長多重光に含まれる信号光の各々に対して重畳する。例えば、本実施例の光伝送システムが、光ノード装置(1)から光ノード装置(9)まで9個の光ノード装置7を有しているとすれば、上述した第1の重畳信号光生成部52は、光ノード装置(N)を通過する波長多重光に含まれる信号光の各々に対して、周波数α(N)の低周波信号を第1の低周波信号として重畳する(ただし、N=1〜9とし、Nが異なる場合はα(N)の値も異なるものとする)。一方、第2の重畳信号光生成部54は、光ノード装置(N)を通過する波長多重光に含まれる信号光の各々に対して、周波数β(N)の低周波信号を第2の低周波信号として重畳する(ただし、N=1〜9とし、Nが異なる場合はβ(N)の値も異なり、α(N)≠β(N)とする)。
なお、図9に示した例では、第2の重畳信号光生成部54は、第2の低周波信号をポストアンプ5へ出力し、ポストアンプ5内で第2の低周波信号を波長多重光に対して重畳する。これにより、第2の重畳信号光生成部54は、波長多重光に含まれる全波長の信号光に対して第2の低周波信号を一括して重畳することができる。
波長選択スイッチ104の通過ノード装置特定部114(図6参照)は、スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルに基づいて、通過ノード装置を特定すると共に、通過ノード装置に含まれる光ノード装置7のうち、挿入ノード装置を特定する。
ここで、通過ノード装置特定部114が通過ノード装置及び挿入ノード装置を特定する手法について説明する。図10は、周波数スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルの一例を示す図である。なお、図10では、本実施例の光伝送システムが、光ノード装置(1)から光ノード装置(10)まで10個の光ノード装置7を有するとした場合に、光ノード装置(10)の周波数スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルを示している。また、第1の重畳信号光生成部52は、光ノード装置(N)を通過する波長多重光に対して、周波数α(N)の低周波信号を第1の低周波信号として重畳するものとする(ただし、N=1〜9とし、Nが異なる場合はα(N)の値も異なるものとする)。また、第2の重畳信号光生成部54は、光ノード装置(N)を通過する波長多重光に対して、周波数β(N)の低周波信号を第2の低周波信号として重畳するものとする(ただし、N=1〜9とし、Nが異なる場合はβ(N)の値も異なり、α(N)≠β(N)とする)。
図10に示すように、周波数スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルは、周波数α1、α3、α4、α6〜α9の第1の低周波信号と、周波数β1、β2、β3、β4、β6〜β9の第2の低周波信号とを含む。一方、この周波数スペクトルは、周波数α2、α5の第1の低周波信号と、周波数β5の第2の低周波信号とを含んでいない。この場合、通過ノード装置特定部114は、周波数α1、β1、β2、α3、β3、α4、β4、α6、β6、α7、β7、α8、β8、α9及びβ9を識別することにより、9個の光ノード装置7のうち光ノード装置(1)、(2)、(3)、(4)、(6)〜(9)を通過ノード装置として特定する。
また、通過ノード装置特定部114は、周波数スペクトルに含まれる第2の低周波信号の周波数β2を識別することにより、通過ノード装置に含まれる光ノード装置のうち、光ノード装置(2)を挿入ノード装置として特定する。
すなわち、上述したように、第1の重畳信号光生成部52は、波長選択スイッチ104による分岐若しくは挿入の位置よりも上流側で、第1の低周波信号を波長多重光に含まれる光信号の各々に対して重畳する。一方、第2の重畳信号光生成部54は、波長選択スイッチ104による分岐若しくは挿入の位置よりも下流側で、第2の低周波信号を波長多重光に含まれる光信号の各々に対して重畳する。このため、波長選択スイッチ104によって挿入された任意の波長の信号光は、第1の低周波信号を含まず、第2の低周波信号だけを含むはずである。したがって、通過ノード装置特定部114は、周波数スペクトルに含まれる第2の低周波信号の周波数β2を識別することにより、通過ノード装置に含まれる光ノード装置のうち、光ノード装置(2)を挿入ノード装置として特定することができる。
次に、実施例3に係る光伝送システムによる光伝送処理について説明する。図11は、実施例3に係る光伝送システムによる光伝送処理の処理手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、光伝送システムを構成する各光ノード装置7では、第1の重畳信号光生成部52は、各光ノード装置7で周波数が異なる第1の低周波信号を、波長選択スイッチ104による分岐若しくは挿入の位置よりも上流側で、波長多重光に含まれる光信号の各々に対して重畳する。これと共に、第2の重畳信号光生成部54は、各光ノード装置7で周波数が異なり、かつ、第1の低周波信号と周波数が異なる第2の低周波信号を、波長選択スイッチ104による分岐若しくは挿入の位置よりも下流側で、波長多重光に含まれる光信号の各々に対して重畳する(ステップS301)。なお、各光ノード装置7は、低周波信号の重畳された波長多重光を、重畳信号光として直後の光ノード装置7へ伝送する。
また、各光ノード装置7では、波長選択スイッチ104の信号抽出部112は、直前の光ノード装置7における第1の重畳信号光生成部52及び第2の重畳信号光生成部54によって生成された低周波重畳信号光から所定範囲の周波数の低周波信号を抽出する(ステップS302)。そして、信号抽出部112は、抽出した低周波信号を周波数スペクトル解析部113へ出力する。
続いて、周波数スペクトル解析部113は、信号抽出部112によって抽出された低周波信号の周波数スペクトルを解析する(ステップS303)。続いて、通過ノード装置特定部114は、スペクトル解析部113によって解析された周波数スペクトルに基づいて、通過ノード装置を特定すると共に、挿入ノード装置を特定する(ステップS304)。なお、通過ノード装置及び挿入ノード装置は、光ノード装置7に設けられた所定の表示装置等に表示される。
上述してきたように、実施例3に係る光伝送システムでは、各光ノード装置7が、各光ノード装置7で周波数が異なる第1の低周波信号を、波長選択スイッチ104による分岐若しくは挿入の位置よりも上流側で、波長多重光に含まれる複数の信号光に対して重畳する。これと共に、光ノード装置7が、各光ノード装置7で周波数が異なり、かつ、第1の低周波信号と周波数が異なる第2の低周波信号を、波長選択スイッチ104による分岐若しくは挿入の位置よりも下流側で、波長多重光に含まれる複数の信号光に対して重畳する。また、各光ノード装置7は、重畳信号光から所定範囲の周波数の低周波信号を抽出し、抽出した低周波信号の周波数スペクトルを解析する。そして、各光ノード装置7は、解析した周波数スペクトルに基づいて、通過ノード装置を特定すると共に、挿入ノード装置を特定する。これにより、光伝送経路の変更や光ノード装置の種別の変更が行われた場合に、通過ノード装置に加えて挿入ノード装置を使用者側に提示することができる。この挿入ノード装置の情報は、光伝送システム全体におけるトラフィックの偏りや、伝送障害が生じた場合の迂回経路を検討する際に有用である。