JP5516054B2 - 消失模型および鋳物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、消失模型および該消失模型を用いて鋳造する鋳物の製造方法の技術に関する。
より具体的には、消失模型を砂型内に埋設する際の砂込め作業を容易にしつつ、鋳造された鋳物の品質(鋳造品質)を向上させるための、消失模型および鋳物の製造方法の技術に関する。
従来から、例えばプレス金型や、溶接設備の架台や、精度測定用治具の定盤などのような、複雑な形状を有しつつ、使用時に受ける外力(荷重)に対して高い剛性を必要とする部品などについては、鋳造によって成形される鋳物を用いることが多い。
また、近年においては、このような鋳物を鋳造する一手段として、中子を必要とせず造型時間(砂型を造型する際にかかる時間)の短縮化が図れることや、複雑な形状からなる鋳物に対しても容易に対応できるなどの理由から、フルモールド法(FM法:Full Mold法)による鋳造方法が注目されている(例えば、「特許文献1」を参照。)。
前記フルモールド法とは、砂型内に埋設された模型(以下、「消失模型」と記す)と、該砂型内に注湯された溶湯金属とを置換しつつ、鋳物を鋳造する方法である。
即ち、フルモールド法においては、予め得ようとする鋳物の模型を、ポリスチレン樹脂などの有機材料(所謂、発泡スチロール)によって消失模型として形成し、該消失模型を鋳物砂に埋設することで砂型を造型する。
造型された砂型には、消失模型を取り出すことなく溶融金属が注湯される。すると、消失模型は、溶融金属が発する熱によって燃焼されて消失し、該消失模型に入れ替わって該溶融金属が砂型内に充填されることとなる。
その後、溶融金属は砂型とともに冷却され、消失模型の形状に即した鋳物が鋳造されるのである。
ここで、このようなフルモールド法によって鋳造される鋳物において、従来のプレス金型を例にとり、鋳造する際に形成される消失模型100の構成について、図4を用いて説明する。
図4は消失模型100の全体的な構成を示した概略図であり、(a)は該消失模型100の平面図、(b)は該平面図における矢印Yから見た該消失模型100の側面図を示す。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図4における矢印Aの方向を前方と規定して、以下説明する。
また、図4(b)の側面図においては、図面上の上下方向を消失模型100の上下方向と規定して、以下説明する。
消失模型100は発泡スチロールを素材とし、鋳造しようとするプレス金型(鋳物)の形状に即して、切削機械などを用いて正確に切削され模造される。
ここで、従来のプレス金型(鋳物)は、プレス加工の際に外部からの荷重を直接受ける第一の部位や、該第一の部位を保持するために設けられる第二の部位などによって構成される。
よって、消失模型100は、前記第一の部位に相当する機能部101(図4において、網掛けによって示された部分)や、前記第二の部位に相当する躯体部102などを有して構成される。
機能部101は、複数のプレス部111・111・・・や被挿入部112・112や被当接部113・113などにより構成される。
前記プレス部111は、従来のプレス金型(鋳物)において、被加工材(プレス金型によってプレス加工が施されるシート状の部材)に当接してプレス加工を施す部位に相当する。
また、前記被挿入部112は、従来のプレス金型(鋳物)において、プレス加工の際に該プレス金型(鋳物)の水平方向に関する位置を規制するガイドピン(図示せず)が挿入される部位に相当する。
さらに、前記被当接部113は、従来のプレス金型(鋳物)において、プレス加工の際に該プレス金型の垂直方向に関する位置を規制する当接ストッパー(図示せず)が当接される部位に相当する。
なお、鋳造されるプレス金型(鋳物)の構成によっては、これらガイドピンや当接ストッパーが、該プレス金型(鋳物)を固定保持するプレス機械(図示せず)に設けられる場合もあり、このような構成からなるプレス金型(鋳物)の消失模型においては、機能部101は、複数のプレス部111・111・・・のみによって構成されることとなる。
躯体部102は矩形状の箱体構造からなり、その下面部の大部分は開口されるとともに、その内部には互いに直交する複数の平板部102a・102a・・・などが設けられる。
また、躯体部102の内部には、これら平板部102a・102a・・・と、躯体部102の上面部102bとによって区画される、複数の矩形状の空間部121・121・・・が、躯体部102内部の略全体に渡って平面視格子状に形成される。
なお、躯体部102の内部構成については、これら空間部121・121・・・のみによって限定されるものではなく、例えば、躯体部102の側面部の一部には、上面部102bと平板部102a、および図示せぬ下板片とによって区画された、側面視コ字状の空間部122が形成される。
また、鋳造されるプレス金型(鋳物)の構成によっては、該プレス金型(鋳物)に内装される機器の収納スペースを確保するために、例えば、平面視にて湾曲形成した板部102cによって、これら空間部121・121・・・の一部を形成したり、或いは、図示しないが、平面視台形や円形からなる空間部が形成される場合もある。
そして、躯体部102の上面部102bにおける、平面視中央部の所定の位置に前記プレス部111・111・・・を各々配設するとともに、その四隅に被挿入部112・112および被当接部113・113を、それぞれ対角線上に対向して配設することで、消失模型100は構成される。
このような形状からなる消失模型100を用いて、従来のプレス金型(鋳物)は、該消失模型100の形状に即して鋳造される。
その結果、従来のプレス金型(鋳物)においては、これら消失模型100の平板部102a・102a・・・に相当する部位が一種の補強材として機能し、前記プレス金型(鋳物)は躯体部102によって全体的に高い剛性を有する構成となっている。
ところで、このような形状からなる消失模型を用いたフルモールド法によって、プレス金型などの鋳物を鋳造する場合、以下に示すような様々な問題点が指摘されていた。
即ち、鋳物の種類によっては、数mもの長さからなるプレス金型など、大型の鋳物が存在する一方、鋳物砂には該鋳物砂を固めるための凝固材が予め含まれ、該凝固材が凝固する前に、該鋳物砂内へ消失模型の埋設作業を完了させなければならない。
このような場合、作業者は蹲踞や腹這い状態からなる不自然な姿勢を維持しつつ、早急に砂込め作業を完了させた後、長時間に渡って鋳物砂内に消失模型を埋設させる作業を継続しなければならない。
よって、作業者にとっては体力的に厳しい作業となり、このような消失模型の埋設作業を容易な姿勢によって行えるように改善する必要があった。
また、消失模型は、例えばプレス金型など模造される鋳物と同様に複雑な形状を有しており、このような消失模型を隙間なく鋳物砂に埋設するためには、予め指先で該消失模型の細部に鋳物砂を押し付ける作業(砂込め作業)が必要となる。
ここで、消失模型の形状によっては、砂込め作業を行う作業者の手が届かない場所に前記細部が存在する場合もあり、このような細部に鋳物砂を押し付けるには、専用の道具を用いて砂込め作業を行う必要がある。
よって、消失模型の形状によっては、鋳造される鋳物の鋳造品質が、砂込め作業を行う作業者のカンやコツなどの技能の成熟度合いや腕力などに左右され、均一の鋳造品質を確保することが難しかった。
また、消失模型の細部に押し付けられた鋳物砂の密度が十分に高められていない場合、消失模型の埋設作業の完了後に砂型内へ溶融金属を注湯すれば、前記鋳物砂に亀裂が生じ、溶融金属が砂型外部へ噴き出したり、或いは鋳物内に鋳物砂が巻き込まれたりして、鋳造品質の低下を引き起こす要因となる。
このようなことから、砂込め作業をおこなう際は、かなり大きな押圧力によって消失模型の細部に鋳物砂を押し付け、該鋳物砂の密度を高める必要がある。
しかし、消失模型は発泡スチロールによって形成されているため、大きな押圧力によって鋳物砂を押え付けると該消失模型の形状は変形し(或いは、撓みが発生し)、鋳造品質の低下をもたらす要因となっていた。
また、図4において、プレス金型(鋳物)は高い剛性を必要とするところ、厳密に言えば、該プレス金型(鋳物)は、消失模型100の機能部101や該機能部101の周辺に相当する部位についてのみ高い剛性を有していればよく、それ以外の箇所については、さほど高い剛性を必要としない箇所も存在する。
しかし、従来のプレス金型(鋳物)の構造においては、前述のとおり、消失模型100の平板部102a・102a・・・に相当する部位が一種の補強材として機能する構成となっており、プレス金型(鋳物)は、消失模型100の躯体部102に相当する部位を通じて、全体的に高い剛性を有する構成となっている。
このように、プレス金型(鋳物)は、過剰に剛性を高めるような構成となっており、全体として大掛かりな高重量の金型となっている。
一方、プレス金型(鋳物)の低重量化を図るために、剛性がさほど必要でない部位は、薄肉化(部位の厚みを薄くする)を行うことも考えられる。
しかし、特定の部位について薄肉化を行えば、消失模型100における該部位に相当する部位も薄肉化を行う必要がある。この場合、消失模型100における薄肉化を行った部位には、歪などが発生しやすくなり、消失模型100全体として変形しやすくなる。その結果、鋳造品質の低下を招く恐れがある。
このようなことから、プレス金型(鋳物)の形状を模造する消失模型100も大掛かりなものとなり、作業者にとっては扱いにくく、鋳物砂内へ消失模型の埋設作業を困難なものとしていた。
また、砂型内への消失模型の埋設作業の完了後、該砂型内に溶融金属が注湯されると、前記消失模型は溶融金属の発する熱によって燃焼されて気化し、ガスを発生させる。
ここで、前述のように、大掛かりな構成からなる消失模型を用いる場合、該消失模型より発生するガスの量が大量になり、注湯された溶融金属の湯流れは該ガスの抵抗によって妨げられ、鋳造品質の低下を引き起こす要因となる。特に、前記湯流れの下流側においては、発生したガスが砂型外部に抜け出しにくい状態にあるうえに、前記下流側に到達した溶融金属の冷却も早期に開始されるため、鋳物への不純物の混入や、気泡を発生させやすく、鋳造品質の低下を引き起こしやすかった。
また、図4において、プレス金型(鋳物)は高い剛性を必要とするため、該プレス金型(鋳物)の形状に即して模造される消失模型100の躯体部102は、十分な厚み寸法(躯体部102の下面より上面までの寸法)を有した大掛かりな構造となっている。
よって、消失模型100全体の厚み寸法(躯体部102の下面より機能部101の最上端部までの寸法。つまり、図4(b)の側面図に示す寸法Z)としては、500mm〜600mm程度、またはそれ以上の寸法となることが多い。
一方、消失模型100を造形するために用いられる、切削機械などの加工設備の多くは、このような500mm〜600mm程度、またはそれ以上の寸法の厚みを有する消失模型を一度に造形することができない。
このようなことから、消失模型100の造形工程においては、先ず、複数の板状の発泡スチロールを加工設備によって各々造形し、その後、これら造形された発泡スチロールを順に積層して互いに接着することで、消失模型100を形成(造形)していた。
従って、これら造形された発泡スチロールを積層する際に、互いの発泡スチロールの位置決めを精確に行うことが難しく、鋳造品質の低下を引き起こすことがあった。
一方、このような鋳造品質の低下を回避するために、500mm〜600mm程度、またはそれ以上の寸法の厚みを有する消失模型100を一度に造形することが可能な大型の加工設備を備えることも考えられるが、設備コストが膨大となり、現実的ではなかった。
さらに、消失模型の表面部には、溶融金属の発する熱より該消失模型を保護したり、或いは鋳造される鋳物の鋳肌を改善したりなどする目的によって塗型剤が塗布されるところ、前述のように、前記消失模型が大掛かりなものになれば、それだけ塗布される塗型剤の量も多くなる。
その結果、塗型剤の自重によって消失模型に歪みなどが発生しやすくなり、鋳造品質の低下を招く恐れがあった。
以上に示した、様々な問題点を改善するための手段として、「特許文献2」乃至「特許文献4」に示される技術が提案されている。
即ち、「特許文献2」においては、中空形状やアンダカット形状等を有する鋳造品等の成形品(鋳物)を形成する為に使用される成形用中子(消失模型)であって、該成形用中子が、紙や繊維や穀物等の崩壊可能な材料から形成した耐圧性を備えたものであることを特徴とする成形用耐圧性崩壊中子(消失模型)に関する技術が開示されている。
また、「特許文献3」においては、砂型内に込めた模型(消失模型)を燃焼により完全に消滅せしめて、キャビティ造形後に溶融金属を注型(注湯)するべく、キャビティを造形し、前記模型を構成する材料の組成が、木粉または紙粉と熱可塑性合成樹脂との複合体であることを特徴とする鋳型造形方法に関する技術が開示されている。
また、「特許文献4」においては、複数のエレメント(板状の発泡スチロール)が組合されて形成される消失模型であって、相互に組合されるエレメントのうち、一方のエレメントの合わせ面に、前記エレメントと同一の材料によって形成される位置決め用ピンが立設され、他方のエレメントの合わせ面に、前記突起が嵌合される位置決め用穴が設けられることを特徴とする消失模型に関する技術が開示されている。
特開2000−71050号公報 特開平7−214240号公報 特開平7−204779号公報 特開2007−152419号公報
前記「特許文献2」乃至「特許文献4」に示される技術によれば、多額な設備投資を必要とせず、鋳造品質の向上を図ることができると思われる。
即ち、前記「特許文献2」に示される技術によれば、消失模型に用いられる材料の選択肢が増え、砂型内への溶融金属の注湯時に発生するガスの量を抑えた適切な材料を選択することで、多額な設備投資を必要とせず、鋳造品質の向上を図ることができると思われる。
しかし、例えば前述したプレス金型などのように、鋳物の構成が大掛かりなものである限り、消失模型の形状も大掛かりなものとなる。そのため、このような消失模型は作業者にとって扱いにくく、鋳物砂内への消失模型の埋設作業を容易なものに改善することはできない。
また、砂込め作業においても、専用の道具を用いた作業者のカンやコツなどの技能によるところが大きいことに変わりはない。そのため、鋳造品質は、砂込め作業に対する作業者の技能の成熟度合いや腕力などに左右されることとなる。よって、均一の鋳造品質を確保することは難しい。
また、前記「特許文献2」に示される技術によれば、砂型内の消失模型を完全に消滅させた後に、該砂型内への溶融金属の注湯が開始されるため、消失模型の燃焼時に発生するガスが溶融金属の湯流れを妨げることもなく、鋳造品質の低下を防ぐことができるとも思われる。
しかし、前記「特許文献2」に示される技術と同様に、鋳物の構成が大掛かりなものである限り、消失模型の形状も大掛かりなものとなる。そのため、このような消失模型は作業者にとって扱いにくく、鋳物砂内への消失模型の埋設作業を容易なものに改善することはできない。
また、砂込め作業においても、専用の道具を用いた作業者のカンやコツなどの技能によるところが大きいことに変わりはない。そのため、鋳造品質は、砂込め作業に対する作業者の技能の成熟度合いや腕力などに左右されることとなる。よって、均一の鋳造品質を確保することは難しい。
さらに、前記「特許文献3」に示される技術によれば、たとえ消失模型の構成が、複数の板状の発泡スチロールを各々造形して積層されたものであっても、これら造形された発泡スチロールを積層する際に、互いの発泡スチロールの位置決めを精確に行うことが可能となり、鋳造品質の低下を防ぐことができるとも思われる。
しかし、前記「特許文献2」に示される技術と同様に、鋳物の構成が大掛かりなものである限り、消失模型の形状も大掛かりなものとなる。そのため、このような消失模型は作業者にとって扱いにくく、鋳物砂内への消失模型の埋設作業を容易なものに改善することはできない。
また、砂込め作業においても、専用の道具を用いた作業者のカンやコツなどの技能によるところが大きいことに変わりはない。そのため、鋳造品質は、砂込め作業に対する作業者の技能の成熟度合いや腕力などに左右されることとなる。よって、均一の鋳造品質を確保することは難しい。
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、消失模型および該消失模型を用いて鋳造する鋳物の製造方法において、該消失模型を砂型内に埋設する際の砂込め作業を容易にしつつ、鋳造された鋳物の品質(鋳造品質)を向上させるための、消失模型および鋳物の製造方法の技術を提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、鋳物を鋳造するための消失模型であって、前記消失模型は、前記鋳物における外部からの荷重を直接受ける第一の部位に相当する機能部と、前記鋳物における前記第一の部位を保持するための第二の部位に相当する躯体部と、を備え、前記躯体部は、複数の棒状部材と、これら棒状部材を互いに連結する複数の連結部材と、を有するとともに、これら棒状部材が形成する多角形状の集合体として構成され、前記機能部は、前記連結部材を介して前記躯体部と連結され、前記機能部、前記連結部材、および棒状部材は、鋳物を鋳造する溶融金属により燃焼されて消失する部材にて構成されるものである。
請求項2においては、請求項1に記載の消失模型であって、前記機能部は発泡スチロールによって造形されるものである。
請求項3においては、請求項1または請求項2に記載の消失模型であって、前記棒状部材は中空形状の部材であるものである。
請求項4においては、消失模型を用いて鋳造する鋳物の製造方法であって、消失模型を用いて鋳造する鋳物の製造方法であって、前記消失模型は、前記鋳物における外部からの荷重を直接受ける第一の部位に相当する機能部と、前記鋳物における前記第一の部位を保持するための第二の部位に相当する躯体部と、を備え、前記躯体部を、複数の棒状部材を連結部材にて互いに連結して、これら棒状部材が形成する多角形状の集合体として構成し、前記機能部を、前記連結部材を介して前記躯体部と連結し、前記機能部、前記連結部材、および棒状部材を、鋳物を鋳造する溶融金属により燃焼されて消失する部材にて構成し、前記消失模型を砂型内に埋設し、前記砂型内に溶湯金属を注湯して、前記消失模型を前記砂型内に注湯された溶湯金属と置換しつつ、鋳物を鋳造するものである。
請求項5においては、請求項4に記載の鋳物の製造方法であって、前記機能部は発泡スチロールによって造形されるものである。
請求項6においては、請求項4または請求項5に記載の鋳物の製造方法であって、前記棒状部材は中空形状の部材であるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明における消失模型および該消失模型を用いて鋳造する鋳物の製造方法に拠れば、該消失模型を砂型内に埋設する際の砂込め作業を容易にしつつ、鋳造された鋳物の品質(鋳造品質)を向上させるための、消失模型および鋳物の製造方法の技術を提供することができる。
本発明の一実施例に係る、フルモールド法によってプレス金型を鋳造する際に形成される消失模型の全体的な構成を示した概略図であり、(a)は該消失模型の平面図、(b)は該平面図における矢印Xから見た該消失模型の側面図。 荷重を付加した場合の各プレス金型の変形量を示した図であり、(a)は本実施例における消失模型によって鋳造されたプレス金型の躯体部に相当する部位の変形量を示した斜視図、(b)は従来の消失模型によって鋳造されたプレス金型の躯体部に相当する部位の変形量を示した斜視図。 注湯作業時における消失模型の状態を示した側面図。 従来のプレス金型において、フルモールド法によって鋳造する際に形成される消失模型の全体的な構成を示した概略図であり、(a)は該消失模型の平面図、(b)は該平面図における矢印Yから見た該消失模型の側面図。 注湯作業時における従来の消失模型の状態を示した側面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
[消失模型1]
先ず、本発明を具現化する消失模型1の全体的な構成について、図1、および図2を用いて説明する。
ここで、以下の説明に関しては、便宜上、図1における矢印Aの方向を前方と規定して、以下説明する。また、図1(b)の側面図においては、図面上の上下方向を消失模型1の上下方向と規定して説明する。
なお、以下の説明においては、フルモールド法によって鋳造される鋳物において、プレス金型を例にとり、鋳造する際に形成される消失模型1の構成について説明するが、本発明における消失模型および鋳物の製造方法は、これに限定されるものではない。
即ち、本発明における消失模型および鋳物の製造方法は、例えばプレス金型や、溶接設備の架台や、精度測定用治具の定盤などのような、複雑な形状を有しつつ、使用時に受ける外力(荷重)に対して高い剛性を必要とする部品などについて、幅広く適用可能なものである。
消失模型1は主に発泡スチロールを素材とし、鋳造される鋳物の形状に即して模造される。
ここで、鋳造される鋳物としては、例えばプレス金型などのように、複雑な形状を有しつつ、使用時に受ける外力(荷重)に対して高い剛性を必要とする鋳物が挙げられる。
プレス金型は既知のプレス機械(図示せず)に備えられ、シート状の被加工材に絞り加工や曲げ加工、或いは剪断加工などのプレス加工を施すための金型である。
即ち、プレス金型は、前記プレス機械において、固定保持されるボルスタと、該ボルスタの上方にて上下方向に移動可能に設けられるスライドとの何れか一方に組み付けられるとともに、他方には、プレス金型と対応関係にある対応金型が別途組み付けられる。
そして、プレス金型と、前記対応金型との間にシート状の被加工材を配設し、前記スライドを下方に移動することで、前記被加工材はこれらプレス金型と、前記対応金型とによって挟持(プレス)され、プレス加工される。
前記プレス金型は、プレス加工の際に外部からの荷重を直接受ける第一の部位や、該第一の部位を保持するために設けられる第二の部位などを有して構成される。
よって、消失模型1は、前記第一の部位に相当する機能部2(図1において、網掛けによって示された部分)や、前記第二の部位に相当する躯体部3などを有して構成される。
先ず始めに、機能部2について説明する。
機能部2は、プレス金型を鋳造する溶融金属64(図3を参照)により燃焼されて消失する部材である発泡スチロールによって形成され、複数のプレス部21・21・・・や、それぞれ対に設けられる被挿入部22・22と被当接部23・23などにより構成される。
プレス部21は、鋳造されるプレス金型において、該プレス金型を用いて被加工材にプレス加工を施す際に、被加工材に当接してプレス加工を施す部位(以下、プレス金型におけるこのような部位を「転写プレス部」と記す)に即して形成される。
即ち、プレス部21の一側の側面部(図1(b)における上面部)には、転写プレス部の形成面に即した形状が形成される。
前記形成面は、プレス金型が被加工材にプレス加工を施すための部位であり、例えば、プレス金型を用いて被加工材に絞り加工を施す場合には、前記形成面は被加工材に転写される形状に即した形状に造形される。
このような形状からなる複数のプレス部21・21・・・は、前記形成面に相当する部位を上方に向けつつ、各々所定の位置に配設される。
そして、これらプレス部21・21・・・は、前記形成面に相当する部位と対向する下側の側面部(図1(b)における下面部)において、後述する躯体部3と固着される。
なお、鋳造されたプレス金型を用いて被加工材にプレス加工を施す際、プレス金型の転写プレス部は、形成面を介して被加工材に高圧力で押し付けられることとなり、前記転写プレス部は被加工材によって高圧の圧縮荷重を直接受けることとなる。
被挿入部22は、鋳造されたプレス金型を用いて被加工材にプレス加工を施す際に、プレス金型の水平方向に関する位置を規制するガイドピンなど(図示せず)が挿入される部位(以下、プレス金型におけるこのような部位を「転写被挿入部」と記す)に即して形成される。
ここで、前述したプレス金型と対応関係にある対応金型には、該プレス金型に向かって延出される丸棒状のガイドピンなどが備えられ、前記対応金型がプレス金型に対して相対的に近接離間することで、前記ガイドピンは、前記対応金型に追従してプレス金型に近接離間するようになっている。
一方、プレス金型の転写被挿入部には、前記ガイドピンの外径寸法と同程度の内径寸法からなる貫通孔が穿孔されるとともに、転写被挿入部は該貫通孔が前記ガイドピンと同軸上に位置するように、プレス金型に配設される。
そして、前記対応金型がプレス金型の近傍にまで移動すると、前記ガイドピンは転写被挿入部の貫通孔に挿入される。
この際、プレス金型の水平方向に対する位置が、前記対応金型に対してずれている場合、前記ガイドピンは、前記貫通孔に挿入されつつ、プレス金型が正常な位置に復元されるように前記貫通孔の内周面を押圧する。
このようなプレス金型の転写被挿入部の形状に即して、消失模型1の被挿入部22・22は複数個(本実施例においては二個)形成される。
そして、被挿入部22・22は、転写被挿入部の貫通孔に即して穿孔される、貫通孔22a・22aの軸心方向を上下方向に向けつつ、平面視にて複数のプレス部21・21・・・を間に挟んで互いに対向して配設される。
なお、前述のとおり、鋳造されたプレス金型を用いて被加工材にプレス加工を施す際、プレス金型の水平方向に対する位置が、前記対応金型に対してずれている場合、前記ガイドピンの外周面によって、プレス金型の転写被挿入部における貫通孔の内周面が、高圧力で押圧されることとなる。
よって、プレス金型の転写被挿入部は、前記ガイドピンによって高圧の圧縮荷重を直接受けることとなる。
被当接部23は、鋳造されたプレス金型を用いて被加工材にプレス加工を施す際に、プレス金型の垂直方向に関する位置を規制する当接ストッパー(図示せず)などが当接される部位(以下、プレス金型におけるこのような部位を「転写被当接部」と記す)に即して形成される。
ここで、前述したプレス金型と対応関係にある対応金型には、該プレス金型に向かって突出される当接ストッパーなどが備えられ、前記対応金型がプレス金型に対して相対的に近接離間することで、前記当接ストッパーは、前記対応金型に追従してプレス金型に近接離間するようになっている。
そして、前記対応金型がプレス金型の近傍まで移動し、これら対応金型とプレス金型とが型締めされると、前記当接ストッパーの突出端面は、転写被当接部の上端面と当接され、これら対応金型とプレス金型との垂直方向に関する相対位置は規制される。
このようなプレス金型の転写被当接部の形状に即して、消失模型1の被当接部23・23は複数個(本実施例においては二個)形成される。
そして、被当接部23・23は、前述したプレス部21・21・・・を間に挟んで互いに対向して配設される。
なお、鋳造されたプレス金型を用いて被加工材にプレス加工を施す際、転写被当接部の上面部は、前記当接ストッパーの突出端面によって高圧力で押圧されることとなり、前記転写被当接部は前記当接ストッパーによって高圧の圧縮荷重を直接受けることとなる。
このように、本実施例における消失模型1の機能部2は、複数のプレス部21・21・・・や、それぞれ対に設けられる被挿入部22・22と被当接部23・23などにより構成されるが、これに限定されるものではない。
即ち、鋳造されるプレス金型の構成によっては、転写被挿入部や転写被当接部を有しない(つまり、これら転写被挿入部や転写被当接部が、プレス金型や対応金型を固定保持するボルスタやスライドなどに設けられる)場合もある。
このようなプレス金型を鋳造するために模造される消失模型においては、複数のプレス部のみによって機能部が構成されることとなる。
次に、躯体部3について説明する。
躯体部3は、複数の棒状部材31・31・・・や、これら棒状部材31・31・・・を連結する複数の連結部材32・32・・・などにより構成される。
棒状部材31は躯体部3の骨組みを形成する部材であり、プレス金型を鋳造する溶融金属64により燃焼されて消失する中空形状の部材によって構成される。
ここで、棒状部材31の材料としては、発泡スチロールや木材や竹など、溶融金属64によって燃焼される材料であれば特に限定されないが、例えば鋳造時において湯道や堰を形成するために砂型内に埋設する、市販の紙パイプによって構成することができる。
即ち、このような市販の紙パイプによって棒状部材31を構成することで、躯体部3の汎用性が増し、消失模型1全体としての製作コストを低減することができるとともに、鋳造時における砂型内の溶融金属の湯流れ状態も向上し、鋳造品質を向上させることができる。
また、棒状部材31は、柱状に延出して形成されるばかりでなく、例えば、錐形に延出して形成されてもよく、該棒状部材31の断面形状については、三角形や四角形などの多角形や、楕円形状などあらゆる形状によって構成することが可能であるが、本実施例に示すように、円筒状によって構成することができる。
即ち、断面視円形状の筒状部材によって棒状部材31を形成することにより、後述する消失模型1の埋設作業時において(図3を参照)、型枠62の上方より投入する鋳物砂63が、途中棒状部材31に積もることなく落下し、確実に躯体部3をすり抜けて、型枠62内の底部にまで届くこととなる。
従って、型枠62の内部では、局部的に鋳物砂63が偏ることなく均等に充填され、砂型60の品質が向上し、鋳造品質を向上させることができるのである。
連結部材32は、複数の棒状部材31・31・・・を互いに連結するための部材であり、これら棒状部材31・31・・・と同じく、プレス金型を鋳造する溶融金属64により燃焼されて消失する部材によって構成される。
ここで、連結部材31の材料としては、紙材など溶融金属64によって燃焼される材料であれば特に限定されないが、例えば発泡スチロールによって構成し、消失模型1全体としての軽量化などを図ってもよい。
連結部材32の形状は多面体や球体など特に限定されないが、その外周面には棒状部材31の外径寸法に対して略同程度の内径寸法を有する複数の穴部が形成される。
なお、連結部材32の内部については、剛性を図るために中実構造としてもよいし、また、軽量化を図るために中空構造としてもよい。
そして、互いに近接し合う棒状部材31・31の間に連結部材32を配設し、これら棒状部材31・31の一端部を、それぞれ連結部材32の前記穴部に挿嵌することで、これら棒状部材31・31は連結される。
このような形状からなる、これら複数の棒状部材31・31・・・や連結部材32・32・・・を用いて、最小単位となる多角形状(本実施例においては三角形状)の骨組みを構成し、このような最小単位の骨組み構造を複数組み合わせることによって、躯体部3は構成される。
即ち、直方体の辺に沿って各々配設される12本の棒状部材31a・31a・・・と、該直方体の頂点に各々配設される8個の連結部材32a・32a・・・と、を組みつけてなる骨組み構造(以下、「直方体構造」と記す)において、該直方体構造の側面部には斜方向に配設される6本の棒状部材31b・31b・・・が設けられる。
つまり、直方体構造は、4個の連結部材32a・32a・・・と、3本の棒状部材31a・31a・31aと、3本の棒状部材31b・31b・31bと、によって構成される四面体構造を複数組み合わせることによって構成される。また、該四面体構造は、3個の連結部材32a・32a・32aと、2本の棒状部材31a・31aと、1本の棒状部材31bと、によって構成される三角形状の最小単位の第一骨組み構造Z1・Z1・・・を複数組み合わせることによって構成される。
そして、このような構成からなる直方体構造を複数組み合わせることにより、躯体部3の中央部は形成される。
換言すれば、三角形状の最小単位の第一骨組み構造Z1・Z1・・・を複数組み合わせることによって、躯体部3の中央部は形成されるのである。
一方、躯体部3の外周部においては、複数の連結部材32b・32b・・・が設けられるとともに、側面視において、上下方向に互いに近接し合う連結部材32b・32bは、直立方向に配設される棒状部材31cによって連結される。
また、これら連結部材32b・32b・・・の近傍に位置する連結部材32c・32c・・・は、側面視斜方向に延出する棒状部材31d・31d・・・や、水平方向に延出する棒状部材31e・31e・・・などによって連結される。
その結果、躯体部3の外周部においては、3本の棒状部材31c・31d・31dと3個の連結部材32b・32b・32cとからなる最小単位としての三角形状の骨組み構造Z2、および3本の棒状部材31a・31d・31eと3個の連結部材32b・32c・31cとからなる最小単位としての三角形状の骨組み構造Z3が形成され、これら骨組み構造Z2・・・Z3・・・を複数組み合わせて、躯体部3の外周部が構成されるのである。
このように、躯体部3は、複数(本実施例においては3本)の棒状部材31a・31a・31b(棒状部材31c・31d・31d、或いは棒状部材31a・31d・31e)と、これら棒状部材31a・31a・31b(棒状部材31c・31d・31d、或いは棒状部材31a・31d・31e)を多角形状(本実施例においては三角形状)に連結する複数の連結部材32a・32a・32a(連結部材32b・32b・32c、或いは連結部材32b・32c・32c)とにより構成される三角形状の骨組み構造を最小単位として構成される。
つまり、躯体部3は、最小単位となる三角形状の骨組み構造Z1・・・Z2・・・Z3・・・を複数組み合わせて構成され、これら棒状部材31a・31a・31b(棒状部材31c・31d・31d、或いは棒状部材31a・31d・31e)が形成する多角形状(本実施例においては三角形状)の集合体として、全体的に矩形状の立体として構成されるのである。
そして、躯体部3の上面側の骨格において、その平面視中央部には、複数のプレス部21・21・・・が各々所定の位置に配設されるとともに、これらプレス部21・21・・・の下面は、連結部材32a・32a・・・(或いは、連結部材32c・32c・・・)の上面と、接着剤によって固着される。
つまり、プレス部21・21・・・は、連結部材32a・32a・・・(或いは、連結部材32c・32c・・・)を介して、躯体部3の棒状部材31a・31a・・・と連結され、該躯体部3に保持される。
また、平面視において、躯体部3の四隅には、被挿入部22・22および被当接部23・23がそれぞれ対角線上に対向して配設される。
そして、これら被挿入部22・22および被当接部23・23には、躯体部3の外周部に沿って配設される複数の棒状部材31f・31f・・・が挿嵌され、該棒状部材31f・31f・・・を介して、これら被挿入部22・22および被当接部23・23は、躯体部3の外周部に沿って配設される複数の連結部材32b・32b・・・と連結される。
つまり、これら被挿入部22・22および被当接部23・23は、複数の棒状部材31f・31f・・・を介して躯体部3に連結され、該躯体部3に保持される。
なお、躯体部3を構成する複数の棒状部材31・31・・・や連結部材32・32・・・は、個数や本数、或いは形状などを自由に変更することができる。
よって、躯体部3の骨組みは、プレス部21・21・・・や被挿入部22・22や被当接部23・23などの大きさや配設位置、或いは鋳造されるプレス金型において、使用時に受ける外力(荷重)に対して高い剛性を必要とする箇所などの如何によって、自由に構成することができる。
従って、消失模型1は、複雑な形状を有しつつ、使用時に受ける外力(荷重)に対して高い剛性を必要とする、このようなプレス金型などの鋳物に対して、幅広く対応することができるのである。
ここで、本実施例における消失模型1と、従来の消失模型100(図4を参照)とによってそれぞれ鋳造される鋳物としてプレス金型50・150を例にとり、該プレス金型50・150の各躯体部3・102に相当する部位(以下、それぞれ「転写躯体部51」、「転写躯体部151」と記す)の剛性の比較について、図2を用いて説明する。
なお、各転写躯体部51・151の構成は、説明の都合上単純化を図っているため、躯体部3・102の構成と若干異なる構成にて記載している。
先ず、図2(b)の上段の図に示すように、従来の消失模型100によって鋳造されるプレス金型150の転写躯体部151は、消失模型100の平板部102a・102a・・・や、上面部102bに相当する部位である、複数の転写平板部152・152・・・や転写上面部153によって構成される。
即ち、転写躯体部151の骨格は、水平方向に配設される転写上面部153や、該転写上面部153の下面にて、該転写上面部153と垂直方向(該転写上面部153に対して直行する方向)、且つ互いに直交して固設される複数の転写平面部152・152・・・によって略立方体形状に構成される最小単位の骨組みを、水平面上に複数個連続して組み合わせることで構成される。
このような構成からなる転写躯体部151全体に対して、垂直方向の荷重(図2(b)における荷重P)を付加した場合、転写躯体部151の垂直方向に沿って配設される転写平面部152・152・・・には、圧縮荷重が働く。この際、これら転写平面部152・152・・・は、転写上面部153によって互いに上端部を連結されているため、前記圧縮荷重は複数の転写平面部152・152・・・に分散して弱められる。
その結果、図2(b)の下段の図に示すように、荷重Pを付加する前の状態(図2(b)における転写躯体部151A)と、荷重Pを付加した後の状態(図2(b)における転写躯体部151B)とを比較すると、転写上面部153には下方へ撓みが局部的に多少発生するが、転写平面部152・152・・・の座屈はほとんど発生せず、荷重Pが付加された場合の転写躯体部151全体としての変形量は、僅かな量であることが分かる。
従って、従来の消失模型100によって鋳造されるプレス金型150において、転写躯体部151は高い剛性を有していることが分かる。
なお、各転写平面部152に発生する僅かな座屈は、該転写平面部152の下端部において、僅かな撓みを形成する。
その結果、転写躯体部151Bの下端部において、近接する転写平面部152・152間の距離(図2(b)における寸法B1)は、若干変形される。
一方、図2(a)の上段の図に示すように、本実施例の消失模型1によって鋳造されるプレス金型50の転写躯体部51は、消失模型1の棒状部材31・31・・・や連結部材32・32・・・に相当する部位である、複数の転写棒状部52・52・・・や転写連結部53・53・・・によって構成される。
即ち、転写躯体部51の骨格は、3本の転写棒状部52・52・52と3個の転写連結部53・53・53とにより、最小単位としての三角形状の骨組み構造を構成し、これら最小単位の骨組み構造を複数組み合わせてなる四面体構造を、さらに複数組み合わせて直方体構造を構成し、該直方体構造を水平面上に複数組み合わせることによって構成される。
このような構成からなる転写躯体部51全体に対して、垂直方向の荷重(図2(a)における荷重P)を付加した場合、転写躯体部51の垂直方向に沿って配設される転写棒状部52a・52a・・・には、圧縮荷重が働くが、転写躯体部51の水平方向に沿って配設される転写棒状部52b・52b・・・や、上下両側面部に配設される転写棒状部52c・52c・・・には、前記荷重Pによって直接影響を受けることはない。
また、転写躯体部51の骨格を構成する前記直方体構造の前後左右両側面部において、斜方向に各々配設される転写棒状部52d・52d・・・には、分散して弱められた荷重Pが圧縮荷重として働く。
このようなことから、転写躯体部51の骨格を構成する各々の四面体構造は、前記転写棒状部52b・52b・・・や、前記転写棒状部52c・52c・・・や、前記転写棒状部52d・52d・・・によって、荷重Pが付加される以前の形状を維持するように、頑強に保たれることとなる。
その結果、図2(a)の下段の図に示すように、荷重Pを付加する前の状態(図2(a)における転写躯体部51A)と、荷重Pを付加した後の状態(図2(a)における転写躯体部51B)とを比較すると、荷重Pが付加された場合の転写躯体部51全体としての変形量は、僅かな量であることが分かる。
また、転写躯体部51Bの下端部において、近接する転写連結部53・53間の距離(図2(a)における寸法B2)についても、略変形されないことが分かる。
従って、本実施例の消失模型1によって鋳造されるプレス金型50においても、前述したプレス金型150以上に、転写躯体部51は高い剛性を有していることが分かる。
以上のように、本実施例における消失模型1において、例えばプレス金型などのような鋳物における外部からの荷重を直接受ける第一の部位に相当する機能部2については、切削機械などを用いて、発泡スチロールからなる素材を精確に切削して造形することとしている。
また、本実施例における消失模型1では、プレス金型(鋳物)における前記第一の部位を保持するための第二の部位に相当する躯体部3については、例えば紙パイプなどからなる複数の棒状部材31・31・・・や、発泡スチロールなどからなる複数の連結部材32・32・・・によって構成される最小単位の骨組みの集合体(スケルトン構造)として構成することとしている。
このような構成を有することで、消失模型1では、従来のような、矩形状の箱体構造からなる躯体部102を有した消失模型100(図4を参照)と比較して、高い剛性を維持しつつ、全体重量を低減することが可能となり、作業者にとっては扱いやすく、鋳物砂内への消失模型1の埋設作業を容易なものに改善することができるのである。
また、このような構成を有することで、消失模型1の躯体部3の構造は簡素化され、該消失模型1に塗布される途型剤の量も低減することができる。
その結果、消失模型1においては、従来の消失模型100のような、塗型剤の自重によって消失模型100の一部に歪みが発生して、鋳造品質が低下する心配もない。
また、このような構成を有することで、消失模型1は、従来の消失模型100に比べて発泡スチロールの素材部分を大幅に減らすことが可能となり、溶融金属64(図3を参照)の鋳造時において、後述する砂型60内に発生するガスの量も大幅に減少し、鋳造品質を向上させることができる。
さらに、このような構成を有することで、消失模型1全体に占める各構成要素(より具体的には、機能部2を構成するプレス部21や被挿入部22や被当接部23、および躯体部3を構成する棒状部材31や連結部材32)の大きさは小さくなり、注湯された溶融金属64の冷却時における収縮量も低減される。
そのため、前記収縮量を見越して消失模型1をひとまわり大きく造形する必要もなくなり、作業者にとっては扱いやすく、後述する消失模型1の砂込め作業を容易なものに改善することができるのである。
また、本実施例における消失模型1の製作時において、機能部2を構成するプレス部21・21・・・や被挿入部22・22や被当接部23・23は、各々単独に造形することが可能であるばかりか、これらプレス部21・21・・・や被挿入部22・22や被当接部23・23は、それぞれ小型の部品で構成される。
よって、これらプレス部21・21・・・や被挿入部22・22や被当接部23・23は、大型の加工設備を設けることなく、従来の加工設備によって、それぞれ一体的に造形することができる。
従って、従来の消失模型のような、複数の板状の発泡スチロールを各々造形した後に、これら造形された発泡スチロールを順に積層して接着する必要もなく、接着剤の使用量を低減することができ経済的である。
また、従来の消失模型100(図4を参照)のように、これら造形された複数の発泡スチロールを積層する際に、互いの発泡スチロールの位置ずれが発生することもなく、鋳造品質の低下を引き起こすようなこともないのである。
[消失模型1を用いた鋳物の鋳造方法]
次に、消失模型1を用いて鋳造される鋳物としてプレス金型を例にとり、該プレス金型の鋳造方法について、図3、および図5を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図3、および図5における矢印Aの方向を前方と規定して説明する。
また、図3、および図5においては、図面上の上下方向を前記鋳造方法に用いられる各砂型60・160の上下方向と規定して、以下説明する。
図3に示すように、消失模型1を用いたプレス金型(鋳物)の鋳造方法においては、先ず、鋳造するプレス金型(鋳物)の形状に即して予め模造された消失模型1に、湯道や堰を形成するための紙パイプ61が固設される。
前記紙パイプ61は、例えば大小二種類の外径寸法からなる二本の第一紙パイプ61a・61aや第二紙パイプ61b・61bなどにより構成される。
第一紙パイプ61aは、第二紙パイプ61bに比べて外径寸法が大きく、砂型60内に溶融金属64を注湯する際、湯道を形成する部位として、消失模型1に配設される。
より具体的には、第一紙パイプ61a・61aは、互いに直角方向に連結され、一方の第一紙パイプ61aは、消失模型1におけるプレス部21・21・・・が配設される側(図1において、消失模型1の上方側)の近傍に位置するように、また他方の第一紙パイプ61aは、消失模型1の近傍にて上方側(図1において、消失模型1の下方側)に延出するようにして配設される。
第二紙パイプ61bは、第一紙パイプ61aに比べて外径寸法が小さく、砂型60内に溶融金属64を注湯する際、堰を形成する部位として、消失模型1に配設される。
より具体的には、第二紙パイプ61b・61bは、前述した一方の第一紙パイプ61aと、消失模型1との間に配設される。
そして各第二紙パイプ61bにおいて、その一端部は、前述した一方の第一紙パイプ61aと連結され、その他端部は、消失模型1の四隅における何れかひとつの連結部材32dと連結される。
このような構成からなる紙パイプ61・61は、一体の消失模型1に対して二箇所設けられ、消失模型1の四隅における全ての連結部材32d・32d・32d・32dが、第二紙パイプ61b・61b・61b・61bを介して第一紙パイプ61a・61aと連通されるようになっている。
一方、図5に示すように、従来の消失模型100を用いたプレス金型の製造方法においても、先ず、鋳造するプレス金型の形状に即して予め模造された消失模型100に、湯道や堰を形成するための紙パイプ161が固設されるが、該紙パイプ161の構成は、消失模型1に固設される紙パイプ61と相違する。
即ち、湯道を形成する部位として消失模型100に配設される第一紙パイプ161a・161aの構成は、前述した紙パイプ61の第一紙パイプ61a・61aと同等である。
しかし、堰を形成する部位として消失模型100に配設される第二紙パイプ161b・161b・・・・の構成は、複数設けられる点において、前述した紙パイプ61の第二紙パイプ61b・61bと相違する。
そして、これら複数の第二紙パイプ161b・161b・・・は、各々一端部において、一方の第一紙パイプ161aと連結され、他端部において、消失模型100の機能部101を構成するプレス部111・111・・・や被挿入部112や被当接部113に連結される。
なお、このように、本実施例における消失模型1に固設される紙パイプ61と、従来の消失模型100に固設される紙パイプ161との構成が相違するのは、以下の理由による。
即ち、従来の消失模型100においては、発泡スチロールのみを用いて全体の形状を形成しているため、溶融金属164の注湯時に発生するガスの量は大量になる。そのため、消失模型100では、該ガスによって溶融金属164の湯流れが妨げられて鋳造品質が低下することがないように、複数の第二紙パイプ161b・161b・・・を設けて、溶融金属164の消失模型100への通り道を複数確保していた。
これに対して、本実施例における消失模型1では、機能部2を構成するプレス部21や被挿入部22や被当接部23、および躯体部3を構成する連結部材32のみを発泡スチロールによって形成し、躯体部3の大部分を占める棒状部材31は紙パイプによって構成することとしている。
よって、消失模型1に用いられる発泡スチロールの量は大幅に削減され、溶融金属64の注湯時に発生するガスの量は、従来の消失模型100に比べて大幅に減少することとなる。
従って、消失模型1においては、前記ガスによって溶融金属64の湯流れが妨げられないように、複数の第二紙パイプ61b・61b・・・を設ける必要もなく、消失模型1の四隅における全ての連結部材32d・32d・32d・32dにこれら第二紙パイプ61b・61b・61b・61bを設けるだけで足りる。
つまり、このような構成とすれば、連結部材32d・32d・32d・32dに到達した溶融金属64は、その後、棒状部材31を通って、消失模型1全体に行き渡るのである。
このように、消失模型1においては、従来の消失模型100と比べて、堰を形成する部位として消失模型1に配設される第二紙パイプ61b・61bの本数を減らすことが可能となり、紙パイプ61の構成が比較的簡単になる。
その結果、砂型60全体としてのコストを削減でき経済的であるばかりか、紙パイプ61は作業者にとって扱いやすく、消失模型1に紙パイプ61を固設する作業を容易なものに改善することができるのである。
消失模型1に紙パイプ61が固設されると、砂型60の造形作業が開始される。
砂型60の造形作業は、上面が開口された箱体構造からなる型枠62内において、消失模型1を鋳物砂63内に埋設することによって行われる。
より具体的には、予め少量の鋳物砂63が投入された型枠62内に、プレス部21・21・・・が配設される側を下方に向けて消失模型1を配設し、その後さらに、上方より鋳物砂63を型枠62内に投入して充填することで、消失模型1は鋳物砂63内に埋設され、砂型60が造形される。
一方、図5に示すように、従来の消失模型100を用いたプレス金型の製造方法においても、消失模型100に紙パイプ161が固設されると、砂型160の造形作業が開始される。
ここで、砂型160の造形作業は、消失模型100の裏面側(図4における下面側)からの砂込め作業と、表面側(図4における上面側)からの砂込め作業の二段階にわたって行われる。
即ち、先ず、型枠162内において、複数のプレス部111・111・・・を上方に向けて消失模型100を配設し、これらプレス部111・111・・・の表面など複雑な形状をした細部に対して砂込め作業が行われる。
その後、消失模型100は、型枠162内において、上下方向を反転して再び配設され(つまり、型枠162内において、プレス部111が下方に向くようにして消失模型100は配設され)、躯体部102に形成される複数の空間部121・121・・・などに対して砂込め作業が行われる。
そして、このような砂込め作業は、作業者が蹲踞や腹這い状態からなる不自然な姿勢を維持しつつ、これらプレス部111や空間部121に、鋳物砂163を指先によって押し付けることで行われる。
なお、これらプレス部111や空間部121の形状によっては、砂込め作業を行う作業者のカンやコツなどの技能の成熟度合いや腕力などによって、砂込め作業の状態の良し悪しが左右されることとなっていた。
このように、従来の消失模型100においては、鋳造されるプレス金型(鋳物)の構成上、配線を通すため、或いは軽量化を図るためなどの理由から、部分的に貫通孔102d・102d・・・(図4を参照)が形成されることもあるが、躯体部102の大部分は、上面部102bや複数の平板部102a・102a・・・などからなる箱体構造によって構成されるため、消失模型100の周囲の細部にまで鋳物砂163を付着させるには、表裏両面からの二段階における砂込め作業が必要であった。
これに対して、本実施例における消失模型1においては、複数の棒状部材31・31・・・や連結部材32・32・・・などからなるスケルトン構造によって躯体部3が構成される。
よって、型枠62の上方より投入する鋳物砂63は、躯体部3をすり抜けて、該型枠62内の底部にまで簡単に届くこととなり、その後、型枠62内に充填された鋳物砂63は、自身の自重によって隙間無く固められることとなる。
従って、本実施例における消失模型1を用いた砂型60の造形作業においては、従来の消失模型100を用いた砂型160の造形作業に比べて、消失模型100の裏面側(図1における下方側)からの砂込め作業のみとなり、前記造形作業を容易なものに改善することができる。
また、消失模型1の砂込め作業においては、従来の消失模型100の砂込め作業のように、作業者が蹲踞や腹這い状態からなる不自然な姿勢を維持しつつ、指先で鋳物砂163を押し付けるような作業を必要とせず、消失模型1が内装される型枠62の上方より鋳物砂63を投入するだけでよい。
従って、本実施例における消失模型1を用いた砂型60の造形作業においては、作業者は自然な立ち姿勢によって消失模型1の砂込め作業を行うことができ、前記造形作業を容易なものに改善することができる。
また、砂込め作業を行う作業者のカンやコツなどの技能の成熟度合いや腕力などに左右されることなく、均一の鋳造品質を確保することができる。
さらに、作業者の指先の押圧力によって、消失模型1の細部の形状を変形したり、或いは、撓みを発生させたりすることもなく、均一の鋳造品質を確保することができるのである。
なお、プレス部21・21・・・が配設される側を下方に向けて、型枠62内に消失模型1を配設するのは、以下の理由による。
即ち、砂型60内に溶融金属64を注湯する際、該砂型60内の溶融金属64の湯流れは、消失模型1より発生するガスの抵抗によって妨げられやすく、前記湯流れの下流側(図3における砂型60内の上部側)においては、鋳造品質の低下を引き起こす可能性がある。
そのため、消失模型1は、高度な鋳物品質が要求されるプレス部21・21・・・を、前記湯流れの上流側(図3における砂型60内の上部側)に配設し、前記プレス部21・21・・・に対してこのような鋳造品質の低下を極力回避するようにしているのである。
型枠62内へ鋳物砂63が充填されると、該型枠62の上面は蓋部材65によって閉塞される。この際、前述した他方の第一紙パイプ61aの上端部は、蓋部材65に貫設され、該蓋部材65の上面部に設けられる注ぎ口66と連通される。
その後、前記注ぎ口66に溶融金属64が注がれ、砂型60内への溶融金属64の注湯が開始される。
注ぎ口66に注がれた溶融金属64は、第一紙パイプ61a、第二紙パイプ61bと順に通って消失模型1に到達する。
消失模型1に到達した溶融金属64は、先ず、該消失模型1の四隅における連結部材32b・32b・32b・32bを燃焼する。これにより、連結部材32b・32b・32b・32bは消失し、連結部材32b・32b・32b・32bが存在していた部分に溶融金属64が充填される。
その後、溶融金属64は、複数の棒状部材31・31・・・の内部を通じて該消失模型1全体に行き渡る。溶融金属64が複数の棒状部材31・31・・・を通じて消失模型1内に充填されていく際には、棒状部材31・31・・・が燃焼されて溶融金属64と置き替わる。
このように、該消失模型1(機能部2および躯体部3)に入れ替わって溶融金属64が砂型60内に充填される。
なお、棒状部材31・31・・・は、本実施形態においては中空のパイプにて構成されているが、棒状部材31・31・・・は溶融金属64により燃焼されて消失し、溶融金属64と置き替わるため、中実の棒状部材にて構成することも可能である。
その後、溶融金属64は砂型60とともに冷却され、消失模型1の形状に即したプレス金型(鋳物)が鋳造されるのである。
以上のように、本実施例における消失模型1は、例えばプレス金型などの鋳物を鋳造するための消失模型1であって、前記消失模型1は、前記鋳物における外部からの荷重を直接受ける第一の部位に相当する機能部2と、前記鋳物における前記第一の部位を保持するための第二の部位に相当する躯体部3と、を備え、前記躯体部3は、複数の棒状部材31・31・・・と、これら棒状部材31・31・・・を互いに連結する複数の連結部材32・32・・・と、を有するとともに、これら棒状部材31・31・・・が形成する多角形状の集合体として構成され、前記機能部2は、前記連結部材32・32・・・を介して前記躯体部3と連結され、前記機能部2、前記連結部材32・32・・・、および棒状部材31・31・・・は、鋳物を鋳造する溶融金属64により燃焼されて消失する部材にて構成されることとしている。
また、本実施例における金型の製造方法は、消失模型1を用いて鋳造する、例えばプレス金型などの鋳物の製造方法であって、前記消失模型1は、前記鋳物における外部からの荷重を直接受ける第一の部位に相当する機能部2と、前記鋳物における前記第一の部位を保持するための第二の部位に相当する躯体部3と、を備え、前記躯体部3を、複数の棒状部材31・31・・・を連結部材32・32・・・にて互いに連結して、これら棒状部材が形成する多角形状の集合体として構成し、前記機能部2を、前記連結部材32・32・・・を介して前記躯体部3と連結し、前記機能部2、前記連結部材32・32・・・、および棒状部材31・31・・・を、鋳物を鋳造する溶融金属64により燃焼されて消失する部材にて構成し、前記消失模型1を砂型60内に埋設し、前記砂型60内に溶融金属64を注湯して、前記消失模型1を前記砂型60内に注湯された溶融金属64と置換しつつ、鋳物を鋳造することとしている。
このような構成を有することで、本実施例における消失模型1および該消失模型1を用いて鋳造する鋳物の製造方法に拠れば、該消失模型1を砂型60内に埋設する際の砂込め作業を容易にしつつ、鋳造された鋳物の品質(鋳造品質)を向上させるための、消失模型1および鋳物の製造方法の技術を提供することができる。
即ち、本実施例における消失模型1では、例えばこのような鋳物の一例としてのプレス金型における前記第一の部位を保持するための第二の部位に相当する躯体部3については、複数の棒状部材31・31・・・や連結部材32・32・・・によって構成される最小単位の骨組みの集合体(スケルトン構造)として構成することとしている。
よって、型枠62の上方より投入する鋳物砂63は、躯体部3をすり抜けて、該型枠62内の底部にまで簡単に届くこととなり、その後、型枠62内に充填された鋳物砂63は、自身の自重によって隙間無く固められることとなる。
従って、本実施例における消失模型1を用いた砂型60の造形作業においては、従来の消失模型100を用いた砂型160の造形作業に比べて、消失模型100の裏面側(図1における下方側)からの砂込め作業のみとなり、該砂込め作業を容易なものに改善することができるのである。
また、消失模型1の砂込め作業においては、従来の消失模型100の砂込め作業のように、作業者が蹲踞や腹這い状態からなる不自然な姿勢を維持しつつ、指先で鋳物砂163を押し付けるような作業を必要とせず、消失模型1が内装される型枠62の上方より鋳物砂63を投入するだけでよい。
従って、砂込め作業を行う作業者のカンやコツなどの技能の成熟度合いや腕力などに左右されることなく、均一の鋳造品質を確保することができるのである。
また、本実施例における消失模型1および鋳物の製造方法においては、前記機能部2は発泡スチロールによって造形されることとしている。
このような構成を有することで、消失模型1は、従来の消失模型100に比べて発泡スチロールの素材部分を大幅に減らすことが可能となり、溶融金属64の鋳造時において、砂型60内に発生するガスの量も大幅に減少し、鋳造品質を向上させることができるのである。
また、本実施例における消失模型1および鋳物の製造方法においては、前記棒状部材31は中空形状の部材であることとしている。
このような構成を有することで、鋳型60に注湯された溶融金属64は、棒状部材31内を通って、消失模型1全体に確実に行き渡ることとなる。また、特に、棒状部材31を円筒部材によって形成すれば、型枠62の上方より投入する鋳物砂63は、途中棒状部材31に積もることなく落下し、確実に躯体部3をすり抜けて、型枠62内の底部にまで届くこととなる。
従って、型枠62の内部では、局部的に鋳物砂63が偏ることなく均等に充填され、砂型60の品質が向上し、鋳造品質を向上させることができるのである。
1 消失模型
2 機能部
3 躯体部
31 棒状部材
32 連結部材
60 砂型
64 溶融金属

Claims (6)

  1. 鋳物を鋳造するための消失模型であって、
    前記消失模型は、
    前記鋳物における外部からの荷重を直接受ける第一の部位に相当する機能部と、
    前記鋳物における前記第一の部位を保持するための第二の部位に相当する躯体部と、
    を備え、
    前記躯体部は、
    複数の棒状部材と、
    これら棒状部材を互いに連結する複数の連結部材と、
    を有するとともに、
    これら棒状部材が形成する多角形状の集合体として構成され、
    前記機能部は、
    前記連結部材を介して前記躯体部と連結され、
    前記機能部、前記連結部材、および棒状部材は、
    鋳物を鋳造する溶融金属により燃焼されて消失する部材にて構成される、
    ことを特徴とする消失模型。
  2. 前記機能部は発泡スチロールによって造形される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の消失模型。
  3. 前記棒状部材は中空形状の部材である、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の消失模型。
  4. 消失模型を用いて鋳造する鋳物の製造方法であって、
    前記消失模型は、
    前記鋳物における外部からの荷重を直接受ける第一の部位に相当する機能部と、
    前記鋳物における前記第一の部位を保持するための第二の部位に相当する躯体部と、
    を備え、
    前記躯体部を、
    複数の棒状部材を連結部材にて互いに連結して、
    これら棒状部材が形成する多角形状の集合体として構成し、
    前記機能部を、
    前記連結部材を介して前記躯体部と連結し、
    前記機能部、前記連結部材、および棒状部材を、
    鋳物を鋳造する溶融金属により燃焼されて消失する部材にて構成し、
    前記消失模型を砂型内に埋設し、前記砂型内に溶湯金属を注湯して、前記消失模型を前記砂型内に注湯された溶湯金属と置換しつつ、鋳物を鋳造する、
    ことを特徴とする鋳物の製造方法。
  5. 前記機能部は発泡スチロールによって造形される、
    ことを特徴とする請求項4に記載の鋳物の製造方法。
  6. 前記棒状部材は中空形状の部材である、
    ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の鋳物の製造方法。
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