JP5454313B2 - クロム含有鋼の吹酸脱炭方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クロム含有鋼の吹酸脱炭方法に関するものである。
ステンレス鋼を代表とするクロム含有鋼を溶製する方法として、電気炉を用いる方法と転炉を用いる方法が採用されている。電気炉を用いる方法は鉄源として主にスクラップを用い、電気炉のみで仕上げ精錬を完了する普通法、炉外精錬にVODを用いる方法、AOD炉を用いる方法が採用されている。転炉を用いる方法では、鉄源として主に高炉溶銑を用い、転炉内の溶銑にFe−Crを添加して吹酸脱炭を行う。その後、炉外精錬としてVOD、AOD、RH−OBなどが組み合わされる(非特許文献1参照)。
クロム含有鋼の溶製において、鋼中のCr源として主にFe−Crが用いられる。Fe−Crには、S含有量が0.03質量%以上である汎用Fe−Crと、S含有量が0.02質量%以下である低硫黄Fe−Crとがある。低硫黄Fe−Crは汎用Fe−Crと比較して高価である。
鋼中に含有する硫黄は鋼品質に種々の悪影響を及ぼすため、クロム含有鋼においても鋼中の硫黄含有量を低減することが要求される。
しかし、高クロム溶鉄は脱硫が困難であることが知られており、クロム源としてS含有量が高い汎用Fe−Crを用いたのでは、クロム源添加後に溶湯脱硫を行ったとしても目標とするS含有量まで脱硫を進行させることが困難となる。
例えば上記した転炉を用いる方法では、溶銑予備処理にて脱硫した溶銑を転炉に供給し、転炉でFe−Crを供給、溶解するが、吹酸脱炭の際にある程度は溶鋼の脱硫がなされるものの、その溶鋼中にクロムを含むため脱硫能力の限界がある。このため一般に、転炉で供給するFe−Crは前記した低硫黄Fe−Crを使用する前提で、転炉に供給する溶銑は硫黄含有量を0.013質量%以下(吹酸脱炭開始時点での目標S含有量をS≦0.013質量%とすること)となるように溶銑予備処理することが求められていた。この転炉での処理の後、用途に応じて炉外精錬(二次精錬)で脱硫処理がなされるが、溶鋼にクロムを含み、炭素量も少ないため、その脱硫能力には限界があるため、転炉に供給する溶銑(吹酸脱炭開始時)はS含有量を0.013質量%以下とすることは重要である。
なお本発明は、Fe−Crに含まれる硫黄と溶湯中のS量について取り扱うものであり、吹酸脱炭工程で添加する副原料(例えば炭材、Mn、Si等を添加する合金鉄)中に含まれる硫黄は、前記した吹酸脱炭開始時のS含有量(0.013質量%以下)には含めない。
また上記した電炉を用いる方法でも、電炉でクロム含有粗溶鋼を溶製した後の脱硫能力には限界があり、低硫黄ステンレススクラップや低硫黄Fe−Crを使用する等の原料を選定し、溶製の前段階で硫黄の混入を防ぐ必要がある。
上記のように、高クロム溶鉄は脱硫が困難であることから、クロム源として高価な低硫黄Fe−Crが用いられていた。
特許文献1には、原料を電気炉に装入して含Cr溶銑を製造し、次いで転炉で吹酸脱炭し、脱ガス工程で真空脱炭及び脱酸を行い、その後に連続鋳造装置でスラブを製造する方法が記載されている。また特許文献2には、クロムを含んだ竪型炉溶湯と電気炉溶湯を合わせ湯した後に転炉で精錬する方法が記載されている。特許文献1、2に記載されたいずれの方法においても、クロム源を添加した後の溶湯について脱硫を行うため、脱硫精錬において高い脱硫効率を実現することが困難であり、クロム源としては高価な低硫黄Fe−Crを用いることとなる。
特開昭51−28502号公報 特開平4−107206号公報
日本鉄鋼協会編「第3版鉄鋼便覧II製銑・製鋼」昭和54年丸善株式会社発行、第695〜728頁
吹酸脱炭開始時点においてS≦0.013質量%程度が要求される低硫黄クロム含有鋼を溶製する場合においても、クロム源として、高価な低硫黄Fe−Crではなく安価な汎用Fe−Crを用いることができれば、鋼製造コストを低減することができる。そこで本発明は、吹酸脱炭開始時点においてS≦0.013質量%程度が要求される低硫黄クロム含有鋼を溶製する場合において、クロム源として安価な汎用Fe−Crを用いることを可能にするクロム含有鋼の吹酸脱炭方法を提供することを目的とする。
Cr含有量が10%以上である高クロム溶湯であって、クロム源としてS含有量が高い汎用Fe−Crを用いた場合であっても、脱硫精錬後のS含有量を0.014〜0.020質量%程度まで低減するのであれば、通常の脱硫精錬で実現可能である。また、Cr含有量が4%以下の低クロム溶湯であれば、脱硫精錬でS含有量を0.010質量%以下まで低減することは容易である。そして、このように脱硫精錬を行った後の含クロム溶湯と低クロム溶湯とを混合し、この混合溶湯を精錬容器内で吹酸により脱炭することとすれば、クロム源としてS含有量が高い汎用Fe−Crを用いた場合であっても、吹酸脱炭開始時の溶湯中S含有量を0.013質量%以下とすることが可能となる。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)電気炉にてC:2〜8質量%、Cr:10質量%以上の含クロム溶湯を溶製し、Cr:4質量%以下の低クロム溶湯を準備し、前記含クロム溶湯X(トン)と低クロム溶湯とを混合してCr:8〜26質量%の混合溶湯Y(トン)とし、0.52≦X/Y≦0.80を満足し、前記混合溶湯を精錬容器内で吹酸により脱炭し、前記含クロム溶湯のCr源として、全Cr分のうち50%相当分以上について、S含有量が0.03質量%以上の汎用Fe−Crを用い、電気炉溶製後の含クロム溶湯のS含有量を0.014〜0.020質量%とし、前記低クロム溶湯のS含有量を0.010質量%以下とすることを特徴とするクロム含有鋼の吹酸脱炭方法

本発明は、クロム含有鋼の吹酸脱炭方法において、Cr:10質量%以上の含クロム溶湯とCr:4質量%以下の低クロム溶湯を準備し、前記含クロム溶湯X(トン)と低クロム溶湯とを混合してCr:8〜26質量%の混合溶湯Y(トン)とし、0.52≦X/Y≦0.80を満足する比率とする。これにより、含クロム溶湯については電気炉溶製時にS含有量を0.014〜0.020質量%までの軽脱硫を行い、低クロム溶湯についてはS含有量を0.010質量%以下までの重脱硫を行い、両者を混合した場合、含クロム溶湯の原料としてS含有量が高い汎用Fe−Crを用いたとしても、混合溶湯の吹酸脱炭開始時点におけるS含有量を0.013質量%以下とすることができる。
本発明方法のフローを示す概略図である。 溶鉄中Cr濃度と脱硫処理後S濃度の関係を示す図である。 混合後のCr濃度をそれぞれ8%、26%とする場合において、含クロム溶湯中Cr濃度と比X/Yの関係を示す図である。 含クロム溶湯の電気炉精錬において、処理後C濃度と処理後スラグ中Cr23濃度との関係を示す図である。 含クロム溶湯の電気炉精錬において、処理後Cr濃度と処理後スラグ中Cr23濃度との関係を示す図である。 含クロム溶湯の電気炉精錬において、処理後Cr濃度と処理後スラグ中Cr23濃度/溶湯中Cr濃度との関係を示す図である。
本発明が対象とするクロム含有鋼は、低硫鋼を対象としており、転炉等の精錬容器における吹酸脱炭開始時点においてS含有量が0.013質量%以下、望ましくは0.011質量%以下である鋼を対象とする。
前述のとおり、高クロム溶鉄は脱硫精錬が困難であることが知られていた。その理由は以下のように説明できる。即ち、溶湯中に含まれるクロムは硫黄の活量を下げる。また、クロムは炭素の活量も下げるので、結果として溶湯中の酸素濃度が上昇することとなる。従って、下記式に示す脱硫反応は、溶湯中のCr濃度が高くなるほど進行しづらくなる。図2は、溶鉄の脱硫精錬における溶鉄中クロム含有量と脱硫精錬後の溶鉄中硫黄濃度の関係を示したものである。脱硫精錬としては脱硫材にCaOを用い、通常の低硫溶鉄の製造を模した平衡実験の結果を示したものである。溶湯中のクロム濃度が高いほど、脱硫精錬後の硫黄濃度が高くなっていることがわかる。溶湯中クロム含有量が10%以上となると、脱硫精錬を行ったとしても精錬終了時点での到達S含有量はたかだか0.014質量%が限界である。一方、溶湯中クロム含有量が4%以下であると、精錬終了時点で到達S含有量が0.009質量%以下まで低減する。
CaO+S=CaS+O
含クロム鋼を溶製する際のクロム源として用いられるFe−Crには、S含有量が0.03質量%以上である汎用Fe−Crと、S含有量が0.02質量%以下である低硫黄Fe−Crとがある。Cr含有量が8質量%以上であるクロム含有鋼を溶製する場合、クロム源としてS含有量が高い汎用Fe−Crを用いると、Fe−Cr添加後の溶湯中のS含有量がCr源起因で0.004質量%程度上昇する。Fe−Cr以外の主要な原料である鉄源、即ち高炉溶銑あるいは鉄スクラップからのS混入と合わせ、溶湯中のS含有量は0.014質量%まで上昇することになる。クロム源添加後の溶湯中のS含有量がここまで上昇すると、上記のようにクロムを含有する溶湯の脱硫は困難である。従って、吹酸脱炭開始時点においてS≦0.013質量%程度が要求される低硫黄クロム含有鋼を溶製する場合において、クロム源として高価な低硫黄Fe−Crが用いられていた。
Cr含有量が10%以上である高クロム溶湯であって、クロム源としてS含有量が高い汎用Fe−Crを用いた場合であっても、脱硫精錬後のS含有量を0.014〜0.020質量%程度まで低減するのであれば、脱硫負荷が軽減されるため、電気炉を用いた通常の脱硫精錬で実現可能である。
一方、Cr含有量が4%以下の低クロム溶湯であれば、図2から明らかなように、脱硫精錬でS含有量を0.010質量%以下まで低減することは容易である。例えば低クロム溶湯として高炉溶銑を用いる場合、精錬前のS含有量は0.020質量%程度であり、トーピードカー脱硫、KR脱硫などの炉外脱硫精錬によってS含有量を0.010質量%以下、0.009質量%程度まで低減することができる。
そして図1に示すように、このように脱硫精錬を行った後の含クロム溶湯(S含有量:0.014質量%以上)と、同じく脱硫精錬を行った低クロム溶湯(S含有量:0.009質量%程度)とを混合し、この混合溶湯を精錬容器内で吹酸により脱炭することとすれば、クロム源としてS含有量が高い汎用Fe−Crを用いた場合であっても、吹酸脱炭開始時の溶湯中S含有量を0.013質量%以下とすることが可能となる。
含クロム溶湯X(トン)と低クロム溶湯とを混合して、混合溶湯Y(トン)を溶製する。S含有量について、含クロム溶湯は0.014質量%、低クロム溶湯は0.009質量%、混合溶湯を0.013質量%以下とし、XとYが満たすべき関係を計算すると、
0.014×X+0.009×(Y−X)≦0.013×Y
から、
X/Y≦0.80
が導かれる。
電気炉でCr含有量10質量%以上の含クロム溶湯を溶製するに際し、溶湯とその上に形成される溶融スラグ成分との間には、クロム源溶解後の溶湯中Cr含有量が高くなるほどスラグ中Cr23濃度が高くなる関係がある。そして、電気炉にてCr濃度5〜70質量%の溶鉄を溶製したところ、溶鉄中のCr濃度が50質量%を超えると、固体のCr23が生成しやすくなり、スラグラインに位置する炉壁耐火物が顕著に損耗されることがわかった。本発明において、含クロム溶湯と低クロム溶湯を混合してCr含有量が最大26質量%の混合溶湯を溶製しようとしている。そこで、炉壁耐火物を溶損しない条件として、低クロム溶湯中のCr濃度をゼロと置き、
50×X≧26×Y
から、
X/Y≧26/50=0.52
が導かれる。
混合溶湯中のCr含有量を定めたときに、含クロム溶湯中のCr含有量とX/Yが満たすべき関係について示したのが図3である。図中実線は、混合溶湯のCr含有量を本発明の下限である8質量%とする場合について示した。含クロム溶湯中のCr含有量が10質量%以上であれば、X/Yが0.80以下において混合溶湯のCr含有量を8質量%とすることができる点が明らかである。また図中の破線は、混合溶湯のCr含有量を本発明の上限である26質量%とする場合について示した。含クロム溶湯中のCr含有量が50質量%以下であれば、X/Yが0.5以上において混合溶湯のCr含有量を26質量%とすることができる点が明らかである。
クロム源溶解後の溶湯中クロム濃度とスラグ中Cr23濃度との関係については、当該含クロム溶湯中のC濃度が低くなるほどスラグ中Cr23濃度が高くなる傾向がある。溶湯中Cr濃度30〜50質量%、温度1660〜1720℃で電気炉にて含クロム溶湯を溶製する際、溶湯中C濃度とスラグ中Cr23濃度の関係を調査した結果を図4に示す。溶湯中C濃度を2質量%以上とすれば、スラグ中Cr23濃度が5質量%以下となり、炉壁耐火物の損耗を防止できる。溶湯中のC濃度が高くなるほどスラグ中Cr23濃度を低くすることができるが、上限については、含Cr溶鉄の飽和C濃度である8質量%とする。
含クロム溶湯を電気炉で溶製する際において、クロムの酸化を抑制する観点からも、上記配合比X/Yを0.52≦X/Y≦0.80とすると好ましい。
まず、X/Y≧0.52とすることで、混合溶湯のCr含有量を最大の26質量%とする場合において、含クロム溶湯中のCr含有量を50質量%以下に抑えることかできる。そして、電気炉精錬における溶湯中Cr濃度とスラグ中Cr23濃度の関係を調査した結果を図5に示す。精錬条件は図5中に記載したとおりである。溶湯中Cr濃度が50質量%以下であればスラグ中Cr23濃度を低い範囲に抑えることができ、クロムの酸化ロスを低減できることがわかる。
また、図6に示すとおり、含クロム溶湯の電気炉溶製において、溶湯中のCr濃度が10%未満と低すぎるとかえって「スラグ中Cr23濃度/溶湯中Cr濃度」の比が上昇することがわかった。精錬条件は図6中に記載したとおりである。本発明においてはX/Y≦0.80としているので、混合溶湯中のCr濃度が下限の8%であっても、含クロム溶湯中のCr濃度を10%以上とすることができ、「スラグ中Cr23濃度/溶湯中Cr濃度」が上昇しない良好範囲を維持できることがわかった。
電気炉での含クロム溶湯の溶製において、含クロム溶湯中のSi濃度が0.2質量%以上であれば、溶湯中Crの酸化を抑制し、クロムロスを低減できるので好ましい。含クロム溶湯中のSi濃度の上限は1.0質量%とする。Si濃度1.0質量%までは、Si濃度が高いほどCrの酸化を抑えることができるが、Si濃度が1.0質量%を超えてもクロム酸化抑制はほとんど改善しない。その上、Si濃度が過剰であると、含クロム溶湯と低クロム溶湯を混合した後の吹酸脱炭精錬時に、溶湯中に含まれるシリコンが酸化してスラグ中SiO2となり、スラグボリュームが増加し、結果的にクロムロスが増えるという悪影響がある。
電気炉での含クロム溶湯の溶製に際しては、鉄源として主にスクラップ、クロム源としてFe−Crが用いられる。Cr源としてのFe−Crの全量を、S含有量が0.03質量%以上の安価な汎用Fe−Crとすると好ましい。本発明においては、含クロム溶湯のCr源として、全Cr分のうち50%相当分以上について汎用Fe−Crを用いれば、コスト削減効果を享受することができる。
含クロム溶湯のCr源としてS含有量が高い汎用Fe−Crを用いるため、電気炉において脱硫精錬を行う。本発明においては、電気炉溶製後の含クロム溶湯のS含有量を低硫領域まで下げず、S含有量下限を0.014質量%とする。この程度のS含有量まで脱硫するのであれば、電気炉に溶湯トン当たり40〜100kgのCaO源を添加してスラグを形成することにより、脱硫精錬を行うことができる。含クロム溶湯のS含有量が高すぎると、S含有量が低い低クロム溶湯と混合しても混合後のS含有量を十分に下げることができない。含クロム溶湯のS含有量上限を0.20質量%とすれば、本発明において混合後の混合溶湯のS含有量を目標レベルとすることが可能である。ただし、含クロム溶湯のS含有量が高くなるほど、X/Yを0.52≦X/Y≦0.80の範囲内で低い値とすることが必要となる。
低クロム溶湯としては、高炉溶銑を好ましく用いることができる。高炉溶銑であればCr:4質量%以下とすることができる。また、S濃度が0.014〜0.020質量%の含クロム溶湯と混合してS濃度の低い混合溶湯とするため、低クロム溶湯はS濃度を低い濃度とする。本発明において、低クロム溶湯のS含有量を0.010質量%以下とすると好ましい。これにより、本発明において混合後の混合溶湯のS含有量を目標レベルとすることが可能である。ただし、低クロム溶湯のS含有量が高くなるほど、X/Yを0.52≦X/Y≦0.80の範囲内で低い値とすることが必要となる。低クロム溶湯のS含有量を目標レベル以下まで低減するため、溶湯の脱硫処理を行う。高炉溶銑を用いる場合には、トーピード脱硫、KR脱硫などの通常用いられる脱硫手段により、容易に目標のS濃度まで脱硫を進行することができる。
溶銑鍋中に含クロム溶湯と低クロム溶湯をそれぞれ装入することにより、溶銑鍋中で含クロム溶湯と低クロム溶湯を混合することができる。混合溶湯について続いて吹酸脱炭を行う。混合溶湯を例えば上底吹き転炉に装入し、吹酸脱炭精錬を行う。電気炉中で吹酸脱炭を行っても良い。ただし、常圧下で目標C濃度まで脱炭を行うとクロムの酸化ロスが大きくなるので、転炉では粗脱炭までを行い、続いてVOD法、RH法などの真空脱炭、あるいはAOD炉を用いた精錬を行い、クロムの酸化損失を抑えながら目標C濃度までの吹酸脱炭を行う。
最大容量が1トンである試験電気炉を用いて含クロム溶湯を溶製し、低クロム溶湯として高炉溶銑を用い、両者を混合して混合溶湯とした。混合比X/Y、含クロム溶湯、低クロム溶湯の各成分、その他の処理条件を表1に示す。混合溶湯のY=1トンとなるように混合を行った。本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
表1において、含クロム溶湯のCr含有量については、低クロム溶湯(高炉溶銑)との混合割合に応じて、混合溶湯中のCr含有量が表1に示す8.3〜26.0質量%となるように調整した。
電気炉での溶融後の含クロム溶湯の成分が表1に示す成分値となるよう、スクラップ、Fe−Cr合金、Cr合金、炭材を黒鉛電極からのアーク加熱により溶解した。Fe−Cr合金として、S含有量が0.03〜0.05質量%である汎用Fe−Cr合金を用いた。Fe−Cr合金から混入したSを低減するため、電気炉内にCaO源を添加して塩基性スラグを形成し、脱硫を行った。CaO源として主に生石灰を用い、一部転炉スラグも用いた。添加するCaO源は、CaO換算で溶湯1トンあたり40〜100kgとした。これにより、表1に示すように含クロム溶湯のS含有量を0.014〜0.018質量%の範囲まで低減することができた。なお、混合前の含クロム溶湯の温度は1634〜1712℃であった。電気炉溶製終了時のスラグ中Cr23濃度、スラグ中Cr23濃度/溶湯中Cr濃度比を表1に示す。
電気炉で含クロム溶湯を溶製するに際し、溶製後の電気炉の耐火物損耗状況を目視で評価し、スラグ接触面に凹みが確認された場合を「×」と評価し、凹みが確認される場合と確認されない場合が混在する水準については「△」と評価し、それ以外を「○」と評価した。結果を表1に示す。
低クロム溶湯として高炉溶銑を用い、S含有量が表1に示すようにS≦0.009質量%となるようにトーピードカーインジェクション法にて脱硫精錬を行った。高炉溶銑を用いているので、Cr含有量は0.01質量%未満、C濃度:3.5〜4.5質量%、Si濃度:0.1質量%未満であった。
まず低クロム溶湯を溶銑鍋中に装入し、次いでその上に含クロム溶湯を装入した。混合後の溶湯成分を表1に示す。
Figure 0005454313
本発明例である実施例1〜5においては、混合溶湯のS濃度がいずれも0.013質量%以下であった。特に含クロム溶湯の混合割合が低い実施例1〜3においては、S濃度が0.012質量%以下となっており、混合後の溶湯のS濃度を十分に低減できていることがわかる。実施例1〜5の含クロム溶湯における電気炉処理後スラグ中Cr23濃度は5質量%未満となっていた。また実施例1〜5では、電気炉耐火物損耗評価もいずれも○であった。
一方、比較例1では、混合比X/Yが本発明範囲よりも高く、混合溶湯のS濃度が0.013質量%を超えていた。また、比較例2では含クロム溶湯のCr濃度が50質量%を超えたために、電気炉耐火物損耗評価が×であった。またCrの酸化が進行してスラグ中Cr23が高く、クロムロスが大きかった。
比較例3では、含クロム溶湯のC濃度が低く、Crの酸化が進行してスラグ中Cr23が高く、クロムロスが大きかった。また、電気炉耐火物損耗評価が△であった。

Claims (1)

  1. 電気炉にてC:2〜8質量%、Cr:10質量%以上の含クロム溶湯を溶製し、Cr:4質量%以下の低クロム溶湯を準備し、前記含クロム溶湯X(トン)と低クロム溶湯とを混合してCr:8〜26質量%の混合溶湯Y(トン)とし、0.52≦X/Y≦0.80を満足し、前記混合溶湯を精錬容器内で吹酸により脱炭し、
    前記含クロム溶湯のCr源として、全Cr分のうち50%相当分以上について、S含有量が0.03質量%以上の汎用Fe−Crを用い、電気炉溶製後の含クロム溶湯のS含有量を0.014〜0.020質量%とし、前記低クロム溶湯のS含有量を0.010質量%以下とすることを特徴とするクロム含有鋼の吹酸脱炭方法。
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