JP5402230B2 - チルトダウン式乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、シートバックをシートクッションの上に倒すことでシートクッションが下方に移動するチルトダウン式乗物用シートに関する。
従来のチルトダウン式乗物用シートは、例えば床面側に下端部が回転可能に取付けられるシートバックと、シートクッションの前部下側に設けられるレッグと、シートクッションの後部とシートバックとを連結する連結リンクを有している(特許文献1参照)。レッグは、上端部がシートクッションの前部に回転可能に取付けられ、下端部が床面側に回転可能に取付けられる。
連結リンクは、シートクッションの後部から延出して、後端部がシートバックの下端部よりも上方位置にて回転可能に取付けられる。そのためシートバックをシートクッションの上に倒すことで、連結リンクによってシートクッションが前方に押されて移動する。同時にレッグが倒れてシートクッションが下方へ移動する。この時、連結リンクと床面の間に隙間が生じ、その隙間を覆って隠したいという要望がある。
隙間を覆うためのカバーとして、オットマン装置に装着されたカバー等が従来知られている(特許文献2参照)。オットマン装置は、シートクッションの前部に回転可能に取付けられるオットマン本体と、オットマン本体をシートクッションに対して回転させるリンク機構を有している。リンク機構には第一カバーが取付けられており、第一カバーには二つのリンクによって上方へ移動する第二カバーが取付けられている。第二カバーは、第一カバーに対して上方へ付勢するばねによって上方へ移動することで第一カバーとオットマン本体との隙間を覆う。
特開2007−1578号公報 特開2006−239291号公報
しかし従来のチルトダウン式乗物用シートには、シート態様の変化時に生じ得る連結リンク周りの隙間を好適に覆うカバーが設けられていない。またオットマン装置に設けられる第二カバーは、重力に抗して第一カバーの上方に移動させる必要があるために第二カバーを付勢するばねの付勢力を強くする必要がある。そこで本発明は、シート態様の変化時に生じ得る連結リンク周りの隙間を好適に覆い得るカバーを備えるチルトダウン式乗物用シートを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備えるチルトダウン式乗物用シートであることを特徴とする。請求項1に記載の発明によると、連結リンクには、連結リンクを覆う第一カバーが取付けられている。第一カバーまたは連結リンクには、第一カバーから下方に展開して第一カバーの下側領域を覆う第二カバーが移動可能に取付けられている。したがって第一カバーによって連結リンクを覆い、第二カバーによって連結リンクの下方領域を覆うことができる。そのためチルトダウン式乗物用シートの態様変化時に生じ得る連結リンク周りの隙間を第一カバーと第二カバーによって覆い得る。また第二カバーは、第一カバーの下方の展開位置へ移動する際に重力を利用して展開位置へ移動し得る。そのため第二カバーを第一カバーに対して下方へ移動させるばねが不要、あるいはばねのばね力を小さくすることができる。
請求項に記載の発明によると、第二カバーは、第一カバーに一端部が回転可能に取付けられている。したがって第二カバーは、第一カバーに平行移動可能に取付けられる構造等に比べて簡易に第一カバーに取付けられ得る。また第二カバーは、一端部が回転可能に第一カバーに取付けられるために、他端部側には自重による下方向へのトルクが生じる。そのため該トルクによって第二カバーは、第一カバーに対して下方へ展開し易い。
使用状態における乗物用シートの左側面図である。 使用状態から格納状態へ移動させる途中の乗物用シートの左側面図である。 格納状態における乗物用シートの左側面図である。 第一カバーの近傍における使用状態の乗物用シートの一部左側面図である。 第一カバーの近傍における格納状態の乗物用シートの一部左側面図である。 図1のVI―VI線断面矢視図である。
本発明の実施の形態を図1〜6にしたがって説明する。チルトダウン式乗物用シート1は、図1〜3に示すように車両などの乗物の床面10に装着されて、図1の使用状態と図3の格納状態(チルトダウン状態)に変化する。床面10は、乗物後部に位置する荷室床面10aと、荷室床面10aの前方に位置する足床面10bと、荷室床面10aと足床面10bの間に位置する斜面部10c,10dを有している。足床面10bは、荷室床面10aよりも低く、略水平に延出する。斜面部10cは、荷室床面10aから前下方向へ斜めに延出する。斜面部10dは、斜面部10cよりも垂直に近い角度にて斜面部10cから前下方向へ斜めに延出する。
シート1は、図1に示すようにシートバック2とシートクッション3を有している。シートバック2の下端部2aは、荷室床面10aに設けられたブラケット11に回転可能に取付けられる。シートクッション3の前部3aは、レッグ4によって床面10に連結される。シートクッション3の後部3bは、連結リンク5によってシートバック2に連結される。レッグ4の上端部4aは、シートクッション3の前部3aに回転可能に取付けられ、レッグ4の下端部4bは、斜面部10cに設けられたブラケット12に回転可能に取付けられる。
連結リンク5の前端部5bは、図1〜3に示すようにシートクッション3の後部3bに移動不能に取付けられる。連結リンク5は、シートクッション3から後上方に延出して、後端部5aが図6に示すようにシートバック2の取付部2bにピン15によって回転可能に取付けられる。取付部2bは、図1に示すようにシートバック2の高さ中心よりやや低くかつ下端部2aよりも上方に位置している。
連結リンク5には、図1,6に示すように第一カバー6と第二カバー7が取付けられる。第一カバー6は、連結リンク5に係止されて連結リンク5に移動不能に取付けられる。第一カバー6は、箱状であって、連結リンク5の外側面を覆う外板6aと、連結リンク5の内側面を覆う内板6bを有している。
第二カバー7は、図4〜6に示すように板状であって、第一カバー6より一周り小さい形状でかつ略同じ形状を有している。第二カバー7は、第一カバー6の外板6aと内板6bの間に設置され、前端部7aがピン16によって外板6aの前下部に回転可能に取付けられる。第二カバー7は、ピン16を中心に回転して図4に示す展開位置と図5に示す収納位置との間で移動する。
第二カバー7は、図4の展開位置において後端部7b側が図6に示すように第一カバー6の外板6aと内板6bの下側隙間6cから第一カバー6の下方に突出する。図5の収納位置における第二カバー7は、略全体が外板6aと内板6bの間に位置する(図6参照)。ピン16には、第二カバー7を第一カバー6に対して展開方向(時計回り)に付勢するばね8が設けられている。ばね8は、一端部8aが外板6aに係止され、他端部8bが第二カバー7に係止されている。
図6に示すようにブラケット11には、ブラケット11の外側面(左側面)を覆うブラケットカバー13が取付けられている。ブラケットカバー13の上方には、第一カバー6と第二カバー7が位置する。
シート1は、図1,4に示すように使用状態においてシートバック2がシートクッション3に対して起立しかつ少し後傾している。第一カバー6は、シートバック2に沿って起立しかつ少し後傾している。第二カバー7は、自重とばね8によって下方に付勢されて、第一カバー6よりも下側に展開している。第二カバー7は、一縁部7cが荷室床面10a側のブラケットカバー13に当接して下方への移動が規制される。第二カバー7は、第一カバー6よりも下方に展開して第一カバー6と荷室床面10aとの隙間を覆う。
図2に示すようにシートバック2を前方に倒すと、シートバック2が下端部2aを中心に前方に倒れる。そして連結リンク5がシートクッション3を前方に押して、レッグ4が下端部4bを中心に前方に倒れる。これによりシートクッション3が足床面10bに向けて前下方向に移動する。第一カバー6は、連結リンク5とともに前方に移動する。第二カバー7は、一縁部(下縁部)7cが床面10の斜面部10c,10dまたはブラケットカバー13に接しつつ前方に移動する。同時に第二カバー7は、第一カバー6に対して反時計回りに回転して第一カバー6内に移動する。
図1〜3に示すようにシート1を使用状態から格納状態へ変化させると、シートクッション3がレッグ4と連結リンク5によって大きく前方へ移動する。そのため図2に示すように連結リンク5とブラケット11の間、あるいは連結リンク5と床面10の間に大きな隙間が生じ得る。これに対して第一カバー6が連結リンク5の外側(図面手前側)において連結リンク5の周りを覆う。そして第二カバー7が第一カバー6の下側において第一カバー6とブラケット11の隙間、および第一カバー6と床面10の隙間を覆う。
図3,5に示すようにシート1を格納状態にすると、レッグ4が略水平になり、シートクッション3が床面10の足床面10bに近接する。シートバック2は、シートクッション3の上に重ねられて略水平になる。第一カバー6は、床面10の斜面部10c,10dに沿い、かつ斜面部10dに向けて突出する突部6dを有している。第二カバー7は、第一カバー6と略並行になって、略全体が第一カバー6に収容される。第二カバー7は、ばね8によって付勢されて一縁部7cが斜面部10cに当接する。
以上のように連結リンク5には、図1〜3に示すように連結リンク5を覆う第一カバー6が取付けられている。第一カバー6には、第一カバー6から下方に展開して第一カバー6の下側領域を覆う第二カバー7が移動可能に取付けられている。
したがって第一カバー6によって連結リンク5を覆い、第二カバー7によって連結リンク5の下方領域を覆うことができる。そのためチルトダウン式乗物用シート1の態様変化時に生じ得る連結リンク5周りの隙間を第一カバー6と第二カバー7によって覆い得る。また第二カバー7は、第一カバー6の下方の展開位置へ移動する際に重力を利用して展開位置へ移動し得る。そのため第二カバー7を第一カバー6に対して下方へ移動させるばね8(図4参照)のばね力を小さくすることができる。
また第二カバー7は、図4,5に示すように第一カバー6に前端部7aが回転可能に取付けられている。したがって第二カバー7は、第一カバー6に平行移動可能に取付けられる構造等に比べて簡易に第一カバー6に取付けられ得る。また第二カバー7は、前端部7aが回転可能に第一カバー6に取付けられるために、後端部7b側には自重による下方向へのトルクが生じる。そのため該トルクによって第二カバー7は、第一カバー6に対して下方へ展開し易い。
(他の実施の形態)
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。
(1)図1に示すシートバック2とレッグ4は、ブラケット11,12を介して床面10に取付けられている。しかし床面にスライドレールが設けられ、そのスライドレールにシートバックの下端部とレッグの下端部が回転可能に取付けられても良い。
(2)図4,5に示す第二カバー7は、前端部7aが第一カバー6に回転可能に取付けら、後端部7b側が第一カバー6に対して下方に展開し得る。しかし第二カバーが第一カバーに平行移動可能に取付けられ、第二カバーの略全体が第一カバーに対して下方に展開しても良い。あるいは第二カバーの後端部が第一カバーに回転可能に取付けられ、第二カバーの前端部側が第一カバーに対して下方に展開しても良い。
(3)図4,5に示すように第一カバー6と第二カバー7の間には、第二カバー7を第一カバー6に対して下方に付勢するばね8が設けられている。しかしばね8を有しておらず、第二カバー7が自重によって付勢されて第一カバー6の下方に展開しても良い。
(4)図4,5に示すように第二カバー7は、一縁部7cが床面10側に当ることで下方への移動量が規制される。しかし第一カバーと第二カバーの間に第二カバーの下方への移動量を規制するストッパが設けられていても良い。
(5)図1〜3の連結リンク5は、前端部5bがシートクッション3の後部3bに移動不能に取付けられている。しかし連結リンク5がシートクッション3の後部に回転可能に連結されていても良い。
(6)図1〜3の連結リンク5は、シートクッション3のフレームと別部材である。しかし連結リンク5がシートクッション3のフレームと一体に形成されていても良い。
(7)図6に示す第二カバー7は、第一カバー6に回転可能に取付けられている。しかし第二カバーが連結リンクに回転可能に取付られていても良い。
(8)図1に示すシート1は、自動車等の車両に装着されているが、船舶や航空機等に装着されても良い。
1…チルトダウン式乗物用シート
2…シートバック
2a…下端部
3…シートクッション
4…レッグ
5…連結リンク
6…第一カバー
7…第二カバー
8…ばね
10…床面
11,12…ブラケット

Claims (1)

  1. 床面側に下端部が回転可能に取付けられるシートバックをシートクッションの上に倒すことで前記シートクッションが下方に移動するチルトダウン式乗物用シートであって、
    前記シートクッションの前部に上端部が回転可能に取付けられかつ下端部が前記床面側に回転可能に取付けられるレッグと、前記シートクッションの後部から延出して後端部が前記シートバックの前記下端部よりも上方位置にて前記シートバックに回転可能に取付けられる連結リンクとを有し、
    前記連結リンクには、前記連結リンクを覆う第一カバーが取付けられ、
    前記第一カバーは、前記第一カバーから下方に展開して前記第一カバーの下側領域を覆う第二カバーが移動可能に取付けられ
    前記第二カバーは、前記第一カバーに前端部が回転可能に取付けられ、前記第二カバーの後端部が重力を利用して前記第一カバーよりも下方に展開する構成であり、
    前記第一カバーと前記第二カバーの間には、前記シートバックが起立する使用状態において前記第二カバーが前記床面に接することを規制するように前記第二カバーの下方への移動を規制するストッパが設けられ、
    前記第二カバーは、前記シートバックを前記使用状態から前傾の状態にする際に前記床面の斜面部に接して前記第一カバー6に向けて上方へ移動する構成になっていることを特徴とするチルトダウン式乗物用シート。
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