JP5286040B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の改良に関するものである。
磁気ディスク装置は、コンピュータの外部記憶装置としてコストパフォーマンスの優位性から著しい成長を遂げており、さらなる成長が期待されている。磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクの基板には、アルミニウム系基板が従来から用いられているが、耐衝撃性に優れ、平滑性が得られ易い等の点から、化学強化ガラス、結晶化ガラス等のガラス基板が多く用いられるようになりつつある。
すなわち、アルミニウム系基板は、磁気特性に優れた磁気ディスクを得やすいが、研磨加工等の機械的処理の過程において塑性変形を伴うため、平滑性が得られにくいという問題がある。これに対して、ガラス基板は、表面の硬度が高く、上記のような塑性変形を伴わないために平滑性が得られ易いという利点がある。
これらのガラス基板の製造には、ガラス基板の主表面を鏡面に研磨する必要があるが、この研磨材としては酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、コロイダルシリカ等が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
ここで、酸化セリウムによる研磨は、メカノケミカルな作用によって高速で研磨することが可能である。しかしながら、研磨工程の後に通常の洗浄では除去できない異物(研磨残り)が残るため、表面粗さの低減ができないという問題がある。そこで、その解決策として、酸化セリウムによる研磨の後に、硫酸洗浄を行うことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、酸化アルミニウムを用いて研磨する場合は、酸化アルミニウムの砥粒が硬いためにメカニカルな研磨作用が強く、研磨面にマイクロスクラッチが発生してしまうという問題がある。一方、コロイダルシリカを用いて研磨する場合は、上記のようなマイクロスクラッチは発生せず、平均表面粗さRaが1nm未満の、表面欠陥のない研磨面が得られる。
しかしながら、コロイダルシリカは、研磨速度が非常に遅く、加工効率が著しく悪いという問題があった。以上のことから、ガラス基板の製造には、酸化セリウムを用いた研磨と、コロイダルシリカを用いた研磨を併用して用いる場合がある。
ところで、硬度の高い研磨材として、ダイヤモンドが知られている。例えば特許文献3には、磁気記録媒体用基板の研磨加工にダイヤモンドスラリーを用いることが開示されている。
特開平11−154325号公報 特願2000−93304号公報 特開2002−32909号公報
しかしながら、特許文献3には磁気ディスク用基板の研磨にダイヤモンドスラリーを用いることが開示されているが、現実には、磁気ディスク用基板の研磨には酸化セリウムやコロイダルシリカが使用されており、ダイヤモンドスラリーは使用されていない。この理由の一つには、ダイヤモンドスラリーを研磨に用いると、被研磨物にスクラッチが発生しやすいことが挙げられるが、最大の理由は、ダイヤモンドスラリーが高価であり、研磨材として用いると磁気ディスク用基板の製造コストアップにつながるためである。
本願発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、研磨力が高いが高価であるダイヤモンドスラリーを有効利用でき、磁気ディスク用ガラス基板の研磨コストの低減及び加工効率の向上が可能な、被研磨面にスクラッチが発生しにくい水性ダイヤモンドスラリーの再生方法を提供することを目的とする。
前述のように、磁気ディスク用基板の研磨には主にセリア(酸化セリウム)スラリーが使用されている。セリアスラリーはダイヤモンドスラリーに比べ廉価ではあるが、希土類元素を含むため、将来的には資源の枯渇が予想される。ここで、発明者がセリアスラリーの再生を検討したところ、研磨力の低下したセリアスラリーは、セリア自体の砥粒形状が変質しているため、そのままセリアスラリーとして再生するのは困難であり、セリアを再度焼成し、焼成物を粉砕して砥粒とする必要があり、セリアスラリーの再生使用コストは高くなる。
一方で、ダイヤモンドスラリーは、研磨力が低下したスラリーにおいてもダイヤモンド砥粒の形状自体はそれほど変化が無く、ダイヤモンドスラリーの研磨力の低下は、スラリー中への研磨くずの混入と溶媒の変質によるものであった。
ここで、ダイヤモンドスラリーには、大別して、水性のスラリーと油性のスラリーとがある。水性のスラリーは、ダイヤモンド砥粒に、純水、適量のアルコール、粘度調整剤としてのポリエチレングリコール、界面活性剤等を添加したものである。一方、油性のスラリーは、ダイヤモンド砥粒に、オイル、極圧添加剤としてステアリン酸等を適量添加したものである。
本願発明者は、磁気ディスク用基板の研磨に両ダイヤモンドスラリーを使用し、また、使用後のダイヤモンドスラリーについて、その再生を検討したところ、磁気ディスク用基板の研磨に水性ダイヤモンドスラリーを使用した場合、研磨工程でダイヤモンドスラリーを循環使用することが可能となり、また、研磨力が低下したダイヤモンドスラリーを簡易な方法で再生できること及びダイヤモンド砥粒の粒径や分散剤を適切に選択すれば被研磨面に発生するスクラッチを低減できることを見出して、本願発明を完成させた。
すなわち本願発明は次の構成を採用する。
(1)研磨スラリーを供給しながらガラス基板表面と定盤とを擦り合わせて磁気ディスク用ガラス基板を製造する方法であって、前記研磨スラリーを循環使用するとともに、当該研磨スラリーが、磁気ディスク用ガラス基板の研磨で循環使用した水性ダイヤモンドスラリーの沈殿物を分離する工程と、分離した沈殿物にフッ酸を加えて沈殿物に含まれるガラス成分を溶解する工程と、フッ酸による溶解での非溶解物を分離する工程と、分離した非溶解物を水で洗浄する工程と、水洗後の洗浄物を再スラリー化し水性ダイヤモンドスラリーとする工程と、をこの順で含む再生方法によって、焼成工程及び粉砕工程を経ずに再生された水性ダイヤモンドスラリーであることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(2)前記水性ダイヤモンドスラリーに含まれるダイヤモンド砥粒が、平均粒子径1μm以下の単結晶ダイヤモンド砥粒、または、粒子クラスターダイヤモンド砥粒であることを特徴とする前項(1)に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
本発明によれば、磁気ディスク用ガラス基板の研磨で循環使用した水性ダイヤモンドスラリーを再生して再利用できるため、研磨力が高いが高価であるダイヤモンドスラリーを有効利用でき、磁気ディスク用ガラス基板の研磨コストの低減及び加工効率の向上をはかることができる。また、再生するダイヤモンドスラリー中に含まれるダイヤモンド砥粒を特定することにより、被研磨面に発生するスクラッチを低減することが可能となり、研磨性能に優れたダイヤモンドスラリーを再生することができる。
本発明で再生する水性ダイヤモンドスラリーは、磁気ディスク用ガラス基板の製造においては、ガラス基板をポリッシングするに際して循環使用された水性ダイヤモンドスラリーを原料とする。
したがって、先ず、水性ダイヤモンドスラリーによる磁気ディスク用ガラス基板の研磨について説明する。
<磁気ディスク用ガラス基板の研磨>
ガラス基板としては、通常磁気ディスク基板として用いられるアモルファス、化学強化もしくは結晶化ガラスを用いることができる。具体的には、例えば、ソーダライム、アルミノシリケート、リチウムシリケート、リチウムアルミノシリケート、アルミノホウケイ酸等のガラスが挙げられる。
化学強化ガラスとしては、高温で溶融塩と接触させ、ガラス中のアルカリイオンと溶融塩中の別種アルカリイオンをイオン交換させ、その圧縮応力により強化されたものが好適である。また、結晶化ガラスとしては、たとえばガラスを制御された条件下で再加熱して、多数の微小な結晶を析出成長させて得られるものが挙げられる。結晶化ガラスとしては、たとえば、Al−SiO−LiO系、B−Al−SiO−LiO系等が挙げられる。このようなガラス基板の厚みは、通常0.1〜2mm程度から選択される。
ポリッシングは、研磨用キャリアを用いてガラス基板表面と定盤を擦り合わせて行われる。まず、ガラス基板は、ダイヤモンド砥粒を水に分散させた研磨スラリーで研磨される。この研磨は、一般に定盤回転数10〜50rpm、加工圧力50〜100g/cm(約4,903〜9,806Pa)で、20〜50分間程度行われ、通常、該ガラス基板の表面粗さRaが10Å以下、好ましくは8Å近くとなるまで行われる。
研磨用キャリアとしては、ガラス基板の外端面と接触しうる内側面を樹脂コーティングしたものが、ガラス基板外端面の傷発生を低減しうるので好適である。樹脂コーティングにおける樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ABS、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ、フェノール、不飽和ポリエステル、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられるが、その中でもエポキシ樹脂が最も好適である。そして、これらの樹脂は繊維強化されていないことが好適である。また、樹脂コーティングの厚さは、10μm〜1mm程度から選択される。
ダイヤモンド砥粒としては、単結晶ダイヤモンド砥粒、多結晶ダイヤモンド砥粒、破砕ダイヤモンド砥粒、粒子クラスターダイヤモンド砥粒等を用いることができる。一般に、ダイヤモンドは地球上で最も硬く、化学的にも安定であり、耐摩耗性が高い物質である。このため、ガラス基板の研磨に循環使用した場合でも、ダイヤモンド砥粒の摩滅等はほとんど生じないと考えられる。
一方で、ダイヤモンド砥粒の切れ刃が研磨基板にスクラッチ痕を発生させる場合がある。このため、本願発明で使用するダイヤモンド砥粒は、丸味を帯びた砥粒形状である単結晶ダイヤモンド砥粒や、粒子クラスターダイヤモンド砥粒を用いることが好ましい。また、ダイヤモンド砥粒によるスクラッチ痕の発生を防ぐため、ダイヤモンド砥粒の表面にグラファイトをコーティングした砥粒を用いるのが好ましい。
ダイヤモンド砥粒の粒径は、研磨ガラス基板にスクラッチ痕を発生させるのを防ぐため、平均粒子径1μm以下の微細単結晶粒が好ましく、より好ましくは、平均粒子径0.3μm以下の微細単結晶粒が好ましい。なお、ダイヤモンドスラリーの研磨力の低下を防ぐため、ダイヤモンド砥粒の平均粒子径の下限は3nmとする。また、ダイヤモンド砥粒による研磨工程を多段で行う場合は、仕上げの研磨工程に粒子クラスターダイヤモンド砥粒を使用し、その場合の粒子クラスターダイヤモンド砥粒としては、平均1次粒子径200オングストローム(20nm)以下、平均2次粒子径が200nm以下の砥粒を用いるのが好ましい。
水性ダイヤモンドスラリー中に占めるダイヤモンド砥粒の含有量は、0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%である。含有量が0.05質量%未満では実用的な研磨速度が得られないため好ましくない。一方、含有量が10質量%を超えても効果の向上は望めず、経済的にも不利であるため好ましくない。
スラリー中の分散媒としては、水単独、または水を主成分とし、アルコール、グリコール等の水溶性有機溶媒を副成分(1〜30質量%)として配合したもの(水性分散媒)を使用できる。アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。また、グリコール類としては、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
研磨剤スラリー中に占める水性分散媒の含有量は、64.9〜99質量%、好ましくは90〜99質量%である。64.9質量%未満ではスラリーの粘度が高くなり研磨剤スラリーの基板上への供給性およびスラリーの貯蔵安定性が悪い。
研磨スラリーには、必要に応じて研磨助剤を加えることができる。研磨助剤とは、分散助剤、界面活性剤、キレート剤、研磨油、防錆剤、消泡剤、pH調整剤、防かび剤等であり、これらは、スラリーの分散貯蔵安定性、研磨速度の向上の目的で加えられる。
分散助剤としては、ヘキサメタリン酸ソーダ、オレイン酸、第一リン酸カルシウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モルホリン、アンモニア水等が挙げられる。
防錆剤としては、アルカノールアミン・アルカノールアミンホウ酸縮合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ほう酸アルカノールアミン塩、ベンズイソチアゾリン類等の含窒素有機化合物が挙げられる。
消泡剤としては、流動パラフィン、ジメチルシリコンオイル、ステアリン酸モノ、ジ−グリセリド混合物、ソルビタンモノパルミチエート等が挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン4酢酸塩(EDTA−Na塩)、クエン酸、ジエチレン8アミンペンタ酢酸、エタノールジグリシネート、ヒドロキシエチレンN−ジアミン3酢酸等が挙げられる。
界面活性剤は、遊離砥粒を水性媒体に分散させるのに用いられ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、またはアニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との併用、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤との併用カチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との併用、カチオン性界面活性剤と両性界面活性剤との併用が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、パルミチン酸ナトリウム塩、ステアリン酸ナトリウム塩、オレイン酸カルシウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸ナトリウム・カリウム塩等の金属石鹸等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸塩、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸塩、硫酸化脂肪酸アルキルエステル、硫酸モノアシルグリセリン塩、第二アルカンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルエーテルリン酸、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、燐酸アルキルフェニルポリオキシエチレン塩、ナフタレンスルホン酸ソーダ、ペルフルオロアルキルリン酸エステル、スルホン酸変性シリコンオイル等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プルオニック系非イオン性界面活性剤(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加反応物)、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンひまし油、脂肪酸蔗糖エステル、ポリオキシエチレン・オキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、N−アルキルスルホベタイン変性シリコンオイル、N−アルキルニトリロトリ酢酸、N−アルキルジメチルベタイン、α−トリメチルアンモニオ脂肪酸、N−アルキルβ−アミノプロピオン酸、N−アルキルβ−イミノジプロピオン酸塩、N−アルキルオキシメチル−N,N−ジエチルベタイン、2−アルキルイミダゾリン誘導体、N−アルキルスルホベタイン等が挙げられる。
研磨スラリーは、磁気ディスク用ガラス基板のポリッシング工程において循環使用される。研磨スラリーの循環使用とは、一度使用したスラリーを回収し、フィルタを通して大きなゴミ等を除去した後、繰り返して研磨スラリーとして使用することをいう。この場合、研磨スラリーの研磨力は徐々に低下するが、この研磨力の低下分は、研磨時間を長くする等によって一定の研磨量を確保し、また、一定の研磨面が得られるように研磨条件を調整する。
しかしながら、極度に研磨力が低下すると研磨時間の調整では一定の研磨量や研磨面を得ることができなくなる。この状態が、研磨スラリーの寿命と判断され、この寿命となった研磨スラリーを本願発明の方法によって再生することとなる。
したがって、次に、本願発明の水性研磨スラリーの再生方法について説明する。
<水性研磨スラリーの再生方法>
本願発明の水性研磨スラリーの再生方法は、水性ダイヤモンドスラリーの沈殿物を分離した後、この分離した沈殿物にフッ酸を加え沈殿物に含まれるガラス成分を溶解し、その後、この非溶解物を分離して水洗浄し、これを再スラリー化して水性ダイヤモンドスラリーとすることにより行うことができる。すなわち、使用済みの水性ダイヤモンドスラリーには研磨したガラス基板の削りくずが多く含まれるが、このようなガラス質の物質はフッ酸によって溶解することができる。
一方、前述のようにダイヤモンドは化学的に安定であるため、常温ではフッ酸によって溶解することはない。そのため、使用済みのダイヤモンドスラリーにフッ酸を加えることにより、ダイヤモンド砥粒のみを回収することができる。なお、前述のように、ガラス基板の研磨に用いたダイヤモンド砥粒は、その硬度から、ほとんど摩滅せず、そのままの砥粒形状が保たれている。
したがって、本願発明の水性研磨スラリー(水性ダイヤモンドスラリー)の再生方法は、水性ダイヤモンドスラリーの沈殿物を分離する工程と、分離した沈殿物にフッ酸を加えて沈殿物に含まれるガラス成分を溶解する工程と、フッ酸による溶解での非溶解物を分離する工程と、分離した非溶解物を水で洗浄する工程と、水洗後の洗浄物を再スラリー化し水性ダイヤモンドスラリーとする工程と、をこの順で含んで構成される。
以下に、各工程について詳細に説明する。
(沈殿物分離工程)
水性ダイヤモンドスラリーの沈殿物を分離する工程(沈殿物分離工程)は、ポリッシング工程において循環使用された後に寿命と判断された使用済みの水性ダイヤモンドスラリーから、水性ダイヤモンドスラリーを含む沈殿物を分離して回収する工程である。水性ダイヤモンドスラリーを含む沈殿物の中には、ダイヤモンド砥粒の他に、分散媒である水、界面活性剤、pH調整剤、ガラスの削り粉、キャリアの削り粉、パッドの摩耗粉、油脂等さまざまな物質が混在している。そのため、これらの物質の中からなるべくダイヤモンド砥粒を多く分離し、その他の物質は排除する必要がある。この分離方法として沈降法を用いるのが好ましい。すなわち、上記の物質の中でダイヤモンド砥粒は比重が約3.5と大きく、沈降法を繰り返すことにより、沈殿物の中からダイヤモンド砥粒のみを選択的に分離することができる。具体的には、沈殿物を容器内に入れ、沈殿物の100倍程度の水を加えて攪拌し、短時間で沈殿した物質のみを分離する。この分離物について再度、同様の方法で沈降法による分離を行う。このような操作を数回行うことにより、沈殿物からダイヤモンド砥粒を多く含むスラリー状物質を得ることができる。
なお、スラリー状物質を攪拌後、沈殿物を分離するまでの時間は、回収するダイヤモンド砥粒の粒度により定まる。すなわち、ダイヤモンド砥粒の粒径が小さい場合はダイヤモンド砥粒の沈降速度が遅くなるため、沈殿物を分離するまでの時間を長く設定する必要がある。一方で、ダイヤモンド砥粒の粒径が大きい場合は沈降速度が早くなるため、沈殿物を分離するまでの時間を短くできる。例えば、1μm程度の粒径のダイヤモンド砥粒を分離する場合は、沈殿物を分離するまでの時間を30分から5時間程度とすることができる。
(ガラス成分溶解工程)
分離した沈殿物にフッ酸を加えて沈殿物に含まれるガラス成分を溶解する工程(ガラス成分溶解工程)は、研磨したガラス基板の削りくずが多く含まれる使用済みの水性ダイヤモンドスラリーから、ガラス質の物質をフッ酸によって溶解して取り除く工程である。前述の沈殿物分離工程により、沈殿物中のダイヤモンド砥粒の濃度は高められているものの、依然として沈殿物にはダイヤモンド以外の不純物が含まれている。この不純物のほとんどは、ダイヤモンドと比重が近く、沈殿物分離工程で完全には分離できなかったガラスの削り粉である。すなわち、本工程では、沈殿物に多く含まれるガラスの削り粉を溶解し、沈殿物からダイヤモンド砥粒のみを取り出すことができる。
本工程では、分離した沈殿物をフッ酸水溶液に不溶の樹脂製の容器に入れ、沈殿物に10倍程度の水を加え、これにフッ酸を加えて、沈殿物を含む水中のフッ酸濃度を3体積%〜10体積%程度とする。この状態で1時間から10時間程度放置すると、沈殿物中のガラス成分は溶解し、容器の底にダイヤモンド砥粒のみが沈殿することになる。なお、沈殿物中のガラス成分が多い場合は、溶解後も容器内にガラス粉が残存することとなる。この場合は沈殿物にフッ酸を追加すればよい。
(非溶解物分離工程および非溶解物水洗工程)
フッ酸による溶解での非溶解物を分離する工程(非溶解物分離工程)は、上記ガラス成分溶解工程でガラス質の物質を取り除いた際の非溶解物、すなわち、ダイヤモンド砥粒を分離して回収する工程である。ダイヤモンドは化学的に安定であり、常温ではフッ酸によって溶解することはないため、使用済みのダイヤモンドスラリーにフッ酸を加えることでダイヤモンド砥粒のみを回収することができる。
具体的に非溶解物分離工程は、フッ酸を含む液から上澄みを捨て沈殿物のみを分離し、この沈殿物であるダイヤモンド砥粒を水で洗いフッ酸成分を除去する。この水洗浄は数回程度繰り返すのが好ましい。すなわち洗浄後液から上澄みを捨て、再度、水を加えて水で洗う工程を繰り返し、ダイヤモンド砥粒中のフッ酸成分を完全に除去する。ダイヤモンド砥粒中にフッ酸成分が残存すると、ダイヤモンド砥粒を再スラリー化した際にスラリー中にフッ酸成分が混入し、ガラス研磨の際にガラス基板を溶解させるおそれがある。よってダイヤモンド砥粒中のフッ酸成分は、0.1%程度以下となるまで水洗浄を繰り返す必要がある。
(再スラリー化工程)
水洗後の洗浄物を再スラリー化し水性ダイヤモンドスラリーとする工程(再スラリー化工程)は、水洗後のダイヤモンド砥粒を再度スラリー化して再生使用可能とする工程である。具体的に、再スラリー工程は、前述したように、ダイヤモンド砥粒を水等で分散し、必要に応じて適量の分散助剤、界面活性剤、キレート剤、研磨油、防錆剤、消泡剤、pH調整剤、防かび剤等の研磨助剤を加えて、再度水性ダイヤモンドスラリーとする。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、研磨後のガラス基板の表面欠陥の測定は、次のようにして行った。すなわち、各条件で得られた任意の試験片(ガラス基板)10個について、表面および裏面(合計20面)を測定し、各表面の欠陥個数の合計を測定面数で除した値を表面欠陥個数とした。測定は、光学式表面検査装置(日立電子エンジニアリング社製)を用いて行った。
また、表面粗さの測定は原子間力顕微鏡(AFM)(Digital Instruments社製)によった。
(実施例1)
2.5インチのリチウムシリケート系結晶化ガラス基板のポリッシングを行った。ポリッシングにおいて、まず、ダイヤモンドスラリー(平均粒径0.1ミクロンの単結晶ダイヤモンド5質量%−オレイン酸ナトリウム0.5質量%(界面活性剤)−水)を供給して、定盤回転数35rpm、加工圧力80g/cm(約7,844Pa)で30分間研磨した。ついで、定盤を上げないでダイヤモンドスラリーに代えて水を供給して、定盤回転数15rpm、加工圧力10g/cm(約980Pa)で2分間水リンス研磨し、洗浄した後に乾燥した。得られたガラス基板の表面粗さRaは7.1Åであった。
このような条件でダイヤモンドスラリーを循環させながら研磨を続け、ダイヤモンドスラリーの研磨力が低下して研磨時間が40分間になった段階でダイヤモンドスラリーの寿命と判断してダイヤモンドスラリーを回収し、再生処理を行った。
ダイヤモンドスラリーの再生処理は、沈殿物の回収と水による洗浄を3回繰り返した後、沈殿物に5%フッ酸水溶液を加えた。約1時間の溶解後、沈殿物を回収し、水による洗浄を3回繰り返し、回収したダイヤモンド砥粒を、水と界面活性剤を用いて再スラリー化した。
再生したダイヤモンドスラリーを用いて、2.5インチのリチウムシリケート系結晶化ガラス基板のポリッシングを行ったところ、再生前のダイヤモンドスラリーと同等の研磨性能が得られた。すなわち、再生前のダイヤモンドスラリーで研磨した際のガラス基板の表面粗さRaは7.1Åであったのに対し、再生したダイヤモンドスラリーで研磨した際のガラス基板の表面粗さRaは7.4Åで許容される範囲内であった。また、表面欠陥個数は、再生前のダイヤモンドスラリーで研磨した場合は5.1個であり、再生したダイヤモンドスラリーで研磨した場合は、5.5個であり何れも許容される範囲内であった。
(実施例2)
実施例1で製造したガラス基板に対してダイヤモンドスラリーを使用した2段目のポリッシングを行った。ダイヤモンドスラリーには、単結晶ダイヤモンドである一次粒子の平均粒径が15nm、二次粒子の平均粒径が80nmのクラスターダイヤモンド1質量%を純水中に超音波分散させ、界面活性剤としてオレイン酸ナトリウムを0.5質量%加えたものを使用した。このスラリーを研磨盤に供給して、定盤回転数35rpm、加工圧力40g/cm(約3,922Pa)で25分間研磨した。ついで、定盤を上げないでダイヤモンドスラリーに代えて水を供給して、定盤回転数15rpm、加工圧力10g/cm(約980Pa)で2分間水リンス研磨し、洗浄した後に乾燥した。得られたガラス基板の表面粗さRaは1.7Åであった。
このような条件でダイヤモンドスラリーを循環させながら研磨を続け、ダイヤモンドスラリーの研磨力が低下して研磨時間が30分間になった段階でダイヤモンドスラリーの寿命と判断してダイヤモンドスラリーを回収し、再生処理を行った。
ダイヤモンドスラリーの再生処理は、沈殿物の回収と水による洗浄を4回繰り返した後、沈殿物に3%フッ酸水溶液を加えた。約1時間の溶解後、沈殿物を回収し、水による洗浄を4回繰り返し、回収したダイヤモンド砥粒を、水と界面活性剤を用いて再スラリー化した。
再生したダイヤモンドスラリーを用いて、ガラス基板のポリッシングを行ったところ、再生前のダイヤモンドスラリーと同等の研磨性能が得られた。すなわち、再生前のダイヤモンドスラリーで研磨した際のガラス基板の表面粗さRaは1.7Åであったのに対し、再生したダイヤモンドスラリーで研磨した際のガラス基板の表面粗さRaは2.1Åで許容される範囲内であった。

Claims (2)

  1. 研磨スラリーを供給しながらガラス基板表面と定盤とを擦り合わせて磁気ディスク用ガラス基板を製造する方法であって、
    前記研磨スラリーを循環使用するとともに、当該研磨スラリーが、
    気ディスク用ガラス基板の研磨で循環使用した水性ダイヤモンドスラリーの沈殿物を分離する工程と、
    分離した沈殿物にフッ酸を加えて沈殿物に含まれるガラス成分を溶解する工程と、
    フッ酸による溶解での非溶解物を分離する工程と、
    分離した非溶解物を水で洗浄する工程と、
    水洗後の洗浄物を再スラリー化し水性ダイヤモンドスラリーとする工程と、をこの順で含む再生方法によって、焼成工程及び粉砕工程を経ずに再生された水性ダイヤモンドスラリーであることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
  2. 前記水性ダイヤモンドスラリーに含まれるダイヤモンド砥粒が、平均粒子径1μm以下の単結晶ダイヤモンド砥粒、または、粒子クラスターダイヤモンド砥粒であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
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