JP5230150B2 - 消臭・脱臭方法 - Google Patents

消臭・脱臭方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5230150B2
JP5230150B2 JP2007235797A JP2007235797A JP5230150B2 JP 5230150 B2 JP5230150 B2 JP 5230150B2 JP 2007235797 A JP2007235797 A JP 2007235797A JP 2007235797 A JP2007235797 A JP 2007235797A JP 5230150 B2 JP5230150 B2 JP 5230150B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
ions
room
outlet
wall surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007235797A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009066073A (ja
JP2009066073A5 (ja
Inventor
伴教 赤井
大塚  雅生
康堅 竹田
和男 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2007235797A priority Critical patent/JP5230150B2/ja
Publication of JP2009066073A publication Critical patent/JP2009066073A/ja
Publication of JP2009066073A5 publication Critical patent/JP2009066073A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5230150B2 publication Critical patent/JP5230150B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)

Description

本発明は、室内を効率よく消臭又は脱臭する消臭・脱臭方法に関する。
室内の空気には塵埃埃、カビ及び細菌等の様々な物質が含まれて汚染されている。特に高気密化が進んだ住宅では汚染物質が室内に留まりやすいため、積極的に換気を行う必要がある。しかし、大気汚染のひどい地域に建てられた住宅、又は花粉症の住人を抱える家庭などでは、窓を開けて換気するということが思うにまかせないことが多い。そこで、室内の空気を吸引して汚染物質を除去し、清浄化された空気を室内に放出する空気清浄機が利用される。
図20は、従来の空気清浄機の構成を示す模式的側断面図である。図において101は空気清浄機であり、空気清浄機101は直方体形の筐体110を備え、筐体110を室内の床面F上に壁面Wから所定の距離を隔てて設置される。筐体110は、室内の空気を吸い込む吸込口120が形成された前面111と、清浄化した空気を吹き出す吹出口130が形成された天面112と、前面111の反対面である後面113と、床面Fに当接する底面114と、左右の両側面(図示は省略する)とを有する構成である。筐体110の前面111には、吸込口120を覆い隠すパネル125が若干の隙間を隔てて設けてあり、パネル125を迂回するようにこの隙間から吸込口120へ空気が吸い込まれるようにしてある。
筐体110の内部には、後面113寄りの位置に、空気の吸い込み及び吹き出しを行うシロッコファン140が搭載されている。シロッコファン140は筐体110内に形成された吸込口120から吹出口130までの空気の流通経路内に配設されており、回転駆動による吸引力で吸込口120から吸い込んだ空気を吹出口130へ送出するようにしてある。なお、吸込口120から吹出口130までの空気の流通経路のうち、吸込口120からシロッコファン140までを吸込流通路150とし、シロッコファン140から吹出口130までを吹出流通路160とする。吸込流通路150は、筐体110内の前後方向(即ち、空気清浄機101を床面Fに設置した場合には、床面Fに平行な方向)に設けてあり、経路中には空気中の塵埃、カビ及び細菌等の物質を捕集して除去するエアフィルタ170が設けてある。シロッコファン140は空気の吸込方向と吹出方向とが略直交するファンであり、吹出流通路160は筐体110内の上下方向に設けてある。
よって、従来の空気清浄機101では、シロッコファン140を回転駆動することにより、筐体110の前面111から室内の汚染物質が含まれた空気を吸い込み、エアフィルタ170にて汚染物質を除去した空気を筐体110の上方へ吹き出すことができる。これにより、空気清浄機101は室内の空気を循環させて汚染物質を取り除き、室内の空気を清浄化することができるため、室内環境を改善することができる。
特許文献1においては、縦長の本体の側面に設けられた横吹出口と、本体の前面に設けられた縦長の前吹出口とを備えることによって、横方向及び前方向に浄化空気を供給でき、室内の浄化を速やかに行うことができる空気清浄機が提案されている。
特開2006−17343号公報 特開2003−227638号公報
近年では室内環境の更なる改善が望まれており、空気清浄機の性能及び効率等の向上が望まれている。しかし、従来の空気清浄機では、空気を吸引する能力を高めて空気の処理量を増すという方法により性能向上が図られていた。このような方法では、空気を吸引するために空気清浄機のファンなどを大型化又は高速化する必要があり、空気清浄機の消費電力の増大及び動作に伴う騒音の増大等を将来するため、性能向上に限界があった。
また、特許文献1に記載の空気清浄機のように、多方向に空気を吹き出すことによって性能向上を図ることも試みられているが、室内の家具などの障害物の影響を受けやすいため、必ずしも良好な空気の循環を行うことができないという問題があった。また、多方向に空気を吹き出すため、床面などに堆積した塵埃などを巻き上げる虞があった。更には、室内の人間へ向けて空気が吹き出される可能性が高まるため、不快なドラフト感による風ストレスを人間に与える虞があった。
一方、室内環境を悪化させる要因として、不快な臭いが与える悪影響を無視することはできない。しかし、従来の空気清浄機は、エアフィルタによる室内の空気中の塵埃、カビ及び細菌等の除去と、臭い成分の吸着又は化学反応による消臭、脱臭又は防臭等とを目的としたものであった。また、空気清浄機に消臭剤などを備えて、吸い込んだ空気を消臭して吹き出す構成とすることにより、空気清浄機で消臭を行うことも試みられているが、十分な効果は得られていない。これは、臭いの元となる物質(臭気発生物質)が室内の壁面、天井、床面及びカーテン等に付着して臭いを発生しており、従来の空気清浄機ではこれらの匂いの元となる物質を吸い込むことができず、室内の中央付近の空気のみを吸い込んで消臭するためである。
これまでに、本発明者は、プラズマ放電により空気中の酸素及び水蒸気を電離して発生させたイオンが消臭効果を有していることを発見していた。このようなイオンを発生するイオン発生装置は既に実用化されており、空気中にプラスイオンであるH+ (H2 O)n (nは自然数)及びマイナスイオンであるO2 - (H2 O)m (mは自然数)を発生する。このプラスイオン及びマイナスイオンは、水素イオン(H+ )又は酸素イオン(O2 - )の周囲に複数の水分子が付随した形態、所謂、クラスターイオンの形態をなしている。
空気中に放出されたこれらのイオンは、プラスのイオンとマイナスのイオンとが化学反応し、活性物質としての過酸化水素水H2 2 又は水酸基ラジカル・OHとなり、浮遊粒子又は浮遊細菌から水素を抜き取る酸化反応を行うことで、浮遊粒子を不活性化することができ、又は浮遊細菌を殺菌することができることが知られている。イオン発生装置を搭載して室内の空気中にイオンを放出し、イオンの効果により空気の清浄化を行う空気清浄機は実用化されている(特許文献2参照)。
しかしながら、従来ではイオン発生装置を搭載した空気清浄機であっても消臭効果は部分的であり満足が得られていなかった。これは、上述のように臭いの元となる物質は室内の壁面、天井、床面及びカーテン等に付着しており、且つイオン発生装置が発生するイオンの寿命が短いことから、空気清浄機から送出されたイオンが壁面、天井、床面及びカーテン等に到達できないことが原因である。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、室内の空気中の塵埃、カビ及び細菌等を除去するのみならず、室内の消臭、脱臭又は防臭等を行うことができ、室内環境の更なる向上を実現できる室内の消臭・脱臭方法を提供することにある。
本発明に係る消臭・脱臭方法は、筐体と、該筐体に設けられ、空気を吸い込む吸込口と、該吸込口から吸い込まれた空気を吹き出す吹出口と、前記吸込口から前記吹出口へ空気を送るファンと、該ファンから前記吹出口まで空気を流す吹出流通路と、該吹出流通路を流れる空気中にイオンを発生するイオン発生手段とを備える空気清浄機による室内の消臭・脱臭方法であって、前記吹出口の中央位置から対向する最寄りの部屋の壁面までの距離をL[mm]とし、前記吹出口の中央位置から部屋の天井面までの距離をH[mm]とし、距離Lが100<L<600の範囲で選ばれた位置に前記吹出口が配置されて用いられるときに、前記吹出口から送り出される空気を最初に室内の壁面に到達させるために、前記吹出口から送り出される空気の流れる方向が鉛直上方向に対してなす角度θ[°]をtan -1 (L/H)<θ≦35の範囲に設定することで、前記イオンを含む空気を室内壁面に吹き付け、該室内壁面に付着又は吸着した臭気発生物質を前記イオンで変質又は分解することを特徴とする。
また、本発明に係る消臭・脱臭方法は、前記空気清浄機が、前記筐体が前後を判別できると共に、前記筐体後側の上方へ、前記吹出口から空気を吹き出すようにしてあることを特徴とする。
本発明においては、イオン発生素子により発生させたイオンを室内の壁面、天井、床面及びカーテン等に到達できるように送出することによって、空気清浄機による消臭、脱臭及び防臭等を実現することが可能である。よって、イオンを含む空気を室内の壁面に吹き付け、壁面に付着又は吸着した臭気発生物質をイオンにより変質又は分解する方法を採用して、室内の消臭及び脱臭を行う。
また、筐体内のファンから吹出口へ設けられた吹出流通路を流れる空気中にイオンを発生する手段を空気清浄機に搭載する。これにより、空気清浄機は消臭効果を有するイオンを送出することができる。また、吹出口からの空気の吹出方向を、空気清浄機の筐体が設置された設置面の垂直方向に対して所定角度傾いた上方向とする。一般に空気清浄機は、部屋の中央に設置されることは少なく、部屋のいずれかの壁面の近傍に、壁面から数十cm〜数m程度の距離を隔てて設置されることが多い。本願発明者は、空気清浄機が垂直方向に対して所定角度傾いた上方へ空気を吹き出す構成とすることによって、吹出方向にある最寄りの壁面へ向けて空気を吹き出すことを可能とした。壁面に到達した空気は天井及びその他の壁面に沿って、更には床面に沿って循環し、空気清浄機の吸込口に吸い込まれる。よって、本発明の空気清浄機は、消臭効果を有するイオンを含む空気を部屋の壁面、天井及び床面に沿って循環させることができるため、部屋の壁面、天井及び床面に付着した臭いの元となる物質に対して直接的に消臭効果を発揮することができる。また、空気清浄機を継続的に動作させることによって、イオンを含む空気で部屋の壁面、天井及び床面等を継続的に覆うことができ、これにより臭いの元となる物質が壁面、天井及び床面等に付着することを予防できる。
また、空気清浄機が部屋のいずれかの壁面の近傍に設置される場合、空気清浄機の筐体の後面が壁面に向き合い、前面が部屋の中央を向くように設置される。このため、筐体に描かれたマーク若しくは文字等の向き、又は筐体に設けられる操作用のボタン若しくは液晶パネル等の配置によって、筐体の前後をユーザが判別できる構成とし、空気の吹出方向を設置面の垂直方向に対して所定角度傾いた筐体後側の上方向とする。これにより、ユーザは適切に空気清浄機を設置することができ、空気清浄機は筐体の後側に存在する壁面へ向けて空気を吹き出すことができ、上述のイオンによる消臭及び防臭等を確実に行うことができる。
また、イオンを含む空気が壁面から天井、床面へと循環する際の気流の厚みを考慮して、空気が吹き付けられる室内壁面から遠い吹出流通路の壁面にイオン発生手段を設ける。これは、吹出流通路を設置面の垂直方向に対して後側の上方へ傾けて設ける構成とした場合、イオン発生手段を吹出流通路の上側の壁面に設けることで実現できる。室内壁面に近い吹出流通路の壁面にイオン発生手段を設けた場合、始めに吹き付けられた室内壁面で相当量のイオンが消費され、室内の循環に寄与できるイオンが減少する虞がある。よって、室内壁面に遠い吹出流通路の壁面にイオン発生手段を設けることによって、イオンをより遠方にまで到達させることができ、室内の隅々にまで消臭効果を有するイオンを行き渡らせることができる。
また、空気清浄機に搭載したイオン発生手段が、専ら空気中にプラスイオンH+ (H2 O)n 及びマイナスイオンO2 - (H2 O)m を発生する。発生したこれらのイオンの相互作用によって水酸基ラジカル・OHが生成され、水酸基ラジカルが臭いの元となる有機化合物のC−C結合、C=C結合及びC=O結合等に作用して分解することによって、消臭が行われる。また、イオン発生を行う従来の空気清浄機と同様に、これらのイオンによる浮遊粒子の不活性化及び浮遊細菌の殺菌等の効果についても本発明の空気清浄機は有しており、更に室内の隅々にまでイオンを行き渡らせることができるためより効果的に浮遊粒子の不活性化及び浮遊細菌の殺菌等を行うことができる。
また、空気清浄機が吸い込んだ空気を加湿して吹き出す。上述のイオンの寿命は湿度に応じて変化することが本発明者の検証により判明しており、湿度が高いほどイオンの寿命は伸びる。加湿した空気中にイオンを発生して空気清浄機から送出することにより、長期間に亘って空気中にイオンが存在するため、イオンの空気清浄機からの到達距離が伸びる。これらのことから、空気清浄機に加湿手段を搭載することによって、イオンの消臭効果などを長期間に亘って持続させることができ、より消臭効果などを高めることができると共に、空気清浄機が設置された部屋が広い場合であっても、室内の隅々にまでイオンを行き渡らせて消臭などを行うことができる。なお、加湿手段は水を蓄えるタンク及び蓄えられた水を加熱するヒータ等で構成することができる。
また、ファンによる空気の吸い込み及び吹き出しとイオン発生手段によるイオンの発生とを開始した場合、即ち空気清浄機の運転を開始した場合に加湿手段による加湿を開始し、あらかじめ定められた所定期間が経過した後に加湿手段による加湿を終了する。本発明の空気清浄機が動作していない場合には、部屋の壁面、天井及び床面等に臭いの元となる物質が付着している。そこで、空気清浄機の始動直後には加湿によってイオンによる消臭の能力を高め、部屋の壁面、天井及び床面等に付着した臭いの元となる物質を分解して消臭を効率よく高速に行う。所定期間が経過した後には、部屋の壁面、天井及び床面等に付着した臭いの元となる物質が除去され、又は物質の付着量が十分に低減されるため、加湿手段を停止して消費電力の低減を図る。
本発明による場合は、空気清浄機にイオン発生手段を搭載すると共に、イオンを含む空気を空気清浄機の筐体後側の上方へ吹き出す構成とすることにより、筐体後面側の壁面から天井及びその他の壁面に沿って空気を循環させることができる。これにより、室内の隅々まで空気を循環させることができるため、空気中の塵埃、カビ及び細菌等の除去を効率よく行うことができ、更にイオンにより壁面、天井及び床面に付着した臭いの元となる物質を除去して消臭を行うことができる。よって、本発明の室内の消臭・脱臭方法により快適且つ清潔な室内環境を提供することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の構成を示す模式的側断面図である。図において1は空気清浄機であり、空気清浄機1は略直方体形の筐体10を備え、筐体10を室内の床面F上に壁面Wから所定の距離を隔てて設置される。筐体10は、略矩形の前面11と、清浄化した空気を吹き出す吹出口30が形成された天面12と、空気を吸い込む吸込口20が形成された後面13と、床面Fに当接する底面14と、左右の両側面(図示は省略する)とを有する構成である。
筐体10の天面12には、前面11寄りの位置に操作部90が配設してある。操作部90は、空気清浄機1の動作設定などを変更するためのスイッチ又はボタン等と、空気清浄機1の動作状態、各種設定及びユーザへのメッセージ等を表示する液晶パネルなどとを有しており、ユーザと空気清浄機1とのインタフェースをなすものである。また、筐体10の天面12は、操作部90が配設された部分より後側の部分が、後面13へ向けて下向きに緩やかに傾斜してある。空気清浄機1の吹出口30は、後面13の操作部90より後側の傾斜部分に形成してあり、筐体10の左右方向に長い略矩形をなしている。
これらにより、ユーザは操作部90が設けられた位置から筐体10の前後(即ち、いずれの面が前面11であるか)を容易且つ確実に判断することが可能である。また、筐体10に描かれた空気清浄機1の製品番号、製造者名、操作説明及びその他のマーク等からもユーザは筐体10の前後を判断することができる。操作部90が液晶パネルを有する構成であれば、液晶パネルに表示する文字の向きから筐体10の前後を判断することも可能である。なお、操作部90を筐体10の前面11に設けてもよい。
空気清浄機1の吸込口20は、筐体10の裏面13の大部分を占めて設けてあり、多数の開口が形成された格子状のカバーで覆われている。筐体10の内部には、前面11寄りの位置に、空気の吸い込み及び吹き出しを行うシロッコファン40が搭載されている。シロッコファン40は、回転軸方向に吸い込んだ空気を回転の接線方向へ吹き出す構成のファンである。シロッコファン40は、空気清浄機1の筐体10が室内の床面F上に設置された場合に、後面13側から前面11側へ床面Fに略平行な方向に空気を吸い込み、吸い込んだ空気を上方へ床面Fに垂直な方向に吹き出すように筐体10内に配設してある。また、シロッコファン40は、筐体10内に形成された吸込口20から吹出口30までの空気の流通経路内に配設されており、回転駆動による吸引力で吸込口20から吸い込んだ空気を吹出口30へ送出するようにしてある。なお、吸込口20から吹出口30までの空気の流通経路のうち、吸込口20からシロッコファン40までを吸込流通路50とし、シロッコファン40から吹出口30までを吹出流通路60とする。
吸込流通路50は、吸込口20からシロッコファン40まで、筐体10の底面14に略並行に設けてあり、筐体10の後面13側から空気を吸い込むようにしてある。また、吸込流通路50には、空気中の塵埃、カビ及び細菌等の物質を捕集して除去するエアフィルタ70が設けてある。これにより、吸込口20から吸込流通路50内に流入した筐体10外の空気は、塵埃、カビ及び細菌等の物質が除去された後にシロッコファン40に吸い込まれ、清浄化された空気がシロッコファン40により吹出流通路60を通して吹出口30から筐体10の外部へ吹き出される。
吹出流通路60は、シロッコファン40から上方に吹出口30まで設けてある。ただし、本発明に係る空気清浄機1では、吹出流通路60は途中で筐体10の後側へ若干折り曲げてあり、空気を筐体10の上方の後方へ吹き出すようにしてある。即ち、空気清浄機1は、筐体10を室内の床面F上に設置した場合に、床面Fの垂直上方に対して所定角度(例えば、20°程度)後方へ、壁面Wへ向けて空気を吹き出すようにしてある。
吹出流通路60の内面には、筐体10の前面11側に、プラズマ放電を発生させることによって吹出流通路60内の空気中にイオンを発生するイオン発生素子80が設けてある。イオン発生素子80の詳細については後述するが、イオン発生素子80が発生するイオンは、空気中の浮遊粒子の不活性化及び浮遊細菌の殺菌等を行う効果を有し、更には臭いの元となる有機化合物を分解することによる消臭効果を有している。これにより、空気清浄機1はイオンを含む空気を吹出口30から室内へ吹き出すことができる。
また、筐体10内の前側上部には、空気清浄機1の各部の動作を制御する制御部95が搭載してある。制御部95は、制御のための各種の回路が一又は複数の回路基板上に構成されたものであり、操作部90に与えられたユーザの操作に応じて(更には、温度センサ又は湿度センサ等のセンサによる検出結果に応じて)、シロッコファン40の回転及びイオン発生素子80の放電等を制御するようにしてある。
図2は、本発明の実施の形態1に係る空気清浄機1の吹出流通路60の構成を説明するための模式図であり、図1の一部を拡大して図示したものである。吹出流通路60は、シロッコファン40側から上方案内部60a、傾斜部60b及び後方上方案内部60cの3つの部分で構成されている。
上述のように、シロッコファン40は、筐体10が室内の床面F上に設置された場合に、床面Fに略平行な方向に空気を吸い込み、床面Fに略垂直な方向に吹き出すように筐体10内に配設してある。即ち、シロッコファン40は、筐体10の底面14に略垂直な上方向に空気を吹き出すようにしてある。吹出流通路60の上方案内部60aは、シロッコファン40の吹出方向へ向けて、筐体10の底面14に対して略垂直に形成してあり、シロッコファン40から吹き出された空気を垂直上方へ導くようにしてある。また、筐体10の前後方向に関して、上方案内部60aは略一定の幅にしてある(即ち、上方案内部60aの前壁61a及び後壁62aの間の距離は略一定にしてある)。
上方案内部60aに連通する傾斜部60bは、上下方向の中途部分で若干後方へ向けて折り曲げられており、筐体10の底面14の垂直方向に対して後方へ所定角度の傾斜を形成してある。これにより傾斜部60bは、上方案内部60aが垂直上方へ導いた空気の流れを若干後方へ変化させることができ、空気を所定角度後方の上方へ向けて導くようにしてある。また、筐体10の前後方向に関して、傾斜部60bは略一定の幅にしてある(即ち、傾斜部60bの前壁61b及び後壁62bの間の距離は略一定にしてある)。
傾斜部60bに連通する後方上方案内部60cは、傾斜部60bによる傾斜方向に真直ぐに吹出口30まで延設してあり、傾斜部60bから導かれた空気を吹出口30から吹き出すようにしてある。これにより、空気清浄機1は、筐体10の底面14(又は床面F)の垂直方向に対して所定角度後方へ向けて空気を上方に吹出口30から吹き出すようにしてある。また、筐体10の前後方向に関して、後方上方案内部60cは徐々に幅が狭くなるようにしてある。即ち、後方上方案内部60cの前壁61c及び後壁62cの間の距離は、吹出口30へ近付くほど短くなるようにしてある。
イオン発生素子80は、吹出流通路60の後方上方案内部60cの前壁61cに配設してある。上述のように吹出流通路60は、傾斜部60bにて後方へ若干折り曲げられており、シロッコファン40から吹き出された空気の流れが途中で折り曲げられる。このため、吹出流通路60を流れる空気は、後方上方案内部60cの前壁61c側で高速且つ大量に流れ、後壁62c側で低速且つ小量となる。よって、イオン発生素子80を後方上方案内部60cの前壁61cに配設することによって、高速且つ大量の空気で室内にイオンを放出することができ、室内におけるイオンの到達距離を伸ばすことができる。
イオン発生素子80が配設された前壁61cは、吹出流通路60を構成する壁面のうち、筐体10(又は筐体10が設置される床面F)の鉛直方向に関して後壁62cより上側に位置している。また、図1に示す位置関係で空気清浄機1を室内に設置した場合、吹出流通路60の前壁61cは、吹出流通路60を構成する壁面のうち、空気が吹き付けられる室内の壁面Wから最も遠くに位置する壁面である。吹出口30から吹き出される空気は、吹出口30の幅に等しいか又はそれ以上の厚みをもって壁面Wに吹き付けられる。厚みを有する空気の壁面Wに近い側にイオンが多く存在すると、空気が吹き付けられた壁面Wにて多くのイオンが消費される。よって、壁面Wから遠い位置にイオン発生素子80を配設することで、発生したイオンは厚みを有する空気のうち壁面Wから遠い側に多く存在するため、壁面Wでのイオンの消費を低減することができ、室内の循環に寄与できるイオンを増加させることができる。
図3は、本発明の実施の形態1に係る空気清浄機1の吹出流通路60の構成を説明するための模式的二面図であり、(a)に吹出流通路60の前面視を示し、(b)に吹出流通路60の側面視を示してある。空気清浄機1の吹出流通路60は、筐体10の左右方向に関して、上部の幅が徐々に広がる扇形状をなしている(図3(a)参照)。吹出流通路60の上方案内部60a及び傾斜部60bの開き角α1は約20°にしてあり、後方上方案内部60cの開き角α2は約40°にしてある。
上述のように後方上方案内部60cは上部の幅が狭くなるようにしてあるが、後方上方案内部60cの前壁61c及び後壁62cのなす角γは約8°にしてある(図3(b)参照)。また、吹出流通路60は傾斜部60bにて折り曲げられて後方へ傾斜しているが、傾斜部60bの傾斜角度β、即ち筐体10の底面14(又は床面F)に垂直な方向に対して後方上方案内部60cの前壁61cがなす角βは約20°にしてある。
なお、図示の角α1、α2、β及びγの角度は一例であって、これに限るものではない。ただし、角α1は10°〜30°程度とすることが好ましく、角βは10°〜35°程度とすることが好ましく、角γは0°〜15°程度とすることが好ましい。
また、吹出流通路60の後方上方案内部60cには、左右に2つのイオン発生素子80が並べて配設してある。イオン発生素子80は略直方体形をなしており、各イオン発生素子80は長手方向が筐体10の左右方向となるように吹出流通路60に配設してある。
図4は、イオン発生素子80の外観を示す模式的斜視図である。イオン発生素子80は、扁平な略直方体形をなす合成樹脂製の筐体81に収容されている。イオン発生素子80の筐体81には、幅広の一面に略円形の2つの開口82が長手方向に並べて形成してあり、2つの開口82の一方からプラスイオンを放出し、他方からマイナスイオンを放出するようにしてある。また、筐体81の一側面には、イオン発生素子80が動作するための高電圧が供給される金属製の端子部83が設けてある。
図5は、イオン発生素子80の内部構成を示す模式的斜視図であり、図6は、図5のVI−VI線による模式的断面図である。イオン発生素子80は、筐体81内に基板84と、この基板84に設けられた正電極85、負電極86及び接地電極87とを備えている。基板84は略矩形の板体であり、絶縁物質で構成されている。正電極85及び負電極86は、先端部分を先鋭に尖らせた丸棒状の電極であり、基板84に形成された2つの貫通孔をそれぞれ通して、基板84の一面に突出させ、半田又は接着剤等を用いて基板84に固定してある。
接地電極87は、基板84より表面積が若干小さい板状の電極であり、基板84に対向するように、基板84から所定間隔を隔てて基板84に固定してある。基板84に対する接地電極87の固定は、接地電極87の四方に延出して設けられた4つの脚部87a(図5には3つのみ図示してある)を略直角に屈曲し、基板84に形成された4つの貫通孔に接地電極87の4つの脚部87aをそれぞれ挿通して、半田又は接着剤等により固定することで行われる。
また、接地電極87には、2つの略円形の開口87bが形成してあり、接地電極87が基板84に固定された場合に、正電極85及び負電極86は接地電極87の開口87bの略中心の位置に固定されるようにしてある。接地電極87の開口87bの縁部分は、基板84側へ向けて折り曲げてある。正電極85、負電極87及び接地電極87を基板84に固定して筐体81に収容した場合には、筐体81に形成された2つの開口82と、接地電極87に形成された2つの開口87bとが略同心とに配されるようにしてある。
イオン発生素子80の接地電極87は接地電位に接続され、正電極85には正極の高電圧が印加され、負電極86には負極の高電圧が印加される。正電極85及び負電極86にそれぞれ高電圧が印加されると、接地電極87の開口87bの縁部分が強電界になり、接地電極87からプラズマ放電が発生する。プラズマ放電により空気中の酸素及び水蒸気が電離してイオンが発生する。なお、電極の構造及び印加電圧の最適化により、有害物質とされるオゾンの発生を極力抑えるように制御を行っている。このときに最も安定して発生するイオンは、プラスイオンのH+ (H2 O)n とマイナスイオンのO2 - (H2 O)m とである。発生するイオンの質量分析などを行って解析した結果、これら以外のイオンの発生はほとんど確認されていない。イオン発生素子80の筐体81に形成された2つの開口82のうち、正電極85が設けられた開口82からプラスイオンH+ (H2 O)n が放出され、負電極86が設けられた開口82からマイナスイオンO2 - (H2 O)m が放出される。
イオン発生素子80にて発生したH+ (H2 O)n 及びO2 - (H2 O)m のイオンは、化学反応して活性種であるH2 2 又は・OHを生成する。H2 2 又は・OHは、極めて強力な活性を示すため、これらにより空気中の浮遊粒子及び浮遊殺菌等の浮遊物質を取り囲んで除去することができることが知られている。ここで、・OHは活性種の一種であり、ラジカルのOHを示している。H+ (H2 O)n 及びO2 - (H2 O)m からのH2 2 又は・OHの生成は以下の化学式で表される。
+ (H2 O)n +O2 - (H2 O)m
→ ・OH+1/2O2 +(m+n)H2 O …(1)
+ (H2 O)n +H+ (H2 O)n'+O2 - (H2 O)m +O2 - (H2 O)m'
→ 2・OH+O2 +(m+m’+n+n’)H2 O …(2)
+ (H2 O)n +H+ (H2 O)n'+O2 - (H2 O)m +O2 - (H2 O)m'
→ H2 2 +O2 +(m+m’+n+n’)H2 O …(3)
本発明者は、上述のように空気中の浮遊物質を除去することによる空気の清浄化の効果のみでなく、これらのイオンが消臭効果を有していることを各種の検証により発見した。以下に、本発明者が行ったイオンの消臭効果に係る検証実験の結果を説明する。
(検証実験1)
タバコの臭気を付着させた試験布を約20m3 の試験室内に吊るして放置し、イオン発生素子を搭載したエアーコンディショナー(以下、単にエアコンという)(製品番号:AY−U22SX)にて試験室内に送風を行う。エアコンはイオンを発生させた場合とイオンを発生させない場合との2つの条件で6時間動作させ、各条件での6時間後の試験布の臭気を6段階臭気強度表示法による官能検査にて比較する。また、エアコンはイオン濃度5000個/cm3 で試験室内にイオンを発生させることができる。
図7は、6段階臭気強度表示法による官能検査の結果を示す図表である。図示のように、イオンを発生せずにエアコンを6時間作動させた場合には臭気強度が「2.0」であるのに対し、イオンを発生させてエアコンを6時間作動させた場合には臭気強度が「0.2」となり、イオンの作用により臭気強度が著しく低減されていることがわかる。よって、上述のイオンは消臭効果を有していると判断できる。なお、図示の結果は6名のパネラーにより6段階臭気強度表示方法による官能試験を実施した結果であり、6名のパネラーの回答した数値を最大値及び最小値をカットして計算し、小数点以下1桁でまとめたものである。
(検証実験2)
まず、JIS標準布(ポリエステル(商品コード:670110))を市販洗剤にて洗濯して、10cm×10cm=100cm2 の大きさにカットし、10枚を1まとめとして酢酸10mgを付着させる。この試験布を1m3 の試験ボックス内に吊るして放置して、イオン発生素子を駆動し、イオンを2時間暴露する。このとき、以下の5つの条件でイオンを発生させ、イオンの暴露後に試験布をアルミパックに密封して60℃にて30分間放置し、その後に試験布から再放出する酢酸量を測定した。なお酢酸濃度の測定は、株式会社ガステックの検知管No.81L(0.488μgの識別が可能)を用いて行った。
条件1:イオン発生なし、送風のみ
条件2:イオン濃度5000個/cm3
条件3:イオン濃度10000個/cm3
条件4:イオン濃度25000個/cm3
条件5:イオン濃度88000個/cm3
図8は、酢酸再放出量の実験結果を示すグラフである。図8(a)には、横軸をイオン濃度(個/cm3 )とし、縦軸を試験布からの酢酸の放出量としたグラフを示してある。また、図8(b)には、横軸をイオン濃度(千個/cm3 )の対数とし、縦軸を酢酸再放出の減少量(即ち、条件1を基準とした場合の酢酸放出量の減少量)としたグラフを示してある。図示のように、イオン発生素子によるイオンの暴露により、試験布から再放出される酢酸の量が減少しており、酢酸の付着臭に対する除去効果が確認できる。また、発生したイオンの濃度と酢酸再放出の減少量が正の相関となっていることから、酢酸付着臭の除去効果がイオンの作用によるものであることがわかる。
上記の2つの検証実験から、イオン発生素子が発生するイオンが消臭効果を有していることが確認できた。上述のようにイオン発生素子からはプラスイオンH+ (H2 O)n 及びマイナスイオンO2 - (H2 O)m が発生され、発生したイオンの相互作用により・OHが生成される(化学式(1)〜(3)参照)。この・OHが臭いの元となる有機化合物のC−C結合、C=C結合及びC=O結合等に作用して分解することによって、消臭効果が得られる。以下に、代表的な臭いの元となる物質の分解作用を化学式で示す。
酢酸との反応:
CH3 COOH+8・OH → 2CO2 +6H2 O …(4)
アセトアルデヒドとの反応:
CH3 CHO+10・OH → 2CO2 +7H2 O …(5)
ベンゼンとの反応:
6 6 +30・OH → 6CO2 +18H2 O …(6)
しかし、イオン発生素子は従来のエアコン又は空気清浄機等の従来機器にも既に搭載されているが、これらの従来機器においては消臭効果が確認されていなかった。本発明者は、イオン発生素子を搭載した従来機器が消臭効果を得られない原因を探求し、以下の点に着目した。即ち、臭いの元となる物質で、質量が重いものは室内の床面付近に、質量が軽いものは室内の天井付近に、これら以外のものは室内の空気の流れに沿って対流している。その結果、臭いの元となる物質で、質量が重いものは床面に付着し、軽いものは天井に付着し、これら以外のものは壁面又はカーテン等に付着していた。
イオン発生素子から発生したイオンは空気中で中和されるため寿命が限られている。イオン発生素子を搭載した従来機器は、イオンを含む空気を部屋の中央付近に送出することを目的としており、部屋の壁面、天井、床面及びカーテン等にイオンを吹き付けることを意識しておらず、吹き出されたイオンが部屋の壁面、天井、床面及びカーテン等にまで十分に到達していなかった。このため、従来機器では、部屋の中央に浮遊する物質をイオンが分解して除去することはできるが、部屋の壁面、天井、床面及びカーテン等に付着した物質を分解することができなかった。部屋の中央に浮遊する物質を除去しても、部屋の壁面、天井、床面及びカーテン等に付着した物質から部屋の中央へ臭気の元となる物質が放出されるため、従来機器では実質的に消臭効果を得ることができなかった。
そこで、本発明に係る空気清浄機1は、イオン発生素子80にて発生したイオンを含む空気を部屋の壁面、天井及び床面に沿って循環させることによって、部屋の壁面、天井、床面及びカーテン等に付着した臭いの元となる物質を分解して除去するようにしてある。以下に、空気清浄機1による空気の循環について説明する。
図9は、空気清浄機から吹き出された空気の流れを説明するための模式図であり、(a)には図20に示した従来の空気清浄機101の場合の空気の流れを示し、(b)には図1に示した本発明に係る空気清浄機1の場合の空気の流れを示してある。なお、空気清浄機101及び1は、直方体状の部屋Rの一の壁面に近接して設置されるものとする。また、部屋Rの天井面をSとし、床面をFとし、空気清浄機101及び1に近接する壁面をW1とし、壁面W1に対向する壁面をW2とする。
部屋Rの床面F上に設置された従来の空気清浄機101は、床面Fに垂直な上方へ空気を吹き出すようにしてある(図9(a)参照)。空気清浄機101から吹き出された空気は、吹出口130から空気清浄機101の真上(鉛直上方)に流れて、天井面Sに衝突する。このとき、空気は天井面Sに対して垂直に衝突するため、衝突によって運動エネルギーが大きく損なわれる。天井面Sに衝突した空気は、四方八方へ略均等に分散するが、運動エネルギーが大きく損なわれているため、空気清浄機101から最遠の壁面W2に到達することなく、再び空気清浄機101に吸い込まれる。
図10は、従来の空気清浄機101による室内での空気の流れを説明するための模式図であり、天井面S、壁面W1〜W4及び床面Fで囲まれた部屋Rを展開して空気の流れを矢印で示したものである。簡単化のために空気清浄機101から吹き出されて天井面Sに衝突した空気がA1〜A8の8方向に分散するとした場合、各方向の空気の量は以下に示すように略等しい。
A1≒A2≒A3≒A4≒A5≒A6≒A7≒A8 …(7)
このとき、A4〜A6の空気は、空気清浄機101の後側に回り込んで、直ちに空気清浄機101に吸い込まれる。よって、全体の約1/4に相当するA4〜A6の空気は、部屋全体へ行き渡ることができず、部屋R内の空気の清浄化にほとんど寄与していない。また、従来の空気清浄機101にイオン発生素子を搭載した場合であっても、発生したイオンの約1/4は消臭に寄与することができない。
これに対して、本発明に係る空気清浄機1は、床面Fに垂直な方向に対して所定角度後方へ傾けた上方へ空気を吹き出す、即ち空気清浄機1の後方に近接する部屋の壁面W1へ向けて斜め上方へ空気を吹き出すようにしてある(図9(b)参照)。空気清浄機1から後方の上方へ吹き出された空気は、まず壁面W1に衝突する。このとき空気は、壁面W1に鉛直方向からではなく、壁面W1に所定角度θ1の斜め方向から衝突するため、衝突の際の運動エネルギーの損失が少ない。また、壁面W1に衝突した空気は、壁面W1に沿って滑らかに天井面Sへ向かう方向(図9(b)の矢印Cの方向)へ流れ、逆方向(矢印Dの方向)へは流れにくい。また、衝突の際の運動エネルギーの損失が少ないため、空気清浄機1から吹き出された空気の到達距離が伸び、部屋の壁面W1から天井面Sに沿って反対側の壁面W2まで空気が到達することができる。
図11は、本発明の実施の形態1に係る空気清浄機1による室内での空気の流れを説明するための模式図であり、天井面S、壁面W1〜W4及び床面Fで囲まれた部屋Rを展開して空気の流れを矢印で示したものである。簡単化のために空気清浄機1から吹き出されて壁面W1に衝突した空気がB1〜B8の8方向に分散するとした場合、各方向の空気の量は以下の式で表される。
B1>B2≒B8>B3≒B7>B4≒B6>>B5 …(8)
よって、空気清浄機1の後側に流れ込む空気の量は、従来の空気清浄機101の場合と比較して大幅に減少する。即ち、以下の式が成立する。
(A4+A5+A6)>>B5 …(9)
これにより、空気清浄機1から吹き出された空気の大部分が室内を循環し、室内空気の清浄化に寄与することができる。また、壁面W1に衝突した空気は天井面Sから他の壁面W2、W3又はW4に沿って流れ、床面Fに沿って空気清浄機1へ吸い込まれるため、イオン発生素子80が発生したイオンを部屋Rの壁面W1〜W4、天井面S及び床面Fに効果的に行き渡らせることができ、これらに付着した臭いの元となる物質を効率よく分解して消臭することができる。
本発明に係る空気清浄機1は、従来の空気清浄機101と比較して、特に空気清浄機1の前面方向へ遠く離れた位置(広い空間)で、より優位性を発揮する。従来の空気清浄機101から吹き出される空気は空気清浄機101の後側へ流れる量が多いためロスが多く、本発明に係る空気清浄機1はロスが少ない。つまり、空気清浄機1及び101から吹き出す空気の量が同一であっても、空気清浄機1及び101の前面側へ導かれる空気の量に差が生じる。また、本発明に係る空気清浄機1から吹き出された空気は、壁面、天井面及び床面に沿って部屋を循環する。これは、流れの中に物体を置いたときにその物体に沿って流れの向きが変わる流体の性質、所謂コアンダ効果を利用したものである。よって、空気清浄機1から壁面、天井面及び床面に沿って循環する空気は拡散しにくく、ポテンシャルコア領域が延長されるため、到達距離が延長される。
従来の空気清浄機101から吹き出される空気は、空気清浄機101から遠く離れた位置に到達しにくいため、空気が循環しない離れた位置によどみが生じやすく、このよどみ領域の空気の清浄化は濃度差に基づく拡散による。また、空気と共に空気清浄機101からイオンを放出した場合であっても、空気清浄機101から遠く離れた位置にイオンが到達することはなく、消臭効果を得ることはできない。これに対して、本発明の空気清浄機1から吹き出される空気は、ロスが少なく、且つ、コアンダ効果により気流の到達距離が延長されるため、空気清浄機1から遠く離れた位置に到達しやすい。従って、本発明の空気清浄機1から吹き出される空気の方が空気清浄機1の前面方向へ遠く離れた位置で効果を発揮し、より広い空間を効果的に清浄化及び消臭することができる。
本発明者は、上述のように空気清浄機1が後方の上方へ空気を吹き出すことにより、室内の空気をより効果的に循環させることができることを各種の実験により検証した。以下に、本発明者が行った空気の循環に係る検証実験の結果を説明する。
(検証実験3)
空気清浄機からの空気の吹出角度と天井面での空気の流れる速度との関係についての検証結果を説明する。図12は、検証実験3の実験条件を説明するための模式図である。図20に示した従来の空気清浄機101を部屋R内に以下の条件で配置した。空気清浄機101の吹出口130の中央位置から部屋Rの壁面W1までの距離Lを370mm又は70mmとし、吹出口130の中央位置から部屋Rの天井面Sまでの距離Hを1800mmとし、吹出口130から吹き出される空気の吹出方向が鉛直方向に対してなす角度θを0°、20°、30°又は40°とした(なお、空気清浄機1の吹出口130から筐体110の後面113までの長さは70mmであるので、L=70mmの条件は、空気清浄機1を壁面W1に接触させて設置した場合である)。また、この条件で部屋Rに設置された空気清浄機101を動作させた場合の天井面Sに沿った空気の流れの速度を、壁面W1の位置(図中Pの位置)から1000mm、1500mm、2000mm及び2500mm離れた4つの位置で測定した。空気清浄機101から吹き出される空気の量は4.3m3 /minとした。
図13は、検証実験3の実験結果を示すグラフであり、横軸を測定位置として壁面W1からの距離(単位:mm)とし、縦軸を空気の流れる速度(単位:m/s)としてある。図示のグラフにおいて、まず、L=370mmとなるように空気清浄機101を設置した場合において、空気の吹出方向が鉛直方向に対してなす角θを0°(図中●)、20°(図中×)、30°(図中◆)、及び40°(図中■)の4つ条件に設定した結果を比較する。図示のグラフから、吹出方向が鉛直方向に対してなす角θを20°〜30°程度に設定することにより、空気を鉛直上方に吹き出した場合(θ=0°の場合、図中●)に比べて、天井面S近傍での空気の流れる速度が大幅に増加していることがわかる(図中×及び◆)。また、θを40°程度に設定すると、天井面S近傍での空気の流れる速度は、鉛直上方へ空気を吹き出した場合と同等である(図中●及び■)。
また、図示のグラフにおいてθが0°の場合に、空気清浄機101の吹出口130の中央位置と壁面W1との距離Lを70mm(図中○)及び370mm(図中●)の2つの条件に設定した場合を比較する。図示のグラフから、L=370mmの場合に対して(図中●)、L=70mmの場合の方が天井面S近傍での空気の流れる速度が速いことがわかる(図中○)。これは、L=370mmとして壁面W1から間隔をあけて空気清浄機101を設置した場合、吹き出された空気の一部が空気清浄機101の後側へ回り込み、前側へ流れる空気が損なわれていることを示している。即ち、空気清浄機101の設置位置によって、室内の空気の循環に大きな影響を与えることが図13に示すグラフによって裏付けられる。
また、図示のグラフにおいてL=70mm且つθ=0°の場合(図中○)と、L=370mm且つθ=20°の場合(図中×)とを比較する。図示のグラフから、L=70mm且つθ=0°の場合(図中○)に対して、L=370mm且つθ=20°の場合(図中×)の方が、天井面S近傍での空気の流れる速度が速いことがわかる。これは、L=70mm且つθ=0°の場合(図中○)、壁面W1によって空気清浄機101の後方への空気の拡散は抑制されるが、吹出口130からの吹き出し直後から空気が壁面W1の粘性抵抗の影響を受けるためである。これに対し、L=370mm且つθ=20°の場合(図中×)、壁面W1によって空気の拡散が抑制されると共に、壁面W1へ衝突するまで空気が粘性抵抗の影響を受けないため、空気清浄機101の前側の天井面Sに沿った空気の流れの速度が損なわれにくい。
更に、図示のグラフにおいて、L=370mmとなるように空気清浄機101を設置し、θ=20°、30°及び40°(図中×、◆及び■)の3つの条件に設定した結果を比較する。図示のグラフから、θが大きいほど、空気清浄機101から吹き出された空気が壁面W1に沿って流れる距離が長くなり、壁面W1の粘性抵抗の影響を受けやすくなること、及び、壁面W1に空気が衝突する際に運動エネルギーが損なわれやすく、空気の流れる方向に対して横方向への広がりが大きくなる(詳細は検証実験4参照)ためである。
このように、吹出口130から吹き出される空気の吹出方向と空気清浄機101の設置位置とによって、室内の空気の流れは大きな影響を受けることが図13のグラフにより裏付けられる。そこで、本発明に係る空気清浄機1では、吹出口30の中央位置から壁面W1までの距離Lが100mm〜600mmの範囲で室内に空気清浄機1が設置されて用いられるとしたときに、吹出口30から吹き出された空気を最初に室内の壁面W1に到達させるために、吹出口30から吹き出される空気の吹出方向が鉛直方向に対してなす角度θを以下に示す式の範囲に設定することが望ましい。
tan-1(L/H)<θ≦35° …(10)
L:吹出口30の中央位置から壁面W1までの距離
H:吹出口30の中央位置から天井面Sまでの距離
ここで、θの上限値は、図13に示すグラフに基づいて35°に設定してある。θの下限値は、図12において空気清浄機101の吹出口130の中央位置と、壁面W1及び天井面Sの交差点Pとを結んだ直線が鉛直方向に対してなす角度であるtan-1(L/H)に設定してある。角度θがtan-1(L/H)以上であれば、吹出口130から吹き出された空気が少なくとも壁面W1に衝突するからである。もし、角度θがtan-1(L/H)以下であり、空気清浄機101の吹出口130から吹き出された空気が最初に天井面Sに衝突した場合、空気の大部分は空気清浄機101の後方へ流れ、壁面W1に沿って空気清浄機101の後側に流れ込む。このため、θ=0°の場合よりも、空気清浄機101の前方へ流れる空気の量は減少し、室内全体に行き渡る空気の量が減少するため、空気の到達距離が短くなる。
(検証実験4)
空気清浄機からの空気の吹出角度と、空気の吹出方向に対する横方向への広がりとの関係についての検証結果を説明する。図14は、検証実験4の実験条件を説明するための模式図である。図20に示した従来の空気清浄機101を壁面W1の近傍に配置し、空気清浄機101の吹出口130から吹き出される空気が壁面W1に吹き付けられる角度θを変化させた。なお、図14(a)には空気清浄機101の側面側から見た壁面W1及び空気清浄機101の位置関係を示し、図14(b)には前面側から見た壁面W1及び空気清浄機101の位置関係を示してある。このときに、吹出口130から吹き出された空気が壁面W1に衝突する地点から一定距離を隔てた2つの地点(図中■及び●)にて空気の流れる速度を測定した。吹出口130から壁面W1への空気の吹出方向を図中の矢印Vとした場合に、測定点■は、空気の衝突地点から壁面W1に沿って矢印Vの方向へ一定距離を隔てた地点、即ち空気の進行方向に係る測定点である。また、測定点●は、空気の衝突地点から壁面W1に沿って測定点■に向かう方向の直行方向へ一定距離を隔てた地点、即ち空気の進行方向に対する横方向の測定点である。
図15は、検証実験4の実験結果を示すグラフであり、横軸を吹出口130から吹き出される空気が壁面W1に吹き付けられる角度θ(単位:°)とし、縦軸を空気の流れる速度(単位:m/s)としてある。図示のグラフから、空気の吹き付け角度θが小さいほど横方向の測定点●での速度が小さいので、空気の横方向への広がりは小さく、壁面W1に対してθ=90°で空気を直角に吹き付けた場合、横方向の測定点●における空気の速度が最も速いので、空気の横方向への広がりが最も大きいことがわかる。
上記の検証実験3及び4から、空気清浄機101の空気の吹出方向が室内の空気の循環に大きな影響を与えることがわかる。よって、本発明に係る空気清浄機1は、吹出口30から吹き出される空気の吹出方向が鉛直方向に対してなす角度θを、上記(10)式に従って、例えばθ=20°に設定してある。これにより、空気清浄機1の吹出口30から後方に20°傾いた上方へ吹き出された空気は、空気清浄機1の後面側の壁面W1に衝突し、天井面S及び他の壁面W2、W3、W4に沿って床面Fまで循環した後に空気清浄機1の吸込口20から吸い込まれる。また、空気清浄機1はイオン発生素子80を搭載しており、天井面S、壁面W1〜W4及び床面Fに沿って空気が循環する際に、これらに付着した臭いの元となる物質を分解して消臭することができる。
以上の構成の本発明に係る空気清浄機1は、イオン発生素子80を搭載して消臭効果を有するイオンを発生すると共に、イオンを含む空気を後方の上方へ、空気の吹出方向が鉛直方向に対してなす角度θが(10)式の範囲となるように吹き出す校正とすることにより、消臭効果を有するイオンを含む空気を部屋の壁面、天井及び床面に沿って効率よく循環させることができるため、部屋の壁面、天井及び床面に付着した臭いの元となる物質に対して直接的に消臭効果を発揮することができる。また、空気清浄機1を継続的に動作させることによって、イオンを含む空気で部屋の壁面、天井及び床面等を継続的に覆うことができ、これにより臭いの元となる物質が壁面、天井及び床面等に付着することを予防できる。よって、本発明に係る空気清浄機1は、室内の空気の循環及びイオンの効果によって、室内の空気中の塵埃、カビ及び細菌等を効率よく除去するのみならず、イオンの消臭効果を部屋の隅々にまで行き渡らせることによって、室内の消臭、脱臭又は防臭等を行うことができ、快適且つ清潔な室内環境を提供することができる。
また、イオンを含む空気が壁面から天井、床面へと循環する際の気流の厚みを考慮して、空気が吹き付けられる室内壁面から遠い吹出流通路60の前壁61cにイオン発生素子80を設けことにより、始めに吹き付けられた室内壁面で相当量のイオンが消費されて室内の循環に寄与できるイオンが減少することが防止でき、イオンをより遠方にまで到達させることができるため、室内の隅々にまで消臭効果を有するイオンを行き渡らせることができる。
なお、本実施の形態においては、空気清浄機1はイオン発生素子80を2つ搭載する構成としたが、これに限るものではなく、空気清浄機1が1つ又は3つ以上のイオン発生素子80を搭載する構成であってもよい。また、イオン発生素子80の構成は図4〜図6に示す構成でなくてもよく、空気中にH+ (H2 O)n 及びO2 - (H2 O)m を発生することができればどのような構成であってもよい。
また、空気の吸込口20を筐体10の後面13に設ける構成としたが、これに限るものではなく、筐体の前面11又は両側面等の他の位置に設ける構成であってもよい。また、空気清浄機1はシロッコファン40により空気を吸引する構成としたが、これに限るものではなく、その他の構成のファンを利用して空気を吸引する構成であってもよい。また、吹出流通路60の形状は図1〜図3に示すものに限らない。例えば、空気清浄機1では吹出流通路60の一部を折り曲げることによって空気の吹出方向を後方へ傾ける構成としたが、これに限るものではなく、シロッコファン40を筐体10内に傾けて搭載し、折れ曲がりのない真直ぐな吹出流通路を通して空気を吹き出す構成としてもよい。また、筐体10自体を部屋の床面に傾けた状態でスタンドなどにて支持する構成としてもよい。
(実施の形態2)
図16は、本発明の実施の形態2に係る空気清浄機201の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る空気清浄機201は、イオンを発生するイオン発生素子80と、イオン発生素子80へ供給する高電圧を発生する高電圧発生回路88と、空気の吸い込み及び吹き出しを行うシロッコファン40と、シロッコファン40を回転駆動するファン駆動回路41と、吸込流通路50又は吹出流通路60内の空気を加湿する加湿手段275と、ユーザの操作を受け付ける操作部90と、操作部90が受け付けた操作に応じて空気清浄機201の各部を制御する制御部95とを備えている。なお、実施の形態2に係る空気清浄機201は、実施の形態1に係る空気清浄機1に加湿手段275を追加した構成である。
加湿手段275は、例えば水を蓄えるタンク、及び蓄えられた水を加熱するヒータ等により構成され、ヒータの加熱により発生する水蒸気を吸込流通路50又は吹出流通路60に放出するようにしてある。なお、加湿手段275による水蒸気の放出位置は、吸込流通路50中のエアフィルタ70からシロッコファン40まで、又は吹出流通路60中のシロッコファン40からイオン発生素子80までのいずれの位置であってもよい。これにより、空気清浄機201を設置した部屋の湿度を高めることができると共に、イオン発生素子80が湿度の高い空気中にイオンを発生することができる。
本発明者は、イオン発生素子80が発生するイオンの寿命が湿度に応じて変化することを検証により発見した。以下に、本発明者が行ったイオンの寿命に係る検証実験の結果を説明する。
(検証実験5)
図17は、検証実験5の実験条件を説明するための模式図である。容積20m3 のチャンバー300内に、イオン発生素子及び加湿手段を備える空気清浄機301(本発明に係る空気清浄機1及び201とは異なる従来型の空気清浄機である)(製品番号:KC−51C1)と、チャンバー300内のイオン濃度を測定するイオンカウンター302とを設置する。まず、空気清浄機301を動作させて、イオン発生素子によるイオンの発生及びイオンを含む空気の吹き出しを行う。チャンバー300内のイオン濃度が一定値に達した後、空気清浄機301を停止してイオンの発生及び空気の吹き出しを終了する。その後、イオンカウンター302によるイオン濃度の測定を繰り返し行って、時間経過によるチャンバー300内のイオン濃度の変化(減衰)を検証する。また、空気清浄機301によるイオンの発生は、加湿手段による加湿を行う場合と行わない場合との2つの条件で行い、イオン濃度の変化にチャンバー300内の湿度が与える影響を検証する。なお、空気清浄機301が加湿を行った場合には、チャンバー300内の湿度は約60%であり、加湿を行わない場合には湿度は約35%である。
図18は、検証実験5の実験結果を示すグラフであり、横軸を空気清浄機301の動作停止からの経過時間(単位:秒)とし、縦軸をチャンバー300内のイオン濃度(単位:個/cm3 )としてある。図中a1の線は加湿を行った場合のマイナスイオンの濃度を示し、a2の線は加湿を行った場合のプラスイオンの濃度を示している。また、図中b1の線は加湿を行わなかった場合のマイナスイオンの濃度を示し、b2の線は加湿を行わなかった場合のプラスイオンの濃度を示している。
図示のグラフから、空気清浄機301の加湿手段による加湿を行った場合、2000個/cm3 程度の安定したイオン濃度が長時間に亘って保たれている。これに対して、加湿を行わなかった場合、短時間でイオン濃度が1000個/cm3 以下に低減している。また、3000個/cm3 以上のイオン濃度を保つ時間を比較すると、加湿を行った場合にはイオン発生停止から80秒〜100秒程度の時間はイオン濃度を保つことができるが、加湿を行わなかった場合には40秒〜50秒程度の時間しかイオン濃度を保つことができず、加湿の有無で寿命に倍程度の差が生じることがわかる。
湿度が高いほどイオンが超寿命化される理由を以下に考察する。空気清浄機301のイオン発生素子が発生するイオンはプラスイオンH+ (H2 O)n 及びマイナスイオンO2 - (H2 O)m であるが、湿度の高い環境においてはこれらのイオンの配位子であるH2 Oの数が増え(即ち、n及びmの値が大きくなり)、クラスターイオンが大きくなる。その結果、イオン発生直後でのプラスイオン及びマイナスイオンの再結合頻度が低下し、イオン濃度の低下が抑制されると共に、イオンが長寿命化される。
よって、実施の形態2に係る空気清浄機201は、イオン発生素子80と共に加湿手段275を搭載し、加湿した空気中にイオンを発生して吹き出す構成であるため、寿命の長いイオンを室内に放出することができる。これにより、空気清浄機201が設置された室内では、イオンによる除菌効果及び消臭効果等を長時間に亘って持続することができる。また、寿命の長いイオンは、空気清浄機201から吹き出される空気と共に、空気清浄機201の設置位置からより遠方まで消滅することなく到達することができるため、広い部屋であっても室内の隅々までイオンによる除菌及び消臭等を行うことができる。
(変形例)
実施の形態2に係る空気清浄機201は加湿手段275により加湿した空気を吹き出す構成であるが、加湿のためにはヒータなどを動作させて水を加熱する必要がある。本発明の空気清浄機201は部屋の壁面、天井及び床面等に沿って消臭効果を有するイオンを含む空気を循環させることができ、継続的な運転を行うことで壁面、天井及び床面等に臭いの元となる物質が付着することを防止することができる。このため、空気清浄機201を継続運転することが好ましいが、加湿手段275を継続的に動作させると消費電力の増大及び室内の湿度の過度の上昇等を招来する虞がある。
そこで本変形例においては、空気清浄機201は運転開始から所定時間が経過するまで加湿手段275による加湿を行ってイオンを放出し、所定時間が経過した後は加湿を行わずにイオンの放出のみを行う。空気清浄機201が動作停止した状態では、壁面、天井及び床面等に臭いの元となる物質が付着するが、空気清浄機201の動作を開始することによって、所定時間経過後には付着した物質の多くを分解して除去することができる。よってその後は、空気清浄機201は壁面、天井及び床面等に臭いの元となる物質が付着することを防止する防臭を目的として運転されるため、加湿手段275を停止しても十分に防臭効果を得ることが可能である。
図19は、本発明の実施の形態2の変形例に係る空気清浄機201が運転開始時に行う処理の手順を示したフローチャートであり、空気清浄機201の制御部95が各部の動作を制御することにより行う処理である。まず、空気清浄機201の制御部95は、ファン駆動回路41によりシロッコファン40の回転駆動を開始し(ステップS1)、高電圧発生回路88にて高電圧を発生することによってイオン発生素子80によるイオンの発生を開始する(ステップS2)。次いで、制御部95は、内部に備えたタイマ(図示は省略する)をスタートさせて(ステップS3)、加湿手段275による加湿を開始する(ステップS4)。
加湿開始後、制御部95はタイマにより所定時間が経過したか否かを調べ(ステップS5)、所定時間が経過していない場合には(S5:NO)、所定時間が経過するまで待機して、加湿手段275による加湿を継続して行う。所定時間が経過した場合(S5:YES)、制御部95は加湿手段275による加湿を停止して(ステップS6)、タイマをリセットし(ステップS7)、処理を終了する。その後、空気清浄機201は、イオン発生素子80によるイオンの発生、及びシロッコファン40による空気の吹き出しのみを継続して行う。
なお、本変形例においては、空気清浄機201が運転開始後の所定時間内にのみ加湿手段275による加湿を行う構成としたが、これに限るものではなく、例えば所定時間毎に加湿手段275による加湿の開始と停止とを切り替える構成であってもよい。また、ユーザが操作部90を操作することによって、加湿手段275による加湿を行うか否かを選択する構成であってもよい。また、空気清浄機201に室内の湿度を検出するセンサを搭載し、センサの検出結果に応じて加湿手段275による加湿の開始と停止とを切り替える構成であってもよい。
なお、実施の形態2に係る空気清浄機201のその他の構成は、実施の形態1に係る空気清浄機1の構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の構成を示す模式的側断面図である。 本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の吹出流通路の構成を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の吹出流通路の構成を説明するための模式的二面図である。 イオン発生素子の外観を示す模式的斜視図である。 イオン発生素子の内部構成を示す模式的斜視図である。 図5のVI−VI線による模式的断面図である。 6段階臭気強度表示法による官能検査の結果を示す図表である。 酢酸再放出量の実験結果を示すグラフである。 空気清浄機から吹き出された空気の流れを説明するための模式図である。 従来の空気清浄機による室内での空気の流れを説明するための模式図である。 本発明の実施の形態1に係る空気清浄機による室内での空気の流れを説明するための模式図である。 検証実験3の実験条件を説明するための模式図である。 検証実験3の実験結果を示すグラフである。 検証実験4の実験条件を説明するための模式図である。 検証実験4の実験結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る空気清浄機の構成を示すブロック図である。 検証実験5の実験条件を説明するための模式図である。 検証実験5の実験結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態2の変形例に係る空気清浄機が運転開始時に行う処理の手順を示したフローチャートである。 従来の空気清浄機の構成を示す模式的側断面図である。
符号の説明
1 空気清浄機
10 筐体
11 前面
12 天面
13 後面
14 底面
20 吸込口
30 吹出口
40 シロッコファン(ファン)
50 吸込流通路
60 吹出流通路
70 エアフィルタ(除去手段)
80 イオン発生素子(イオン発生手段)
90 操作部
95 制御部
201 空気清浄機
275 加湿手段
F 床面
S 天井面
W、W1〜W4 壁面

Claims (2)

  1. 筐体と、該筐体に設けられ、空気を吸い込む吸込口と、該吸込口から吸い込まれた空気を吹き出す吹出口と、前記吸込口から前記吹出口へ空気を送るファンと、該ファンから前記吹出口まで空気を流す吹出流通路と、該吹出流通路を流れる空気中にイオンを発生するイオン発生手段とを備える空気清浄機による室内の消臭・脱臭方法であって、
    前記吹出口の中央位置から対向する最寄りの部屋の壁面までの距離をL[mm]とし、前記吹出口の中央位置から部屋の天井面までの距離をH[mm]とし、距離Lが100<L<600の範囲で選ばれた位置に前記吹出口が配置されて用いられるときに、前記吹出口から送り出される空気を最初に室内の壁面に到達させるために、前記吹出口から送り出される空気の流れる方向が鉛直上方向に対してなす角度θ[°]をtan-1(L/H)<θ≦35の範囲に設定することで、前記イオンを含む空気を室内壁面に吹き付け、該室内壁面に付着又は吸着した臭気発生物質を前記イオンで変質又は分解すること
    を特徴とする室内の消臭・脱臭方法。
  2. 前記空気清浄機は、前記筐体が前後を判別できると共に、前記筐体後側の上方へ、前記吹出口から空気を吹き出すようにしてあること
    を特徴とする請求項1に記載の室内の消臭・脱臭方法
JP2007235797A 2007-09-11 2007-09-11 消臭・脱臭方法 Active JP5230150B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007235797A JP5230150B2 (ja) 2007-09-11 2007-09-11 消臭・脱臭方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007235797A JP5230150B2 (ja) 2007-09-11 2007-09-11 消臭・脱臭方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2009066073A JP2009066073A (ja) 2009-04-02
JP2009066073A5 JP2009066073A5 (ja) 2009-12-03
JP5230150B2 true JP5230150B2 (ja) 2013-07-10

Family

ID=40602978

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007235797A Active JP5230150B2 (ja) 2007-09-11 2007-09-11 消臭・脱臭方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5230150B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5333372B2 (ja) * 2010-07-26 2013-11-06 ダイキン工業株式会社 加湿器
JP2013024484A (ja) * 2011-07-21 2013-02-04 Sharp Corp 空気調和装置
CN110506373B (zh) * 2017-04-10 2021-08-17 夏普株式会社 放电装置以及电气设备
JP2019076524A (ja) * 2017-10-25 2019-05-23 野崎 淳夫 室内環境保全システム
US20200101189A1 (en) * 2018-10-02 2020-04-02 Wildgame Innovations, Llc Device and method for controlling scent
JPWO2021166378A1 (ja) * 2020-02-20 2021-08-26

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61202035A (ja) * 1985-03-05 1986-09-06 Kajima Corp 空調空気の吹出方法
JPH11512A (ja) * 1997-06-13 1999-01-06 Hitachi Ltd 空気清浄装置
JP2003227638A (ja) * 2002-11-29 2003-08-15 Sharp Corp イオン発生装置及びこれを搭載した空調機器
JP2005231696A (ja) * 2004-02-20 2005-09-02 Oguraya Konbu Shokuhin Kk 包装容器
JP2006314365A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Sharp Corp 空気調節装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009066073A (ja) 2009-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1681066B1 (en) Sterilization method
JP3949146B2 (ja) 空気調節装置
JP2008036257A (ja) 空気清浄機
JP5230150B2 (ja) 消臭・脱臭方法
JP2007021411A (ja) 電気集塵機および空気調和機
JP4864442B2 (ja) 空気清浄機及び空気清浄方法
KR20100007262A (ko) 공기청정기
WO2006013710A1 (ja) 空気調節装置及び臭い除去方法
JP5980637B2 (ja) 空気調和機
JP2005300111A (ja) 空気清浄ユニット、空気調和装置、および空気調和システム
JP2005076906A (ja) 空気調節装置
JP2007021099A (ja) 空気清浄機
JP2007021100A (ja) 空気清浄機
JP2016211846A (ja) 空気調和機
JP2003090571A (ja) 空気改質機器
JP4073824B2 (ja) 送風装置
JP2011125780A (ja) 送風装置
JP2012037170A (ja) 加湿機能付脱臭装置
JP2006250396A (ja) 空気清浄機能付喫煙室
JP2002089868A (ja) 空気調和機
JP5209753B2 (ja) 換気システム
JP2006029664A (ja) 天井埋設型または天井吊下型の空気調和装置、および空気清浄ユニット
JP2016020781A (ja) 電気機器
JP2008116202A (ja) イオン発生素子の取付構造及びこれを用いた送風構造並びに空調装置及び空調システム
JP5469686B2 (ja) 空気清浄機

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091021

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091021

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120828

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121022

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121113

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130123

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130319

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160329

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5230150

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150