図1は本発明の濾過装置を使用した排水処理装置の一形態例を示す系統図、図2は前濾過装置の一形態例を示す縦断面図、図3は生物膜リアクターの一形態例を示す縦断面図、図4は後濾過装置の一形態例を示す縦断面図である。
まず、本形態例に示す排水処理装置1は、図1に示されるように、取水部10と、前濾過装置20と、生物膜リアクター30と、後濾過装置40と、塩素混和槽50と、給水装置60とを順に設け、さらに、原水を前濾過装置20、生物膜リアクター30、後濾過装置40、塩素混和槽50に順に送液する原水ポンプ71と、前記塩素混和槽50から給水装置60へ濾過水を送液する給水ポンプ72と、前記前濾過装置20及び後濾過装置40に逆洗水を送液する逆洗ポンプ73と、前記前濾過装置20及び後濾過装置40に空洗用の空気を送る空洗ブロワ74と、生物膜リアクター30に散気用の空気を送る散気ブロワ75とを備えている。
前濾過装置20は、図2に示されるように、密閉容器20aと、該密閉容器20aの内部上方に設けられ、中心に向けて漸次凹となるホッパー状のスクリーン21と、該密閉容器20aの内部下方に設けられ、通水構造を有する濾材支持板22と、前記スクリーン21の上方に設けられた原水流入部20bと、濾材支持板22の下方に設けられた濾過水導出部20cと、前記濾材支持板22と前記スクリーン21との間に充填された濾材23とを備えている。
また、前記スクリーン21の上面には、該スクリーン21に捕捉された夾雑物を掻取って中央に掻き寄せるスクレーパー24が回転可能に設けられるとともに、前記スクリーン21の中央部分には、スクレーパー24によって掻き寄せられた夾雑物を排出するためのスクリーンかす排出部25が前記密閉容器20aの底部を貫通して設けられている。さらに、前記密閉容器20aの下方には、空洗管20dに接続する散気手段26と、逆洗水導入部20eと、洗浄排水排出部20fとが設けられている。
前記密閉容器20aの上方に設けられた原水流入部20bは、前記原水ポンプ71及び経路76を介して前記取水部10に、密閉容器20aの下方に設けられた前記濾過水導出部20cは経路77及び送液弁を介して前記生物膜リアクター30の上部にそれぞれ接続されている。原水流入部20bは、この原水流入部20bから密閉容器20a内に導入される原水の流れによってスクレーパー24を回転させることができる状態に設けられている。例えば、密閉容器20aが円筒形の場合は、該密閉容器20aの上部に接線方向に原水を流入させるように原水流入部20bを設けて密閉容器20a内に旋回流を形成させることにより、この旋回流でスクレーパー24を回転させることができる。
スクレーパー24は、スクリーンかす排出部25の上端に挿入される回転支軸24aに、スクリーン21の上面に沿って、斜めに放射状に形成された複数の翼部24bが取り付けられたもので、スクレーパー24が回転することにより、スクリーン21に捕捉された夾雑物が中央側にかき寄せられる形状となっている。また、密閉容器20aの天井部には、監視窓27と、吸・排気管28と、レベルセンサ29とが設けられている。
濾材支持板22は、直径3mm程度の複数の穴を備えたパンチングメタルや、ウエッジワイヤスクリーンで形成されている。前記スクリーン21と濾材支持板22との間に充填される濾材23は、原水の性状に応じて任意のものが使用可能であり、大きさも形状も任意であるが、例えば、適当な大きさの不織布を用いることができる。また、濾材支持板22の上面又は下面の前記スクリーンかす排出部25の周囲には、前記散気手段26がリング状に設けられている。
前記空洗管20dには、前記空洗ブロワ74から経路78aを介して空気が供給され、また、逆洗水導入部20eには、前記逆洗ポンプ73によって前記塩素混和槽50から逆洗水が経路79及び逆洗弁79aを介して供給される。さらに、スクリーン21に捕捉された夾雑物は、前記スクリーンかす排出部25から、経路80及びスクリーンかす排出弁80aを介して前記取水部10に戻され、前記洗浄排水も、前記洗浄排水排出部20fから、経路81及び洗浄排水弁81aを介して前記取水部10に戻される。
なお、原水が大量の夾雑物を含んでいるときには、スクリーンかす排出部25の下端部に貯留部を設けることにより、取水部10への排出頻度を少なくすることができる。
生物膜リアクター30は流動床式で、図3に示されるように、密閉容器30aの内部上方と内部下方とにそれぞれ設けた担体支持板31,31の間に生物担体32を充填し、上部の担体支持板31の上方に前濾過装置20で濾過処理した濾過水が流入する濾過水流入部30bを、下部の担体支持板31の下方に生物処理を行った生物処理水を導出する生物処理水導出部30cをそれぞれ備えるとともに、密閉容器30aの下部には、前記生物担体32を流動状態とするための空気を噴出する散気手段33が設けられている。
密閉容器30aの濾過水流入部30bは、前記経路77を介して前記前濾過装置20に、生物処理水導出部30cは経路82及び生物処理水導出弁82aを介して前記後濾過装置40にそれぞれ接続されている。また、密閉容器30aの天井部には、監視窓34と、排気弁35と、背圧弁36と、レベルセンサ37とが設けられ、前記背圧弁36によって密閉容器30a内は30kPa程度の内圧に維持され、さらに、前記排気弁35により吸排気できる構造となっている。また、レベルセンサ37によって水位を検知し、検知した水位に応じて排気弁35を開閉することにより水位を一定に保つようにしている。
密閉容器30aの下部には、ドレン排出部30dが設けられ、該ドレン排出部30dと前記生物処理水導出部30cとは、ドレン排出弁30eと前記生物処理水導出弁82aの開閉操作によって切り替わり、生物処理水は前記経路82を介して前記後濾過装置40に送液される。また、前記散気手段33は、下方の担体支持板31の上面又は下面に設けられ、この散気手段33には、密閉容器30aの下方に設けられた前記散気ブロワ75に接続された散気管30fから空気が供給される。
各担体支持板31は、直径8mm程度の複数の穴を備えたパンチングメタル等で形成されている。生物担体32は、比重1程度で、大きさが3〜20mm程度の各種担体を任意に選択できるが、例えば、直径10mm,長さ10mm程度の中空円筒状に形成された発泡ポリプロピレン製で、比重が0.95〜1.05の範囲の生物担体を使用することができる。さらに、生物担体32の充填量を流動化層の約70〜80%とすることで、担体同士の擦れ合いが起こり、生物膜の肥大化を防止することができ、流動化した生物担体32が担体支持板31に衝突することにより、担体支持板31が閉塞することも防止できる。また、担体支持板31は、密閉容器30aの内部を上下に仕切るように設けずに、密閉容器30aへの流入部や流出部のそれぞれを覆うように設けることも可能である。例えば、濾過水流入部30bの先端部にパンチングメタルで形成した筒状体等を取り付けることにより、密閉容器30aの内部上方の全面に担体支持板を設けることなく、濾過水流入部30bからの生物担体32の流出を防止することができる。
なお、本形態例では、生物膜リアクター30を、上部に濾過水流入部30bを、下部に生物処理水導出部30cをそれぞれ設けた下向流方式としたが、下部の担体支持板31の下方に濾過水流入部30bを、上部の担体支持板31の上方に生物処理水導出部30cをそれぞれ設けた上向流方式の生物膜リアクターを採用することもできる。
後濾過装置40は、図4に示されるように、密閉容器40aと、該密閉容器40aの内部上方に設けられたスクリーン41と、該スクリーン41の上方に設けられた生物処理水流入部40bと、密閉容器40aの内部下方に設けられた通水構造を有する濾材支持板42と、該濾材支持板42の下方に設けられた濾過水導出部40cと、濾材支持板42とスクリーン41との間に充填される濾材43と、密閉容器40aの中央部分に配設されたスクリューリボン型撹拌機44と、スクリューリボン型撹拌機44の回転軸44aに取り付けられ、前記スクリーン41の上面に摺接してスクリーン41に捕捉された夾雑物を掻取るスクレーパー45と、スクリーン41の周囲に設けられたスクリーンかす排出部40dと、密閉容器40aの下部に設けられた逆洗水導入部40e及び、洗浄排水排出部40fとを備えている。
前記密閉容器40aの上方に設けられた生物処理水流入部40bは、前記経路82を介して前記生物膜リアクター30に、密閉容器40aの下方に設けられた前記濾過水導出部40cは、経路83及び送液弁を介して前記塩素混和槽50がそれぞれ接続されている。密閉容器40aの天井部には、吸・排気管46と、レベルセンサ47と、スクリューリボン型撹拌機44の駆動装置48が設けられ、駆動装置48には、スイベルジョイント49を介して密閉容器40a内に突出する回転軸44aが連結され、前記スイベルジョイント49には回転軸44aに空気を送る空洗管78bが連結されている。また、密閉容器40aの下部に設けられた前記逆洗水導入部40eと洗浄排水排出部40fとは、排出弁40gと導入弁40hとを切り替え開閉することにより切り替わり、逆洗水は、経路84及び前記逆洗ポンプ73を介して前記塩素混和槽50から供給され、洗浄排水は洗浄排水排出部40f、排出弁40g及び経路85を介して前記取水部10に戻される。
スクリューリボン型撹拌機44の回転軸44aは空気通路を有する中空部材によって形成されており、該回転軸44aの周壁からは径方向に複数のスクリュー支持部材44bが突出してスクリューリボン44cを支持している。該スクリュー支持部材44bは、内部に前記回転軸44aの空気通路に連通する空気通路を有する中空部材で形成されており、スクリュー支持部材44bの下部や側方部分には、スイベルジョイント49から各空気通路を介して供給される空気を噴出する複数の散気孔44dが設けられている。すなわち、このスクリューリボン型撹拌機44は、回転するスクリューリボン44cによって濾材43を撹拌する撹拌手段と、散気孔44dから空洗用空気を噴出する散気空気供給手段とを兼ねている。なお、空洗管78bを、回転軸44aの下端部の中心にスイベルジョイントを介さずに上向きに挿入した状態とすることも可能であり、これにより、空洗管78bと回転軸44aとの接続構造を簡素化することができる。
スクリーン41は、中心部が密閉容器40aの天井部側に突出する円錐状に形成され、中央には前記回転軸44aの挿通孔が形成されている。また、スクリーン41の外周には、夾雑物をスクリーンかす排出部40dにガイドするための凹溝41aが形成されている。スクリーン41に捕捉された夾雑物は、凹溝41a、スクリーンかす排出部40d、経路86及び排出弁86aを介して前記取水部10に戻される。また、後濾過装置40に用いられる濾材43は、前濾過装置20に用いられる濾材23と同様のものを使用可能であり、例えば前記不織布を使用することができる。
塩素混和槽50は、貯槽50aと、撹拌装置50bと塩素貯留タンク50cとを備えた周知のもので、塩素処理を行った処理水は、給水ポンプ72及び経路87を介して給水装置60に導入され、該給水装置60から経路88に送液される。また、塩素混和槽50の処理水の一部は、前記逆洗ポンプ73を介して前濾過装置20及び後濾過装置40に送られ、逆洗水として利用される。
このように形成した排水処理装置1を用いて原水を処理する際には、まず前濾過装置20の送液弁を開、吸排気弁を閉、空洗弁を閉とし、スクリーンかす排出弁80aは適宜開閉状態とする。原水は、原水ポンプ71によって取水部10から汲み上げられ、経路76を通って前濾過装置20の原水流入部20bに供給される。原水流入部20bから密閉容器20a内に流入した原水は、密閉容器20aに流入し、例えば円筒形の密閉容器20aの接線方向に流入して旋回流を形成し、スクレーパー24を回転させる。原水中の比較的大きな夾雑物は、原水がスクリーン21を通過する際に、該スクリーン21の上面に捕捉される。捕捉された夾雑物はスクレーパー24によって中央に掻き寄せられ、スクリーンかす排出部25内を流下し、スクリーンかす排出弁80aが開いたときにスクリーンかす排出部25から排出され、経路80を介して前記取水部10に戻される。このスクリーンかす排出弁80aの開閉は、タイマーやスクリーン21での差圧により行うことができる。スクリーン21を通過した原水は、スクリーン21と濾材支持板22との間に充填された濾材23の層を通過することにより、原水中の細かい懸濁成分が捕捉され、原水ポンプ71からの送水圧によって濾過水導出部20cから経路77を介して生物膜リアクター30へ送液される。
また、タイマーや濾過抵抗(原水流入部20bと濾過水導出部20cとの差圧)の上昇により、前濾過装置20の洗浄工程が開始される。洗浄工程では、まず、原水ポンプ71を停止させ、送液弁を閉じ、レベルセンサ29で容器内の水位を測定しながらスクリーンかす排出弁80aを開、吸・排気管28の吸排気弁を開とし、密閉容器20aの上部に200mm程度の空間ができるまで水位を下げてスクリーンかす排出弁80aを閉とする。次に、経路78の空洗弁を開くとともに空洗ブロア74を運転し、例えば空洗速度2m/分で3分間程度の空洗を行う。次いで、吸排気弁を閉、空洗弁を開、スクリーンかす排出弁80a及び洗浄排水弁81aを開とし、空洗ブロワ74を運転しながら排水する。さらに、吸排気弁、空洗弁、スクリーンかす排出弁80a、洗浄排水弁81aを開、送液弁を閉とした状態で空洗ブロワ74を運転し、さらに逆洗ポンプ73を、例えば、水洗速度1m/分で4分間程度運転し、前濾過装置20の空洗と逆洗とを行う。このような洗浄工程が終了したら、水張りを行って所定時間静置した後、濾過工程を再開する。
前濾過装置20での濾過工程では、原水の流入を密閉容器20aの接線方向にすることで、スクレーパー24を回転させてスクリーンかすを掻き寄せ、ホッパー状に形成したスクリーン21からスクリーンかす排出部25に良好に排出させることができるので、粗大な夾雑物が多く流れ込むことがあっても、安定した濾過を行うことができる。なお、スクレーパー24を原水の流れで回転させずに、モータ等の駆動装置で適宜回転させるようにしてもよい。また、濾材23をSS抑留量の多い不織布で形成することにより、濾過継続時間を長くすることができるとともに高速濾過が可能となる。さらに、前濾過装置20を密閉構造とすることにより、空洗ブロワ74によって短時間且つ確実な空洗及び排水ができる。
前濾過装置20で濾過処理された濾過水は、ドレン排出弁30eを閉、生物処理水導出弁82aを開とした生物膜リアクター30の濾過水流入部30bに経路77を介して送られる。生物膜リアクター30は、前記背圧弁36の開閉により密閉容器30a内を30kPa程度の内圧に維持するとともに、必要に応じて排気弁35を開とすることで容器内の水位が所定水位に保たれる。また、散気ブロワ75から散気管30f、散気手段33を介して生物担体32に空気が供給される。
前記前濾過装置20で濾過された濾過水は、担体支持板31,31の間に充填された生物担体32の層を通過し、生物処理されて生物処理水導出部30cから導出される。また、排水処理装置の停止時等、必要に応じてドレン排出弁30eを開、濾過水導出弁82aを閉とすることにより、ドレンを排出することができる。
この生物膜リアクター30では、比重が1程度の生物担体32を使用していることから、散気によって生物担体32が良好に流動し、濾床の閉塞を防止しながら活性の高い濾床を維持することができるとともに、濾床を洗浄する必要もない。また、この生物担体32の流動により、担体支持板31,31が擦られ、担体支持板31,31の閉塞を有効に防止することができる。さらに、密閉容器30a内を30kPaに保持していることから、後続する後濾過装置40への生物処理水の供給を良好に行え、また、圧力下の曝気であることから、水深を浅くしても、空気溶解効率を高くすることができる。
生物処理水は、生物処理水導出部30cから導出され、排出弁40g、導入弁40hを閉、送液弁を開とした後濾過装置40の濾過水流入部40bに経路82を介して導入される。濾過水流入部40bから流入した生物処理水は、スクリーン41を通過する際に夾雑物が捕捉され、スクリーン41と濾材支持板42との間に充填された濾材43の層を通過することにより、懸濁成分が濾別される。
また、タイマーや濾過抵抗(濾過水流入部40bと濾過水導出部40cとの差圧)の上昇により、後濾過装置40の洗浄工程が開始される。洗浄工程では、生物処理水導出部30cからの送液を停止し、スクリーンかすの排出弁86aを開としてレベルセンサ47により容器内を空洗水位に設定した後、排出弁86aを閉、吸・排気管46の吸排気弁を開とし、空洗管78bの空洗弁を開とするとともに空洗ブロア74と、スクリューリボン型撹拌機44の駆動装置48とを運転する。スクリューリボン型撹拌機44の回転数を毎分約1〜20回転程度とし、濾材43を撹拌しながら、スクリューリボン型撹拌機44の複数の散気孔44dから濾材43に空気を送って空洗する。さらに、吸排気弁、空洗弁、スクリーンかすの排出弁86a、排出弁40gを開、経路82の送液弁を閉とし、空洗ブロワ74と逆洗ポンプ73を運転し、空洗するとともに逆洗する。また、スクリューリボン型撹拌機44の回転に伴ってスクレーパー45が回転し、スクリーン41に捕捉された夾雑物が外周側の凹溝41aに集められ、スクリーンかす排出部40dから経路86を介して前記取水部10に戻される。このような洗浄工程が終了したら、水張りを行って所定時間静置した後、濾過工程を再開する。
このように、後濾過装置40では、スクリューリボン型撹拌機44を回転させながら回転軸44aに空気を供給し、スクリュー支持部材44bの散気孔44dから空気を噴出させることにより、水平方向及び垂直方向の空洗を行うことができ、撹拌の効果と相俟って少ない空気量で効果的に濾材43の空洗を行うことができる。また、スクレーパー45を回転軸44aとともに回転させることから、夾雑物が多く流入することがあっても,スクリーン41の目詰まりを防止して安定した濾過運転を行うことができる。また、密閉構造であることから、空洗ブロワ74による短時間且つ確実な排水ができる。
なお、散気孔44dは、全てのスクリュー支持部材44bに設ける必要はなく、最下部の1本のスクリュー支持部材44bのみに散気孔44dを設けても十分な効果が得られる。また、必要に応じて、最下部の1本のスクリュー支持部材44bと同じ水平レベルで、回転軸44aを挟んで対称の位置にスクリュー支持部材44bと同一形状の管を取付け、ここに散気孔44dを設けることもできる。さらに、回転軸44aを濾材支持板42の下方まで突き出し、ここに、散気孔44dを有する管を水平方向に取り付けることで、濾材支持板42の空気洗浄を行うことも可能である。但し、各スクリュー支持部材44bにおける液深がそれぞれ異なることから、スクリュー支持部材44bの基部に調圧装置を設けて上下各スクリュー支持部材44bの散気孔44dから均等に散気できるようにすることが好ましく、また、調圧装置により、下方の散気孔44dからの散気量を上方の散気孔44dからの散気量に比べて多くするなどの調整を行うこともできる。
さらに、スクリュー支持部材44bの基部に逆止弁を設け、回転軸44a内に容器内の液が浸入しないようにすることが好ましく、前記調圧装置として逆止弁の機能を有する調圧装置を用いることもできる。また、散気孔44dは、直径1〜5mm程度のキリ穴でもよいが、スリットで形成することもでき、散気孔44dに逆止弁の機能を有する散気装置を取り付けることも可能である。
後濾過装置40で濾過された濾過水は、経路83を介して前記塩素混和槽50に送られ、塩素貯留タンク50cから塩素注入ポンプ50dで注入された次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の塩素剤とともに、撹拌装置50bで良く混合される。塩素処理された水は、給水ポンプ72及び経路87を介して給水装置60に導入され、調圧用コンプレッサー60aで圧力が調整され、処理水として経路88に送液される。
本発明の濾過装置を使用した排水処理装置は上述のように形成されることにより、前濾過装置20,生物膜リアクター30、後濾過装置40の構造をシンプルにでき、処理水量20〜100m3/日規模ならばコンパクトで且つ安価な装置を提供することができる。また、原水を原水ポンプ71の送水圧で前濾過装置20から生物膜リアクター30を介して後濾過装置40へ順次供給できることから、後工程へ送水するための水頭を確保する必要がなくなり、各装置の高さを低く、例えば3m以下に抑えることができる。これにより、排水処理装置全体を工場で製作し、そのまま現場まで運搬することが可能になり、工事期間の短縮、製造コストの削減を図ることができる。
さらに、原水ポンプ71の圧力で原水を前濾過装置20から塩素混和槽50まで送液する構造となっていることから、中継槽や中継ポンプが不要となり、制御が容易になるとともに、排水処理装置をコンパクトにすることができ、車載型の装置にすることもできる。これにより、河川、湖沼、公園内の池等の浄化装置として、あるいは浚渫時の泥水処理として、比較的短期間の利用にも採用することができる。
また、下水の中継ポンプ場で雑用水を製造するために使用するときは、濾過装置の洗浄操作で排出される排水を流入下水が流れる取水部に戻してもまったく問題はないが、河川等の浄化、泥水処理を行う場合は、洗浄排水を一時的に貯留し、凝集沈殿,脱水等を行う汚泥処理装置を付加することが好ましい。また、ビルや工場内の雑用水製造や排水処理にも適用できる。
本形態例に例示した排水処理装置は、塩素混和槽の水位によって原水ポンプの運転を制御し、原水ポンプの運転に合わせて各装置を運転することが好ましい。また、夜間の休止や、日・祭日、あるいは連休による休止期間には、生物リアクターの活性の維持、凍結防止、汚泥の腐敗等を考慮し、自動的に間欠的な運転を行って捨水する待機モードを組み込むと好適である。待機モードでは、生物膜リアクターの曝気量を通常の3分の1程度に絞り込んでランニングコストの削減を図ることができる。
また、後濾過装置におけるスクリューリボンはシングル構造のものに限らずダブル構造のものでも良く、装置が大きくなる場合には、内外に複数のリボンを設けると効果的である。さらに、回転軸に薬液やスチームを供給することによって薬液洗浄やスチーム洗浄等も可能であり、効果的に薬液や熱を伝えることができ、滅菌効果を高めることができる。
さらに、滅菌処理は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液などの塩素剤を注入する方式として、残留塩素により滅菌効果の持続を図っているが、使用する目的によっては、UV滅菌等を行ってもよい。
また、取水部10から取水した原水が夾雑物や懸濁物質を含んでいない場合には、前濾過装置20を省略しても生物膜リアクター30の運転にはほとんど影響がないため、前濾過装置20を省略して排水処理装置の更なる小型化、簡素化を図ることができる。さらに、装置高さに特に制限がなく、各容器を高く形成して適当な水頭が得られる場合には、前濾過装置20、生物膜リアクター30及び後濾過装置40を密閉容器で形成する必要はなく、容器上部を開放させるようにしてもよい。また、前濾過装置20のスクレーパー24は、モータ等の駆動装置で回転させるようにしてもよい。
図5は、後濾過装置として使用する濾過装置の他の形態例を示す縦断面図である。なお、以下の説明において、前記形態例に示した各構成要素と同一の構成要素には、それぞれ同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本形態例に示す濾過装置は、濾材43として比重が大きな砂を使用した砂濾過装置に適用した例を示している。濾材43の比重が大きい場合は、容器40a内の濾材充填部より上方に洗浄排水を排出するための排水トラフ41b及び排水管41cを設けおけばよく、スクリーンや濾材支持板を省略することができる。また、図示は省略するが、濾材43として比重が1程度の不織布を使用するときには、前記排水トラフ41b及び排水管41cから濾材43が流出しないように、容器上部の適宜な位置に濾材支持板を設けておけばよい。
図6及び図7は、前記前濾過装置や後濾過装置の断面平面図を示すものであって、図6は濾過装置90の濾過容器90aとして円筒形の容器を使用した例を、図7は角筒形の濾過容器90bを使用した例をそれぞれ示している。このように、前濾過装置や後濾過装置の濾過容器には、円筒形や角筒形をはじめとして各種形状のものを任意に用いることができる。このとき、処理量や濾材の種類、濾過容器90a,90bの高さ等の条件、さらに、スクリューリボン型撹拌機を備えた後濾過装置ではスクリューリボン型撹拌機の直径と濾過容器90a,90bの内面との距離を適切に設定することにより、濾過容器の形状に関係なく同等の濾過性能を得ることができる。また、角筒形の濾過容器の場合、必要に応じて容器コーナー部に仕切部材を設けて水平断面形状を円筒形に近付けるようにしてもよい。
また、図8は濾過池内に複数の濾過装置を設置した例を示している。大都市における大規模な下水処理場では、急速砂濾過設備として水平断面積50m2(7.1m×7.1m)のコンクリート製の濾過池が設けられていることが多い。このような濾過池91に前述の後濾過装置40を適用する場合、スクリューリボン型撹拌機44の直径は、公道上の搬送を考慮すると最大で2800mm程度となることから、濾過池91の内部を仕切板92によって4個の区画93に分割し、各区画93内にそれぞれスクリューリボン型撹拌機44等の後濾過装置に必要な機材を設置する。仕切板92は、各区画93を完全に仕切って各区画93を独立させた状態としてもよいが、濾材を通過させずに通水性を有する多孔板やネットで仕切板92を形成することにより、濾材の分布を平均化して濾過池91内における濾過処理を安定して行うことができる。なお、濾材の種類や濾床高さ等の条件によっては仕切板92を省略することもできる。また、濾過池91内の水の流れを考慮して隣接するスクリューリボン型撹拌機44の回転方向を逆方向に設定することもできる。
図8に示すように、複数の濾過池91を有する設備の場合、濾材の洗浄は1池ずつ順番に行うようにする。洗浄頻度は、原水の性状や濾過速度等の条件によって異なるが、通常は1日あたり2〜4回程度であるから、逆洗ポンプや空洗ブロワ等の洗浄設備は、4〜8池に対して一式設ければよいことになる。これを1系列とすれば、1系列あたりの処理水量は200,000〜400,000m3/日となる。大都市における下水処理場の処理規模は、200,000〜1,000,000m3/日程度であることから、1〜3系列で対応可能となる。
なお、図8では後濾過装置40を適用した例を挙げたが、前述の前濾過装置20も同様にして適用可能である。このように、既存のコンクリート躯体の濾過池に対しても、濾過池内を仕切板によって適当な大きさに区画することで本発明の濾過装置を適用可能であるから、大掛かりな工事を行うことなく低コストで既存設備の濾過機能を改善することができ、処理水量の増加等を図ることができる。