JP5104731B2 - 車両 - Google Patents

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Description

本発明は、倒立振り子の姿勢制御を利用した車両に関するものである。
従来、倒立振り子の姿勢制御を利用した車両に関する技術が提案されている。例えば、同軸上に配設された2つの駆動輪を有し、乗員の重心移動による車体の姿勢変化を感知して駆動する車両、球体状の単一の駆動輪に取り付けられた車体の姿勢を制御しながら移動する車両等の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この場合、センサで車体のバランスや動作の状態を検出しながら、倒立制御を行って、車両を移動させる。また、乗員が降車するときや車両の電源を遮断したときには、倒立制御を停止するのと同時にストッパを作動させ、該ストッパを接地させることによって車体の姿勢を維持するようになっている。
特開2004−291799号公報
しかしながら、前記従来の車両においては、路面形状によって倒立制御を停止させることができない場合がある。例えば、ストッパの設計において、平坦(たん)路で倒立制御を停止させてストッパを接地させた状態が力学的に安定であるように設計しても、路面勾(こう)配や段差によっては、ストッパを接地させても車体が力学的に不安定な状態になり、倒立制御を停止できない場合がある。
この事から、乗員が倒立制御を停止して降車する際、乗員は降車場所の路面形状、及び、それによる倒立制御停止時の車体姿勢の安定性への影響を正しく評価し、降車場所を正しく選択する必要があるが、乗員がそれらの影響を正確に評価することは極めて困難である。また、誤認識や誤操作に因って、乗員が危険な場所で倒立制御の停止を要求する可能性もある。したがって、安全性の観点から、たとえ車両が十分な登降坂性能や段差走行性能を備えていても、実際に車両を坂路や段差のある場所で使用することは困難であり、モビリティとして、使い勝手が悪い。
本発明は、前記従来の車両の問題点を解決して、倒立制御の停止指令を受けると、路面形状に基づいて姿勢制限手段が接地したときの車体の安定性を判断し、不安定であると判断した場合には倒立制御停止の要求を棄却することによって、危険な状況下における倒立制御の停止を確実に防ぎ、乗員が降車場所の安全性に気を使う必要がなく、使い勝手がよく、かつ、安全に使用することができる車両を提供することを目的とする。
そのために、本発明の車両においては、回転可能に車体に取り付けられた駆動輪と、該駆動輪に付与する駆動トルクを制御して前記車体の姿勢を制御する車両制御装置とを有し、該車両制御装置は、路面形状を取得する路面形状取得手段と、取得した路面形状に応じて、前記車体の姿勢の制御を停止した状態における前記車体の安定性を判断する安定性判断手段と、前記車体の姿勢の制御の停止を要求する信号を取得する停止要求取得手段と、前記安定性判断手段が不安定であると判断したときに前記停止要求取得手段が取得した停止を要求する信号を棄却する停止要求棄却手段とを備える。
本発明の他の車両においては、さらに、路面に接地させて前記車体の姿勢角度を制限する姿勢制限手段、を更に備え、前記安定性判断手段は、前記姿勢制限手段が路面に接地した状態における前記車体の安定性を判断する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記路面形状取得手段は、路面勾配及び/又は段差の位置及び/又は段差の高さを取得する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記路面形状取得手段は、前記駆動輪の回転状態及び/又は前記車体の姿勢の時間履歴によって前記路面形状を推定する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記姿勢制限手段が路面に接地した状態における車両の重心を通る鉛直線が路面と交わる位置である第1の位置と、前記駆動輪が路面に接地する位置である第2の位置と、前記姿勢制限手段が路面に接地する位置である第3の位置と、前記第2の位置と前記第3の位置から等しい距離にある位置である第4の位置について、該第4の位置に対する前記第1の位置の相対位置を表す接地荷重偏心度を算出する接地荷重偏心度算出手段を備え、前記安定性判断手段は、算出された接地荷重偏心度が所定範囲外であると、不安定であると判断する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、車両をその場で転回させる転回手段、を更に備え、該転回手段は、前記停止要求取得手段が停止を要求する信号を取得し、かつ、前記安定性判断手段が不安定であると判断したときに車両を転回させる。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記転回を許可する信号を取得する転回許可取得手段、を更に備え、前記転回手段は、前記停止要求取得手段が停止を要求する信号を取得し、かつ、前記安定性判断手段が不安定であると判断し、かつ、前記転回許可取得手段が前記転回を許可する信号を取得したときに車両を転回させる。
本発明の更に他の車両においては、さらに、使用者に警告音及び/又は警告表示としての情報を報知する報知手段、を更に備え、該報知手段は、前記安定性判断手段の判断結果及び/又は前記停止要求取得手段の取得信号に応じて異なる情報を報知する。
請求項1の構成によれば、路面形状の影響で姿勢制御の停止が危険な場所において、乗員が誤って停止を指令した場合でも倒立制御を継続するため、乗員は安全性に気を使う必要がなく、安全に、かつ、快適に使用することができる。
請求項2の構成によれば、姿勢制御の停止後に姿勢制限手段が接地した状態を考慮するため、その安定性を適切に判断できる。
請求項3の構成によれば、路面勾配や段差を認識し、停止時における車体の安定性への影響を正しく考慮するため、急な路面勾配や高い段差があるような場所でも、安全に、安心して使用することができる。
請求項4の構成によれば、路面形状を計測するセンサがなくても、倒立制御停止時の車体の安定性を判断することができる。
請求項5の構成によれば、車体の力学的状態を厳密に考慮して安定性を評価するので、倒立制御停止の可否をより正しく判断できる。
請求項6の構成によれば、車体の向きを修正することで、実質的な路面勾配の大きさを低減する、あるいは、段差を回避することができるため、所定の時間を費やせば、路面形状に係わらず必ず倒立制御を停止することができる。
請求項7の構成によれば、転回動作を許可した後に転回動作を開始するため、不意に転回を開始することによる乗員の違和感や周囲の障害物等への接触の危険性を低減することができる。
請求項8の構成によれば、停止要求棄却手段による停止要求の棄却を、乗員が停止要求取得手段の故障と誤認識することを確実に防ぐことができる。また、倒立制御の停止時に車体が不安定になるような危険な場所を走行するとき、その危険性を乗員に認識させ、そのような場所からの離脱を促すことで、例えば、非常停止が必要だが路面状況によって停止を実行できないような危険な状況を回避できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における車両の構成を示す概略図でありストッパが接地した状態を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態における車両の制御システムの構成を示すブロック図である。
図1において、10は、本実施の形態における車両であり、車体の本体部11、駆動輪12、支持部13及び乗員15が搭乗する搭乗部14を有し、前記車両10は、車体を前後に傾斜させることができるようになっている。そして、倒立振り子の姿勢制御と同様に車体の姿勢を制御する。図1に示される例において、車両10は右方向に前進し、左方向に後退することができる。また、図1に示される例において、車両10は坂路(登坂路)上にある。
前記駆動輪12は、車体の一部である支持部13に対して回転可能に支持され、駆動アクチュエータとしての駆動モータ52によって駆動される。なお、駆動輪12の軸は図1に示す平面に垂直な方向に存在し、駆動輪12はその軸を中心に回転する。また、前記駆動輪12は、単数であっても複数であってもよいが、複数である場合、同軸上に並列に配設される。本実施の形態においては、駆動輪12が2つであるものとして説明する。この場合、各駆動輪12は個別の駆動モータ52によって独立して駆動される。なお、駆動アクチュエータとしては、例えば、油圧モータ、内燃機関等を使用することもできるが、ここでは、電気モータである駆動モータ52を使用するものとして説明する。
また、車体の一部である本体部11は、支持部13によって下方から支持され、駆動輪12の上方に位置する。そして、本体部11には搭乗部14が取り付けられている。なお、本実施の形態においては、説明の都合上、乗員15が搭乗部14に搭乗している例について説明するが、搭乗部14には必ずしも乗員15が搭乗している必要はなく、例えば、車両10がリモートコントロールによって操縦される場合には、搭乗部14に乗員15が搭乗していなくてもよいし、乗員15に代えて、貨物が積載されていてもよい。前記搭乗部14は、乗用車、バス等の自動車に使用されるシートと同様のものであり、座面部、背もたれ部及びヘッドレストを備える。
前記搭乗部14の脇(わき)には、目標走行状態取得装置としてのジョイスティック31を備える入力装置30が配設されている。乗員15は、操縦装置であるジョイスティック31を操作することによって、車両10を操縦する、すなわち、車両10の加速、減速、旋回、その場転回、停止、制動等の走行指令を入力するようになっている。なお、乗員15が操作して走行指令を入力することができる装置であれば、ジョイスティック31に代えて他の装置、例えば、ペダル、ハンドル、ジョグダイヤル、タッチパネル、押しボタン等の装置を目標走行状態取得装置として使用することもできる。
また、前記入力装置30は、停止要求取得手段としての制御切替スイッチ32を備える。そして、乗員15が走行開始や降車を希望する場合には、制御切替スイッチ32を操作することによって、倒立制御の実行や停止の指令を入力するようになっている。ここで、乗員15が操作して倒立制御の実行や停止を入力することができる装置であれば、制御切替スイッチ32に代えて他の装置、例えば、押しボタンやタッチパネル、操作レバー、音声認識システム等の装置を停止要求取得手段として使用することもできる。また、これらは実行又は停止の一方のみを指令する装置であってもよい。
さらに、前記入力装置30は、転回許可取得手段としての転回許可スイッチ33を備える。そして、乗員15が降車の際に車体の転回を許可する場合には、転回許可スイッチ33を操作することによって、転回制御の許可や禁止の指令を入力するようになっている。ここで、乗員15が操作して転回制御の許可や禁止の指令を入力することができる装置であれば、転回許可スイッチ33に代えて他の装置、例えば、押しボタンやタッチパネル、操作レバー、音声認識システム等の装置を転回許可取得装置として使用することもできる。また、これらは許可又は禁止の一方のみを指令する装置であってもよい。
なお、車両10がリモートコントロールによって操縦される場合には、前記ジョイスティック31、制御切替スイッチ32及び転回許可スイッチ33に代えて、コントローラからの走行指令を有線又は無線で受信する受信装置を目標走行状態取得装置として使用することができる。また、車両10があらかじめ決められた走行指令データに従って自動走行する場合には、前記ジョイスティック31、制御切替スイッチ32及び転回許可スイッチ33に代えて、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体に記憶された走行指令データを読み取るデータ読取り装置を目標走行状態取得装置として使用することができる。
さらに、支持部13には、姿勢制限手段としてのストッパ16が取り付けられている。図に示される例において、前記ストッパ16は、略八の字状の側面形状を備え、支持部13の下端に枢支された中心部16c、該中心部16cの前端から前方斜め下方向に延出する前方部16f、該前方部16fの前端に形成された前方接地部16a、前記中心部16cの後端から後方斜め下方向に延出する後方部16r、及び、該後方部16rの後端に形成された後方接地部16bを有する。図に示される例において、ストッパ16の各部の位置、角度、形状について、前方部16fと後方部16rは面対称の関係にあり、その平面上に駆動輪12の回転軸及び支持部13の中心軸があるように取り付けられる。すなわち、前方部16fと後方部16rとは同一の寸法及び形状を備える。そして、倒立制御を停止した時には、前方接地部16a又は後方接地部16bが路面に接地することによって車体の姿勢角度を制限し、車体が所定角度以上に傾斜することを防止する。
また、車両10は、車両制御装置としての制御ECU(Electronic Control Unit)20を有し、該制御ECU20は、主制御ECU21及び駆動輪制御ECU22を備える。前記制御ECU20並びに主制御ECU21及び駆動輪制御ECU22は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、車両10の各部の動作を制御するコンピュータシステムであり、例えば、本体部11に配設されるが、支持部13や搭乗部14に配設されていてもよい。また、前記主制御ECU21及び駆動輪制御ECU22は、それぞれ、別個に構成されていてもよいし、一体に構成されていてもよい。
そして、主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22、駆動輪センサ51及び駆動モータ52とともに、駆動輪12の動作を制御する駆動輪制御システム50の一部として機能する。前記駆動輪センサ51は、レゾルバ、エンコーダ等から成り、駆動輪回転状態計測装置として機能し、駆動輪12の回転状態を示す駆動輪回転角及び/又は回転角速度を検出し、主制御ECU21に送信する。また、該主制御ECU21は、駆動トルク指令値を駆動輪制御ECU22に送信し、該駆動輪制御ECU22は、受信した駆動トルク指令値に相当する入力電圧を駆動モータ52に供給する。そして、該駆動モータ52は、入力電圧に従って駆動輪12に駆動トルクを付与し、これにより、駆動アクチュエータとして機能する。
また、主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22、車体傾斜センサ41及び駆動モータ52とともに、車体の姿勢を制御する車体制御システム40の一部として機能する。前記車体傾斜センサ41は、加速度センサ、ジャイロセンサ等から成り、車体傾斜状態計測装置として機能し、車体の傾斜状態を示す車体傾斜角及び/又は傾斜角速度を検出し、主制御ECU21に送信する。そして、該主制御ECU21は、駆動トルク指令値を駆動輪制御ECU22に送信する。
なお、主制御ECU21には、入力装置30のジョイスティック31から走行指令が入力される。そして、前記主制御ECU21は、駆動トルク指令値を駆動輪制御ECU22に送信する。
また、各センサは、複数の状態量を取得するものであってもよい。例えば、車体傾斜センサ41として加速度センサとジャイロセンサとを併用し、両者の計測値から車体傾斜角と車体傾斜角速度とを決定してもよい。
そして、制御ECU20が倒立制御を停止すると、図1に示されるように、ストッパ16が路面に接地する。図1において、17は乗員15も含む車両10の重心を示し、白抜きの三角は、駆動輪12の接地点としての駆動輪接地点を示し、白抜きの丸は、重心17からの垂線が路面と交わる点としての接地荷重中心点を示し、白抜きの星は、前方接地部16a又は後方接地部16bが路面に接地する点としてのストッパ接地点を示している。なお、図1に示されるη、b、h、xC 、xS 等の記号については、後で説明する。
本実施の形態において、制御ECU20は、倒立制御停止時における車体姿勢が不安定であると予測される場合には、倒立制御の停止を禁止する。具体的には、倒立制御実行時、すなわち、ストッパ16が浮上している時において、常に、倒立制御停止時、すなわち、ストッパ16の接地時の車体姿勢を予測し、車体姿勢の安定性を予測する。そして、安定性が十分でない場合には、乗員15が降車を要求しても、その降車要求を棄却する。また、予測した車体安定性に応じて、乗員15に倒立制御停止が危険な状態であることを報知する。
つまり、制御ECU20は、任意の路面形状における倒立制御停止時の安定性の評価を行い、ストッパ16の寸法及び形状と路面勾配とに応じて、ストッパ16が接地した時の車体姿勢の安定性を予測する。具体的には、倒立制御実行時、すなわち、ストッパ16が浮上している時において、常に、倒立制御停止時、すなわち、ストッパ16の接地時の車体姿勢を予測し、それが不安定な状態である場合には、倒立制御の停止を禁止する。また、倒立制御を停止した場合の車体姿勢の安定性を予測した結果を乗員15に報知する。
以下の説明において、表記の簡略化のため、駆動輪12の回転軸に垂直な平面に投影した駆動輪接地点を、省略して、単に、駆動輪接地点と表記する。また、ストッパ接地点や接地荷重中心点も同様に表記する。また、同様の理由から、倒立制御の実行時に予測したストッパ接地点、接地荷重中心点を、それぞれストッパ接地予測点、接地荷重中心予測点と表記する。
車体姿勢の安定性については、予測される倒立制御停止時における駆動輪接地点とストッパ接地点と接地荷重中心点との位置関係によって判断する。まず、駆動輪接地点とストッパ接地点との中点に接地荷重中心点がある状態を最安定状態とする。そして、前記中点から接地荷重中心点までの水平方向の距離に相当する接地荷重偏心度の予測値に応じてストッパ16の接地時の安定性を判断する。
また、予測される倒立制御停止時の車体姿勢が不安定であり、乗員15の降車要求が棄却された状況において、乗員15が車体の転回を許可した場合には、制御ECU20は、その場転回によって車両10の向きを変えて、降車を可能にする。
例えば、坂路上で降車する場合、坂路の勾配の方向と垂直な方向まで車両10を転回すれば、前述のように車体の左右両側に所定の間隔で配設されている2つの駆動輪が安定性を確保する範囲内において、倒立制御停止時の車体姿勢の安定性は高い状態に維持される。
また、段差の近傍において、倒立制御を停止してストッパ16を接地させようとするとストッパ16が段差に接触する場合、転回により車両の向きを変えることで段差への接触を回避することができる。
なお、制御ECU20は、機能の観点から、推定によって路面形状を取得する路面形状取得手段、取得した路面形状に応じて停止時の車体姿勢の安定性を判断する安定性判断手段、不安定であると判断されると車体の姿勢の制御の停止を禁止する停止要求棄却手段、前記接地荷重偏心度を算出する接地荷重偏心度算出手段、並びに、車両10をその場で転回させる転回手段を備える。
このように、倒立制御実行時、すなわち、車体の姿勢制御が行われている時であってストッパ16を使用する前に、あらかじめストッパ16の接地時の車体姿勢を予測し、倒立制御停止時の車体姿勢の安定性を予測し、不安定である場合には倒立制御の停止を禁止し、安全性の高い降車場所でのみ倒立制御の停止を可能とするので、乗員15の誤認識や誤操作によって危険な場所で倒立制御を停止することがない。また、乗員15は、降車場所の安全性に気を使う必要がない。したがって、安全で、使い勝手のよい倒立型の車両10を提供することができる。
次に、前記構成の車両10の動作について説明する。まず、車両制御処理の概要について説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態における車両制御処理の動作を示すフローチャートである。
車両制御処理において、制御ECU20は、まず、安定性評価処理を実行する(ステップS1)。この場合、倒立制御停止時における車体の安定性を接地荷重偏心度の推定値で評価する。
続いて、制御ECU20は、降車希望判定を行い、降車希望であるか否かを判定する(ステップS2)。この場合、入力装置30の制御切替スイッチ32から入力された実行/停止指令の信号を取得し、乗員15が降車を望んでいるか否かを判断する。具体的には、実行指令の場合には乗員15が降車を望んでいない、停止指令の場合には乗員15が降車を望んでいると判断する。
そして、降車を望んでいないと判定すると、制御ECU20は、倒立制御を引き続き実行し(ステップS3)、車体の倒立姿勢を維持しつつ、乗員15が指令する走行状態を実現して、車両制御処理を終了する。該車両制御処理は、所定の時間間隔(例えば、100〔μs〕毎)で繰り返し実行される。なお、倒立制御の内容については、通常の倒立型車両における倒立制御と同様であるので、説明を省略する。
また、降車希望判定において降車を希望していると判定した場合、制御ECU20は、安定性判定を行い、倒立制御停止時すなわちストッパ接地時の車体が安定であるか否かを判定する(ステップS4)。この場合、接地荷重偏心度によって倒立制御停止後にストッパ16が接地した時の車体の安定性を判定し、降車が可能であるか否かを判断する。
そして、倒立制御停止時すなわちストッパ接地時の車体が安定であると判定すると、制御ECU20は、着地制御を実行し(ステップS5)、車体を緩やかに前方に傾け、ストッパ16の前方接地部16aを路面に接地させ、車両制御処理を終了する。
一方、倒立制御停止時すなわちストッパ接地時の車体が不安定であると判定すると、制御ECU20は、倒立制御を実行し(ステップS6)、車体の倒立姿勢を維持する。なお、ここでの倒立制御は、ステップS3の倒立制御と同様のものである。
続いて、制御ECU20は、転回許可判定を行い、転回が許可されたか否かを判定する(ステップS7)。この場合、入力装置30の転回許可スイッチ33から入力された転回許可/禁止指令によって、乗員15が車両10の転回を容認するか否かを判断する。
そして、転回が許可されたと判定すると、制御ECU20は、転回制御処理を実行し(ステップS8)、左右の駆動輪12を互いに逆方向に回転させて、その場で車両10を転回させ、車両制御処理を終了する。また、転回が許可されていないと判定した場合には、そのまま車両制御処理を終了する。
次に、安定性評価処理について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における駆動輪接地点、接地荷重中心点及びストッパ接地点の位置関係を説明する図、図5は本発明の第1の実施の形態における安定性評価処理の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態においては、状態量やパラメータを次のような記号によって表す。
θW :駆動輪回転角〔rad〕
θ1 :車体傾斜角(鉛直軸基準)〔rad〕
τW :駆動トルク(2つの駆動輪の合計)〔Nm〕
g:重力加速度〔m/s2
η:路面勾配〔rad〕
W :駆動輪質量(2つの駆動輪の合計)〔kg〕
W :駆動輪接地半径〔m〕
W :駆動輪慣性モーメント(2つの駆動輪の合計)〔kgm2
1 :車体質量(乗員を含む)〔kg〕
1 :車体重心距離(車軸から)〔m〕
Figure 0005104731
続いて、主制御ECU21は、路面勾配を推定する(ステップS1−2)。この場合、取得した各状態量と、前回(一つ前の時間ステップ)の倒立制御で決定した駆動トルク指令値とに基づき、次の式(1)によって、路面勾配ηを推定する。
Figure 0005104731
このように、本実施の形態においては、駆動モータ52が出力する駆動トルクと、状態量としての駆動輪回転角加速度及び車体傾斜角加速度とに基づいて路面勾配を推定する。つまり、駆動輪12の回転状態だけでなく車体姿勢も考慮する。したがって、より高精度な路面勾配の推定が可能となる。
なお、本実施の形態では、ストッパ16が比較的軽い場合を想定し、ストッパ16の影響を考慮していないが、ストッパ16の慣性等による影響を考慮してもよい。
また、ローパスフィルタによって、推定値の高周波成分を除いてもよい。この場合、推定に時間遅れが生じるが、高周波成分に起因する振動を抑制することができる。
さらに、本実施の形態においては、駆動輪12の回転運動に関する線形モデルを使用しているが、粘性摩擦等を考慮したモデルや、より正確な非線形モデルを使用してもよいし、車体傾斜運動を考慮したモデルを使用してもよい。なお、非線形モデルについては、マップの形式で関数を適用することもできる。
また、計算の簡略化のために、車体姿勢の変化を考慮しなくてもよい。
さらに、センサによる計測値に基づいて路面勾配を決定してもよい。例えば、車体の前後に対地高さを計測する距離センサを配設して、前後における対地高さ及び車体傾斜角に基づいて路面勾配を決定してもよい。
続いて、主制御ECU21は、ストッパ接地点を予測する(ステップS1−3)。具体的には、取得した路面勾配に基づき、次の式(2)によって、ストッパ接地点を予測する。なお、図1には、ストッパ16の前方接地部16aが路面に接地した予測状態が示されている。
ストッパ16の前方接地部16aが接地した場合の駆動輪接地点からストッパ接地予測点までの水平線上の距離をxS,f とし、ストッパ16の後方接地部16bが接地した場合の駆動輪接地点からストッパ接地予測点までの水平線上の距離をxS,r とすると、xS,f 及びxS,r は、次の式(2)で表される。なお、以降の説明において、xS,f 及びxS,r を統合的に説明する場合には、駆動輪接地点からストッパ接地予測点までの距離xS として説明する。
Figure 0005104731
続いて、主制御ECU21は、接地荷重中心点を予測する(ステップS1−4)。具体的には、取得した路面勾配に基づき、次の式(3)によって、接地荷重中心点を予測する。
ストッパ16の前方接地部16aが接地した場合の駆動輪接地点から接地荷重中心予測点までの水平線上の距離をxC,f とし、ストッパ16の後方接地部16bが接地した場合の駆動輪接地点から接地荷重中心予測点までの水平線上の距離をxC,r とすると、xC,f 及びxC,r は、次の式(3)で表される。なお、以降の説明において、xC,f 及びxC,r を統合的に説明する場合には、駆動輪接地点から接地荷重中心予測点までの距離xC として説明する。
Figure 0005104731
このように、主制御ECU21は、路面形状に基づいて、倒立制御の停止時、すなわち、ストッパ16の接地時における車体姿勢及び力学的状態を予測する。つまり、路面勾配η及びストッパ16の各部の形状及び寸法に基づいて、ストッパ接地点及び接地荷重中心点を予測する。この場合、路面勾配によるストッパ接地点及び駆動輪接地点の位置変化を考慮して、駆動輪接地点からストッパ接地点までの距離xS を求める。また、路面勾配によるストッパ接地点及び駆動輪接地点の位置変化を考慮して、駆動輪接地点から接地荷重中心点までの距離xC を求める。このように、倒立制御停止時における車両10の状態を詳細に考慮することで、その安定性をより高い精度で評価することができる。
また、主制御ECU21は、車体が前傾してストッパ16の前方部16fの前方接地部16aが接地した場合と、車体が後傾してストッパ16の後方部16rの後方接地部16bが接地した場合とを考慮し、各々の場合におけるストッパ接地点及び接地荷重中心点を求める。これにより、倒立制御の緊急停止時において車体がどちらの方向に傾斜する場合についても、その安定性をあらかじめ評価しておくことができる。
さらに、主制御ECU21は、路面勾配の値として、倒立制御のシステム異常判定時間だけ前の推定値を使用する。これにより、システムが異常であることを認識する前に、センサの故障等による誤った路面勾配の推定値に基づく車体の安定性についての誤った判定により不安定な状態で倒立制御を停止してしまう危険性を確実に回避することができる。
なお、本実施の形態においては、非線形の評価式によって、ストッパ接地点と接地荷重中心点との相対位置を予測しているが、より簡単な線形式によって予測してもよい。また、タイヤの変形や車体傾斜の慣性等を考慮したより詳細なモデルに基づく評価式によって予測してもよい。さらに、関数をマップとして具備し、それを用いて予測してもよい。
続いて、主制御ECU21は、接地荷重偏心度を予測する(ステップS1−5)。具体的には、予測したストッパ接地点及び接地荷重中心点に基づき、次の式(4)によって、倒立制御の停止時、すなわち、ストッパ16の接地時における接地荷重偏心度を算出する。なお、図4には、ストッパ接地点、接地荷重中心点及び駆動輪接地点の位置と、駆動輪接地点からストッパ接地点及び接地荷重中心点までの水平距離と、接地荷重偏心度との関係も示されている。
ストッパ16の前方接地部16aが接地した場合の接地荷重偏心度をγf とし、ストッパ16の後方接地部16bが接地した場合の接地荷重偏心度をγr とすると、γf 及びγr は、次の式(4)で表される。なお、以降の説明において、γf 及びγr を統合的に説明する場合には、γとして説明する。
Figure 0005104731
続いて、主制御ECU21は、制御停止時の安定性を報知する(ステップS1−6)。具体的には、予測した接地荷重偏心度から倒立制御停止時における車体の安定性を評価し、乗員15に報知する。ここで、安定性は接地荷重中心偏心度に基づいて定量的に評価される。安定の度合いを表す安定度sは次の式(5)で表される。
s=max(sf ,sr ),sf =1−|γf |,sr =1−|γr | ・・・式(5)
このとき、主制御ECU21は、安定度が所定の閾(しきい)値以下の場合、乗員15に制御停止時に不安定になることを報知する。また、その情報を制御切替スイッチ32の入力状態によって変化させる。なお、乗員15に安全度を報知する報知手段としては、以下のうちのいずれか1つ以上を用いることができる。
聴覚情報;車体にスピーカを配設し、該スピーカが発生する警告音又は警告メッセージによって、乗員15に危険を報知する。
視覚情報;車体に警告ランプを配設し、該警告ランプを点灯させる。また、車体にモニタを配設し、該モニタに警告メッセージを表示させることによって、乗員15に危険を報知する。
力覚情報;搭乗部14のシートや足置き、入力装置30等を振動させることによって、乗員15に危険を伝える。
本実施の形態においては、安定性の判定結果と制御停止要求信号の状態との組み合わせによって、以下の情報を乗員15に与える。
(a)安定性の判定結果は「安定」で、制御停止要求信号の状態は「制御実行」である場合、聴覚情報、視覚情報、力覚情報のいずれも与えない。
(b)安定性の判定結果は「安定」で、制御停止要求信号の状態は「制御停止」である場合、聴覚情報として「車両停止まで、しばらくお待ちください。」という音声を前記スピーカから発生し、視覚情報として「着地動作中」というメッセージを前記モニタに表示し、力覚情報として入力装置30をロック機構により固定する。
(c)安定性の判定結果は「不安定」で、制御停止要求信号の状態は「制御実行」である場合、聴覚情報として所定の警告音を前記スピーカから発生し、視覚情報として「危険;安全な場所へ移動してください」というメッセージを前記モニタに表示し、力覚情報として搭乗部14のシートを弱く振動させる。
(d)安定性の判定結果は「不安定」で、制御停止要求信号の状態は「制御停止」である場合、聴覚情報として「この場所では駐車できません」というメッセージを前記スピーカから発生し、視覚情報として「駐車不可」というメッセージを前記モニタに表示し、力覚情報として搭乗部14のシートを強く振動させる。
ここで、(b)の場合、正常な着地動作として倒立制御を停止したことを乗員15に認識させることで、制御切替スイッチ32の誤操作時や操作状態の誤認識時における乗員15の不安や不満を低減することができる。また、(c)の場合、現在の走行エリアが危険であることを乗員15に認識させることができる。さらに、(d)の場合、現在の場所が危険であることとその場所では降車できないことを乗員15に強く認識させるのと共に、不快感を与えることでその状態からの回避を促すことができる。
このように、主制御ECU21は、接地荷重中心偏心度の予測値に基づいて、倒立制御停止時の車体の安定性を定量的に評価する。このとき、前側に接地した場合と後側に接地した場合の両方を考慮して総合的に安定性を判断することで、より適切な安定性の判断を実行できる。
また、乗員15に現在の状況(降車は可能か、及び、緊急停止時は安全か、及び、操作系の入力状態はどうか)を正しく認識させることによって、乗員15に危険走行エリアからの離脱を促すとともに、降車禁止に対する不満を軽減させることができる。したがって、より安全で快適な倒立型の車両10を提供することができる。
なお、本実施の形態においては、安定度がs=1の点、すなわち、接地荷重中心点が駆動輪接地点とストッパ接地点との中点にある場合を最安定としているが、異なる点にある場合を最安定としてもよい。例えば、接地荷重中心点がストッパ接地点の外側にある状態の方が、駆動輪接地点の外側にある状態よりも重大な不安定状態にあることを考慮し、所定量だけ駆動輪接地点に接近した位置を最安定点とすることで、より転倒しにくい制御を実現してもよい。
また、前側接地を想定した接地荷重中心点と後側接地を想定した接地荷重中心点について異なる値を最安定としてもよい。例えば、降車時には前傾接地した後に乗員が降車すると重心位置が後方に移動するため、停止中は前側の最安定点をストッパ接地点側に乗員の体重に応じた量だけ近付けてもよい。
次に、転回制御処理について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態における転回制御処理の動作を示すフローチャートである。
転回制御処理において、主制御ECU21は、まず、駆動輪12の状態量を取得する(ステップS8−1)。この場合、駆動輪センサ51から左右に配設された駆動輪12の回転角速度の差、すなわち、左右駆動輪回転角速度差を取得する。
続いて、主制御ECU21は、駆動トルク差を決定する(ステップS8−2)。具体的には、取得した左右駆動輪回転角速度差に基づき、次の式(6)によって、左右の駆動輪に与えるトルク差の指令値を決定する。
Figure 0005104731
続いて、主制御ECU21は、駆動輪制御システム50に指令値を与える(ステップS8−3)。具体的には、決定した駆動トルク差の指令値を駆動輪制御ECU22に送信する。すると、該駆動輪制御ECU22は、倒立制御処理で送信された駆動トルクと、転回制御処理で送信された駆動トルク差の指令値とを両立させるように、各駆動輪12のトルク指令値を決定し、制御を実行する。
このように、本実施の形態においては、転回制御処理を実行して車両10をその場で転回させることによって、車両10の着地方向における路面勾配ηの実質的な低減を実現することができる。なお、乗員15にとっての不意の動作を回避するため、乗員15が転回を許可した場合のみ、転回動作を開始する。そして、転回動作と同時に安定性評価処理を実行し、倒立制御停止時の安定性が保証された段階で着地制御へ自動的に移行する。
なお、本実施の形態においては、乗員15の転回許可によって転回動作を開始しているが、周囲物体認識センサを配設し、転回によって周囲の物体に接触する可能性がある場合には、乗員15の許可の有無に係わらず、転回を禁止するようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、転回方向を常に一定としているが、乗員15が転回許可スイッチ33に付加した転回方向指令装置によって、転回方向を指定することができるようにしてもよい。また、転回動作時の路面勾配推定値の変化に注目し、路面勾配推定値が増加する傾向にある場合には、一度転回を停止した後に、逆方向に転回するようにしてもよい。さらに、周囲の路面形状を取得することができるセンサを配設し、路面形状計測値に基づいて、適切な方向に転回させるようにしてもよい。
さらに、本実施の形態においては、駆動輪回転角速度差のフィードバック制御によって転回制御を実現しているが、他の方法を用いてもよい。例えば、ヨーレートセンサを配設し、その計測値のフィードバック制御によって転回制御を実現してもよい。また、一定の駆動トルク差を与えるフィードフォワード制御によって転回を実現してもよい。
このように、本実施の形態においては、倒立制御実行時にあらかじめストッパ16の接地時の車体姿勢を予測し、倒立制御停止時の車体姿勢の安定性を予測し、不安定であると予測された場合には倒立制御の停止を禁止し、安定性を確保できる降車場所でのみ車両10の倒立制御を停止させるので、乗員15は、降車場所の安全性に気を使う必要がない。したがって、安全で、使い勝手のよい倒立型の車両10を提供することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図7は本発明の第2の実施の形態における車両の制御システムの構成を示すブロック図である。
本実施の形態における車両10は、図7に示されるように、段差センサ61を有し、該段差センサ61によって周囲の段差を検知して計測し、その計測値に基づいて車体安定性を予測する。
倒立制御実行時において、乗員15が倒立制御停止時の危険性に気付かない場合がある。例えば、周囲に存在する段差に気付かずに走行したり、降車を希望したりする場合がある。また、倒立制御停止時の安定性について、乗員15が誤った判断をする場合がある。例えば、段差の影響を過小評価してその近傍を走行したり、その近傍で降車を希望したりする場合がある。車両10の倒立制御停止時における車体の安定性は、路面形状に強く影響されるが、それらを正確に評価することは乗員15にとって困難である。そのため、安全性を考慮すると、段差のある場所で車両10を使用することは困難となる。しかし、それでは、モビリティとして使い勝手が悪い。
そこで、本実施の形態においては、段差センサ61によって周囲の段差を検知して計測し、その計測値に基づいて倒立制御停止時における車体姿勢の安定性を予測する。そして、予測した倒立制御停止時の安定性が十分でない場合には、乗員15の降車要求を棄却する。具体的には、接地荷重偏心度が所定範囲から外れた場合には、乗員15の降車希望を拒否する。また、転回が許可された場合には、その場で転回させることによって車両10の向きを変えて、降車を可能にする。
段差の近傍において、倒立制御を停止してストッパ16を接地させようとするとストッパ16が段差に接触する場合、転回により車両の向きを変えることで段差への接触を回避することができる。
さらに、予測した倒立制御停止時の車体の安定性に応じて、乗員15に倒立制御停止が危険な状態であることを報知する。具体的には、接地荷重偏心度が所定範囲から外れた場合には、乗員15に危険を報知する。
これにより、乗員15自身が段差に気を使うことなく、気軽に、かつ、安全に利用することができる倒立型の車両10を提供することができる。
本実施の形態における段差センサ61は、段差計測システム60の一部として機能し、超音波センサ、レーザレーダ、画像センサ等から成り、車両10の近傍の路面上に存在する段差を検知し、その高さ及び/又は位置を計測する。そして、段差形状として、段差の高さ及び/又は位置を主制御ECU21に送信する。
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態における車両10の動作について説明する。なお、車両制御処理の概要及び転回制御処理については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略し、安定性評価処理についてのみ説明する。
図8は本発明の第2の実施の形態におけるストッパの接地予測状態を示す図、図9は本発明の第2の実施の形態における安定性評価処理の動作を示すフローチャートである。
Figure 0005104731
続いて、主制御ECU21は、段差計測値を取得する(ステップS1−12)。この場合、段差センサ61によって計測された段差の高さ及び位置を取得する。図8において、Hf は前方の段差の高さであり、Xf は前方の段差の位置である。なお、図示されていないが、後方の段差の高さはHr であり、後方の段差の位置はXr である。そして、以降の説明において、Hf 及びHr を統合的に説明する場合には、段差高さHとして説明し、Xf 及びXr を統合的に説明する場合には、段差位置Xとして説明する。
なお、段差高さHの値は、上り段差を正の値とし、下り段差を負の値とする。また、段差位置Xの値は、駆動輪接地点から段差までの距離とする。
続いて、主制御ECU21は、ストッパ接地点を予測する(ステップS1−13)。具体的には、取得した段差の高さ及び位置に基づき、次の式(7)及び(8)によって、ストッパ接地点を予測する。なお、図8には、ストッパ16の前方接地部16aが前方の段差に接地した予測状態が示されている。
Figure 0005104731
続いて、主制御ECU21は、接地荷重中心点を予測する(ステップS1−14)。具体的には、取得した段差の高さ及び位置に基づき、次の式(9)及び(10)によって、接地荷重中心点を予測する。
Figure 0005104731
このように、主制御ECU21は、路面形状に基づいて、倒立制御の停止時、すなわち、ストッパ16の接地時における車体姿勢及び力学的状態を予測する。つまり、段差高さH及び段差位置Xに基づいて、ストッパ接地点及び接地荷重中心点を予測する。この場合、段差によるストッパ接地点の位置変化を考慮して、駆動輪接地点からストッパ接地点までの距離xS を求める。また、段差による車体傾斜角等の変化を考慮して、駆動輪接地点から接地荷重中心点までの距離xC を求める。このように、倒立制御停止時における車両10の状態を詳細に考慮することで、その安定性をより高い精度で評価することができる。
また、主制御ECU21は、車体が前傾してストッパ16の前方部16fの前方接地部16aが接地した場合と、車体が後傾してストッパ16の後方部16rの後方接地部16bが接地した場合とを考慮し、各々の場合におけるストッパ接地点及び接地荷重中心点を求める。これにより、倒立制御の緊急停止時において車体がどちらの方向に傾斜する場合についても、その安定性をあらかじめ評価しておくことができる。
なお、本実施の形態においては、非線形の評価式によって、ストッパ接地点と接地荷重中心点との相対位置を予測しているが、より簡単な線形式によって予測してもよい。または、タイヤの変形や車体傾斜の慣性等を考慮したより詳細なモデルに基づく評価式によって予測してもよい。さらに、関数をマップとして具備し、それを用いて予測してもよい。
続いて、主制御ECU21は、接地荷重偏心度を予測する(ステップS1−15)。具体的には、予測したストッパ接地点及び接地荷重中心点に基づき、前記第1の実施の形態において説明した前記式(4)によって、倒立制御の停止時、すなわち、ストッパ16の接地時における接地荷重偏心度を算出する。
続いて、主制御ECU21は、制御停止時の安定性を報知する(ステップS1−16)。具体的には、予測した接地荷重偏心度から倒立制御停止時における車体の安定性を評価し、乗員15に報知する。ここで、安定性は接地荷重中心偏心度に基づいて定量的に評価される。安定の度合いを表す安定度sは、前記第1の実施の形態において説明した前記式(5)で表される。
なお、安定性評価処理におけるその他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
このように、本実施の形態においては、段差センサ61によって周囲の段差を検知して計測し、その計測値に基づいて倒立制御の停止時における車体姿勢の安定性を予測し、不安定であると予測された場合には倒立制御の停止を禁止し、安定性を確保できる降車場所でのみ車両10の倒立制御を停止させる。したがって、乗員15は、段差に気を使う必要がなく、より気軽に、かつ、安全に車両10を利用することができる。
なお、本実施の形態においては、転回制御処理で転回方向を常に一定としているが、乗員15が転回許可スイッチ33に付加した転回方向指令装置によって、転回方向を指定することができるようにしてもよい。また、周囲の段差の計測値に基づいて、適切な方向に回転させるようにしてもよい。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の第1の実施の形態における車両の構成を示す概略図でありストッパが接地した状態を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における車両の制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における車両制御処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における駆動輪接地点、接地荷重中心点及びストッパ接地点の位置関係を説明する図である。 本発明の第1の実施の形態における安定性評価処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における転回制御処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態における車両の制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態におけるストッパの接地予測状態を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における安定性評価処理の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
10 車両
12 駆動輪
16 ストッパ
17 重心
20 制御ECU

Claims (8)

  1. 回転可能に車体に取り付けられた駆動輪と、
    該駆動輪に付与する駆動トルクを制御して前記車体の姿勢を制御する車両制御装置とを有し、
    該車両制御装置は、
    路面形状を取得する路面形状取得手段と、
    取得した路面形状に応じて、前記車体の姿勢の制御を停止した状態における前記車体の安定性を判断する安定性判断手段と、
    前記車体の姿勢の制御の停止を要求する信号を取得する停止要求取得手段と、
    前記安定性判断手段が不安定であると判断したときに前記停止要求取得手段が取得した停止を要求する信号を棄却する停止要求棄却手段と、を備えることを特徴とする車両。
  2. 路面に接地させて前記車体の姿勢角度を制限する姿勢制限手段、を更に備え、
    前記安定性判断手段は、前記姿勢制限手段が路面に接地した状態における前記車体の安定性を判断する請求項1に記載の車両。
  3. 前記路面形状取得手段は、路面勾配及び/又は段差の位置及び/又は段差の高さを取得する請求項1又は2に記載の車両。
  4. 前記路面形状取得手段は、前記駆動輪の回転状態及び/又は前記車体の姿勢の時間履歴によって前記路面形状を推定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両。
  5. 前記姿勢制限手段が路面に接地した状態における車両の重心を通る鉛直線が路面と交わる位置である第1の位置と、前記駆動輪が路面に接地する位置である第2の位置と、前記姿勢制限手段が路面に接地する位置である第3の位置と、前記第2の位置と前記第3の位置から等しい距離にある位置である第4の位置について、該第4の位置に対する前記第1の位置の相対位置を表す接地荷重偏心度を算出する接地荷重偏心度算出手段を更に備え、
    前記安定性判断手段は、算出された接地荷重偏心度が所定範囲外であると、不安定であると判断する請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両。
  6. 車両をその場で転回させる転回手段、を更に備え、
    該転回手段は、前記停止要求取得手段が停止を要求する信号を取得し、かつ、前記安定性判断手段が不安定であると判断したときに車両を転回させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両。
  7. 前記転回を許可する信号を取得する転回許可取得手段、を更に備え、
    前記転回手段は、前記停止要求取得手段が停止を要求する信号を取得し、かつ、前記安定性判断手段が不安定であると判断し、かつ、前記転回許可取得手段が前記転回を許可する信号を取得したときに車両を転回させる請求項6に記載の車両。
  8. 使用者に警告音及び/又は警告表示及び/又は振動としての情報を報知する報知手段、を更に備え、
    該報知手段は、前記安定性判断手段の判断結果及び/又は前記停止要求取得手段の取得信号に応じて異なる情報を報知する請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両。
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