JP5101758B1 - 可溶性lr11の免疫学的測定方法 - Google Patents

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Abstract

血清等の生物由来試料から、可溶性LR11の分離操作をすることなく、簡便かつ正確に免疫学的手段により、当該生物由来試料中の可溶性LR11を測定する方法を提供。
生物由来試料中の可溶性LR11の免疫学的測定方法であって、当該試料をスルホベタイン型両性界面活性剤及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤から選ばれる1種以上で処理することを特徴とする可溶性LR11の免疫学的測定方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、生物由来試料中の可溶性LR11の免疫学的測定方法に関する。
LDL receptor relative with 11 ligand−binding repeats(LR11)は、LDL受容体ファミリーに特徴的な構造を有する分子量約250kDのLDL受容体類似タンパク質(特許文献1、非特許文献1)であり、膜結合型の他に、プロテアーゼによって切断された可溶性LR11が存在することが示されている(非特許文献4)。LR11は正常血管壁細胞ではほとんど発現していないが、肥厚内膜平滑筋細胞において特異的に発現することが報告されている(非特許文献2)。また、培養平滑筋細胞の増殖に伴いLR11の発現量が亢進し、培養液中に可溶性LR11が分泌されることや、カフ障害モデルマウスにおいてLR11遺伝子を発生工学的に機能欠損させると、平滑筋細胞の遊走及び増殖によって引き起こされる血管内膜の肥厚が阻害されることが報告されている(非特許文献3)。さらに、本発明者らは、動脈硬化性疾患患者の血中の可溶性LR11の濃度が健常者に比べて有意に高値であることを見出し、血中に存在する可溶性LR11を新たな動脈硬化性疾患のマーカーとして利用できることを報告した(非特許文献5、特許文献2)。
可溶性LR11の測定方法としては、LR11に対して親和性を有するシャペロン分子RAP(receptor associated protein)を結合させた不溶性担体を用いて、試料から可溶性LR11を分離した後、SDS−PAGE、ウエスタンブロットを行い、抗LR11抗体による免疫染色で検出する方法(非特許文献5、6)が知られているが、試料から可溶性LR11を分離する工程をはじめ、操作が多く煩雑であり、臨床検査等への適用を考えた場合には実用的な方法とはいえない。
本発明者らは、操作が簡便で実用的な可溶性LR11の測定方法として、抗可溶性LR11抗体を用いる免疫学的測定方法の確立を試みたが、血清等の生物由来試料を試料として用いた場合、前記試料中に存在する未同定の測定妨害物質(以下、単に「妨害物質」ということがある)の影響により、可溶性LR11を正確に定量できないことが判明した。
そこで、本発明者らは、妨害物質が免疫学的測定方法に与える影響を回避する手段について種々検討した。その結果、血清等の生物由来試料をN−アシル−N−メチルグルカミン等の特定の界面活性剤と混合する処理を行い、当該処理した試料を用いて免疫学的測定方法で測定を行えば、妨害物質の影響を回避して試料中の可溶性LR11を簡便かつ正確に定量できることを見出し、先に特許出願した(特許文献3)。
特開平9−163988号公報 国際公開WO2008/155891号パンフレット 国際公開WO2009/116268号パンフレット
J.Biol.Chem.1996; 271, p24761−24768 Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.1999; 19, p2687−2695 Circ.Res.2004; 94; p752−758 医学のあゆみ、Vol.221, No.13, p1200−1203 J Clin Invest. 2008 ; 118, p2733−2746 第39回 日本動脈硬化学会総会・学術集会 プログラム・抄録集、一般演題(ポスター)189, p264
しかしながら、特許文献3に記載された従来法(以下、単に「従来法」ということがある)、例えば、N−アシル−N−メチルグルカミンで処理したヒト血清試料を、2種類の抗可溶性LR11抗体を使用したサンドイッチELISAにより測定する方法では、固相化した抗可溶性LR11抗体と可溶性LR11の反応(以下「一次反応」ということがある)に室温、一晩を要するため、測定が二日にまたがってしまうという問題があった。本発明者らは、前記従来法における一次反応の時間短縮を試みたところ、一次反応の反応時間短縮に伴い測定される各試料の吸光度が低下するだけでなく、一部の試料において、反応時間短縮に伴う吸光度の低下度合いが他の試料における低下度合いと異なることがあり、そのために従来法で測定した場合と一次反応の反応時間を短縮して測定した場合とで、試料間の相対関係(可溶性LR11濃度の高低)が異なる、すなわち従来法の測定結果と時間短縮した測定結果との相関性が低下する場合があることがわかった。
従って、本発明の課題は、従来法で測定された試料間の相対関係に影響を与えずに、測定時間が短縮された、より実用的な生物試料中の可溶性LR11の免疫学的測定方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題について鋭意検討したところ、スルホベタイン型又はアミドスルホベタイン型の両性界面活性剤により処理した試料を用いて、免疫学的測定を行えば、特許文献3に記載のN−アシル−N−メチルグルカミン等と同様に試料中の妨害物質の影響を回避した上で、さらに、一次反応の反応時間を、例えば、室温、1時間に短縮した場合であっても、従来法で測定された試料間の相対関係に影響を与えずに、可溶性LR11濃度に依存した測定結果が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、生物由来試料中の可溶性LR11の免疫学的測定方法であって、当該試料をスルホベタイン型両性界面活性剤及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤から選ばれる1種以上で処理することを特徴とする可溶性LR11の免疫学的測定方法を提供するものである。
また、本発明は、抗可溶性LR11抗体と、スルホベタイン型両性界面活性剤及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤から選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする可溶性LR11免疫学的測定用試薬を提供するものである。
本発明の免疫学的測定方法及び免疫学的測定用試薬によれば、抗可溶性LR11抗体と可溶性LR11の反応(例えば、固相化した抗可溶性LR11抗体と可溶性LR11との反応)の時間を、例えば、特許文献3記載の一晩から、1時間に大幅に短縮した上で、生物由来試料、例えば血液等の試料中に存在する可溶性LR11の濃度を、より短時間で、簡便に、高感度で、定量的に測定することができる。
特許文献3記載の界面活性剤あるいは本発明の両性界面活性剤を用い、一次反応の時間を16時間として可溶性LR11を測定した結果を示す。 一次反応の時間を16時間とし、本発明の両性界面活性剤の濃度と測定される試料吸光度との関係を検討した結果を示す。 特許文献3記載の界面活性剤あるいは本発明の両性界面活性剤を用い、一次反応の時間を1時間として可溶性LR11を測定した結果を示す。 特許文献3記載の界面活性剤あるいは本発明の両性界面活性剤を用い、一次反応の時間を1時間として可溶性LR11を測定した結果(縦軸)と、特許文献3記載の界面活性剤を用い、一次反応の時間を16時間とした従来法で測定した結果(横軸)の相関性を示す。 特許文献3記載の界面活性剤あるいは本発明の両性界面活性剤を用い、一次反応の時間を1時間として可溶性LR11を測定した結果(縦軸)と、特許文献3記載の界面活性剤を用い、一次反応の時間を16時間とした従来法で測定した結果(横軸)の相関性を示す。
本発明の測定方法は、生物由来試料中の可溶性LR11の免疫学的測定方法である。ここで、生物としては、ヒトを含む哺乳動物、例えばヒト、サル、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、ラット、モルモット、マウス等が挙げられる。試料としては、例えば血液、血漿、血清、髄液、尿等の体液;例えば血管、臓器、筋肉等の組織;例えば各組織から単離された細胞、白血球等の細胞;及び前記それぞれに由来する成分を含有する溶液(希釈された試料液、破砕液、溶解液、抽出液等)が挙げられる。
本発明における免疫学的測定方法は、抗原抗体反応を利用した可溶性LR11の測定方法であれば特に制限されないが、異なる抗原認識部位を有する、少なくとも2種の抗体を用いて免疫複合体を形成させる工程を含む測定方法が好ましい。異なる抗原認識部位を有する、少なくとも2種の抗体を用いて免疫複合体を形成させる工程を含む測定方法としては、後記する測定方法、例えばサンドイッチELISA、免疫比濁法(TIAやLTIA(ラテックス比濁イムノアッセイ))、イムノクロマトグラフ法等が挙げられる。
抗可溶性LR11抗体としては、生物由来試料中の可溶性LR11、例えば、哺乳動物の血清から精製した可溶性LR11と反応する抗体であれば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれでも良いが、モノクローナル抗体が好ましく用いられる。当該抗体は周知の方法にて作製することができる。本明細書において「抗可溶性LR11抗体」というときには、上記したように生物由来試料中の可溶性LR11と反応する抗体であることを限度として特に制限はなく、例えば、細胞表面に存在する膜結合型のLR11とも反応する抗体や文献等に単に「抗LR11抗体」と記載されている抗体等も使用することができる。
ポリクローナル抗体作製の際、免疫する動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ等を用いることができる。抗可溶性LR11抗血清は、抗原を動物の皮下、皮内、又は腹腔等に、一回又は複数回投与した後、採取した血液から得ることができる。免疫の際、抗原は、免疫賦活効果を有する補液(アジュバント)との混合物として投与して、免疫することがより好ましい。
モノクローナル抗体は、公知のモノクローナル抗体作製方法、例えば、長宗香明、寺田弘共著、「単クローン抗体」廣川書店(1990年)や、Jame W. Golding,‘‘Monoclonal Antibody’’,3rd edition,Academic Press(1996年)に従い作製することができる。また、DNA免疫法によるモノクローナル抗体の作製は、例えばNature 1992 Mar 12;356,p152−154やJ.Immunol Methods Mar 1;249,p147−154を参考に実施することができる。
抗体作製用の抗原としては、LR11タンパク質又は当該タンパク質の断片(ペプチド)が用いられる。前記LR11タンパク質は、血液、尿、可溶性LR11を細胞外に分泌する細胞(平滑筋細胞や造血器腫瘍細胞等)の培養上清等から、必要に応じて精製等して得ることができる。また、LR11を細胞表面に発現している造血器腫瘍細胞それ自体を抗原として用いることもできる(WO2012/008595)。前記ペプチドは、前記タンパク質をプロテアーゼで消化し、精製等して得ることができるが、合成ペプチドを使用することもできる。前記ペプチドとしては、例えば、特許文献3記載のアミノ酸配列を有するペプチド等が挙げられる。前記ペプチドのアミノ酸配列は、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたものであってもよい。
DNA免疫法により抗体を作製する際には、LR11タンパク質もしくは当該タンパク質の断片(ペプチド)をコードするcDNAを組み込んだベクターを、免疫する動物に投与し、当該動物の体内で抗原を発現させることにより免疫を行うことができる。前記ペプチドとしては、例えば、特許文献3記載のアミノ酸配列を有するペプチド等が挙げられ、当該ペプチドのアミノ酸配列は、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたものであってもよい。
また、LR11の高次構造を認識するモノクローナル抗体を得るためには、ヒトLR11全長遺伝子が挿入されたベクターの使用が最適であるが、前記LR11タンパク質の断片(ペプチド)をコードする遺伝子が挿入されたベクターも使用することができる。
DNA免疫法は、上記ベクターを単独又は混合して、従来公知の様々な遺伝子導入法(例えば筋肉注射、エレクトロポレーション、又は遺伝子銃等)のいずれかを用いて、免疫する動物(マウス、又はラット等)の皮下に注入し、免疫する動物由来の細胞内に取り込ませることにより実施できる。
ペプチド抗原を用いたモノクローナル抗体の作製法及びDNA免疫法によるモノクローナル抗体の作製法は特許文献3記載の方法を参照することができ、これを使用することが好ましい。これらの抗可溶性LR11モノクローナル抗体の例としては、特許文献3記載の合成ペプチドをマウスに免疫して得られたA2−2−3抗体、DNA免疫法により得られたマウスモノクローナル抗体M3及びM5、DNA免疫法により得られたラットモノクローナル抗体R14及びR23が挙げられる。
本発明の測定方法においては、スルホベタイン型及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤のうち1種以上で処理した試料を用いて免疫学的測定を行う。当該処理により、試料中の可溶性LR11の測定を妨害する物質の影響を回避することができ、さらに、一次反応の反応時間を、例えば、室温、1時間に短縮した場合であっても、従来法で測定された試料間の相対関係に影響を与えずに、可溶性LR11濃度に依存した測定結果を得ることができる。
本発明に用いるスルホベタイン型及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤としては、それぞれ次の一般式(1)及び(2)
Figure 0005101758
(式中、Rは炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、RCOは炭素数6〜18のアシル基又はコール酸由来アシル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基又は炭素数2〜5のヒドロキシアルキレン基を示し、Bは炭素数1〜5のアルキレン基を示す)
で表される化合物が好ましい。
で示される炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が挙げられるが、このうち直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。また、当該アルキル基又はアルケニル基の炭素数は6〜14が好ましく、8〜14がより好ましく、10〜14が特に好ましい。Rで示されるアルキル基又はアルケニル基のうち、特に好ましいものはデシル基、ドデシル基及びテトラデシル基である。
COで示される炭素数6〜18のアシル基としては、炭素数6〜18の脂肪族アシル基が挙げられ、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基等が挙げられる。また、RCOとしてはコール酸由来のアシル基が好ましい。
Aで示される炭素数2〜5のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基が挙げられ、エチレン基又はトリメチレン基がより好ましい。Aで示される炭素数2〜5のヒドロキシアルキレン基としては、−CHCH(OH)CH−で示されるヒドロキシトリメチレン基等が挙げられる。
Bで示される炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基が挙げられる。
一般式(1)で表されるスルホベタイン型両性界面活性剤の市販品としては、スルホベタイン10(SB10:R=C1023、A=−(CH−)、スルホベタイン12(SB12:R=C1225、A=−(CH−)、スルホベタイン14(SB14:R=C1429、A=−(CH−)(以上、AMRESCO社製)等が挙げられ、本発明に好適に使用される。また、一般式(2)で表されるアミドスルホベタイン型両性界面活性剤の市販品としては、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート(CHAPS:RCO=コール酸由来アシル、A=−(CH−)、B=−(CH−)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO:RCO=コール酸由来アシル、A=−CHCH(OH)CH−、B=−(CH−)(以上、同仁化学研究所社製)等が挙げられ、本発明に好適に使用される。
生物由来試料をスルホベタイン型及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤から選ばれる1種以上で処理する手段としては、免疫測定前又は測定時の試料中に、上記特定の両性界面活性剤が存在するようにすればよく、免疫測定前に試料と混合し、共存させることが好ましい。前記試料との混合・共存の方法としては、例えば、本発明の両性界面活性剤を試料希釈液に含有させておき、試料希釈の際に混合・共存させる方法、抗可溶性LR11抗体を含有する試薬に本発明の両性界面活性剤を含有させておき、試料中の可溶性LR11と抗可溶性LR11抗体との反応の際に混合・共存させる方法(具体例として、マイクロプレートを用いたサンドイッチELISAにおいて酵素標識した抗可溶性LR11抗体溶液が充填されているウェル中に無希釈あるいは予め希釈された試料が添加される場合などが挙げられる)、イムノクロマトグラフ法に用いられるサンプルパッドのような試料を投入する部材に含有させておき、試料が当該部材を通過する際に混合・共存させる方法を例示することができる。
なお、本明細書における「試料希釈液」とは、生物由来試料中の可溶性LR11の濃度を免疫反応に好適な濃度又は含量に、直接又は間接的に調整(希釈)するための試液をいう。「前処理液」又は「第一試薬(液)」など、名称の如何を問わない。
本発明の両性界面活性剤の使用濃度は、用いる測定方法の特性、用いる両性界面活性剤の種類、本発明の両性界面活性剤が混合・共存した時点での試料中の可溶性LR11濃度と両性界面活性剤の濃度の比等を勘案して適宜決定すれば良いが、例えば、可溶性LR11を含有する試料と混合・共存させた時点の濃度として0.001〜10質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましく、0.05〜5質量%がさらに好ましい。用いる測定方法がサンドイッチELISAである場合には、さらに0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。用いる測定方法がLTIAである場合には、さらに0.001〜3質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。なお当業者であれば、前記の記載を指標に、例示された範囲以外の濃度での使用を工夫しうることはいうまでもない。 生物由来試料を本発明の両性界面活性剤で処理する際の温度は、5〜40℃、特に10〜30℃が好ましい。生物由来試料を本発明の両性界面活性剤で処理する時間は、使用する両性界面活性剤の種類や濃度、また温度等の条件を考慮し、適宜設定することができる。本発明の両性界面活性剤で生物由来試料を処理した場合の、生物由来試料中の可溶性LR11と抗可溶性LR11抗体との反応時間は、従来法(例えば、N−アシル−N−メチルグルカミンを使用する特許文献3記載の方法)に比べて短時間でよく、本発明の方法によれば、生物由来試料中の可溶性LR11の測定時間を大幅に短縮できる。
また、測定系の設計(検出感度や反応時間等)にあわせ、試料は、例えば、1(原液)〜50倍に希釈して使用することができる。前記希釈は、本発明の両性界面活性剤を含有する試料希釈液により行っても、本発明の両性界面活性剤を含有しない緩衝液等により行ってもよいが、本発明の両性界面活性剤を含有する試料希釈液により行うと簡便である。生物由来試料を試料希釈液で希釈して測定する場合には、4〜30倍に希釈することが好ましい。試料希釈液の組成としては、本発明の効果を損なわないことを限度として通常免疫学的測定方法に使用される組成であれば特に制限はない。例えば、GOOD緩衝液、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液等の緩衝液(pHも通常の免疫学的測定方法に使用される範囲)、NaCl等の塩、BSA等のタンパク成分、本発明の両性界面活性剤以外の界面活性剤、市販の非特異反応防止成分等が使用可能である。
上記特定の両性界面活性剤を含む試料を用いて、通常の手段により抗可溶性LR11抗体を用いた免疫学的測定を行えばよい。
免疫学的測定方法としては、前記したように、抗原抗体反応を利用した可溶性LR11の測定方法であれば特に制限されないが、異なる抗原認識部位を有する、少なくとも2種の抗体を用いて免疫複合体を形成させる工程を含む測定方法が好ましい。異なる抗原認識部位を有する、少なくとも2種の抗体を用いて免疫複合体を形成させる工程を含む測定方法としては、例えば、サンドイッチELISA(酵素標識免疫吸着測定法)、免疫比濁法(TIAやLTIA)、イムノクロマトグラフ法等が挙げられる。前記例示した態様から明らかなように、本発明の免疫学的測定方法は、ヘテロジーニアス系であってもホモジーニアス系であってもよい。要は、本発明の両性界面活性剤で処理した試料が、一度以上、抗可溶性LR11抗体との間で抗原抗体反応が行われるように設計されていればよい。
本明細書において、抗原抗体反応を「一次反応」、「二次反応」のように区別して記載する場合があるが、それは、反応ステップが複数ある等、その実施態様の説明のために記載したものであって、本発明を限定することは意図していない。
前記各測定方法における検出手段も、特に制限されず、サンドイッチELISAであれば、発色基質・発色剤、発光基質・発光剤、蛍光基質・蛍光剤等を利用したエンザイムイムノアッセイ、発光(化学発光、生物発光)イムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ等が挙げられ、免疫比濁法であれば、免疫複合体形成により生じる濁度を吸光度や散乱光で検出する方法が挙げられ、イムノクロマトグラフ法であれば、金属コロイド粒子や着色ラテックス粒子を用いた光学的検出法が挙げられる。上記特定の両性界面活性剤で処理した試料を用いて、通常の手段により抗可溶性LR11抗体を用いた免疫学的測定を行う限り、免疫染色(ウエスタンブロット)や競合イムノアッセイ等にも本発明が適用可能であることは当業者には容易に理解されよう。
抗可溶性LR11抗体と反応する可溶性LR11を、定量又は半定量的に評価する場合、基準となるLR11と比較することが好ましい。基準となるLR11としては、例えば、可溶性LR11濃度既知の血清、平滑筋細胞や神経芽細胞株の培養細胞もしくは培養上清より回収した可溶性LR11、尿由来の可溶性LR11(WO2012/008595)、リコンビナントLR11、又は抗体作製において免疫原として使用した合成ペプチド等を使用することが好ましい。
前記したように、本発明において「定量」の語は、いわゆる「定量」と「半定量」の両方の概念を含み、また、さらに、臨床診断における疾病罹患の判断基準になるように検出感度が設定されている場合等には、可溶性LR11存在の有無を検出する、いわゆる「定性」の概念も包含している。
上記免疫学的測定において、サンドイッチELISAを例にして説明すれば、例えば抗可溶性LR11モノクローナル抗体の1種を適当な緩衝液中で不溶性担体に固定化して固相化抗体とし、第二の抗体として、不溶性担体に固定化した抗可溶性LR11モノクローナル抗体とは認識部位の異なる抗可溶性LR11モノクローナル抗体を酵素で標識し、これらを試料と反応させ、第二の抗体を標識した酵素の活性を測ることにより、試料中の可溶性LR11を測定することができる。また、例えば、第二の抗体として、ビオチン標識した抗可溶性LR11モノクローナル抗体を用い、試料との反応後にさらに酵素標識したアビジンを反応させ、該標識酵素の活性を測ることにより、試料中のLR11を測定することもできる。
上記で使用する不溶性担体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種合成高分子、ガラス、シリコン、不溶性多糖(架橋デキストラン、ポリサッカライド)等が好ましく、これらの担体は球状、棒状、微粒子等の形状、あるいは試験管、マイクロプレート等の形態で用いることができる。固相化抗体の作成の条件としては、球状、棒状、試験管、マイクロプレートの形態の担体を用いる場合の抗体濃度は各々1〜10μg/mLであり、微粒子の形態の担体を用いる場合の抗体濃度は1〜10mg/mLである。また、緩衝液は、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液等のpH7〜10の中性〜アルカリ性の緩衝液を用い、4℃〜25℃で1時間〜72時間感作して調製することが好ましい。
使用する酵素標識抗体は、公知の方法によって作製することができる。例えば、中根らの方法(Nakane P.K et al,J.Histochem Cytochem,22, p1084−1089, 1974)あるいは石川らの方法(マレイミド法:「酵素免疫測定法 第3版」医学書院)等に従い、断片化していない免疫グロブリン分子をそのままか、あるいは必要に応じて抗体を適当なプロテアーゼで限定分解してF(ab’)、又はFab’とした後、酵素で標識することにより酵素標識抗体を作製できる。標識に使用する酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等が挙げられる。
ビオチン標識抗体も公知の方法によって作製できるが、市販のビオチン化試薬(例えば、PIERCE社製、Sulfo−NHS−Biotinylation Kit)を用いることでさらに容易に作製することができる。
酵素標識アビジンも公知の方法によって作製できるが、市販品(例えば、PIERCE社製、StreptAvidin, Horseradish Peroxidase Conjugated)を使用することもできる。
また、標識物質が酵素である場合には、その活性を測定するために基質、及び必要により発色剤が用いられる。酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合には、基質として過酸化水素を用い、発色剤としてo−フェニレンジアミン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンチジン、2,2′−アジノジ−〔3−エチルベンズチアゾリンスルホン酸〕アンモニウム塩等;酵素としてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、基質として、p−ニトロフェニルフォスフェート、3−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2′−トリシクロ−〔3.3.1.13,7〕デカン}−4−イル)フェニルフォスフェート:AMPPD等;酵素としてβ−D−ガラクトシダーゼを用いる場合には、基質として、β−D−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド等;酵素としてグルコースオキシダーゼを用いる場合には、ペルオキシダーゼの共存下で基質として、β−D−グルコース、発色剤としてペルオキシダーゼの発色剤を用いることができる。
免疫比濁法(TIAやLTIA)であれば、本発明の両性界面活性剤と処理した試料を2種類の抗可溶性LR11抗体(LTIAの場合にはラテックス等の粒子に固定化されている)と順次あるいは同時に反応させ、イムノクロマトグラフ法であれば、本発明の両性界面活性剤と処理した試料を、メンブレン等に固定化されている一方の抗可溶性LR11抗体に捕捉させ、金コロイド等の金属コロイドや着色ラテックスで標識されたもう一方の抗可溶性LR11抗体で検出することにより行うことができる。
血清等の免疫反応等を妨害する物質を含む生物由来試料であっても、上記の両性界面活性剤で処理した後、可溶性LR11と反応する抗体にて免疫学的測定を行なえば、前記試料中の可溶性LR11を簡便かつ正確に定量することができる。よって、本発明は、前記免疫学的測定を実施するにあたって、抗可溶性LR11抗体と、上記特定の両性界面活性剤とを含む、可溶性LR11免疫学的測定用試薬を提供することができる。 また、抗可溶性LR11抗体及び上記特定の両性界面活性剤を、可溶性LR11免疫学的測定用試薬を製造するために使用することができる。
当該免疫学的測定用試薬は、抗可溶性LR11抗体と、上記特定の両性界面活性剤とを含むが、これら成分が、試料希釈液と測定試薬、あるいは第一試薬と第二試薬として別々の状態、又は混合された状態であってもよい。また、当該試薬には、可溶性LR11の検出に用いる任意の構成要素、例えば緩衝液、安定化剤や反応容器等を含んでいてもよい。
免疫学的測定用試薬の具体例としては、以下が挙げられる。
サンドイッチELISAの場合、例えば、本発明の両性界面活性剤を含有する試料希釈液、本発明の両性界面活性剤を含有する標識抗体液、本発明の両性界面活性剤を乾燥状態で含有する抗可溶性LR11抗体が固定化されたマイクロプレートが挙げられる。LTIAの場合、例えば、本発明の両性界面活性剤を含有するが抗可溶性LR11抗体が固定化されたラテックス粒子を含有しない試液、本発明の両性界面活性剤を含有し、かつ抗可溶性LR11抗体が固定化されたラテックス粒子を含有する試液が挙げられる。イムノクロマトグラフ法の場合、例えば、本発明の両性界面活性剤を含有する試料希釈液、サンプルパッドあるいは標識抗体含有パッドに本発明の界面活性剤を含浸させたイムノクロマト用ストリップ(試験片)を挙げることができる。
また、可溶性LR11免疫学的測定用キットとしては、使用する測定系に即した前記免疫学的測定用試薬を適宜組み合わせて使用することができ、必要であれば測定系の成立に必要な他の試薬あるいは添付文書なども含むことがある。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(本発明の両性界面活性剤の効果確認(サンドイッチELISA))
(1)サンドイッチELISA用マイクロプレートの作製
96穴マイクロプレート(NUNC社製)に、150mmol/L NaCl含有20mmol/L リン酸緩衝液(以下、「PBS」という)(pH7.2)で10μg/mLに希釈した抗可溶性LR11モノクローナル抗体(M3抗体)を1ウェル当たり100μL添加し、室温で2時間静置し、M3抗体を固相化した。96穴マイクロプレートを400μLの0.05%Tween20(登録商標)含有PBS(以下、「PBST」という)で洗浄後、10%スクロース、1%BSA含有PBST(以下、「BSA−PBST」という)を1ウェル当たり200μL添加し、室温で2時間ブロッキングした。ウェル内の液を除去後、デシケーター内で一晩乾燥し、乾燥剤と共にアルミ袋に密封して使用まで冷蔵保存した。
(2)サンドイッチELISAを用いた可溶性LR11測定
下記する界面活性剤を、それぞれ5.0%となるよう添加したPBSを試料希釈液として用い、ヒト血清(TENNESSEE BLOOD SERVICES INC社より購入。MEGA−9を使用する従来法で測定した可溶性LR11濃度は 3.9ng/mL。以下、当該ヒト血清を「試験血清」ということがある)を11倍希釈して測定試料液とした(測定試料液中の界面活性剤の濃度は、試料希釈液中の濃度の10/11倍濃度)。各測定試料液を(1)で作製したマイクロプレートに1ウェル当たり100μL添加して室温で16時間静置した(前記したように、このときの固相化抗可溶性LR11抗体と測定試料中の可溶性LR11との抗原抗体反応を、「一次反応」ということがある)。
<使用した界面活性剤>
(比較例:N−アシル−N−メチルグルカミンとして)
・MEGA−9:カタログ番号M015、同仁化学研究所社製
(実施例)
・SB10:カタログ番号D4266、SIGMA−ALDRICH社製
・SB12:カタログ番号A1460、Applichem社製
・SB14:カタログ番号A1162、Applichem社製
・CHAPS:カタログ番号C008、同仁化学研究所社製
・CHAPSO:カタログ番号C020、同仁化学研究所社製
マイクロプレートの各ウェルを400μLのPBSTで3回洗浄した後、BSA−PBSTで0.4μg/mLに希釈したビオチン標識抗可溶性LR11モノクローナル抗体(R14抗体。ビオチン化試薬(PIERCE社製)にてビオチン標識した。)を1ウェル当たり100μL添加して、室温で4時間静置した(以下、このときのビオチン標識抗可溶性LR11モノクローナル抗体(R14抗体)と一次反応でマイクロプレート上に捕捉された可溶性LR11との反応を「二次反応」ということがある)。マイクロプレートをPBSTで洗浄後、BSA−PBSTで0.2μg/mLに希釈したぺルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(PIERCE社製)を1ウェル当たり100μL添加し、室温で1時間静置した。再度マイクロプレートをPBSTで洗浄し、TMB基質液(0.3mg/mL 3,3′−5,5′−Tetramethyl−benzidine dihydrochloride(SIGMA社製)、12mmol/L 過酸化水素を含む100mmol/L クエン酸緩衝液(pH3.7))を1ウェル当たり100μL添加して、室温で30分間静置した。続いて1.5N 硫酸を1ウェルあたり100μL添加して発色を停止し、マイクロプレートリーダーで波長450nmの吸光度を測定した。
(3)結果
SB10、SB12、SB14、CHAPS、CHAPSOのいずれを使用した場合においても、MEGA−9と同様又はそれ以上の吸光度が得られた(図1。なお、図中の吸光度は試料吸光度より試薬ブランク吸光度を差し引いた正味吸光度で表示している)。以上より、本発明の両性界面活性剤は、妨害物質の影響を回避して生物由来試料中の可溶性LR11の測定が可能であることがわかった。
実施例2(本発明の両性界面活性剤の濃度と測定される試料吸光度との関係検討)
(1)方法
SB10、SB12、SB14、CHAPS及びCHAPSO、それぞれについて、0.04%、0.08%、0.16%、0.31%、0.63%、1.25%、2.5%、または5.0%となるよう添加したPBSを試料希釈液として用い、試験血清を11倍希釈して測定試料液とした(測定試料液中の各界面活性剤の濃度は試料希釈液中の濃度の10/11倍濃度)。一次反応を室温、16時間とすることをはじめ、実施例1と同様の操作により試料中の可溶性LR11の測定を行った。
(2)結果
SB10(□)では、0.63%付近の濃度から測定された試料吸光度と試薬ブランク吸光度との差が明瞭になり、1.25%付近から5.0%まで、吸光度がほぼ一定になった。
SB12(◇)では、0.16%付近の濃度から測定された試料吸光度と試薬ブランク吸光度との差が明瞭になり、0.63%付近で吸最大の吸光度に達し、0.63%から付近から5.0%まで吸光度がほぼ一定になった。
SB14(△)では、0.08%付近の濃度から測定された試料吸光度と試薬ブランク吸光度との差が明瞭になり、1.25%付近から5.0%まで、吸光度がほぼ一定になった。
CHAPS(■)及びCHAPSO(▲)では、0.63%付近の濃度から測定された試料吸光度と試薬ブランク吸光度との差が明瞭になり、2.5%付近から5.0%まで、吸光度がほぼ一定になった(図2。なお、図中の吸光度は試薬ブランク吸光度を差し引く前の吸光度で表示している)。
以上より、本発明の両性界面活性剤は、いずれも広い濃度範囲で可溶性LR11の免疫学的測定に使用可能であることが確認された。
実施例3(本発明の両性界面活性剤の反応時間短縮効果の確認)
(1)方法
実施例2の結果より、SB10、SB12、SB14、CHAPS、CHAPSOが、それぞれ1.5%、0.63%、3.6%、5.0%、5.0%になるよう添加したPBSを試料希釈液として用い、試験血清を11倍希釈して測定試料液とした(測定試料液中の各界面活性剤の濃度は試料希釈液中の濃度の10/11倍濃度)。一次反応を1時間とし、二次反応を2時間とした以外は実施例1と同様の方法で可溶性LR11の測定を行った。比較例として、MEGA−9が5.0%となるように添加したPBSを試料希釈液として用い、前記と同様の操作にて可溶性LR11の測定を行った。
(2)結果
いずれの両性界面活性剤を用いた場合でも、MEGA−9を用いた比較例の吸光度よりも大きい吸光度を示した。以上より、本発明の両性界面活性剤を用いれば、一次反応を室温、1時間に短縮した場合であっても、MEGA−9を使用する従来法と比較して、可溶性LR11をより高感度に検出することが可能であることがわかった(図3。なお、図中の吸光度は試料吸光度より試薬ブランク吸光度を差し引いた正味吸光度で表示している)。
実施例4(従来法による測定結果との関係確認−1)
(1)方法
SB10、SB12、SB14をそれぞれ1.5%、0.63%、3.6%となるよう添加したPBSを試料希釈液として用い、5種類のヒト血清(TENNESSEE BLOOD SERVICES INC社より購入。MEGA−9を使用する従来法で測定した可溶性LR11濃度は、3.8ng/mL、3.9ng/mL、5.4ng/mL、8.0ng/mL及び9.8ng/mL。)を11倍希釈して測定試料液とした(測定試料液中の各界面活性剤の濃度は試料希釈液中の濃度の10/11倍濃度)。一次反応を1時間とし、二次反応を2時間とした以外は実施例1と同様の方法で可溶性LR11の測定を行った。
比較例として、MEGA−9が5.0%となるように添加したPBSを試料希釈液として用い、前記と同様の操作にて可溶性LR11の測定を行った。
実施例、および比較例の結果と、MEGA−9(5.0%)を使用し、一次反応を16時間、二次反応を4時間として測定したときの測定値との相関性を確認した。
(2)結果
MEGA−9(比較例)あるいは本発明の両性界面活性剤を用い、一次反応:1時間、二次反応:2時間として可溶性LR11を測定した結果(縦軸)と、MEGA−9を用い、一次反応:16時間、二次反応:4時間とした従来法で測定した結果(横軸)の相関性を図4に示した。なお、図中の吸光度は試料吸光度より試薬ブランク吸光度を差し引いた正味吸光度で表示している。
比較例である、5.0% MEGA−9、一次反応:1時間、二次反応:2時間の条件(■)では、9.8ng/mLの試料と5.4ng/mLの試料の吸光度は、9.8ng/mLの方が高かったもののその差は僅かであり、8.0ng/mLの試料の吸光度は、9.8ng/mLの試料の吸光度よりも高く、3.8及び3.9ng/mLの試料の吸光度は、5.4ng/mLの試料の吸光度より極端に低かった。
これに対して、本発明の両性界面活性剤を用い、一次反応:1時間、二次反応:2時間として可溶性LR11を測定したところ、いずれの両性界面活性剤(SB10(◇)、SB12(□)、SB14(△))を用いた場合でも、測定された各血清試料の吸光度は従来法の測定値の高低の順に一致しており、濃度依存的な結果であった(図4)。
実施例5(従来法による測定結果との関係確認−2)
(1)方法
CHAPS、CHAPSOそれぞれを、5.0%となるよう添加したPBSを試料希釈液として用い、6種類のヒト血清(TENNESSEE BLOOD SERVICES INC社より購入。MEGA−9を使用する従来法で測定した可溶性LR11濃度は、3.1ng/mL、5.2ng/mL、6.7ng/mL、7.2ng/mL及び8.7ng/mL、9.5ng/mL。)を11倍希釈して測定試料液とした(測定試料液中の各界面活性剤の濃度は試料希釈液中の濃度の10/11倍濃度)。一次反応を1時間とし、二次反応を2時間とした以外は実施例1と同様の方法で可溶性LR11の測定を行った。
実施例の結果と、比較例としてMEGA−9が5.0%となるように添加したPBSを試料希釈液として用い、一次反応を16時間、二次反応を4時間として測定したときの測定値との相関性を確認した。
(2)結果
MEGA−9(比較例)あるいは本発明の両性界面活性剤を用い、一次反応:1時間、二次反応:2時間として可溶性LR11を測定した結果(縦軸)と、MEGA−9を用い、一次反応:16時間、二次反応:4時間とした従来法で測定した結果(横軸)の相関性を図5に示した。なお、図中の吸光度は試料吸光度より試薬ブランク吸光度を差し引いた正味吸光度で表示している。
本発明の両性界面活性剤を用い、一次反応:1時間、二次反応:2時間として可溶性LR11を測定したところ、いずれの両性界面活性剤(CHAPS(◆)、CHAPSO(□))を用いた場合でも、測定された各血清試料の吸光度は従来法の測定値の高低の順に一致しており、濃度依存的な結果であった(図5)。
実施例4,5の成績より、本発明の両性界面活性剤により処理した試料を用いて、免疫学的測定を行えば、特許文献3に記載のN−アシル−N−メチルグルカミン等と同様に試料中の妨害物質の影響を回避した上で、さらに、一次反応の反応時間を、室温、1時間に短縮した場合であっても、従来法で測定された試料間の相対関係に影響を与えずに、可溶性LR11濃度に依存した測定結果が得られることが確認された。

Claims (7)

  1. 生物由来試料中の可溶性LR11の免疫学的測定方法であって、当該試料をスルホベタイン型両性界面活性剤及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤から選ばれる1種以上で処理することを特徴とする可溶性LR11の免疫学的測定方法。
  2. スルホベタイン型両性界面活性剤及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤が、それぞれ次の一般式(1)及び(2)
    Figure 0005101758
    (式中、Rは炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、RCOは炭素数6〜18のアシル基又はコール酸由来アシル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基又は炭素数2〜5のヒドロキシアルキレン基を示し、Bは炭素数1〜5のアルキレン基を示す)
    で表される化合物である請求項1記載の免疫学的測定方法。
  3. 生物由来試料が、血液、血漿、血清、髄液又は尿である請求項1又は2記載の免疫学的測定方法。
  4. 免疫学的測定方法が、抗原認識部位の異なる、少なくとも2種の抗体を用いて免疫複合体を形成させる工程を含むものである請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫学的測定方法。
  5. 抗可溶性LR11抗体と、スルホベタイン型両性界面活性剤及びアミドスルホベタイン型界面活性剤から選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする可溶性LR11免疫学的測定用試薬。
  6. スルホベタイン型両性界面活性剤及びアミドスルホベタイン型両性界面活性剤が、それぞれ次の一般式(1)及び(2)
    Figure 0005101758
    (式中、Rは炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、RCOは炭素数6〜18のアシル基又はコール酸由来アシル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基又は炭素数2〜5のヒドロキシアルキレン基を示し、Bは炭素数1〜5のアルキレン基を示す)
    で表される化合物である請求項5記載の免疫学的測定用試薬。
  7. 請求項5または6に記載の免疫学的測定用試薬を含む可溶性LR11の免疫学的測定用キット。
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