以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、メモリ装置における1つのメモリ素子について説明する。図1(A)に示すように、メモリ素子は下部電極101と、上部電極102と、それらの間に介在したメモリ材料層103とを有する。メモリ材料層103は、第1のメモリ材料層104、第2のメモリ材料層105が順に積層されている。なお本発明は、一対の電極間に複数のメモリ材料層が設けられていることを特徴としており、2つのメモリ材料層に限定されるものではない。このようなメモリ材料層は蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット法を代表とする液滴吐出法等により形成することができる。
また下部電極101及び上部電極102は、導電性を示す材料(導電性材料)から形成することができ、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素又はこれらの元素を用いた合金を用いればよい。また、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、2から20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム等の透光性材料を用いることができる。このような導電性材料は、スパッタリング法、蒸着法、液滴吐出法等により形成することができる。そして必要に応じて、所定の形状にパターニングされ、下部電極101及び上部電極102となる。
なお、蒸着法や液滴吐出法を用いる場合、下部電極101、メモリ材料層103、上部電極102までを連続して形成することができ好ましい。界面への汚染を防止することができるからである。
このようなメモリ素子において、メモリ材料層に酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素等の無機材料を用い、メモリ材料層を破壊する方法について説明する。まず第1電圧印加により、第1のメモリ材料層及び第2のメモリ材料層のいずれかが破壊するように、第1のメモリ材料層の誘電率と、第2のメモリ材料層の誘電率とを異ならせる。例えば第1のメモリ材料層の誘電率を、第2のメモリ材料層の誘電率よりも低くする。誘電率の低い方が、耐圧が同程度であれば高い電界が生じるため耐圧が同程度であれば先に破壊される。そして第1のメモリ材料層破壊前後の電圧−電流特性を示すグラフにおいて、抵抗値の違いを読み取ることで、メモリ素子に多値のデータを書き込むことができるようになる。
このような誘電率の低い材料(low−k)は無機材料、有機材料があり、無機材料としてはSiO2膜にC、Hを添加して誘電率を下げた材料があげられる。有機材料としては微細な空孔を内部に有するポリアリールエーテル、アモルファステフロン(登録商標)、フッ化ポリイミド等を用いることができ、特にフッ素系の樹脂膜は低誘電率を実現する材料として期待されている。このような有機材料は分子設計によってさらなる低誘電率化も可能であり、またスピンコーティングにより容易に成膜ができるため好ましい。
一方誘電率の高い(high−k)材料には、タンタル酸化物、酸化ハフニウム(HfO2)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)などを用いることができる。
また誘電率とは別に、第1のメモリ材料層の耐圧と、第2のメモリ材料の耐圧とを異ならせてもよい。例えば、先に破壊させたい第1のメモリ材料層の耐圧を、第2のメモリ材料層の耐圧よりも小さくする。耐圧の小さい方が、誘電率が同程度であれば、先に破壊されやすいからである。
勿論、第1及び第2のメモリ材料層における、誘電率及び耐圧を異ならせてもよい。
さらに加えて、第1のメモリ材料層の厚み(d1)と、第2のメモリ材料層の厚み(d2)とを異ならせてもよい。例えば、厚みが薄いメモリ材料層に対して、厚みの厚いメモリ材料層は1.1から5倍となるようにする。なお無機材料を用いる場合、メモリ材料層には絶縁破壊が生じて破壊することが多く、絶縁破壊を生じさせるためには第1及び第2のメモリ材料層は、それぞれ5から500nm、好ましくは10から100nmとする。このように薄いメモリ材料層を用いると、破壊するために印加する電圧を低くすることができる。
本実施の形態では、第1のメモリ材料層を第1電圧印加で破壊させるため、第1のメモリ材料層の厚みを、第2のメモリ材料層の厚みより薄くするとよい。さらに第1電圧印加で、第2のメモリ材料層を破壊しないようにするため、第2のメモリ材料層は、第1のメモリ材料層より厚くするとよい。
一方、メモリ材料層に有機材料を用いる場合について説明する。有機材料を用いる場合、ガラス転移温度を超えると流動性を示す。その結果、ガラス転移温度を異ならせることによって、メモリ材料層を順に破壊することができる。
具体的には第1電圧印加により、第1のメモリ材料層104を軟化又は溶融させるため、第1のメモリ材料層104のガラス転移温度(T1)は、第2のメモリ材料層105のガラス転移温度(T2)より低くする。このとき第1のメモリ材料層104のガラス転移温度(T1)と、第2のメモリ材料層105のガラス転移温度(T2)とは10℃以上の差があるようにするとよい。10℃以上の差を持たせることによって、順にメモリ材料層を破壊することができる。
このような有機材料には、例えば1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称m−MTDAB)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称DPVBi)、4,4’,4”−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称m−MTDATA)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称NPB)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称DPAB)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称DFLDPBi)、4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称TCTA)から選ぶことができる。これら有機材料のガラス転移温度は、m−MTDABが50℃(実測値)、DPVBiが63℃(実測値)、m−MTDATAが78℃(実測値)、NPBが98℃(実測値)、DPABが112℃(実測値)、DFLDPBiが124℃(実測値)、TCTAが151℃(文献値)である。この中から、ガラス転移温度が10℃以上の差があるような有機材料の組み合わせを選べばよい。例えば、第1のメモリ材料層にm−MTDABを用い、第2のメモリ材料層にNPBを用いることができる。また第1のメモリ材料層にNPBを用い、第2のメモリ材料層にTCTAを用いてもよい。なお本発明はガラス転移温度が10℃以上となるような有機材料の組み合わせであれば、上記材料に限定されるものではない。
ガラス転移温度の低い第1のメモリ材料層は、上部電極102及び下部電極101へ電圧が印加されると、軟化又は溶融して破壊が生じ、下部電極と第2のメモリ材料層とが短絡する。さらにこのとき上記のような厚みの範囲を満たすと、絶縁破壊も生じうる。このように、メモリ材料層の破壊は、絶縁破壊及び軟化又は溶融のいずれかが生じることによって達成でき、その両方が生じてもよい。
すなわち、上部電極102及び下部電極101に第1電圧を印加した結果、第1のメモリ材料層104が破壊し、下部電極101と第2のメモリ材料層105とが短絡し、次に第2電圧を印加した結果、第2のメモリ材料層105が破壊し、下部電極101と上部電極102とが短絡すれば、絶縁破壊、又は軟化若しくは溶融のどちらが生じていてもよい。このとき、第2の電圧は、第1電圧より大きくなるようにする。
そして順に破壊する条件を満たす限り、メモリ材料層の材料は限定されない。例えば有機材料と、無機材料とが積層されたメモリ素子を形成することもできる。このようなメモリ材料層の構成は、以下の実施の形態で説明する。
図2には、図1(A)に示すメモリ素子の電圧−電流特性(A)(B)(C)を示す。なおメモリ材料層には、それぞれ有機材料を用いる。
メモリ素子の電圧−電流特性(A)は、第1のメモリ材料層及び第2のメモリ材料層が破壊されていない初期状態(第1の状態と表記する)を示す。メモリ素子の電圧−電流特性(B)は、第1のメモリ材料層が破壊された第2の状態を示す。なお、第2の状態は下部電極101と第2のメモリ材料層105とが短絡した状態である。メモリ素子の電圧−電流特性(C)は、第1及び第2のメモリ材料層が破壊された第3の状態を示す。なお、第3の状態は下部電極101と上部電極102とが短絡した状態である。
第1の状態では、第1及び第2のメモリ材料層を有するメモリ素子へ、一定の電圧(Va)以上を印加しなければ電流は流れない。なお、電圧Vaは、積層されたメモリ素子の電圧−電流特性(A)の閾値電圧である。第2の状態では、第1のメモリ材料層104が破壊されているため、第2のメモリ材料層105のみを有するメモリ素子と同等であり、このようなメモリ素子は一定の電圧(Vb、Vb<Va)以上を印加することによって電流が流れる。なお、電圧Vbは、メモリ素子の電圧−電流特性(B)の閾値電圧である。第3の状態では、下部電極101と、上部電極102とが短絡しているため、メモリ素子へわずかな電圧(Vc、Vc<Vb<Va)を印加するだけで電流が流れる。所謂、下部電極101と第2のメモリ材料層105の短絡状態である。
なお、第1のメモリ材料層104の厚みと、第2のメモリ材料層105の厚みによって電圧Va及びVbの値を制御することができる。例えば、第1のメモリ材料層104の厚みを薄くするにつれ、第2の状態での電圧値(Va)を小さくすることができ、第2のメモリ材料層105の厚みを薄くするにつれ、第2の状態での電圧値(Vb)を小さくすることができる。また、第1のメモリ材料層104の破壊時に、第2のメモリ材料層105が破壊されないように、第2のメモリ材料層105を第1のメモリ材料層104よりも厚くすることが好ましい。第1のメモリ材料層104を破壊するための電圧印加によって、第2のメモリ材料層105が破壊されないようにするためである。
このような第1乃至第3の状態によって、メモリ素子には3値からなる情報を書き込むことができる。その結果、メモリ装置の記録容量を増大させることができる。
図1(B)には、図1(A)に示したメモリ素子において、第1のメモリ材料層104と第2のメモリ材料層105との間に層106を設けた形態を示す。層106は、膜として存在していたり、クラスターとして存在している。これは層106の材料や形成方法によって、状態が異なるからである。例えば非常に薄く形成する場合、層106はクラスターとして存在しうる。層106としては、有機無機複合材料、発熱材料、又は導電材料を用いることができる。
有機無機複合材料としては、メモリ材料層を有機材料で構成する場合、当該有機材料と無機材料とが混在している材料が挙げられる。無機材料としては例えば、金属酸化物を用いることができる。金属酸化物と有機化合物との混合層、つまり有機無機複合材料を用いる場合、層106を厚膜化しても、電極間に印加する電圧を高めることがない。層106を厚膜化することにより、メモリ材料層の成膜不良を解消することができる。
具体的な金属酸化物は、メモリ材料層を構成する有機材料が正孔輸送性の高い物質の場合、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、レニウム酸化物、タングステン酸化物、ルテニウム酸化物、チタン酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物を用いると好ましい。
またメモリ材料層を構成する有機材料が電子輸送性の高い物質の場合、上記金属酸化物は、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、マグネシウム酸化物を用いると好ましい。
また層106として、発熱材料及び導電材料として導電性の高い材料を設けるとよく、例えば、金属材料を用いることができる。このような発熱材料に電流を流し、ジュール熱を発生させると、相対的に耐熱性の弱い有機材料を先に破壊すべきメモリ材料層として用い、積極的に軟化又は溶融することができる。
また層106は、第1及び第2のメモリ材料層間のように、当該材料間に設ける構成に限定されず、上部電極102とメモリ材料層103との間、又は下部電極101とメモリ材料層103との間に設けてもよい。特に第1電圧によって第1のメモリ材料層104を破壊する場合、上部電極102と第1のメモリ材料層104との間に層106として発熱材料等を設けるとよい。早期且つ簡便に第1のメモリ材料層104を軟化又は溶融し、破壊することができるからである。
なお本実施の形態では、下部電極側に形成されたメモリ材料層から破壊する場合を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち本発明は、積層されたメモリ材料層を順に破壊し、その状態を電圧によって読み取ることを特徴としており、当該効果を奏する限り、上部電極側のメモリ材料層を先に破壊しても構わない。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した素子構造を応用し、3つのメモリ材料層を設けた構造について説明する。
図3(A)には、上部電極102と下部電極101との間に、メモリ材料層103として第1のメモリ材料層104、第2にメモリ材料層105、第3のメモリ材料層107を順に積層させる。各メモリ材料層は上記実施の形態と同様に有機材料又は無機材料から形成することができる。
上記実施の形態と同様に、メモリ材料層に無機材料を用いる場合、第1乃至第3のメモリ材料層の誘電率をそれぞれ異ならせる。例えば先に破壊される第1のメモリ材料層104の誘電率を、第2のメモリ材料層105の誘電率より低くする。同様に、第2のメモリ材料層105の誘電率を、第3のメモリ材料層107の誘電率より低くする。誘電率の低いメモリ材料層の順に、破壊されやすいからである。そして第1のメモリ材料層破壊前後の電圧−電流特性及び第2のメモリ材料層破壊前後の電圧−電流特性を示すグラフにおいて、抵抗値の違いを読み取ることで、メモリ素子に多値のデータを書き込むことができるようになる。
また誘電率とは異なり、耐圧を異ならせてもよい。この場合、先に破壊される第1のメモリ材料層104の耐圧を、第2のメモリ材料層105の耐圧より小さくする。同様に、第2のメモリ材料層105の耐圧を、第3のメモリ材料層107の耐圧より小さくする。耐圧の小さいメモリ材料層順に、破壊されやすいからである。
また第1のメモリ材料層104の厚み(d1)、第2のメモリ材料層105の厚み(d2)、及び第3のメモリ材料層107の厚み(d3)を異ならせてもよい。例えば第1のメモリ材料層から順に破壊する場合、上記実施の形態と同様に、第1のメモリ材料層104の厚みを最も薄くする。すなわち、メモリ材料層の厚みは、d1<d2<d3を満たす。また第1乃至第3のメモリ材料層の厚みは、それぞれ5から500nm、好ましくは10から100nmとする。このように薄いメモリ材料層を用いると、破壊するために印加する電圧を低くすることができる。また厚みが薄いメモリ材料層に対して厚みの厚いメモリ材料層、つまり第1のメモリ材料層に対して第2のメモリ材料層、又は第2のメモリ材料層に対して第3のメモリ材料層は、1.1から5倍となるようにする。
一方、上記実施の形態と同様にメモリ材料層に有機材料を用いる場合、各メモリ材料層のガラス転移温度を異ならせ、先に破壊する第1のメモリ材料層104のガラス転移温度を最も低くする。すなわち、メモリ材料層のガラス転移温度(T1からT3)は、T1<T2<T3を満たすようにする。このとき、T1とT2の差、及びT2とT3の差は10℃以上とする。
なお、第1乃至第3のメモリ材料層に異なる材料を用いる必要はなく、2種のメモリ材料層のみを用いることもできる。この場合、2つの同一メモリ材料層間に異なるメモリ材料層を積層して3層構造を形成すればよい。但し、同一のメモリ材料層の一方を先に破壊する必要があるため、発熱材料等を使用する。発熱材料としては金属材料が挙げられ、これに電流を流すことでジュール熱を発生させ、耐熱性の低いメモリ材料層を破壊させることができる。
このようなメモリ素子に対して、上部電極102及び下部電極101に電圧を印加することにより、第1のメモリ材料層から順に破壊する。上記実施の形態で示したように、破壊は絶縁破壊、又はガラス転移温度以上となったときの軟化又は溶融のいずれによって生じることができ、さらに両方が生じたことによって破壊させてもよい。
すなわち第1電圧印加によって第1のメモリ材料層104が破壊し下部電極101と第2のメモリ材料層105とが短絡し、第2電圧印加によって第2のメモリ材料層105が破壊し下部電極101と第3のメモリ材料層107とが短絡し、第3の電圧印加によって第3のメモリ材料層107が破壊し下部電極101と上部電極102とが短絡すればよい。
図4には、図2に示すメモリ素子の電圧−電流特性(A)(B)(C)に加えて、メモリ素子の電圧−電流特性(D)を示す。上記実施の形態と同様にメモリ材料層にはそれぞれ有機材料を用いる。第1乃至第3の状態は、図2と同様であり、加えてメモリ素子の電圧−電流特性(D)は、第1及び第2のメモリ材料層が破壊された第4の状態を示す。なお、第4の状態は下部電極101と第3のメモリ材料層105とが短絡した状態である。
第4の状態では、一定の電圧(Vd、Vd<Vb<Va、Vd>Vc)を印加すると、メモリ素子に電流が流れる。なお、電圧Vdは、メモリ素子の電圧−電流特性(D)の閾値電圧である。
このようにして3つのメモリ材料層を積層することによって4値からなる情報を提供することができる。すなわち、積層するメモリ材料層を増やすことによって、さらなる多値のデータをメモリ素子に書き込むことができるようになる。勿論、本発明は、3つ以上のメモリ材料層を設けることも可能である。
図3(B)には、図3(A)に示したメモリ素子において、第1のメモリ材料層104と第2のメモリ材料層105との間に層106を設けた形態を示す。
また図3(C)には、さらに第2のメモリ材料層105と、第3のメモリ材料層107との間にそれぞれ層106を設けた形態を示す。なお層106を複数設ける場合、同一の層を形成する必要はなく、異なる材料からなる層106をそれぞれ形成してもよい。
層106の材料や作製方法は、上記実施の形態を参照することができる。
なお本実施の形態では、下部電極側に形成されたメモリ材料層から破壊する場合を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち本発明は、積層されたメモリ材料層を順に破壊し、その状態を電圧によって読み取ることを特徴としており、当該効果を奏する限り、上部電極側のメモリ材料層を先に破壊してもよいし、中間に設けられたメモリ材料層を先に破壊しても構わない。
(実施の形態3)
本発明において電極間に第1電圧を印加した結果、一のメモリ材料層に状態の変化が生じ、第2電圧を印加した結果、他のメモリ材料層に状態の変化が生じればよい。そして、メモリ材料層の状態変化が電圧−電流特性に現れ、電圧の違いを読み取ることができればよい。上記を満たす限り、各メモリ材料層の材料は限定されない。そこで本実施の形態では、有機材料と、無機材料とが積層されたメモリ素子について説明する。
このように有機材料と、無機材料とが積層されたメモリ素子では、無機材料を先に破壊する必要があるため、図15に示すように第1のメモリ材料層904に無機材料を用い、第2のメモリ材料層905に有機材料を用いる。その他の構成は図1と同様であるため説明を省略する。
このようなメモリ素子の状態を、図16に示すメモリ素子の電圧−電流特性と合わせて説明する。
無機材料が積層されているため、電圧−電流特性は図16の(α)として示すような特性を示す。この絶縁状態を第1の状態と呼ぶ。
その後、当該無機材料を破壊すると、有機材料のみが介在した構造とみなすことができる。すると電圧−電流特性において閾値のある特性(β)を示す。このときの閾値電圧をVβとする。このダイオード特性を示す状態を第2の状態と呼ぶ。
さらに、有機材料を破壊すると下部電極101及び上部電極102が短絡した特性(γ)を示す。この短絡状態を第3の状態と呼ぶ。
このようなメモリ素子において、絶縁状態から無機材料からなるメモリ材料層を破壊し、次いで有機材料からなるメモリ材料層を破壊することで、異なる3つの状態が得られる。これらの状態を用いることで、メモリ素子は3値からなる情報を提供することができる。
なお本実施の形態において、メモリ材料層の膜厚を異ならせてもよい。
本実施の形態においても、メモリ材料層間、またはメモリ材料層と電極間に層106を設けてもよい。層106の詳細は、上記実施の形態を参照することができる。
このように本発明は無機材料と有機材料とが積層されたメモリ材料層によって、メモリ素子に多値のデータを書き込むことができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、絶縁基板としてガラス基板上に、メモリ素子を形成する方法について説明する。なおメモリ素子を制御するための回路(制御回路)を同一基板上に形成する形態を示す。
まず図5(A)に示すように、ガラス基板401上に剥離層402を形成する。絶縁基板はガラス以外にも石英、珪素、金属等を用いることができる。剥離層402は金属を有する膜、又は珪素を有する膜を基板全面又は選択的に形成する。少なくとも選択的に剥離層を形成することにより、後にガラス基板401をはがすことが可能となる。上記金属の材料としては、W、Ti、Ta、Mo、Nd、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Irから選ばれた元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、或いはこれらの積層を用いることができる。当該化合物材料としては、上記元素の酸化物、窒化物が挙げられる。また珪素を有する膜の状態は、結晶状態、非晶質状態、又は微結晶状態のいずれを有していてもよい。状態によって、剥離層402の除去速度を制御することができる。
次に、剥離層402を覆うように絶縁層403を形成する。絶縁層403は珪素酸化物、珪素窒化物等により形成する。そして、絶縁層403上に半導体層を形成し、レーザー結晶化、金属触媒を用いた熱結晶化等により結晶化させ、その後所望の形状にパターニングし、島状の半導体層404を形成する。レーザー結晶化には、連続発振型レーザー、パルス発振型レーザーのいずれを用いてもよい。レーザーとしては、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザー、YAGレーザー、Y2O3レーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイヤレーザー、銅蒸気レーザーまたは金蒸気レーザーのうち一種または複数種を用いることができる。例えばパルス発振型のエキシマレーザーを用いることができる。半導体層は、その厚みが0.2μm以下、代表的には40nmから170nm、好ましくは50nmから150nmとなるように形成する。なお半導体層404は、結晶性半導体以外に、非晶質半導体、微結晶半導体、マイクロクリスタル半導体、有機半導体等のいずれを用いてもよい。また半導体層は珪素を有する材料を用いればよく、例えば珪素とゲルマニウムとの混合材料からも形成することができる。
次に、半導体層404を覆うようにゲート絶縁層405を形成する。ゲート絶縁層405は珪素酸化物、珪素窒化物等を用いて形成する。このようなゲート絶縁層405はCVD法、熱酸化法等により形成することができる。また半導体層404とゲート絶縁層405とをCVD法により連続形成し、その後同時にパターニングすることもできる。この場合、各層の界面における不純物汚染を抑えることができる。
そして、ゲート電極層406を形成する。ゲート電極層406はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成し、その後所望の形状にパターニングする。フォトリソグラフィ法によりパターニングを行う場合、レジストマスクをプラズマ等でエッチングし、その幅が細められた状態で用いると、ゲート電極幅を細くすることができる。その結果、トランジスタの性能を高めることができる。またゲート電極層406は、単層構造であっても積層構造であってもよい。図5(A)では、ゲート電極層406を積層構造とした場合を示す。
次に、半導体層404に不純物元素を添加して不純物領域407を形成する。不純物領域407は、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、燐、砒素、ボロン等の不純物元素を添加して形成される。不純物元素によって、Nチャネル型と、Pチャネル型といった極性を作り分けることができる。
次に図5(B)に示すように、珪素を有する絶縁物、例えば窒化珪素等により絶縁層を形成し、当該絶縁層を垂直方向の異方性エッチングしてゲート電極の側面に接する絶縁層(サイドウォールと表記する)409を形成する。サイドウォールを形成する際、ゲート絶縁層405はエッチングされてしまうことがある。
次に、半導体層404に不純物をさらに添加し、サイドウォール409直下の第1の不純物領域410と、第1の不純物領域410よりも高い不純物濃度を有する第2の不純物領域411とを形成する。このような不純物領域を有する構造を、LDD(Lightly Doped Drain)構造と呼ぶ。さらに第1の不純物領域410がゲート電極層406と重なっている場合、GOLD(Gate−drain Overlapped LDD)構造と呼ぶ。
続いて図5(C)に示すように、半導体層404、ゲート電極層406を覆うように絶縁層414を形成する。絶縁層414は絶縁性を有する無機材料、有機材料等により形成する。絶縁性を有する無機材料は酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。また絶縁性を有する有機材料は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン、ポリシラザンを用いることができる。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合を含む樹脂であり、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されている。シロキサンが有する置換基には、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また当該置換基にはフルオロ基を用いてもよい。またさらに、置換基として少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。ポリシラザンは、珪素(Si)と窒素(N)の結合を有するポリマー材料を出発原料として形成される。
図5(C)では、絶縁層414を積層構造で形成した形態を示しており、下から順に第1の絶縁層414a、第2の絶縁層414b、第3の絶縁層414cとする。第1の絶縁層414aは水素を多く有するように、プラズマCVD法によって作製すると好ましい。水素によって、半導体層404のダングリングボンドを低減することができるからである。また第2の絶縁層414bは有機材料から形成すると好ましい。平坦性を高めることができるからである。そして第3の絶縁層414cは、無機材料から形成すると好ましい。有機材料から形成された第2の絶縁層414bからの水分等の放出、又は第2の絶縁層414bを介した水分の侵入を防止するためである。
次に第2の不純物領域411を露出させるコンタクトホールを形成し、図5(D)に示すように、当該コンタクトホールを充填するように導電層415を形成する。導電層415はアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜等を有する。また導電層415は、単層構造又は積層構造により形成することができる。その後、導電層415を所望の形状にパターニングし、ソース電極、ドレイン電極、その他の電極が同時に形成される。
ソース電極及びドレイン電極と、第2の不純物領域411とのコンタクト抵抗を低くするため、当該不純物領域においてシリサイドを形成してもよい。例えば、第2の不純物領域411上に金属元素(代表的にはNi)を有する膜を形成し、ファーネスアニール炉を用いる熱アニール法、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用して加熱する。その結果、第2の不純物領域上に当該金属元素と、珪素を有するシリサイドが形成され、オン電流の向上、移動度の向上が期待される。
このようにして制御回路部202、メモリ素子領域201に薄膜トランジスタが完成する。制御回路部202では、当該薄膜トランジスタを用いて回路が形成される。
次に、導電層415を覆うように絶縁層416を形成する。絶縁層416は絶縁性を有する無機材料、有機材料等で形成することができ、単層であっても積層であってもよい。絶縁層414と同様な無機材料、有機材料を用いることができる。
その後図6(A)に示すように、導電層415を露出させるように、絶縁層416にコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールを充填するように導電層417を形成する。導電層417は、単層構造又は積層構造により形成することができる。導電層417はアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜等を有する。また導電層417は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、2から20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム等の透光性材料を用いることができる。その後、導電層417を所望の形状にパターニングする。パターニングされた導電層417は、メモリ素子の下部電極として機能することができる。
なお本実施の形態ではメモリ素子の下部電極は、導電層417から形成する場合を示したが、導電層415から形成してもよい。すなわち薄膜トランジスタのソース電極又はドレイン電極となる導電層415と、メモリ素子の下部電極とを共用してもよい。
パターニングされた導電層417を覆うように絶縁層を形成し、当該導電層417が露出し、且つ導電層417の端部を覆うように開口部が設けられた絶縁層(土手やバンクとも記す)418を形成する。バンク418は、有機材料又は無機材料等により形成することができる。絶縁層414と同様な無機材料、有機材料を用いることができる。バンク418の開口部の側面は、テーパーを有すると好ましい。後に形成する薄膜の段切れを防止することができるからである。
次に図6(B)に示すように、バンク418の開口部に、メモリ材料層103を形成する。本実施の形態では、第1のメモリ材料層104及び第2のメモリ材料層105を形成する。メモリ材料層103は蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット法を代表とする液滴吐出法により形成することができる。上記実施の形態と同様に、無機材料を用いる場合、第1のメモリ材料層104の厚みは、第2のメモリ材料層105の厚みより厚くし、且つ第1のメモリ材料層104の誘電率を第2のメモリ材料層105より高くする。また有機材料を用いる場合、第1のメモリ材料層104のガラス転移温度の方が第2のメモリ材料層105よりも低くなるようにする。メモリ素子に関する他の構成は、上記実施の形態を参照することができる。また本実施の形態において、上記実施の形態で示したメモリ素子のいずれを適用してもよい。
またメモリ材料層103は、発光素子が有する電界発光層と同一材料から形成することもできるため、メモリ素子と発光素子を同一基板上に形成することができる。すなわち、表示機能を備えたメモリ装置を形成することもできる。
次いで、対向電極420となる導電層を形成する。対向電極420はメモリ素子領域全面に形成することができるため、フォトリソグラフィ法によるパターニングを要しない。勿論パターニングして、選択的に対向電極420を形成してもよい。対向電極420は、メモリ素子の上部電極として機能することができる。
そして導電層417、第1のメモリ材料層104、第2のメモリ材料層105、及び対向電極420を有するメモリ素子426が形成される。
さらに好ましくは、保護膜として機能する絶縁層421を形成する。耐衝撃性を高めるため、絶縁層421の厚みは厚くするとよい。そのため、絶縁層421は、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の有機材料から形成すると好ましい。また絶縁層421は、吸湿性を持たせるため絶縁層421内に乾燥剤を散布するとよい。特に有機材料を用いてメモリ材料層を形成する場合、水分の侵入を防止することができるからである。このように絶縁層421を充填して封止することにより、水分に加え不要な酸素の侵入を防止することができる。
このようにして制御回路部202に設けられた薄膜トランジスタを有する回路を形成することができ、当該回路と同一基板上に形成され、メモリ素子領域201に設けられたメモリ素子426、及び当該メモリ素子426に接続された薄膜トランジスタを形成することができる。メモリ素子は、薄膜トランジスタによって制御される。このようにメモリ素子に薄膜トランジスタが接続された形態をアクティブ型と呼ぶ。
本発明のメモリ装置は、メモリ素子426と、制御回路とを同一基板上に作製することができるため、製造コストを低減することができる。さらに、従来のICにより形成されたメモリ素子を実装する工程が不要となるため、制御回路との接続不良がない。
図7には、メモリ素子426に電力等を供給するためのアンテナ430を設けた形態を示す。本実施の形態では、バンクに設けられた開口部にアンテナ430を形成する形態を示す。
アンテナ430は、メモリ素子領域201に設けられた薄膜トランジスタに接続するように形成することができ、導電性材料、好ましくは低抵抗材料、例えばCu(銅)、Ag(銀)、Al(アルミニウム)等から形成する。さらにアンテナ430の抵抗を下げるため、厚みを厚くするとよい。このようなアンテナ430は、蒸着法、印刷法、メッキ法、インクジェット法を代表とする液滴吐出法により形成することができる。
このようにアンテナ430を一体形成することにより、リーダライタ装置と無線で通信を行うことができる。その結果、非破壊でメモリ素子426に多値のデータを書き込むことができる。
これまでの工程で、メモリ装置を完成することができるが、その後図8(A)に示すように溝を形成し、当該溝にエッチング剤441を導入し、ガラス基板401を剥離してもよい。このとき、絶縁層421上に張り合わせた樹脂基板440を支持体として用いると、ガラス基板401を簡便に剥離することができ好ましい。なお、樹脂基板440は、絶縁層421が有する接着機能を用いても貼り付けることができる。樹脂基板440には、ポリエチレン−テレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチックや、アクリル等の合成樹脂を用いることができる。このような樹脂基板は非常に薄いため、フィルム状態を有する。そのため、ロール状に巻き取られた樹脂基板440を絶縁層421に貼り付けてガラス基板401を剥離することもできる。このような工程は量産に適する。
エッチング剤441は、剥離層402を選択的にエッチングすることができれば、特に限定はなく、例えばハロゲン化合物を用いることができる。剥離層に非晶質珪素やタングステンを用いる場合、エッチング剤にはClF3(3フッ化塩素)を用いることができる。また剥離層に酸化珪素を用いる場合、エッチング剤にはHF(フッ化水素)を用いることができる。
またエッチング剤を用いることなく、ガラス基板を剥離してもよい。例えば、剥離層402、及び剥離層上に薄膜トランジスタ等を構成するための膜を積層し、熱処理を行うことによって、剥離層402、薄膜トランジスタ等を構成するための膜、ガラス基板等の状態変化を生じさせ、これによりガラス基板を剥離することもできる。薄膜トランジスタ等を構成するための膜とは、半導体膜、ゲート絶縁膜、ゲート電極、層間絶縁膜以外に、剥離層との密着性を高めたり、剥離層やガラス基板からの不純物の侵入を防ぐための保護膜が挙げられる。保護膜としては、酸化珪素、窒化酸化珪素、若しくは窒化珪素、又はこれらの積層構造がある。このように熱処理によりガラス基板を剥離する場合、剥離層402にタングステンを用いるとき、タングステン上面には酸化タングステン(WOx)が形成される。熱処理により酸化タングステンがもろい状態となるため、ガラス基板を容易に剥離することができる。
そして図8(B)に示すように、剥離したガラス基板401の代わりに、樹脂基板442を張り合わせる。なお、樹脂基板442は、樹脂基板440と同様な材料から形成することができる。
このようにガラス基板401を剥離する結果、メモリ装置の薄型化、軽量化を図り、柔軟性を高め、耐衝撃性を向上させることができる。
次いで、メモリ装置毎に分断し、一枚の基板から、複数のメモリ装置を取り出すことができる。その結果、メモリ装置のコストを下げることができる。
さらに樹脂基板440、442の両表面に、ガスバリア層といわれる保護層を設けてもよい。保護層により酸素、アルカリ元素の侵入を防止することができ、信頼性を向上することができる。当該保護層は、窒化アルミニウム、窒化珪素膜等の窒素を有する無機材料により形成する。
本実施の形態では、ガラス基板401を除去し、樹脂基板440、442を貼り付けた形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。但し、本実施の形態のようにガラス基板401を除去することによって、表示装置の軽量化、薄型化を図ることができる。
また、本実施の形態で示した薄膜トランジスタは、基板上に半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極層を順に積層させた構造を採るが、本発明の薄膜トランジスタはこの構成には限定されず、ゲート電極層、絶縁層、半導体層を順に積層させる構造を採ることも可能である。また薄膜トランジスタの不純物領域は、第1の不純物領域(低濃度不純物領域とも呼ぶ)410又は第2の不純物領域(高濃度不純物領域とも呼ぶ)411を有するが、これには限定されず不純物濃度が一様であるシングルドレイン構造であってもよい。
また本実施の形態で示した薄膜トランジスタを、複数積層した多層構造を適用してもよい。このような多層構造で作製する場合は、積層された薄膜トランジスタ間の絶縁層に生じる寄生容量を低減するため、絶縁層の材料として低誘電率(low−k)材料を用いるとよい。例えば上記した材料に加えて、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の樹脂材料、シロキサン等の有機材料などが挙げられる。寄生容量を低減した多層構造を採用すれば、メモリ装置の小面積化、動作の高速化、低消費電力化を実現することができる。
このように本発明は、メモリ材料層が積層されたメモリ装置を提供することができる。そして、メモリ装置の記録容量を増やすことができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、ソース電極又はドレイン電極を形成するための開口部を利用してメモリ素子を形成する構成について説明する。
図9(A)に示すようにメモリ素子領域201において薄膜トランジスタを形成する。当該薄膜トランジスタは上記実施の形態と同様に、ガラス基板401上に絶縁層403、半導体層404、ゲート絶縁層405、ゲート電極層406、サイドウォール409、絶縁層414a、414b、414cを形成する。そして、第2の不純物領域が露出するように絶縁層414a、414b、414cに開口部431を形成する。開口部431は、ドライエッチング法、ウェットエッチング法等により形成することができる。開口部431の側面は、テーパーを有するとよい。その後に形成するメモリ材料層の段切れを防止することができるからである。
次いで、上記実施の形態と同様に、導電層415を開口部431に充填するように形成し、所定の形状にパターニングし、ソース電極又はドレイン電極を形成する。そして、開口部431において、上記実施の形態と同様に、第1のメモリ材料層104、第2のメモリ材料層105、対向電極420を順に形成する。このようにしてメモリ素子426を形成することができる。当該メモリ材料層の段切れを防止するため、蒸着法により形成すると好ましい。
そしてさらに、絶縁層421を形成すると好ましい。不純物元素、水分、酸素の侵入を防止することができるからである。
図9(B)には、開口部431に導電層415が充填され、所定の形状にパターニングされた上面図を示す。図9(B)からも分かるように、メモリ素子を形成する側の開口部431は、他方の開口部より直径を大きくするとよい。例えばその直径を1μmから3μmとする。
このように開口部431を利用して、メモリ素子426を形成することができ、メモリ装置を薄型化することができる。さらに本形態は、ソース電極又はドレイン電極をメモリ素子の下部電極として機能させるため、工程数を削減し、低コスト化を図ることができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、パッシブ型のメモリ装置の構成について説明する。
図10に示すように、ガラス基板401上に絶縁層403が設けられ、電極となる第1の導電層502、第2の導電層503が積層されている。勿論電極は、単層構造で形成してもよい。この電極を制御することにより、マトリクス状に二次元的に配置されたメモリ素子426を制御することができる。
メモリ素子426は、上記実施の形態と同様に形成された第1のメモリ材料層104、第2のメモリ材料層105、対向電極420を有する。パッシブ型のメモリ素子を形成する場合、各メモリセルにおいて第1のメモリ材料層104、及び第2のメモリ材料層105をパターニングすると好ましい。隣接するメモリセル間で、メモリ材料層の破壊の影響を受けないようにするためである。
メモリ素子426と同一ガラス基板401に多結晶半導体膜からなる制御回路523を形成してもよい。制御回路523は、対向電極420と接続されたデコーダ回路や第1の導電層502と接続されたデコーダ回路等を含む。そして制御回路523には、フレキシブルプリントサーキット516を介して外部信号等を入力するため、異方性導電材料からなるバンプ515を用いて外部回路と接続される。
さらに不純物元素や水分の侵入を防止するため、対向電極420上にパッシベーション膜522を設けるとよい。このようなパッシベーション膜522は、窒素を有する絶縁層を用いて形成することができる。窒化珪素膜を用いる場合、近紫外域での光透過率が若干下がるので、それを改善するために酸素を加えた窒化酸化珪素膜を用いても良い。その他に窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムをパッシベーション膜522に適用してもよい。
パッシブ型はアクティブ型と比べて、トランジスタ分の面積が不要となるため、制御回路を一体形成しても、メモリ装置を小型化することができ、好ましい。
メモリ素子426の封止工程はパッシベーション膜522上に設けられた封止材517及び封止基板510を用いて行われる。封止基板510はガラス、プラスチックなどの他に、ステンレス、アルミニウムなどの金属を用いても良い。プラスチックはアクリル、ポリエチレンテレフタラート(PET)などを用いることができ、平板状又はフィルム状のものを用いることができる。封止基板510にプラスチックを用いる場合は、水蒸気などを遮断するガスバリア膜といった保護膜や、表面の硬度を高めるハードコート膜を設けてもよい。このような構成により、メモリ材料層の劣化の原因となりうる水分等の侵入を防止することができる。
封止基板510とパッシベーション膜522との間に設ける封止材517は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材料を用いる。封止材517は、封止基板510とガラス基板401を固定すると共に、この両者の間隔を一定に保持する機能を奏する。そのために、封止材517にスペーサとなるシリカ粒子などを含ませておいてもよい。
このようにパッシブ型のメモリ装置において制御回路523を同一基板に形成することができる。勿論、アクティブ型のメモリ装置においても、制御回路を同一基板上に形成することができる。
なおパッシブ型のメモリ装置において、ICチップによって形成された制御回路を外付けすることもできる。この場合、異方性導電材料等からなるバンプを用いて、制御回路523を第1の導電層502又は第2の導電層503に接続すればよい。勿論アクティブ型であっても制御回路をICチップによって形成し外付けする形態を用いることができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態により作製されたメモリ素子を有するメモリ装置の構成を説明する。
図11に示すように、メモリ装置708はメモリ素子が形成されたメモリセルアレイ706及び制御回路を有する。制御回路は、カラムデコーダ701、ローデコーダ702、読み出し回路704、書き込み回路705、セレクタ703を有する。
メモリセルアレイ706はビット線Bm(m=1〜x)、ワード線Wn(n=1〜y)、ビット線とワード線とそれぞれの交点にメモリ素子707を有する。当該メモリ素子は、上記実施の形態で示したように積層されたメモリ材料層を有することを特徴とする。そしてメモリセルアレイ706において、メモリ素子にトランジスタが接続されたアクティブ型であっても当該トランジスタのないパッシブ型であってもよい。またビット線はセレクタ703により制御され、ワード線はローデコーダ702により制御される。
カラムデコーダ701はメモリセルアレイの列を指定するアドレス信号を受けて、指定列のセレクタ703に信号を与える。セレクタ703はカラムデコーダ701の信号を受けて指定のビット線を選択する。ローデコーダ702はメモリセルアレイの行を指定するアドレス信号を受けて、指定のワード線を選択する。上記動作によりアドレス信号に対応する一つのメモリ素子707が選択される。読み出し回路704は選択されたメモリ素子が有するデータを読み出し、好ましくは増幅して出力する。書き込み回路705は書き込みに必要な電圧を生成し、選択されたメモリ素子に電圧を印加することで、順にメモリ材料層を破壊し、目的の状態とすることで、データの書き込みを行う。
本発明は、このような制御回路を有するメモリ装置を提供することができる。
次に、メモリ素子707を有するメモリセルの等価回路を説明する。
図12(A)に示すように、アクティブ型のメモリセルは、トランジスタ721とメモリ素子722とを有する。トランジスタ721はゲート電極がワード線Wnに接続され、ソース電極及びドレイン電極の一方がビット線Bmに接続され、他方がメモリ素子722と接続している。メモリ素子722は、上記実施の形態で示したように下部電極、積層されたメモリ材料層、上部電極を有する。トランジスタ721は、上記実施の形態で示した薄膜トランジスタを適用することができる。そして当該トランジスタ721のソース電極及びドレイン電極の一方と、メモリ素子722の下部電極とは、電気的に接続している。またメモリ素子722の上部電極(723に相当)は、各メモリ素子で共有することができるため、パターニングする必要はない。そして、メモリ装置の書き込み時、読み出し時には、全セルの上部電極に同じ電圧が印加される。
トランジスタ721により印加される電圧値及びメモリ材料層の積層数によってメモリ素子722は、図2又は図4で示したように複数の状態を有することができ、多値のデータをメモリ素子に書き込むことができる。
また図12(B)に示すように、メモリ素子725がダイオード726に接続されたパッシブ型のメモリセルを用いてもよい。ダイオード726は、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と、ゲート電極とが接続された所謂ダイオード接続構造を採用することができる。またダイオード726として、メモリ材料層と下部電極との接触部において形成されるダイオードを用いることができ、若しくは積層されたメモリ材料層間の接触部において形成されるダイオードを用いることもできる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、制御回路が一体形成されたメモリ装置、及びアンテナを有し、無線で情報の送受信を行う半導体装置の形態について示す。このような無線で情報の送受信を行う半導体装置をRFID(Radio Frequency Identification)と呼ぶことがある。
図13に示す半導体装置801は、アンテナ及び共振容量を有する共振回路802、電源回路803、クロック発生回路804、復調回路805、命令解析及び制御回路806、メモリ装置708、符号化回路808、変調回路809を有する。メモリ装置708は、上記実施の形態で示した積層されたメモリ材料層を有することを特徴とする。なお本発明の半導体装置801は、上記構成に制限されず、乱数発生回路及び暗号化回路、中央処理演算装置(CPU)、輻輳制御回路等を有していてもよい。また半導体装置801は、アンテナを有する構成に限定されず、アンテナを接続する配線のみを有してもよい。この場合、半導体装置に情報の送受信を行う時に、別途設けられたアンテナを配線に接続してメモリ装置からの情報を得ることができる。
本発明の半導体装置801は、アンテナを有する共振回路802を有するため、リーダライタ装置810より発せられる電磁波から電力供給を受け、リーダライタ装置810と無線で情報の送受信を行うことができる。リーダライタ装置810は通信回線811を介してコンピュータ812と接続され、当該コンピュータ812の制御のもとに半導体装置801への電力供給や半導体装置801との情報の送受信を行う。
共振回路802はリーダライタ装置810より発せられる電磁波を受信し、誘導電圧を発生させる。この誘導電圧は半導体装置801の電源になるほか、リーダライタ装置810から送信される情報を含んでいる。電源回路803は共振回路802に発生した誘導電圧をダイオードで整流し、容量を用いて安定化し、各回路へ供給する。クロック発生回路804は共振回路802に発生した誘導電圧を基に、必要な周波数のクロック信号を生成する。復調回路805は共振回路802に発生した誘導電圧からデータを復調する。命令解析及び制御回路806は、情報判定回路(チェックサム回路)を有し、復調されたデータを確認する。また、受信した命令に従って、メモリ制御信号を生成し、メモリ装置708を制御する。メモリ装置708は半導体装置801固有のデータを保持する。ここでメモリ装置708は、上記実施の形態で示したように作製する。符号化回路808は、送信するデータを符号化信号に変換する。変調回路809は符号化信号を基に搬送波を変調する。
本実施の形態は半導体装置801がリーダライタ装置810から電力供給を受ける例を示したが、本発明はこの形態に限定されない。例えば、半導体装置801は内部に電池等を有し、当該電池により電力供給を受け、リーダライタ装置と無線で情報の送受信を行うことも可能である。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態9)
本発明の半導体装置を備えた電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図14を参照して説明する。
図14(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。携帯情報端末機器には、本発明のメモリ装置を形成することができる。本発明のメモリ素子によって、記録容量を増大させることができる。その結果、メモリ装置の小型化を達成することができる。またさらに樹脂基板上にメモリ素子を形成することによって、メモリ装置の薄型化を達成することができる。このようなメモリ装置によって、携帯情報端末機器の付加価値を高めることができる。
図14(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。デジタルビデオカメラには、本発明のメモリ装置を形成することができる。本発明のメモリ素子によって、記録容量を増大させることができる。その結果、メモリ装置の小型化を達成することができる。またさらに樹脂基板上にメモリ素子を形成することによって、メモリ装置の薄型化を達成することができる。このようなメモリ装置によって、デジタルビデオカメラの付加価値を高めることができる。
図14(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。携帯電話機には、本発明のメモリ装置を形成することができる。本発明のメモリ素子によって、記録容量を増大させることができる。その結果、メモリ装置の小型化を達成することができる。またさらに樹脂基板上にメモリ素子を形成することによって、メモリ装置の薄型化を達成することができる。このようなメモリ装置によって、携帯電話機付加価値を高めることができる。
図14(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。携帯型のテレビジョン装置には、本発明のメモリ装置を形成することができる。本発明のメモリ素子によって、記録容量を増大させることができる。その結果、メモリ装置の小型化を達成することができる。またさらに樹脂基板上にメモリ素子を形成することによって、メモリ装置の薄型化を達成することができる。このようなメモリ装置によって、携帯型のテレビジョン装置の付加価値を高めることができる。
また携帯型のテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の半導体装置を適用することができる。
図14(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。携帯型のコンピュータには、本発明のメモリ装置を形成することができる。本発明のメモリ素子によって、記録容量を増大させることができる。その結果、メモリ装置の小型化を達成することができる。またさらに樹脂基板上にメモリ素子を形成することによって、メモリ装置の薄型化を達成することができる。このようなメモリ装置によって、携帯型のコンピュータの付加価値を高めることができる。
図14(F)に示すテレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含んでいる。テレビジョン装置には、本発明のメモリ装置を形成することができる。本発明のメモリ素子によって、記録容量を増大させることができる。その結果、メモリ装置の小型化を達成することができる。またさらに樹脂基板上にメモリ素子を形成することによって、メモリ装置の薄型化を達成することができる。このようなメモリ装置によって、テレビジョン装置の付加価値を高めることができる。
このような本発明により、メモリ素子の記録容量を増大されることができ、メモリ装置を有する電子機器の付加価値を高めることができる。