JP4984811B2 - 産業用x線ct装置 - Google Patents

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Description

本発明は、産業用X線CT装置に関する。
Siよりも密度の大きな化合物半導体CdTeを用いてX線CT装置の検出器を製作することが試みられている。しかし、CdTe半導体放射線検出器(以下、CdTe検出器)は長時間の撮影によって感度が低下する。そこで、特許文献1では、X線検出の測定感度を向上させるとともに、長時間撮影時における画像の品質向上についても考慮している。また、非特許文献1ではCdTe半導体に高電圧のバイアス電圧を印加する際に生じるリーク電流の影響を低減する構造について検討がなされている。
特開2006−10364号公報 K.Nakazawa, et. Al.:"Improvement of the CdTe Diode Detectors using a Guard-ring Electrode,"IEEE Transaction on Nuclear Science,vol.51,No.4,pp1881−1885,(2004)
しかしながら、産業用X線CT装置に用いるCdTe検出器は、画像分解能を向上するために稠密に設置することが必須である。さらに、産業用X線CT装置は5年から10年の長期にわたり使用されるものである。背景技術では、そのような長期にわたる使用により、CdTe検出器の感度特性が劣化することを防止する方法は考えられていなかった。
そこで、本発明は産業用X線CT装置を長期間に渡って使用することによって検出器の感度特性が劣化することを抑制することを目的とする。
本発明のX線検出器は、前記半導体結晶において前記X線の出射方向と平行な面に設けられた第1の電極と、該第1の電極に対向する面に、第2の電極,第3の電極及び第4の電極を備え、該第3の電極が前記半導体結晶にX線が入射する面の近傍に設けられるとともに、該第4の電極が前記半導体結晶にX線が入射する面とは反対側の面近傍に設けられることを特徴とする
本発明によれば、本発明は産業用X線CT装置を長期間に渡って使用することによって検出器の感度特性が劣化することを抑制することができる。
産業用X線CT装置は、物体の内部形状を観察,計測するために、非常に有用な非破壊検査装置である。このため、最近では自動車会社を中心に開発品の形状計測や、鋳造品の巣の分布計測などに活用されるようになってきた。大型鋳造品などの断層像を撮影するためには、透過力の高い高エネルギーX線を発生する加速器をX線源に用いた産業用X線
CT装置が開発されている。背景技術には電子線形加速器をX線源とし、短冊形のシリコン半導体検出器をX線検出器に用いた産業用X線CT装置が示されている。このX線CT装置は被試験体をX線ファンビームに垂直な軸周りに1回転させて断層像を撮影する、いわゆる第3世代方式のCT装置である。
産業用X線CT装置において、シリコンを使用した半導体検出器では、1から10MeVの高エネルギーX線の検出効率が20%程度である。しかしながら、断層像の密度分解能を向上させるためには、検出器の検出効率(感度)が高いほど良い。また、シリコンよりもさらに密度が2倍ほど大きく、検出効率も約2倍向上できると予想されるCdTe半導体検出器の使用が好ましい。
このためCdTe半導体検出器を産業用高エネルギーX線CT装置に使用することが試みられている。しかし、CdTe検出器には分極効果により出力パルス波高が徐々に低下するという問題点がある。ここで、分極効果とは、電極近傍に電子がトラップされてセンサ内の電界が減少し、センサの感度が低下する現象であり、線量率やバイアス電圧に依存して影響は異なる。そのため、産業用高エネルギーX線CT装置に使用する場合にも、出力電流が数分から数時間で減少するという問題点があった。
この問題点を解決するために、特許文献1では、リーク電流の少ないアノード(陽極)にIn電極、カソード(陰極)にPt電極を用いたショットキーダイオード型CdTe検出器に対して、順方向のバイアスをかけている。そして、リーク電流の多い状態で半導体検出器を使用することにより分極効果を無くすようにしている。さらに、非特許文献1では、分極効果を低減するためにCdTe検出器に高バイアス電圧を印加し、それによって生じるリーク電流の影響を低減するために、センサ周囲にガードリングを配置している。
また、CdTe結晶の製造方法の改良が進み、より高純度の結晶が得られるようになってきた。このため、特許文献1に示すように、アノードにIn電極とし、カソードにPt電極を設けたCdTe検出器においても、産業用X線CT装置で被試験体を1個撮像する時間(立体データを得るためには1から4時間程度)は、出力電流が低下することなく撮影することが可能になってきている。
ここで、産業用高エネルギーX線CT装置に用いるCdTe検出器の構造を比較例として示す。図10は、比較例におけるX線検出器の構造を示す立面図と平面図である。CdTeの結晶50の上下面全体にはPt電極51とIn電極52が蒸着されており、In/CdTe/Pt検出器を構成している。In/CdTe/Pt検出器はフレキシブル基板53に接着される。フレキシブル基板53側のIn電極52は、プリント配線端子57に導電性接着剤で接合される。上方のPt電極51は、ボンディングワイヤー55でプリント配線端子56に結合されている。CdTe結晶の大きさは縦3mm×横40mm×高さ0.5mm である。ヘビイメタル基板54はタングステン合金製であり、検出器の保護と同時に隣の検出器に入射したX線の散乱や反挑電子を遮蔽する役割を担う。CdTe検出器は、X線が本図の矢印方向から入射するようにCT装置に設置される。CdTeは従来のSiに比べて約2倍の密度を有するため、入射X線に対する吸収効率、すなわち検出効率は約2倍になる。
但し、産業用X線CT装置では、通常、数年から10年の長期間使用する。その期間、CdTe検出器の性能が変化しないことが望ましい。しかし、長期間保管しておいたCdTe検出器にX線を照射してその出力を測定すると、照射時間の経過につれて出力が低下するものもあることが判明した。図11は、そのようなCdTe検出器にX線を照射して4時間経過したときの出力低下率とバイアス電圧の関係を示す。X線源には1MV電子線形加速器を用いた。バイアス電圧は100Vと200Vの2種類とする。そして、CdTe検出器に加速器からのX線を直接照射した(遮蔽無し)場合、アクリル,アルミ、または鉄(SUS)10mmを検出器の前に設置した場合の4種類の条件で出力変化を測定した。
遮蔽無し(本図■データ)では、4時間で30%(バイアス100V)または10%
(200V)も出力が減少している。それに比べ、アクリル(□データ)等を検出器の前に設置すると、いずれのバイアス条件でも出力低下は大幅に減少し、ほぼ0に近づく。
1MV線形加速器からのX線のエネルギーは、最大1MeVから数10keVまで広く分布している。しかし、入射X線エネルギーの高低は、単にCdTe結晶内での発生電荷量(電子・正孔対の数)の多少に関わるにすぎず、電荷収集メカニズムは同じである。ただし、CdTe結晶内に入射したX線の低エネルギーは、入射面から入射方向にみて、結晶前面近くでほとんど吸収される。一方、高エネルギーでは透過能力が高いため、結晶内で吸収されつつも奥まで到達する。
図11の試験結果をみると、アクリル10mmと鉄10mmで出力低下の低減効果はほとんど同じであることがわかる。アクリル10mmで遮蔽されるX線のエネルギーは、数10
keV程度までであり、密度の高いアルミや鉄ではさらにエネルギーの高いX線も遮蔽される。前述のように、エネルギーの高低に関わらずCdTe内部での電荷収集メカニズムは同じであることを考慮すれば、遮蔽によって出力低下が低減する効果は、検出器の入射面近傍において、X線による電荷発生量が減少したことにより発現していることが分かる。
また、CdTe検出器は、板状に切り出したウェハの両面に、電極を蒸着等で製作した後に短冊状に切り出して(ダイシング加工して)、検出器に加工されている。従って、電極が蒸着されていない切り出し面(即ち、電極に挟まれた4面)は、ダイシングされたままの面である。このような面は微視的にみれば欠陥が多く存在し、X線により発生した電子や正孔をトラップしたり、再結合を促進したりする。また、経年変化による欠陥増加や、材質変化,水素や酸素原子の侵入、などによりさらに欠陥が増加する可能性が大きい。
以上の考察から、経年変化の原因は検出器のX線入射面(ダイシング面)近傍の特性劣化が、検出器全体の感度低下(検出器の出力低下)の原因であると考えられる。本発明は以上の考察に基づき、CdTe検出器を長期間使用しても性能に変化を生じさせないことを目的にしている。
図1は本発明の一実施例の立面図と平面図である。本図は本発明を適用したCdTe検出器404の構造を示している。なお、経年劣化する部材であれば、CdTe以外の部材に本発明を適用することも可能である。ヘビイメタル基板105の片面にフレキシブル基板104が接着され、その上に半導体結晶であるCdTe結晶100が接着される。X線の出射方向と平行な2面である、CdTe結晶100の上面,下面には各々電極が蒸着されている。CdTe結晶は厚さ0.5mm ,幅3mm,奥行き40mmである。奥行きが40mmあると、400keVから12MeVまでのX線に対して十分な感度を有する。本実施例では下面にPt電極、上面に第1の電極であるIn電極101となっている。Pt電極側に−バイアス電圧をかけるか、In電極側に+バイアス電圧をかけることにより放射線検出器として動作する。本実施例では、In電極をグランド電位とし、Pt電極に−電圧をかける。Pt電極は、第3の電極であるPtプリ電極102と、第2の電極であるPtメイン電極103の2つが設置されている。Ptプリ電極102の奥行き長さは0.2mm、Ptプリ電極102とPtメイン電極103の間の隙間は0.05mmであり、Ptプリ電極102とPtメイン電極103は電気的に切り離されている。このような構成とすることで、Ptメイン電極103とIn電極101との間に位置するCdTe結晶100では、X線入射方向側にダイシング面が存在しない。そして、第3の電極であるPtプリ電極102はリーク電流を除去する役割を果たす。
CdTe検出器は、X線が本図左方向から入射させ、短冊状の検出器を立てた状態で
CT装置に設置する。このようにすることで、各検出器間のピッチが狭くなり、検出器の稠密化が可能となる。これにより透過データのサンプリング数が増加し、画像分解能が向上する。本実施例では検出器間のピッチが約1.2mmとなり、画像を再構成するためのデータサンプリングピッチが1mm未満となる。
また、第3の電極であるPtプリ電極102は、半導体結晶にX線が入射する面(ダイシング面)の近傍であって、In電極101に対向する面に設けられている。Ptプリ電極102が、半導体結晶にX線が入射する面(ダイシング面)の近傍にあることで、ダイシング面に生じる劣化信号のみを取り出すことができる。
本CdTe検出器の使用方法は、Ptプリ電極102とPtメイン電極103に負のバイアス電圧をかけ、In電極をグランド電位とする。そして、Ptプリ電極102の出力電流は通常測定せず、Ptメイン電極103を流れる電流をプリアンプで増幅し測定する。従って、検出器のX線入射面であるダイシング面近傍で発生する特性劣化信号と、Ptメイン電極103で生じる非劣化部位の正常信号とが切り離され、長期間安定した性能を有するCdTe検出器を実現できる。
ヘビイメタル基板105は、タングステンなどのヘビイメタルで製作されている。隣接した半導体検出器からの散乱電子や散乱X線を遮蔽するためには密度が高く、厚いほうが良いが、CT装置の分解能などの性能を考慮して決定する。本実施例ではタングステン合金0.5mm 厚の遮蔽板を用いている。使用するX線源のエネルギーが低い場合には、SUSや黄銅などの密度の少し低いものでも良い。
CdTe結晶100のPtプリ電極102からの信号取り出しは、導電接着部114により、フレキシブル基板104上の配線113と接続される。Ptメイン電極103の信号取り出しは、導電接着部112により、フレキシブル基板104上の配線111と接続される。In電極101はフレキシブル基板106上の配線109と導電接着部110で接着される。そして、配線109はフレキシブル基板104上の配線107と、導電接着部108で接着される。フレキシブル基板は0.1mm 厚のものを使用している。検出器の出力電流は小さく、厚さは最低限のもので問題なく使用できる。
図2に本実施例のCdTe検出器のX線のエネルギーに対する検出効率を示す。横軸はX線のエネルギーを示し、横軸は検出効率を示す。効率曲線301は、比較例における
CdTe検出器の効率を示す。本実施例のCdTe検出器の効率曲線302は、X線エネルギーが100keV以下では、比較例の効率曲線301と比べ効率が低下する。しかし、X線エネルギーが100keV以上では、本実施例と比較例は同等の検出効率を示す。また、Si検出器の検出効率曲線303と比べると、1MeVの高エネルギー領域で約2倍の効率となる。
産業用高エネルギーX線CT装置で使用する電子線形加速器を用いたX線源は、1,3,6,9、および12MeVの加速器がよく用いられる。X線源で発生するX線の平均エネルギーは加速電圧の約1/3である。したがって、X線の平均エネルギーである300keVから4MeVの領域では、本実施例におけるCdTe検出器は比較例のCdTe検出器と同等の検出効率を有している。
なお、産業用高エネルギーX線CTでは自動車部品等の中・大型アルミ鋳造品や鉄鋳造品を撮像することが多い。また、100keV以下のX線は、撮影時にほとんど被検体で吸収され、検出器に入射する量は少ない。従って、本実施例のCdTe検出器が100
keV以下のX線に対して検出効率が低いことは、装置としての応用上全く問題にならない。
なお、CdTe検出器の寸法は上記に限らないことは無論である。Ptプリ電極の奥行き長さは、電極製作上問題なければ、さらに短くすることもできる。逆に奥行き長さを長くすることは、Ptメイン電極における低エネルギーX線の感度を一層低下させることになるため、用途に応じて決める必要がある。100keV以上のX線を検出するためには、本実施例で示した0.2mm程度が適当である。
図3は、CdTe検出器を使用した産業用X線CT装置の構成を示す図である。X線
CT装置700は、X線を被試験体に出射する手段であり、X線ファンビーム402を出力するX線発生装置すなわち電子線形加速器401と、被試験体414を設置するスキャナ403,被試験体414を透過してきたX線を検出するX線検出器404−1から404−512と、X線検出器404のS/N比を向上させるために、X線検出器404への散乱X線の入射を抑える役割をするコリメータ405と、検出器の出力信号を増幅し、デジタル信号に変換する信号処理装置410と、信号処理装置410からのデジタルデータを収集すると共に装置全体を制御する制御装置406と、画像の再構成を行う画像再構成装置407と、画像再構成により作成された画像やその他の情報を表示する表示装置408と、制御装置406からの制御指令により電子線形加速器401,スキャナ403、及び信号処理装置410の動作を制御するコントローラ409からなる。
本図のX線CT装置700は、被試験体を回転させて1断面を撮影する第3世代のX線CT装置を示している。スキャナ403は、回転機能のほかに、被試験体の各高さの断面撮影を行うために上下に動作する機能を持つ。
電子線形加速器401は、制御用ケーブル416によりコントローラ409に接続され、該コントローラによりX線ファンビームの発生・停止が制御される。スキャナ403も同様に制御ケーブル415で該コントローラ409に接続され、スキャナの回転・上下位置の調整が行われる。
X線検出器404は、図1に示したCdTe検出器やSi検出器が使われている。そして、ファンビーム402の発生点を見込むように一列に配置されており、本実施例では
512個が設置されている。該X線検出器は、スキャナの回転と同期して一定角度ごとに電子線形加速器401からX線パルスが出力される毎に、被試験体を透過してきたX線を検出する。該X線検出器404から出力されたX線量に対応する信号は、増幅されデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号が信号ケーブル417を通して制御装置406に送信された後、画像再構成装置407に送られ、CT画像の再構成に用いられる。
X線は、加速器の特性から通常、周期的に発生するパルス状X線となる。一般的な値としては、5ms周期に5μs幅の強力なX線パルス(X線光子の集まり)が出力される。本実施例では、被試験体を1回転する間に1920回X線パルスが照射され、データを測定する。すなわち、0.1875 度ごとにX線量を測定する。512個の検出器があるため、1断層を再構成するためのデータは512×1920個のデータ量になる。
図4は信号処理装置410の構成を示す図である。信号処理装置410は、すべてのX線検出器404−1から404−512にバイアス電圧を供給するためのバイアス電源
427,各X線検出器からの出力電流を増幅するプリアンプ421−1〜421−512,プリアンプの出力をAD変換するためにホールドするサンプリング・ホールドアンプ
(以下、S/Hアンプという)422−1〜422−512,ホールドされた信号をAD変換するADコンバータ423−1〜423−512,バス425を介して各ADコンバータが出力するデジタルデータを読み取り、制御装置406にデータを転送するコントローラ426,S/Hアンプ422の出力ホールドやADコンバータ423のAD変換開始のタイミングを制御するタイミングコントローラ424からなる。
図5はプリアンプ421の構成とCdTe検出器404との接続を示した図である。
CdTe検出器404のIn電極は、同軸ケーブル431のシールド側によりグランドに接続される。また、Ptメイン電極は、同軸ケーブル431の心線により、抵抗434を介してバイアス電源427に接続されると同時に、OPアンプ456の反転入力にコンデンサ444を介して結合されている。反転入力は、OPアンプの出力とフィードバック抵抗457とフィードバックコンデンサ458が結合される。X線パルスによって検出器から出力される出力パルス電流460は、コンデンサ444を通過し、ほとんどがコンデンサ458に供給される。そして、コンデンサ458において出力パルス電流460が積分されることにより電流・電圧変換され、プリアンプ421から電圧として出力される。
抵抗434はバイアス電圧を供給するための抵抗であるから、1から10MΩの高抵抗が使用されている。コンデンサ458は、検出器からの電流を積分した際に、OPアンプの出力が最大出力電圧を超えないように決定される。また、フィードバック抵抗457とコンデンサ444の値は、プリアンプ出力が、次のX線パルスによる検出器電流が入力される以前にOPアンプ出力がゼロになるような適切な値に設定する。たとえば、コンデンサ458が10pFのとき、フィードバック抵抗457は10MΩ程度とすると、時定数100μsとなり、5μsのパルス電流である検出器からの出力を積分するのに十分な時定数となる。
コンデンサ444は、電流積分の観点からは大きい程良い。本実施例では200pFに設定している。そして、X線パルスが5ms毎に連続入射する際に、OPアンプ456の出力にDC成分が出力されるのを防止する。プリアンプ421の後段に微分回路や波形整形回路を設ける場合には、コンデンサ444は0.1μF のように、より大きな値でよい。
一方、Ptプリ電極102は同軸ケーブル430の心線により、抵抗433を介してバイアス電源427に接続されている。抵抗433はバイアス供給用であるから、抵抗434と同じ値を使用している。コンデンサ432は0.1μFである。
X線パルスが検出器に入射すると、Ptプリ電極とIn電極間でも電流が発生し、同軸ケーブル430にも電流461が流れる。しかし、電流461は抵抗433の前に設けたコンデンサ432を介してグランドに流れるため、プリアンプ421の出力には影響しない。なお、同軸ケーブルは外部ノイズの影響が無視できればツイストペア線を用いても良い。
従って、経年劣化によりCdTe検出器のX線入射面近傍に欠陥が発生し、その部分の出力電流が減少したとしても、劣化信号と正常信号は分離されているため、測定結果には影響を及ぼさない。そして、検出器性能ひいてはX線CT装置の画質を長期に安定して保持できる。
図6は、CdTe検出器に入射するX線パルスと、検出器のメイン及びプリ電極の出力電流,プリアンプ出力電圧、および次段のS/Hアンプの出力電圧における時間変化を示した図である。前述のように、X線パルス幅Tp(=t1−t0)は5μSである。また、X線パルスの発生間隔(t3−t0)は一定であり、コントローラ9に制御されている。本実施例では5msである。検出器の出力電流は、X線パルスの有無に関わらず、一定の微小なリーク電流が流れており、検出器にX線が入射する間だけX線に起因する出力電流が増加する。図5で説明したプリアンプでは、X線によるメイン電極出力電流のみがコンデンサ444を通過してコンデンサ458に積分される。そのため、メイン電極からの出力電流のみが、プリアンプ出力電圧に寄与する。
プリアンプ出力電圧は、X線パルス発生前は0Vである。そして、X線パルスがX線検出器に入射している間(時刻t0からt1)のプリアンプ出力電圧は、電流を積分して増加(反転回路なのでマイナス方向に)する。X線発生がなくなると、プリアンプ出力電圧は、一定の時定数で減衰し、0にもどる。S/Hアンプは、タイミングコントローラ424の制御によって時刻t1で出力をホールドするため、ホールド期間(時刻t1からt2)の間にADコンバータでデジタル値に変換することができる。
図7は、X線CT装置にCdTe検出器の劣化診断機能を付加したプリアンプ521の構成図を示す。プリアンプ521は、図5に示すプリアンプ421の代わりに使用する。回路上の違いは、Ptプリ電極とPtメイン電極の2つの信号を切り替えるスイッチ560とその制御信号561を設けたことである。スイッチ560は、制御信号の状態により、2つの状態を取る。制御信号561はコントローラ409(図3)から出力される。図7では、プリアンプ421と同様に、Ptプリ電極の出力電流はコンデンサ432に流れ、Ptメイン電極の出力電流はOPアンプ456に入力される。
スイッチ560が切り替わると、Ptメイン電極の出力電流がコンデンサ432に流れ、Ptプリ電極の出力電流がOPアンプ456に入力される。この状態で、X線パルスを測定することにより、経年変化で出力が変化するX線入射面近傍の出力電流を測定することができる。そのため、CT装置運転開始初期と測定データを比較することにより、CdTe
検出器の交換時期を判定することができる。
なお、以上に述べた実施例のコンデンサや抵抗などの値は無論、この値に限定されるわけではない。
以上述べたように、X線検出器に本発明のCdTe検出器と、ACカップリング(交流結合)の電流・電圧変換プリアンプとを組み合わせることにより、CdTe検出器の高感度によるプリアンプ出力の増加が得られるだけでなく、検出器のX線入射面近傍の特性劣化などの経年変化による影響を除去できる。従って、X線CTの測定感度を上げると同時に、長期間使用時にも再構成画像の品質が劣化しない産業用X線CT装置を提供できる。
図8は、実施例2におけるCdTe検出器の構造図である。実施例1と同様に、ヘビイメタル基板105の片面にフレキシブル基板104が接着され、その上にCdTe結晶
100が接着される。CdTe結晶100の上面,下面には各々電極が蒸着されている。CdTe結晶は厚さ0.5mm,幅4mm,奥行き41.5mmである。電極は、実施例1と異なり、X線の入射するダイシング面におけるPtプリ電極102だけでなく、Ptメイン電極103の後方に第4の電極であるPtリア電極702が設置される。第4の電極は、半導体結晶にX線が入射するダイシング面と反対側の面近傍に設けられている。電極の奥行き長さはPtプリ電極102、Ptリア電極702ともに0.2mm としている。In電極101はフレキシブル基板106で配線される。電極配線の方法やバイアスのかけ方は実施例1と同じである。本実施例のCdTe検出器は、実施例1の検出器と同様に産業用高エネルギーX線CT装置に適用できる。
本実施例の方法を適用すれば、実施例1の効果に加えて、後方のダイシング面において発生する経年劣化現象(欠陥増加,界面準位増加)による検出器の特性劣化も防止できる効果がある。
図9は、実施例3のCdTe検出器の構造図である。実施例1と同様に、ヘビイメタル基板605の片面にフレキシブル基板604が接着され、その上にCdTe結晶600が接着される。CdTe結晶600の上面,下面には各々電極が蒸着されている。CdTe結晶は厚さ0.5mm,幅4mm,奥行き41.5mmである。Ptプリ電極602は、実施例1,2と異なり、X線の入射するダイシング面だけでなく、残るダイシング面も含む4面の下部に配置されており、リング上に設置される。リングの幅は0.2mm としている。Ptメイン電極603の外周側には、リング状のPtプリ電極602が設けられている。そして、Ptプリ電極602は、半導体結晶に形成される4つのダイシング面の近傍に設けられている。In電極601は、フレキシブル基板606で配線される。
電極配線の方法やバイアスのかけ方は実施例1と同じである。本実施例のCdTe検出器は、実施例1の検出器と同様に産業用高エネルギーX線CT装置に適用できる。
本実施例の方法を適用すれば、実施例1の効果に加えて、X線入射面以外のダイシング面(Pt電極とIn電極に挟まれた、CdTe結晶600の側面)において発生する経年劣化現象(欠陥増加,界面準位増加)による検出器の特性劣化も防止できる効果がある。
なお、実施例1〜3ともに、In電極を複数設け、Pt電極を1つとすることも可能である。但し、In電極面はリーク電流を減少させるショットキーダイオード構造となっているため、その特性が悪化しリーク電流が増加することも考えられるので注意が必要である。
さらに、両面の電極ともPt電極とし、本発明を適用することも可能である。但し、この場合にはリーク電流は増加する。
本発明は産業用X線CT装置のX線検出部に利用でき、鋳造製品などの鋳巣検査や3次元形状データ取得,密度分布測定などに活用できる。
本発明の一実施例の構成を示す図である。 本発明の一実施例の検出器のX線エネルギーに対する検出効率である。 本発明の一実施例を使用した産業用X線CT装置の構成図である。 本発明の一実施例の産業用X線CT装置の信号処理装置の構成図である。 本発明の一実施例の産業用X線CT装置のプリアンプの構成とCdTe検出器の接続を示す図である。 本発明の一実施例のCdTe検出器出力,プリアンプ出力,S/Hアンプの出力の時間変化を示した図である。 本発明の一実施例のX線CT装置にCdTe検出器の劣化診断機能を付加するためのプリアンプの構成図である。 本発明の第2の実施例の構成を示す図である。 本発明の第3の実施例の構成を示す図である。 比較例の構成を示す図である。 従来CdTe検出器をX線照射して4時間経過したときの出力低下率とバイアス電圧の関係を示す図である。
符号の説明
100 CdTe結晶
101 In電極
102 Ptプリ電極
103 Ptメイン電極
104,106 フレキシブル基板
105 ヘビイメタル基板
401 電子線形加速器
403 スキャナ
404−1から404−512 X線検出器
405 コリメータ
406 制御装置
407 画像再構成装置
408 表示装置
409 コントローラ
410 信号処理装置
421,521 プリアンプ

Claims (1)

  1. X線を被試験体に出射する手段と、前記被試験体を透過したX線を半導体結晶で検出するX線検出器とを備えた産業用X線CT装置であって、
    前記X線検出器は、前記半導体結晶において前記X線の出射方向と平行な面に設けられた第1の電極と、
    該第1の電極に対向する面に、第2の電極,第3の電極及び第4の電極を備え、
    該第3の電極が前記半導体結晶にX線が入射する面の近傍に設けられるとともに、
    該第4の電極が前記半導体結晶にX線が入射する面とは反対側の面近傍に設けられることを特徴とする産業用X線CT装置。
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