JP4838455B2 - 転がり摺動部材及び転動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑性に優れた転がり摺動部材及び該転がり摺動部材で構成された転動装置に係り、特に、大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下においても好適に使用可能な転がり摺動部材及び転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドライクカーボン(以降はDLCと記す)は、その表面がダイヤモンドに準ずる硬さを有し、摺動抵抗も摩擦係数が0.2以下と二硫化モリブデンやフッ素樹脂と同様に小さいことから、従来から潤滑性材料として使用されている。
【0003】
例えば、磁気ディスク装置においては、磁気素子又は磁気ディスクの表面に数十オングストロームのDLC膜を形成することにより、磁気素子と磁気ディスクとの間の潤滑性を高めて磁気ディスクの表面を保護している。
一方、上記のような特異な表面の性質から、DLCは転がり摺動部材の新たな潤滑性材料として注目されており、近年、軸受への潤滑性の付与に利用されている。
【0004】
例えば、国際公開WO99/14512号公報には、軌道輪の軌道面や転動体の表面に金属を含有するDLC膜を備えた転がり軸受が開示されている。この転がり軸受においては、前記DLC膜により接触応力が緩和される。
また、CVD法,プラズマCVD法,イオンビーム形成法,イオン化蒸着法等によって、軌道輪の軌道面や転動体の表面にDLC膜を形成した転がり軸受等の転動装置が知られている(例えば、特開平9−144764号公報,特開2000−136828号公報,特開2000−205277号公報,特開2000−205279号公報,特開2000−205280号公報など)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、転がり軸受等の転動装置においては、軌道輪の軌道面や転動体の表面に大きな接触応力が作用するので、繰り返し応力によってDLC膜が破損してしまうおそれがあった。
このような破損が起きる原因としては、以下の2点が考えられる。
【0006】
まず、1点目は、鋼とDLC膜との密着性を向上させるために介在された金属中間層の脆性化の問題である。すなわち、金属中間層を構成する金属とDLC膜を構成する炭素とが結合して脆さを有する金属カーバイドが生成するため、金属中間層が脆性化して、DLC膜が破損しやすくなるのである。そして、金属中間層が1種の金属で構成されている場合は金属カーバイドの脆さが大きいため、破損の要因となりやすい。
【0007】
2点目は、DLC膜は、応力が作用しても非常に変形しにくい性質を有しているという問題である。DLCは硬く高弾性であるので、ステンレスや軸受鋼等のような弾性定数の小さい金属材料に被覆されていると、両者の弾性定数の違いから、母材の変形にDLCが追従することができずに、DLC膜が破損する場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような従来技術の有する問題点を解決し、大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下においても好適に使用可能な転がり摺動部材を提供することを課題とする。また、このような転がり摺動部材を備える、潤滑性に優れた転動装置を提供することを併せて課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明の転がり摺動部材は、相手部材との間で相対的な転がり接触又はすべり接触が生じる鋼製の転がり摺動部材において、前記相手部材との接触面に、潤滑性を有するダイヤモンドライクカーボン層を設け、該ダイヤモンドライクカーボン層を、Cr,W,Ti,Si,Ni,及びFeのうちの2種以上の金属からなる金属層と、前記金属及び炭素からなる複合層と、炭素からなるカーボン層と、の3層で構成し、表面側から前記カーボン層,前記複合層,前記金属層の順に配したことを特徴とする。
【0010】
このような転がり摺動部材は、母材である鋼と前記カーボン層との間に前記複合層及び前記金属層が介在しているので、潤滑性に優れた前記ダイヤモンドライクカーボン層(DLC層)と母材である鋼との密着性が優れている。
特に、前記複合層を、前記金属層側から前記カーボン層側に向かって炭素の割合が徐々に増加する構成とすれば、密着性がより優れたものとなる。
【0011】
また、複合層を、Cr,W,Ti,Si,Ni,及びFeのうちの2種以上の金属と炭素とで構成したので、1種の金属と炭素とで構成した場合と比べて、金属と炭素との結合により生成した金属カーバイドの脆さが小さい。よって、複合層の脆さが小さいので、繰り返し応力やせん断力が負荷されてもDLC層が破損しにくい。
【0012】
さらに、前記DLC層の等価弾性定数は、100〜240GPaとすることが好ましい。そうすれば、母材である前記鋼よりもDLCの方が小さい等価弾性定数を有することとなるので、繰り返し応力が作用した際にDLC層が変形することが可能となる。その結果、母材の変形にDLC層が追従することが可能となるので、DLC層の破損が生じにくい。
【0013】
前記DLC層の等価弾性定数が240GPa超過であると、前記鋼よりもDLC層の方が大きい等価弾性定数を有することとなるので、繰り返し応力が作用した際の母材の変形にDLC層が追従することが困難となって、DLC層の破損が生じやすくなる。一方、100GPa未満であると、DLC層の硬さが低くなって、摩耗が生じやすくなる。
【0014】
なお、DLC層のような薄膜については、通常の方法では弾性定数を測定することはできないため、本発明においては以下の方法により測定された、弾性定数に準拠する等価弾性定数を用いる。すなわち、押し込み深さを少なくともDLC層の厚さ内として微小硬度計による測定を行い、得られた荷重−除荷曲線により等価弾性定数を求める。
【0015】
例えば、DLC層の厚さが2μmである場合は、押し込み荷重を0.4〜50mNの間で適宜設定して測定を行う。本発明においては、エリオニクス社製の微小硬度計を使用し、押し込み荷重を50mNとして測定した等価弾性定数を用いる。
この他の等価弾性定数の測定方法としては、フィッシャー社製の微小硬度測定装置を用いる方法がある。この方法においては、(マイクロ)ビッカース硬度計は使用せず、静電容量で制御できる微小硬度計又はナノインデンテータを用いることが望ましい。なおかつ、押し込み深さはDLC層の厚さ内とする必要がある。そして、前記微小硬度計又はナノインデンテータにより得られた荷重−除荷曲線の弾性変形量から等価弾性定数を求める。
【0016】
なお、HRC60の鋼炭素クロム鋼(SUJ2)の表面の等価弾性定数を上記の方法により求めると250GPaとなり、通常カタログ等に記載されている210GPaよりも大きい結果となる。これは、上記の方法が微小な押し込み領域における測定であることから、SUJ2の表面の加工硬化層の影響を受けるためである。
【0017】
さらに、前記DLC層は、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングにより形成されたものであることが好ましい。このような物理的成膜法は、CVD法,プラズマCVD法,イオンビーム形成法,イオン化蒸着法等と比較して、転動装置のような大きな接触応力が作用する装置を構成する部品に対して好適である。
【0018】
以上のように、本発明の転がり摺動部材は、大きな接触応力が作用しても破損しにくい潤滑膜(DLC層)を備えているので、大きな接触応力が作用する装置(例えば、転動装置等)を構成する部材等に好適に適用することが可能である。また、優れた潤滑性を有しているので、無潤滑下においても好適に使用することが可能である。そして、摩耗や発熱が少ない上、繰り返し応力に対して強く長寿命である。
【0019】
さらに、本発明の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を内面に有して前記内方部材の外側に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配置された転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,及び前記転動体のうち少なくとも1つを、請求項1〜4のいずれかに記載の転がり摺動部材としたことを特徴とする。
【0020】
このような構成であれば、転動装置を構成する転がり摺動部材のDLC層は大きな接触応力が作用しても破損しにくいので、大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下において使用されても長寿命である。
なお、本発明の転動装置としては、転がり軸受,直動案内軸受(リニアガイド装置),ボールねじ,直動ベアリング等があげられる。
【0021】
そして、前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合は内輪、同じく直動案内軸受の場合は案内レール、同じくボールねじの場合はねじ軸、同じく直動ベアリングの場合は軸を、それぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合は外輪、同じく直動案内軸受の場合はスライダ、同じくボールねじの場合はナット、同じく直動ベアリングの場合は外筒を、それぞれ意味する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係る転がり摺動部材及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態であるスラスト玉軸受の構成を示す縦断面図であり、図2は、図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図である。
【0023】
図1のスラスト玉軸受は、軌道面1aを有する内輪1と、軌道面1aに対向する軌道面2aを有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配設された複数の玉3と、両軌道面1a,2a間に複数の玉3を軸受の円周方向にわたって等配に保持する保持器4と、を備えている。
内輪1,外輪2,及び玉3はSUJ2等の鋼製である。また、内輪1及び外輪2の寸法は内径30mm、外径62mm、厚さ7mmで、軌道面1a,2aの横断面形状は、玉3の直径の52%の曲率半径を有する円弧状である。
【0024】
さらに、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び玉3の転動面3aには、潤滑性を有し且つ等価弾性定数が100〜240GPaであるダイヤモンドライクカーボン(DLC)層Dが設けられている。そして、このDLC層Dは、図2に示すように、Cr,W,Ti,Si,Ni,及びFeのうちの2種以上の金属からなる金属層Mと、前記金属及び炭素からなる複合層Fと、炭素からなるカーボン層Cと、の3層で構成されていて、該3層は表面側からカーボン層C,複合層F,金属層Mの順に形成されている。
【0025】
次に、DLC層Dを形成する方法について、外輪2を例に説明する。
油分を脱脂した外輪2を株式会社神戸製鋼所社製のアンバランスドマグネトロンスパッタリング装置504(以降はUBMS装置と記す)に設置し、アルゴンプラズマによるスパッタリングを用いて、軌道面2aにボンバード処理を15分間施した。
【0026】
そして、タングステン及びクロムをターゲットとして、軌道面2aにこの2種類の金属をスパッタリングして成膜し、金属層Mを形成した。次に、この2種類の金属のスパッタリングを続けながら、カーボンをターゲットとした炭素のスパッタリングを開始した。このようなスパッタリングによって、前記2種類の金属と炭素とが結合した金属カーバイドからなる複合層Fが、金属層Mの上に形成された。
【0027】
さらに、前記2種類の金属のスパッタ効率を徐々に減少させながら、炭素のスパッタ効率を徐々に増加させた。そして、前記2種類の金属のスパッタリングを終了し、炭素のスパッタリングのみとして、複合層Fの上にカーボン層Cを形成した(DLC層D全体の厚さは2.2μm)。
このようなスパッタリングにより成膜を行えば、2種類の金属で構成された層(金属層M)から炭素で構成された層(カーボン層C)に向かって、層の組成が連続的に徐々に変化していくDLC層Dを形成することができる。このような構成のDLC層Dは、各層(金属層M,複合層F,及びカーボン層C)の間の密着性が非常に優れているとともに、潤滑性に優れたカーボン層Cと母材である鋼との密着性が非常に優れている。
【0028】
UBMS装置は、スパッタリングに用いるターゲットを複数装着でき、各ターゲットのスパッタ電源を独立に制御することにより、各成分のスパッタ効率を任意に制御することができるので、上記のような成膜に好適である。例えば、上記の場合の複合層F及びカーボン層Cを成膜する工程においては、金属ターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を低減させながら、同時にカーボンターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を増加させればよい(このとき、外輪2には負のバイアス電圧を印加する)。
【0029】
ここで、グロー放電発光分析装置(島津製作所株式会社製のGDLS−9950)を使用して、DLC層Dを形成する元素を分析した結果について、図3の測定チャートを参照しながら説明する。
チャートの横軸は表面からの深さを示し、0nmがDLC層の表面を意味している。また、縦軸は、その深さ位置における各元素の含有量を示している。
【0030】
なお、アルゴンガスを使用した放電によって深さ方向の情報を得ているため、母材である鋼とDLC層Dとの界面において、各元素の含有量を示す曲線がブロードとなっている。また、鋼とDLC層Dとの界面が8000nm付近に位置していることから、このチャートからはDLC層Dの厚さは約8μmであることが読み取れるが、この分析法は直径2mmの円形部分について放電発光により分析するため、深さ方向の精度上約8μmとなって現れるものであって、実際のDLC層Dの厚さは2.2μmである。
【0031】
次に、このようなスラスト玉軸受とほぼ同様の構成の軸受において、金属層及び複合層に用いた金属の種類を種々変更した試験軸受を用意して、DLC層の転がり疲労強度を評価する耐久試験を行った。なお、この試験においては、DLC層は外輪の軌道面のみに形成し、内外輪の軌道面間に配設した玉の数は3個とした。また、鉱油をヘキサンで3%に希釈したもの0.05mlを、外輪の軌道面に塗布して潤滑に用いた。
【0032】
回転試験の条件は、アキシアル荷重が6kNで、回転速度が6000rpmである。そして、外輪の内部に熱電対を挿入して温度を測定したところ、温度が200℃に至った場合はDLC層が破損し下地の露出が生じていたため、200℃に到達するまでの時間を耐久時間とした。
用いた金属の種類及び試験結果を図4のグラフに示す。実施例1〜5は、複合層に2種類の金属を用いており、イオンアシスト効果によって金属カーバイドの生成がコントロールされているので、耐久時間が優れていた。特に、実施例1のクロムとタングステンの組合せが、耐久時間が非常に優れていた。この他では、チタンとタングステンの組合せ、あるいはチタン,クロム,タングステンの組合せが特に好ましい。
【0033】
このように、クロム等の低融点金属とタングステン等の高融点金属とを組み合わせると、金属カーバイドの脆さが小さくなるので好ましい。そして、低融点金属よりも高融点金属を多量とした方がその効果が大きい。
これに対して、1種類の金属を用いた複合層を有する比較例1〜3は、金属カーバイドの脆さが大きいため、DLC層が破損しやすくなって十分な耐久時間が得られなかった。
【0034】
また、比較例4は、2種類の金属(クロム,チタン)を用いているが、ホロカソード型のイオンプレーティング法によって金属層を成膜し、その上にプラズマCVD法によってカーボン層を成膜したものである。よって、複合層を有していないので、DLC層と母材である鋼との密着性が不十分となり、耐久時間が短かった。
【0035】
次に、図1のスラスト玉軸受とほぼ同様の構成の軸受において、DLC層の等価弾性定数を種々変更した試験軸受を用意して、等価弾性定数とDLC層の耐久性との相関を評価する回転試験を行った。ただし、この試験においては、外輪は軌道溝を有していない平板状の部材とし、玉の接触する軌道部分にDLC層を形成した。また、内外輪の軌道面間に配設した玉の数は11個とした。
【0036】
DLC層の形成は前述と同様にUBMS装置により行い、金属層及び複合層にはクロムとタングステンの2種類の金属を用いた。また、DLC層の等価弾性定数は、外輪に印加するバイアス電圧を制御するか、又は導入するガスの分圧を制御することにより、変化させることができる。
この導入するガス(アルゴン,水素,メタン等の炭化水素系ガス)の種類や分圧比を制御すれば、DLC層の等価弾性定数とともに表面の摺動抵抗を自在にコントロールすることが可能であるので、前記ガスを単独又は混合して導入することにより、目的にあった所望のDLC層を形成することができる。
【0037】
さらに、DLC層の厚さは、スパッタ時間により精度よく制御することができる。
回転試験は鉱油中で行い、回転試験の条件(アキシアル荷重,回転速度)は前述の試験と同様とした。そして、軸受支持部に装着したエンデブコ社製の加速度センサーにより振動を測定し、この振動値の増加によりDLC層の破損を検知した。そして、DLC層が破損するまでの軸受の総回転数によって、DLC層の耐久性を評価した。試験結果を図5のグラフに示す。
【0038】
このグラフから、DLC層の等価弾性定数が100〜240GPaであると、DLC層の耐久性が優れていることが分かる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、スラスト玉軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深みぞ玉軸受,アンギュラ玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0039】
また、本実施形態においては、転動装置として転がり軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は、他の様々な種類の転動装置に対して適用することができる。例えば、直動案内軸受,ボールねじ,直動ベアリング等の他の転動装置にも好適に適用可能である。
さらに、本実施形態においては、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングによりDLC層を成膜したが、パルスレーザーアーク蒸着法やプラズマCVD法等を用いることもできる。ただし、等価弾性定数及び塑性変形硬さ等を独立に制御することが容易な非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングが最も好適である。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、2種以上の金属と炭素とからなる複合層を有するDLC層は、密着性に優れており且つ脆さが小さい。よって、本発明の転がり摺動部材及び転動装置は、大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下においても好適に使用可能である。
【0041】
また、DLC層の等価弾性定数が、100〜240GPaであるので、繰り返し応力が作用してもDLC層の破損が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態であるスラスト玉軸受の構成を示す縦断面図である。
【図2】図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図である。
【図3】DLC層を形成する元素を分析した測定チャートである。
【図4】複合層に用いた金属の数及び種類と耐久時間との相関を示すグラフである。
【図5】DLC層の等価弾性定数と耐久性との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 玉
3a 転動面
D ダイヤモンドライクカーボン層
M 金属層
F 複合層
C カーボン層
Claims (3)
- 相手部材との間で相対的な転がり接触又はすべり接触が生じる鋼製の転がり摺動部材において、
前記相手部材との接触面に、潤滑性を有するダイヤモンドライクカーボン層を設け、
該ダイヤモンドライクカーボン層を、Cr,W,Ti,Si,Ni,及びFeのうちの2種以上の金属からなる金属層と、前記金属及び炭素からなる複合層と、炭素からなるカーボン層と、の3層で構成し、
表面側から前記カーボン層,前記複合層,前記金属層の順に配するとともに、
前記複合層中の炭素の割合が、前記金属層側から前記カーボン層側に向かって徐々に増加するようにし、
さらに、前記ダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数を100〜240GPaとして、母材である前記鋼よりも前記ダイヤモンドライクカーボン層の方が小さい等価弾性定数を有するようにしたことを特徴とする転がり摺動部材。 - 前記ダイヤモンドライクカーボン層は、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の転がり摺動部材。
- 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を内面に有して前記内方部材の外側に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配置された転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,及び前記転動体のうち少なくとも1つを、請求項1又は請求項2に記載の転がり摺動部材としたことを特徴とする転動装置。
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