以下に添付図面を参照して、本発明にかかるカラー画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100の作像原理について図1を参照して説明する。図1は、カラー画像形成装置100の作像原理を説明するための画像プロセス部1、露光器9、および転写ベルト3の正面図である。
第1の実施の形態のカラー画像形成装置100では、各々異なる色(イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:K)の画像を形成する画像プロセス部1の内部の4個の作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが、転写媒体としての印刷用紙2を搬送する転写ベルト3に沿って一列に配置されたダンデム型となっている。転写ベルト3は、駆動回転する駆動ローラ4と従動回転する従動ローラ5との間に架設されており、駆動ローラ4の回転によって、同図中の矢印方向に回転駆動される。転写ベルト3の下部には、転写紙2が収納された給紙トレイ6が備えられている。この給紙トレイ6に収納された転写紙2のうち最上位置にある転写紙2は、画像形成時に転写ベルト3に向けて給紙され、静電吸着によって転写ベルト3上に吸着される。吸着された転写紙2は、作像ユニット部1Yに搬送され、ここでイエローの画像形成が行われる。
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、同図に示すように、それぞれ感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kと、感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kの周囲に配置された帯電器8Y,8M,8C,8Kと、現像器10Y,10M,10C,10Kと、感光体クリーナ11Y,11M,11C,11Kとから構成されている。
作像ユニット1Yの感光体ドラム7Yの表面は、帯電器8Yで一様に帯電された後、露光部9によりイエローの画像に対応したレーザ光LYで露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器10Yで現像され、感光体ドラム7Y上にトナー像が形成される。このトナー像は、感光体ドラム7Yと転写ベルト3上の転写紙2とが接する位置(転写位置)で、転写器12Yによって転写紙2に転写され、これによって、転写紙2上に単色(イエロー)の画像が形成される。転写が終わった感光体ドラム7Yでは、ドラム表面に残った不要なトナーが感光体クリーナ11Yによってクリーニングされ、次の画像形成に備えることとなる。
このように、作像ユニット1Yで単色(イエロー)を転写された転写紙2は、転写ベルト3によって作像ユニット1Mに搬送される。ここでも同様に、感光体ドラム7M上に形成されたトナー像(マゼンタ)が転写紙2上に重ねて転写される。転写紙2は、さらに、作像ユニット1Cと作像ユニット1Kとに順に搬送され、同様に、形成されたトナー像が転写紙2に転写され、これによって転写紙2上にカラー画像を形成してゆく。
そして、作像ユニット1Kを通過してカラー画像が形成された転写紙2は、転写ベルト3から剥離され、定着器13にて定着された後、排紙される。
次に、補正パターン14について説明する。第1の実施の形態のタンデム方式のカラー画像形成装置100においては、その構成上、各色間の位置合わせ技術が重要な課題となる。各色間の色ずれには、主走査方向のレジストレーションずれ、副走査方向のレジストレーションずれ、主走査倍率ずれ、スキューずれ等がある。そこで、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100では、転写紙2に対して実際のカラー画像形成動作を行うに先立ち、補正パターン14を用いた各色間の位置ずれ補正を行うことにしている。
図2は、転写ベルト3上に補正パターン14が形成された状態を示す転写ベルト3の斜視図である。第1の実施の形態のカラー画像形成装置100では、位置ずれ補正のため、転写ベルト3上に各色の色ずれ補正用の補正パターン14を露光部9によって形成し、かかる補正パターン14を複数の検知用の検知センサ15,16,17で検出する。第1の実施の形態では、同図に示すように、複数の検知センサ15,16,17を転写ベルト3における主走査方向の両端および中央に配置し、転写ベルト3には、各々の検知センサ15,16,17の配置位置に対応させて補正パターン14を形成している。このような補正パターン14は、転写ベルト3が同図に示す搬送方向に転動移動し、検知センサ15,16,17を順に通過することによって検出される。この補正パターン14を検出すると、その検出結果から、種々のずれ量(主走査倍率ずれ量、主走査レジストレーションずれ量、副走査レジストレーションずれ量、スキュー補正量、歪み量)を算出するための演算処理を行い、その色ずれ量から各ずれ成分の補正量を算出する。
次に、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100全体の構成について説明する。図3は、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100の歪み補正を行う機構の構成の一例を示す図である。第1の実施の形態のカラー画像形成装置100では、同図に示すように、3つの検知センサ15,16,17と、エンジン制御部110と、プリンタコントローラ180と、スキャナ182と、LD制御部190K,190M,190C,190Yとを備えた構成となっている。
検知センサ15,16,17は、各色の画像の位置ずれを算出するために、転写ベルト3に転写された補正パターン14を検知するためのものである。検知センサ15,16,17は、補正パターン14の位置を検出してアナログの検知信号を出力する。
エンジン制御部110は、同図に示すように、大別して、パターン検知部120と、CPU130と、RAM140と、画像処理部150と、書込み処理部160と、をさらに含んでいる。
パターン検知部120は、検知センサ15,16,17から出力された検知信号を増幅し、増幅されたアナログの検知信号をデジタルデータへ変換し、変換したデジタルデータをRAM140に格納する。
CPU130は、RAM140に格納された補正パターン14の位置の検知信号であるデジタルデータから色ずれ量を算出し、算出した色ずれ量から色ずれ補正量を補正するための色ずれ量を算出する。ここで、色ずれ量としては、各色の歪み量、主走査方向の倍率誤差量、主走査方向レジストレーションずれ量および副走査方向レジストレーションずれ量(以下、主副レジストずれ量)、スキューずれ量などがある。また、色ずれ補正量としては、これらの各種ずれ量から、各色の歪み補正量、主走査倍率補正量、主走査方向レジストレーション補正量および副走査方向レジストレーション補正量(以下、主副レジスト補正量)、スキュー補正量などがある。
また、CPU130は、画像データの解像度、および算出した各色(Y,M,C,K)ごとの歪み量に基づいて、各色を基準色とする場合における歪みライン量を各色ごとに算出し、算出した歪みライン量に基づいて、Y,M,C,Kの中から基準色を決定し、決定した基準色に対する各色の歪みライン量に基づいて、ラインメモリ170のライン数を決定する。なお、基準色とは、各色の歪み量を算出する際の基準位置となる色をいう。
RAM140は、パターン検知部120からCPU130を介して取得した補正パターン14のデジタルデータを一時的に記録するためのものである。なお、このRAM140を不揮発性メモリ(例えばNV−RAM)に代替し、不揮発性メモリに補正パターン14のデジタルデータを記録する構成としてもよい。
画像処理部150は、プリンタコントローラ180によって受信した各画像データ、またはスキャナ182から取得した各画像データに応じた種々の画像処理を行い、画像処理を施した画像データを書込み制御部160に転送する。
書込み制御部160は、画像処理部150から転送された画像データを受け取り、受け取った画像データについて各種書込み処理を施した後にLDデータに変化し、LD制御部190K,190M,190C,190Mに対してLDデータを転送する。
LD制御部190K,190M,190C,190Yは、露光部9内に備えられ、露光部9による感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kへのレーザ光LY,LM,LC,LKの照射を制御するためのものである。レーザ光LY,LM,LC,LKが照射されることによって、感光体ドラム7Y,7M,7C,7K上にトナー画像が形成される。形成されたトナー画像は、印刷用紙2に転写され出力される。
プリンタコントローラ180は、外部装置(例えばPC)からネットワークを介して送信された画像データを受信するためのものである。プリンタコントローラ180は、受信した画像データを画像処理部150へ転送する。
スキャナ182は、原稿画像を読み込むことにより、画像データを取得するためのものである。スキャナ182は、取得した画像データを画像処理部150へ転送する。
ここで、エンジン制御部110に含まれる書込み制御部160について図4を参照してさらに説明する。図4は、第1の実施の形態の書込み制御部160の構成の一例を示す図である。第1の実施の形態の書込み制御部160は、同図に示すように、大別して、書込み制御部161K,161M,161C,161Yと、入力画像制御部169と、ラインメモリ170とをさらに含んでいる。
各色の書き込み制御部161K,161M,161C,161Yは、同図に示すように、各色それぞれに歪み補正処理部162と、書込画像処理部164と、LDデータ出力部166と、補正パターン生成部168と、をさらに含んでいる。
歪み補正処理部162は、画像データの歪み補正を行うものである。
書込画像処理部164は、ラインメモリ170に格納された画像データを用いて各種の画像処理を行うものである。
LDデータ出力部166は、CPU130によって算出された主副レジスト補正量に応じて補正書き込み指令(LDDATA)をLD制御部190に送出し、レーザ光照射による書き込みタイミングのずれを補正する制御を行うものである。また、LDデータ出力部166は、CPU130によって算出された主走査倍率補正量に応じた画像周波数の変更指令(LDDATA)をLD制御部に送出し、主走査方向の倍率誤差の補正制御を行うものである。また、LDデータ出力部166は、補正パターン14を転写ベルト3上に形成する指令(LDDATA)をLD制御部190に送出するものである。また、LDデータ出力部166は、出力周波数を非常に細かく設定できるデバイス、例えば電圧制御発信器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータ等(図示なし)を各色について備えている。
補正パターン生成部168は、転写ベルト3上での各色の色ずれを補正するための補正値を算出するために、転写ベルト3に転写する補正パターン14の画像データを生成するためのものである。
入力画像制御部169は、画像処理部150から転送された画像データを受け取り、受け取った画像データをラインメモリ170に格納させ、当該格納させた画像データを各色の書込み制御部161K,161M,161C,161Yに転送するものである。なお、入力画像制御部169は、CPU130により算出された歪みライン量に基づいて、各色のラインメモリ170への格納を行う。
ラインメモリ170は、画像処理部150から転送された画像データを順次格納するためのメモリである。
次に、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100の特徴部分について図5などを参照して説明する。
まず、歪み量について図5を参照して説明する。図5は、ブラックを基準色とした場合の各色の歪み量を算出する方法の一例を示す図である。同図に示す各色の歪み量の算出方法は、基準色であるブラックに対する各色(C,M,Y)の歪み量を求めるものである。同図の下方に示すように、シアンの画像に歪みが生じている場合、シアンの検知センサ15,17間の歪み量(C_Dis_LM)は、C_Dis_LM=KC_M-KC_Lのように求まる。また、シアンの検知センサ17,16間の歪み量(C_Dis_MR)は、C_Dis_MR=KC_R-KC_Mのように求まる。
続けて、歪みライン量について説明する。副走査の解像度が600dpiである場合、1ラインシフトすることにより移動する距離は25400[μm]/600で求められる。従って、1ラインシフトすることにより、42.3[μm]移動するので、それぞれのずれ量を1ラインあたりの移動量(42.3[μm])で割って、小数点以下は四捨五入して整数単位のラインのずれ量(歪みライン量)を算出する。
露光部9の走査ビームの歪みを原因として、補正パターン14の検出結果から、C_Dis_LM=50[μm]、C_Dis_MR=200[μm]と求めることができたとする。この場合、シアンのLとM間の歪みライン量(C_Dis_LM_Shift)を求めると、C_Dis_LM_Shift=50/42.3=1[Line]となり、シアンのMとR間の歪みライン量(C_Dis_MR_Shift)を求めると、C_Dis_MR_Shift=200/42.3=5[Line]となる。
従って、上記の入力画像をそのままLDデータとして出力すると、図6(2)示すように、印刷用紙2上では、図6(1)に示すような歪みがない場合に比して左端から中央までの間の画像が1ライン下方向にずれることになる。また、中央から右端までの間の画像がさらに5ライン下方向にずれることになる。
この場合は、図6(3)に示すように、左端から中央までは主走査をずれ量のライン数(歪みライン量)+1の2分割にする。また、中央から右端までは主走査をずれ量のライン数(歪みライン量)+1の6分割にする。そして、図6(4)に示すように、右側方向に1ラインずつ上にシフトした画像を出力すれば、図6(5)に示すように、印刷用紙2上には左右の画像位置が平行になった画像が出力されることになる。
実際には、歪み補正用のラインメモリ170に入力画像データを順次蓄積しておき、歪み補正処理部162K,162M,162C,162Yで、分割した各領域でどのラインメモリのデータをリードするかを切り替えることで、図6(4)の画像を出力する構成である。そこで、主走査方向に対する分割位置のアドレスと、それぞれの分割位置で副走査の+方向か一方向にシフトするかの情報を求めておけばよい。
図6に示す例では、主走査方向に対して8分割するので、分割位置のアドレスと、それぞれの分割位置で副走査の+側および−側のいずれの方向にシフトするかの情報を算出する。なお、ここでは、右半分、左半分についてそれぞれ検出した歪み補正量に基づいて、主走査間隔が均等になるように分割した場合の値であるが、走査線の歪みは2次関数的に歪むことが多いため、検知センサ15,16,17の位置でのずれ量を2次関数で近似して、主走査の分割位置を求めるようにしてもよい。
図6(3)に示すように主走査方向の画素数を4800画素とすると、左端から中央までは1ラインだけ下方向にシフトされているので、1200画素目で1ライン上方向にシフトさせる。また、中央から右端では、6ライン下方向にシフトされているので、400画素ごとに上方向にシフトさせるようにする。そして、図6(6)に示すように、1ライン目は、4399画素までは白画素を、4400画素目から1本目のラインメモリの画像データを出力し、2ライン目は、3999画素目までは白画素を、4000画素から4399画素までは1本目のラインメモリの画像データを、4400画素から2本目のラインメモリの画像データを順次読み出して出力することで、出力画像は、図6(5)に示すように、左右の画像位置が平行になるように補正することができる。
図7(a)は、ラインメモリ170の構成の一例を示す図である。同図(a)に示すラインメモリ170は、基準色であるブラックは2ライン、カラー色(M,C,Y)は7ラインのラインメモリを有し、各色毎にライン数が固定されている。同図(a)に示すラインメモリ170の構成によれば、nラインの傾きを補正するのに必要なライン数がn+1であること、1ラインは画像の入力に使用すること(ライト用)から、補正できる歪み量は、最大±5ラインとなる。
なお、図7(a)に示すように、カラー色(M,C,Y)のライン数がブラックのライン数より多い理由は、ブラックを基準色とした場合は、カラー色(M,C,Y)においては歪み補正を行うために、基準色であるブラックよりも多くのラインメモリが必要になるからである。ラインメモリ170の構成が図7(a)に示すように、各色ごとにライン数が固定されている場合においては、図8に示すように、書込み制御部160では、入力画像と書き込み画像の速度変換を行うために、各色のラインメモリ170K,170M,170C,170Yが必要となる。なお、基準色であるブラックについては歪み補正の必要がないため、同図に示すように、書込み制御部160には、ブラック(K)の歪み補正処理部162Kが含まれない。
表1−1は、基準色がブラックである場合の各色(M,C,Y)の歪み量の一例を示すものである。表1−1に示すように、基準色であるブラック(K)に対する各色の歪み量はそれぞれ、K:0[μm],M:−70[μm],C:−180[μm],Y:30[μm]であったとする。この場合において、副走査方向の解像度が600dpiであるとき、1ラインの移動量は上述の通り42.3[μm]であるから、各色の歪みライン量は、表1−2に示すように、K:0ライン,M:+2ライン,C:+4ライン,Y:−1ラインとなる。かかる場合における歪みライン量の最大値は4であり、補正範囲量の±5である図7(a)に示すラインメモリ170を用いたときは、歪み補正を行うことができる。
しかし、表2−1に示すように、基準色であるブラック(K)に対する各色の歪み量がそれぞれ、K:0[μm],M:+70[μm],C:+240[μm],Y:−30[μm]であり、かつ副走査方向の解像度が600dpiである場合の各色の歪みライン量は、表2−2に示すように、K:0ライン,M:−2ライン,C:−6ライン,Y:+1ラインとなる。従って、歪みライン量の最大値は6であり、補正範囲量の±5ライン以下である図7(a)に示すラインメモリ170を用いたときは、シアンについて1ライン補正できないことになる。
そこで、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100は、ラインメモリ170を各色(K,M,C,Y)共通に使用し、各色のいずれも基準色に設定できるようにすることにより、限られたメモリを有効に使用し、歪み補正の可能な範囲を拡大している。即ち、表2−1および表2−2によれば、マゼンタを基準色とした場合には、歪みライン量の最大値が補正範囲量の±5ライン以下になる。そこで、第1の実施の形態では、かかる場合において、図7(b)に示すように、マゼンタを基準色とし、マゼンタを除く各色(K,C,Y)へラインメモリを割り当てることにより、歪みライン量の最大が±5ライン以下となるようにし、歪み補正を行うことができるようにしている。
以上の構成において、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100で行われる画像形成処理について図9を参照して説明する。図9は、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100で行われる画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
まず、補正パターン生成部168K,168M,168C,168Yは、補正パターン14を生成する(ステップSA−1)。補正パターン14の画像データは、LDデータ出力部166K,166M,166C,166YおよびLD制御部190K,190M,190C,190Yを介して、転写ベルト3に転写されることにより形成される。ここで転写ベルト3に形成された補正パターン14は、検知センサ15,16,17により検知される。
ついで、転写ベルト3に転写された補正パターン14の位置情報が検知センサ15,16,17により検出されると、パターン検知部120は、検知センサ15,16,17により検出された補正パターンの位置情報を取得することにより、補正パターン14の検知実行を行う(ステップSA−2)。
ついで、CPU130は、ステップSA−2での検知実行により検知された補正パターン14の位置情報から、主走査倍率ずれ量、主副レジストずれ量、およびスキューずれ量を算出する。そして、かかる各色ずれ量から主走査倍率補正量、主副レジスト補正量、スキュー補正量をそれぞれ算出する(ステップSA−3)。
また、CPU130は、Y,M,C,Kのそれぞれ各色を基準色とする場合における歪み量[μm]を各色ごとにそれぞれ算出する(ステップSA−4)。ここで、ステップSA−4で行われる歪み量の算出処理について図10を参照して説明する。なお、1本目の補正パターン14を検出した位置(ライン)を基準位置とし、ここでは、同図に示す最左上のブラックの補正パターン14を検知した位置(ライン)を基準位置とする。
まず、基準位置を基準として、ブラックの歪み量を算出する。具体的には、ブラックの検知センサ15,17間の歪み量(K_Dis_LM)と、検知センサ17,16間の歪み量(K_Dis_MR)を算出する。これに続き、各色(C,M,Y)の歪み量を算出する。同図に示す例では、まず、基準位置と検知センサ15で検知したシアン間の間隔(KC_L)と、基準位置と検知センサ17で検知したシアン間の間隔(KC_M)と、基準位置と検知センサ16で検知したシアン間の間隔(KC_R)とを求める。そして、シアンの検知センサ15,17間の歪み量(C_Dis_LM)を、C_Dis_LM=KC_L-KC_Mの式より求め、また、シアンの検知センサ17,16間の歪み量(C_Dis_MR)を、C_Dis_MR=KC_M-KC_Rの式より求める。そして、同様の方法により、マゼンタの歪み量およびイエローの歪み量を求める。また、CPU130は、ステップSA−4で求めた各色の歪み量から差分により、基準色が各色(M,C,Y)での歪み量を算出する。
図9に戻り、CPU130は、ステップSA−4で算出した各色ごとの歪みライン量を算出する(ステップSA−5)。例えば、表2−1に示すように、ブラックを基準色とした場合の各色の歪み量がそれぞれ、K:0[μm],M:+70[μm],C:+240[μm],Y:−30[μm]であって、副走査方向の解像度が600dpiである場合において、各色の歪みライン量は、歪み量[μm]/42.3[μm]により求めることができ、表2−2に示すように、K:0ライン,M:−2ライン,C:−6ライン,Y:+1ラインとなる。
ついで、CPU130は、ステップSA−5で算出した歪みライン量に基づいて、各色が基準色での歪みライン量の最大値(絶対値)を算出する(ステップSA−6)。例えば、表2−2に示すように、ブラックを基準色とした場合の各色の歪みライン量がそれぞれ、K:0ライン,M:−2ライン,C:−6ライン,Y:+1ラインである場合の最大値(絶対値)は、6ラインとなる。
ついで、ブラックを基準色とする場合の各色の歪みライン量の最大値(絶対値)が、所定のライン数以下である場合(ステップSA−7:Yes)は、ブラックを基準色と決定する(ステップSA−8)。ブラックを他の色に優先して基準色とする理由は、ブラックは文字や罫線など画像で最も頻繁に使用されるので、ブラックについては歪み補正の副作用である継ぎ目の部分の段差の発生を防止するためである。なお、所定のライン数は、図7(b)に示すラインメモリ170である場合には、上述の通り、±5ラインである。
一方、ブラックを基準色とする場合の各色の歪みライン量の最大値(絶対値)が、所定のライン数を超える場合であって(ステップSA−7:No)、さらに、歪みライン量の最大値(絶対値)を所定のライン数以下とする基準色がある場合(ステップSA−9:Yes)、最大値(絶対値)が最小になる色を基準色と決定する(ステップSA−10)。
また、ブラックを基準色とする場合の各色の歪みライン量の最大値(絶対値)が、所定のライン数を超える場合であって(ステップSA−7:No)、歪みライン量の最大値(絶対値)を所定のライン数以下とする基準色がない場合(ステップSA−9:No)、エラーメッセージを返し、利用者にその旨を通知し(ステップSA−11)、処理手順は、ステップSA−10に移行される。
基準色を決定すると、各色の歪み補正量(移動ライン数)を算出し(ステップSA−12)、ステップSA−3およびステップSA−12で算出された各色ずれ補正量に基づいて印刷処理を行い(ステップSA−13)、画像形成処理を終える。
ここで、ステップSA−13で行われる印刷処理について図11を参照して説明する。図11は、印刷処理の手順を示すフローチャートである。
まず、主走査倍率ずれを補正すべく、ステップSA−3で算出した主走査倍率補正量に基づいて、各色の画素クロック周波数を設定する(ステップSA−131)。具体的には、算出した各色の倍率誤差量に基づく画像周波数の変更を書込み制御部160で行う。
ついで、主走査方向のレジストレーションを補正すべく、ステップSA−3で算出した主走査方向レジストレーション補正量に基づいて、各色の主走査遅延量を設定する(ステップSA−132)。主走査の書き出しタイミングは、各色の同期検知信号をトリガにして動作する主走査カウンタのどの位置からLDデータを出力するかにより調整を行う。
ついで、副走査方向のレジストレーションを補正すべく、ステップSA−3で算出した副走査方向レジストレーション補正量に基づいて、各色の主走査遅延量を設定する(ステップSA−133)。具体的には、副走査の書き出しタイミングを調整して行う。ここで、副走査の色ずれ補正について図12を参照して簡単に説明する。
図12は、副走査の色ずれを補正する場合、副走査の書き出しのタイミングを示すタイミングチャートである。書込み制御部160は、CPU130からのスタート信号(STTRIG_N)を基準として,ライン数をカウントし、画像処理部150に対して副走査タイミング信号(*_FSYNC_N)を出力する。画像処理部150では、*_FSYNC_Nをトリガに副走査ゲート信号(*_IPFGATE_N)を書込み制御部160に対して出力し、画像データ(*_IPDATA[7:0]_N)を転送する。副走査のレジストを補正する場合、スタート信号からの副走査遅延量(*_mfcntld)を検出した位置ずれ量に応じて変更するが、通常、ブラックを基準としての位置ずれ量をカラー(M,C,Y)の副走査遅延量に反映し、*_FSYNC_Nのタイミングを変更して副走査の位置合わせを行う。
図11に戻り、ステップSA−133で副走査遅延量が設定されると、続けて、歪み補正をするための基準色を設定する(ステップSA−134)。具体的には、ステップSA−8またはステップSA−11で決定した基準色を設定する。
ついで、歪み補正をすべく、基準色以外の各色の歪み補正量を設定する(ステップSA−135)。具体的には、ステップSA−12で算出した各色の歪み補正量に基づいて設定を行う。
ステップSA−135までの処理により、各種設定を終えると、画像データの印刷用紙2への印刷を開始する(ステップSA−136)。具体的には、LDデータ出力部166は、主走査倍率補正量に応じた画像周波数の変更指令(LDDATA)、主副レジスト補正量に応じた補正書き込み指令(LDDATA)などをLD制御部190に対して送出する。これにより、LD制御部190の制御により、露光部9による感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kへのレーザ光LY,LM,LC,LKが照射され、感光体ドラム7Y,7M,7C,7K上にはトナー画像が形成され、形成されたトナー画像は、印刷用紙2に転写され出力される。
以上説明したように、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100は、Y,M,C,Kのそれぞれ各色を基準色とする場合の基準色との歪み量(μm)を算出し、算出した歪み量および画像データの副走査方向の解像度に基づいて、Y,M,C,Kのそれぞれ各色を基準色とする場合の歪みライン量を算出し、算出した各色の歪みライン量に基づいて、Y,M,C,Kの各色をそれぞれ基準色とした場合における歪みライン量の最大値(絶対値)を算出する。そして、ブラックを基準色とする場合の歪みライン量の最大値が所定のライン数以下である場合は、ブラックを基準色とする。また、ブラックを基準色とする場合の歪みライン量の最大値が所定のライン数以下でない場合であって、歪みライン量の最大値を所定のライン数以下とする基準色があるときは、最大値が最小になる色を基準色とする。また、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量の最大値が所定のライン数以下でない場合であって、歪みライン量の最大値を所定のライン数以下とする基準色がないときは、利用者にエラーメッセージを通知するとともに、最大値が最小になる色を基準色とする。
従って、第1の実施の形態のカラー画像形成装置100によれば、Y,M,C,Kのそれぞれ各色を基準色とした場合の基準色との歪み量(μm)を算出し、算出した歪み量および画像データの副走査方向の解像度に基づいて、Y,M,C,Kのそれぞれ各色を基準色とした場合の歪みライン量を算出し、算出した各色の歪みライン量に基づいて、Y,M,C,Kのそれぞれ各色を基準色とした場合における歪みライン量の最大値(絶対値)を算出する。そして、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量の最大値が所定のメモリライン数以下である場合は、ブラックを基準色とするので、歪み補正の副作用である継ぎ目の部分の段差の発生を防止させ易いブラックを優先して基準色とすることができる。
また、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量の最大値が所定のライン数以下でない場合であっても、歪みライン量の最大値を所定のライン数以下とする基準色がある場合は、最大値が最小になる色を基準色とするので、ライン数を増やすことなく、歪み補正の可能な範囲を広げることができる。
また、歪みライン量の最大値を所定のメモリライン数以下とする基準色がない場合は、利用者にエラーメッセージを通知するので、利用者は、高精度な画像を得ることができないことを事前に知ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるカラー画像形成装置100について説明する。なお、第2の実施の形態の説明においては、上述した第1の実施の形態のカラー画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
まず、第2の実施の形態のカラー画像形成装置100の特徴部分について説明する。
第1の実施の形態のラインメモリ170によれば、補正範囲量は±5であった。Y,M,C,Kの各色をそれぞれ基準色とした場合の歪みライン量を各色ごとにそれぞれ算出し(表3−1参照)、当該算出した歪みライン量の最大値(絶対値)が、表3−2に示すように、基準色K:6,基準色M:6,基準色C:7,基準色Y:7である場合においては、補正範囲量が±5である第1の実施の形態のラインメモリ170(図7(b)参照)では、いずれの色を基準色とした場合でも歪み補正に必要なライン数を超えてしまい、補正できない範囲が生じる。
そこで、第2の実施の形態のラインメモリ170は、図13(a)に示すように、各色で共有できるものとし、各色で任意のラインメモリの本数を使用できるようにしている。なお、各色(Y,M,C,K)の書込みのためには8ラインを必要とするので、図13(a)に示すように、ラインメモリ170のライン数が23ラインである場合は、15の数のライン内において各色で任意に使用できることになる。
具体的には、表3−2に示すように、Y,M,C,Kの各色をそれぞれ基準色とした場合の歪みライン量の最大値(絶対値)の合計値が、基準色K:14,基準色M:11,基準色C:19,基準色Y:16である場合において、各色で任意に使用できるライン数は15であるので、ブラックまたはマゼンタを基準色とすることができる。例えば、マゼンタを基準色とした場合、図13(b)に示すようなラインメモリ170の割り当てを行えば、ラインメモリ170のライン数を増やすことなく、歪み補正可能な範囲をさらに広げることができる。
以上の構成において、第2の実施の形態のカラー画像形成装置100で行われる画像形成処理について図14を参照して説明する。図14は、第2の実施の形態のカラー画像形成装置100で行われる画像形成処理の手順を示すフローチャートである。なお、ラインメモリ170のライン総数は、図13(a)に示すように、23ラインであるものとする。従って、以下に述べる所定のライン数は15ラインとなる。また、ここでは、第1の実施の形態の図9で説明した画像形成処理の流れと異なる部分について説明する。
第1の実施の形態では、ステップSA−5で、Y,M,C,Kの各色をそれぞれ基準色とした場合の歪みライン量をそれぞれ算出すると、当該算出した歪みライン量に基づいて、Y,M,C,Kの各色をそれぞれ基準色とした場合の歪みライン量の最大値(絶対値)を算出した(ステップSA−6)。
これに対して、第2の実施の形態では、ステップSA−5でY,M,C,Kの各色をそれぞれ基準色とした場合の歪みライン量をそれぞれ算出すると、当該算出した歪みライン量に基づいて、Y,M,C,Kの各色をそれぞれ基準色とした場合の歪みライン量の絶対値の合計値を算出する(ステップSA−14)。
例えば、表3−2に示すように、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量がそれぞれ、K:0ライン,M:+2ライン,C:+6ライン,Y:−6ラインである場合、絶対値の合計値は14となる。
ついで、ブラックを基準色とする場合の各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数以下である場合(ステップSA−15:Yes)は、ブラックを基準色と決定する(ステップSA−16)。
一方、ブラックを基準色とする場合の各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数を超える場合であって(ステップSA−15:No)、さらに、歪みライン量の絶対値の合計値を所定のライン数以下とする基準色がある場合(ステップSA−17:Yes)、歪みライン量の絶対値の合計値が最小になる色を基準色と決定する(ステップSA−18)。
また、ブラックを基準色とする場合の各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数を超える場合であって(ステップSA−15:No)、さらに、歪みライン量の絶対値の合計値を所定のライン数以下とする基準色がない場合(ステップSA−17:No)、エラーメッセージを返し、利用者にその旨を通知し(ステップSA−19)、処理手順は、ステップSA−18へ移行される。
以上説明したように、第2の実施の形態のカラー画像形成装置100は、Y,M,C,Kの各色を基準色とした場合の各色の歪み量(μm)を算出し、算出した歪み量および副走査方向の解像度に基づいて、Y,M,C,Kの各色を基準色とした場合の各色の歪みライン量を算出し、算出した歪みライン量に基づいて、Y,M,C,Kの各色を基準色とした場合の各色の歪みライン量の絶対値の合計値を算出する。そして、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下である場合は、ブラックを基準色とする。また、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下でない場合であって、歪みライン量の絶対値の合計値を所定のライン数以下とする基準色があるときは、絶対値の合計値が最小になる色を基準色とする。また、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下でない場合であって、歪みライン量の絶対値の合計値を所定のライン数以下とする基準色がないときは、利用者にエラーメッセージを通知するとともに、最大値が最小になる色を基準色とする。
従って、第2の実施の形態のカラー画像形成装置100によれば、Y,M,C,Kの各色を基準色とした場合の各色の歪みライン量の絶対値の合計値を算出し、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下である場合は、ブラックを基準色とし、ブラックを基準色とした場合の歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下でない場合であって、歪みライン量の絶対値の合計値を所定のライン数以下とする基準色がある場合は、絶対値の合計値が最小になる色を基準色とするので、メモリライン170のライン数を増やすことなく、歪み補正の可能な範囲をさらに広げることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態にかかるカラー画像形成装置100について説明する。なお、第3の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第2の実施の形態のカラー画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
まず、第3の実施の形態のカラー画像形成装置100の特徴部分について説明する。
基準色の傾きが大きい場合には、用紙に対して画像が傾いた状態で調整されることになる。それに対して、最も水平に近い色を基準色とした場合には、用紙に対して画像が水平に近くなるように補正することができるという効果を得られる。そこで、第3の実施の形態では、検知センサ15,16,17を水平基準とするY,M,C,Kの各色の歪み量を算出し、算出した歪み量に基づいて、水平基準に対して最も歪み量の少ない色を基準色とする。
検知センサ15,16,17の位置を水平基準としてY,M,C,Kの各色の歪み量を算出する方法について図15を参照して説明する。図15は、検知センサ15,16,17を基準として各色の歪み量を算出する方法の一例を示す図である。なお、検知センサ15,16,17を水平基準とする歪み量の算出方法は各色で同一であるため、ここではブラックとシアンを代表して説明する。
まず、水平基準となる検知センサ15と検知センサ15で検知したブラック間(ZK_L)を求める。同様に、検知センサ17と検知センサ17で検知したブラック間(ZK_M)、検知センサ16と検知センサ16で検知したブラック間(ZK_R)を求める。同様に、検知センサ15,16,17を水平基準として、同図に示すZC_L,ZC_M,ZC_Rを求める。続けて、ブラックの検知センサ15,17間の歪み量(K_Dis_LM)を、K_Dis_LM=ZK_L-ZK_Mの式から求め、ブラックの検知センサ17,16間の歪み量(K_Dis_MR)を、K_DIS_MR=ZK_M-ZK_Rの式から求める。また、シアンの検知センサ15,17間の歪み量(C_Dis_LM)を、C_Dis_LM=ZC_L-ZC_Mの式から求め、シアンの検知センサ17,16間の歪み量(C_Dis_MR)を、C_DIS_MR=ZC_M-ZC_Rの式から求める。
第3の実施の形態では、いずれの色を基準色としても絶対値の合計値が所定のライン数以下となる場合に、上述した方法により算出した各色の歪み量に基づいて、水平基準に対して最も歪み量の少ない色を基準色とする構成としている。
以上の構成において、第3の実施の形態のカラー画像形成装置100で行われる画像形成処理について図16を参照して説明する。図16は、第3の実施の形態のカラー画像形成装置100で行われる画像形成処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、第2の実施の形態の図14で説明した画像形成処理の流れと異なる部分について説明する。
第2の施の形態の画像形成処理では、ステップSA−3で主走査倍率補正量、主副レジスト補正量、およびスキュー補正量を算出すると、ステップSA−4で、Y,M,C,Kの各色を基準色とする場合の歪み量を算出した。これに対し、第3の実施の形態の画像形成処理では、ステップSA−3で主走査倍率補正量、主副レジスト補正量、およびスキュー補正量を算出すると、ステップSA−4の処理を実行する前に、検知センサ15,16,17を水平基準するY,M,C,Kの各色の歪み量をそれぞれ算出する(ステップSA−20)。図18を参照して説明すれば、水平基準である検知センサ15と検知センサ15で検知したブラック間(ZK_L)と、水平基準である検知センサ17と検知センサ17で検知したブラック間(ZK_M)と、水平基準である検知センサ16と検知センサ16で検知したブラック間(ZK_R)とを求め、ブラックの検知センサ15,17間の歪み量(K_Dis_LM)を、K_Dis_LM=ZK_L-ZK_Mの式から求め、また、ブラックの検知センサ17,16間の歪み量(K_Dis_MR)を、K_DIS_MR=ZK_M-ZK_Rの式から求める。
また、第2の実施の形態の画像形成処理では、ブラックを基準色とする場合の各色(C,M,Y)の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数以下である場合(ステップSA−15:Yes)は、ブラックを基準色と決定した(ステップSA−16)。これに対し、第3の実施の形態の画像形成処理では、いずれの色を基準色としても各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数以下である場合(ステップSA−21:Yes)、ステップSA−20で算出した検知センサ15,16,17を水平基準とする各色の歪み量に基づいて、水平基準に対して最も歪み量の少ない色を基準色とする(ステップSA−22)。
一方、いずれの色を基準色としても各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数以下にはならない場合であって(ステップSA−21:No)、歪みライン量の絶対値の合計値を所定のライン数以下とする基準色があるとき(ステップSA−23:Yes)は、歪みライン量の絶対値の合計値が最小になる色を基準色と決定する(ステップSA−24)。
また、いずれの色を基準色としても各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数以下にはならない場合であって(ステップSA−21:No)、歪みライン量の絶対値の合計値を所定のライン数以下とする基準色がないとき(ステップSA−23:No)、エラーメッセージを返し、利用者にその旨を通知し(ステップSA−25)、処理手順はステップSA−24へ移行される。
なお、第3の実施の形態では、いずれの色を基準色としても各色の歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下にならない場合(ステップSA−21:No)であって、さらに、歪みライン量の絶対値の合計値を所定のライン数以下とする基準色があるとき(ステップSA−23:Yes)は、ステップSA−24で、歪みライン量の絶対値の合計値が最小になる色を基準色とする構成としているが、水平基準に対して一番目に歪み量の少ない色を基準色とすると所定のライン数を超えても、水平基準に対して二番目に歪み量の少ない色を基準色とすると所定のライン数以下になる場合は当該二番目に歪み量の少ない色を基準色とするような構成でもよい。
以上説明したように、第3の実施の形態のカラー画像形成装置100は、検知センサ15,16,17を水平基準とする各色の歪み量を算出しておき、いずれの色を基準色としても各色の歪み量の絶対値の合計値が所定のライン数以下となる場合には、水平基準に対して最も歪み量の少ない色を基準色とする。
従って、第3の実施の形態のカラー画像形成装置100によれば、検知センサ15,16,17を水平基準とする各色の歪み量を算出しておき、いずれの色を基準色としても各色の歪み量の絶対値の合計値が所定のライン数以下となる場合には、水平基準に対して最も歪み量の少ない色を基準色とするので、印刷用紙2に対して画像が水平に近くなるように歪み補正を行うことができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態にかかるカラー画像形成装置100について説明する。なお、第4の実施の形態の説明においては、上述した第1〜第3の実施の形態のカラー画像形成装置100の説明と重複する説明を省略する場合がある。
まず、第4の実施の形態のカラー画像形成装置100の特徴部分について説明する。
基準色の傾きが大きい場合には、用紙に対して画像が傾いた状態で調整されることになる。そのため、上述した第3の実施の形態では水平基準に対して最も歪み量の少ない色を基準色とすることにより、用紙に対して画像が水平に近くになるように補正した。これに対して、Y,M,C,Kの全色を水平基準に対して歪み補正をした場合には、用紙に対して画像がさらに水平近くにすることができるという効果を得られる。そこで、第4の実施の形態では、水平基準に対するY,M,C,K各色の歪み量を算出し、Y,M,C,Kの全色を水平基準に対して歪み補正を実施する。
即ち、第4の実施の形態では、水平基準に対する歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下である場合には、水平基準である検知センサ15,16,17を基準としてY,M,C,Kの全色の歪み補正を行う。
以上の構成において、第4の実施の形態のカラー画像形成装置100で行われる画像形成処理について図17を参照して説明する。図17は、第4の実施の形態のカラー画像形成装置100で行われる画像形成処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、第3の実施の形態の図16で説明した画像形成処理の流れと異なる部分について説明する。
第3の実施の形態の画像形成処理では、いずれの色を基準色としても各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数以下である場合(ステップSA−21:Yes)、ステップSA−20で算出した水平基準である検知センサ15,16,17に対する各色の歪み量に基づいて、水平基準に対して最も歪み量の少ない色を基準色と決定した(ステップSA−22)。
これに対して、第4の実施の形態の画像形成処理では、ステップSA−20で算出した検知センサ15,16,17を水平基準とする各色の歪み量に基づいて、水平基準に対する各色の歪みライン量を算出しておき(ステップSA−26)、ステップSA−26で算出した水平基準に対する各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数以下である場合(ステップSA−27:Yes)、水平基準を基準として歪み補正量を算出する(ステップSA−28)。
一方、ステップSA−26で算出した水平基準に対する各色の歪みライン量の絶対値の合計値が、所定のライン数以下でない場合(ステップSA−27:No)、処理手順はステップSA−21へ移行される。
以上説明したように、第4の実施の形態のカラー画像形成装置100は、検知センサ15,16,17を水平基準とする各色の歪み量を算出し、当該算出した各色の歪み量に基づいて、水平基準である検知センサ15,16,17に対する各色の歪みライン量を算出し、当該算出した各色の歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下となる場合には、Y,M,C,Kの全色について水平基準に対して歪み補正を行う。
従って、第4の実施の形態のカラー画像形成装置100は、水平基準に対する歪みライン量の絶対値の合計値が所定のライン数以下となる場合には、Y,M,C,Kの全色について水平基準に対して歪み補正を行うので、用紙に対して画像がさらに水平近くに補正することができる。