JP4801618B2 - ガスタービンの静翼およびこれを備えたガスタービン - Google Patents
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Description
このようなガスタービンの効率は、燃焼ガスのタービン入口温度を上昇させることによって向上させることができる。現在では、1700℃程度のタービン入口温度を実現できるガスタービンが鋭意検討されている。
しかし、タービン入口温度が上昇すると、タービン翼の熱的環境が厳しくなり、特に燃焼ガスが最初に流入する第1段のガスタービン静翼では最も過酷な状況となる。
ガスタービン静翼には、母材を保護するために遮熱コーティング(TBC: Thermal Barrier Coating)が施されており、シュラウドの冷却が不十分であればシュラウドに形成した遮熱コーティングが損傷あるいは剥離してしまい、ガスタービン静翼の損傷を招いてしまう。特に、1700℃級のガスタービンではこのような状況が想定される。
すなわち、本発明にかかるガスタービン静翼は、翼部と、該翼部の外周側に接続された外側シュラウドと、前記翼部の内周側に接続された内側シュラウドとを備え、前記翼部の内部には、冷却媒体が流通する翼部冷却通路が形成され、前記外側シュラウドの内部には、冷却媒体が流通する外側シュラウド冷却通路と、該外側シュラウドの端部に沿って形成された外側シュラウド端部冷却通路とが形成され、前記内側シュラウドの内部には、冷却媒体が流通する内側シュラウド冷却通路と、該内側シュラウドの端部に沿って形成された内側シュラウド端部冷却通路とが形成され、冷却媒体としての冷却蒸気が、前記翼部冷却通路、前記外側シュラウド冷却通路、及び前記内側シュラウド冷却通路を流れるとともに、前記外側シュラウド端部冷却通路および前記内側シュラウド端部冷却通路を流れることを特徴とする。
また、外側シュラウドおよび内側シュラウドの端部の近傍に沿って形成されたシュラウド端部冷却通路を形成し、冷却蒸気を流すこととしたので、シュラウドの端部を含めたシュラウド全体を効果的に冷却することができ、高い熱負荷にも対応できる静翼を提供することができる。
前記冷却蒸気は、前記外側シュラウド上流部屋、前記翼部上流流路、前記内側シュラウド上流部屋、前記翼部中間流路、前記外側シュラウド下流部屋、前記翼部下流流路、前記内側シュラウド下流部屋の順に流れた後に回収されることを特徴とする。
また、外側シュラウドおよび内側シュラウドの仕切壁を、例えば翼部の前縁側と後縁側とを仕切るように配置して、熱負荷が大きい位置を上流部屋とすることにより、熱負荷に応じた冷却通路を形成することができる。
また、外側シュラウドおよび内側シュラウドの端部の近傍に沿って形成されたシュラウド端部冷却通路に冷却蒸気を流すこととしたので、シュラウドの端部を含めたシュラウド全体を効果的に冷却することができる。
本実施形態にかかるガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機により圧縮された空気を用いて燃料を燃焼させる燃焼器と、燃焼器からの燃焼ガスが導かれるタービンとを備えている。タービンは、静翼と動翼が回転軸方向に交互に設けられた軸流タービンとなっている。
図1には静翼(ガスタービン静翼)の部分断面斜視図が示されており、この静翼は、最も上流側に設けられた第1段静翼となっている。ただし、同図に示された静翼は、第2段以降の静翼に用いることもできる。
静翼1は、翼部3と、翼部3の外周側に接続された外側シュラウド5と、翼部3の内周側に接続された内側シュラウド7とを備えている。
燃焼器から導入される燃焼ガスは、外側シュラウド5と内側シュラウド7との間を流れ、翼部3の周囲を通過するように、図において左方から右方へと流れる。
これら空気冷却流路12,14は、両端が車室(図示せず)に連通しており、車室から冷却空気が供給されるようになっている。図1に示しているように、空気冷却流路12,14の両端から冷却空気が導入される。
また、最前縁空気冷却流路12内には、流路12を前縁側と内部側に仕切るインピンジ板12bが挿入されている。インピンジ板12bには、冷却空気を噴出させるための多数の孔が形成されている。これら孔から噴出する冷却空気の噴流が翼部3の壁部内側に衝突することにより、インピンジメント冷却が行われる。
インピンジ板12bと翼部3の前縁壁部との間には、インピンジ板12bと翼部3の前縁壁部との間の空間を2つに区画する区画壁12cが設けられている。この区画壁12cにより、インピンジ板12bから噴出した冷却空気の流路が2つに分割される。この区画壁12cの位置を調整することによって、翼部3の腹側に流れるフィルム冷却空気量と、翼部3の背側に流れるフィルム冷却空気量との流量比を調整することができる。
第1流路16aは、最後縁空気冷却流路14に隣接しており、第7流路16gは最前縁空気冷却流路12に隣接している。
第4流路16dの下流端(図1において下端)と第5流路16eの上流端とは折り返した状態で接続されている。なお、図1から理解できるように、第4流路16dと第5流路16eとが接続された折り返し部では、内側シュラウド下流部屋7bに連通していない。
第5流路16eの下流端(図1において上端)は、外側シュラウド下流部屋5bに連通している。このように、第3流路16c,第4流路16d及び第5流路16eは、内側シュラウド上流部屋7aと外側シュラウド下流部屋5bとを接続する翼部中間流路を形成している。
外側シュラウド5は、仕切壁5dによって、外側シュラウド上流部屋5aと外側シュラウド下流部屋5bとに仕切られている。
外側シュラウド上流部屋5aおよび外側シュラウド下流部屋5bには、インピンジ板(多孔板)5eが設けられている。インピンジ板5eには、多数の孔5fが形成されており、各孔5fから噴出した噴流が外側シュラウド5の内周壁5iの内側に衝突し、インピンジメント冷却が行われる。これにより、燃焼ガスに面する外側シュラウド5の内周壁5iが効果的に冷却される。
外側シュラウド5には、端部に沿って形成された外側シュラウド端部冷却通路5hが形成されている。
同図に矢印で示されているように、冷却蒸気は、翼部3の第1流路16a及び第2流路16bに流入する。第1流路16a及び第2流路16bには、インピンジ板5eの孔5fを通過してインピンジメント冷却を行った後の冷却蒸気と、インピンジ板5eを介さずに直接流入する冷却蒸気とが合流して流入するようになっている。
なお、第3流路16c及び第4流路16dは、図1に示したように、外側シュラウド上流部屋5aに開口していない。同様に、第6流路16fの図3において右側部分も外側シュラウド上流部屋5aに開口していない。
翼部3の第7流路16gは、外側シュラウド下流部屋5b内に開口しているのではなく、図1に示すように、蒸気回収口(図示せず)に連通している。したがって、図3の第7流路16gに示した矢印は、蒸気回収口へと流れることを示している。
本実施形態では、外側シュラウド端部冷却通路5hに供給される冷却蒸気は、インピンジ板5eを介さずに直接導入されるようになっている。ただし、インピンジ板5eを通過した後の冷却蒸気を外側シュラウド端部冷却通路5hに導入するようにしても良い。
内側シュラウド上流部屋7aおよび内側シュラウド下流部屋7bには、インピンジ板(多孔板)7eが設けられている。インピンジ板7eには、多数の孔7fが形成されており、各孔7fから噴出した噴流が内側シュラウド7の外周壁7iの内側に衝突し、インピンジメント冷却が行われる。これにより、燃焼ガスに面する内側シュラウド7の外周壁7iが効果的に冷却される。
内側シュラウド7には、端部に沿って形成された内側シュラウド端部冷却通路7hが形成されている。
同図に矢印で示されているように、翼部3の第1流路16a及び第2流路16bを通過した冷却蒸気が内側シュラウド上流部屋7aに流入する。内側シュラウド上流部屋7aに流れ込んだ冷却蒸気は、インピンジ板7eによってインピンジメント冷却した後に、第3流路16cへと流れ込む。
なお、第4流路16dは、内側シュラウド上流部屋7aに開口していない。同様に、第5流路16eの図5において右側部分も内側シュラウド上流部屋7aに開口していない。
[冷却蒸気]
冷却蒸気は、外側シュラウド5の蒸気供給口5cから供給され、外側シュラウド上流部屋5a内に流れ込む。外側シュラウド上流部屋5a内に流れ込んだ冷却蒸気は、インピンジ板5eを通過する経路と、インピンジ板5aを通過せずに翼部3の第1流路16a及び第2流路16bに直接流入する経路と、外側シュラウド端部冷却通路5hへと流入する経路とからなる3つの経路に分岐される。
インピンジ板5eを通過して噴流となった冷却蒸気は、外側シュラウド5の内周壁5iに衝突してインピンジメント冷却した後に、第1流路16a及び第2流路16bへと導かれる。
外側シュラウド端部冷却通路5hへと流入した冷却蒸気は、図4に示したように、外側シュラウド5の端部である4辺を通過した後に、流出口5kから第7流路16gへと流れ込み、蒸気回収口にて回収される。
インピンジ板7eを通過して噴流となった冷却蒸気は、内側シュラウド7の外周壁7iに衝突してインピンジメント冷却した後に、第3流路16cへと導かれる。
内側シュラウド端部冷却通路7hへと流入した冷却蒸気は、図6に示したように、内側シュラウド7の端部である4辺を通過した後に、流出口7kから第7流路16gへと流れ込み、蒸気回収口にて回収される。
インピンジ板5eを通過して噴流となった冷却蒸気は、外側シュラウド5の内周壁5iに衝突してインピンジメント冷却した後に、第6流路16fへと導かれる。
インピンジ板7eを通過して噴流となった冷却蒸気は、内側シュラウド7の外周壁7iに衝突してインピンジメント冷却した後に、第7流路16gへと導かれる。
冷却空気は、最前縁空気冷却流路12及び最後縁空気冷却流路14の両端側から供給される。
最前縁空気冷却流路12に流れ込んだ冷却空気は、インピンジ板12b(図2参照)に形成された孔から噴出して翼部3の前縁壁部に衝突した後に、フィルム冷却孔12aから翼部3の外部へと流出する。翼部3の外部へと流出した冷却空気は、翼部3の壁部表面にフィルムを形成することにより、フィルム冷却する。
最後縁空気冷却流路14に流れ込んだ冷却空気は、フィルム冷却孔14a及びスロット口14bから流出する。フィルム冷却孔14aから流出した冷却空気は下流側に向かって冷却空気のフィルムを形成し、翼部3の後縁をフィルム冷却する。また、冷却空気は、スロット孔14bを通過する際に翼部3の後縁端を冷却する。
冷却蒸気によって翼部3だけでなく、外側シュラウド5および内側シュラウド7をも冷却することとしたので、冷却空気の使用量を可及的に低減することができる。
また、外側シュラウド5および内側シュラウド7の端部の近傍に沿って形成されたシュラウド端部冷却通路5h,7hを形成し、冷却蒸気を流すこととしたので、シュラウドの端部を含めたシュラウド全体を効果的に冷却することができ、高い熱負荷にも対応できる静翼1を提供することができる。
また、外側シュラウド5および内側シュラウド7の仕切壁5d,7dを、翼部3の前縁側と後縁側とを仕切るように配置して、熱負荷が大きい後縁側を上流部屋5a,7aとすることにより、熱負荷に応じた冷却通路を実現した。
3 翼部
5 外側シュラウド
5a 外側シュラウド上流部屋(外側シュラウド冷却通路)
5b 外側シュラウド下流部屋(外側シュラウド冷却通路)
5h 外側シュラウド端部冷却通路
7 内側シュラウド
7a 内側シュラウド上流部屋(内側シュラウド冷却通路)
7b 内側シュラウド下流部屋(内側シュラウド冷却通路)
7h 内側シュラウド端部冷却通路
10 翼部冷却通路
Claims (8)
- 翼部と、該翼部の外周側に接続された外側シュラウドと、前記翼部の内周側に接続された内側シュラウドとを備え、
前記翼部の内部には、冷却媒体が流通する翼部冷却通路が形成され、
前記外側シュラウドの内部には、冷却媒体が流通する外側シュラウド冷却通路と、該外側シュラウドの端部に沿って形成された外側シュラウド端部冷却通路とが形成され、
前記内側シュラウドの内部には、冷却媒体が流通する内側シュラウド冷却通路と、該内側シュラウドの端部に沿って形成された内側シュラウド端部冷却通路とが形成され、
冷却媒体としての冷却蒸気が、前記翼部冷却通路、前記外側シュラウド冷却通路、及び前記内側シュラウド冷却通路を流れるとともに、
前記外側シュラウド端部冷却通路および前記内側シュラウド端部冷却通路を流れ、
前記外側シュラウドには、前記外側シュラウド冷却通路を外側シュラウド上流部屋と外側シュラウド下流部屋に仕切る仕切壁が形成され、
前記内側シュラウドには、前記内側シュラウド冷却通路を内側シュラウド上流部屋と内側シュラウド下流部屋に仕切る仕切壁が形成され、
前記翼部冷却通路は、前記外側シュラウド上流部屋と前記内側シュラウド上流部屋とを接続する翼部上流流路と、前記内側シュラウド上流部屋と前記外側シュラウド下流部屋とを接続する翼部中間流路と、前記外側シュラウド下流部屋と前記内側シュラウド下流部屋とを接続する翼部下流流路とを備え、
前記冷却蒸気は、前記外側シュラウド上流部屋、前記翼部上流流路、前記内側シュラウド上流部屋、前記翼部中間流路、前記外側シュラウド下流部屋、前記翼部下流流路、前記内側シュラウド下流部屋の順に流れた後に回収され、
前記外側シュラウド端部冷却通路を通過した冷却蒸気は、前記翼部上流流路、前記翼部中間流路および前記翼部下流流路を迂回して蒸気回収経路へと導かれ、
前記翼部上流流路から導かれて前記内側シュラウド端部冷却通路を通過した冷却蒸気は、前記翼部中間流路および前記翼部下流流路を迂回して蒸気回収経路へと導かれることを特徴とするガスタービン静翼。 - 前記外側シュラウド上流部屋、前記外側シュラウド下流部屋、前記内側シュラウド上流部屋および前記内側シュラウド下流部屋の少なくともいずれかには、インピンジメント冷却を行うための多孔板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン静翼。
- 前記翼部冷却通路には、前記多孔板によりインピンジメント冷却を行った後の冷却蒸気と、該多孔板を介さずに該翼部冷却通路に直接流入する冷却蒸気とが導かれることを特徴とする請求項2に記載のガスタービン静翼。
- 前記翼部冷却通路は、前記内側シュラウド下流部屋と冷却蒸気回収部とを接続する翼部最終流路を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスタービン静翼。
- 前記翼部冷却通路は、前記翼部の最前縁に位置するとともに、該翼部のスパン方向に形成されて冷却空気が導入される最前縁空気冷却流路を備え、
該最前縁空気冷却流路には、冷却空気によるフィルム冷却を行うフィルム冷却孔が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のガスタービン静翼。 - 前記翼部冷却通路は、前記翼部の最後縁に位置するとともに、該翼部のスパン方向に形成されて冷却空気が導入される最後縁空気冷却流路を備え、
該最後縁空気冷却流路には、冷却空気を前記翼部の後縁から該翼部の外部へと流出させる流出孔が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のガスタービン静翼。 - 前記翼部冷却通路は、前記最前縁空気冷却流路と、前記最後縁空気冷却流路と、これら空気冷却流路の間に設けられた前記翼部上流流路と、前記翼部中間流路と、前記翼部下流流路とから構成されていることを特徴とする請求項6に記載のガスタービン静翼。
- 空気を圧縮する圧縮機と、
該圧縮機により圧縮された空気を用いて燃料を燃焼させる燃焼器と、
該燃焼器からの燃焼ガスが導かれ、静翼および動翼を有するタービンとを備え、
前記タービンの前記静翼は、請求項1から7のいずれかに記載されたガスタービン静翼とされていることを特徴とするガスタービン。
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