JP4797126B2 - 脱脂粉乳 - Google Patents

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Description

本発明は、生乳を殺菌・分離・濃縮・乾燥することにより得られる脱脂粉乳に関するものである。更に詳細には、従来の脱脂粉乳では得られない新規な風味を有することを特徴とする脱脂粉乳に関するものである。
本発明の脱脂粉乳は、例えば、製菓・製パン、デザート、アイス、発酵乳、乳飲料、その他の加工食品など多岐にわたる利用可能性を秘めており、従来の脱脂粉乳では得られなかった、乳由来の香ばしい加工臭あるいは食欲をそそる加熱風味を付与することによってこれまでにない加工食品を提供することができる。
脱脂粉乳は、生乳をクリームと脱脂乳に分離した際に得られる脱脂乳を殺菌・濃縮・乾燥処理して得られる粉末状にしたものであり、具体的には、生乳をクリームセパレータで分離し、得られた脱脂乳を段階的に予熱した後、高温加熱殺菌を行い、生乳由来の微生物を死滅せしめ、その後連続的に減圧下で濃縮し、これを噴霧乾燥する方法が一般的で、成
分規格としては、乳固型分95%以上、水分5.0%以下と規定されている(非特許文献1)。
脱脂粉乳を製造する際の前記工程条件のうち、粉乳を得るための噴霧乾燥工程は瞬間的な処理であり、このときの加熱による乳成分への影響は少ない。特に風味に影響すると考えられるのは、加熱殺菌工程のときの加熱によるものであり、殺菌方法としては、代表的には74℃〜88℃程度の加熱処理を施すバッチ式殺菌法、80〜120℃程度の温度範囲のプレ
ート式殺菌法があり、そのそれぞれの方法においてLow heatタイプMedium heatタイプ、High heatタイプがある。前記殺菌法の中で最もハードな加熱条件を採用するのは、プレート殺菌法のHigh heatタイプの殺菌法で、この方法では120℃で2秒間の処理を施すのが、普通であった(非特許文献2)。
上述の脱脂粉乳製造方法は、乳加工業においては汎用、且つ確立されたものであり、生乳生産地域及び使用機器の違いによって若干の差異はあるものの、通常生産される脱脂粉乳については製造設備又は製造会社が異なってもほぼ同様の品質のものが得られることが脱脂粉乳の利点と考えられていた。しかしながら、従来法で得られた脱脂粉乳は、画一的な風味であり、脱脂粉乳を利用した加工食品の食味の拡がりという点で問題があり、本発明に至るまで優れた香気や風味を有する脱脂粉乳の得られることはなかった。
一方、飲食品に牛乳や脱脂粉乳を添加する際には、乳風味を付与することが目的とされており、例えばミルクティーなどの飲料には、牛乳であれば約20%程度配合されている。しかし、牛乳や脱脂粉乳を製品に添加すると、製造工程や殺菌などによる加熱で乳の風味が損なわれたり異臭が生じたりする問題がある。そこで乳風味増強として、フレーバー類やミルク濃縮物、酵素分解物などが使用されているが、人工的な風味を有していることもあり、食品そのものの風味を増強する目的としては必ずしも好ましいとはいえない。
従来から食品の風味増強剤に関しては種々の検討がされており、タンパク質を水に分散させたもの、あるいはタンパク質/脂質/水の混合物による風味増強剤がある(特開平6−133721)が、目的に合わせてタンパク質や脂質の種類を変えて適性を検討しなくてはならない。
また茶風味増強剤としては、茶の熱水抽出法が知られているが、この方法では風味は原料のお茶に依存してしまい、コストも高くなるという問題点がある。また渋味成分であるポリフェノール類を低減させことにより、お茶の風味を増強させる方法(特開2005−27554)も知られている。しかしこの方法はお茶そのものを処理するため、使用されるアプリケーションが限られてしまい、目的の飲料や食品に合わせて選択しなくてはならない。
茶系飲料に関しては、脱脂乳や乳由来タンパク質の溶液により茶を抽出した飲料は香気成分を長時間保持できるという方法(特開2000−32913)が知られているが、本発明では抽出後の茶に適用するものであり、また脱脂粉乳の添加量が少ないにも関わらず風味を増強する特徴を持っている。
本発明は、噴霧乾燥により得られた脱脂粉乳に関するものであり、さまざまな飲食品に使用することにより、従来の脱脂粉乳では得られない、乳風味を引き立たせることなく飲食品の素材の風味を増強する特徴を有しており、さらに乳由来の栄養成分を飲食品へ付与することが可能である。
また、飲食品に牛乳や脱脂粉乳を添加する際には、乳風味とコクを付与することが目的とされており、例えばホワイトソースを使用したグラタン、ポタージュなどの調理食品には、牛乳であれば約25〜50%程度配合される。また牛乳の代替物として脱脂粉乳や全脂粉乳などの乳製品を全固形分換算し使用する。
ホワイトソースにチーズ風味を付与するにはナチュラルチーズやプロセスチーズ、チーズフード、乳等を主要原料とする食品を加えるが、チーズ風味をさらに強くするためにはチーズ等を数倍量加えてチーズ風味を増強させることが出来る。しかしチーズ等を多く加えると、グラタンやポタージュ等の好ましいとされる物性の範囲を超え粘調性が発現してしまい物性上の制約からチーズ風味の増強には限界がある。
そこで一般的に物性を大きく変えずにチーズ風味を増強させるための風味増強剤として乳製品を酵素処理した食品や化学合成したケミカルを加えた香料を添加することが行われている。しかし乳製品を酵素処理した食品は部分的なチーズ風味を増強するのみでチーズの風味を自然な感じに増強することは出来ない。また、香料は合成香料を中心に構成しているため人工的な風味の印象を与えてしまいチーズ本来の風味をケミカルな風味に変調してしまいホワイトソース本来の風味を損ねてしまう。さらにグラタン、ポタージュ等では副原料であるホタテなどの貝類、えびなどの甲殻類、鮭などの魚類、きのこ類、野菜類、ハーブやスパイスなどの香辛料、ワインやブランデー、キルシュなどの酒類など素材の風味をマスキングしおいしさが減少する欠点があり食品そのものの風味を増強する目的としては必ずしも好ましいとはいえない。
そこで、ホワイトソースの風味増強剤としては(特開2005−21047)玄米粉末を添加することを特徴とする乳風味増強方法が知られているが玄米あるいは催芽処理させた玄米の風味が発現するのと加熱処理をしなければならないという問題点がある。また、乳風味増強材の製造法及びそれを含有する食品(特開2000−4822)も知られている。しかしこの方法ではコーン粉末由来の風味成分が移行し乳本来の味とは異なるものになる欠点がある。
本発明は、噴霧乾燥により得られた脱脂粉乳に関するものであるが、数多くの飲食品に使用することにより、従来の脱脂粉乳では得られない、乳風味を引き立たせることなく飲食品の素材の風味を増強する特徴を有しており、さらに乳由来の栄養成分を飲食品へ付与することが可能である。
特開平6−133721 特開2005−27554 特開2000−32913 特開2005−21047 特開2000−4822 「酪農と乳業 第6集」、第12頁〜第15頁、株式会社酪農経済通信社、2003年11月19日発行 山内邦男外1編「ミルク総合事典」、第289頁〜第291頁、株式会社朝倉書店、1992年1月20日発行
上記のような脱脂粉乳の均一な品質は、加工食品への利用において安定的に使用できる利点として挙げられるが、加工食品への用途開発において、特に脱脂粉乳ベースでの風味的な差別化を図る際には用途拡大は望めず、マイナスに作用する場合もでてきた。新しい風味は、現在の脱脂粉乳の加工条件をどのように変えてゆけば良いのだろうか。本発明者
らは、従来の加工条件、特に加熱条件を変えることで新しい粉乳ができないかについて鋭意検討してきた。すなわち、基本的には従来の脱脂粉乳製造装置を用いて、殺菌のための加熱条件のような加工条件を変えて従来の脱脂粉乳の香気や風味に勝る脱脂粉乳を得ることに努めた。
従って、本発明は、新規な風味を有することを特徴とする脱脂粉乳、その製造方法及びその利用を提供することを目的とする。
従来、上記したような通常範囲の加熱条件を超えた加熱処理が採用されていなかったのは、脱脂粉乳が過度な加熱処理を受けることによって、不溶解物の生成や脱脂粉乳の好適な臭いを減じる焦げ臭が発現することが大きな理由であった。したがって、従来の技術では製品の品質を損なわない範囲の加熱条件で脱脂粉乳を製造してきた。しかしながら、本
発明者らは、従来の加熱条件にとらわれずに種々の加熱条件で粉乳を製造するという試験を繰り返した。そのような試験の中で、驚くべきことに、特定の加熱条件範囲において粉乳の致命的な焦げ臭あるいは不溶解物等が生成しない加熱処理であって、従来の脱脂粉乳とは全く風味の異なる脱脂粉乳を製造することが出来ることを見出した。また、このよう
な製造方法によって得られた脱脂粉乳は、これまでの脱脂粉乳にはない新規な化合物を含有することがわかり、これに起因して特徴ある香気を脱脂粉乳に与えること、また、そのような新規な化合物それ自体が原料脱脂乳を特定の加熱条件において加熱処理したことにより生成し得られたものであることも見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、従来の脱脂粉乳の製造装置を使用した脱脂乳の加熱殺菌工程において、少なくとも加熱温度が125〜135℃の範囲で、該温度にて少なくとも3秒間保持することによって得られた脱脂粉乳が従来の脱脂粉乳に比して一段と香気や風味の優れていることを見出すことができた。上記加熱温度の範囲は、加熱殺菌時の処理温度を利用できることも見出した。
本発明者らは、さらに研究を進めた結果、この香気や風味が4−メチルチオ−2−ブタノンを含有することに基づくものであり、この4−メチルチオ−2−ブタノンは、それ自体が原料脱脂乳を、加熱殺菌のような加熱処理して得られたものであり、4−メチルチオ−2−ブタノンが好ましくは0.1〜1000ppb含有されることによって好ましい香気や風味が醸し出されることも見出した。
本発明では、従来の脱脂粉乳の製造装置を使用し、脱脂乳に対して加熱殺菌のような少なくとも加熱温度が125〜135℃の範囲で、少なくとも3秒間保持する処理を施すことによって、得られた脱脂粉乳中に上記4−メチルチオ−2−ブタノンが、好ましくは0.1〜1000ppb含有させることによって香気や風味の優れた脱脂粉乳を提供することが可能となった。
更にまた、香気成分及び/又は風味成分である4−メチルチオ−2−ブタノンを含有する脱脂粉乳を配合することによって、特徴あるパン又は缶コーヒー飲料を提供することもできた。
本発明によると、
1、本発明の脱脂粉乳は、従来の脱脂粉乳製造条件を超えた加熱条件で製造されるにもかかわらず、溶解性や物性等が従来の脱脂粉乳と同様の品質が得られる。
2、本発明の脱脂粉乳は、従来の製造条件で得られる脱脂粉乳と比べて異なる点として、香気分析で判明した特徴成分4−メチルチオ−2−ブタノン を含有する。
3、10%還元脱脂乳溶液で、その風味の違いをみると、本発明の脱脂粉乳は従来の脱脂粉乳に比較して、香気が優れ、甘みのある加工臭を有し、この香気や風味の違いは前記の特徴成分に起因する。
4、本発明の脱脂粉乳を使用すると、従来脱脂粉乳を使用する場合に比較して膨らみやすく、やわらかいパンに仕上がり製パン適性が向上する。同時に、本発明の脱脂粉乳の特徴成分の影響でパンの小麦臭をマスキングする効果がある。
5、本発明の脱脂粉乳を使用すると従来の脱脂粉乳を使用する場合に比較して、コーヒーの風味を活かす。
6、本発明の脱脂粉乳を使用すると従来の脱脂粉乳を使用する場合に比較して、沈殿形成量が抑制された。しかも、ホットベンダーでの保存において顕著な効果を示す。
本発明の脱脂粉乳の有するこのような効果は、脱脂粉乳を使用した用途開発に新たな可能性を与えるものとして期待される。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明における新規な香気成分及び/又は風味成分を有する脱脂粉乳において、香気成分及び/又は風味成分としては、4−メチルチオ−2−ブタノンであり、4−メチルチオ−2−ブタノンの含有量は、香気成分及び/又は風味成分として官能できる含有量範囲であれば特に制限はないが、好ましい濃度範囲として脱脂粉乳に含有される濃度は0.1〜1000ppbの範囲である。4−メチルチオ−2−ブタノンの含有濃度がこの範囲にある場合には乳製品の加工臭に含まれる甘い風味が発現し脱脂粉乳の基材の風味と相俟って好ましい風味となる。このような香気成分及び/又は風味成分の特徴がさらに明瞭に現れる、より好ましい範囲は1〜100ppbの範囲である。
香気成分及び/又は風味成分としての効果が発現する閾値以上の濃度において、濃度が高い場合であって、1000ppbを超える場合は、これ以上含有しても、増加した量の効果は望めず、逆に、本発明の脱脂粉乳の特徴である甘さのある加工臭が漸減し、イオウ化合物臭、チーズ様の風味を有するようになり、これらの風味は脱脂粉乳に好ましい風味を与えない。また、0.01〜0.1ppbの濃度範囲でも甘い加工臭が発現するが含有量が少なくなるとともに基材の脱脂粉乳との境が不鮮明になる。他方、4−メチルチオ−2−ブタノン含有量の後述する閾値試験により得られた官能閾値は0.01ppbである。これは、通常のガスクロマトグラフィーマススペクトル分析法(GC/MS法)による4−メチルチオ−2−ブタノンの検出限界よりかなり低い値であるので、脱脂粉乳から4-メチルチオ-2-ブタノンがGC/MS法で検出される場合は、官能閾値よりも十分高い含有量であり、本発明の脱脂粉乳の請求範囲の上限である1000ppbまでであれば、どのような含有量でも特徴的な風味を発現することとなる。従って、この評価方法は、例えば、本発明の脱脂粉乳の品質の管理などに有効である。
以上のように、本発明の脱脂粉乳に含有する4−メチルチオ−2−ブタノンは、従来の脱脂粉乳にはない特徴的な香気を発現させる成分であり、また、その含有量によって香気の性格が変化する。
このような、本発明の、香気成分及び/又は風味成分である4−メチルチオ−2−ブタノンを含有する脱脂粉乳において、含有する香気成分及び/又は風味成分である4−メチルチオ−2−ブタノンとしては、化学的或いは生化学的合成品であってもよく、特に制限はないが、本発明においては、4−メチルチオ−2−ブタノンそれ自体が、原料脱脂乳の
加熱処理工程、例えば加熱殺菌処理を通じて生成し得られたものであるのが効率的であり、経済性が高く、しかも品質の一定性から好ましい。
次に、本発明において香気成分及び/又は風味成分の脱脂粉乳を製造する方法は、脱脂粉乳に香気成分及び/又は風味成分である4−メチルチオ−2−ブタノンを含有させる製造方法であれば、特に制限はなく、例えば、従来の普通脱脂粉乳に4−メチルチオ−2−ブタノンの純品を添加混合してもよい。しかしながら、本発明においては、脱脂乳を原料
とし、殺菌処理のような加熱処理する工程において、特定の加熱条件を選定することにより生成し得られた、原料脱脂乳の加熱処理により生成した4−メチルチオ−2−ブタノンを含有する脱脂粉乳の製造方法が好ましい。
本発明の脱脂粉乳を得るための、上記好ましい製造方法において用いられる原料脱脂乳は、生乳から、クリーム分を分離して得られる脱脂乳であり、生乳及び脱脂乳の性状については、乳加工業において通常知られているものであればよく、特に制限はない。
また、クリーム分を分離する方法は、分離機の種類或いはその操作条件など特に制限はなく、これらは、連続処理であっても、バッチ処理であってもよく、具体的には、例えば、通常行われるクリームセパレーターによる分離方法などが挙げられる。
本発明では、脱脂乳の加熱条件は、殺菌機内において117〜119℃の当初の加熱温度から、最終温度である125〜135℃まで、少なくとも120秒以上かけて昇温させた後、最終加熱温度で少なくとも3秒間保持するのが適当である。
本発明で用いられる加熱処理のための装置としては、殺菌機として上記加熱条件が採用できるものであれば、特に制限はなく、チューブラ式、プレート式、直接蒸気式などいずれであってもよいが、上記加熱条件の制御が安定して容易に行え、また、連続操作が可能である、チューブラ式殺菌機が好ましく用いられる。
上記加熱条件で得られた本発明の脱脂粉乳については、本来持つ脱脂粉乳の色相よりも若干の黄色味を呈したが、不溶解物の生成など、脱脂粉乳として品質的に許容出来ない欠陥を発現することなく生産が可能である。そして、上記の加熱殺菌条件において製造された脱脂粉乳は、新規な香気を有しており、分析の結果、従来の脱脂粉乳には含まれない新規な成分である4−メチルチオ−2−ブタノンを含有しており、この化合物が、本発明の脱脂粉乳が有する新しい香気の原因物質となっていることも見出した。また、この化合物は、それ自体が、原料脱脂乳を本発明の加熱処理の条件、例えば加熱殺菌処理における加熱温度で処理することにより生成し、得られたものである。
本発明の脱脂粉乳について、その好ましい製造方法を、例を挙げて具体的に述べると、先ず、生乳をクリームセパレーターで、例えば分離温度55℃で、クリームと脱脂乳に分離する。次いで、分離した脱脂乳をチューブラ式殺菌機内で117〜119℃の範囲の当初の温度から、130〜134℃の範囲の最終温度まで140秒かけて加熱後、同温度において4秒保持して加熱処理し、その後、濃縮工程に入る。濃縮工程では、例えば、濃縮乳固形45〜48%、温度約50℃になるまで減圧濃縮し、70℃に予熱後直ちにチャンバー内で噴霧乾燥し、瞬時に乾燥させることにより、本発明の脱脂粉乳を得ることができる。
(実施例)
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
A,脱脂粉乳の製造
最初に、生乳を遠心分離クリームセパレーターにより分離温度55℃で、クリームと脱脂乳に分離した。次いで、分離した脱脂乳をチューブラ式殺菌機(ヴィーガント社製)内で119℃の初発温度から、最終温度134℃まで140秒かけて加熱後、同温度において4秒間保持して殺菌し、その後、濃縮を行った。濃縮工程は、濃縮乳固形45〜48%、濃縮出口温度
50℃の条件で濃縮し、70℃で予熱後直ちにチャンバー内で噴霧乾燥し瞬時に乾燥させた。
この時の乾燥機内減率乾燥温度は95℃であり、噴霧圧力は30MPaであった。乾燥して得られた脱脂粉乳は、やや黄色がかった粉末ではあったが、流動性や不溶解物等の面でも通常の処理工程を経て殺菌・濃縮・乾燥された脱脂粉乳と同様の良好な品質であった。
B,脱脂粉乳の品質評価
B−1(香気成分の分析)
上記で得られた脱脂粉乳と従来の普通脱脂粉乳との違いを確認するため、それぞれ10%水溶液になるよう溶解し、その風味を比較した。普通脱脂粉乳溶液は豊かな乳風味を有しており、一方、上記で得られた脱脂粉乳は、甘味みのある加工臭も有していた。このように、香気について言えば、脱脂粉乳特有の豊かな乳フレーバーに加えて、甘みのある加工臭を有していた。
次に、従来の普通脱脂粉乳と上記で得られた脱脂粉乳のこの香気の違いを生み出す香気成分を確認するため、水蒸気蒸留法によって蒸留濃縮した留分をガスクロマトグラフィーマススぺクトル(以下、GC/MS)法にて分析した。
その結果を表1に示す。
但し、GC/MSによって100種類以上に渡る多くの香気成分が検出されたが、従来の脱脂粉乳と上記で得られた脱脂粉乳との間で顕著に差があったのは、唯一、4−メチルチオ−2−ブタノン(4−methylthio−2−butanoneとも表記する)の含有量であったので、表1には、簡略化のために、この成分の結果のみを示した。
Figure 0004797126
(1) 表中、ndは検出限界以下であることを示し、本分析法では3ppbである。
(2) 定量値は内部標準品から求めた。
これより、従来の普通脱脂粉乳と本発明の上記で得られた脱脂粉乳を水蒸気蒸留-GC/MSにて香気成分を分析した結果、普通脱脂粉乳には検出されず上記で得られた脱脂粉乳に発現する特徴成分が認められた。
この成分は、香気成分データーベースとの対照及び純品の保持時間とマススペクトルとの一致により4−メチルチオ−2−ブタノンと同定された。
B−2(香気成分の官能閾値試験)
また、4−メチルチオ−2−ブタノンの純品を用いた閾値試験により、この成分の閾値を求めた。
このときの閾値試験は以下のように行った。
4−メチルチオ−2−ブタノン純品を水及び10%脱脂粉乳水溶液(脱脂粉乳としては従来の脱脂粉乳使用)に添加し、専門パネルによる評価を行った。
閾値測定では濃いものから薄いものへ4−メチルチオ−2−ブタノンの濃度を変化させ、風味の有無を判断すると共に、風味の特徴を記述させた。
その結果を表2に示す。
Figure 0004797126
添加量は水又は10%脱脂粉乳水溶液に対する濃度である。
表2の結果より本成分の閾値は、水及び10%脱脂粉乳水溶液で0.001ppbと求められた。
従って脱脂粉乳あたりに換算すると、閾値は0.01ppbとなった。それを超えて0.1ppbのときには、表2にみられるように、豊かな乳風味に加えて甘さのある焦げ臭(加工臭)を発現するようになった。これは、4−メチルチオ−2−ブタノンの閾値を超える充分な量があったことが理由と考えられる。
また、表1に見られるように、上記で得られる脱脂粉乳の特徴成分の含有量は閾値を充分超えており、加えて最も好ましい風味発現範囲にあり、本発明脱脂粉乳の特徴的な臭気の発現が、本成分の効果であることが確認された。
以上の結果、本成分(4−メチルチオ−2−ブタノン)は、従来の脱脂粉乳にはない特徴的な香気を発現させる原因物質であり、その含有量によって香気の性格が変化すること、また、特徴成分と確認された成分の含有量の範囲は、脱脂粉乳あたり0.1〜1000ppbの範囲で好ましく機能することがわかった。
A:脱脂粉乳の製造
実施例(1)(試験区4)
実施例1において、初発温度を119℃に代えて117℃、最終温度を134℃に代えて130℃とした以外は、実施例1と同様にして、脱脂粉乳を得た。
実施例(2)(試験区5)
実施例1と同様にして、脱脂粉乳を得た。(初発温度:119℃、最終温度:135℃)
実施例(3)(試験区6)
実施例1と同様にして、脱脂粉乳を得た。(初発温度:115℃、最終温度:125℃)
比較例(1)(試験区1)
生乳をクリームセパレーターで分離しクリームと脱脂乳に分離する。分離した脱脂乳を直接蒸気殺菌機(DSI殺菌機:Direct Steam Injection、岩井機械工業社製)内で、瞬時に90℃まで加熱後、6秒間保持して殺菌し、濃縮工程に入る。濃縮工程では、濃縮乳固形45〜48%、濃縮出口温度50℃の条件で濃縮し、70℃で予熱後直ちにチャンバー内で噴霧乾燥し瞬時に乾燥させた。この時の乾燥機内減率乾燥温度は95℃、噴霧圧力は30MPaであった。これより、従来の製造条件の範囲の中で、加熱変性の少ない脱脂粉乳が得られた。
比較例(2)(試験区2)
生乳をクリームセパレーターで分離しクリームと脱脂乳に分離する。分離した脱脂乳をプレート式殺菌機(岩井機械工業社製)内で、瞬時に110℃まで加熱後、15秒間保持して殺菌し濃縮工程に入る。濃縮工程では、濃縮乳固形45〜48%、濃縮出口温度50℃の条件で濃縮し、70℃で予熱後直ちにチャンバー内で噴霧乾燥し瞬時に乾燥させた。この時の乾燥機内減率乾燥温度は95℃、噴霧圧力は30MPaであった。
これより、従来の製造条件の範囲の中で、加熱変性の中程度の脱脂粉乳が得られた。
比較例(3)(試験区3)
生乳をクリームセパレーターでクリームと脱脂乳に分離する。分離した脱脂乳をチューブラ式殺菌機(ヴィーガント社製)内で、104℃の初発温度から115℃まで140秒かけて加温後、4秒間保持して殺菌し、濃縮工程に入る。濃縮工程では、濃縮乳固形45〜48%、濃縮出口温度50℃の条件で濃縮し、70℃で予熱後、直ちにチャンバー内で噴霧乾燥し、瞬時に乾燥させた。この時の乾燥機内の減率乾燥温度は95℃、噴霧圧力は30MPaであった。
これより、従来の製造条件の範囲の中で、加熱変性の大きい脱脂粉乳が得られた。
表3に比較例(1)〜(3)、実施例(1)〜(3)の試験条件を示す。
表3に示したように、比較例及び実施例含めて6例の試験区を組み、テストを実施した。
各試験区で、生乳を遠心分離して脱脂乳を調整し、これを殺菌、濃縮、乾燥して脱脂粉乳を得た。
Figure 0004797126
B:脱脂粉乳の品質評価
以上のようにして得られた、比較例(1)〜(3)、実施例(1)〜(3)の6例の試験区の脱脂粉乳を、次の6種類の方法でその機能性を評価した。
B−1(試験脱脂粉乳の評価方法)
(1)一般成分:全固形、脂肪分、たんぱく質をJIS準拠の定常の方法で測定した。
(2)水蒸気蒸留-GC/MSによる香気成分の測定:各試験で得られた脱脂粉乳50gに水250mlを加えて溶解し、これを水蒸気蒸留して得られた留液を溶剤に転溶・濃縮し、内部標準品を添加後GC/MS分析に供した。
(3)色沢の測定:脱脂粉乳の色を肉眼で評価した。
(4)10%還元脱脂乳水溶液の風味:10wt%の還元脱脂乳水溶液を調製し25℃でその風味を専門パネルによる記述式試験法にて官能評価した。
(5)脱脂粉乳の製パン適性:
表4に示した中種法にて食パンを焼成し、できたパンの膨らみ、柔らかさ及びパンの風味を専門パネルによる記述式試験法にて官能評価した。
Figure 0004797126
(6)脱脂粉乳の缶コーヒー適性:
表5に示した配合でモデル缶コーヒーを調製し、その風味を官能評価した。また、比較例(1)、(2)、及び実施例(2)の脱脂粉乳で調製したモデル缶コーヒーに関してホットベンダーへの適性を調べた。ホットベンダー適性は、調製したモデル缶コーヒーを室温で100日間保存した後、55℃の恒温槽で保存して7日目と14日目の沈殿量を評価した。
Figure 0004797126
B−2(各試験区の特性評価結果)
上記した6種類の評価方法で、比較例(1)〜(3)、実施例(1)〜(3)の6試験区を評価し、結果を表6に示した。
各項目ごとにその結果を詳述する。
Figure 0004797126
表中◎、○、△、×は順に、非常に良好、良好、どちらでともいえない、不良、を示す。
(1)成分
すべての試験区において、全固形、脂肪、たんぱく質はほとんど差がなかった。製造工程は一部異なるものの、一般成分については、比較例と実施例とは同じとみて良い数値であった。
(2)水蒸気蒸留-GC/MSによる香気成分の測定
水蒸気蒸留-GC/MSによる香気成分分析における4−メチルチオ−2−ブタノン定量値は、比較例(1)、比較例(2)、比較例(3)で得られた脱脂粉乳ではいずれも検出されなかった。
実施例(1)(試験区4)の加熱処理条件で得られた脱脂粉乳では10ppb、実施例(2)(試験区5)の加熱処理条件で得られた脱脂粉乳では28ppb、実施例(3)(試験区6)の加熱処理条件で得られた脱脂粉乳では9ppbであった。
実施例(1)、実施例(2)及び実施例(3)はいずれも4−メチルチオ−2−ブタノンの閾値以上、上限以下であった。
(3)色沢の測定
比較例(1)から比較例(3)で得られた脱脂粉乳の色はいずれも淡いクリーム色で従来の脱脂粉乳に特有の色をしていた。
実施例(1)、実施例(2)、実施例(3)はいずれもやや黄色味がかった濃いクリーム色を呈していた。
(4)10%還元脱脂乳水溶液の風味
還元脱脂乳の風味は、比較例(1)から比較例(2)で得られた脱脂粉乳はいずれも豊かな乳風味を有し、比較例(3)は乳感が比較例(1)、(2)に比べるとやや減ずるもののやはり乳風味を感じた。実施例(1)、実施例(2)及び(3)はいずれも乳風味も感じるものの加えて乳風味を活かす甘い加工臭を呈していた。これは風味を特徴付ける4−メチルチオ−2−ブタ
ノンを閾値以上、上限以下含有しているためである。
(5)脱脂粉乳の製パン適性
脱脂粉乳の製パン特性は、パンの膨らみ、柔らかさ、風味で評価した。比較例(1),比較例(2),比較例(3)と従来の製造条件の範囲で加熱条件が強くなるとパンの膨らみは増加し柔らかくなることがわかった。
本発明の脱脂粉乳では、膨らみは比較例(3)と同等であったが、柔らかさはさらに向上した。
したがって、総合的に見ると実施例(1)、実施例(2)、実施例(3)は比較例(1)、比較例(2)、比較例(3)に比べて製パン特性が優れていると判定できる。
また、風味をみると、従来の製造法で焼成した比較例(1),比較例(2),比較例(3)のパンは、次第に小麦臭が減っていくものの、乳と小麦臭とを混合した風味であった。
一方、実施例(1)、実施例(2)、実施例(3)はパンの小麦臭をマスキングしすっきりした味に仕上がっていた。これは風味を特徴付ける4−メチルチオ−2−ブタノンの影響と考えられる。
本発明の脱脂粉乳に特徴的な香気成分は風味に直接影響していると考えられるが、本製造条件によって付随的に脱脂粉乳の製パン特性も改良されていた。比較例(1)、比較例(2)、比較例(3)にみられるように、従来の製造条件の範囲で加熱条件を強くすると、製パン適性が改善されることは公知であった。
しかし、本発明脱脂粉乳の製造条件にみられるように、従来の枠を超えてもさらに製パン適性が改良されたのは新しい知見である。
(6)脱脂粉乳の缶コーヒー適性
缶コーヒーの風味をみると、比較例(1),比較例(2)は乳感が強くコーヒー感を減らす傾向にあった。比較例(3)まで加熱条件を強くすると乳感は減っていくものの、特徴的な風味は感じられない。
一方、実施例(1)、実施例(2)、実施例(3)の脱脂粉乳はコーヒー感を引立たせるすっきりした風味であった。
この特徴は、長期保存やホットベンダーでの保存においても維持され、比較例(1)、(2)が保存とともに乳感が減少し雑味が増加するのに比べて実施例(2)の脱脂粉乳の風味変化は小さかった。
また、ホットベンダーで保存した場合の沈殿形成の抑制効果は高く、比較例(1)、比較例(2)は保存期間とともに沈殿量が増加したのに比べ、実施例(2)の沈殿量は変化しなかった。このように脱脂粉乳の種類が保存時の状態変化の抑制に大きく影響し、かつ、従来の枠を超えて加熱された脱脂粉乳の抑制効果が高いことは新しい知見である。
以上、比較例、実施例を含む試験区6種の脱脂粉乳の試験結果から、本発明脱脂粉乳は、これまでとは異なる加熱条件を工夫することにより、新しい風味発現物質4−メチルチオ−2−ブタノンが生成され、この影響で脱脂粉乳を使った還元脱脂乳、製パン、缶コーヒーに新しい風味を発現させた。
この風味は、従来の脱脂粉乳が持っていた乳感とは異なる甘い加工臭を呈し、脱脂粉乳を使う加工食品の新しい可能性を導出するものとして大いに期待される。また、本工程で製造された本発明の脱脂粉乳は、パン物性向上、缶コーヒーの沈殿抑制効果を有していた。これらの特性も脱脂粉乳の新しい機能として用途が期待される。
脱脂粉乳の風味増強剤としての適性
(実施例)茶系飲料
以下の飲料サンプルに関して、実施例2のうち比較例(1)、比較例(2)、実施例(2)のいずれかの脱脂粉乳を添加し、85℃の熱湯中で5分間加熱した。冷却後にその風味をパネラー(5名)により評価した。脱脂粉乳の添加量は0.5重量%、1.5重量%とした。
実施例(A):市販ペットボトル緑茶1
実施例(B):市販ペットボトル緑茶2
実施例(C):市販ペットボトル緑茶3
実施例(D):粉末抹茶10重量%還元
実施例(E):紅茶(茶葉抽出)
実施例(F):ウーロン茶(茶葉抽出)
(特性評価結果)
各飲料の風味を官能評価した結果を表7に示す。
比較例(1)は乳感が強いためにお茶の風味をマイルドにしたが、お茶そのものの風味を増強させる効果はもっていなかった。また、比較例(2)は脱脂粉乳の加工臭が出てしまい、お茶との相性は好ましくなかった。一方、実施例(2)の脱脂粉乳は、乳感はほとんど感じられず、お茶の苦味や渋味を引き立たせた風味であった。添加量に関しては、0.5重量%添加では乳感が出ないのに対し、1.5%重量添加した場合にはお茶の風味を引き立てる一方、乳感もでていた。
Figure 0004797126
さらに、0.05%、0.005%に関しても実施例2のうちの実施例(2)のサンプルを用いて評価を行ったところ、0.005%が下限値であると判断した。よって茶系飲料に対する脱脂粉乳の添加量範囲は0.0005%〜1.5%が好適である。
(ホワイトソース)
Figure 0004797126
上記表8に示すように、鍋又はニーダーでマーガリン(商品名:雪印ケーキ用マーガリン)6.5重量%を加熱し、小麦粉(薄力粉:日清製粉製商品名「フラワー」)6.5重量%及び乳化剤(モノグリセライド:理研ビタミン製商品名「エマルジーSNP」)を0.006%、キサンタンガム0.01%を加え110℃まで加熱する。チーズを加える場合は、さらにチーズ(ナチュラルチーズ:国産ゴーダチーズ)5%を加え、溶解分散させる。さらにダマが出来ないように還元乳(脱脂粉乳10%を清水50%で溶解した溶液)を少しずつ加え、均一になるまで撹拌混合する。
次に香辛料(ホワイトペッパー末)0.03%、白ワイン(シャブリ)1%、食塩0.3%を加え、残りの清水を総量で100%になるように加え、均一になるまで撹拌する。これを冷却後グラタン用具材を入れたグラタン容器に充填しトッピングを行いマイナス20℃で凍結し、7日保存後、室温にて自然解凍させ、オーブントースターで加熱調理し、比較した。
(評価試験)
なお、以下のサンプルにおいては、実施例2のうち比較例(1)、比較例(2)、実施例(2)のいずれかの脱脂粉乳を添加し、さらにチーズを添加したホワイトソースを調整後グラタン用トレーに充填、マイナス20℃で冷凍し、7日保存後、室温にて自然解凍させ、オーブントースターで加熱調理した。調理後にその風味を専門パネルにより評価した。
脱脂粉乳の添加量は、ホワイトソース中10重量%とした。
(特性評価結果)
ホワイトソースの風味を官能評価した結果を表9に示す。
以下の表9(ホワイトソースの風味を官能評価)に示すように、実施例2のうち比較例(1)はアッサリした特徴があり、チーズ入りではチーズ感が弱くなっていた。比較例(2)は従来品に見られる脱脂粉乳の加工臭が出ていた。一方、実施例(2)の脱脂粉乳は、グラタンの調理臭が増強され食欲をそそる風味になりさらにチーズ入りは熟成の進んだ濃い風味のチーズ風味になり濃厚な味を示していた。
Figure 0004797126

Claims (6)

  1. 4−メチルチオ−2−ブタノンを9〜30ppb含有する脱脂粉乳。
  2. 脱脂乳の加熱殺菌工程として、125〜135℃の温度範囲に達するまで少なくとも120秒間加熱され、該温度範囲で少なくとも3秒間保持することにより4−メチルチオ−2−ブタノンを生成せしめることを特徴とする請求項1に記載の脱脂粉乳の製造方法。
  3. 4−メチルチオ−2−ブタノンを9〜30ppb含有せしめてなる食品の風味改善用脱脂粉乳。
  4. 前記食品が、パン類、コーヒー飲料類、お茶類、ホワイトソース類のいずれかであることを特徴とする請求項記載の食品の風味改善用脱脂粉乳。
  5. 4−メチルチオ−2−ブタノンを9〜30ppb含有する脱脂粉乳を添加することにより風味を増強させてなることを特徴とするパン類、コーヒー飲料類、お茶類又はホワイトソース類。
  6. 4−メチルチオ−2−ブタノンを9〜30ppb含有する脱脂粉乳を添加することによるパン類、コーヒー飲料類、お茶類又はホワイトソース類の風味増強方法。
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