JP4785669B2 - 汚染ガス浄化装置および汚染ガス浄化方法 - Google Patents

汚染ガス浄化装置および汚染ガス浄化方法 Download PDF

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Description

本発明は、汚染ガス中の臭気成分または有害成分等を分解して無害化する汚染ガスの浄化装置および汚染ガスの浄化方法に関する。
従来よりガス浄化装置として、例えば空気を浄化処理する空気浄化装置などがあるが、これらは空気中のタバコの臭い、食品の臭い、体臭、ペット臭、建築物の臭い、揮発性有機化合物(略称VOC)等に起因する塗装や塗料の臭い、自動車の排気ガスの臭い(NOx等)などの臭気成分や有害成分を除去する目的で、民間の家庭から店舗、工場、医療機関などで使用されている。
従来の空気浄化装置においては、活性炭やゼオライトなどの吸着剤から成る吸着部材を使用し、空気中の臭気成分や有害成分を吸着除去するものがあるが、これらの装置においては吸着部材が上記の臭気成分や有害成分をほぼ飽和状態になるまで吸着すると空気浄化性能が大幅に低下するため、吸着部材を定期的に交換する必要がある。
そこで、吸着部材で吸着した臭気成分または有害成分を、該吸着部材に熱風を当てて脱離させることにより、吸着部材を再生する方式の空気浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この公報に記載の装置では、吸着部材から脱離した臭気成分や有害成分を、高温に加熱した触媒に通過させることにより酸化分解させる。この加熱方式による酸化分解処理においては、通常吸着部材から上記の臭気成分や有害成分を脱離するために吸着部材を200℃程度まで加熱し、更に脱離した成分を酸化分解するために触媒部材を400℃程度まで加熱する必要がある。こうした高温加熱を脱離や酸化分解処理に用いるとランニングコストが高く、特に吸着部材の再生後に行なう触媒での酸化分解処理に関してこの問題が顕著になる。
一方、各種の環境汚染ガスを高効率・低コストで分解するシステムの研究開発が盛んに進められており、その一つの方法としてプラズマが利用されている。プラズマはその発生方法および発生条件によって、熱平衡プラズマと非平衡プラズマに分類される。熱平衡プラズマに属する誘導結合プラズマを利用したフロン分解装置が既に稼動している。しかし、一般的には非平衡プラズマの方が熱平衡プラズマに比べよりコンパクトな装置で汚染ガスの高効率・低コスト分解が可能なため、精力的にその利用が検討されている。非平衡プラズマは、たとえば電子ビーム法、バリア放電法、パルス放電法、マイクロ波放電法などにより発生させることができる。
低温プラズマを効果的に発生させる技術およびそれを用いた有害ガス分解技術は、たとえば、コロナ放電あるいはストリーマ放電などで形成された非平衡プラズマを用いた環境汚染ガスの分解装置に応用されており、このような装置によれば、環境汚染ガスをある程度高効率・低コストで分解することが可能である(例えば、特許文献2参照)。以下、この装置について図6を参照しながら簡単に説明する。
図6に示すように、吸込み口601に入った汚染ガスは、まず集塵用フィルタ602を通過した後、金属が網目状に構成されてなる平坦な放電用電極606と接地電極609および、その間に配置されているハニカム構造体607からなる触媒ユニットを通過する。ハニカム構造体607はセラミックなどの誘電体から成っており、ガスが通過できるよう、至るところに貫通した開口穴608が開いている。開口穴608の内部の側面壁には、金属酸化物あるいは貴金属から成る触媒微粒子が担持されている(図示せず)。このような構成を採ることにより、汚染ガスはハニカム構造体607の開口穴608を通り抜ける間に、酸化分解されることになる。
本装置においては、電源装置604を起動した際、制御回路605が自動的に働いて送風機603の駆動と放電電極606に印加する放電用電圧の制御を行なっており、放電電極606に高電圧が印加されることで放電電極606と接地電極609間に放電現象が起こり放電電極606とハニカム構造体607の間にプラズマが形成される。該プラズマは非平衡プラズマと呼ばれるものである。これは、真空装置内などの低圧雰囲気下で形成される熱平衡プラズマとは異なり、空気中しかも大気圧下で形成されるため、プラズマ密度は不均一である。プラズマにより、空気中の酸素分子は酸素原子に分解されオゾンが発生すると同時に、空気中の有害ガスも分解される。分解された有害ガスの成分は、オゾンと反応して酸化され、無害な炭酸ガスや水として排気口612から排出されることになる。
しかしながら、図6に示したプラズマ触媒法においては非平衡プラズマを形成する際、熱平衡プラズマと違って、プラズマ中のプラズマ密度を均一に保つのが難しく、放電領域の中には非プラズマ状態の場所が至る所に存在するため、ハニカム構造体607の開口穴608内部の至る所で未反応の場所ができることになる。このため、加熱方式ほどの浄化処理能力が無かった。したがって、従来のコロナ放電やストリーマ放電よりも均一なプラズマ密度を補償できるプラズマ形成方法の確立が望まれていた。従来の放電法では大気中で均一なプラズマを作るのは困難であって、電極の構成の仕方や電圧の掛け方などいろいろな工夫がなされたものの、依然として放電電極606と接地電極609との間の放電空間の大部分は、非プラズマ領域で占められておりプラズマ密度の均一化には到底及ばないものであった。
また、臭気ガスや有害ガスの触媒反応部での酸化反応が十分ではないため、二酸化炭素や水などの無害な物質に至ることなく新たな臭気成分や有害成分として排気されてしまうという問題もあり、触媒開口内部の有害ガスのほとんどを分解・酸化できるような技術が望まれていた。また、放電で生じたオゾンの量も現状においては、触媒開口内部に入った臭気ガスや有害ガスと反応するには量的に十分なものとはいえない。
特開平7−256047号公報 特開平11−319486号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、従来と比較してより均一なプラズマ密度を有し、かつよりプラズマ密度が高いプラズマを実現させることにより、汚染ガスの浄化処理能力に優れた汚染ガスの浄化装置および汚染ガス浄化方法を提供することである。
本発明の汚染ガス浄化装置は、プラズマ発生用の放電電極と対向電極とを有し、該プラズマを利用して汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分を分解および/または酸化する汚染ガス浄化装置であって、該放電電極と該対向電極との間に電磁波の透過が可能な材質から成るハニカム構造体を有し、該ハニカム構造体に電磁波を入射するよう配置された電磁波発生装置を敷設したことを特徴とする。このような本発明の装置によれば、臭気成分および有害成分となる汚染ガス中の有機物を二酸化炭素や水などの無害な物質に効率的に転換することができる。
また本発明の汚染ガス浄化装置は、上記汚染ガス浄化装置において、前記放電電極と前記対向電極との間にマイクロ波の透過が可能な材質から成るハニカム構造体を有し、該ハニカム構造体にマイクロ波を入射するよう配置されたマイクロ波発生装置を敷設したことを特徴とする。
ここにおいて、前記ハニカム構造体は、電磁波の導波路を有していることが好ましい。
また本発明の汚染ガス浄化装置においては、汚染ガス浄化装置内における、(a)前記放電電極と前記対向電極との間の空間であるプラズマ放電空間と、(b)前記電磁波発生装置との間の空間を電磁波遮蔽壁で覆うことが好ましい。
また本発明の汚染ガス浄化装置においては、さらに前記ハニカム構造体の周縁を電磁波遮蔽壁で覆うことが好ましい。
さらに本発明は、放電電極と対向電極との間のプラズマ放電空間に形成されるプラズマまたはプラズマによって発生する酸素ラジカルもしくはオゾンによって汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分を分解および/または酸化する工程を有する汚染ガス浄化方法において、該放電電極と該対向電極との間に配置されるハニカム構造体に電磁波を入射することにより、分解および/または酸化を促進することを特徴とする汚染ガス浄化方法をも提供する。
ここにおいて、入射する電磁波は、マイクロ波であることが好ましい。また、入射するマイクロ波の周波数は、1G〜4GHzであることが好ましい。
また、入射するマイクロ波の周波数は、ハニカム構造体が有する開口穴の内部で発生するプラズマの振動数より低いことが好ましい。
本発明の汚染ガス浄化装置によれば、プラズマ放電空間におけるプラズマ放電と電磁波との相乗効果によって、プラズマ放電のみでは容易に分解することができなかった、汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分を効果的に分解、酸化することができる。
また、本発明の汚染ガス浄化装置によれば、極めて効率的に汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分を分解、酸化することができるため、消費電力を下げることができる。また、本発明によれば、コンパクトな汚染ガス浄化装置を提供することができる。
さらには、汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分を効果的に分解できることから、未分解反応物の付着・堆積による性能劣化という問題が軽減され、本発明の装置に使用される触媒反応部、すなわち触媒フィルタは、長期間高性能を維持することができる。
また、本発明の汚染ガス浄化方法によれば、表面波励起プラズマの発生により、新たにプラズマ領域が形成され、さらにはプラズマ放電だけではなし得なかったプラズマ密度の均一化、プラズマ密度の上昇が実現されるため、汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分の分解、酸化をより効果的に行なうことができる。
本発明の汚染ガス浄化装置は、プラズマ発生用の放電電極と対向電極とを有し、該プラズマを利用して汚染ガス中の臭気成分および有害成分を分解および/または酸化する汚染ガス浄化装置であって、該放電電極と該対向電極との間に電磁波の透過が可能な材質から成るハニカム構造体を有し、該ハニカム構造体に電磁波を入射するよう配置された電磁波発生装置を敷設したことを特徴とする。このように、プラズマが発生しているハニカム構造体に電磁波を照射することにより、当該ハニカム構造体の開口壁に吸着した臭気成分および/または有害成分となる汚染ガス中の有機物を、発生しているプラズマ、さらには照射された電磁波によって発生した表面波励起プラズマによって分解、酸化することができるため、二酸化炭素や水などの無害な物質に効率的に転換することができる。なお、表面波励起プラズマについては後述する。以下、本発明の汚染ガス浄化装置の好ましい実施形態について述べる。
ここで、本明細書中において「汚染ガス」とは、臭気成分および/または有害成分で汚染されたガスのこと指す。また、「臭気成分および/または有害成分」とは、人体に不快な臭いおよび/または有害性をもたらす物質を指す。このような「臭気成分および/または有害成分」としては、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物(略称VOC)等の有機化合物やNOx、SOxなどの無機化合物が挙げられる。
第1の実施形態
図1は、本発明の汚染ガス浄化装置の第1の好ましい実施形態を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る汚染ガス浄化装置は、臭気成分および/または有害成分を含む汚染ガスを導入する吸い込み口1、集塵フィルタ2、汚染ガスを移送するための送風機3、電源装置4、放電電極6、ハニカム構造体7、対向電極9、電磁波発生装置11、吐き出し口12を有している。このような構成を有することにより、吸い込み口1から導入された汚染ガスは、送風機3によって集塵フィルタ2を介して移送され、放電電極6と対向電極9に挟まれた空間であるプラズマ放電空間を通過した後に吐き出し口12から排出される。ここで、ハニカム構造体7は、プラズマ放電空間、すなわち放電電極6と対向電極9との間に配置されている。以下、プラズマ放電用の放電電極6、対向電極9およびハニカム構造体7から構成されるユニットを「触媒ユニット」という。
放電電極6に高電圧が印加されると、放電電極6と対向電極9(通常接地されている)との間に放電現象が起こり放電電極6とハニカム構造体7との間に放電プラズマが形成される。このようにプラズマが形成される触媒ユニット内で、集塵フィルタ2で除去しきれなかった汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分は処理されることになる。なお、図1に示されるように、電源装置4を起動した際、送風機3の駆動と放電電極6に印加する放電用電圧を自動的に制御できるように制御装置5を設けてもよい。
放電電極6および対向電極9の材料としては、特に限定されないが、たとえば白金を用いることができる。
<ハニカム構造体7>
本実施形態においては、触媒反応部としてハニカム構造体7を用いる。通常のハニカム構造体の材料には、鉄製の金属材料や、アルミニウムやシリコンなどを一緒に焼き固めたセラミック材料などが用いられる。しかし、本発明のハニカム構造体の材料には、電磁波の透過性が高いものが使用される。そのようなものとしては、たとえば、電磁波の透過性が高い石英やシリカガラスなどの誘電体、マイクロ波の透過性が高いセラミック材料であるジルコニアやアルミナなどの誘電体を挙げることができるが、電磁波の透過性が高い材料である限り、これらに限定されるものではない。
本発明のハニカム構造体7としては、たとえば図5(A)に示されるように、石英またはシリカガラスなどのように透明な誘電体からなる基板61に多数の開口穴62(図1における開口穴8)を設けたものが好ましく使用される。ハニカム構造体が透明であることでハニカム構造体7内部での広範囲の波長域の電磁波(あるいはマイクロ波)の伝播が容易となる。ここで、図5(A)においては、ハニカム構造体は四角形状を有しているが、これに限られるものではなく、装置の形状に応じて適宜の形状をとり得る。また、開口穴62の形状も特に円形に制限されるものではない。ハニカム構造体7のサイズは装置に応じて適宜の大きさとすることができ、たとえば縦横10cm、厚さ1cmなどとすることができる。また、開口穴62の開口径も特に制限されるものではないが、たとえば1mm〜3mm程度とすることができる。ハニカム構造体7は、装置内に導入されたガスが触媒ユニットを通過できるように、開口穴62の貫通方向と送風方向が略平行となるように配置されるのが望ましい。
また、本発明の汚染ガス浄化装置に好ましく用いられるハニカム構造体7の別の例としては、図5(B)に示されるようなハニカム構造体が挙げられる。このハニカム構造体は、基板71に多数の矩形の開口穴72を設け、さらにその外周に電磁波の導波路73をアレイ状に設けたものである。ここで、導波路とは電磁波(マイクロ波)をその内部に閉じ込めた状態で伝播することを可能にする構造物であって、電磁波(マイクロ波)の該構造物外への拡散を抑止する機能も有しているものである。この電磁波(マイクロ波)の導波路内部での閉じ込め効果は、導波路内部の誘電率もしくは屈折率が導波路外部(例えば、導波路表面の保護膜あるいは空気)の誘電率もしくは屈折率よりも大きい場合に生じ、その差が大きいほど顕著になる。したがって、導波路73の誘電率は基板71および空気の誘電率よりも高いことが望ましい。
図5(B)に示されるハニカム構造体の基板71は電磁波の透過性が極めて少ない、あるいは無いものでも構わない。これは、開口穴72の外周に導波路73が設けられる場合には、浄化反応に寄与する電磁波(マイクロ波)が導波路73もしくは開口穴72内部にさえ存在すればよいためである。また、基板71が金属であれば電磁波(マイクロ波)を反射しやすく導波路73内部での電磁波(マイクロ波)の伝播に何ら問題とならないが、金属製の基板71そのものに照射され反射した電磁波(マイクロ波)は電磁波発生装置に戻ってしまい該装置の故障につながる可能性がある。そのため、基板71にはマイクロ波吸収性のある誘電体を用いることが好ましい。例えば、ハニカム構造体を構成する基板71には、電磁波(マイクロ波)透過性の無いカーボン製の基板を使用することができる。導波路73は電磁波(マイクロ波)の透過性の高い石英製であるのが望ましい。こうして電磁波(マイクロ波)は導波路の表面で反射しやすく内部で閉じ込められた状態で伝播することになる。
このような導波路73を設けることにより、電磁波の指向性が高まるため、表面波励起プラズマを発生させるために必要な電磁波エネルギーの損失を低減することができる。結果、高結合効率で各導波路73中に電磁波を入れて伝播させた際、図5(A)のような通常のハニカム構造体以上のエネルギー効率が得られる。なお、よりエネルギー効率を高めるためには、電磁波発生装置においても電磁波送信部をアレイ状に並べて指向性を高めるようにすることが好ましい。たとえば、スロットアンテナの構成によって指向性を上げることが可能である。
ハニカム構造体7の開口穴8(図5においては62または72)の内部には、汚染ガス中の臭気成分や有害成分の酸化を促進するための微粒子触媒を担持することができる。このような酸化触媒としては、Au、Pt、Rh、Pdなどの貴金属を含む触媒が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、TiO2などのような光触媒を担持することもできる。このような微粒子触媒の担持は、開口穴8の内部に限定されるものではなく、ハニカム構造体7全体に担持してもよい。
酸化触媒微粒子のサイズは、特に限定されるものではなく、たとえば2〜20nmのものが使用される。また、担持する触媒の量も特に限定されないが、たとえばハニカム構造体の単位体積当たり0.1〜10g/L程度である。
このように、ハニカム構造体7に触媒微粒子を担持することにより、汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分は、表面波励起プラズマを含むプラズマ自体により分解されるだけでなく、当該プラズマによって発生する酸素ラジカルもしくはオゾンにより化学的に酸化されるが、当該触媒により、その酸化反応は極めて効率的に起こることになる。
以上のように、本実施形態においては、電源装置4により、放電電極6に高電圧が印加されるとプラズマ放電空間、すなわち放電電極6と対向電極9との間に非平衡プラズマが形成されるが、ここで、本実施形態に係る汚染ガス浄化装置は当該非平衡プラズマに電磁波を照射するための電磁波発生装置11を備えていることを特徴としている。電磁波発生装置11は、ハニカム構造体7に電磁波を入射できるように配置される。このように、電磁波を非平衡プラズマに照射することにより、高密度でかつプラズマ領域が広い表面波励起プラズマが形成されるため、汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分は、より効率的に酸化、分解される。
ここで、非平衡プラズマと電磁波との相互作用によって実現される高密度プラズマ、すなわち表面波励起プラズマについて説明する。
磁界のない雰囲気において電磁波をプラズマに照射すると、プラズマの表面を伝わる波が励起されることが知られている。これは電磁波の周波数がプラズマ振動数よりも小さい場合、プラズマに浸入する電磁波は光速をプラズマ振動数で割った数値のオーダ程度しか浸入できないこと(電磁波が浸入できる深さをプラズマ表皮厚さといい、この深さの間で電磁波は急速に減衰する)による。このように、低周波数の電磁波はプラズマ内部に入り込めず、プラズマ周辺を励起し続ける。
大気圧環境下でコロナ放電あるいはストリーマ放電を起こした場合、発生したプラズマに強い電磁波を照射し続けると、枝状の放電プラズマ周辺を励起し周辺のプラズマ密度が上昇し、放電プラズマの領域は広がっていく。このようにプラズマが発生していない領域においても電磁波が入り込むことにより、短時間で新たな枝状のプラズマが形成され続け、プラズマ密度の高いプラズマ領域が形成される。本発明においては、このようなプラズマ密度の高いプラズマ領域は放電電極と対向電極との間、すなわちプラズマ放電空間に形成されることになる。この強い電磁波を照射して励起された高密度のプラズマのことを「表面波励起プラズマ」という。
本発明においては、表面波励起プラズマの発生領域は、ハニカム構造体7が有する開口穴8においては、開口穴8内部の開口壁と空気との界面近傍の至るところである。したがって、当該開口壁に吸着した汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分は、このような開口穴8内部のプラズマおよび表面波励起プラズマによって、効果的に分解、酸化される。
表面波励起プラズマは、半導体製造装置関連では反応性イオンエッチング装置やアッシング装置などに既に採用されている技術であるが、主として均一なプラズマ雰囲気(熱平衡プラズマ)と広く平坦な半導体基板やウェハ上で上記の作用が実現されていることが確認されていただけであり、本発明のように、汚染ガス浄化装置が備えるハニカム構造体7の開口穴8内部に表面波励起プラズマを発生させて、効率的に汚染ガスを浄化するという技術は、従来にはない画期的なものである。
ここで、触媒ユニット内にプラズマが発生した場合であっても、そのままではハニカム構造体7の開口穴8内部にはプラズマが形成されにくい状態にある。すなわち、高電圧を印加しても、一部の開口穴8内部にプラズマが形成されるだけであり、開口穴8のすべてにプラズマが形成される訳ではない。このような問題を解決するために、本実施形態においては、前述したようにハニカム構造体7に電磁波を入射できるように電磁波発生装置11を備える。さらにプラズマおよび表面波プラズマ領域を開口穴8内部に効果的に形成できるようにするためには、電磁波発生装置11は、図1に示されるように、電磁波の伝播方向がハニカム構造体7の開口穴8の貫通方向と略平行となるよう配置されることが好ましい。図1においては、かかる配置の一例として電磁波発生装置11は、対向電極9の風下側に配置されているが、これに限られるものではなく、放電電極6の風上側に配置することも可能である。このような配置とすることにより、電磁波は直接的に開口穴8内部に入り込むことができるようになる。
また、電磁波発生装置11が対向電極9の風下側に配置された場合の電磁波発生装置11と対向電極9間の距離もしくは電磁波発生装置11が放電電極6の風上側に配置された場合の電磁波発生装置11と放電電極6間の距離は、特に制限されないが、5〜10cm程度とすることができる。この距離があまりに長い場合には、電磁波が進行途中で拡散し、触媒ユニットに入射される電磁波の量が減少してしまうことになる。また、拡散した電磁波が装置内部の触媒ユニットとは関係ないところで水が結露した部分や有機物で接着した部分をいつのまにか加熱してしまい装置の損傷の原因となる場合や、電磁波が内部で反射しながら制御部の回路に至り誤動作や故障の原因ともなる場合がある。このような問題を解決するために、後述する本発明の第2または第3の実施形態に示されるような構成をとることができる。
このようにして、開口穴8内部に入った電磁波は、開口穴8内部にプラズマ放電空間に発生するプラズマを引き込む、あるいはプラズマと相互作用し表面波励起プラズマを発生させる。なお、図1においては、電磁波発生装置11とハニカム構造体7との間には対向電極9が存在するが、通常対向電極9は2mm程度の目開きを有する網目状に構成されるため、一部反射、吸収はあるものの、電磁波の大部分は、通り抜けることができ、ハニカム構造体7の開口穴8の内部に達する。ただし、対向電極9の目開きは、この値に限られるものではなく、適宜の値をとり得る。以下、開口穴8内部で表面波励起プラズマが形成される様子を詳細に説明する。
図4は、ハニカム構造体の開口穴内部で表面波励起プラズマが形成される様子を示した触媒ユニットの概念図である。図4において触媒ユニットは、放電電極6、対向電極9およびハニカム構造体26から構成され、ハニカム構造体26は、開口穴を有している。放電電極6には、針状の放電金属部27が等間隔に配置される。また、触媒ユニットは、汚染ガスが吸気口21から流れ込み、排気口22から出て行くように配置されている。図4においては、電磁波発生装置(図示せず)は、対向電極9の風下側に配置されており、電磁波発生装置から発生した電磁波30は、導波管29内を伝播してハニカム構造体26へと至る。
高電圧の印加により、針状の放電金属部27と対向電極9の間にはプラズマ28が生じる。上述したように、電磁波30のうち、プラズマ28の振動数より低い周波数を有する電磁波は、プラズマ28内に入り込めないため、一部の電磁波はハニカム構造体26の開口穴の内壁を伝播するようになる。この電磁波は、開口穴内のプラズマを励起し、内部のプラズマよりもプラズマ密度の高い表面波励起プラズマ31が形成される。さらにはプラズマが発生していない領域においても電磁波が入り込むことにより、短時間で新たなプラズマが形成され続け、プラズマ密度の高いプラズマ領域が形成される。
<プラズマ放電>
次に、図1を参照してプラズマ放電方式について説明する。本発明においては、大気圧プラズマの発生に高周波放電方式あるいはパルス放電方式を採用する。高周波放電方式の場合、ハニカム構造体7の開口穴8内部で発生するプラズマを含む、発生した大気圧プラズマは、高周波電圧と同じ周波数でプラズマ振動していると考えられる。放電電極6への印加電圧は、汚染ガス浄化装置の最大駆動電力の範囲内であり、かつ汚染ガス浄化装置にダメージを与えない範囲であるなら、数V程度の低電圧から数1000V程度の高電圧まで印加することが可能である。たとえば、印加電圧を100V、出力を500Wとすることができるが、これに限定されるものではない。また、プラズマの振動数も特に制限されるものではなく、たとえば4GHzとすることができる。ただし、高周波放電は高い印加電圧を絶えず維持しなければならず消費電力を大きく損なう。また、電磁波の照射も絶えず維持しなければならない。なお、上述したように、本実施形態においては、電源装置4の主電源をONにすることで自動的に制御装置5が起動して、送風機3が駆動するように制御するとともに、汚染ガスの臭気成分および/または有害成分を分解するのに最適な放電条件が選択されるようにしてもよい。また、電圧の印加は一定時間電圧が加えられた後、一定時間電圧供給がなくなるというような周期的に変化させることも可能である。制御装置5の制御回路にはあらかじめこのようなシーケンスが組まれていてもよく、または手動で放電の実行時間や停止時間をシーケンスとして入力できるようにしてもよい。
パルス放電方式の場合、パルス電圧が印加される瞬時に発生するプラズマの密度を上げるようマイクロ波を照射させておくか、同期させておく必要があるが、瞬時なので大電圧を印加させやすく、電磁波(マイクロ波)も長時間照射し続けておく必要がないため、実際の除去性能の効率化や低消費電力化に有効である。この場合、高強度のパルス電磁波(マイクロ波)を照射できるような電磁波発生装置11を使用すればよい。
<電磁波発生装置11>
次に、電磁波発生装置11について説明する。電磁波発生装置11としては、従来公知のものを使用することができる。電磁波には、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、ミリ波などが含まれるが、本発明の場合、マイクロ波が好ましい。ここで、マイクロ波とは周波数領域が300MHz〜3THzの電磁波を意味する。前述のように、表面波励起プラズマを発生させるにはプラズマの振動数より電磁波の周波数の方がより低いことが好ましく、マイクロ波が最も有効である。特にマイクロ波の周波数は、1〜4GHzであることが好ましい。これは、電子レンジなどで使用されている汎用性のあるマイクロ波の周波数帯域であり、臭気ガスや有害ガスの浄化に寄与する空気中の水分子を発熱させるのに有効な周波数でもあるからである。マイクロ波源としては、たとえば電子レンジ用のマグネトロンなどが使用できる。ハニカム構造体の開口穴内部に形成された非平衡プラズマの振動数(例えば、4GHz)より小さい周波数であれば、ある周波数帯域を有する電磁波(マイクロ波)を照射するのが好ましい。マグネトロンの発するマイクロ波の周波数は通常2.45GHzである。
以上のようにして構成された本発明の第1の実施形態である汚染ガス浄化装置は、その大きさが、たとえば縦40cm、横20cm、奥行き40cmの範囲内に収まるものであり、非常にコンパクトである。
なお、多孔性の媒質内部、すなわちハニカム構造体の開口穴内部で表面波励起プラズマが発生しているか否かを直接観測することは困難であるが、電磁波を照射しない場合との比較を行なうことにより、電磁波照射の効果を確認することができる。また、センサーを用いて、汚染ガス中の有機物の吸着状態をモニターし、その吸着量の変化で表面波励起プラズマが発生したか否かを判定することができる。具体的には、触媒ユニットの一部に透明窓を設け、赤外線照射部および赤外線受光部よりなる赤外線センサーを用いて、ハニカム構造体の開口穴内壁の吸着物質(有機物)の量の変化を見ることで吸着状態を確認した。より具体的には、透明窓のある開口穴内壁に局所的にトルエンの被膜を形成し、プラズマ放電中でのトルエンの吸光度の変化とその後の電磁波(マイクロ波)照射時での吸光度の変化を赤外線センサーで比べたところ、後者の方が吸光度の変化が著しいことがわかった。
このように、吸着状態をモニターすることにより、プラズマによる吸着物質の分解速度がわかるため、結果開口穴内壁近傍のプラズマ密度の変化を知ることができる。なお、放電させないでマイクロ波だけを照射しただけでは吸着トルエンの吸光度に変化は見られなかった。また、マイクロ波を照射せず、プラズマ放電用の印加電圧を500Vから700Vに上げても吸着トルエンの吸光度の変化量(減少量)は変わらなかった。このことからもマイクロ波により開口穴内壁近傍のプラズマ密度が上昇すること、開口穴内壁表面の吸着物質の除去に効果があることがわかった。
第2の実施形態
図2は、本発明の汚染ガス浄化装置の第2の好ましい実施形態を示す概略図である。ここでは、本実施形態において特徴的な部分についてのみ説明する。本実施形態において特徴的な部分とは、汚染ガス浄化装置内における、(a)放電電極6と対向電極9との間の空間であるプラズマ放電空間と、(b)電磁波発生装置11との間の空間を電磁波遮蔽壁13で覆うことである。
このように、電磁波遮蔽壁13を設けることにより、プラズマ放電空間と電磁波発生装置11との距離が比較的長い場合であっても、電磁波の出力を上げることなく当該距離が近い場合と同様の浄化性能を得ることができる。すなわち、電磁波遮蔽壁13は、電磁波のほとんどを反射させて触媒ユニットへの行路内に電磁波を閉じ込めることによって、電磁波の拡散によるエネルギー損失を抑える。また、拡散した電磁波が装置内部の触媒ユニットとは関係ないところで水が結露した部分や有機物で接着した部分をいつのまにか加熱してしまい装置を損傷させるといったこと、更には電磁波が内部で反射しながら制御部の回路に至るといったことを防ぐことができる。
図2は、図1の汚染ガス浄化装置のプラズマ放電空間と電磁波発生装置11との間の空間を電磁波遮蔽壁13で覆ったものである。電磁波遮蔽壁13は、従来公知のものが使用でき、たとえば鉄鋼、銅、アルミニウム等の金属などを網目状に構成したものが使用される。このように網目状とするのは、通気性を持たせつつ、マイクロ波の透過を防ぐためである。網目の目開きは特に限定されないが、送風時に圧力損失の問題が生じない程度の大きさであることが好ましく、たとえば1mm程度またはそれ以下とすることができる。
第3の実施形態
図3は、本発明の汚染ガス浄化装置の第3の好ましい実施形態を示す概略図である。ここでは、本実施形態において特徴的な部分についてのみ説明する。本実施形態において特徴的な部分とは、さらにハニカム構造体7(図示せず)の周縁を電磁波遮蔽壁13で覆うことである。図3は、図2に示される本発明の第2の実施形態に係る汚染ガス浄化装置に、さらにハニカム構造体7の周縁を電磁波遮蔽壁13で覆ったものであるが、これに限られるものではなく、本発明の第1の実施形態に係る汚染ガス浄化装置において、ハニカム構造体7の周縁を電磁波遮蔽壁13で覆ってもよい。また、電磁波遮蔽壁13で覆う部分はハニカム構造体7の周縁に限られるものではなく、触媒ユニット全体あるいは汚染ガス浄化装置全体を覆うようにしてもよい。
ここで、電磁波遮蔽壁13のうち、ハニカム構造体7の周縁を覆う部分は空気を通す必要がないため、第2の実施形態において用いられる電磁波遮蔽壁とは異なり、必ずしも網目状に構成しなくてもよい。したがって、たとえば、ハニカム構造体7の周縁を覆う部分の電磁波遮蔽壁13は、単に金属の板としてもよい。金属としては、好ましくは、鉄鋼、銅、アルミニウムなどが用いられる。ただし、透明なハニカム構造体7が用いられ、その開口穴8内にTiO2などの光触媒が担持されている場合には、外部から光を照射して当該光触媒を活性化できるよう網目状にすることが好ましい。
このように、さらにハニカム構造体7の周縁を電磁波遮蔽壁13で覆うことにより、より電磁波の拡散によるエネルギーの損失を抑えることができる。
さらに本発明は、放電電極6と対向電極9との間のプラズマ放電空間に形成されるプラズマまたはプラズマによって発生する酸素ラジカルもしくはオゾンによって汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分を分解および/または酸化する工程を有する汚染ガス浄化方法において、該放電電極6と該対向電極9との間に配置されるハニカム構造体7に電磁波を入射することにより、酸化反応を促進することを特徴とする汚染ガス浄化方法をも提供する。このような本発明の方法によれば、上述したようにプラズマが発生しているハニカム構造体7に電磁波を照射することにより、当該ハニカム構造体7の開口壁に吸着した臭気成分および/または有害成分となる汚染ガス中の有機物を、発生しているプラズマ、さらには照射された電磁波によって発生した表面波励起プラズマによって分解、酸化することができるため、二酸化炭素や水などの無害な物質に効率的に転換することができる。
本発明の方法に用いられる電磁波には、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、ミリ波などが含まれるが、マイクロ波が好ましく使用される。前述のように、表面波励起プラズマを発生させるにはプラズマの振動数より電磁波の周波数の方がより低いことが好ましいためである。マイクロ波の周波数は、1〜4GHzであることが好ましい。これは、電子レンジなどで使用されている汎用性のあるマイクロ波の周波数帯域であり、臭気ガスや有害ガスの浄化に寄与する空気中の水分子を発熱させるのに有効な周波数でもあるからである。また、ハニカム構造体7の開口穴8内部に形成された非平衡プラズマの振動数より小さい周波数であれば、ある周波数帯域を有する電磁波を照射してもよい。
本発明の方法は、本発明の汚染ガス浄化装置を用いて好適に実施することができる。本発明の汚染ガス浄化方法の他の詳細については、上述の本発明の汚染ガス浄化装置の説明においてすでに示しているため、ここでは省略する。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
本発明の第1の実施形態に基づく汚染ガス浄化装置の浄化性能試験を行なった。
(試験方法)
図1に示される本発明の第1の実施形態に係る汚染ガス浄化装置を1m3のチャンバー内に設置し密閉した。このチャンバー内に、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンからなる汚染ガスを導入し、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンの各々の濃度が10ppmになるようにした。汚染ガス浄化装置を10分間運転させた後、チャンバー内のガスを採取し、ホルムアルデヒドの濃度を液体クロマトグラフィー(島津製作所製LC−10AD)で測定し、トルエン、キシレンの各々の濃度をガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー社製GC−6890)で測定した。なお、当該汚染ガス浄化装置の詳細および運転条件は次のとおりである。ハニカム構造体7には、縦10cm、横10cm、厚さ1cmの石英からなるハニカム構造体を使用した。このハニカム構造体7は、平均開口径が1mmの開口穴8を多数有し、その開口壁には酸化触媒として白金微粒子をハニカム構造体1L当たり2gの濃度で担持している。対向電極9と電磁波発生装置11との距離は、10cmとした。また、大気圧プラズマは、高周波放電方式に則って、印加電圧100V、出力500W、振動数4GHzで発生させた。電磁波発生装置11には、電子レンジなどで使用されるマグネトロン(東芝ホクト電子株式会社製の電子レンジ用マグネトロン)を使用し、この電磁波発生装置11から周波数2.45GHz、出力500Wのマイクロ波を発生させた。また、本汚染ガス浄化装置に導入される汚染ガスの流量は、吸い込み口1において1m3/分とした。
また、上記と同様の装置であって、電磁波発生装置11を有しないものについても、同様の実験を行ない、上記装置の試験結果と比較した。
(試験結果および評価)
本発明の第1の実施形態に係る汚染ガス浄化装置を10分間運転した場合のホルムアルデヒド、トルエン、キシレンの各々の濃度は、0.1ppmであり、除去率が99%であることがわかった。一方、電磁波発生装置11を有しない装置においては、各々の濃度は5ppmであり、除去率が50%であることがわかった。
このことより、本発明の第1の実施形態に係る汚染ガス浄化装置の汚染ガス浄化性能は、従来のプラズマ方式のみによる汚染ガス浄化装置と比較して2倍性能が高いことがわかる。触媒ユニットの一部に設けた透明窓から、赤外線照射部および赤外線受光部よりなる自製の赤外線センサーを用いて、ハニカム構造体7の開口穴8の内壁に吸着したホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなどの吸着状態を確認ところ、これらの吸着量が赤外センサーの閾値より下がったことから、ハニカム構造体7に吸着したこれらの臭気、有害成分は、速やかに分解、酸化されていることがわかった。
さらに、本装置を半年間にわたり連続使用しても、未分解物の付着、堆積などの現象もみられず、かつ除去率99%の性能を維持した。
<実施例2>
本発明の第2の実施形態に基づく汚染ガスの浄化性能試験を行なった。
(試験方法)
図2に示される本発明の第2の実施形態に係る汚染ガス浄化装置を用い、実施例1と同様の試験を行なった。電磁波遮蔽壁13には、鉄鋼製で、目開き1mmの網目状のものを使用した。対向電極9と電磁波発生装置11の距離は、20cmとした。その他の条件については、実施例1と同じである。また、実施例1と同様に電磁波発生装置11を有しない装置についても同じ試験を行ない、比較した。
また、汚染ガスとして50ppmのホルムアルデヒドを含む汚染空気を用い、同様の実験を行なった後、チャンバー内のガスを採取し、炭酸ガスの濃度をガスクロマトグラフィー(GLサイエンス社製GC−4000)で測定した。この結果についても、電磁波発生装置11を有しない装置のものと比較した。
(試験結果および評価)
本発明の第2の実施形態に係る汚染ガス浄化装置を10分間運転した場合のホルムアルデヒド、トルエン、キシレンの各々の濃度は、0.1ppmであり、除去率が99%であることがわかった。一方、電磁波発生装置11を有しない装置においては、5ppmであり除去率は50%であることがわかった。また、本発明の第2の実施形態に係る汚染ガス浄化装置を10分間運転した場合の炭酸ガスの濃度は、50ppmである一方、電磁波発生装置11を有しない装置においては、20ppm程度であることがわかった。
このように、本発明の第2の実施形態に係る汚染ガス浄化装置の汚染ガス浄化性能は、従来のプラズマ方式のみによる汚染ガス浄化装置と比較して2倍ほど性能が高いことがわかる。さらには、電磁波遮蔽壁13を設けることにより、対向電極9と電磁波発生装置11間の距離を10cmから20cmに伸ばした場合であっても、同程度の浄化性能を維持できることがわかった。
また、本発明の第2の実施形態に係る汚染ガス浄化装置においては、運転後のチャンバー内の炭酸ガス濃度が、電磁波発生装置11を有しない装置の場合よりも高いことから、電磁波を組み合わせることにより、ホルムアルデヒドの分解、酸化が飛躍的に向上することがわかった。
<実施例3>
本発明の第3の実施形態に基づく汚染ガス浄化装置の浄化性能試験を行なった。
(試験方法)
図3に示される本発明の第3の実施形態に係る汚染ガス浄化装置を用い、実施例1と同様の試験を行なった。電磁波遮蔽壁13には、鉄鋼製で、目開き1mmの網目状のものを使用した。対向電極9と電磁波発生装置11の距離は、20cmとした。また、本試験においては、電磁波の出力を500Wではなく、300Wとした。その他の条件については、実施例1と同じである。また、実施例1と同様に電磁波発生装置11を有しない装置についても同じ試験を行ない、比較した。
また、汚染ガスとして50ppmのホルムアルデヒドを含む汚染空気を用い、同様の実験を行なった後、チャンバー内のガスを採取し、炭酸ガスの濃度をガスクロマトグラフィーで測定した。この結果についても、電磁波発生装置11を有しない装置のものと比較した。
(試験結果および評価)
本発明の第3の実施形態に係る汚染ガス浄化装置を10分間運転した場合のホルムアルデヒド、トルエン、キシレンの各々の濃度は、0.1ppmであり、除去率が99%であることがわかった。一方、電磁波発生装置11を有しない装置においては、5ppmであり除去率は50%であることがわかった。また、本発明の第3の実施形態に係る汚染ガス浄化装置を10分間運転した場合の炭酸ガスの濃度は、50ppmである一方、電磁波発生装置11を有しない装置においては、20ppm程度であることがわかった。
このように、本発明の第3の実施形態に係る汚染ガス浄化装置の汚染ガス浄化性能は、従来のプラズマ方式のみによる汚染ガス浄化装置と比較して2倍性能が高いことがわかる。さらには、電磁波遮蔽壁13をハニカム構造体7周縁にまで設けることにより、出力を300Wに下げた場合であっても、同程度の浄化性能を維持できることがわかった。
また、本発明の第3の実施形態に係る汚染ガス浄化装置においては、運転後のチャンバー内の炭酸ガス濃度が、電磁波発生装置11を有しない装置の場合よりも高いことから、電磁波を組み合わせることにより、ホルムアルデヒドの分解、酸化が飛躍的に向上することがわかった。さらに、当該炭酸ガスの濃度は、本発明の第2の実施形態に係る汚染ガス浄化装置の場合と同程度であり、このことからも電磁波遮蔽壁13をハニカム構造体7周縁にまで設けることにより、出力を300Wに下げた場合であっても、同程度の浄化性能を維持できることがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の汚染ガス浄化装置の第1の好ましい実施形態を示す概略図である。 本発明の汚染ガス浄化装置の第2の好ましい実施形態を示す概略図である。 本発明の汚染ガス浄化装置の第3の好ましい実施形態を示す概略図である。 ハニカム構造体の開口穴内部で表面波励起プラズマが形成される様子を示した触媒ユニットの概念図である。 本発明の汚染ガス浄化装置に好ましく用いられるハニカム構造体の一例の概略図である。 従来の汚染ガス浄化装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 吸い込み口、2 集塵フィルタ、3 送風機、4 電源装置、5 制御装置、6 放電電極、7,26 ハニカム構造体、8,62,72 開口穴、9 対向電極、11 電磁波発生装置、12 吐き出し口、13 電磁波遮蔽壁、27 放電金属部、28 プラズマ、30 電磁波、31 表面波励起プラズマ、61,71 基板、73 電磁波の導波路。

Claims (8)

  1. プラズマ発生用の放電電極と対向電極とを有し、該プラズマを利用して汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分を分解および/または酸化する汚染ガス浄化装置であって、該放電電極と該対向電極との間に電磁波の透過が可能な材質から成るハニカム構造体を有し、該ハニカム構造体に、前記プラズマの振動数より小さい周波数を有する電磁波を入射するよう配置された電磁波発生装置を敷設したことを特徴とする汚染ガス浄化装置。
  2. 請求項1に記載の汚染ガス浄化装置において、前記放電電極と前記対向電極との間にマイクロ波の透過が可能な材質から成るハニカム構造体を有し、該ハニカム構造体にマイクロ波を入射するよう配置されたマイクロ波発生装置を敷設したことを特徴とする汚染ガス浄化装置。
  3. 前記ハニカム構造体が電磁波の導波路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の汚染ガス浄化装置。
  4. 汚染ガス浄化装置内における、下記(a)と(b)
    (a)前記放電電極と前記対向電極との間の空間であるプラズマ放電空間
    (b)前記電磁波発生装置
    との間の空間を電磁波遮蔽壁で覆うことを特徴とする請求項2または3に記載の汚染ガス浄化装置。
  5. さらに前記ハニカム構造体の周縁を電磁波遮蔽壁で覆うことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の汚染ガス浄化装置。
  6. 放電電極と対向電極との間とのプラズマ放電空間に形成されるプラズマまたはプラズマによって発生する酸素ラジカルもしくはオゾンによって汚染ガス中の臭気成分および/または有害成分を分解および/または酸化する工程を有する汚染ガス浄化方法において、該放電電極と該対向電極との間に配置される、電磁波の透過が可能な材質から成るハニカム構造体に、前記プラズマの振動数より小さい周波数を有する電磁波を入射することにより、分解および/または酸化を促進することを特徴とする汚染ガス浄化方法。
  7. 前記電磁波は、マイクロ波である請求項6に記載の汚染ガス浄化方法。
  8. 前記マイクロ波の周波数は、1G〜4GHzである請求項7に記載の汚染ガス浄化方法。
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