本発明は、かかる不都合を解消して、正及び負の空気イオンの生成量のバランスを、簡単な構成で安定して適切に調整することができるイオン生成装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の第1態様のイオン生成装置は、導体からなる放電針を有する互いに絶縁された一対の放電電極部と、該一対の放電電極部のうちの一方である第1放電電極部、及び該一対の放電電極部のうちの他方である第2放電電極部に、それぞれ正及び負の直流高電圧を印加する高圧電源とを備え、該正及び負の直流高電圧の印加によって、該第1放電電極部の放電針である第1放電針、及び該第2放電電極部の放電針である第2放電針の先端で発生するコロナ放電により、それぞれ正及び負の空気イオンを生成するイオン生成装置において、前記第1及び第2放電電極部から絶縁して、前記第1及び第2放電針と対向して設けられた導体からなる第3電極部を備え、該第1放電電極部と第2放電電極部とを、所定の抵抗値の第1抵抗及び所定の抵抗値の第2抵抗を直列に接続してなる直列回路を介して接続し、該第1抵抗と第2抵抗との接続部に、該第3電極部を接続することを特徴とする。
前記本発明の第1態様のイオン生成装置によれば、前記第1放電電極部と第2放電電極部とは、前記第1抵抗及び第2抵抗を直列に接続してなる直列回路を介して接続され、該第1抵抗と第2抵抗との接続部に、前記第3電極部が接続される。これにより、第3電極部の電位は、第1抵抗の抵抗値及び第1抵抗を流れる電流の大きさと、第2抵抗の抵抗値及び第2抵抗を流れる電流の大きさとに応じて、第1放電電極部と第2放電電極部との間の電圧を分圧した電位となっている。
このとき、第1放電電極部に印加する正の直流高電圧の大きさ、及び第2放電電極部に印加する負の直流高電圧の大きさは、所定の一定値に予め決められている。さらに、第1抵抗及び第2抵抗の所定の抵抗値は、例えば、第1及び第2放電針の後述するコロナ放電による、正の空気イオンと負の空気イオンとの生成量が同等のときに、第3電極部の電位が0となるように予め決められている。
そして、前記第1放電電極部に正の直流高電圧が印加されると、該第1放電電極部と前記第3電極部との間で、前記第1放電針の先端に集中する電界が形成され、この電界によって該第1放電針の先端で発生するコロナ放電により、正の空気イオンが生成される。また、前記第2放電電極部に負の直流高電圧が印加されると、該第2放電電極部と前記第3電極部との間で、前記第2放電針の先端に集中する電界が形成され、この電界によって第2放電針の先端で発生するコロナ放電により、負の空気イオンが生成される。この生成された正及び負の空気イオンの一部は、帯電体へ供給され、残部は、第3電極部に流れ込む。
このとき、例えば、正の空気イオンの生成量が負の空気イオンの生成量よりも多いときには、正の空気イオンの方が多く第3電極部に流れ込む。すなわち、第3電極部に正の電流が流れ込むこととなる。よって、第1放電電極部から第1抵抗及び第2抵抗を介して第2放電電極部へ流れる電流に加えて、第3電極部から第2抵抗を介して第2放電電極部へ流れる電流が生じる。このため、第2抵抗を流れる電流が第1抵抗を流れる電流より多くなるので、第3電極部の電位が正の側に偏る。そして、第3電極部の電位が正の側に偏ると、第1放電電極部と第3電極部との間で形成される第1放電針の先端に集中する電界は、第3電極部の電位が偏る前よりも弱くなる。このため、正の空気イオンの生成量が減少するので、正及び負の空気イオンの生成量を同等とするように、空気イオンの生成バランスが変化することとなる。
また、例えば、負の空気イオンの生成量が正の空気イオンの生成量よりも多いときには、負の空気イオンの方が多く第3電極部に流れ込む。すなわち、第3電極部に負の電流が流れ込むこととなる。よって、第1放電電極部から第1抵抗及び第2抵抗を介して第2放電電極部へ流れる電流に加えて、第3電極部から第1抵抗を介して第1放電電極部へ流れる負の電流(第1放電電極部から第3電極部へ流れる電流)が生じる。このため、第1抵抗を流れる電流が第2抵抗を流れる電流より多くなるので、第3電極部の電位が負の側に偏る。そして、第3電極部の電位が負の側に偏ると、第2放電電極部と第3電極部との間で形成される第2放電針の先端に集中する電界は、第3電極部の電位が偏る前よりも弱くなる。このため、負の空気イオンの生成量が減少するので、正及び負の空気イオンの生成量を同等とするように、空気イオンの生成バランスが変化することとなる。
これにより、例えば、装置の稼動が継続され、放電針の汚れ等の影響で、正及び負の空気イオンの生成量のバランスの特性が変化しても、空気イオンの生成バランスが予め設定された所望のバランスに適切に自己調整される。従って、本発明の第1態様のイオン生成装置によれば、正及び負の空気イオンの生成量のバランスを、装置の稼動状態によらずに安定して、簡単な構成で適切に調整することができる。
なお、前記高圧電源は、例えば、一定値の直流電圧を出力する直流電源回路と、該直流電源回路から直流電圧を入力して高周波電圧を出力する高周波発振回路と、該高周波発振回路の出力が1次側に接続された高周波トランスと、該高周波トランスの2次側に接続され、正及び負の直流高電圧をそれぞれ発生する正及び負の倍電圧整流回路とで構成される。これによれば、正と負との両方の直流高電圧を、直流電源回路、高周波発振回路、高周波トランスを共通に用いて出力することができる。よって、正の直流高電圧を発生する直流高圧電源と、負の直流高電圧を発生する直流高圧電源とを、それぞれ別に備えるよりも、イオン生成装置を小型で軽量なものにすることができる。
または、本発明の第2態様のイオン生成装置は、導体からなる放電針を有する互いに絶縁された一対の放電電極部と、該一対の放電電極部のうちの一方である第1放電電極部、及び該一対の放電電極部のうちの他方である第2放電電極部に、それぞれ正及び負の直流高電圧を印加する高圧電源とを備え、該正及び負の直流高電圧の印加によって、該第1放電電極部の放電針である第1放電針、及び該第2放電電極部の放電針である第2放電針の先端で発生するコロナ放電により、それぞれ正及び負の空気イオンを生成するイオン生成装置において、前記第1及び第2放電電極部から絶縁して、前記第1及び第2放電針と対向して設けられた導体からなる第3電極部を備え、該第1放電電極部と第2放電電極部とを、それぞれ抵抗値の可変な抵抗を介して該第3電極部に接続することを特徴とする。
前記本発明の第2態様のイオン生成装置によれば、前記第1放電電極部と第2放電電極部とは、それぞれ抵抗値の可変な抵抗を介して、前記第3電極部が接続される。これにより、第3電極部の電位は、第1放電電極部と第3電極部との間の抵抗値の大きさ、及びこの部分を流れる電流の大きさと、第2放電電極部と第3電極部との間の抵抗値の大きさ、及びこの部分を流れる電流の大きさとに応じて、第1放電電極部と第2放電電極部との間の電圧を分圧した電位となっている。
このとき、第1放電電極部に印加する正の直流高電圧の大きさ、及び第2放電電極部に印加する負の直流高電圧の大きさは、所定の一定値に予め決められている。さらに、第1放電電極部と第3電極部との間の抵抗値、及び第2放電電極部と第3電極部との間の抵抗値は、例えば、第1及び第2放電針の後述するコロナ放電による、正の空気イオンと負の空気イオンとの生成量が同等のときに、第3電極部の電位が0となるように設定されている。このとき、第2態様のイオン生成装置によれば、抵抗値の可変な抵抗を用いているので、例えば、装置を組み立てた後でも、抵抗値の設定を変更することで、第3電極部の電位を容易に調整することができる。このため、空気イオンの生成バランスが所望のバランスに自己調整されるように、第3電極部の電位を容易に設定することができる。
そして、前記第1態様のイオン生成装置と同様に、前記第1放電電極部に正の直流高電圧が印加されると、該第1放電電極部と前記第3電極部との間で、前記第1放電針の先端に集中する電界が形成され、この電界によって第1放電針の先端で発生するコロナ放電により、正の空気イオンが生成される。また、前記第2放電電極部に負の直流高電圧が印加されると、該第2放電電極部と前記第3電極部との間で、前記第2放電針の先端に集中する電界が形成され、この電界によって第2放電針の先端で発生するコロナ放電により、負の空気イオンが生成される。この生成された正及び負の空気イオンの一部は、帯電体へ供給され、残部は、第3電極部に流れ込む。
このとき、例えば、正の空気イオンの生成量が負の空気イオンの生成量よりも多いときには、正の空気イオンの方が多く第3電極部に流れ込む。すなわち、第3電極部に正の電流が流れ込むこととなる。よって、第2態様のイオン生成装置によれば、第1放電電極部から第2放電電極部へ流れる電流に加えて、第3電極部から第2放電電極部へ流れる電流が生じる。このため、第2放電電極部と第3電極部との間の抵抗を流れる電流が、第1放電電極部と第3電極部との間の抵抗を流れる電流より多くなるので、前記第1態様のイオン生成装置と同様に、第3電極部の電位が正の側に偏る。そして、第3電極部の電位が正の側に偏ると、第1放電電極部と第3電極部との間で形成される第1放電針の先端に集中する電界は、第3電極部の電位が偏る前よりも弱くなる。このため、正の空気イオンの生成量が減少するので、正及び負の空気イオンの生成量を同等にするように、空気イオンの生成バランスが変化することとなる。
また、例えば、負の空気イオンの生成量が正の空気イオンの生成量よりも多いときには、負の空気イオンの方が多く第3電極部に流れ込む。すなわち、第3電極部に負の電流が流れ込むこととなる。よって、第2態様のイオン生成装置によれば、第1放電電極部から第2放電電極部へ流れる電流に加えて、第3電極部から第1放電電極部へ流れる負の電流(第1放電電極部から第3電極部へ流れる電流)が生じる。このため、第1放電電極部と第3電極部との間の抵抗を流れる電流が、第2放電電極部と第3電極部との間の抵抗を流れる電流より多くなるので、前記第1態様のイオン生成装置と同様に、第3電極部の電位が負の側に偏る。そして、第3電極部の電位が負の側に偏ると、第2放電電極部と第3電極部との間で形成される第2放電針の先端に集中する電界は、第3電極部の電位が偏る前よりも弱くなる。このため、負の空気イオンの生成量が減少するので、正及び負の空気イオンの生成量を同等とするように、空気イオンの生成バランスが変化することとなる。
これにより、例えば、装置の稼動が継続され、放電針の汚れ等の影響で、正及び負の空気イオンの生成量のバランスの特性が変化しても、空気イオンの生成バランスが予め設定された所望のバランスに適切に自己調整される。従って、本発明の第2態様のイオン生成装置によれば、前記第1態様のイオン生成装置と同様に、正及び負の空気イオンの生成量のバランスを、装置の稼動状態によらずに安定して、簡単な構成で適切に調整することができる。なお、第2態様のイオン生成装置の高圧電源は、前記第1態様のイオン生成装置の高圧電源と同様に構成することができる。
さらに、本発明の第1態様及び第2態様のイオン生成装置において、前記第3電極部は、互いに平行に配設された、2つの棒状の電極で構成され、前記第1放電針及び第2放電針は、前記2つの棒状の電極の間で、該2つの棒状の電極と平行になるように定められた1つの列上に配置されており、該列には、それぞれ、該第1放電針と第2放電針とが、各放電針の軸心を該列と直交する方向に向けて、交互に並ぶように配置されていることが好ましい。
または、本発明の第1態様及び第2態様のイオン生成装置において、前記第3電極部は、1つの棒状の電極で構成され、前記第1放電針及び第2放電針は、前記1つの棒状の電極の両側のうちの一方の側で、該1つの棒状の電極と平行になるように定められた少なくとも1つの列上と、他方の側で該1つの棒状の電極と平行になるように定められた、該一方の側の列と同数の列上とに配置されており、該一方の側の列には、それぞれ、1つ以上の該第1放電針が、各放電針の軸心を該列と直交する方向に向けて配置され、該他方の側の列には、それぞれ、1つ以上の該第2放電針が、各放電針の軸心を該列と直交する方向に向けて配置されていることが好ましい。
または、本発明の第1態様及び第2態様のイオン生成装置において、前記第3電極部は、1つの棒状の電極で構成され、前記第1放電針及び第2放電針は、前記1つの棒状の電極の両側のうちの一方の側で、該1つの棒状の電極と平行になるように定められた少なくとも1つの列上と、他方の側で該1つの棒状の電極と平行になるように定められた、該一方の側の列と同数の列上とに配置されており、該列には、それぞれ、該第1放電針と第2放電針とが、各放電針の軸心を該列と直交する方向に向けて交互に並ぶように配置されていることが好ましい。
これによれば、上記のいずれにおいても、前記第3電極部は、棒状の電極で構成され、前記第1放電針及び第2放電針は、該第3電極部に対して対称的な位置に配置されているので、第1及び第2放電針の先端で生成された正及び負の空気イオンの、第3電極部への流れ込み易さは、偏りのないものとなる。よって、第3電極部に流れ込む正及び負の空気イオンの量は、正及び負の空気イオンの生成量のバランスをより的確に反映したものとなる。従って、第3電極部の電位が空気イオンの生成バランスに応じて適切に変化するので、正及び負の空気イオンの生成量のバランスが予め設定された所望のバランスに適切に調整される。なお、前記第1放電針及び第2放電針が複数の列上に配置される場合には、例えば、該第1放電針及び第2放電針が千鳥配置となるように配置されることが好ましい。
さらに、本発明の第1態様及び第2態様のイオン生成装置において、前記第1放電針及び第2放電針の先端で生成された正及び負の空気イオンを帯電体へ搬送するための空気を供給する供給手段を備え、前記第1放電針及び第2放電針は、前記供給手段による空気の供給方向に中心軸が向くように定められた円の周方向に、互いに間隔を存して交互に並ぶように配置され、前記第3電極部は、該円の中心軸上に配置されることが好ましい。
これによれば、前記第1放電針及び第2放電針は、前記供給手段による空気の供給方向に中心軸が向くように定められた円の周方向に、互いに間隔を存して交互に並ぶように配置され、前記第3電極部は、該円の中心軸上に配置されている。よって、第1放電針及び第2放電針は、第3電極部に対して対称的な位置に配置されているので、第1及び第2放電針の先端で生成された正及び負の空気イオンの、第3電極部への流れ込み易さは、偏りのないものとなる。よって、第3電極部に流れ込む正及び負の空気イオンの量は、正及び負の空気イオンの生成量のバランスをより的確に反映したものとなる。従って、第3電極部の電位が空気イオンの生成バランスに応じて適切に変化するので、正及び負の空気イオンの生成量のバランスが予め設定された所望のバランスに適切に調整される。さらに、前記供給手段から供給される空気により、正及び負の空気イオンが帯電体へ速やかに搬送されるので、効率良く帯電体の除電を行うことができる。
このとき、本発明の第1態様及び第2態様のイオン生成装置において、前記供給手段は、前記第1放電針及び第2放電針の先端で生成された正及び負の空気イオンを帯電体へ搬送するための圧縮空気を噴出するエアーノズルであることが好ましい。または、本発明の第1態様及び第2態様のイオン生成装置において、前記供給手段は、前記第1放電針及び第2放電針の先端で生成された正及び負の空気イオンを帯電体へ搬送するための空気を送出するファンであることが好ましい。
これによれば、前記エアーノズルから噴出される圧縮空気、又は前記ファンから送出される空気により、生成された正及び負の空気イオンが帯電体へ速やかに搬送される。
さらに、本発明の第1態様及び第2態様のイオン生成装置において、前記第3電極部の前記第1放電針及び第2放電針に対する位置を調整する手段を備えることが好ましい。
これによれば、前記第3電極部の前記第1放電針及び第2放電針に対する位置を調整する手段が備えられているので、第3電極部の位置を容易に調整することができる。よって、例えば、装置を組み立てた後でも、組み立ての誤差等の影響を補償して、第3電極部の電位が正及び負の空気イオンの生成バランスをより的確に反映して変化するように、第3電極部の位置を調整することができる。
本発明の一実施形態を添付の図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるイオン生成装置を示す説明図であり、図2は、図1のイオン生成装置の高圧電源の回路を示す説明図であり、図3は、図1のイオン生成装置の除電本体部を下面から見た平面図であり、図4は、図3のIV−IV線断面図である。なお、本実施形態におけるイオン生成装置は、本発明の第1態様に係るイオン生成装置である。
図1を参照して、本実施形態におけるイオン生成装置1の概略を説明する。このイオン生成装置1は、複数の放電針8,10をそれぞれ有する放電電極部8A,10Aと、放電電極部8A,10Aにそれぞれ正及び負の直流高電圧を印加する高圧電源1aと、放電針8,10と対向して設けられた第3電極部14とを備える。
各放電針8は、導体からなり、接続線(図示せず)により相互に電気的に接続されている。それらの放電針8と、各放電針8を相互に接続する接続線とにより、放電電極部8Aが構成される。同様に、各放電針10は、導体からなり、接続線(図示せず)により相互に電気的に接続されている。それらの放電針10と、各放電針10を相互に接続する接続線とにより、放電電極部10Aが構成される。なお、本明細書の図において、放電針8は白抜きで示し、放電針10は黒く塗りつぶして示している。また、各放電針8,10は、絶縁体により形成される支持部18aによって支持されている。さらに、第3電極部14は、導体からなり、絶縁体により形成されるエンド端支持部材19とリード端支持部材20とを介して、支持部18aによって支持されている。そして、放電電極部8A,10A、第3電極部14、支持部18a、エンド端支持部材19、リード端支持部材20により、除電本体部17aが構成される。なお、図1に示したように、イオン生成装置1によって帯電体Xの除電を行う場合には、帯電体Xに一定の距離を隔てて除電本体部17aを対峙させる(放電針8,10の先端を帯電体Xに対向させる)。
高圧電源1aは、一定値の直流電圧を出力する直流電源回路2と、直流電源回路2から直流電圧を入力して高周波電圧を出力する高周波発振回路3と、高周波発振回路3の出力が1次側に接続された高周波トランス4と、高周波トランス4の2次側に接続され、正及び負の直流高電圧をそれぞれ発生する正及び負の倍電圧整流回路5,6とで構成される。倍電圧整流回路5の出力端子7は、接続線7aを介して、放電電極部8Aに接続され、倍電圧整流回路6の出力端子9は、接続線9aを介して、放電電極部10Aに接続される。また、出力端子7は、第1抵抗11と第2抵抗12とを直列に接続してなる直列回路を介して出力端子9に接続されている。さらに、第1抵抗11と第2抵抗12との接続部の端子13は、接続線13aを介して、第3電極部14に接続されている。なお、第1抵抗11及び第2抵抗12の所定の抵抗値は、例えば、放電針8,10の後述するコロナ放電による、正の空気イオンと負の空気イオンとの生成量が同等のときに、第3電極部14の電位が0となるように予め決められている。
次に、図2を用いて、高圧電源1aについて、より詳細に説明する。図2を参照して、直流電源回路2は、交流電圧を全波整流して平滑化するためのダイオードと抵抗とコンデンサとからなり、商用電源から入力された交流電圧を、直流電圧に変換して出力する。高周波発振回路3は、コイルとコンデンサとダイオードと抵抗とトランジスタとからなり、直流電源回路2からの直流電圧の印加によって、自励発振により高周波で発振する。なお、直流電源回路2、高周波発振回路3の回路構成は、公知の構成である。
高周波発振回路3の発振により、高周波トランス4の1次側に電流が流れ、高周波トランス4の2次側に昇圧された電圧が発生する。高周波トランス4の2次側に発生する電圧は、倍電圧整流回路5,6に入力され、さらに整流、昇圧されて出力される。
倍電圧整流回路5,6は、コッククロフト・ウォルトン回路といわれる周知の構成であり、コンデンサとダイオードとで構成されている。倍電圧整流回路5,6の出力端子7,9には、コンデンサとダイオードとを組み合わせた単位ブロックの段数に応じて、入力電圧の所定倍の大きさの正及び負の一定値の直流高電圧が得られる。
この高圧電源1aによれば、正と負との両方の直流高電圧を、共通の直流電源回路2、高周波発振回路3、高周波トランス4を用いて出力することができる。よって、正の直流高圧電源と負の直流高圧電源とをそれぞれ備えるよりも、イオン生成装置を小型で軽量にすることができる。
なお、放電電極部8Aに印加する正の直流高電圧の大きさ(出力端子7の出力電圧)と、放電電極部10Aに印加する負の直流高電圧の大きさ(出力端子9の出力電圧)とは、所定の一定値(例えば、+5kV,−5kV)に予め決められている。
次に、図3,4を用いて、除電本体部17aについて、より詳細に説明する。図3,4を参照して、第3電極部14は、1つの棒状の導電性芯材から構成される。支持部18aは、棒状の部材であり、第3電極部14に平行になるように設けられている。支持部18aの長手方向の両端部には、エンド端支持部材19とリード端支持部材20とが対向して垂設されている。リード端支持部材20には、支持部18aと平行な貫通孔33が形成されている。なお、エンド端支持部材19にも、リード端支持部材20と同様に、支持部18aと平行な貫通孔34(図示せず)が、貫通孔33と同軸心に形成されている。第3電極部14は、その一端がエンド端支持部材19の貫通孔34に挿入されて該エンド端支持部材19に固定され、他端がリード端支持部材20の貫通孔33に挿入されて該リード端支持部材20に固定されている。また、第3電極部14は、リード端支持部材20側の端部から伸びた接続線13aを介して、高圧電源1aの端子13に接続されている。
放電針8,10は、第3電極部14の両側のうちの一方の側で、第3電極部14と平行になるように定められた1つの列上と、他方の側で第3電極部14と平行になるように定められた1つの列上とに配置されている。前記2つの列は、それぞれ、第3電極部14から等距離となる列である。さらに、前記一方の側の列には、複数の(本実施形態では2つの)放電針8が、各放電針8の軸心を該列と直交する方向(上下方向)に向けて、互いに平行に、等間隔を存して配置されている。また、前記他方の側の列には、放電針8と同数の放電針10が、各放電針10の軸心を該列と直交する方向(上下方向)に向けて、互いに平行に、等間隔を存して配置されている。このとき、放電針8,10は、図3に例示したように、放電針8,10が千鳥配置となるように配置されている。従って、除電本体部17aを側面から見たとき、放電針8,10が等間隔で交互に並ぶ。また、各放電針8,10は、その基端部が支持部18aに固定されている。
なお、放電電極部8Aは、本発明の第1放電電極部に相当し、放電針8は、本発明の第1放電針に相当し、放電電極部10Aは、本発明の第2放電電極部に相当し、放電針10は、本発明の第2放電針に相当する。
次に、本実施形態のイオン生成装置1の作動(除電作動)について説明する。まず、放電電極部8Aに正の直流高電圧が印加されると、放電電極部8Aと第3電極部14との間で、放電針8の先端に集中する電界(放電針8の先端から第3電極部14に向かう電界)が形成され、この電界によって放電針8の先端で発生するコロナ放電により、正の空気イオンが生成される。また、放電電極部10Aに負の直流高電圧が印加されると、放電電極部10Aと第3電極部14との間で、放電針10の先端に集中する電界(第3電極部14から放電針10の先端に向かう電界)が形成され、この電界によって放電針10の先端で発生するコロナ放電により、負の空気イオンが生成される。この生成された正及び負の空気イオンの一部は、帯電体Xへ供給され、残部は、第3電極部14に流れ込む。
このとき、例えば、正の空気イオンの生成量が負の空気イオンの生成量よりも多いときには、正の空気イオンの方が多く第3電極部14に流れ込む。すなわち、第3電極部14に正の電流が流れ込むこととなる。よって、放電電極部8Aから第1抵抗11及び第2抵抗12を介して放電電極部10Aへ流れる電流に加えて、第3電極部14から第2抵抗12を介して放電電極部10Aへ流れる電流が生じる。このため、第2抵抗12を流れる電流が第1抵抗11を流れる電流より多くなるので、第3電極部14の電位が正の側に偏る。そして、第3電極部14の電位が正の側に偏ると、放電電極部8Aと第3電極部14との間で形成される放電針8の先端に集中する電界は、第3電極部14の電位が偏る前よりも弱くなる。このため、正の空気イオンの生成量が減少するので、正及び負の空気イオンの生成量を同等とするように、空気イオンの生成バランスが変化することとなる。
また、例えば、負の空気イオンの生成量が正の空気イオンの生成量よりも多いときには、負の空気イオンの方が多く第3電極部14に流れ込む。すなわち、第3電極部14に負の電流が流れ込むこととなる。よって、放電電極部8Aから第1抵抗11及び第2抵抗12を介して放電電極部10Aへ流れる電流に加えて、第3電極部14から第1抵抗11を介して放電電極部8Aへ流れる負の電流(放電電極部8Aから第3電極部14へ流れる電流)が生じる。このため、第1抵抗11を流れる電流が第2抵抗12を流れる電流より多くなるので、第3電極部14の電位が負の側に偏る。そして、第3電極部14の電位が負の側に偏ると、放電電極部10Aと第3電極部14との間で形成される放電針10の先端に集中する電界は、第3電極部14の電位が偏る前よりも弱くなる。このため、負の空気イオンの生成量が減少するので、正及び負の空気イオンの生成量を同等とするように、空気イオンの生成バランスが変化することとなる。
以上により、正及び負の空気イオンの生成量のバランスが所望のバランスに自動的に調整されて、正、負の空気イオンが生成される。そして、その生成された正、負の空気イオンが帯電体Xに向かって移動し、帯電体Xの電荷が中和されて除電が行われる。
本実施形態のイオン生成装置によれば、例えば、装置の稼動が継続され、放電針の汚れ等の影響で、正及び負の空気イオンの生成量のバランスの特性が変化しても、空気イオンの生成バランスが予め設定された所望のバランスに適切に自己調整される。従って、正及び負の空気イオンの生成量のバランスを、装置の稼動状態によらずに安定して、簡単な構成で適切に調整することができる。このとき、放電針8,10は、第3電極部14に対して対称的な位置に配置されているので、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンの、第3電極部14への流れ込み易さは、偏りのないものとなる。よって、第3電極部14に流れ込む正及び負の空気イオンの量は、正及び負の空気イオンの生成量のバランスをより的確に反映したものとなる。従って、第3電極部14の電位が空気イオンの生成バランスに応じて適切に変化するので、正及び負の空気イオンの生成量のバランスが予め設定された所望のバランスに適切に調整される。
なお、本実施形態において、第3電極部14の両側の、放電針8,10が配置される列は、第3電極部14の各側に1つずつ定められるものとしたが、本実施形態の変形例として、放電針8,10が配置される列を、例えば図16に示すように、第3電極部14の各側に複数ずつ(図16では2つずつ)定められるものとしてもよい。
次に、本発明の第2実施形態を、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態におけるイオン生成装置の高圧電源の回路を示す説明図である。なお、本実施形態は、第1実施形態において、高圧電源1aの代わりに、高圧電源1bを用いたものであり、本発明の第2態様に係るイオン生成装置である。高圧電源1bは、倍電圧整流回路5の出力端子7と、倍電圧整流回路6の出力端子9とを抵抗を介して接続する部分と、第3電極部14を接続する部分とに係る構成のみが、高圧電源1aと相違する。
図5を参照して、高圧電源1bにおいて、倍電圧整流回路5の出力端子7と、倍電圧整流回路6の出力端子9とは、所定の抵抗値の第1抵抗11と、抵抗値が可変な第3抵抗15と、所定の抵抗値の第2抵抗12とを直列に接続してなる直列回路を介して接続されている。
第3抵抗15は、3つの端子16a〜16cを有し、第1端子16aは第1抵抗11に接続され、第2端子16bは第2抵抗12に接続され、第3端子16cは第3電極部14に接続されている。第3抵抗15の第1端子16aと第2端子16bとの間は、所定の抵抗値Rであり、第3端子16cは、抵抗値Rを、第1端子16a側の抵抗値R1と第2端子16b側の抵抗値R2とに分割している(R=R1+R2)。このとき、抵抗値R1と抵抗値R2との割合は、可変に設定できる。すなわち、放電電極部8Aと第3電極部14との間は、第1抵抗11の抵抗値と抵抗値R1とを合わせた可変な抵抗値となっている。また、放電電極部10Aと第3電極部14との間は、第2抵抗12の抵抗値と第3抵抗15の抵抗値R2とを合わせた可変な抵抗値となっている。
このとき、放電電極部8Aと第3電極部14との間の抵抗値、及び放電電極部10Aと第3電極部14との間の抵抗値は、例えば、正の空気イオンと負の空気イオンとの生成量が同等のときに、第3電極部14の電位が0となるように設定されている。以上説明した以外の構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態のイオン生成装置によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、さらに、第3抵抗15の設定を変更することで、第1放電電極部8Aと第3電極部14との間の抵抗値、及び第2放電電極部10Aと第3電極部14との間の抵抗値を調整することができるので、例えば、装置を組み立てた後でも、第3電極部14の電位を容易に調整することができる。このため、空気イオンの生成バランスが所望のバランスに自己調整されるように、第3電極部14の電位を容易に設定することができる。
なお、本実施形態において、第3電極部14の両側の、放電針8,10が配置される列は、第3電極部14の各側に1つずつ定められるものとしたが、本実施形態の変形例として、放電針8,10が配置される列を、第3電極部14の各側に複数ずつ定められるもの(例えば図16を参照)としてもよい。
次に、本発明の第3実施形態を、図6,7を参照して説明する。図6は、本実施形態におけるイオン生成装置の除電本体部を下面から見た平面図であり、図7は、図6のVII−VII線断面図である。なお、本実施形態は、第1実施形態において、除電本体部17aの代わりに、除電本体部17bを用いたものである。除電本体部17bは、第3電極部14,14、支持部18b、及び放電針8,10の配置のみが、除電本体部17aと相違する。
図6,7を参照して、本実施形態におけるイオン生成装置は、互いに平行に配設された棒状の導電性芯材でそれぞれ構成された2つの第3電極部14,14を備えている。絶縁体により形成される支持部18bは、棒状の部材であり、第3電極部14,14に平行になるように設けられている。支持部18bの長手方向の両端部には、絶縁体により形成されるエンド端支持部材21とリード端支持部材22とが対向して垂設されている。リード端支持部材22には、支持部18bと平行な一対の貫通孔35,35が形成されている。なお、エンド端支持部材21にも、リード端支持部材22と同様に、支持部18bと平行な一対の貫通孔36,36(図示せず)が、それぞれ貫通孔35,35と同軸心に形成されている。
第3電極部14,14は、それぞれ、その一端がエンド端支持部材21の貫通孔36,36のぞれぞれに挿入されて該エンド端支持部材21に固定され、他端がリード端支持部材22の貫通孔35,35のそれぞれに挿入されて該リード端支持部材22に固定されている。また、第3電極部14,14は、リード端支持部材22側の端部が、リード端支持部材22に固定された導電性の接続部材23に接続されている(短絡されている)。そして、接続部材23から伸びた接続線13aを介して、高圧電源1aの端子13に接続されている。
放電針8,10は、第3電極部14,14の間で、第3電極部14,14と平行になるように定められた1つの列上に配置されている。前記1つの列は、第3電極部14,14から等距離となる列である。前記1つの列には、複数の(本実施形態では2つの)放電針8と、放電針8と同数の放電針10とが、各放電針8,10の軸心を該列と直交する方向(上下方向)に向けて、互いに平行に、等間隔を存して交互に並ぶように配置されている。そして、放電電極部8A,10A、第3電極部14、支持部18b、エンド端支持部材21、リード端支持部材22、接続部材23により、除電本体部17bが構成される。また、各放電針8,10は、それぞれ、その基端部が支持部18bに固定されている。そして、放電針8は、接続線7aを介して出力端子7に導通され、放電針10は、接続線9aを介して出力端子9に導通されている。以上説明した以外の構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態のイオン生成装置によれば、除電本体部17bの放電針8,10は、第3電極部14,14に対して対称的な位置に配置されているので、第1実施形態と同様に、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンの、第3電極部14,14への流れ込み易さは、偏りのないものとなる。よって、第3電極部14に流れ込む正及び負の空気イオンの量は、正及び負の空気イオンの生成量のバランスをより的確に反映したものとなる。従って、第3電極部14の電位が空気イオンの生成バランスに応じて適切に変化するので、正及び負の空気イオンの生成量のバランスが適切に調整され、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本実施形態の変形例として、高圧電源1aの代わりに、第2実施形態と同じ高圧電源1bを用いるものとしてもよい。この場合には、第3電極部14,14は、接続部材23から伸びた接続線13aを介して、高圧電源1bの端子16cに接続される。
次に、本発明の第4実施形態を、図8,9を参照して説明する。図8は、本実施形態におけるイオン生成装置の除電本体部を下面から見た平面図であり、図9は、図8のIX−IX線断面図である。なお、本実施形態は、第1実施形態において、除電本体部17aの代わりに、除電本体部17cを用いたものであある。除電本体部17cは、放電針8,10の配置のみが、除電本体部17aと相違する。
図8を参照して、放電針8,10は、第3電極部14の両側のうちの一方の側で、第3電極部14と平行になるように定められた1つの列上と、他方の側で第3電極部14と平行になるように定められた1つの列上とに配置されている。前記2つの列は、それぞれ、第3電極部14から等距離となるように配置されている。前記2つの列には、それぞれ、複数の(本実施形態では2つの)放電針8と、放電針8と同数の放電針10とが、各放電針8,10の軸心を該列と直交する方向(上下方向)に向けて、互いに平行に、等間隔を存して交互に並ぶように配置されている。このとき、放電針8,10は、図8に例示したように、放電針8と放電針10とが、それぞれについて千鳥配置となるように配置されている。従って、除電本体部17cを側面から見たとき、第3電極部14の両側の放電針8と放電針10(支持部18aの横断方向に並列する放電針8,10)とが重なり、第3電極部14の片側で放電針8と放電針10とが等間隔で交互に並ぶ。そして、放電電極部8A,10A、第3電極部14、支持部18a、リード端支持部材19、エンド端支持部材20により、除電本体部17cが構成される。
さらに、図9を参照して、各放電針8,10は、その基端部が支持部18cに固定されている。そして、放電針8は、接続線7aを介して出力端子7に導通され、放電針10は、接続線9aを介して出力端子9に導通されている。以上説明した以外の構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態のイオン生成装置によれば、除電本体部17cの放電針8,10は、第3電極部14に対して対称的な位置に配置されているので、第1実施形態と同様に、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンの、第3電極部14への流れ込み易さは、偏りのないものとなる。よって、第3電極部14に流れ込む正及び負の空気イオンの量は、正及び負の空気イオンの生成量のバランスをより的確に反映したものとなる。従って、第3電極部14の電位が空気イオンの生成バランスに応じて適切に変化するので、正及び負の空気イオンの生成量のバランスが予め設定された所望のバランスに適切に調整され、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本実施形態において、第3電極部14の両側の、放電針8,10が配置される列は、第3電極部14の各側に1つずつ定められるものとしたが、本実施形態の変形例として、放電針8,10が配置される列を、第3電極部14の各側に複数ずつ定められるものとしてもよい。
また、本実施形態の変形例として、高圧電源1aの代わりに、第2実施形態と同じ高圧電源1bを用いるものとしてもよい。この場合には、第3電極部14は、接続線13aを介して、高圧電源1bの端子16cに接続される。
次に、本発明の第5実施形態を、図10,11を参照して説明する。図10は、本実施形態におけるイオン生成装置の除電本体部を下面から見た平面図であり、図11は、図10のXI−XI線断面図である。なお、本実施形態は、第1実施形態において、除電本体部17aの代わりに、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンを帯電体Xへ搬送するための圧縮空気を噴出するエアーノズルを備える構成(エアーノズル型の除電本体部17d)を用いたものである。
図10,11を参照して、本実施形態におけるイオン生成装置の除電本体部17dには、円筒状のノズルケース24が備えられている。ノズルケース24の内部には、絶縁体により形成される円板状の支持部25が、ノズルケース24の中心軸と同軸になるように設けられている。支持部25は、該支持部25の外周面とノズルケース24の内壁面とが接して固定されている。
第3電極部14は、球状の導電性部材であり、棒状の導電性部材37の一端に固定されている。棒状の導電性部材37の他端は、支持部25に固定されている。棒状の部材37は、ノズルケース24の中心軸と同軸に設けられており、第3電極部14は、ノズルケース24の中心軸上に配置される。第3電極部14は、棒状の導電性部材37の、支持部25側の端部から伸びた接続線13aを介して、高圧電源1aの端子13に接続されている。
放電針8,10は、支持部25上の、ノズルケース24の軸方向に中心軸が向くように定められた円αの周方向に配置されている。本実施形態では、各1つの放電針8,10が、円αの中心を挟んで対向し、且つ、各放電針8,10の軸心をノズルケース24の中心軸と平行な方向に向けて円αの周上に配置されている。従って、放電針8と放電針10とは、円αの周方向に180°の間隔を存して配置されている。また、各放電針8,10は、それぞれ、その基端部が支持部25に固定されている。このとき、放電針8,10の先端と第3電極部14とは、支持部25に対して同じ側(支持部25の前面側)にある。そして、放電針8は、接続線7aを介して出力端子7に導通され、放電針10は、接続線9aを介して出力端子9に導通されている。
さらに、ノズルケース24内の支持部25の前面側には、空気イオン室28が形成されている。また、支持部25の、放電針8,10と第3電極部14とが配置されていない部分には、ノズルケース24の中心軸と平行な方向に設けられた貫通孔である空気噴出口26が設けられている。また、ノズルケース24内の支持部25の背面側には、円筒状の空気管(エアーノズル)27が、空気噴出口26の中心軸と同軸に設けられている。空気管27の支持部25側の端部は、支持部25に固定されて、空気噴出口26と空気イオン室28とに連通している。
そして、空気管27には、図示しないコンプレッサー等から圧縮空気が供給され、この圧縮空気が、空気管27と空気噴出口26とを介して、空気イオン室28に噴出される。この圧縮空気により、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンが、帯電体Xへ搬送される。以上説明した以外の構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態のイオン生成装置によれば、除電本体部17dの放電針8,10は、第3電極部14に対して対称的な位置に配置されているので、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンの、第3電極部14への流れ込み易さは、偏りのないものとなる。よって、第3電極部14に流れ込む正及び負の空気イオンの量は、正及び負の空気イオンの生成量のバランスをより的確に反映したものとなる。従って、第3電極部14の電位が空気イオンの生成バランスに応じて適切に変化するので、正及び負の空気イオンの生成量のバランスが予め設定された所望のバランスに適切に調整され、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、本実施形態のイオン生成装置によれば、空気管27を介して供給される圧縮空気により、正及び負の空気イオンが帯電体Xへ速やかに搬送されるので、効率良く帯電体Xの除電を行うことができる。
なお、本実施形態においては、各1つの放電針8,10が配置されるものとしたが、本実施形態の変形例として、複数の互いに同数の放電針8,10が、円αの周方向に等間隔で交互に並ぶように配置されるものとしてもよい。
また、本実施形態の変形例として、高圧電源1aの代わりに、第2実施形態と同じ高圧電源1bを用いるものとしてもよい。この場合には、第3電極部14は、接続線13aを介して、高圧電源1bの端子16cに接続される。
次に、本発明の第6実施形態を、図12,13を参照して説明する。図12は、本実施形態におけるイオン生成装置の除電本体部を下面から見た平面図であり、図13は、図12のXIII−XIII線断面図である。なお、本実施形態は、第1実施形態において、除電本体部17aの代わりに、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンを帯電体Xへ搬送するための空気を送出するファン(ブロア)を備える構成(ブロア型の除電本体部17e)を用いたものである。
図12,13を参照して、本実施形態におけるイオン生成装置の除電本体部17eには、断面が正方形の筒状のケース29が備えられている。ケース29の内部には、絶縁体により形成される正方形の平板状の支持部30が、ケース29の中心軸と同軸になるように設けられている。支持部30は、該支持部30の外周面とケース29の内壁面とが接して固定されている。
第3電極部14は、球状の導電性部材であり、棒状の導電性部材37の一端に固定されている。棒状の部材37の他端は、支持部30に固定されている。棒状の部材37は、ケース29の中心軸と同軸に設けられており、第3電極部14は、ケース29の中心軸上に配置される。また、第3電極部14は、棒状の導電性部材37の、支持部30側の端部から伸びた接続線13aを介して、高圧電源1aの端子13に接続されている。
放電針8,10は、支持部30上の、ケース29の軸方向に中心軸が向くように定められた円βの周方向に配置されている。本実施形態では、各2つの放電針8,10が、円βの中心を挟んで対向し、且つ、各放電針8,10の軸心をケース29の中心軸と平行な方向に向けて円βの周上に配置されている。従って、放電針8と放電針10とは、円βの周方向に等間隔で交互に配置されている。また、各放電針8,10は、それぞれ、その基端部が支持部30に固定されている。このとき、放電針8,10の先端と第3電極部14とは、ケース29内の支持部30に対して同じ側(支持部30の前面側)にある。そして、放電針8は、接続線7aを介して出力端子7に導通され、放電針10は、接続線9aを介して出力端子9に導通されている。
さらに、ケース29内の支持部30の前面側には、空気イオン室32が形成されている。また、ケース29内の支持部30の背面側には、電動モータ31aにより回転駆動されるファン31が、その回転軸をケース29の中心軸と同軸に向けて、支持部30と間隔を存してケース29に取り付けられている。さらに、支持部30の、放電針8,10と第3電極部14とが配置されていない部分には、扇形の複数(本実施形態では4つ)の開口孔38が設けられている。開口孔38により、ケース29内の支持部30の背面側と、支持部30の前面側に形成された空気イオン室32とが連通される。
そして、ファン31から支持部30の開口孔38を介して送出される空気が、空気イオン室32に供給される。この空気により、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンが、帯電体Xへ搬送される。以上説明した以外の構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態のイオン生成装置によれば、除電本体部17eの放電針8,10は、第3電極部14に対して対称的な位置に配置されているので、放電針8,10の先端でコロナ放電によりそれぞれ生成された正及び負の空気イオンの、第3電極部14への流れ込み易さは、偏りのないものとなる。よって、第3電極部14に流れ込む正及び負の空気イオンの量は、正及び負の空気イオンの生成量のバランスをより的確に反映したものとなる。従って、第3電極部14の電位が空気イオンの生成バランスに応じて適切に変化するので、正及び負の空気イオンの生成量のバランスが予め設定された所望のバランスに適切に調整され、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、本実施形態のイオン生成装置によれば、ファン31により供給される空気により、正及び負の空気イオンが帯電体Xへ速やかに搬送されるので、効率良く帯電体Xの除電を行うことができる。
なお、本実施形態においては、各2つの放電針8,10が配置されるものとしたが、本実施形態の変形例として、各1つの放電針8,10、又は各3つ以上の放電針8,10が、円βの周方向に等間隔で交互に並ぶように配置されるものとしてもよい。
また、本実施形態の変形例として、高圧電源1aの代わりに、第2実施形態と同じ高圧電源1bを用いるものとしてもよい。この場合には、第3電極部14は、接続線13aを介して、高圧電源1bの端子16cに接続される。
次に、本発明の第7実施形態について、図14を参照して説明する。図14は、本実施形態におけるイオン生成装置の除電本体部の横断面図である。なお、本実施形態は、第1実施形態において、除電本体部17aの代わりに、第3電極部14の放電針8,10に対する位置を調整する手段を備えた除電本体部17fを用いたものである。
図14を参照して、本実施形態におけるイオン生成装置のリード端支持部材20には、放電針8,10と垂直な方向に細長い形状の貫通孔33f(長孔)が支持部18aと平行に形成されている。なお、エンド端支持部材19にも、リード端支持部材20と同様に、支持部18aと平行な貫通孔34f(図示せず)が、貫通孔33fと同軸心に形成されている。第3電極部14は、その一端がエンド端支持部材19の貫通孔34fに挿入され、他端がリード端支持部材20の貫通孔33fに挿入されている。そして、第3電極部14は、導電性芯材の外周囲の一部と貫通孔33f,34fの内壁面とが接して、支持部18aと平行に支持されている。このとき、第3電極部14は、支持部18aと平行な状態を保ちながら、貫通孔33f,34fに沿って放電針8,10と垂直な方向に移動可能であると共に、貫通孔33f,34fの任意の位置で図示しないネジ等により支持部18aに固定可能とされている。これにより、第3電極部14の放電針8,10に対する位置が調整される。以上説明した以外の構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態のイオン生成装置によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、さらに、第3電極部14の放電針8,10に対する位置を調整する手段が備えられているので、第3電極部14の位置を容易に調整することができる。よって、例えば、装置を組み立てた後でも、組み立ての誤差等の影響を補償して、第3電極部14の電位が正及び負の空気イオンの生成バランスをより的確に反映して変化するように(イオンバランスが所望のイオンバランスに調整されるように)、第3電極部14の位置を調整することができる。
なお、本実施形態の変形例として、第2〜第6実施形態及びその変形例のいずれかにおいて、第3電極部14の位置を調整する手段を備えるものとしてもよい。
次に、本発明のイオン生成装置の除電性能の試験について、図15,16を参照して説明する。図15は、除電性能を試験するための試験装置及び本発明のイオン生成装置(以下、実施例装置)を示す説明図であり、図16は、図15の実施例装置の除電本体部を下面から見た平面図である。実施例装置としては、本発明の第1実施形態の変形例によるイオン生成装置を用いている。実施例装置は、第3電極部14の両側の、放電針8,10が配置される列を、第3電極部14の各側に2つずつ定めたことのみが、本発明の第1実施形態と相違する。また、比較例装置としては、実施例装置において、出力端子7と出力端子9との間を、第1抵抗11,第2抵抗12を介して接続せず、第3電極部14を備えない、従来の直流コロナ放電式のイオン生成装置を用いている。
実地例装置では、第1実施形態で前述したように、図16を参照して、放電針8,10は、第3電極部14の両側のうちの一方の側で、第3電極部14と平行になるように定められた2つの列上と、他方の側で第3電極部14と平行になるように定められた2つの列上とに配置されている。各列は、30mmの間隔を存して配置されている。一方の側の2つの列には、それぞれ、2つの放電針8が、互いに100mmの間隔を存して配置されている。なお、2つの列の放電針8を合わせた総数の放電針8は、第3電極部14の軸方向で等間隔になるように配置されている。また、他方の側の2つの列には、それぞれ、2つの放電針10が、互いに100mmの間隔を存して配置されている。なお、2つの列の放電針10を合わせた総数の放電針10は、第3電極部14の軸方向で等間隔になるように配置されている。以上説明した以外の構成は、第1実施形態と同じである。なお、第1抵抗11及び第2抵抗12の抵抗値は、共に200MΩとした。
次に、試験に使用した試験装置について、図15を参照して説明する。試験装置としては、帯電プレートモニタAを用いている。帯電プレートモニタAは、帯電電圧の減衰時間及びイオンバランスを測定するものであり、本体aには、150mm角の金属製プレート(帯電体)bが、絶縁物cを介して取り付けられている。金属製プレートbは、除電すべき帯電体Xを模擬するものである。また、本体aには、金属製プレートbに電荷を与える高圧電源eと、金属製プレートbの電圧を測定する表面電位測定装置dと、金属製プレートbの電圧の減衰時間を測定するタイマfとが内蔵されている。
試験では、帯電プレートモニタAの金属製プレートbの上面からL(mm)の距離の位置に除電本体部を設置し、除電本体部で生成された正及び負の空気イオンを金属製プレートbに供給する。そして、金属製プレートbを、高圧電源eにより所定の初期帯電電圧に帯電させ、これに空気イオンを供給して電荷を中和し、所定の帯電電圧まで低下させるのに要する減衰時間を測定する。このとき、空気中の正、負イオンに偏りがあると、金属製プレートbに正、負いずれかの電荷が蓄積して、その電圧の絶対値が大きくなる。この電圧は、オフセット電圧V0と呼ばれ、イオンバランスの指標となるものである。帯電プレートモニタAにより、このオフセット電圧V0を測定する。
試験条件としては、実施例装置と比較例装置とのいずれも、放電針の先端から金属製プレートbまでの距離Lを300mmとした。また、高圧電源は、±5kVの直流高電圧を出力するものとした。そして、除電特性として、金属製プレートbの帯電電圧が+1,000Vから+100Vまで減衰する時間と、−1,000Vから−100Vまで減衰する時間とを測定した。また、イオンバランス特性として、定常時の金属製プレートbのオフセット電圧を測定した。
試験結果を表1に示す。この結果において、比較例装置では、イオンバランスが取れていないため、正の電荷の減衰は早く負の電荷の減衰は遅くなっており、オフセット電圧V0は−50Vと負に偏っている。これに対して、実施例装置では、正、負の電荷の減衰時間は接近していると共に、オフセット電圧V0は−5Vと0に近い。これにより、実施例装置では、イオンバランスが取れていることが判る。よって、本発明により、良好なイオンバランスを得られるイオン生成装置を提供することができることが判る。
1…イオン生成装置、1a,1b…高圧電源、8,10…放電針、8A,10A…放電電極部、11…第1抵抗、12…第2抵抗、14…第3電極部、15…第3抵抗、27…空気管(エアーノズル)、31…ファン。