JP4684983B2 - フレキシブルプリント配線板用積層体及び銅合金スパッタリングターゲット - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブルプリント配線板の素材であって、樹脂フィルム(ベースフィルム)上に接着剤を用いずに導体層を形成してなる2層構造タイプのフレキシブルプリント配線板用積層体と、そのフレキシブルプリント配線板用積層体の導体層(銅合金層)を形成するために用いる銅合金スパッタリングターゲットに関するものである。
近年、屈曲可能なフレキシブルプリント配線板(フレキシブル電子回路基板)が携帯電話、デジタルカメラ、液晶ディスプレイなどに多用されるようになってきている。フレキシブルプリント配線板には樹脂フィルム(プラスチックフィルム)が用いられており、その中でもポリイミドフィルムは、耐熱性と化学的安定性に優れるとともに、機械的特性にも特に優れ、フィルムを数十回折り曲げても損傷がないことから柔軟性に富むフレキシブルプリント配線板の電気絶縁性基材であるベースフィルムして使用されている。
フレキシブルプリント配線板は、前記ポリイミドフィルムで代表されるような樹脂フィルム(ベースフィルム)上に導体層を形成してフレキシブルプリント配線板用積層体とし、その積層体の前記導体層にエッチングなどによって電子回路を形成したものである。ここで、導体層として銅箔を設ける積層体では、一般に、ポリイミドフィルムをはじめとする樹脂フィルムと銅箔との密着性が悪いことから、樹脂フィルムと銅箔を接着剤によって接合することが行われている。また、表面に凹凸が形成された銅箔上に、熱硬化性あるいは紫外線硬化性の樹脂材料を塗布してから硬化させることで、樹脂フィルムと銅箔との密着力を確保することがなされている。
昨今、電子回路の高密度化の進展に伴ってフレキシブルプリント配線板にも微細加工が要求されるようになってきた。この場合、エッチング工程での接着剤の溶け残りや、銅箔の凹凸に起因して、エッチングに不均一が発生することが問題となる。また、接合する銅箔の厚みが厚い場合には、膜厚程度よりも狭い間隔の微細な配線をエッチングで作成することが難しいという問題点がある。
これらの問題点を解消するための方法として、メタライジング法が注目されている。メタライジング法では、平滑な樹脂フィルム上に蒸着あるいはスパッタ法で銅シード層を形成した後、その上に電気めっきによって適当な厚さの銅めっき層(銅めっき膜)を形成するようにしている。このメタライジング法は、銅めっき層の厚みを任意に調節できて薄い銅めっき層が形成可能であるため、微細な配線形成に適している。また、基板として表面が平滑な樹脂表面を使用すれば、エッチングの不均一性を少なくすることができる。
しかし、メタライジング法でも、銅層(銅めっき層)と樹脂フィルム(ポリイミドフィルム)との密着性が高くないため、電子回路を実装する際に、銅層と樹脂フィルムとの剥離が生じやすいという問題がある。
そこで、これを解決するために、銅層と樹脂フィルムとの間に密着層を形成することが提案されている。例えば、特公平4−65558号公報(特許文献1)では、回路材料として、電気絶縁性支持体フィルム上にクロム/酸化クロムからなる接着層(密着層)を形成し、その上に銅層を形成するようにした回路材料が提案されている。また、特公昭57−18357号公報(特許文献2)では、プラスチック基板上に密着層としてNi、Co、Zr、Pd又はこれらを含む合金の膜を形成し、その上に銅薄膜を形成してなるプリント回路基板が提案されており、特公昭57−18356号公報(特許文献3)では、ポリイミドフィルム上に密着層としてNi又はNi合金の膜を形成し、その上に銅膜を形成するようにプリント回路基板が提案されている。
また、特開平8−332697号公報(特許文献4)では、プラスチックフィルム上に密着層としてTi、Co、Mo及びNiのうち少なくとも2種以上を含む合金層を形成し、その上に銅層を形成してなる金属ポリマーフィルムが提案されている。また、特開2001−77493号公報(特許文献5)では、ポリイミドフィルム上に密着層としてタンタルカーバイト層、チタンカーバイト層又はアモルファスカーボン層を形成し、その上に導体層として金属層(銅層)を形成してなるフレキシブルプリント配線基板が提案されている。
このように、銅層と樹脂フィルムとの密着性を確保するために、現在では、銅層と樹脂フィルムとの間に密着層となる金属あるいは合金層を有するものが主流となっている。例えば、密着層として特によく用いられる合金としてはNi−Cr合金が挙げられるが、これら密着層により銅層の剥離が生じ難いようになされている。
ところが、前述したような金属あるいは合金からなる密着層を有するものでは、銅層のエッチング特性と前記密着層のエッチング特性とが相当程度が異なるために、特別なエッチングが必要となる。例えば、Crからなる密着層を有するものでは、Cr密着層を介して樹脂フィルムと銅層との密着性は高まるものの、一方、Cr密着層自体のエッチングが困難である。そのため、これを解消すべく提案されたのが、前記したNi−Cr合金からなる密着層であり、現在主流となっている。このNi−Cr合金からなる密着層の場合、銅層をエッチングするのと同じ塩化第二鉄溶液によりエッチングを行うことが可能となるが、エッチング速度が銅層のエッチング速度と異なり速度差が生じることから、エッチングの不均一や残渣が発生しやすい。
また、前述したような金属あるいは合金からなる密着層を有するものでは、銅層とこれとは異種金属からなる密着層との接合部分では、電気的な接触電位の発生によって界面近傍でのエッチング特性が著しく変化して、銅層と接触する付近の幅数μmの密着層がエッチングできない部分として残ってしまう。これらの溶け残りは、配線ピッチが広い場合には問題とならなかったが、配線ピッチが20μm程度以下となると見過ごせない問題となっている。
このように、今後、電子回路の高密度化(微細化)が進むと、いままで以上にエッチング自体が難しい工程となるため、微妙な制御が必要な2段エッチングが難しくなるほか、エッチングのわずかな残渣が問題となり、銅層周辺のわずかな密着層の溶け残りが配線の短絡につながる重大な問題となってくる。
そのため、樹脂フィルムと導体層との良好な密着性を有するとともに、電子回路を設けるためのエッチングの際にはエッチングが容易で、かつ、エッチング残渣が少ないフレキシブルプリント配線板用積層体が要請されている。
このような観点において、特開2005−158887号公報(特許文献6)、特開2005−203581号公報(特許文献7)に記載のような提案がなされている。これらの提案ではCuへ微量金属元素を加えることで密着層として利用しているために、前述のような残渣発生による問題が生じない。
しかしながら、前述のような密着層の技術は一応の成功は収めてはいるが、過酷な耐久性試験(例えば、大気雰囲気中150℃168時間の耐久性試験)を行った場合には著しくその密着性が低下することが知られている。よく用いられる密着層であるNi−Cr合金層を有するものであっても、前記耐久性試験後には密着力が半分以下まで低下してしまう。このような試験後の密着力低下の原因は明らかにされていないが、導体層Cuや密着層自体の酸化反応、及び樹脂フィルムの変質が影響しているのではないかと考えられている。そのため、当該技術分野における主要な技術課題として、耐久性試験後の密着性を確保する材料、プロセスの開発が急がれている。
すなわち、信頼性が高く、高密度回路の形成も可能なフレキシブル回路基板を実現するためには、耐久性試験後においても、樹脂フィルムと導体層との密着性低下がなく、且つ、導体層に配線を形成する過程で配線間の残渣の発生がないこと、配線周辺の溶け残りがないことが高いことが重要となる。
特公平4−65558号公報 特公昭57−18357号公報 特公昭57−18356号公報 特開平8−332697号公報 特開2001−77493号公報 特開2005−158887号公報 特開2005−203581号公報
本発明は上記従来の問題を解決せんとして発明したものであって、樹脂フィルム上に導体層を形成してなるフレキシブルプリント配線板用積層体において、エッチング性に優れ、且つ樹脂フィルムと導体層との密着性にも優れ、特にこれが耐久性試験後も保持され、優れた信頼性を示すフレキシブルプリント配線板用積層体と、そのフレキシブルプリント配線板用積層体の導体層(銅合金層)を形成するために用いる銅合金スパッタリングターゲットを提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、樹脂フィルム上に、Mg又はSiを0.1〜10.0原子%含有する銅合金層を形成してなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板用積層体である。
請求項2記載の発明は、樹脂フィルム上に、Mg又はSiを0.1〜10.0原子%含有する銅合金層を形成し、該銅合金層上に銅スパッタ層及び/又は銅めっき層を形成してなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板用積層体である。請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の銅合金層を形成するための銅合金スパッタリングターゲットであって、Mg又はSiを0.1〜10.0原子%含有することを特徴とする銅合金スパッタリングターゲットである。
本発明のフレキシブルプリント配線板用積層体によると、樹脂フィルム上に接着剤を用いずに導体層を形成してなる2層構造タイプのフレキシブルプリント配線板用積層体において、樹脂フィルムと導体層との密着性、特に耐久性試験後における密着性の低下が小さく、基板としての信頼性に優れると共に、エッチング性に優れ、電子回路の高密度化に十分対応しうるフレキシブルプリント配線板用積層体を提供することができる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
図1に示すように、本発明に係る第1のフレキシブルプリント配線板用積層体は、ベースフィルムである樹脂フィルム、例えばその代表であるポリイミドフィルム上に、導体層として、Mg及び/又はSiを含有し、残部がCu及び不可避的不純物よりなる銅合金層を形成したものである。
本発明者は、実験により、銅合金層を構成する添加元素の種類及び添加量と、該銅合金層とポリイミドフィルムとの密着性との関係を詳細に調査すると共に、塩化第二鉄水溶液による銅合金層のエッチング工程での配線側面付近の残渣発生状況を詳しく調査した。密着性については、初期密着性、及び耐久性試験後の評価を行った。その結果、高い密着性が示され、特に耐久試験後の密着性において、従来の密着層であるNi−Cr合金層を介した場合よりも高い密着力を得ることができた。
また、この銅合金層に電子回路を設けるに際し、銅のエッチングを行うのと同じ塩化第二鉄水溶液によって配線と配線の間の絶縁部分にエッチング残渣が発生することなくエッチングが可能であり、また、従来の密着層を形成するものとは違って異種金属が存在しないため、配線の側面付近に除去されずに残る溶け残りが発生するようなことがない。
前記銅合金層について、添加元素としてMg及び/又はSiを0.01〜10.0原子%含有するように規定する理由について説明する。ポリイミドフィルム上に銅合金層をスパッタリング法で厚み100nm形成し、その上にメッキシード層としてスパッタリング法におけるCu膜100nm、メッキ法によりさらにCu膜8μmを形成した試料において、ビール試験法によって密着強さ(ビール強さ)を測定した。その結果、Mg及び/又はSiの含有量0.1原子%以下の試料については、耐久性試験後の密着性に関して顕著な効果を発揮した。また、Mg及び/又はSiの含有量が10.0原子%以上になると、初期の密着力から低下し、環境試験後には完全に剥離する結果となった。従って、本発明の元素添加の効果を発揮しうる範囲として、前記添加元素の合計含有量は、0.1〜10.0原子%の範囲とした。また、Mg及び/又はSiの含有量が増加すると、エッチングレートがわずかに変化する傾向が見られた。エッチング残渣の発生をより抑制する点から、より好ましくは、0.1〜5.0原子%の範囲がよく、更に好ましくは、0.1〜3.0原子%の範囲がよい。
また、前記銅合金層の厚みは、10nm〜10μmの範囲がよい。前記銅合金層の厚みが10nm未満では、この銅合金層上にさらに銅層を形成する場合、銅合金層にピンホールができてしまい、一方、10μmを超えると樹脂フィルムが応力によって反ってしまい、よくないからである。
図2に示すように、本発明に係る第2のフレキシブルプリント配線板用積層体は、ベースフィルムである樹脂フィルム、例えばその代表であるポリイミドフィルム上に、密着層として、Mg及び/又はSiを含有し、残部がCu及び不可避的不純物よりなる銅合金層を形成し、その上に、導体層として、Cu及び不可避的不純物よりなる銅スパッタ層及び/又は銅めっき層を形成してなるものである。
このように、樹脂フィルム上に銅合金層を形成し、さらにその上に銅スパッタ層及び/又は銅めっき層を形成した構造にしても、前記第1のフレキシブルプリント配線板用積層体と同様に、優れた密着性及びエッチング性を具備したフレキシブルプリント配線板用積層体を得ることができる。密着性は樹脂フィルムと導体層との接合部分の問題であって、この場合には樹脂フィルム上に銅合金層を形成してあり、また、銅合金層のエッチング特性と、銅スパッタ層又は銅めっき層のエッチング特性とはほとんど違いがないことから、銅合金層上に、さらに銅スパッタ層及び/又は銅めっき層を形成した構造であっても、密着性及びエッチング性に優れたものとなる。
この場合、銅スパッタ層は、一般には、該銅スパッタ層上に銅めっき層を形成する場合に高速の電気めっきが行えるようにするためのシード層として形成されるものであり、スパッタリング法によって形成される純度99.9%程度の純銅からなるものである。そして、この銅スパッタ層の厚みは、50nm〜20μmの範囲がよい。銅スパッタ層の厚みが50nm未満では、この銅スパッタ層上にさらに銅めっき層を形成する場合、銅めっき層にピンホールができてしまい、一方、20μmを超えるとベースフィルムである樹脂フィルムが応力によって反ってしまい、よくないからである。銅スパッタ層は、銅合金層と銅めっき層間の密着を良好にする働きもある。すなわち、銅合金層上に直接銅めっきを施すと銅合金層と銅めっき層間の密着力が低いことがある。このようなことを銅合金層と銅めっき層間に銅スパッタ層を介在させることで解消することができる。
また、銅めっき層は、より多くの電流が電子回路に流せるようにすることが要請される場合に銅合金層を含めて導体層としての厚みを厚くするため、電気めっき法によって形成されるものである。そして、この銅めっき層の厚みは、1〜20μmの範囲がよい。銅めっき層の厚みが1μm未満では、電子回路に流せる電流が十分でなく、一方、20μmを超えると樹脂フィルムが応力によって反ってしまい、よくないからである。
(請求項1記載の実施例)
ベースフィルムとして東レ・デュポン社製の厚み25μmのポリイミドフィルム(商品名カプトン(デュポン社の登録商標))を用い、その片面上に、表1に示す導体層組成の厚み5μmの銅合金層を、所定組成からなる銅合金ターゲットを用いたArガスによるスパッタリング法により形成した。また、前記スパッタリングの条件は、Arガス圧:2mTorr(0.27Pa)、供給電力:3.3W/cmとした。ただし、比較例2に関しては、NiCr層を20nm積層した後、引き続いて純Cu層を上記同様の5μmの厚さに積層したものである。なお、スパッタリングには、所定組成からなる銅合金ターゲット、あるいは銅合金ターゲット上に金属チップを適宜配置したものを使用した。また、これらの試料において、銅合金層の添加元素組成は2原子%に調整した。
得られたこれら試料の各フレキシブルプリント配線板用積層体について、銅合金層(ただし、比較例1はCu層、比較例2はNiCr層)をウェットエッチング法によって、塩化第二鉄水溶液を用いて幅10mm,長さ90mmのストライプ状にエッチング処理した。そしてこれらの試料について、JIS6481のビール試験法に従って、ビール強さを測定した。また、同一の試料を大気雰囲気中で150℃にて168時間(ただし、比較例1は半分の84時間)、すなわち1週間の熱処理を耐久性試験として行い、その後のビール強度を上記と同様な試験方法により測定した。耐久性試験実施前(初期)、及び耐久性試験実施後のビール強度測定結果を表1に示す。
Figure 0004684983
表1に示すように、本発明の請求項1の要件を満たす実施例1,2では、比較例1のように、Cuを直接樹脂上に形成したものに比較して、ポリイミドフィルムに対して密着性に優れている。また、過酷な耐久性試験後もその密着性は、200N/m以上の高い水準を保っており、初期の密着力に対しても30%を超える密着力を保っている。典型的な従来技術の事例である比較例2のNiCr密着層を使ったものに比較しても顕著な優位性を示すことがわかる。比較例2は、比較例1に比較して密着力向上としては効果があるものの、耐久性試験後は密着力が200N/m未満であり、初期密着力に対しても30%未満の密着力を保つにとどまっている。また、比較例2では、上記ウェットエッチングにおいて、残渣の発生も確認されたが、実施例1,2は、エッチング残渣が生じない優れたものであった。
(請求項2記載の実施例)
東レ・デュポン社製の厚み25μmのポリイミドフィルム(商品名カプトン(デュポン社の登録商標))を用い、その片面上に、表2に示す密着層組成の厚み100nmの銅合金層を、所定組成からなる銅合金ターゲットを用いたArガスによるスパッタリング法により形成した。(ただし、比較例3は密着層となる銅合金層はなし。)次いでその上に、スパッタリング法によりCuからなる厚み100nmの銅スパッタ層を形成した。このCuからなる層はメッキシード層として働くものである。次に、銅スパッタ層上に、Cuの電気めっきにより厚み7.8μmの銅めっき層を形成して、フレキシブルプリント配線板用積層体を得た。なお、前記スパッタリングの条件は、Arガス圧:2mTorr(0.27Pa)、供給電力:3.3W/cmとし、銅メッキには、硫酸銅水溶液を用い、温度25℃、電流密度0.3mA/cmの条件にて成膜を行った。これらの試料において、銅合金層の添加元素組成は2原子%に調整した。ただし、比較例5のCu(Cr)のみ1原子%に調整した。
得られたこれら試料の各フレキシブルプリント配線板用積層体について、導体層をウェットエッチング法によって、塩化第二鉄水溶液を用いて幅10mm,長さ90mmのストライプ状にエッチング処理した。そしてこの各フレキシブルプリント配線板用積層体について、JIS6481のビール試験法に従って、ビール強さを測定した。また、同一の試料を大気雰囲気中で150℃にて168時間(ただし、比較例3は半分の84時間)、すなわち1週間の熱処理を耐久性試験として行い、その後のビール強度を上記と同様な試験方法により測定した。耐久性試験実施前(初期)、及び耐久性試験実施後のビール強度測定結果を表2に示す。
Figure 0004684983
表2に示すように、本発明の請求項2の要件を満たす実施例3,4では、比較例3のようにCuを直接樹脂上に形成したものに比較して、ポリイミドフィルムに対して密着性に優れると共に、過酷な耐久性試験後もその密着性が高く、典型的な従来技術の事例である比較例4のNiCr密着層を使ったものに比較して顕著な優位性を示すものであった。比較例4は、比較例3に比較して密着力向上としては効果があるものの、耐久性試験後は密着力が大きく低下する。また、比較例4では、上記ウェットエッチングにおいて、残渣の発生も確認されたが、実施例3,4は、エッチング残渣が生じない優れたものであった。比較例5〜12に示す合金では、初期の密着力が得られないか、もしくは環境試験後に著しく密着力が低下することが明らかとなり、本発明による添加元素により特有の効果が得られることが分かった。
今回示した実施例3,4では、合金層の形成にスパッタリング法を用いたが、本発明が奏する効果は添加元素を加えることにより得られる効果であり、その組成を実現できる方法であれば、方法を問うものではない。例えば真空蒸着による方法でも同様の効果が得られるものと考えられる。また、前記実施例ではポリイミドフィルムをベースとしたフレキシブル基板を想定しているが、本発明のフレキシブルプリント配線板用積層体は、その対象とする樹脂フィルムをポリイミド系の樹脂に限定するものではない。このような耐久性試験後の配線信頼性は、種々の回路基板において求められる性能であり、他の樹脂板、例えば液晶ポリマーやテフロン(ポリテトラフルオロエチレンの米国デュポン社の登録商標)、エポキシ系のプリント基板においても同様である。本発明による添加元素の効果はまだ十分には解明されていないが、Cuの樹脂中への拡散と酸化を抑制することにより、Cu-樹脂界面の機械的強度劣化を抑える効果があるものと考えており、上記他の樹脂基板、例えば液晶ポリマーやテフロン(ポリテトラフルオロエチレンの米国デュポン社の登録商標)、エポキシ系のプリント基板においても同様の効果を発揮するものと考えられるからである。
本発明の請求項1に係る実施形態を説明するための側面図である。 本発明の請求項に係る実施形態を説明するための側面図である。

Claims (3)

  1. 樹脂フィルム上に、Mg又はSiを0.1〜10.0原子%含有する銅合金層を形成してなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板用積層体。
  2. 樹脂フィルム上に、Mg又はSiを0.1〜10.0原子%含有する銅合金層を形成し、該銅合金層上に銅スパッタ層及び/又は銅めっき層を形成してなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板用積層体。
  3. 請求項1又は2記載の銅合金層を形成するための銅合金スパッタリングターゲットであって、Mg又はSiを0.1〜10.0原子%含有することを特徴とする銅合金スパッタリングターゲット。
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