JP4333880B2 - コンドロイチン合成酵素および該酵素をコードするdna - Google Patents
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Description
本発明はコンドロイチン/コンドロイチン硫酸の糖鎖骨格(基本骨格:コンドロイチン骨格とも記載する)を合成する酵素及びそれをコードするDNAに関するものである。より詳細にはコンドロイチン骨格の非還元末端にN−アセチル−D−ガラクトサミン残基が存在する際には当該N−アセチル−D−グルコサミン残基にD−グルクロン酸残基を転移し、非還元末端にD−グルクロン酸残基が存在する場合には当該D−グルクロン酸残基にN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移する酵素活性を有する酵素及びそれをコードするDNAに関する。
背景技術
以下本明細書中の糖及び糖残基の表記においては特に明記しない限り光学異性体はすべてD体を示すものとする。
コンドロイチン硫酸及びコンドロイチンはD−グルクロン酸残基(以下単に「グルクロン酸」又は「GlcUA」とも記載する)とN−アセチル−D−ガラクトサミン残基(以下単に「N−アセチルガラクトサミン」又は「GalNAc」とも記載する)の二糖の繰り返し構造(すなわち、−[GlcUAβ(1,3)−GalNAcβ(1,4)−]n:nは2以上の整数を示す)を基本骨格とするグリコサミノグリカンの一種である。
従来グリコサミノグリカン、特にコンドロイチンやコンドロイチン硫酸は動物の軟骨、臓器等から抽出・精製されていた。しかし、近年は原料の不足からコンドロイチンやコンドロイチン硫酸に共通するコンドロイチン骨格を人工的に合成する手法が模索されている。特に、ヒト由来の酵素を用いる方法であれば、人工的に合成したコンドロイチン又はコンドロイチン硫酸に当該酵素が混入していても、抗原抗体反応などの生体防御機構が強く作用することもないため好ましい。現時点においてこのようなコンドロイチン骨格を合成するための酵素、その中でも特にヒト由来であってGlcUA転移活性を有しており、且つGalNAc転移活性も有している酵素は1種類しか得られていない(J.Biol.Chem.,276,38721−38726(2001))。
コンドロイチン骨格の合成を行うためには酵素を数種類含むカクテル形式で行うことが好ましいと考えられている。各々の酵素の至適反応条件が異なることから反応系全体での反応条件を緩和することが可能となるからである。しかし、現時点において、GlcUA転移活性及びGalNAc転移活性の両者を有するヒト由来の酵素としては上述の酵素が知られているのみであり、条件の厳密なコントロールが困難であることからコンドロイチン骨格の合成の検討が不十分な状況だった。
そこで、コンドロイチン骨格を合成するための酵素であって、GlcUA転移活性を有しており、且つGalNAc転移活性も有しているヒト由来の新たな酵素が期待されていた。
発明の開示
本発明は、以下の(1)〜(14)に関する。
(1) 配列番号2記載のアミノ酸配列又は配列番号2記載のアミノ酸番号97〜755からなるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又はそれに糖鎖が結合した糖鎖結合ポリペプチドからなることを特徴とするコンドロイチン合成酵素。
(2) N−アセチル−D−ガラクトサミン残基をN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体に対して転移する酵素活性又はD−グルクロン酸残基をD−グルクロン酸受容体に対して転移する酵素活性を有すると共に、配列番号2記載のアミノ酸番号97〜755からなるアミノ酸配列のうち1〜131個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加及び/又は転移を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことを特徴とするコンドロイチン合成酵素。
(3) 非還元末端にD−グルクロン酸残基を有するコンドロイチンの当該D−グルクロン酸残基に対してN−アセチル−D−ガラクトサミン供与体からN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移する酵素活性を有すると共に、非還元末端にN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を有するコンドロイチンの当該N−アセチル−D−ガラクトサミン残基に対してD−グルクロン酸供与体からD−グルクロン酸残基を転移する酵素活性を有することを特徴とする(2)記載のコンドロイチン合成酵素。
(4) (1)〜(3)いずれか記載のコンドロイチン合成酵素をコードする核酸。
(5) (4)記載の核酸を含むことを特徴とする発現ベクター。
(6) 発現ベクターが真核細胞中において発現可能であることを特徴とする(5)記載の発現ベクター。
(7) (5)又は(6)記載の発現ベクターを含むことを特徴とする形質転換体。
(8) (7)記載の形質転換体を生育させ、生育物にコンドロイチン合成酵素を産生又は蓄積させて該生育物から前記コンドロイチン合成酵素を単離することを特徴とするコンドロイチン合成酵素の製造方法。
(9) (1)〜(3)いずれか記載のコンドロイチン合成酵素を下記式(1)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体及びN−アセチル−D−ガラクトサミン供与体に対して作用させて、N−アセチル−D−ガラクトサミン受容体にN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移することを特徴とする、下記式(2)で示される構造を有する糖鎖の合成方法。
式(1)及び(2)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1又は0を示し「−」はグリコシド結合を示す。
(10) (1)〜(3)いずれか記載のコンドロイチン合成酵素を下記式(3)で示される構造を有するD−グルクロン酸受容体及びD−グルクロン酸供与体に対して作用させて、D−グルクロン酸受容体にD−グルクロン酸残基を転移することを特徴とする、下記式(4)で示される構造を有する糖鎖の合成方法。
式(3)及び(4)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1又は0を示し「−」はグリコシド結合を示す。
(11) 下記式(1)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体の非還元末端に存在するD−グルクロン酸残基に対して、N−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移して下記式(2)で示される構造を有する糖鎖を合成するための、(1)〜(3)いずれか記載のコンドロイチン合成酵素の使用。
式(1)及び(2)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1又は0を示し「−」はグリコシド結合を示す。
(12) 下記式(3)で示される構造を有するD−グルクロン酸受容体の非還元末端に存在するN−アセチル−D−ガラクトサミン残基に対して、D−グルクロン酸残基を転移して下記式(4)で示される構造を有する糖鎖を合成するための、(1)〜(3)いずれか記載のコンドロイチン合成酵素の使用。
式(3)及び(4)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1又は0を示し「−」はグリコシド結合を示す。
(13) (1)〜(3)いずれか一項記載のコンドロイチン合成酵素の活性調節剤。
(14) (13)の活性調節剤を有効成分として含む(1)〜(3)のいずれか一項記載のコンドロイチン合成酵素の活性の変化に起因する疾患の処置剤。
発明を実施するための最良の形態
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、公知のコンドロイチン合成酵素と類似の酵素活性を有する別の酵素が存在することを発見した。そして当該酵素のDNAを取得して酵素を調製することにより本発明を完成させた。
以下、発明の実施の形態により本発明を詳説する。
(1)本発明酵素
本発明酵素は配列番号2記載のアミノ酸配列又は配列番号2記載のアミノ酸番号97〜755からなるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又はそれに糖鎖が結合した糖鎖結合ポリペプチドからなることを特徴とするコンドロイチン合成酵素である。
本発明酵素はコンドロイチン骨格の非還元末端に存在する糖残基に対して、GalNAc残基を転移する活性及びGlcUA残基を転移する活性(GalNAc残基を転移する活性を「GalNAc転移活性」、GlcUA残基を転移する活性を「GlcUA転移活性」と記載する)を有する。すなわち、本発明酵素は、コンドロイチン骨格の非還元末端にGlcUA残基が存在する場合には当該GlcUA残基に対してGalNAc転移活性を示し、非還元末端にGalNAc残基が存在する場合には当該GalNAc残基に対してGlcUA転移活性を示す。この様な酵素が最もコンドロイチン骨格の合成において利用価値が高いからである。
したがって、本発明酵素はコンドロイチン骨格の非還元末端にGlcUA残基が存在するGalNAc受容体と、非還元末端にGalNAc残基が存在するGlcUA受容体との両者を糖残基受容体とすることが好ましい。
本発明酵素のGalNAc受容体は例えば下記式(1)で示す構造を含む。
式(1)中、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1又は0を示し、「−」はグリコシド結合を示す。GalNAc受容体において、上記nは2以上であることが好ましく、更に4以上であることが好ましい。このような範囲であると、より効率的にコンドロイチン骨格の伸長をさせることができるからである。
このような式(1)の構造を有するGalNAc受容体としては、例えばコンドロイチン若しくはコンドロイチン硫酸又はこれらを切断して得られる低分子化コンドロイチン又はコンドロイチン硫酸が例示されるが、これに限定はされない。
式(1)で示される構造を有するGalNAc受容体に対して本発明酵素はGalNAc供与体基質からGalNAc残基を転移する。本発明酵素はコンドロイチン骨格の合成に有用であるため、GalNAc残基はβ1,4グリコシド結合で非還元末端のGlcUA残基に転移されることが好ましい。
GalNAc供与体とは、GalNAc残基を有する糖ヌクレオチドであることが好ましい。そのような物質としては例えばアデノシン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン(ADP−GalNAc)、ウリジン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン(UDP−GalNAc)、グアノシン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン(GDP−GalNAc)、シチジン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン(CDP−GalNAc)等が例示され、UDP−GalNAcが最も好ましい。生体内でのコンドロイチン骨格の合成はUDP−GalNAcがGalNAc供与体基質として主に働いているからである。しかし、本発明酵素によるGalNAc転移活性に関してGalNAc残基を供給しうるGalNAc供与体であれば特に限定はされない。
上記式(1)で示される構造を有するGalNAc受容体に対してGalNAc残基を本発明酵素により転移すると、下記式(2)記載の構造を有する糖鎖が得られる。
式(2)中、「GlcUA」、「GalNAc」、n、m、「−」は式(1)と同義である。
なお、GalNAc受容体は上記(1)で表される構造を有しており、更にその還元末端に更に糖鎖、タンパク質、脂質、合成高分子化合物などが結合した構造を有する物質もGalNAc受容体とすることができ、そのようなGalNAc受容体に対してGalNAc残基を転移した場合には、上記(2)で表される構造を有しており、かつ更にその還元末端に糖鎖、タンパク質、脂質、合成高分子化合物などを有する化合物が得られる。
このような本発明酵素のGalNAc転移活性は例えば本明細書実施例2(1)記載の方法の様に放射性同位元素でGalNAcを標識しておく手法を用いることで容易に検出・測定することができる。
本発明酵素のGlcUA受容体は例えば下記式(3)で示す構造を含む。
式(3)中、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1又は0を示し、「−」はグリコシド結合を示す。GlcUA受容体において、上記nは2以上であることが好ましく、更に4以上であることが好ましい。このような範囲であると、より効率的にコンドロイチン骨格の伸長をさせることができるからである。
式(3)で示される構造を有するGlcUA受容体に対して本発明酵素はGlcUA供与体からGlcUAを転移する。本発明酵素はコンドロイチン骨格の合成に有用であるため、GlcUA残基はβ1,3グリコシド結合でGalNAc残基に転移するものであることが好ましい。
GlcUA供与体とは、GlcUA残基を有する糖ヌクレオチドであることが好ましい。そのような物質としては例えばアデノシン二リン酸−D−グルクロン酸(ADP−GlcUA)、ウリジン二リン酸−D−グルクロン酸(UDP−GlcUA)、グアノシン二リン酸−D−グルクロン酸(GDP−GlcUA)、シチジン二リン酸−D−グルクロン酸(CDP−GlcUA)等が例示され、UDP−GlcUAが最も好ましい。生体内でのコンドロイチン骨格の合成はUDP−GlcUAがGlcUA供与体として主に働いているからである。しかし、本発明酵素によるGlcUA転移活性に関してGlcUA残基を供給しうるGlcUA供与体であれば特に限定はされない。
上記式(3)で示される構造を有するGlcUA受容体に対してGlcUA残基を本発明酵素により転移すると、下記式(4)記載の構造を有する糖鎖が得られる。
式(4)中、「GlcUA」、「GalNAc」、n、m、「−」は式(3)と同義である。
なお、GlcUA受容体は上記(3)で表される構造を有しており、更にその還元末端に更に糖鎖、タンパク質、脂質、合成高分子化合物などが結合した構造を有する物質もGlcUA受容体とすることができ、そのようなGlcUA受容体に対してGlcUA残基を転移した場合には、上記(4)で表される構造を有しており、かつ更にその還元末端に糖鎖、タンパク質、脂質、合成高分子化合物などを有する化合物が得られる。
このような本発明酵素のGlcUA転移活性は例えば本明細書実施例2(2)記載の方法の様に放射性同位元素でGlcUAを標識しておく手法を用いることで容易に測定することができる。
本発明酵素は配列番号2記載のアミノ酸番号97〜755からなるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことが好ましい。この様な範囲のアミノ酸配列を含むポリペプチドは上述したGalNAc転移活性及びGlcUA転移活性の双方を有するからである(本明細書実施例2参照)。
一般に酵素は、それを構成するタンパク質に若干数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加及び/又は転移(これらを総括して以下「アミノ酸変異」と記載する)を有していてもその活性が維持され、このようなアミノ酸変異を有する酵素はバリアントと呼ばれている。一般的に全アミノ酸数の20%程度のアミノ酸変異であれば、活性中心に係る変異でない限りにおいて酵素活性は十分に維持される。従って、上述のGalNAc転移活性及びGlcUA転移活性を有する限りにおいて、本発明酵素も上記配列番号2記載のアミノ酸番号97〜755からなるアミノ酸配列に、若干数のアミノ酸変異を有していてもよい(酵素活性の有無は上述の様に本明細書実施例2に従って検定することが可能である)。なお、上記した「若干数」とは酵素を構成する全アミノ酸数の20%以下(配列番号2のアミノ酸番号97〜755からなるポリペプチドにおいては131個以下:すなわち相同性80%以上)、好ましくは15%以下(配列番号2のアミノ酸番号97〜755からなるポリペプチドにおいては98個以下:すなわち相同性85%以上)、最も好ましくは10%以下(配列番号2のアミノ酸番号97〜755からなるポリペプチドにおいては65個以下:すなわち相同性90%以上)である。このようなアミノ酸配列の相同性は、FASTAのような周知のコンピュータソフトウェアを用いて容易に算出することができる。FASTAのようなソフトウェアはインターネットによっても利用に供されている。
なお、配列番号2記載のアミノ酸配列の全配列からなるポリペプチドによって構成された酵素も、アミノ酸番号97〜755からなるポリペプチドに若干数の変異が起こって得られるポリペプチドによって構成されていると言うことができ、本発明酵素として好ましいポリペプチドの範囲内であると言える。
また、更にほ乳類由来のタンパク質には糖鎖が結合しているものも多く、本発明酵素は、ポリペプチドのみからなる酵素も、ポリペプチドに糖鎖が結合した酵素もいずれも包含する。
また本発明酵素は、下記の性質を有することが好ましい。
活性の増強:10mmol/lの二価金属陽イオン(好ましくはマンガンイオン、コバルトイオン)を反応系に存在させることにより活性が増強される。具体的には上記金属陽イオンのハロゲン化物(塩化物など)を反応液中に存在させればよい。
活性の阻害:10mmol/l濃度のエチレンジアミン四酢酸を反応系に存在させることにより実質的に酵素活性を失う。
至適反応pH:GlcUA転移酵素活性は2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝液中でpH5.7〜6.7(好ましくはpH6.0〜6.5)、GalNAc転移酵素活性はMES緩衝液中でpH5.7〜6.7(好ましくはpH6.0〜6.4)
また、本発明酵素の活性測定系を利用することで、かかる酵素の活性を促進したり阻害したりする働きを有する物質をスクリーニングして得ることができる。かかる物質は、本発明酵素の活性調節剤の有効成分として利用することが可能である。更にこの様な活性調節剤は、本発明酵素の活性の変化に起因する疾患の処置剤として利用することができる。
(2)本発明核酸
本発明核酸は本発明酵素をコードすることを特徴とする。
すなわち、本発明核酸はそれ又はそれに相補的な塩基配列を有する核酸を含む発現ベクターで形質転換した形質転換体で本発明酵素を産生させることができる核酸であれば特に限定はされない。また、本発明核酸はDNAであってもRNAであってもかまわないが、安定性の面で極めて優れるためDNAであることが好ましい。
本発明核酸の好ましい態様の一つとしては配列番号1記載の塩基配列のうち、塩基番号289〜2328からなるDNA、及び配列番号1記載の全塩基配列からなるDNAが例示される。
ところでタンパク質の生合成においては、遺伝暗号(トリプレット)とアミノ酸は必ずしも1対1とはなっておらず、同一のアミノ酸が異なるトリプレットに対応することがある(遺伝暗号の縮重)。従って上述のような遺伝暗号の縮重によって同一アミノ酸配列に対応する、例示した特定の塩基配列以外の他のトリプレットを含む核酸も、結果的に同一の本発明酵素を得るために利用可能であることは当業者であれば容易に理解されるところであり、本発明核酸に含まれることは言うまでもない。
また、配列番号1記載の塩基配列のうち、塩基番号289〜2328からなるDNA又はそれに相補的な塩基配列からなるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸は、例えば本発明核酸の生体内での発現状況などを検査するためのプローブとして使用することができ、試薬として極めて有用である。このようなプローブとしての核酸はあまりに分子量が大きいと取扱が困難となるため、500bp〜10kbpが例示され、より好ましくは600bp〜9kbp、最も好ましくは700bp〜8kbpが例示される。
なお、ここでストリンジェントな条件下とは、一般にハイブリダイズを使用する手法(例えばノザンブロットハイブリダイゼーション、サザンブロットハイブリダイゼーション)等で用いられる条件が挙げられ、好ましくは37.5%ホルムアミド、5×SSPE(塩化ナトリウム/リン酸ナトリウム/EDTA(エチレンジアミン四酢酸)緩衝液)、5×デンハルト溶液(Denhardt’s solution)、0.5% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)存在下での42℃で条件が例示される。
(3)本発明発現ベクター
本発明発現ベクターは本発明核酸を含む発現ベクターである。
本発明発現ベクターは上記本発明核酸が目的の宿主細胞中で発現しうるように遺伝子発現に関与する領域(プロモータ領域、エンハンサー領域、オペレーター領域等)が適切に配列されており、さらに本発明核酸が適切に発現するように構築されている。従って本発明発現ベクターを適当な宿主細胞に導入することで形質転換体が得られる。本発明発現ベクターの基本ベクター(本発明遺伝子を導入する前のベクター)は、発現ベクターを導入する宿主細胞との関係において適宜選択される。例えば宿主細胞として真核細胞(ほ乳類細胞、酵母、昆虫細胞など)を使用する場合には、真核細胞用のベクターを基本ベクターとして選択し、原核細胞(大腸菌、枯草菌など)を宿主細胞として選択する場合には、原核細胞用のベクターを基本ベクターとして選択する。ところで本発明酵素はヒト由来の酵素であるため、本発明においては真核細胞を宿主細胞として用いるとより天然物に近い性質を有した本発明酵素が得られる(例えば糖鎖が付加された態様など)と考えられる。従って、宿主細胞としては真核細胞、特にほ乳類細胞を選択することが好ましく、本発明発現ベクターの基本ベクターは真核細胞、特にほ乳類細胞用のベクターを選択することが好ましい。
なお、近年は遺伝子工学的手法として、形質転換体を培養、生育させてその培養物、生育物から目的物質を単離・精製する手法が確立されている。本発明発現ベクターはそのような本発明酵素の単離・精製・検出が容易となるように構築されていることが好ましい。特に本発明酵素を標識ペプチドとの融合タンパク質として発現するように構築した本発明ベクターを用いて遺伝子工学的に本発明酵素を調製すると単離・精製が比較的容易となるため好ましい。
上記識別ペプチドの例としては、目的タンパク質を遺伝子組み換えによって調製する際に、該ペプチドと目的タンパク質とが結合した融合タンパク質として発現させることにより、形質転換体の生育物から目的タンパク質の分泌・分離・精製又は検出を容易にすることを可能とするペプチドである。このような識別ペプチドとしては、例えばシグナルペプチド(多くのタンパク質のN末端に存在し、細胞内の膜透過機構においてタンパク質の選別のために細胞内では機能している15〜30アミノ酸残基からなるペプチド:例えばOmpA、OmpT、Dsb等)、プロテインキナーゼA、プロテインA(黄色ブドウ球菌細胞壁の構成成分で分子量約42,000のタンパク質)、グルタチオンS転移酵素、Hisタグ(ヒスチジン残基を6〜10個並べて配した配列)、mycタグ(cMycタンパク質由来の13アミノ酸配列)、FLAGペプチド(8アミノ酸残基からなる分析用マーカー)、T7タグ(gene10タンパク質の最初の11アミノ酸残基からなる)、Sタグ(膵臓RNaseA由来の15アミノ酸残基からなる)、HSVタグ、pelB(大腸菌外膜タンパク質pelBの22アミノ酸配列)、HAタグ(ヘマグルチニン由来の10アミノ酸残基からなる)、Trxタグ(チオレドキシン配列)、CBPタグ(カルモジュリン結合ペプチド)、CBDタグ(セルロース結合ドメイン)、CBRタグ(コラーゲン結合ドメイン)、β−lac/blu(βラクタマーゼ)、β−gal(βガラクトシダーゼ)、luc(ルシフェラーゼ)、HP−Thio(His−patchチオレドキシン)、HSP(熱ショックペプチド)、Lnγ(ラミニンγペプチド)、Fn(フィブロネクチン部分ペプチド)、GFP(緑色蛍光ペプチド)、YFP(黄色蛍光ペプチド)、CFP(シアン蛍光ペプチド)、BFP(青色蛍光ペプチド)、DsRed、DsRed2(赤色蛍光ペプチド)、MBP(マルトース結合ペプチド)、LacZ(ラクトースオペレーター)、IgG(免疫グロブリンG)、アビジン、プロテインG等のペプチドが挙げられ、何れの識別ペプチドであっても使用することが可能である。その中でも特にシグナルペプチド、プロテインキナーゼA、プロテインA、グルタチオンS転移酵素、Hisタグ、mycタグ、FLAGペプチド、T7タグ、Sタグ、HSVタグ、pelB又はHAタグが、遺伝子工学的手法による本発明物質の発現、精製がより容易となることから好ましく、特にFLAGペプチドとの融合タンパク質として本発明酵素を得るのが、取扱面が極めて優れるため好ましい。
ほ乳類細胞で発現可能であって、かつ上述のFLAGペプチドとの融合タンパク質として本発明酵素を得ることができる基本ベクターとしては例えばpFLAG−CMV−1(シグマ社)等が例示されるが、当業者であれば本発明酵素の発現に使用する宿主細胞、制限酵素、識別ペプチドなどから判断して適当な基本ベクターを選択することが可能である。
(4)本発明核酸、本発明発現ベクター、及び形質転換体の調製方法
本発明によって本発明核酸の塩基配列が開示されたため、当業者であれば目的とする本発明核酸や調製したい核酸の領域の両端の塩基配列を基に適宜プライマーを作成し、それを用いてPCR法などによって目的の領域を増幅して調製することが可能である。本発明核酸の好ましい態様である配列番号1の塩基番号289〜2328からなるDNAの調製は以下のように行うことができる。
CSGlcA−Tのアミノ酸配列(GenBank accession No.AB037823がコードするアミノ酸配列)をクエリーとしてBLAST検索を行ない本発明核酸の部分配列を得ることができる。そして例えばそれによって得られるEST(GenBank accession No.MN_018590等)を基にゲノムデータベースからゲノム配列の検索を行うことができる。ゲノム配列の検索は例えばGenScan(米国スタンフォード大学)などを用いて行うことができる。この方法によって配列番号1記載の全塩基配列を得ることができる。このようにして得られた塩基配列からプライマーを調製して塩基番号289〜2328からなるDNAを調製することができる。DNAの調製は例えばポリメラーゼチェインリアクション法(以下「PCR法」と記載する)が好ましくは挙げられる。PCR法においては、ベクターにあわせた適切な制限酵素領域を予めプライマーに含めておくことが、本発明核酸のベクターへの導入が容易とするため好ましい。この様なプライマーとしては例えば5’プライマーとしては配列番号3記載の塩基配列(EcoRI領域を含んでいる)、3’プライマーとしては配列番号4記載の塩基配列(BamHI領域を含んでいる)が例示される。
例えば上記GenScanでGenBank accession No.MN_018590のESTを基にして検索して得られるゲノムは、データベース上の情報からヒトの脳で発現していることが分かる。そこでPCR法の鋳型としては市販のヒト脳cDNAライブラリー(例えばMarathon−Ready cDNA human brain(クロンテック社製等))などを用いることができる。
上記で例示したプライマーを用いてPCR法を行うと約2kbの増幅産物として本発明核酸(DNA)が生じる。この増幅産物の単離はアガロースゲル電気泳動法などの分子量によるDNAの分離方法とゲルの切り出し、本発明核酸の抽出などを常法に従って行うことができる。
上記で例示したプライマーはEcoRI領域とBamHI領域とを含んでいるため、これらの制限酵素によって処理することで、EcoRI及びBamHI領域を有するベクターへ常法により挿入することができる。例えば上記で例示した基本ベクターであるpFLAG−CMV−1にはEcoRI及びBamHI領域が含まれているため、この基本ベクターをEcoRI及びBamHIで消化し、本発明核酸を結合させることで本発明ベクターを得ることができる。
本発明ベクターの宿主細胞への導入は常法に従って行うことができる。基本ベクターとしてpFLAG−CMV−1を使用した場合にはpFLAG−CMV−1の宿主細胞として機能するCOS1細胞やCOS7細胞等のほ乳類由来の細胞にエレクトロポレーション法などの常法を用いて導入して形質転換体を得ることができる。
(5)本発明酵素調製法
本発明酵素調製法は、本発明組換体を生育させ、生育物に本発明酵素を蓄積させて該生育物から前記本発明酵素を単離することを特徴とする。
本発明酵素の調製は、形質転換体をそれが生育するのに適した条件下で生育させて、本発明核酸を発現させてその生育物から調製して行なうことができる。
ここで宿主細胞の生育とは、宿主細胞を培養することの他、宿主細胞を生体などに投与してその生体内で宿主細胞を生育させることも含む概念である。また、生育物とは、培養された宿主細胞、培養上清の他、宿主細胞を生体内で生育させた場合には、その生体の***物、分泌物なども含む概念である。
例えばCOS−7細胞を宿主細胞として選択した場合には、in vitroで形質転換体を培養し、その培養物(培養後の形質転換体及び培養上清)から本発明物質を精製することが可能である。本発明酵素の単離・精製の方法は、識別ペプチドによって適宜、適当な方法を常套的に選択することが可能である。特に上記pFLAG−CMV−1ベクターを用いた場合には本発明酵素はFLAGペプチドとの融合タンパク質として得られるので、本発明物質は例えば抗FLAG抗体(例えばM1など)を用いて、アフィニティー精製などの方法で本発明酵素を単離・精製することが可能である。抗FLAG抗体が結合した樹脂などを使用すると、宿主細胞の培養物(培養上清や宿主細胞の抽出物など)からタンパク質を容易に単離・精製することが可能であり、またその樹脂をそのまま緩衝液などに懸濁して酵素懸濁液として使用することも可能である。
(6)本発明合成法
(a)本発明合成法1
本発明合成法1は、本発明酵素を作用させて下記式(1)で示される構造を有するGalNAc受容体及びGalNAc供与体に対して作用させて、GalNAc受容体にGalNAc残基をGalNAc供与体から転移することを特徴とする、下記式(2)で示される構造を有する糖鎖の合成方法である。
式(1)及び(2)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1又は0を示し「−」はグリコシド結合を示す。
本発明合成法1において、GalNAc受容体とは、GalNAc残基が転移される対象となる上記式(1)の糖鎖を含むものであれば特に限定はされず、更にその非還元末端に糖鎖、タンパク質、脂質、合成高分子化合物などが結合した化合物であっても良い。
上記式(1)のGalNAc受容体に対して本発明酵素を作用させてGalNAc供与体からGalNAc残基を転移すると、上記式(2)で示す構造を有する化合物が得られる。
コンドロイチン骨格は、GlcUA残基とGalNAc残基とがβ1,3グリコシド結合で結合した二糖がβ1,4グリコシド結合で結合した構造からなり、本発明合成方法1においてもそのような糖鎖にGalNAc残基を結合できることが好ましい。すなわち上記式(1)の構造を有するGalNAc受容体は下記式(1’)の構造を有することがより好ましい。
式(1’)中の「GlcUA」、「GalNAc」及び「−」は上記式(1)と同様である。βはβ結合を示し、数字は隣り合う糖残基との結合位置(グリコシド結合存在位置)を示す。
式(1’)に本発明酵素でGalNAc残基を転移させ、下記式(2’)の構造を含む産物が得られることが好ましい。GalNAc残基をβ1,4グリコシド結合でGlcUA残基に結合する活性がコンドロイチン骨格の合成には必要とされるからである。
式(2’)中の「GlcUA」、「GalNAc」及び「−」は上記式(2)と同様である。βはβ結合を示し、数字は隣り合う糖残基との結合位置(グリコシド結合存在位置)を示す。
本発明合成方法1においてGalNAc供与体からGalNAc受容体に対してGalNAc残基が転移される。本発明合成方法1に使用する本発明酵素は、前記GalNAc受容体に対し前記GalNAc供与体からGalNAc残基をβ1,4グリコシド結合で転移するものであることが好ましい。コンドロイチン骨格へのGalNAc残基の結合はβ1,4グリコシド結合でなされているからである。
本発明合成方法におけるGalNAc供与体からGalNAc受容体へのGalNAc残基の転移反応は、本発明酵素の至適反応pH、至適反応温度の範囲内で行われることが好ましい。例えばpHは5.0〜9.0が好ましく、5.5〜8.0がより好ましく、6.0〜7.5であることが最も好ましい。このような条件を保つために、上記転移反応は緩衝液中で行われることが好ましい。緩衝液としては酢酸緩衝液、MES緩衝液、ヒドロキシメチルアミノエタン−塩酸緩衝液(以下単に「Tris−HCl緩衝液」とも記載する)、及びリン酸ナトリウム緩衝液等が挙げられ、いずれも使用することは可能である。しかし本発明合成方法において最も好ましいpH範囲(pH6.0〜7.5)全体において安定したpHを保つ作用が強いことからMESが最も好ましい。緩衝液の緩衝剤の濃度は特に限定はされないが10〜200mmol/l、好ましい範囲としては20〜100mmol/lが例示される。
また、この緩衝液には酵素活性の促進のために二価の金属陽イオン、更に好ましくはマンガンイオン、コバルトイオン等、特にマンガンイオンが含まれていることが好ましい。このような金属陽イオンは塩の形で緩衝液に添加しても良い。塩としては例えば塩化マンガンなどの上記金属陽イオンのハロゲン化物が例示される。
作用時の温度条件は20〜45℃が例示され、好ましくは24〜40℃、最も好ましくは36〜37℃が例示される。
本発明酵素は、上述の式(2)及び式(2’)記載の糖鎖の合成に使用することができ、式(2)又は式(2’)の構造を有する糖鎖の非還元末端に存在するGalNAc残基を転移するための使用は本発明使用となる。
(b)本発明合成法2
本発明合成法2は、本発明酵素を下記式(3)で示される構造を有するGlcUA受容体及びGlcUA供与体に対して作用させて、GlcUA受容体にGlcUA残基をGlcUA供与体から転移することを特徴とする、下記式(4)で示される構造を有する糖鎖の合成方法である。
式(3)及び(4)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1又は0を示し「−」はグリコシド結合を示す。
本発明合成法2において、GlcUA受容体とは、GlcUA残基が転移される対象となる上記式(3)の糖鎖を含むものであれば特に限定はされず、さらにその非還元末端に糖鎖、タンパク質、脂質、合成高分子化合物などが結合した構造を有する化合物であっても良い。
上記式(3)のGlcUA受容体に対して本発明酵素を作用させてGlcUA供与体からGlcUA残基を転移すると、上記式(4)で示す構造を有する化合物が得られる。
コンドロイチン骨格は、GlcUA残基とGalNAc残基とがβ1,3グリコシド結合で結合した二糖がβ1,4グリコシド結合で結合した構造からなり、本発明合成方法1と同様に本発明合成方法2においてもそのような糖鎖にGlcUA残基を結合できることが好ましい。すなわち上記式(3)の構造を有するGlcUA受容体は下記式(3’)の構造を有することがより好ましい。
式(3’)中の「GlcUA」、「GalNAc」及び「−」は上記式(3)と同様である。βはβ結合を示し、数字は隣り合う糖残基との結合位置(グリコシド結合存在位置)を示す。
式(3’)に本発明酵素でGlcUA残基を転移させ、下記式(4’)の構造を含む産物が得られることが好ましい。GlcUA残基をβ1,3グリコシド結合でGalNAc残基に結合する活性がコンドロイチン骨格の合成には必要とされるからである。
式(3’)、(4’)中の「GlcUA」、「GalNAc」及び「−」は上記式(1)、(2)と同様である。βはβ結合を示し、数字は隣り合う糖残基との結合位置(グリコシド結合存在位置)を示す。
本発明合成方法2においてGlcUA供与体からGlcUA受容体に対してGlcUA残基が転移される。本発明合成方法2に使用する本発明酵素は、前記GlcUA受容体に対し前記GlcUA供与体からGlcUA残基をβ1,3グリコシド結合で転移すものであることが好ましい。コンドロイチン骨格へのGlcUA残基の結合はβ1,3結合でなされているからである。
本発明合成方法におけるGlcUA供与体からGlcUA受容体へのGlcUA残基の転移反応は、本発明酵素の至適反応pH、至適反応温度で行われることが好ましい。例えばpHは4.0〜8.0が好ましく、4.5〜7.0がより好ましく、5.7〜6.7であることがより好ましく、特に6.0〜6.5であることが好ましい。このような条件を保つために、上記転移反応は緩衝液中で行われることが好ましい。緩衝液としては酢酸緩衝液、MES、Tris−HCl緩衝液及びリン酸ナトリウム緩衝液等が挙げられ、いずれも使用することは可能である。しかし本発明合成方法において最も好ましいpH範囲(pH6.0〜6.5)全体において安定したpHを保つ作用が強いことからMESが好ましい。pH6.0〜6.5が緩衝領域の中心域なので、pHをより安定に保つことができるからである。緩衝液の緩衝剤の濃度は特に限定はされないが10〜200mmol/l、好ましい範囲としては20〜100mmol/lが例示される。
また、この緩衝液には酵素活性の促進のために二価の金属陽イオン、更に好ましくはマンガンイオン、コバルトイオン等、特にマンガンイオンが含まれていることが好ましい。このような金属陽イオンは塩の形で緩衝液に添加しても良い。塩としては例えば塩化マンガンなどの上記金属陽イオンのハロゲン化物が例示される。
作用時の温度条件は20〜45℃が例示され、好ましくは24〜40℃、最も好ましくは36〜37℃が例示される。
本発明酵素は、上述の式(4)及び式(4’)記載の糖鎖の合成に使用することができ、式(4)又は式(4’)の構造を有する糖鎖の非還元末端に存在するGlcUA残基を転移するための使用は本発明使用となる。
実施例1
本発明酵素の調製
(1)cDNAのクローニングと発現ベクターの構築
コンドロイチン硫酸グルクロン酸転移酵素(CSGlcA−T)のアミノ酸配列(GenBank accession No.AB037823がコードするアミノ酸配列)をクエリーとして、BLAST検索を行った。その結果、EST(GenBank accession No.NM_018590)が見つかった。しかし、この配列は不完全であったため、ゲノムデータベースから、GenScan(米国スタンフォード大学)によりORFを調べた。その結果、配列番号1記載の塩基配列(コードされるアミノ酸配列は配列番号2)を発見した。配列番号1記載の塩基配列からなる遺伝子は、少なくともヒト脳で発現していることをMarathon−Ready cDNA(クロンテック社製)を鋳型としたRT−PCR法によって確認した。この遺伝子の膜貫通領域を含む領域(配列番号2のアミノ酸番号1〜96からなる領域)を除く可溶性領域をクローニングするため、配列番号3及び配列番号4の2種のプライマーを用いて常法に従ってPCRを行った。使用した鋳型cDNAはMarathon−Ready cDNA human brain(クロンテック社製)を使用した。増幅された約2kbのバンドを常法に従ってEcoRIとBamHIで消化し、ほ乳類細胞用の発現ベクターpFLAG−CMV−1(シグマ社製)のEcoRIとBamHI部位に常法に従って挿入してK11−FLAG−CMV1を得た。得られたベクターの塩基配列を確認したところ、配列番号1記載の塩基配列の塩基番号287〜2328の塩基配列からなるDNA断片が挿入されていることを確認した。
(2)本発明酵素の調製
K11−FLAG−CMV1 15μgをTransFast(プロメガ社製)を用い、プロトコールに従って 100mm培養皿に70%コンフルエントになるように培養したCOS7細胞に遺伝子を導入した。3日間培養した上清を回収し、0.22μmのフィルターで濾過後、その上清10mlにAnti−FLAG M2−Agarose Affinity Gel(シグマ社製)100μlを加え、4℃で一晩、転倒混和した。反応後、ゲルを50mmol/l Tris−HCl,pH7.4/20%グリセロールで3回洗浄後、27Gの注射針をつけたシリンジを用い余分な洗浄液を除いた。このゲルを50mmol/l Tris−HCl,pH7.4/20%グリセロール/10mmol/lフェニルメチルスルホニルフルオライド/1μg/ml leupeptin/1μg/ml pepstatinに50%(v/v)となるように懸濁し、これを遠心分離した後に上清を取り除いて酵素吸着ゲル懸濁液とした。
実施例2
本発明酵素を用いたコンドロイチン骨格の伸長
(1)コンドロイチン/コンドロイチン硫酸奇数糖の調製
コンドロイチン(サメ由来コンドロイチン硫酸を化学的に脱硫酸化:生化学工業株式会社製)及びコンドロイチン硫酸(サメ軟骨由来:生化学工業株式会社製)をウシ睾丸ヒアルロニダーゼ(シグマ社製)で限定消化後、反応液を10分間100℃で保ち、酵素を加熱失活させた。この反応液をSuperdex 30カラム(60×1.6cm:アマシャムバイオサイエンス株式会社製、クロマトグラフィー条件;移動相:0.2mol/l NH4HCO3、流速:2ml/分)にかけ溶出液を225nmの吸光度でモニターしながら、2ml毎に分画し、10糖相当画分をプールした。各画分をPD10カラム(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)により脱塩後、常法に従ってカルバゾール硫酸法によりウロン酸定量を行い、凍結乾燥した。凍結乾燥物を1mmol/lとなるように蒸留水に溶解し、偶数オリゴ糖サンプルとした(コンドロイチン由来の10糖を「CH10」、コンドロイチン硫酸由来の10糖を「CS10」と記載する)。
10nmol/lのMnCl2、171μmol/lのATPナトリウム塩を含む50mmol/l MES緩衝液(pH6.5)に酵素吸着ゲル懸濁液10μl、被検物質(コンドロイチン(CHEL)、コンドロイチン硫酸(CSEL)、CH10又はCS10)を1nmol、[3H]UDP−GalNAcを0.036nmol添加して全量を30μlとした。酵素反応は37℃で1時間行い、その後反応液を100℃で1分間保って酵素を失活させて反応を停止させた。
各々の反応液を孔径0.22μmのマイクロフィルター(ミリポア社製)で濾過した後、Superdex peptideカラム(30×1.0cm:アマシャムバイオサイエンス株式会社製、クロマトグラフィー条件;移動相:0.2mol/l NaCl、流速0.5ml/分)で分離し、溶出液を0.5mlの画分毎に分取して、シンチレーションカウンターで放射能を測定した(第1図)。その結果、強いGalNAc転移活性がCHEL(18画分)、CH10(23画分)及びCS10(23画分)をGalNAc受容体基質とした場合に観察され、CSELに対しては弱いGalNAc転移活性が観察された(16画分)。CH10及びCS10から得られた反応生成物の22〜23画分は11糖が溶出する分子量を示す画分だった。CH10から得られた11糖を「CH11」、CS10から得られた11糖を「CS11」と記載する。
CS11の21〜25画分を回収してプールし、PD10カラムにより脱塩した。このようにして得られたサンプルを二等分して凍結乾燥した。二分した一方を30mmol/lの酢酸ナトリウムを含む0.1mol/lのTrisHCl緩衝液(pH7.4)100μlに溶解し(CS11A)、他方をコンドロイチナーゼACIIで消化した(100mUのコンドロイチナーゼACII(生化学工業株式会社製)を100μlのCS11画分に溶解し、37℃で10時間酵素消化し、加熱して酵素を失活させた:CS11B)。
CS11AとCS11Bとを孔径0.22μmのマイクロフィルター(ミリポア社製)で濾過した後、Superdex peptideカラム(30×10mm:アマシャムバイオサイエンス株式会社製、クロマトグラフィー条件;移動相:0.2mol/l NaCl、流速0.5ml/分)で分離し、溶出液を0.5mlの画分毎に分取して、シンチレーションカウンターで放射能を測定したところ、CS11Bにおいて三糖画分に放射能ピークがシフトした(第2図)。この結果から、本発明酵素はコンドロイチン硫酸由来の10糖の非還元末端のGlcUAに対してGalNAcをβ1,4結合で転移し、11糖を調製することができることが推測された。
(2)コンドロイチン/コンドロイチン硫酸偶数糖の調製
コンドロイチン(サメ由来コンドロイチン硫酸を化学的に脱硫酸化:生化学工業株式会社製)及びコンドロイチン硫酸(サメ軟骨由来:生化学工業株式会社製)をウシ睾丸ヒアルロニダーゼ(シグマ社製)で限定消化後、反応液を10分間100℃で保ち、酵素を加熱失活させた。この反応液を10,000×gで10分間遠心処理し、上清を回収して更にウシ肝臓由来βグルクロニダーゼ(シグマ社製)で消化した。酵素反応は反応液を10分間100℃で保って停止させた。この反応液をSuperdex 30カラム(60×1.6cm:アマシャムバイオサイエンス株式会社製、クロマトグラフィー条件;移動相:0.2mol/l NH4HCO3、流速:2ml/分)にかけ溶出液を225nmの吸光度でモニターしながら、2ml毎に分画し、11糖相当画分をプールした。各画分をPD10カラム(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)により脱塩後、常法に従ってカルバゾール硫酸法によりウロン酸定量を行い、凍結乾燥した。凍結乾燥物を1mmol/lとなるように蒸留水に溶解し、奇数オリゴ糖サンプルとした(コンドロイチン由来の11糖:「CH11」、コンドロイチン硫酸由来の11糖:「CS11」)。
またコンドロイチン(サメ由来コンドロイチン硫酸を化学的に脱硫酸化:生化学工業株式会社製)及びコンドロイチン硫酸(サメ軟骨由来:生化学工業株式社製)をウシ肝臓由来βグルクロニダーゼ(シグマ社製)で消化してサンプルとした(各々「CHOL」及び「CSOL」と記載する)。
10nmol/lのMnCl2、50mmol/l酢酸緩衝液(pH5.6)に酵素吸着ゲル懸濁液10μl、被検物質(CHOL、CSOL、CH11又はCS11)を1nmol、[14C]UDP−GlcUAを0.432nmol添加して全量を30μlとした。酵素反応は37℃で1時間行い、その後反応液を100℃で1分間保って酵素を失活させて反応を停止させた。
各々の反応液を孔径0.22μmのマイクロフィルター(ミリポア社製)で濾過した後、Superdex peptideカラム(30×1.0cm:アマシャムバイオサイエンス株式会社製、クロマトグラフィー条件;移動相:0.2mol/l NaCl、流速0.5ml/分)で分離し、溶出液を0.5mlの画分毎に分取して、シンチレーションカウンターで放射能を測定した(第3図)。その結果、強いGlcUA転移活性がCHOL(18画分)、CH11(23画分)及びCS10(22画分)をGlcUA受容体基質とした場合に観察され、CSOLに対してはGlcUA転移活性が観察されなかった。CH11及びCS11から得られた反応生成物の22〜23画分は12糖が溶出する分子量を示す画分だった。CH11から得られた12糖を「CH12」、CS11から得られた12糖を「CS12」と記載する。
CS12の21〜25画分を回収してプールし、PD10カラムにより脱塩した。このようにして得られたサンプルを二等分して凍結乾燥した。二分した一方を30mmol/lの酢酸ナトリウムを含む0.1mol/lのTrisHCl緩衝液(pH7.4)100μlに溶解し(CS12A)、他方をコンドロイチナーゼACIIで消化した(100mUのコンドロイチナーゼACII(生化学工業株式会社製)を100μlのCS11画分に溶解し、37℃で10時間酵素消化し、加熱して酵素を失活させた:CS12B)。
CS12AとCS12Bとを孔径0.22μmのマイクロフィルター(ミリポア社製)で濾過した後、Superdex peptideカラム(30×1.0cm:アマシャムバイオサイエンス株式会社製、クロマトグラフィー条件;移動相:0.2mol/l NaCl、流速0.5ml/分)で分離し、溶出液を0.5mlの画分毎に分取して、シンチレーションカウンターで放射能を測定したところ、CS12Bにおいて二糖画分に放射能ピークがシフトした(第4図)。この結果から、本発明酵素はコンドロイチン硫酸由来の11糖に対してGlcUAをβ1,3結合で転移し、12糖を調製することができることが明かとなった。
実施例3
実施例2の本発明酵素のGlcUA及びGalNAc転移作用を、緩衝液のpHを変化させて至適pHを調べた。酢酸緩衝液、MES緩衝液、イミダゾール緩衝液、Tris−HCl緩衝液を、何れの緩衝液も最終濃度50mmol/lで使用した。
その結果、GlcUA転移活性の至適pHは6.0〜6.5(第5図)、GalNAc転移活性の至適pHは6.2(第6図)であることが判明した。
実施例4
実施例2の本発明酵素のGlcUA転移活性及びGalNAc転移活性の測定条件において、反応系に10mmol/lのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加してGlcUA転移活性及びGalNAc転移活性を調べたところ、酵素活性が完全に失われた(第7図)。従って、本発明酵素はその活性に二価陽イオンを必要とすることが明かとなった。
また、反応系にMnCl2に代えてCoCl2を10mmol/lで添加すると、高い酵素活性が得られることが明かとなった(第7図)。
更に、マンガンイオンの濃度による本発明酵素の活性への影響を調べるために、実施例2の反応条件でマンガンイオンの最終濃度を0〜50mmol/lの範囲内で変化させて同様にGlcUA転移活性及びGalNAc転移活性を測定したところ、何れの活性も、10mmol/lの至適マンガンイオン濃度の要求性を有することが明かとなった(第8図)。
実施例5
本発明遺伝子のヒト組織発現パターンの解析
ヒト各種組織における本発明遺伝子の発現量を解析するために、リアルタイムPCR法(RT−PCR)を用いた。各種Marathon−Ready cDNA(クロンテック社製)を鋳型にし、2種のプライマー(配列番号5及び配列番号6)と3’末端にマイナーグルーヴバインダー(アプライドバイオシステムズ社製)が結合したプローブ(配列番号7)を用いて増幅、定量を行った。標準遺伝子としてはグリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を含むプラスミドpCR2.1(インビトロゲン社製)で希釈系列を作り、検量線を作成して使用した。また、RT−PCRはABI PRISM 7700(アプライドバイオシステムス社製)を使用した(第9図)。第9図における発現量は、、1:気管、2:脳、3:肝臓、4:骨格筋、5:子宮、6:腎臓、7:心臓、8:胎児脳、9:唾液腺、10:小脳、11:脊髄、12:胎児肝臓、13:胎盤、14:精巣、15:前立腺、16:乳腺、17:膵臓、18:副腎、19:甲状腺、20:胃、21:小腸、22:大腸における発現量を表す。
その結果、本発明遺伝子は胎盤、精巣、膵臓、甲状腺、胃、小腸、特に膵臓で強く発現していることが明かとなった。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱すること無く様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2002年5月31日および2003年5月6日出願の日本特許出願(特願特願2002−160854および特願2003−128343)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
産業上の利用可能性
本発明により、コンドロイチンの基本骨格を合成するための酵素であって、グルクロン酸転移酵素活性を有しており、且つN−アセチルガラクトサミン転移酵素活性も有しているヒト由来の新規コンドロイチン合成酵素が提供される。
配列表フリーテキスト
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明酵素のGalNAc転移活性による奇数糖の合成を示すクロマトグラフィーのチャートを示す図である。白丸はコンドロイチン硫酸に対するGalNAc転移活性を示すチャートであり、黒丸はコンドロイチンに対するGalNAc転移活性を示すチャートである。白三角はコンドロイチン硫酸10糖に対するGalNAc転移活性を示すチャートであり、黒三角はコンドロイチン10糖に対するGalNAc転移活性を示すチャートである。
第2図は、本発明酵素のGalNAc転移活性により調製された11糖とそのコンドロイチナーゼACII消化物のクロマトグラフィーのチャートを示す図である。白丸はコンドロイチナーゼACII未消化の11糖のチャートを示し、黒丸はコンドロイチナーゼACII消化後の消化産物のチャートを示す。
第3図は、本発明酵素のGlcUA転移活性による偶数糖の合成を示すクロマトグラフィーのチャートを示す図である。白丸はコンドロイチン硫酸に対するGlcUA転移活性を示すチャートであり、黒丸はコンドロイチンに対するGlcUA転移活性を示すチャートである。白三角はコンドロイチン硫酸11糖に対するGlcUA転移活性を示すチャートであり、黒三角はコンドロイチン11糖に対するGlcUA転移活性を示すチャートである。
第4図は、本発明酵素のGlcUA転移活性により調製された12糖とそのコンドロイチナーゼACII消化物のクロマトグラフィーのチャートを示す図である。白丸はコンドロイチナーゼACII未消化の12糖のチャートを示し、黒丸はコンドロイチナーゼACII消化後の消化産物のチャートを示す。
第5図は、本発明酵素のGlcUA転移活性の至適pHを示す図である。白丸は酢酸緩衝液を示し、黒丸はMES緩衝液を示し、白三角はイミダゾール緩衝液を示し、黒三角はTris緩衝液を示す。
第6図は、本発明酵素のGalNAc転移活性の至適pHを示す図である。白丸は酢酸緩衝液を示し、黒丸はMES緩衝液を示し、白三角はイミダゾール緩衝液を示し、黒三角はTris緩衝液を示す。
第7図は、本発明酵素の活性に対する二価陽イオンの影響を示す図である。白いバーはGlcUA転移活性を示し、黒いバーはGalNAc転移活性を示す。
第8図は、本発明酵素の活性に対するマンガンイオンの濃度による影響を示す図である。白丸は本発明酵素のGlcUA転移活性への影響を示し、黒丸は本発明酵素のGalNAc転移活性への影響を示す。
第9図は、健常人各組織における本発明酵素の発現量の定量値を示す図である。
Claims (4)
- 下記1に記載のコンドロイチン合成酵素を下記式(1)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体及びN−アセチル−D−ガラクトサミン供与体に対して作用させて、N−アセチル−D−ガラクトサミン受容体にN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移することを特徴とする、下記式(2)で示される構造を有する糖鎖の合成方法。
1. 配列番号2記載のアミノ酸配列又は配列番号2記載のアミノ酸番号97〜755からなるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又はそれに糖鎖が結合した糖鎖結合ポリペプチドからなることを特徴とするコンドロイチン合成酵素。
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