JP4328498B2 - リン酸型燃料電池の運転方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン酸を含浸させた電解質層をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで構成される接合体を有するリン酸型燃料電池の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の一形態であるリン酸型燃料電池の単位セルは、リン酸が含浸された電解質層をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで構成される電解質層・電極接合体を有する。リン酸を含浸させる母材(マトリックス)としては、炭化珪素多孔質体が一般的であるが、ポリベンズイミダゾール等の塩基性高分子膜を採用することも提案されている(米国特許第5525436号公報参照)。
【0003】
リン酸型燃料電池は、通常、上記したような構成の単位セルが所定の数だけ積層され、かつ電気的に直列接続された積層体として構成されている。
【0004】
このように構成されたリン酸型燃料電池を運転するに際しては、まず、アノード側電極に燃料ガス(水素含有ガス)が供給され、かつカソード側電極に酸素含有ガスが供給される。このうち、水素含有ガス中の水素は、アノード側電極において、以下の反応式(A)に示されるように電離し、その結果、水素イオンおよび電子が生成する。
【0005】
2H2→4H++4e…(A)
【0006】
生成した水素イオンは、電解質層を介してカソード側電極へ移動する。一方、電子は、アノード側電極およびカソード側電極に電気的に接続された外部回路に取り出され、該外部回路を付勢するための直流の電気エネルギとして利用された後、カソード側電極へと至る。
【0007】
そして、カソード側電極に移動した水素イオンおよび前記外部回路を介してカソード側電極に到達した電子は、該カソード側電極に供給された酸素含有ガス中の酸素と以下の反応式(B)に示される反応を起こす。
【0008】
2+4H++4e→2H2O…(B)
【0009】
以上の反応は、発熱反応である。換言すれば、燃料電池は、運転に伴って発熱する。
【0010】
ところで、水の沸点である100℃未満でリン酸型燃料電池を運転した場合、液体(水)として生成するH2Oの比率が上昇し、この生成水がリン酸型燃料電池内に滞留するようになる。このような事態が生じると、電解質層中のリン酸が生成水中に溶出してしまい、生成水が最終的に燃料電池の系外へと排出される際に該生成水に同伴して排出されてしまう。その結果、電解質層中のリン酸の濃度が低くなり、リン酸型燃料電池の電池特性が低下してしまうという不具合が惹起される。
【0011】
このような不具合を回避するために、リン酸型燃料電池は、通常、140℃〜190℃前後で運転される。すなわち、まず、ヒータ等の加熱手段を使用してリン酸型燃料電池を加温し、100℃を超える温度まで該リン酸型燃料電池の温度を上昇させる。その後、燃料ガスおよび酸素含有ガスを上記のように供給して反応させ、この際の反応熱を利用してリン酸型燃料電池を140℃〜190℃まで昇温させるようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにして昇温させると、運転温度に到達するまで長時間が必要であるという不具合がある。すなわち、リン酸型燃料電池には、安定した定常運転が可能となるまでに長時間を要してしまうので、発電させたいときに即座に発電させることができないという実使用上の問題がある。
【0013】
これを解決する方策としては、発熱量が大きなヒータを使用することが想起される。しかしながら、このようなヒータは概して形状が大であり、したがって、燃料電池システム全体の大型化を引き起こし、体積および重量当たりのエネルギ効率を著しく低減させてしまうという不具合を招く。
【0014】
なお、特開昭63−225477号公報および米国特許第6103410号公報には、燃料ガスと酸素含有ガスとを同時にカソード側電極に供給し、次の反応式(C)に示される反応を起こさせ、この際の反応熱を利用してリン酸型燃料電池を昇温させる手法が開示されている。
【0015】
2H2+O2→2H2O…(C)
【0016】
しかしながら、この場合においても、リン酸型燃料電池の温度が100℃未満であるときには液状水が生成する。したがって、電解質層中のリン酸は、生成水中に溶出して最終的に該生成水とともに燃料電池の系外へと排出されてしまう。すなわち、水素と酸素とを直接反応させるのみでは、リン酸型燃料電池の電池特性が低下してしまうという不具合を回避することができない。
【0017】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、リン酸型燃料電池の電池特性が低下することを確実に阻止して運転温度まで昇温させることが可能であり、しかも、設備を大型化させることもないリン酸型燃料電池の運転方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、リン酸を含浸させた電解質層をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで構成される接合体を有するリン酸型燃料電池の運転方法であって、
発電に先立ち、燃料ガスおよび酸素含有ガスを前記カソード側電極に供給し、該カソード側電極で前記燃料ガス中の水素と前記酸素含有ガス中の酸素とを反応させることによって発生した反応熱で前記接合体を運転温度まで昇温させるにあたり、
水素に対して酸素が過剰となるように前記燃料ガスと前記酸素含有ガスとを前記カソード側電極に供給して前記接合体の温度を上昇させるとともに、反応によって生じる生成水の量と、前記電解質層に含浸されたリン酸から蒸発する蒸発水の量とが平衡して前記電解質層中のリン酸濃度が一定に保たれるように、前記リン酸型燃料電池の温度上昇に伴って前記生成水および前記蒸発水の量が変化することに応じて、前記酸素含有ガスの供給流量を、該酸素含有ガスの供給流量とリン酸の飽和蒸気圧との間に所定の関係式が成立する流量に変化させることを特徴とする。なお、「所定の関係式」は、後述の式(4)として表される。
【0019】
このように昇温することにより、リン酸が溶出することを抑制することができる。このため、リン酸型燃料電池の発電性能が低下することを確実に回避することができ、運転温度に昇温後は該リン酸型燃料電池を所望の性能で発電させることができる。したがって、リン酸補給装置等も必要としない。
【0020】
また、上記から諒解されるように、本発明においては、水素と酸素とが反応する際に発生する熱で接合体を昇温させる。このため、大型ヒータ等が不要となるので、燃料電池システムを簡素かつ安価な構成とすることができる。
【0021】
なお、安全を期すため、燃料ガスと酸素含有ガスを、水素と酸素とが爆発範囲を外れる割合でカソード側電極に供給することが好ましい。
【0022】
そして、リン酸濃度を前記基準リン酸濃度以上に制御する具体的な方法としては、燃料ガスの流量を一定として該燃料ガスの燃焼効率を求め、燃焼効率が既知となった流量で燃料ガスを供給する一方で、酸素含有ガスの供給流量を変更する方法を挙げることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るリン酸型燃料電池の運転方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
まず、リン酸型燃料電池の概略縦断面図を図1に示す。このリン酸型燃料電池10は、図1に示すように、電解質層・電極接合体12と、該電解質層・電極接合体12の両面に配置されるバイポーラ板であるセパレータ14a、14bと、前記セパレータ14a、14bの外側に配置される集電用電極16a、16bとを備える。
【0025】
集電用電極16a、16bの外側には、エンドプレート18a、18bが配置され、前記エンドプレート18a、18bが図示しないボルトにより締め付けらることにより、リン酸型燃料電池10が一体的に構成される。
【0026】
電解質層・電極接合体12は、例えば、ポリベンズイミダゾール膜等の塩基性高分子膜にリン酸を含浸させた電解質マトリックス層20と、該電解質マトリックス層20の両面に額縁状スペーサ22を介して対設されるアノード側電極24およびカソード側電極26とを備える。
【0027】
セパレータ14aにおけるアノード側電極24に対向する面には、燃料ガスを流通させるための第1ガス流路28が形成されており、一方、セパレータ14bにおけるカソード側電極26に対向する面には、酸素含有ガスを流通させるための第2ガス流路30が形成されている。また、セパレータ14a、14bにおけるアノード側電極24またはカソード側電極26との境界面には、複数個の温度センサ32が配置されている。
【0028】
図2に、上記したような構成のリン酸型燃料電池10が組み込まれた燃料電池システム40の概略構成図を示す。本実施の形態に係る運転方法は、この燃料電池システム40において遂行される。
【0029】
図2に示すように、リン酸型燃料電池10を構成する前記集電用電極16a、16bには、モータ等の負荷Wが接続されている。また、リン酸型燃料電池10には、第1ガス流路28に連通する水素ガス供給経路42および水素ガス排出経路44と、第2ガス流路30に連通する空気供給経路46および空気排出経路48とが接続される。
【0030】
水素ガス供給経路42には、燃料ガスである水素ガスを高圧で供給するための高圧水素貯蔵源50と、電磁弁52aと、減圧弁54aと、水素ガス流量制御器56aと、遮断弁58aと、逆止弁60aと、三方弁62aと、入口側圧力センサ64aとが上流側からこの順序で配置されている。一方、水素ガス排出経路44には、出口側圧力センサ66aと、露点センサ68aと、熱交換器70aと、気液分離器72aと、背圧弁74aとが配置されるとともに、気液分離器72aの出口側に電磁弁76aが設けられている。
【0031】
空気供給経路46および空気排出経路48は、上記の水素ガス供給経路42および水素ガス排出経路44と同様に構成されており、したがって、同一の構成要素には同一の参照数字を付し、かつaに代替してbを添え、その詳細な説明を省略する。
【0032】
なお、空気供給経路46の上流側には、酸素含有ガスとしての空気を供給するためのコンプレッサ78が配置されている。また、空気排出経路48には、背圧弁74bの下流側に水分除去器80、ガスサンプラ82、水素量分析システムとしてのガスクロマトグラフィ(GC)84がこの順序で配置されている。
【0033】
さらに、空気供給経路46において、三方弁62bと入口側圧力センサ64bとの間には、ガス混合器86と逆火防止器88aとが介装されており、三方弁62aと三方弁62bとを橋架する送気管90には、遮断弁92および逆止弁94が設置されている。そして、該逆止弁94と三方弁62bとの間にも逆火防止器88bが介装されている。
【0034】
リン酸型燃料電池10に組み込まれている複数の温度センサ32は、温度測定システム96に電気的に接続されている。また、水素ガス流量制御器56a、空気流量制御器56bには水素ガス流量制御システム98、空気流量演算システム100がそれぞれ電気的に接続されており、温度測定システム96にはリン酸飽和蒸気圧演算システム102が電気的に接続されている。このリン酸飽和蒸気圧演算システム102と前記ガスクロマトグラフィ84は、空気流量演算システム100に電気的に接続されている。
【0035】
以上の構成において、空気流量演算システム100、入口側圧力センサ64b、出口側圧力センサ66bおよび背圧弁74bは、圧力制御システム104に電気的に接続されている。
【0036】
また、燃料電池システム40の運転温度、換言すれば、電解質層・電極接合体12の温度は、燃料電池温度制御器106によって制御される。
【0037】
次に、本実施の形態に係る運転方法につき、上記のように構成された燃料電池システム40の動作との関係で説明する。
【0038】
電池特性が低下しない基準リン酸濃度は、電解質層・電極接合体12内の内部構成や寸法等に影響され、そのリン酸型燃料電池に固有のものである。そこで、本実施の形態に係る運転方法を遂行するに当たっては、定常運転に先立ち、カソード側電極26に供給される水素ガスおよび空気の流量をはじめとする各種パラメータが実験によって求められる。
【0039】
水素ガスと空気とを含有する混合ガスは、水素ガスが4〜75体積%存在する場合に爆発範囲となる。カソード側電極26に供給される水素ガスおよび空気の割合は、安全のため、この爆発範囲を外れるように設定される。通常は、水素ガスの割合が4体積%未満となるように、空気の方が大過剰に供給される。コンプレッサ78にて大気を圧縮することで、過剰量の空気を容易に確保することができるからである。
【0040】
また、水素ガスが75体積%より多く存在する混合ガスでリン酸型燃料電池10を昇温させた場合には、昇温後に引き続いて定常運転(発電)を行う際、カソード側電極上や第2ガス流路30に残留した水素ガスを窒素等の不活性ガスによってパージしなければならないが、上記のように空気を過剰に供給した場合、このような煩雑な操作を行う必要もない。
【0041】
水素ガスおよび空気をカソード側電極26に同時に供給した際、該カソード側電極26では、上記反応式(C)に示される反応が起こる。空気の供給流量をfc、水素ガスの供給流量をfa、燃焼効率をrとすると、上記したように空気が大過剰で存在するのであるから、生成する水の量mは、下記の(1)式で求められる。
【0042】
【数1】
Figure 0004328498
【0043】
ここで、fc、faの単位はNl/分であり、mの単位はmol/分である。なお、Nl/分とは、0℃、1atmに換算した際の流量をリットル(l)で表したものであり、以下の説明においても同様である。
【0044】
一方、カソード側電極26から排出されるガスの流量をfec(Nl/分)とすると、fecは、反応に関与することなくカソード側電極26を流通した水素ガスおよび空気と、生成水の量との和であるから、下記の(2)式が成立する。
【0045】
【数2】
Figure 0004328498
【0046】
そして、生成水の量と、蒸発するリン酸中の水の量とが平衡に達した際のリン酸の飽和蒸気圧Psatは、fec、mを用いて下記の(3)式で表される。なお、式(3)中、Pmixは、混合ガスが第2ガス流路30内に導入される際の入口圧力であり、入口側圧力センサ64bによって測定される。
【0047】
【数3】
Figure 0004328498
【0048】
(2)式および(3)式から、fcは、下記の(4)式で表される。
【0049】
【数4】
Figure 0004328498
【0050】
この(4)式が成立するように、fc、fa、r、PsatおよびPmixを設定する。
【0051】
このうち、Psatは、以下のようにして求めることができる。
【0052】
まず、上記リン酸型燃料電池10と同一寸法・構成の予備リン酸型燃料電池10bを組み込んだ燃料電池システム40bを、生成水が水蒸気として生成し、このためにリン酸が溶出することのない条件下、例えば、運転温度を160℃、水素ガスおよび空気の供給圧力をともに201.3kPaとした上で、水素ガス利用率および空気利用率が50%となる条件下で運転し、電流密度が1A/cm2のときの電圧を基準電圧とする。
【0053】
次に、予備リン酸型燃料電池10bの運転温度を160℃よりも低温のT℃とし、他の条件は上記と同一にして、0.2A/cm2の一定電流密度で3時間継続して発電させる。そして、電流密度と有効電極面積からリン酸の濃度を低下させる水の量を求める一方で、露点センサ68a、68bの測定値から、リン酸の濃度を低下させる水の量のうち、アノード側電極24側から蒸発する比率aを求める。その後、運転温度を160℃とし、リン酸型燃料電池10の性能を評価して電流密度1A/cm2時の電圧を測定し、この際の電圧が前記基準電圧以上となるか否かを確認する。
【0054】
運転温度をさらに低下させながら上記の測定を繰り返し行い、低温発電させた後に160℃、電流密度1A/cm2で定常運転させた際の電圧が基準電圧よりも低下した場合の低温発電時の温度を閾値とする。この閾値となる直前の低温発電時の運転温度を運転温度下限値とし、その際の運転条件を用いて、リン酸飽和蒸気圧を以下のようにして算出する。
【0055】
電流密度がI(A/cm2)で電極有効面積がS(cm2)のとき、単位時間あたりに生成される水の量、すなわち、リン酸の濃度を低下させる水の量m(mol/分)は、水素ガス利用率ra(%)および空気利用率rc(%)に関係なく一定であり、下記の(5)式により求められる。
【0056】
【数5】
Figure 0004328498
【0057】
次に、運転温度をT℃、水素ガス温度をTa℃、空気温度をTc℃、水素ガス側運転圧力をPa(kPa)、酸化剤側運転圧力をPc(kPa)、水素ガスの供給流量(水素ガス流量)をfa(Nl/分)、空気の供給流量(空気流量)をfc(Nl/分)、水素ガス側から排出されるガス流量をfea(Nl/分)、空気側から排出されるガス流量をfec(Nl/分)、リン酸の濃度を低下させる水の量のうち、水素ガス側から蒸発する比率をa(%)、および空気側から蒸発する比率を1−a(%)とする。
【0058】
水素ガス側から排出されるガス流量feaは、発電に消費されなかった水素ガスの流量と、リン酸の濃度を低下させる水の量のうち、アノード側電極24側から蒸発する水蒸気量との和であるから、下記の(6)式より求められる。
【0059】
【数6】
Figure 0004328498
【0060】
水素ガス温度Ta℃と空気温度Tc℃とがともに運転温度T℃と等しいとき、リン酸濃度を低下させる生成水の量とリン酸中から蒸発する水の量とが平衡となった時点での排出水素ガス中のリン酸の飽和蒸気圧Ps,aは、下記の(7)式により求められる。
【0061】
【数7】
Figure 0004328498
【0062】
一方、カソード電極側から排出される空気流量fecは、下記の(8)式より求められる。
【0063】
【数8】
Figure 0004328498
【0064】
排出された空気中におけるリン酸の飽和蒸気圧Ps,cは、下記の(9)式から求められる。
【0065】
【数9】
Figure 0004328498
【0066】
したがって、例えば、運転温度下限値が120℃であり、その際の運転条件は、比率aが20%、電流密度Iが0.2A/cm2、有効電極面積Sが196cm2、水素ガス利用率raが50%、空気利用率rcが50%、水素ガス流量faが0.54Nl/分、空気流量fcが1.33Nl/分、水素ガス、空気の供給圧力Pa、Pcがともに201.3kPaであった場合、(7)式および(9)式から、リン酸濃度を低下させる生成水の量とリン酸中から蒸発する水の量とが平衡となった時点では、水素ガス中のリン酸の飽和蒸気圧Ps,aは33.6kPa、空気中のリン酸の飽和蒸気圧Ps,cは31.8kPaと算出される。
【0067】
飽和蒸気圧がこの値を示すリン酸濃度は、図4を使用して求められる。なお、この図4は、120℃におけるリン酸濃度−飽和蒸気圧曲線のみを図3から抽出したものである。
【0068】
図4において、点B1、B2で示すように、Ps,c、Ps,aの値である31.8kPa、33.6kPaを横軸上にまずプロットする。次に、リン酸濃度−飽和蒸気圧曲線に向けて、点B1、B2を起点とする垂線L1、L2をそれぞれ引く。これら垂線L1、L2とリン酸濃度−飽和蒸気圧曲線との交点を、C1、C2とする。
【0069】
さらに、交点C1、C2から、縦軸に向けて水平方向に直線M1、M2をそれぞれ引き、直線M1、M2が交わった点の縦軸の値を調べる。この縦軸の値が、リン酸濃度を低下させる生成水の量とリン酸中から蒸発する水の量とが平衡となる飽和蒸気圧が得られるリン酸濃度である。
【0070】
図4を使用して求めると、上記した場合におけるリン酸濃度は、アノード側電極24で84.9%、カソード側電極26で86.6%となる。このうちの低い値、すなわち、84.9%が、予備リン酸型燃料電池10b(リン酸型燃料電池10)の性能劣化を生じないリン酸濃度の下限値となる。
【0071】
Psatは、例えば、運転温度(電解質層・電極接合体12の温度)を80℃とする場合、上記のようにして求められたリン酸濃度に基づき、図5から以下のようにして求められる。なお、図5は、80℃におけるリン酸濃度−飽和蒸気圧曲線のみを図3から抽出したものである。
【0072】
図5中の縦軸における84.9%の箇所を基点とし、リン酸濃度−飽和蒸気圧曲線に向けて水平方向に直線M3を引く。次に、この直線M3とリン酸濃度−飽和蒸気圧曲線との交点C3から横軸に向けて垂線L3を引き、該垂線L3と横軸との交点をB3とする。この交点B3が温度80℃におけるPsatであり、その値は5.9kPaである。
【0073】
次に、Pmixは、入口側圧力センサ64bによって実測される。なお、生成水を可能な限り蒸発させ易くするために、Pmixの値は小さい方が望ましい。具体的には、出口側通路を大気に開放することによって出口圧力が大気圧となるようにすればよい。
【0074】
次に、faおよびrは、以下のようにして実験的に求められる。
【0075】
まず、電解質層・電極接合体12の比熱と、該電解質層・電極接合体12の加熱開始から終了までの温度差とから、該電解質層・電極接合体12を運転温度まで昇温させるために必要な熱容量を求め、この熱容量を加熱時間で除して単位時間当たりの必要熱容量Q1(kJ/分)を求める。
【0076】
一方、初期の水素ガス流量をfa1(Nl/分)とすれば、水素ガス1molが燃焼した際の燃焼エネルギは、生成水が水蒸気として存在する場合、228.6kJであるから、Q1は、下記の(10)式で表される。
【0077】
【数10】
Figure 0004328498
【0078】
なお、rは、(1)式で定義したとおり燃焼効率であり、単位は%である。
【0079】
この式を変形すると、下記の(11)式が得られる。
【0080】
【数11】
Figure 0004328498
【0081】
ここで、rが100%であると仮定し、かつ上記のようにして求めたQ1の値を(11)式に代入してfa1を求める。このfa1の値を、水素ガス流量設定システムに入力する。
【0082】
以上とは別に、上記のようにして求めた予備リン酸型燃料電池10b(リン酸型燃料電池10)の性能劣化を生じないリン酸濃度の下限値、すなわち、84.9%と、図3に示す各温度におけるリン酸濃度−飽和蒸気圧曲線とをリン酸飽和蒸気圧演算システム102に記憶させるとともに、温度センサ32および温度測定システム96にて、加熱を開始する時点での電解質層・電極接合体12の温度TMEA1(℃)を測定する。温度測定システム96は、この測定温度をリン酸飽和蒸気圧演算システム102に信号として送る。
【0083】
この信号を受けたリン酸飽和蒸気圧演算システム102は、リン酸濃度−飽和蒸気圧曲線から、濃度84.9%のリン酸のTMEA1(℃)におけるリン酸飽和蒸気圧Psat1を算出し、その値を信号として空気流量演算システム100に送る。
【0084】
次に、Pmixは、入口側圧力センサ64bによって実測される。なお、生成水が蒸発し易くなるという理由から、Pmixの値は、可能な限り小さい方が望ましい。このため、圧力制御システム102は、カソード側出口圧力が大気圧近傍となるように、背圧弁74bを全開とする。
【0085】
以上のようにして求められたfa1、r(=100%)、Psat1、Pmixを式(4)に代入し、初期の空気流量fc1を算出する。
【0086】
そして、三方弁62aを操作してアノード側電極24に水素ガスが流通されない状態とした上で、水素ガスおよび空気をそれぞれ流量fc1、fa1でカソード側電極26の第2ガス流路30に流通させ、上記反応式(C)に示される反応を該カソード側電極26で進行させる。この反応は発熱反応であるので、反応が進行するにつれて電解質層・電極接合体12の温度が上昇する。
【0087】
t1分後、図3(リン酸濃度−飽和蒸気圧曲線)を用いて、TMEA,t1(℃)に昇温した電解質層・電極接合体12における濃度84.9%のリン酸のリン酸飽和蒸気圧Psat1,t1を求める。その一方で、カソード側電極26に導入される混合ガスの圧力Pmix,t1を入口側圧力センサ64bにて測定する。
【0088】
カソード側電極26から排出されたガスは、熱交換器70bにて冷却される。これにより凝縮した生成水は、気液分離器72bでガスと分離される。
【0089】
生成水が分離されたガスは、背圧弁を通過した後、水分除去器80にて残留した水分が除去されて乾性ガスとなる。この乾性ガスの一部がガスサンプラ82に採取され、ガスクロマトグラフィ84にて該乾性ガス中の水素ガス含有量が測定される。このようにして定量された水素ガス含有量が、反応に関与することなくカソード側電極26から排出された水素ガス量である。実際の燃料効率rrea,t1は、この水素ガス量から計算することができる。
【0090】
以上のfa1、rrea,t1、Psat1,t1、Pmix,t1を式(4)に代入し、2次空気流量fc1,t1を算出する。
【0091】
そして、水素ガスおよび空気をそれぞれ流量fa1、fc1,t1でカソード側電極26に流通させることにより、上記反応式(C)に示される反応を該カソード側電極26で進行させ、再度、電解質層・電極接合体12の温度を上昇させる。
【0092】
以下、上記と同様に、t2分後における電解質層・電極接合体12の温度TMEA,t2(℃)を測定し、その場合における濃度84.9%のリン酸のリン酸飽和蒸気圧Psat1,t2を求める。その一方で、カソード側電極26に導入される混合ガスの圧力Pmix,t2を圧力センサにて測定する。
【0093】
さらに、反応することなくカソード側電極26から排出された水素ガスを定量し、実際の燃料効率rrea,t2を求める。
【0094】
以上のfa1、rrea,t2、Psat1,t2、Pmix,t2を式(4)に代入し、3次空気流量fc1,t2を算出する。
【0095】
そして、水素ガスおよび空気をそれぞれ流量fa1、fc1,t2でカソード側電極26に流通させることにより、上記反応式(C)に示される反応を該カソード側電極26で進行させて、電解質層・電極接合体12の温度を上昇させる。
【0096】
このようにして電解質層・電極接合体12の温度、混合ガスの供給圧力、未燃焼の水素ガス量をモニタリングするとともに、その値をフィードバックして空気流量を変化させながら電解質層・電極接合体12を昇温させる。最終的に、燃料電池システムの運転温度に到達した際の燃焼効率をrrea1とする。
【0097】
以上のようにして得られた電解質層・電極接合体12の昇温特性が所望の昇温特性よりも低い場合、水素ガス流量をfa1よりもやや大きいfa2として上記の操作を繰り返す。なお、空気流量の算出に際しては、rrea1の値を初期の燃焼効率とする。この場合における燃料電池システムの運転温度に到達した際の燃焼効率を、rrea2とする。
【0098】
この場合においても電解質層・電極接合体12の昇温特性が所望の昇温特性よりも低いようであれば、水素ガス流量をfa2よりもやや大きいfa3として、上記の操作を再度行う。空気流量の算出に際しては、rrea2の値を初期の燃焼効率とする。最終的に、電解質層・電極接合体12の実昇温特性が所望の昇温特性に合致したときの水素ガス流量がfa、その際の燃焼効率がrとなる。
【0099】
燃料電池システム40は、求められた各種パラメータに基づき、以下のようにして運転される。
【0100】
まず、fa、rの値を空気流量演算システム100に入力する。その一方で、図3に示す各温度におけるリン酸濃度−飽和蒸気圧曲線をリン酸飽和蒸気圧演算システム102に記憶させる。
【0101】
そして、三方弁62aを操作し、水素ガスがカソード側電極26のみに導入されるようにしておくとともに、温度センサ32および温度測定システム96にて、加熱を開始する時点での電解質層・電極接合体12の温度TMEA1(℃)を測定する。温度測定システム96は、この測定温度をリン酸飽和蒸気圧演算システム102に信号として送る。
【0102】
この信号を受けたリン酸飽和蒸気圧演算システム102は、リン酸濃度−飽和蒸気圧曲線から、濃度84.9%のリン酸のTMEA1(℃)におけるリン酸飽和蒸気圧Psat1を算出し、その値を信号として空気流量演算システム100に送る。
【0103】
次に、圧力制御システムは、カソード側出口圧力を可能な限り小さくするべく、背圧弁74bを全開とする。この際のPmixが入口側圧力センサ64bによって実測され、信号として圧力制御システムに送られる。圧力制御システムは、この信号を空気流量演算システム100に送る。
【0104】
空気流量演算システム100は、入力されたfa、r、リン酸飽和蒸気圧演算システム102が算出したPsat1、圧力制御システムが検知したPmixの各値から、上記(4)式に基づいて空気流量fc1を算出し、この値を信号として空気流量制御器に送る。すなわち、カソード側電極26には、水素ガスが流量faで供給され、かつ空気が流量fc1で供給される。
【0105】
カソード側電極26に供給された水素ガスおよび空気が上記反応式(C)に示される化学反応を起こすことに伴って発生する熱により、電解質層・電極接合体12が昇温される。同時に、H2Oが生成する。
【0106】
以降、t分後の電解質層・電極接合体12の温度TMEA,t、カソード側電極26入口における混合ガスの供給圧力Pmix,tをリアルタイムで検出する。リン酸飽和蒸気演算システム102は、このうちのTMEA,tに基づき、t分後におけるリン酸飽和蒸気圧Psat,tを算出する。
【0107】
空気流量演算システム100は、入力されたfa、r、リン酸飽和蒸気圧演算システム102が算出したPsat,t、圧力制御システムが検知したPmix,tの各値から、上記(4)式に基づいて必要な空気流量fc,tを算出する。そして、空気流量演算システム100は、空気流量制御器を介して空気流量がfc,tとなるように制御する。
【0108】
要するに、本実施の形態に係る運転方法では、反応生成水が液状水として存在する比率が高く、このためにリン酸の濃度を低下させてリン酸量を増加させるような温度下で水素ガスと空気中の酸素とを反応させる場合であっても、リン酸濃度を低下させる生成水の量とリン酸中から蒸発する水の量とが平衡する際のリン酸濃度が、性能劣化が生じない(すなわち、所望の性能を維持し得る)基準リン酸濃度以上になるように空気流量が制御される。
【0109】
このため、本実施の形態によれば、発熱量が大きいヒータを使用することなくリン酸型燃料電池10を昇温させることができる。したがって、大型のヒータや個別のリン酸補給装置等の追加設備が不要となり、簡単かつ経済的な構成で、発電性能の低下や性能劣化を確実に阻止しながら、燃料電池システム40を運転温度まで昇温させることができる。
【0110】
以上のようにして電解質層・電極接合体12が所定の温度(約140〜約190℃)まで昇温した後は、三方弁62aを操作し、カソード側電極26への水素ガスの供給を停止するとともに、アノード側電極24の第1ガス流路28に水素ガスが供給されるように設定する。その一方で、カソード側電極26には空気の供給を続行する。
【0111】
これに伴い、アノード側電極24では、上記反応式(A)に示される反応によって電子が生じる。この電子は、集電用電極16a、16bに電気的に接続されたモータ等の負荷Wを付勢する電気エネルギとして機能した後、カソード側電極26に到達して、上記反応式(B)に示される反応に関与する。換言すれば、燃料電池システム40が発電することに追従して、負荷Wが付勢される。
【0112】
リン酸型燃料電池10は、上記したようにリン酸の濃度が基準リン酸濃度以上となるように運転温度まで昇温されている。このため、リン酸型燃料電池10を所望の特性で発電させることができる。
【0113】
なお、上記した実施の形態においては、燃料ガスとして水素ガスを用いているが、特にこれに限定されるものではなく、水素を含有するガスであればどのようなガスであってもよい。同様に、酸素含有ガスとして空気を用いているが、酸素を含有するガスであればよく、酸素自体であってもよい。
【0114】
また、この実施の形態では、単位セルからリン酸型燃料電池10を構成するようにしているが、単位セルを複数個積層した積層体としてもよいことはいうまでもない。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るリン酸型燃料電池の運転方法によれば、カソード側電極に燃料ガスと酸素含有ガスとを供給して発熱反応を起こさせることにより電解質層・電極接合体を昇温させる際、該反応によって生成する水の量とリン酸中から蒸発する水の量とが平衡する際のリン酸濃度が、所望の性能を維持し得る基準リン酸濃度以上になるように運転条件を設定するようにしている。これにより、リン酸型燃料電池の発電性能が低下することを確実に回避することができるという効果が達成される。
【0116】
しかも、この場合、大型ヒータやリン酸補給装置等の追加設備が不要となるので、燃料電池システムを簡素かつ安価な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る運転方法を遂行するためのリン酸型燃料電池の概略縦断面図である。
【図2】図1に示すリン酸型燃料電池が組み込まれる燃料電池システムの概略構成図である。
【図3】リン酸の飽和蒸気圧とリン酸濃度の関係を示す線図である。
【図4】図3を使用してリン酸濃度を求める方法を説明する説明図である。
【図5】図3を使用してリン酸飽和蒸気圧を求める方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
10…リン酸型燃料電池 12…電解質層・電極接合体
14a、14b…セパレータ 16a、16b…集電用電極
20…電解質マトリックス層 24…アノード側電極
26…カソード側電極 28、30…ガス流路
32…温度センサ 40…燃料電池システム
42…水素ガス供給経路 44…水素ガス排出経路
46…空気供給経路 48…空気排出経路
56a、56b…ガス流量制御器 96…温度測定システム
98…水素ガス流量制御システム 100…空気流量演算システム
102…リン酸飽和蒸気圧演算システム
104…圧力制御システム 106…燃料電池温度制御器

Claims (2)

  1. リン酸を含浸させた電解質層をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで構成される接合体を有するリン酸型燃料電池の運転方法であって、
    発電に先立ち、燃料ガスおよび酸素含有ガスを前記カソード側電極に供給し、該カソード側電極で前記燃料ガス中の水素と前記酸素含有ガス中の酸素とを反応させることによって発生した反応熱で前記接合体を運転温度まで昇温させるにあたり、
    水素に対して酸素が過剰となるように前記燃料ガスと前記酸素含有ガスとを前記カソード側電極に供給して前記接合体の温度を上昇させるとともに、反応によって生じる生成水の量と、前記電解質層に含浸されたリン酸から蒸発する蒸発水の量とが平衡して前記電解質層中のリン酸濃度が一定に保たれるように、前記リン酸型燃料電池の温度上昇に伴って前記生成水および前記蒸発水の量が変化することに応じて、前記酸素含有ガスの供給流量を、該酸素含有ガスの供給流量とリン酸の飽和蒸気圧との間に下記の式(1)の関係が成立する流量に変化させることを特徴とするリン酸型燃料電池の運転方法。
    Figure 0004328498
    式(1)中のfc、fa、r、PsatおよびPmixは、それぞれ、酸化剤ガスの供給流量、燃料ガスの供給流量、燃焼効率、飽和リン酸蒸気圧、カソード側電極における燃料ガスと酸素含有ガスとの合計入口圧力である。
  2. 請求項1記載の運転方法において、前記水素と前記酸素とが爆発範囲を外れる割合で前記燃料ガスと前記酸素含有ガスをカソード側電極に供給することを特徴とするリン酸型燃料電池の運転方法。
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