JP4315712B2 - 光学補償シートおよび液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な光学補償シートおよびそれを用いた液晶表示装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。従来、光学補償シートとしては、延伸複屈折フィルムが使用さている。また、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、透明支持体上にディスコティック液晶分子からなる光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。この光学異方性層は、通常、ディスコティック液晶分子を含むディスコティック液晶組成物を配向膜の上に塗布し、配向温度よりも高い温度で加熱してディスコティック液晶分子を配向させ、その配向状態を固定することにより形成される。
【0003】
一般に、ディスコティック液晶分子は、大きな複屈折率を有するとともに、多様な配向形態がある。ディスコティック液晶分子を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。一方、ディスコティック液晶分子は、多様な配向形態があるため、所望の光学特性を発現させるためには、光学異方性層におけるディスコティック液晶分子の配向を制御する必要があり、ディスコティック液晶分子にセルロース低級脂肪酸エステル、含フッ素界面活性剤または1,3,5−トリアジン環を有する化合物を添加することにより、ディスコティック液晶分子を平均傾斜角が5度未満の水平状態に配向制御している(特許文献1参照)。また、疎水性排除体積効果化合物を光学異方性層に併用して、液晶分子の配向を制御しているものもある(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−352328号公報
【特許文献2】
特開2002−20363号公報
【0005】
液晶分子の配向を制御する他の方法として、配向膜(界面処理)を用いる方法が知られている。しかし配向膜の規制力だけでは、液晶分子を配向膜界面から空気界面まで均一に配向(モノドメイン配向)させることが難しく、シュリーレンなどの欠陥が残りやすい。特に、生産性を向上させるために熟成時間を短縮すると、シュリーレン欠陥の発生が顕著になる。光学異方性層にシュリーレン欠陥が生じると光散乱が起こり、光学特性を損なうという問題がある。
また、液晶分子の配向状態を固定する際の条件により配向状態変化が起こり得るため、配向状態を安定に維持することが好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、シュリーレン欠陥などの欠陥の少ないハイブリッド配向の光学異方性層を迅速に作製する技術を提供することを課題とする。また本発明は、光学異方性層を迅速に製造でき、高い生産性で製造可能な光学補償シートを提供することを課題とする。また本発明は、画像表示装置に適用した場合に、光学異方性層の視野角を拡大するのに寄与する新規な光学補償シート、および視野角が改善された液晶表示装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
(1) 透明支持体と光学異方性層とを有する光学補償シートであって、前記光学異方性層が、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有する光学補償シート。
【0008】
一般式(I)
【化3】
Figure 0004315712
【0009】
(式中、L1、L2およびL3は単結合、NRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、OまたはSを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。A1、A2およびA3はアルキレン基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよく、R1、R2およびR3は置換基であり、それぞれ同じでも異なっていてよい。m1、m2およびm3は各々0以上の整数を表すが、m1、m2およびm3が同時に0になることはない。m1およびm2が0の時、L3はNH、OまたはSを表す。また、m1、m2およびm3がそれぞれ2以上のとき、複数存在するA1、A2およびA3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0010】
(2) 前記光学異方性層が、前記一般式(1)で表される化合物およびハイブリッド配向した液晶性化合物を含有する(1)に記載の光学補償シート。
(3) 前記液晶性化合物がディスコティック液晶性化合物である(2)に記載の光学補償シート。
(4) 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される(1)〜(3)のいずれかに記載の光学補償シート。
【0011】
一般式(II)
【化4】
Figure 0004315712
【0012】
(式中、式中、A1、A2、A3、R1、R2、R3、m1、m2およびm3については、一般式(I)中の各々と同義である。)
【0013】
(5) 前記一般式(I)または(II)中のm1、m2およびm3が1以上の整数である(1)〜(4)のいずれかに記載の光学補償シート。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の光学補償シートを有する液晶表示装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
[光学補償シート]
本発明の一実施形態は、透明支持体上、液晶性化合物と1,3,5−トリアジン環を有する化合物とを含有する組成物から形成される光学異方性層を少なくとも一層有する光学補償シートである。
前記1,3,5−トリアジン環を有する化合物としては、下記一般式(I)で表される1,3,5−トリアジン環を有する化合物が好ましい。
【0015】
一般式(I)
【化5】
Figure 0004315712
【0016】
式中、L1、L2およびL3は単結合、NRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、OまたはSを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。A1、A2およびA3はアルキレン基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよく、R1、R2およびR3は置換基であり、それぞれ同じでも異なっていてよい。m1、m2およびm3は各々0以上の整数を表すが、m1、m2およびm3が同時に0になることはない。m1およびm2が0の時、L3はNH、OまたはSを表す。また、m1、m2およびm3がそれぞれ2以上のとき、複数存在するA1、A2およびA3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0017】
前記一般式(I)中、A1、A2およびA3がそれぞれ表すアルキレン基は、直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜30のアルキレン基であり、例えば−CH2−、−(CH22−、−CH2CH(CH3)−、−CH2C(CH32−、−(CH24−)である。好ましくは−(CH22−、−CH2CH(CH3)−、−(CH24−である。
【0018】
一般式(I)において、m1、m2およびm3は0以上の整数を表わし、好ましくは1以上10以下で、より好ましくは1以上5以下である。但し、m1、m2およびm3が同時に0になることはない。
【0019】
一般式(I)において、R1、R2およびR3で各々表される置換基としては、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、ドデシル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、2‐へキシルデシル、2−オクチルドデシル、3−(2、4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル)、シクロアルキル基{好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が得に好ましい。}、
【0020】
アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基{好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)が挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、やトリシクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0021】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、o−2−(パーフルオロヘキシル)エトキシフェニル、o−3−(パーフルオロヘキシル)プロピルオキシフェニル、o−2−(6H−ドデカフルオロヘキシル)エトキシフェニル、o−(8H−ヘキサデカフルオロオクチル)メトキシフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、
【0022】
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ、1H、1H、9H−ヘキサデカフルオロノナノキシ、2−パーフルオロヘキシルエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ、o−2−(パーフルオロヘキシル)エトキシフェノキシ、o−3−(パーフルオロヘキシル)プロピルオキシフェノキシ、o−2−(6H−ドデカフルオロヘキシル)エトキシフェノキシ、o−(8H−ヘキサデカフルオロオクチル)メトキシフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0023】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0024】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、3−パーフルオロヘキシルプロピルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
【0025】
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
【0026】
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0027】
アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、
【0028】
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
【0029】
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、等が挙げられる。
【0030】
これらの置換基はさらに置換基によって置換されていてもよい。その置換基としては上記で示したR1、R2およびR3で各々表される置換基の例が挙げられる。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0031】
1、R2およびR3は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基であるのが好ましい。前記置換基としては前述のR1、R2およびR3で各々表される置換基の例として挙げた例が挙げられる。
【0032】
前記一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表される化合物であるのがより好ましい。
【0033】
一般式(II)
【化6】
Figure 0004315712
【0034】
式中、A1、A2、A3、R1、R2、R3、m1、m2およびm3については、一般式(I)中の各々と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0035】
なお、前記一般式(I)で表される化合物は、配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有してもよい。重合性基としては、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基等が挙げられる。
また、本発明において、「含有する」とは、その状態のまま含有することのみを意味するものではなく、前記のように重合性基を有する化合物を含有する場合は、該化合物間で重合しまたは該化合物と他の化合物とが重合し、多量化した状態で含有する態様も含むものとする。
【0036】
前記一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。以下、例示化合物(1)〜(43)を示す。
【0037】
【化7】
Figure 0004315712
【0038】
【化8】
Figure 0004315712
【0039】
【化9】
Figure 0004315712
【0040】
【化10】
Figure 0004315712
【0041】
前記1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記化合物の添加量としては、液晶性化合物の量の0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%が特に好ましく、0.05〜5質量%が最も好ましい。
【0042】
本発明において、光学異方性層に用いる液晶性化合物は、棒状液晶性化合物およびディスコティック液晶性化合物のいずれでもよく、また、高分子液晶および低分子液晶のいずれでもよい。さらに光学異方性層中で、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。本発明に用いる液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物が好ましい。
【0043】
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体の液晶性化合物も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。棒状液晶性化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章がある。棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。棒状液晶性化合物についてはWO01/88574A1号50頁7行〜57頁末行に記載されている。
【0044】
ディスコティック(ディスコティック)液晶性化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、“Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)”に記載されているベンゼン誘導体;C.Destradeらの研究報告、“Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)”に記載されているトルキセン誘導体;B.Kohneらの研究報告、“Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)”に記載されたシクロヘキサン誘導体;およびJ.M.Lehnらの研究報告、“J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)”、J.Zhangらの研究報告、“J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)”に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクル;などを挙げることができる。さらに、ディスコティック液晶性化合物としては、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造のものも含まれ、液晶性を示す。
【0045】
また、光学異方性層が最終的に形成された際に、液晶性化合物はもはや液晶性化合物である必要はない。例えば、低分子のディスコティック液晶性化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。ディスコティック液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平827284号公報に記載があり、本発明にも適用することができる。
【0046】
ディスコティック液晶性化合物を重合により固定する方法の一例として、ディスコティック液晶性化合物として、ディスコティックコアに置換基として重合性基が結合した液晶性化合物を用い、ハイブリッド配向させた後、前記液晶性化合物を重合させて固定する方法がある。但し、ディスコティックコアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる傾向にある。そこで、ディスコティックコアと重合性基との間に、連結基を導入することが好ましい。重合性基を有する好ましいディスコティック液晶性化合物としては、下記式(I)で表わされる化合物が挙げられる。
【0047】
一般式(IV)
D(−L−P)n
式中、Dはディスコティックコアを表し、Lは二価の連結基を表し、Pは重合性基を表し、nは2〜12のいずれかの整数を表す。前記ディスコティック液晶性化合物の具体例としては、WO01/88574A1号公報の58頁6行〜65頁8行に記載されている。
【0048】
ディスコティック液晶性化合物とともに使用する可塑剤、界面活性剤および重合性モノマーとしては、ディスコティック液晶性化合物と相溶性を有し、また配向を阻害しない限りどのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。上記化合物の添加量は、ディスコティック液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを混合して用いることで配向膜と光学異方性層間の密着性を高めることができる。
【0049】
ディスコティック液晶性化合物とともに使用するポリマーとしては、ディスコティック液晶性化合物と相溶性を有する限り、どのようなポリマーでも使用することができる。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。ディスコティック液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、ディスコティック液晶性化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0050】
本発明では、ハイブリッド配向させた液晶性化合物を、配向状態を維持して固定するのが好ましい。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号明細書、米国特許2367670号の各明細書)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書)、多核キノン化合物(米国特許3046127号明細書、米国特許2951758号の各明細書)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書)、アクリジンおよびフェナジン化合物(米国特許3549367号明細書、米国特許4239850号明細書)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書)が含まれる。
【0051】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0052】
本発明の光学補償シートの光学異方性層は、液晶性化合物、前記一般式(I)で表される1,3,5−トリアジン環を有する化合物、および所望により添加剤等を溶媒に溶解し調製した塗布液を、透明支持体上に塗布することによって形成することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。中でも、アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0053】
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0054】
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
【0055】
光学異方性層中において、液晶性化合物を配向(好ましくはハイブリッド配向)させるには、配向膜を用いるのが好ましい。配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーであり、疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向膜についてはWO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行の記載を参照することができる。
【0056】
本発明の光学補償シートの一実施形態は、透明支持体上に前記光学異方性層を有する光学補償シートである。前記光学異方性層と透明支持体との間に、配向膜を設けることが好ましい。配向膜上で光学異方性層を形成した後、前記光学異方性層を偏光膜などに転写して本発明の光学補償シートを作製することも可能である。さらに、透明支持体の光学異方性層とは反対の面にマット層(バック層)を設けてもよく、また、前記光学異方性層の上方に保護層を設けてもよい。
【0057】
本発明に使用可能な透明支持体は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。材料については特に制限されないが、ポリマーフィルムが特に好ましい。前記ポリマーフィルムの具体例には、セルロースエステル(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレートのフィルムが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン、ゼオネックス)を用いてもよい。このうちセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。脂肪酸の炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルローストリアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであってもWO00/26705号明細書に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
【0058】
ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
【0059】
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位、6位の水酸基が全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。セルロースの6位水酸基の置換度が、2位、3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上40%以下でアシル基で置換されていることが好ましく、さらには31%以上、特に32%以上であることが好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基(例、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、ベンゾイル、アクリロイル)で置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。6位水酸基の置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
【0060】
透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアセテートフィルムのレターデーションを調整するために、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
【0061】
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好しい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。
芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。前記1,3,5−トリアジン環を有する化合物としては、前記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0062】
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。このようなレターデーション上昇剤についてはWO01/88574A1、WO00/2619A1、特開2000−111914号公報、特開2000−275434号公報、特願2002−70009号明細書に記載されている。
【0063】
セルロースアセテートフィルムは、調製されたセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号明細書、米国特許2367603号明細書、米国特許2492078号明細書、米国特許2492977号明細書、米国特許2492978号明細書、米国特許2607704号明細書、米国特許2739069号明細書、米国特許2739070号明細書、英国特許640731号明細書、米国特許736892号の各明細書、特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報、特開昭62−115035号公報の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0064】
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて、ドープを2層以上流延することによりフィルム化することもできる。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号公報、特開平1−122419号公報、特開平11−198285号公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによりフィルム化してもよい。例えば、特公昭60−27562号公報、特開昭61−94724号公報、特開昭61−947245号公報、特開昭61−104813号公報、特開昭61−158413号公報、特開平6−134933号公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、高粘度および低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルムの流延方法を用いてもよい。
【0065】
セルロースアセテートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%の範囲にあることが好ましい。本発明のセルロースアセテートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
【0066】
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
【0067】
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
【0068】
セルロースアセテートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
【0069】
セルロースアセテートフィルムの表面処理は、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60〜75mN/mの範囲にあることがさらに好ましい。以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
アルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
【0070】
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアセテートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアセテートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
【0071】
セルロースアセテートフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、さらに20〜250μmの範囲が好ましく、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。なお、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好ましい。
【0072】
本発明の光学補償シートは、偏光膜と組合わせて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型液晶表示装置に、偏光膜と組合わせて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。
【0073】
本発明では、ポリマー基材のReレターデーション値を20〜70nmの範囲に調節することが好ましい。
【0074】
以下に、本発明の光学補償シートを利用した楕円偏光板および液晶表示装置について説明する。
【0075】
[楕円偏光板]
本発明の光学補償シートと偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。
前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
【0076】
偏光膜は前記光学補償シートの光学異方性層側に積層する。偏光膜の光学補償シートを積層した側と反対側の面に透明保護膜を形成することが好ましい。透明保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
【0077】
[液晶表示装置]
本発明の光学補償シートを利用するにより、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。TNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、米国特許5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
【0078】
本発明において、前記記載の公報を参考にして各種のモードの液晶セル用光学補償シートを作製することができる。本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードなど、種々のモードで駆動される液晶セルと組合わせて液晶表示装置に適用できる。本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)モードの液晶表示装置において特に効果がある。
【0079】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作などは本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
厚さ100μm、サイズ270mm×100mmのトリアセチルセルロースフィルム(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体として用いた。透明支持体上にアルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)を0.5μmの厚さに塗布、乾燥し、その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。配向膜の上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布した。
【0080】
光学異方性層塗布液
例示化合物(1) 0.10質量部
下記のレターデーション制御剤(A) 0.05質量部
下記のディスコティック液晶性化合物(B) 100 質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.90質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3.30質量部
メチルエチルケトン 300 質量部
【0081】
レターデーション制御剤(A)
【化11】
Figure 0004315712
【0082】
ディスコティック液晶性化合物(B)
【化12】
Figure 0004315712
【0083】
次に、上記塗布層を約10秒間で70℃まで加熱した。次いで約10秒間で125℃まで加熱し、同温度にて更に約20秒間熟成した後、2J/m2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定した。以上の如く光学異方性層を形成し光学補償シートを作製した。
【0084】
(光学補償シートの評価)
エリプソメーター(APE−100、島津製作所(製))を用いて、観察角度を変えてレターデーションを測定した。測定波長は632.8nmであり、結果を第1表に示す。
【0085】
[比較例1]
例示化合物(1)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製し、光学補償シートの評価を行った。結果を第1表に示す。
[比較例2]
例示化合物(1)、レターデーション制御剤(A)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製し、光学補償シートの評価を行った。結果を第1表に示す。
【0086】
[比較例3〜4]
例示化合物(1)に代えて、特開2001−166144号公報に記載の例示化合物(416)、特開2002−20363号公報に記載の例示化合物(18)をそれぞれ同量用いた以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製し、光学補償シートの評価を行った。結果を第1表に示す。
【0087】
【化13】
Figure 0004315712
【0088】
【化14】
Figure 0004315712
【0089】
[実施例2〜3]
例示化合物(1)に代えて、例示化合物(2)および(3)をそれぞれ同量用いた以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製し、光学補償シートの評価を行った。結果を第1表に示す。
【0090】
【表1】
Figure 0004315712
【0091】
本発明の例示化合物を含有しない光学補償シートでは、配向速度が遅いため多数のシュリーレン欠陥が存在し、測定不可であった(比較例1、2、3)。また特開2002−20363号公報に記載の例示化合物(18)を用いた場合、配向速度は速いものの好ましいレターデーション値ではなかった(比較例4)。本発明の例示化合物を光学異方性層に含有する光学補償シートでは、配向速度が速くまた好ましいレターデーションが実現できる。
【0092】
[実施例4]
実施例1で作製した塗布層を約20秒間で125℃まで加熱した。同温度にて更に約20秒間熟成した後、同温度にて2Jの紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定し、光学補償シート(125℃での配向固定化シート)を作製した。同様に実施例1で作製した塗布層を約20秒間で125℃まで加熱した。同温度にて更に約20秒間熟成した後、次いで約20秒間で80℃まで冷却した後、同温度にて2J/m2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定し、光学補償シート(80℃での配向固定化シート)を作製した。
【0093】
(光学補償シートの評価)
エリプソメーター(APE−100、島津製作所(製))を用いて、観察角度を変えてレターデーションを測定した。測定波長は632.8nmであり、結果を第2表に示す。
【0094】
[比較例5]
例示化合物(1)を添加しなかった以外は、実施例4と同様にして光学補償シートを作製し、光学補償シートの評価を行った。結果を第2表に示す。
[比較例6]
例示化合物(1)、レターデーション制御剤(A)を添加しなかった以外は、実施例4と同様にして光学補償シートを作製し、光学補償シートの評価を行った。結果を第2表に示す。
【0095】
[比較例7〜8]
例示化合物(1)に代えて、特開2001−166144号公報に記載の例示化合物(416)、特開2002−20363号公報に記載の例示化合物(18)をそれぞれ同量用いた以外は、実施例4と同様にして光学補償シートを作製し、光学補償シートの評価を行った。結果を第2表に示す。
【0096】
[実施例5〜6]
例示化合物(1)に代えて、例示化合物(2)および(3)をそれぞれ同量用いた以外は、実施例4と同様にして光学補償シートを作製し、光学補償シートの評価を行った。結果を第2表に示す。
【0097】
【表2】
Figure 0004315712
【0098】
上記第2表に示した結果から、本発明の例示化合物を含有しない光学補償シートでは、配向速度が遅いため多数のシュリーレン欠陥が存在し、測定不可であった(比較例5、6、7)。特開2002−20363に記載の例示化合物(18)を用いた場合、レターデーション値が小さいため好ましくなく、また125℃での配向固定化シートに比較して80℃での配向固定化シートではレターデーション値が小さく、温度による変化があることがわかり好ましくない(比較例8)。本発明の例示化合物を光学異方性層に含有する光学補償シートでは、配向速度が速くまた温度によるレターデーション値変化がほとんどなく好ましい。
【0099】
次に、液晶表示装置としての応用例を示す。
[実施例7]
(透明支持体の作製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱攪拌して、セルロースアセテート溶液(ドープ)を調製した。
【0100】
セルロースアセテート溶液組成
酢化度60.9%のセルロースア 100質量部
トリフェニルホスフェート 6.5質量部
ビフェニルジフェニルホスフ 5.2質量部
下記のレターデーション上昇剤(1) 0.1質量部
下記のレターデーション上昇剤(2) 0.2質量部
メチレンクロライド 310.25質量部
メタノール 54.75質量部
1−ブタノール 10.95質量部
【0101】
レターデーション上昇剤(1)
【化15】
Figure 0004315712
【0102】
レターデーション上昇剤(2)
【化16】
Figure 0004315712
【0103】
得られたドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の領域で、幅方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、120℃を越える領域で機械方向の延伸率が実質0%、(剥ぎ取り時に機械方向に4%延伸することを考慮して)幅方向の延伸率と機械方向の延伸率との比が0.75となるように調整して、厚さ100μmのセルロースアセテートフィルムを作製した。作製したフィルムのレターデーションを波長632.8nmで測定したところ、厚み方向のレターデーションが40nm、面内のレターデーションが4nmであった。作製したセルロースアセテートフィルムを透明支持体として用いた。
【0104】
(第1下塗り層の形成)
透明支持体の上に、下記の組成の塗布液を28ml/m2塗布し、乾燥して、第1下塗り層を形成した。
【0105】
第1下塗り層塗布液組成
ゼラチン 5.42質量部
ホルムアルデヒド 1.36質量部
サリチル酸 1.60質量部
アセトン 391質量部
メタノール 158質量部
メチレンクロライド 406質量部
水 12質量部
【0106】
(第2下塗り層の形成)
第1下塗り層の上に、下記の組成の塗布液を7mL/m2塗布し、乾燥して、第2下塗り層を形成した。
【0107】
第2下塗り層塗布液組成
下記のアニオン性ポリマー 0.79質量部
クエン酸モノエチルエステル 10.1質量部
アセトン 200質量部
メタノール 877質量部
水 40.5質量部
【0108】
アニオン性ポリマー
【化17】
Figure 0004315712
【0109】
(バック層の形成)
透明支持体の反対側の面に、下記の組成の塗布液を25ml/m2塗布し、乾燥して、バック層を形成した。
【0110】
バック層塗布液組成
酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56質量部
シリカ系マット剤(平均粒子サイズ:1μm) 0.65質量部
アセトン 679質量部
メタノール 104質量部
【0111】
(配向膜の形成)
第2下塗り層の上に、長鎖アルキル変性ポリビニルアルコールの水溶液を塗布し、60℃の温風で90秒間乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜を形成した。配向膜のラビング方向は、透明支持体の流延方向と平行であった。
【0112】
(光学異方性層の形成)
配向膜の上に、前記実施例1で用いた光学異方性層塗布液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布した。形成した光学異方性層の厚さは1.74μmであった。
【0113】
塗布層を130℃の恒温槽中で30秒間かけて膜面温度125℃まで加熱した後、さらに30秒間かけて80℃まで冷却しディスコティック液晶性化合物を配向させた。その後、120W/cmの高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。室温まで放冷して、光学補償シートを作製した。
【0114】
(液晶表示装置の作製)
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向き合うように重ねた。二枚の基板は、配向膜のラビング方向が直交するように配置した。基板の間隙に、棒状液晶分子(ZL4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶層を形成した。棒状液晶分子のΔnは0.0969であった。以上のように作製したTN液晶セルの両側に、作製した光学補償シート二枚を光学異方性層が液晶セルの基板と対面するように貼り付けた。さらにそれらの外側に、偏光板二枚を貼り付けて液晶表示装置を作製した。光学補償シートの配向膜のラビング方向と、それに隣接する液晶セルの配向膜のラビング方向とは、反平行になるように配置した。また、偏光板の吸収軸と、液晶セルのラビング方向とは平行になるように配置した。液晶表示装置の液晶セルに電圧を印加し、白表示2V、黒表示5Vにおける白表示と黒表示との透過率をコントラスト比として、上下左右でコントラスト比10、かつ階調反転のない領域を視野角として測定した。結果を第3表に示す。
【0115】
[比較例9]
実施例7で用いた例示化合物(1)を添加しなかった以外は、実施例7と同様にして液晶表示装置を作製した。結果を第3表に示す。
【0116】
[比較例10]
実施例7で用いた例示化合物(1)、レターデーション制御剤(A)を添加しなかった以外は、実施例7と同様にして液晶表示装置を作製した。結果を第3表に示す。
【0117】
[参考例1]
比較例9において配向方法を以下の如く変更した以外は、実施例7と同様にして液晶表示装置を作製した。塗布層を130℃の恒温槽中で3分間加熱してディスコティック液晶性化合物を配向させたのち、120W/cmの高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。結果を第3表に示す。
【0118】
【表3】
Figure 0004315712
【0119】
上記表3の結果から、ハイブリッド配向の光学異方性層を有する実施例7の光学補償シートは、液晶表示装置の視野角を拡大させる効果を有することがわかる。さらに、実施例7の光学補償シートの光学異方性層には、比較例9および比較例10にみられるシュリーレン欠陥がなく、モノドメインなハイブリッド配向が実現できたことがわかる。参考例1と比較して、迅速にハイブリッド配向が実現できたことがわかる。
【0120】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、従来の製造方法と比較して配向熟成時間をより短くでき、また温度変化によるレターデーション変化が小さいため効率よく製造できる。即ち、本発明によれば、光学異方性層を迅速に製造でき、高い生産性で製造可能な光学補償シートを提供することができる。また、本発明によれば、画像表示装置に適用した場合に、光学異方性層の視野角の拡大に寄与する新規な光学補償シート、および視野角が改善された液晶表示装置を提供することができる。

Claims (3)

  1. 透明支持体と光学異方性層とを有する光学補償シートであって、前記光学異方性層が、下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及びハイブリッド配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学補償シート。
    一般式(II)
    Figure 0004315712
    (式中、A 1 、A2およびA3はアルキレン基を表し、R 1、R2およびR3、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表し、m 1 、m2およびm3は各々1〜10の整数を表し、1、m2およびm3がそれぞれ2以上のとき、複数存在するA1、A2およびA3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記液晶性化合物がディスコティック液晶性化合物である請求項に記載の光学補償シート。
  3. 請求項1又は2に記載の光学補償シートを有する液晶表示装置。
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