JP4281054B2 - 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一次抵抗変動にロバストな適応二次磁束オブザーバを用いた誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法及び装置に関する。
誘導電動機のベクトル制御には、二次鎖交磁束ベクトルを精度よく検出する実用的手段が必要となる。誘導電動機の数式モデルをコンピュータ又演算回路上でシミュレータとして組み立て、それに実際の入力と同じ入力(例えば一次電圧)を加えてやれば、その数式モデルから二次鎖交磁束ベクトルを推定することができる。このとき、数式モデルを構成する定数に回転速度のように可変のものがあると、回転速度の変化に伴い数式モデルが正しくなくなるので、数式モデルの出力と実測の一次電流との間に偏差を生じる。ここで、速度センサがあれば、その出力を用いて数式モデルの定数を絶えず修正することにより、磁束ベクトル検出用の磁束オブザーバを正しく構成できる。
しかし、速度センサを用いずに、速度センサレスベクトル制御システムを構成しようとするならば、オブザーバを構成しても偏差が生じる。そこで、偏差の原因は数式モデルのうちのある定数(ここでは回転速度)が正しくないからであると見て、その出力偏差の関数で数式モデルの定数(回転速度)を修正する。これが適応形オブザーバであり、回転速度を適応推定させながら二次鎖交磁束を推定するものが速度適応二次磁束オブザーバである(非特許文献1,2)。
中野「交流モータのベクトル制御」、日刊工業新聞社、pp.98−110、1996 久保田、松瀬、中野「適応二次磁束オブザーバの誘導電動機速度センサレス直接形ベクトル制御」電学論D−111巻、11号、954−960、1991 田村、久保田「低速回生領域における速度センサレスベクトル制御 誘導電動機の一次抵抗推定に関する一考察」平成14年電気学会全国大会、4−135
しかしながら、従来技術では、速度センサを用いない場合、温度変化による一次抵抗のパラメータ変動により速度推定誤差を生じるので、安定な速度制御が行えない、という問題があった(非特許文献3)。特に、一次電圧が低くなる低速域では、運転が困難となっていた。
そこで、本発明の目的は、一次抵抗変動に起因する速度推定誤差を低減できる、誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法及び装置を提供することにある。
本発明に係る速度センサレスベクトル制御方法は、誘導電動機の一次電流及び二次磁束を推定する適応二次磁束オブザーバを用いた速度センサレスベクトル制御方法において、次の<1>〜<3>の手順で回転速度を推定する。<1>.d軸及びq軸からなる直交座標系において、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiRsと前記d軸とのなす角度θRsと、全ての誤差に起因する一次電流推定誤差ベクトルeisの座標(eids,eiqs)とを算出する。<2>.前記d軸及びq軸をその原点を中心にそれぞれ前記角度θRsだけ回転して得られたγ軸及びδ軸からなる直交座標系において、前記座標(eids,eiqs)を座標(eiγs,eiδs)に変換する。<3>.前記δ軸方向成分eiδsを用いて回転速度を推定する。<1>〜<3>の手順では、例えば後述する式(1)〜(9)を使用する。
全ての誤差に起因する一次電流推定誤差ベクトルeisは、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiRsや、他の各種の誤差にのみに起因する複数の一次電流推定誤差ベクトルの合成ベクトルである。ここで、一次電流推定誤差ベクトルeiRsの方向に対し、γ軸は一致し、δ軸は直交する。そのため、一次抵抗の設定誤差に起因する成分は、一次電流推定誤差ベクトルeisのγ軸方向成分eiγsに含まれるが、δ軸方向成分eiδsには含まれない。したがって、δ軸方向成分eiδsを用いて推定した回転速度は、一次抵抗の変動の影響を受けない。
また、回転速度推定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiωrと前記d軸とのなす角度θωrを算出し、この角度θωrと前記角度θRsとの差が一定以下である場合に、前記δ軸方向成分eiδsに前記γ軸方向成分eiγsを加味して前記回転速度を推定する、としてもよい。このとき、前記角度θωrと前記角度θRsとの差が小さくなるほど前記γ軸方向成分eiγsを用いる比率を大きくする、としてもよい。
一次電流推定誤差ベクトルeisは、主に一次電流推定誤差ベクトルeiωrに依存するので、一次電流推定誤差ベクトルeiωrに接近している。そのため、角度θωrと角度θRsとの差が小さくなるほど、γ軸方向成分eiγsが大きくなり、δ軸方向成分eiδsが小さくなる。したがって、角度θωrと角度θRsとの差が小さい場合に、小さいδ軸方向成分eiδsだけを用いていたのでは精度が低下するので、一次抵抗の変動の影響を多少受けても、大きいγ軸方向成分eiγsも用いて回転速度を推定する。このとき、角度θωrと角度θRsとの差が小さくなるほどγ軸方向成分eiγsを用いる比率を徐々に大きくすると、一次抵抗の変動の影響が最小限になる。
本発明に係る速度センサレスベクトル制御装置は、誘導電動機の一次電流及び二次磁束を推定する適応二次磁束オブザーバを用いた速度センサレスベクトル制御装置において、前記適応二次磁束オブザーバが次の手段を備えている。<1>.d軸及びq軸からなる直交座標系において、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiRsと前記d軸とのなす角度θRsと、全ての誤差に起因する一次電流推定誤差ベクトルeisの座標(eids,eiqs)とを、一次電圧及び一次電流に基づき算出する一次電流推定誤差ベクトル算出手段。<2>.前記d軸及びq軸をその原点を中心にそれぞれ前記角度θRsだけ回転して得られたγ軸及びδ軸からなる直交座標系において、前記座標(eids,eiqs)を座標(eiγs,eiδs)に変換する座標変換手段。<3>.前記δ軸方向成分eiδsを用いて回転速度を推定する回転速度推定手段。すなわち、本発明に係る速度センサレスベクトル制御装置は、本発明に係る速度センサレスベクトル制御方法を使用するものである。
また、 前記一次電流推定誤差ベクトル算出手段は、回転速度推定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiωrと前記d軸とのなす角度θωrを算出し、前記回転速度推定手段は、前記角度θωrと前記角度θRsとの差が一定以下である場合に、前記δ軸方向成分eiδsに前記γ軸方向成分eiγsを加味して前記回転速度を推定する、としてもよい。このとき、前記回転速度推定手段は、前記角度θωrと前記角度θRsとの差が小さくなるほど前記γ軸方向成分eiγsを用いる比率を大きくする、としてもよい。
換言すると、本発明は、誘導電動機の一次電流と二次磁束を推定するオブザーバを構成し、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する電流推定誤差ベクトルの方向と速度推定誤差にのみ起因する電流推定誤差ベクトルの方向とを把握し、一次抵抗誤差に影響を受けない方向の電流誤差情報を基に、速度推定を行う。すなわち、誘導電動機の一次電流と二次磁束を推定するオブザーバを構成し、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する電流推定誤差ベクトルの方向と速度推定誤差にのみ起因する電流推定誤差ベクトルの方向とを把握する。両者のベクトル方向が近くない場合は、一次抵抗誤差にのみ起因する電流推定誤差ベクトルと直交する電流成分を用いて、速度推定を行う。両者のベクトル方向が近い場合は、直交方向の成分に水平方向の重みを付けて、速度推定を行う。
本発明に係る速度センサレスベクトル制御方法及び装置によれば、全ての誤差に起因する一次電流推定誤差ベクトルeisの一次抵抗の設定誤差に起因しないδ軸方向成分eiδsを用いて、回転速度を推定することにより、一次抵抗変動の影響を受けない正確な回転速度を得ることができる。
すなわち、一次抵抗の設定誤差の影響を極力低減した速度推定が可能となる。これにより、指令値と実測値との誤差を低減できるので、インバータのデッドタイムや素子の電圧降下の影響も低減できる。同様に、一次抵抗を推定する際に、速度推定誤差の影響を抑制できる。
また、回転速度推定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiωrと一次抵抗の設定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiRsとのなす角度|θRs−θωr|が一定以下である場合に、一次電流推定誤差ベクトルeisの一次抵抗の設定誤差に起因するγ軸方向成分eiγsも使って回転速度を推定することにより、一次抵抗の設定誤差に起因しないδ軸方向成分eiδsを使ったときの精度低下を抑制できる。このとき、角度|θRs−θωr|が小さくなるほど一次抵抗の設定誤差に起因するγ軸方向eiγsを用いる比率を大きくすることにより、一次抵抗の変動の影響を最小限にしつつ、一次抵抗の設定誤差に起因しないδ軸方向成分eiδsを使ったときの精度低下を抑制できる。
図1は、本発明に係る速度センサレスベクトル制御装置の第一実施形態を示すブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
本実施形態の速度センサレスベクトル制御装置10は、速度調節器11、ベクトル回転器12、電流調節器13、電圧形PWMインバータ14、電流センサ15等の一般的な構成の他に、誘導電動機20の一次電流及び二次磁束を推定する新規な適応二次磁束オブザーバ21を備えている。誘導電動機20はカゴ形かつ三相である。ベクトル回転器12は、推定二次磁束ベクトルφr^を用いて電流指令値isM *,isT *を固定子座標上における電流指令値i *,i *に座標変換し、これを更に二相/三相変換した上で、各相の電流指令値として出力する。速度調節器11、ベクトル回転器12及び適応二次磁束オブザーバ21は、例えばDSP及びそのプログラムによって実現されている。電流調節器13は、例えばPIレギュレータである。電圧形PWMインバータ14は、例えばパワートランジスタからなるスイッチング回路である。
適応二次磁束オブザーバ21は、回転速度推定値ωr^を算出することに特徴がある。これ以外の速度センサレスベクトル制御装置10の動作は、従来技術と同じであるので、その説明を省略する。
図2は、図1のセンサレスベクトル制御装置における適応二次磁束オブザーバを示すブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
適応二次磁束オブザーバ21は、回転速度推定値ωr^を算出する新規な速度適応機構30を有することに特徴がある。これ以外の適応二次磁束オブザーバ21の動作は、従来技術と同じであるので、その説明を省略する。
図3は、図2の適応二次磁束オブザーバにおける速度適応機構を示すブロック図である。図4は図3の速度適応機構の動作を示すグラフであり、図4[1]は図3における一次電流推定誤差ベクトル算出手段の動作に対応し、図4[2]は図3における座標変換手段の動作に対応する。以下、これらの図面に基づき説明する。
速度適応機構30は、一次電流推定誤差ベクトル算出手段31、座標変換手段32、回転速度推定手段33等を備えている。一次電流推定誤差ベクトル算出手段31は、d軸及びq軸からなる直交座標系において、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiRsとd軸とのなす角度θRsと、全ての誤差に起因する一次電流推定誤差ベクトルeisの座標(eids,eiqs)とを、一次電圧vs及び一次電流isに基づき算出する(図4[1])。座標変換手段32は、d軸及びq軸をその原点を中心にそれぞれ角度θRsだけ回転して得られたγ軸及びδ軸からなる直交座標系において、座標(eids,eiqs)を座標(eiγs,eiδs)に変換する(図4[2])。回転速度推定手段33は、δ軸方向成分eiδsを用いて回転速度ωrを推定する。このように、速度適応機構30は、本発明に係る速度センサレスベクトル制御方法を使用するものである。
全ての誤差に起因する一次電流推定誤差ベクトルeisは、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiRsや、他の各種の誤差にのみに起因する複数の一次電流推定誤差ベクトルの合成ベクトルである。ここで、一次電流推定誤差ベクトルeiRsの方向に対し、γ軸は一致し、δ軸は直交する。そのため、一次抵抗の設定誤差に起因する成分は、一次電流推定誤差ベクトルeisのγ軸方向成分eiγsに含まれるが、δ軸方向成分eiδsには含まれない。したがって、δ軸方向成分eiδsを用いて推定した回転速度は、一次抵抗の変動の影響を受けない。
次に、速度適応機構30を含む適応二次磁束オブザーバ21の動作について、更に詳しく説明する。
《1》.はじめに
本実施形態では、適応オブザーバを用いた誘導電動機の速度センサレスベクトル制御において、低速領域での一次抵抗変動に起因する回転速度推定誤差を補償する。簡潔に言えば、一次抵抗誤差のみに依存するベクトル方向を算出し、電流推定誤差を座標変換し、その軸に対して90°ずれたベクトル方向の電流推定誤差成分だけを用いて速度推定を行う。これにより、回転速度推定値は一次抵抗変動に対して不感となる。
《2》.適応二次磁束オブザーバ
誘導電動機の状態方程式は、回転座標系において、状態変数を一次電流及び二次磁束とし、制御入力を一次電圧とすると、式(1)のように表わすことができる。なお、は回転座標系であることを示す。
Figure 0004281054
ただし、
e s=[ie dse qsT:一次電流
φe r=[φe dr φe qrT:二次磁束
e s=[ve dse qsT:一次電圧
e=[ie s φe rT
11=−{Rs/(σLs)+Rr(1−σ)/(σLr)}I=ar11
12=M/(σLsr){(Rr/Lr)I−ωrJ}=ar12I+ai12
21=(M/τr)I=ar21
22=−(1/τr)I+ωrJ=ar22I+ai22
1=1/(σLs)I
C=[I 0]
I=[1 0 0 1] J=[0 1 -1 0
s,Rr:一次及び二次抵抗
s,Lr:一次及び二次自己インダクタンス
M:相互インダクタンス
σ:漏れ係数(σ=1−M2/(Lsr))
τr:二次時定数(τr=Lr/Rr
ω:電源角周波数
ωr:電動機角速度(電気角換算)
式(1)より、状態オブザーバを式(2)のように構成する。
Figure 0004281054
ただし、^は状態変数及びパラメータの推定値を表す。本実施形態では、計算を簡略化するため、オブザーバゲイン行列G1を零とする。
《3》.一次抵抗に依存しない速度推定法
まず、一次抵抗誤差のみに依存する電流推定誤差ee iRsについて、そのベクトル方向の導出を以下に示す。
式(1)から式(2)を減算すると、
式(1)のただし書のとおりx e =[i e s φ e r T であるから、
式(1)−式(2)の左辺は、
Figure 0004281054
となる。一方、前述のとおりオブザーバゲイン行列G 1 は零であるから、
ΔA=A^−Aとすると、式(1)−式(2)の右辺は、
Figure 0004281054
となる。ここで、式(1)−式(2)は式(3a)=式(3b)と書き替えることができるから、
Figure 0004281054
が得られる。したがって、式(1)から式(2)を減算すると、式(3’)から次の式(3)が得られる。ただし、e=x e −x^ e とする。
Figure 0004281054
eは回転座標系で直流量であるので、定常状態においてde/dtは零となる
ここで、一次抵抗以外が真値の場合、定常誤差は、de/dt=0であるから式(3)の左辺が0になって、式(4)のようになる。
Figure 0004281054
なお、式(1)から次式
Figure 0004281054
である。上式中のA 11 ,A 12 ,A 21 ,A 22 のうち、式(1)ただし書の定義から、一次抵抗Rsを含むのはA 11 だけである。したがって、一次抵抗Rs以外が真値であるから、
ΔA Rs (=A Rs ^−A Rs )は上記式(4)ただし書のようになる。
式(4)より、一次抵抗誤差のみを考慮した電流推定誤差ee iRsのベクトル方向は式(5)となる。
Figure 0004281054
同様に、回転速度以外が真値の場合、定常誤差は、de/dt=0であるから式(3)の左辺が0になって、式(6)のようになる。
Figure 0004281054

今度は、A 11 ,A 12 ,A 21 ,A 22 のうち、式(1)ただし書の定義から、回転速度ωrを含むのはA 12 ,A 22 だけである。したがって、回転速度ωr以外が真値であるから、
ΔA ωr (=A ωr ^−A ωr )は上記式(6)ただし書のようになる。
式(6)より、回転速度推定誤差のみを考慮した電流推定誤差ee iωrのベクトル方向は式(7)となる。
Figure 0004281054
これらのベクトル方向θRs,θωrの位相差が接近していなければ、一次抵抗誤差に依存しない速度推定が可能となる。ただし、次の(ee ids,e iqs)は電流推定誤差ee isの成分である。
Figure 0004281054
式(8)は、電流推定誤差をθRs回転させることを示す。以上の関係を図4に示す。式(1)〜(7)及び図4[1]は一次電流推定誤差ベクトル算出手段31(図3)の動作に対応し、式(8)及び図4[2]は座標変換手段32(図3)の動作に対応する。
これにより、ee iδsは一次抵抗誤差に影響されないので、ee iδsのみを用いて、式(9)により速度推定する。
Figure 0004281054
ただし、Kp,Kiは定数とする。式(9)は、回転速度推定手段33(図3)の動作に対応する。
図5は、本発明に係る速度センサレスベクトル制御装置の第二実施形態を示すグラフである。以下、この図面に基づき説明する。ただし、第一実施形態と同じ部分は説明を省略する。
本実施形態では、一次電流推定誤差ベクトル算出手段は、回転速度推定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiωrとd軸とのなす角度θωrを算出する。そして、回転速度推定手段は、一次電流推定誤差ベクトルeiRsと一次電流推定誤差ベクトルeiωrとのなす角度|θRs−θωr|が一定値θth以下である場合に、δ軸方向成分eiδsにγ軸方向成分eiγsを加味して回転速度を推定する。図5[1]が|θRs−θωr|>θthの場合であり、図5[2]が|θRs−θωr|≦θthの場合である。
すなわち、
|θRs−θωr|>θthの場合は、eiδsのみに基づき回転速度を推定する。
|θRs−θωr|≦θthの場合は、K1iδs+K2iγsに基づき回転速度を推定する。ただし、K1,K2は定数とする。
このとき、角度|θRs−θωr|が小さくなるほど、γ軸方向成分eiγsを用いる比率を大きくするようにしてもよい。例えば、K1=|θRs−θωr|/θth,K2=1−K1とする。
図示しない一次電流推定誤差ベクトルeisは、主に一次電流推定誤差ベクトルeiωrに依存するので、一次電流推定誤差ベクトルeiωrに接近している。そのため、図5に示すように、角度|θRs−θωr|が小さくなるほど、γ軸方向成分eiγsが大きくなり、δ軸方向成分eiδsが小さくなる。そのため、角度|θRs−θωr|が小さい場合に、小さいδ軸方向成分eiδsだけを用いていたのでは精度が低下するので、一次抵抗の変動の影響を多少受けても、大きいγ軸方向成分eiγsを用いて回転速度を推定する。このとき、角度|θRs−θωr|が小さくなるほどγ軸方向成分eiγsを用いる比率を徐々に大きくすると、一次抵抗の変動の影響が最小限になる。
次に、第一実施形態を更に具体化した実施例について、そのシミュレーション結果を説明する。使用した誘導電動機の定格は下記表1のとおりである。
速度指令の初期値を40[rpm]とし、7[Nm]の負荷を加え、30秒後より速度指令をランプ的に0.5[rpm/s]ずつ減少させ、50秒後には速度指令30[rpm]となるようにする。
ここで、一次抵抗値に+30%の誤差を持たせ、従来技術を用いた場合と本実施例を用いた場合とで、シミュレーションを行った。ただし、従来技術では、非特許文献3で示されている回転速度推定式を用いた。なお、一次抵抗の推定は行っていない。
図6[1]に示すように、従来技術では、速度が下がるほど、速度推定誤差が大きくなっている。これに対し、図6[2]に示すように、本実施例では、速度誤差なく収束し、指令速度を減少させても安定な速度制御が行えている。
表1.誘導電動機定格
定格出力 3.7[kW]
定格電圧 200[V]
定格電流 15[A]
定格周波数 50[Hz]
定格回転速度 1420[rpm]
定格トルク 24.882[Nm]
極数 4
ステータ抵抗 0.332[Ω]
ロータ抵抗 0.234[Ω]
ステータ・インダクタンス 52.46[mH]
ロータ・インダクタンス 52.46[mH]
相互インダクタンス 50.66[mH]
本発明に係る速度センサレスベクトル制御装置の第一実施形態を示すブロック図である。 図1のセンサレスベクトル制御装置における適応二次磁束オブザーバを示すブロック図である。 図2の適応二次磁束オブザーバにおける速度適応機構を示すブロック図である。 図3の速度適応機構の動作を示すグラフであり、図4[1]は図3における一次電流推定誤差ベクトル算出手段の動作に対応し、図4[2]は図3における座標変換手段の動作に対応する。 本発明に係る速度センサレスベクトル制御装置の第二実施形態を示すグラフであり、図5[1]が|θRs−θωr|>θthの場合であり、図5[2]が|θRs−θωr|≦θthの場合である。 本発明の実施例を示すグラフであり、図6[1]が従来技術の場合であり、図6[2]が本実施例の場合である。
符号の説明
10 速度センサレスベクトル制御装置
11 速度調節器
12 ベクトル回転器
13 電流調節器
14 電圧形PWMインバータ
15 電流センサ
20 誘導電動機
21 適応二次磁束オブザーバ
30 速度適応機構
31 一次電流推定誤差ベクトル算出手段
32 座標変換手段
33 回転速度推定手段

Claims (7)

  1. 誘導電動機の一次電流及び二次磁束を推定する適応二次磁束オブザーバを用いた速度センサレスベクトル制御方法において、
    d軸及びq軸からなる直交座標系において、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiRsと前記d軸とのなす角度θRsと、全ての誤差に起因する一次電流推定誤差ベクトルeisの座標(eids,eiqs)とを、一次電圧及び一次電流に基づき算出し、
    前記d軸及びq軸をその原点を中心にそれぞれ前記角度θRsだけ回転して得られたγ軸及びδ軸からなる直交座標系において、前記座標(eids,eiqs)を座標(eiγs,eiδs)に変換し、
    前記δ軸方向成分eiδsを用いて回転速度を推定する、
    ことを特徴とする誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法。
  2. 回転速度推定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiωrと前記d軸とのなす角度θωrを算出し、
    この角度θωrと前記角度θRsとの差が一定以下である場合に、前記δ軸方向成分eiδsに前記γ軸方向成分eiγsを加味して前記回転速度を推定する、
    請求項1記載の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法。
  3. 前記角度θωrと前記角度θRsとの差が小さくなるほど前記γ軸方向成分eiγsを用いる比率を大きくする、
    請求項2記載の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法。
  4. 誘導電動機の一次電流及び二次磁束を推定する適応二次磁束オブザーバを用いた速度センサレスベクトル制御方法において、
    次の<1>〜<9>の手順に従って回転速度を推定することを特徴とする誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法。

    <1>.回転座標系において状態変数を一次電流及び二次磁束とし制御入力を一次電圧とした場合の、誘導電動機の状態方程式を次の式(1)のように表わす。
    Figure 0004281054
    ただし、
    は回転座標系であることを示す。
    e s=[ie dse qsT:一次電流
    φe r=[φe dr φe qrT:二次磁束
    e s=[ve dse qsT:一次電圧
    e=[ie s φe rT
    11=−{Rs/(σLs)+Rr(1−σ)/(σLr)}I=ar11
    12=M/(σLsr){(Rr/Lr)I−ωrJ}=ar12I+ai12
    21=(M/τr)I=ar21
    22=−(1/τr)I+ωrJ=ar22I+ai22
    1=1/(σLs)I
    C=[I 0]
    I=[1 0 0 1] J=[0 1 -1 0
    s,Rr:一次及び二次抵抗
    s,Lr:一次及び二次自己インダクタンス
    M:相互インダクタンス
    σ:漏れ係数(σ=1−M2/(Lsr))
    τr:二次時定数(τr=Lr/Rr
    ω:電源角周波数
    ωr:電動機角速度(電気角換算)

    <2>.前記式(1)から、状態オブザーバを次の式(2)のように構成する。
    Figure 0004281054
    ただし、^は状態変数及びパラメータの推定値を表し、オブザーバゲイン行列G1は零とする。

    <3>.前記式(1)から前記式(2)を減算することにより、次の式(3)を得る。
    Figure 0004281054
    ただし、e=x e −x^ e de/dt=0、ΔA=A^−Aとする。

    <4>.一次抵抗以外を真値とすることにより、前記式(3)から次の式(4)を得る。
    Figure 0004281054
    <5>.一次抵抗誤差のみを考慮した電流推定誤差ee iRsのベクトル方向を、前記式(4)から次の式(5)として得る。
    Figure 0004281054
    <6>.回転速度以外を真値とすることにより、式(3)から次の式(6)を得る。
    Figure 0004281054
    <7>.回転速度推定誤差のみを考慮した電流推定誤差ee iωrのベクトル方向を、前記式(6)から次の式(7)として得る。
    Figure 0004281054
    <8>.これらのベクトル方向θRs,θωrの位相差が一定値以上あれば、次の式(8)によってee iδsを求める。ただし、次の(ee ids,e iqs)は電流推定誤差ee isの成分とする。
    Figure 0004281054
    <9>.前記ee iδs及び次の(9)よって回転速度を推定する。
    Figure 0004281054
    ただし、Kp,Kiは定数とする。
  5. 誘導電動機の一次電流及び二次磁束を推定する適応二次磁束オブザーバを用いた速度センサレスベクトル制御装置において、
    前記適応二次磁束オブザーバは、
    d軸及びq軸からなる直交座標系において、一次抵抗の設定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiRsと前記d軸とのなす角度θRsと、全ての誤差に起因する一次電流推定誤差ベクトルeisの座標(eids,eiqs)とを、一次電圧及び一次電流に基づき算出する一次電流推定誤差ベクトル算出手段と、
    前記d軸及びq軸をその原点を中心にそれぞれ前記角度θRsだけ回転して得られたγ軸及びδ軸からなる直交座標系において、前記座標(eids,eiqs)を座標(eiγs,eiδs)に変換する座標変換手段と、
    前記δ軸方向成分eiδsを用いて回転速度を推定する回転速度推定手段とを備えた、
    ことを特徴とする誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置。
  6. 前記一次電流推定誤差ベクトル算出手段は、回転速度推定誤差にのみ起因する一次電流推定誤差ベクトルeiωrと前記d軸とのなす角度θωrを算出し、
    前記回転速度推定手段は、前記角度θωrと前記角度θRsとの差が一定以下である場合に、前記δ軸方向成分eiδsに前記γ軸方向成分eiγsを加味して前記回転速度を推定する、
    請求項5記載の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置。
  7. 前記回転速度推定手段は、前記角度θωrと前記角度θRsとの差が小さくなるほど前記γ軸方向成分eiγsを用いる比率を大きくする、
    請求項6記載の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置。
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