JP4268785B2 - カルシウム吸収促進及びリン酸カルシウム結晶成長促進剤 - Google Patents

カルシウム吸収促進及びリン酸カルシウム結晶成長促進剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸菌培養物の新規な用途に関し、より具体的には、乳酸菌から得られるカルシウム結晶化抑制作用を有する培養物を有効成分とするカルシウム吸収促進剤及びリン酸カルシウム結晶成長促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
人体を構成する無機質の中で最も多く存在するのはカルシウムといわれており、その99%が骨や歯の構成に利用されており、残りの1%は各種酵素の活性の発現や筋肉の収縮、細胞の興奮の沈静あるいは血液凝固作用等の生命活動にとって重要な役割を演じている。
【0003】
このように重要なカルシウムではあるが、その摂取量を見てみれば、日本人に必要とされる所要量は成人1日当たり600mgといわれているが、厚生省保健医療局による平成10年国民栄養調査結果報告によれば、実際の摂取量は568mgと必要量を下回っているのが実状である。カルシウムの摂取不足は、骨粗鬆症、高血圧等の重大な疾病を引き起こすことが知られており、社会的問題となっている。さらに、食物として胃腸管内に摂取されたカルシウムは、複雑な機構で腸管から血液内に吸収されるが、カルシウム塩やカルシウム剤の腸管内における吸収率は50%以下であり、半分以上が吸収されずに体外に排出されるという報告もある。そのため、腸管内でのカルシウムの吸収性を高める物質の開発も行われている。
【0004】
その1つとして、カゼインホスホペプチド(CPP)が開発されている。CPPは、カゼインにトリプシンを作用させ、加水分解した分解物中に得られるホスホペプチドであり、カルシウムと結合して可溶性複合体を形成する。この為、水溶液中でカルシウムが沈殿するのを抑制することでカルシウムを可溶化し、カルシウムの吸収率を高めると考えられている(ジャパンフードサイエンス、第1巻、21〜32頁[1990年];特開昭58−170440号公報;特開平7−241172号公報)。しかしながら、CPPは、カゼインの酵素分解物であるため、原料であるカゼインを酵素反応させる必要があり、また酵素分解の副産物であるペプチドが苦味を呈するため、飲食品へ混合する場合にはこの苦味ペプチドを十分に分離する必要がある等幾つかの問題点を有しており、また価格も大変高価である。
【0005】
ポリ−L−グルタミン酸も腸管内でカルシウムの吸収率を高める作用(Biosci. Biotech. Biochem.、第58巻、1662〜1665頁[1994年])を有することが知られているが、これは合成品であるため食品添加物として許可されておらず、安全性等のため利用されていない。また、微生物により産生されるポリ−γ−グルタミン酸(特開平3−30648号公報)は、カルシウム結晶化抑制活性が低く、かつ溶液の粘度が極めて高いため、取扱いが不便である。
【0006】
また、カルシウムの吸収を促進する物質としては、骨由来のペプチド(特開平4−16165号公報)、酪酸を基本成分とするもの(特開平4−108360号公報)があるが、これらは 製造上並びに利用上の問題があり実用化には至っていない。
【0007】
さらに、本発明者らは、南極のヴァンダ湖に生息している細菌の菌体から得られるタンパク質がカルシウム結晶化を抑制し、これによりカルシウムの吸収を促進する効果を有することを見出したが実用化には至っていない(特開2000−239180号公報)。
【0008】
ところで、ヒトの歯エナメル質は、リン酸カルシウムで構成されているハイドロキシアパタイトの結晶である。ヒト口腔内ではエナメル質のリン酸カルシウムが溶解する脱灰(初期の虫歯)と、元通りに結晶化する再石灰化現象が起り、安定な状態を保っている。しかし、歯の表面に虫歯菌が付着し、プラークと酸を産生すると、脱灰がさらに進み虫歯となる。虫歯予防を目的として、初期の虫歯を修復するために再石灰化を促進する新規食品素材の開発が待たれている。
【0009】
特開平10−158178号公報には、ラクトバチルス及び/又はストレプトコッカスに属する乳酸菌を用いた発酵物がミネラル吸収促進剤としての作用を有することが開示されている。しかしながら、この発酵物は単にカルシウムの吸収を促進する効果のみを有しており、リン酸カルシウム結晶成長を促進する効果を併せ持つことについては述べられていない。
【0010】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、カルシウムの腸管内での結晶化を抑制することでその吸収を促進すると共に、骨や歯のリン酸カルシウム結晶成長をも促進することで、初期の虫歯や骨粗鬆症を予防するカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、Lactococcus属、Lactobacillus brevis IFO 13110株、Lactobacillus rhamnosus IFO 12521株、Lactobacillus casei Subsp. casei JCM 1134株、Enterococcus属、Streptococcus salivarius IFO 13957株、からなる群より選択される1種または2種以上の乳酸菌の培養物及び/または菌体外培養物から抽出されたタンパク質が、カルシウム結晶化抑制作用とリン酸カルシウム結晶成長促進作用との双方を有するタンパク質を有効成分とすることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させた。従って、腸管内でのカルシウムの吸収を促進すると共に骨や歯においてのリン酸カルシウム結晶成長を促進するカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤を提供することが可能となった。
【0012】
【0013】
また、本発明は、Lactococcus属、Lactobacillus属、Enterococcus属、Streptococcus属からなる群より選択される1種または2種以上の乳酸菌の培養物及び/又は菌体外培養物を有効成分とするリン酸カルシウム結晶成長促進剤を提供する。
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明すれば、本発明者らは、カルシウムが多く含まれている醗酵バターやチーズから分離されるLactococcus属、Lactobacillus属、Enterococcus属、Streptococcus属の乳酸菌に、カルシウム結晶化抑制作用を有することを確認した。これらの乳酸菌の中でも特に、Lactococcus lactis 、Lactobacillus acidophilus 、Lactobacillus brevis 、Lactobacillus delbrueckii 、Lactobacillus helveticus 、Lactobacillus phamnosus 、Enterococcus durans 、Streptococcus salivarius 、Lactobacillus casei は、強いカルシウム結晶化抑制作用を持つ乳酸菌であり好ましい菌であった。
【0016】
本発明において、乳酸菌から得られる培養物を調製する方法としては、上記乳酸菌をIFO(財団法人発酵研究所)指定の803培地や804培地等で前培養し、その後0.1%(W/V)CaClを含むYeast Peptone(YP)培地、Acetate(AM)培地、或いはLactobacillus(NEW)培地で、30℃または37℃で定常期になるまで培養し培養物を得、それをさらに遠心分離することにより菌体と培養上清液とに分離した。
【0017】
菌体外培養物を得る方法は、一般に行われている方法を適宜使用することができるが、本発明では上記培養上清液を0.45μmのフィルターで吸引濾過し、濾液を限外濾過またはポリエチレングリコール(PEG 20,000)を用いて濃縮し、その後蒸留水に対して3回透析を行う方法で処理して行った。
【0018】
菌体内培養物を得る方法についても、一般に行われている菌体破砕方法等を用いることで調製できる。例えば、フレンチプレスやX−プレス等の加圧型細胞破壊装置を用いる方法、ボールミルやダイノーミル等を用いる機械的磨砕法、超音波処理法、ホモジナイザーを用いる方法、凍結融解法、浸透圧処理法、リゾチウム等を用いる酵素処理法が挙げられるが、それらを組み合わせることもできる。本発明では、カルシウム結晶化抑制作用を有する乳酸菌の培養物の有効成分がタンパク質であると考えられるので、タンパク質の安定性、抽出効率を考慮すれば、加圧型細胞破壊、機械的磨砕、超音波処理、ホモジナイザー等の物理的破砕方法を用いることが好ましい。上記菌体内培養物は、必要に応じて硫酸プロタミンやストレプトマイシン硫酸塩等により核酸を除去してもよい。さらに、培養物は、必要に応じて硫酸アンモニウム等の塩析やエタノール等による有機溶剤による沈殿、等電点沈殿法による分画、イオン交換、吸着、ゲル濾過、疎水、もしくはアフィニティー等のクロマトグラフィーを用いて精製したり、透析や濃縮過程を施しても良い。
【0019】
[表1]乃至[表5]に、本発明で使用した803培地、804培地、YP(イースト・ペプトン:Yeast Peptone)培地、AM(アセテート:Acetate)培地及びNEW(ラクトバチルス:Lactobacillus)培地の組成を示した。
【0020】
【表1】
Figure 0004268785
【0021】
【表2】
Figure 0004268785
【0022】
【表3】
Figure 0004268785
【0023】
【表4】
Figure 0004268785
【0024】
【表5】
Figure 0004268785
【0025】
上記の方法によって得られた本発明の乳酸菌の培養物は、0.5〜10.0μg/mlのタンパク質濃度でカルシウムの結晶化を抑制し、更にリン酸カルシウムの結晶成長を促進することが認められたので、カルシウム吸収促進剤のみならず、リン酸カルシウムの結晶成長促進剤として有用であることが判明した。
【0026】
その結果、本発明の乳酸菌の培養物は、カルシウムの吸収促進を目的として骨粗鬆症の予防や治療に使用したり、リン酸カルシウムの結晶成長を目的として歯の再石灰化を促進して初期の虫歯の予防や治療に使用することができる。
【0027】
本発明のカルシウム吸収促進剤及びリン酸カルシウム結晶成長剤は、上記方法で調製した培養物をそのまま使用してもよいが、一般には適当な液体担体に溶解するかもしくは分散させ、または適当な粉末担体と混合するかもしくはこれに吸着させ、所望する場合には さらにこれらに乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、漫透剤、湿潤剤、安定剤等を添加し、液剤、注射剤、カプセル剤、錠剤、粉剤等の製剤の形で、カルシウムの吸収促進剤として、或いはリン酸カルシウムの結晶成長剤として使用することができる。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
本発明のカルシウム吸収促進剤の有効量としては、一概に規定することは困難であるが、経口的に摂取する場合には特に制限はなく、腸管内においてカルシウムの吸収促進効果を発揮するには、0.08mg/kg/日以上が適当であり、望ましくは0.1〜100mg/kg/日である。
【0032】
また、リン酸カルシウム結晶成長促進を目的とし、歯の再石灰化を促進する場合も同様に、0.01〜100mg/kg/日で摂取するのが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下に実施例及び試験例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
Lactococcus lactis IFO 3427株培養物(1)の調製
Lactococcus lactis IFO 3427株は、IFO指定の804培地で30℃、48時間静置で前培養し、YP培地(5l)で30℃、定常期になるまで本培養した。菌体を除去し、培養上清を0.45μmのフィルターで吸引濾過し、その後限外濾過で200mlになるまで濃縮し、蒸留水に対して4℃で3回透析し、Lactococcus lactis IFO 3427株培養物(1)24.3mgを得た。
【0034】
[実施例2]
Lactococcus lactis IFO 3427株培養物(2)の調製
実施例1で示す方法により得られたLactococcus lactis IFO 3427株培養物(1)の溶液をスーパーQトヨパール(SuperQ−TOYOPEAL 650M(東ソー社))の陰イオンクロマトグラフィー(2.6×20cm)にて分画し、得られた活性画分をさらにスーパーロース12(Superose 12(アマシャム社製))ゲル濾過クロマトグラフィー(1.6×60cm)にて分画し、得られた活性画分をLactococcus lactis IFO 3427株培養物(2)とした。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分子量は34,000であることがわかった。
【0035】
[実施例3]
Lactobacillus rhamnosus IFO 12521株培養物(3)の調製
実施例1で示す方法で、Lactobacillus rhamnosus IFO 12521株を、IFO指定の804培地で30℃、48時間静置で前培養し、AM培地(5l)で30℃、定常期になるまで本培養した。菌体を集菌し、10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.7)で2回洗浄し、約2倍量の0.5MのEDTA(pH8.0)水溶液中に懸濁させ、超音波破砕で30秒サイクルで10分間破砕した。その後、上澄みを4℃の蒸留水で透析し、Lactobacillus rhamnosus IFO 12521株培養物(3)とした。
【0036】
[試験例1]
カルシウム結晶化抑制効果の測定
まず、腸管内でのカルシウム濃度を高めてカルシウムの吸収性を高めるために、カルシウム結晶化抑制物質の検討を行った。
【0037】
炭酸水素ナトリウム水溶液(NaHCO水溶液)と塩化カルシウム水溶液(CaCl水溶液)の反応からCaCOが析出する反応(NaHCO + CaCl → CaCO + HCl + NaCl)を利用して、カルシウム結晶化抑制効果を判定した(Biochem.Biophys.Res.Comm.、110(1)、p69〜74、1983年)。
【0038】
すなわち、20mM、pH8.7に調整した炭酸水素ナトリウム水溶液(1.5ml)に、Lactococcus lactis IFO 3427株培養物(1)を30μl添加し、スターラーで良く攪拌した。その後、20mM、pH8.7に調整した塩化カルシウム水溶液(1.5ml)を添加し、25℃において反応させた。反応過程中、波長570nmにおける吸光度を経時的に測定した。その結果を図1に示す。
【0039】
コントロール(蒸留水)を添加した場合、約200秒迄に急激な吸光度の上昇が観察され、約250秒後に最大値を示し、反応が完了した。一方、Lactococcus lactis IFO 3427株培養物(1)(最終タンパク質濃度0.8μg/ml)を添加した場合、吸光度の上昇が認められず、完全にカルシウムの結晶化を抑制した。
【0040】
また、この抽出物をプロテイナーゼK(Proteinase K)で処理すると、カルシウム結晶化抑制活性の低下が認められたことから、活性の中心はタンパク質であると推定された。
【0041】
[試験例2]
各種乳酸菌培養物のカルシウム結晶化抑制効果の比較
試験例1の結果をもとに、次に示す[式1]により、反応200秒後の吸光度から阻害率を算出し、YP培地、AM培地及びNEW培地で培養した各種乳酸菌を実施例1または実施例3の抽出方法に準じ、調製した培養物(最終タンパク質濃度が0.8μg/ml)のカルシウム結晶化抑制効果の比較試験を実施した。その結果を[表6]に示す。
【0042】
【数1】
Figure 0004268785
【0043】
【表6】
Figure 0004268785
【0044】
この結果より、YP培地により培養された Lactococcus lactis IFO 3427の菌体外培養物に特に強い効果が認められた。
【0045】
[試験例3]
各種微生物培養物のカルシウム結晶化抑制効果の比較
試験例2の方法に準じ、本発明の乳酸菌Lactococcus lactis IFO 3427(YP培地,菌体外)、Lactobacillus helveticus IFO 15019(AM培地,菌体外)、Streptococcus salivarius IFO 13957(YP培地,菌体外)、既にカルシウム結晶化抑制作用があることが知られている本発明者等が特開2000−239181号公報に記載している南極由来の細菌及び酵母の培養物について、カルシウム結晶化抑制効果を比較検討した。その結果を[表7]に示す。
【0046】
【表7】
Figure 0004268785
【0047】
この結果でも判かるように、本発明の乳酸菌の培養物のカルシウム結晶化抑制効果が従来公知のものより顕著に優れていることから、これら乳酸菌から得られるタンパク質もカルシウム結晶化抑制効果を有する新規なタンパク質であると予想される。
【0048】
[試験例4]
Lactococcus lactis IFO 3427の菌体外培養物の性状
そこで、本発明のLactococcus lactis IFO 3427の菌体外培養物の性状について検討した。その結果を[表8]に示す。
【0049】
【表8】
Figure 0004268785
【0050】
供試した乳酸菌培養物を、Proteinase Kで処理すると、カルシウム結晶化抑制効果の低下が認められたことより、カルシウム結晶化抑制物質はタンパク質であると推定される。
【0051】
[試験例5]
他の物質とのカルシウム結晶化抑制効果の比較
次に、Lactococcus lactis IFO 3427株培養物(1)(0.8μg/ml)と他の物質、すなわち カゼインホスホペプチド(CPP III)(2.0μg/ml)、ポリ−L−グルタミン酸(2.0μg/ml)、ポリ−γ−グルタミン酸(2.0μg/ml)、EDTA:エチレンジアミン四酢酸(1.5×10−4M)、クエン酸(0.4×10−4M)、ホスビチン(15μg/ml)、ヘパリン(15μg/ml)、コンドロイチン硫酸C(15μg/ml)、アルブミン(10μg/ml)、ラクトフェリン(10μg/ml)、リパーゼ(10μg/ml)、トリプシノーゲン(10μg/ml)、α−キモトリプシノーゲンA(10μg/ml)、α−アミラーゼ(10μg/ml)、エステラーゼ(10μg/ml)についてカルシウム結晶化抑制効果を比較検討した。その結果を[表9]に示す。
【0052】
【表9】
Figure 0004268785
【0053】
[表9]に示すように、実施例1の方法に準じ調製したLactococcus lactis IFO 3427株培養物(1)(最終タンパク質濃度0.8μg/ml)を添加した場合、結晶化阻害率は100%であり、他の物質と比較してみると、カルシウム可溶化剤として知られるカゼインホスホペプチド(CPP III)で62.8%、ポリ−L−グルタミン酸(シグマ社製;No.P−4886、ナトリウム塩)で59.4%、納豆より抽出しエタノール沈殿して精製されたポリ−γ−グルタミン酸で49.0%の阻害率であった。EDTAやクエン酸のようなキレート剤ではそれぞれ14.4%と24.5%の阻害率であり、また、炭酸カルシウムの結晶化を阻害すると報告されているホスビチンは30.1%の阻害率であった。その他、リンタンパク質や酵素類を添加しても大きな結晶化阻害効果は観察されなかった。本発明のLactococcus lactis IFO 3427株より抽出したタンパク質(1)は低濃度で著しくカルシウムの結晶化を阻害した。
【0054】
[試験例6]
リン酸カルシウム結晶成長促進効果の比較
次に、各種培地で培養した各種乳酸菌を実施例2の方法に準じ、調製した培養物(2)のリン酸カルシウム結晶成長に対する影響について検討した。反応試験は、第二リン酸カルシウム(DCPD)6mgに、0.05Mイミダゾール緩衝液(pH7.0)で希釈した実施例2の方法に準じ調製した培養物(2)を1.5ml添加し、37℃で24時間攪拌することで実施した。尚、ブランクには上記イミダゾール緩衝液を用いた。0時間と24時間後の反応溶液を0.45μmのフィルターで濾過し、濾液のリン酸含有量をホスファC−テストワコーで測定し、リン酸カルシウム結晶成長促進作用率を求めた。その結果を、[表10]に示す。結果は、ブランクとの相対活性で求めた。
【0055】
【表10】
Figure 0004268785
【0056】
本発明の乳酸菌の培養物は、いずれも強いリン酸カルシウム結晶成長促進作用を示した。
【0057】
比較的リン酸カルシウム結晶成長促進作用を持つホスビチン、アルブミン、ラクトフェリン、リパーゼ、トリプシノーゲンと比較しても、Lactococcus lactisIFO 3427株培養物(2)は約2倍の効果であった。
【0058】
下記に、本発明のカルシウム吸収促進剤及びリン酸カルシウム結晶成長促進剤の実施例を記載する。なお、配合量は重量%で記載した。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
[実施例12]
下記の処方にしたがってカプセル剤を調製した。
【0076】
【表19】
Figure 0004268785
【0077】
上記成分を均一に混合し、その混合末をハードカプセルに充填した。
【0078】
[実施例13]
下記の処方にしたがって注射剤を調製した。
【0079】
【表20】
Figure 0004268785
【0080】
上記混合溶液をメンブランフィルターで濾過後に再び除菌濾過を行い、その濾過液を無菌的にバイアルに分注し、窒素ガスを充填した後、密封して注射剤とした。
【0081】
[実施例14]
下記の処方にしたがって錠剤を調製した。
【0082】
【表21】
Figure 0004268785
【0083】
上記成分を均一に混合し、その混合末を打錠して、1錠200mgの錠剤とした。
【0084】
直打用微粒No.209(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム20%、トウモロコシデンプン30%、乳糖50%)
【0085】
[実施例15]
下記の処方にしたがってシロップ剤を調製した。
【0086】
【表22】
Figure 0004268785
【0087】
抽出タンパク質(3)を、精製水で完全に溶解し、単シロップを加えて混合し、シロップ剤とした。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
[実施例26]
下記の処方にしたがってカプセル剤を調製した。
【0110】
【表33】
Figure 0004268785
【0111】
上記成分を均一に混合し、その混合末をハードカプセルに充填した。
【0112】
[実施例27]
下記の処方にしたがって注射剤を調製した。
【0113】
【表34】
Figure 0004268785
【0114】
上記混合溶液をメンブランフィルターで濾過後に再び除菌濾過を行い、その濾過液を無菌的にバイアルに分注し、窒素ガスを充填した後、密封して注射剤とした。
【0115】
[実施例28]
下記の処方にしたがって錠剤を調製した。
【0116】
【表35】
Figure 0004268785
【0117】
上記成分を均一に混合し、その混合末を打錠して、1錠200mgの錠剤とした。
【0118】
直打用微粒No.209(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム20%、トウモロコシデンプン30%、乳糖50%)
【0119】
[実施例29]
下記の処方にしたがってシロップ剤を調製した。
【0120】
【表36】
Figure 0004268785
【0121】
抽出タンパク質(3)を、精製水で完全に溶解し、単シロップを加えて混合し、シロップ剤とした。
【0122】
【発明の効果】
本発明の乳酸菌の培養物は、カルシウム吸収促進作用及びリン酸カルシウム結晶成長促進作用が、従来技術で知られている物質と比較して顕著に優れており、更に、乳製品に広く利用されている乳酸菌由来物質であるので安全性も極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カルシウム結晶化に対するLactococcus lactis IFO 3427株培養物(1)(最終タンパク質濃度0.8μg/ml)の影響を検討したグラフである。

Claims (9)

  1. Lactococcus属、Lactobacillus brevis IFO 13110株、Lactobacillus rhamnosus IFO 12521株、Lactobacillus casei Subsp. casei JCM 1134株、Enterococcus属、Streptococcus salivarius IFO 13957株、からなる群より選択される1種または2種以上の乳酸菌の培養物及び/または菌体外培養物から抽出され、カルシウム結晶化抑制作用とリン酸カルシウム結晶成長促進作用との双方を有するタンパク質を有効成分とすることを特徴とするカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
  2. 前記培養物がLactococcus lactis IFO 3427株培養物であることを特徴とする請求項1記載のカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
  3. 前記Lactococcus lactis IFO 3427株培養物がイーストペプトン培地で培養されたことを特徴とする請求項2記載のカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
  4. 前記Lactobacillus brevis IFO 13110株培養物がラクトバチルス培地で培養されたことを特徴とする請求項1記載のカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
  5. 前記Lactobacillus rhamnosus IFO 12521株培養物がアセテート培地で培養されたことを特徴とする請求項1記載のカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
  6. 前記培養物がEnterococcus durans IFO 13131株培養物であることを特徴とする請求項1記載のカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
  7. 前記Enterococcus durans IFO 13131株培養物がイーストペプトン培地で培養されたことを特徴とする請求項6記載のカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
  8. 前記Streptococcus salivarius IFO 13957株培養物がイーストペプトン培地で培養されたことを特徴とする請求項1記載のカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
  9. 前記Lactobacillus casei Subsp. casei JCM 1134株培養物がイーストペプトン培地で培養されたことを特徴とする請求項1記載のカルシウム吸収促進/リン酸カルシウム結晶成長促進剤。
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