JP4264188B2 - 酸化金属の還元方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の精錬業および加工業において発生する金属酸化物を含むダストおよびスラジを還元処理する回転炉床式の金属還元炉を用いた酸化金属の還元方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
還元鉄や合金鉄を製造するプロセスとしては各種のものがあるが、この内で、生産性の高いプロセスとして、回転炉床法が実施されている。回転炉床法は、固定した耐火物の天井および側壁の下で、中央部を欠いた円盤状の耐火物の炉床がレールの上を一定速度で回転する型式の焼成炉(以下、回転炉と称す)を主体とするプロセスであり、酸化金属の還元に用いられる。回転炉の炉床直径は10〜50メートルかつ、幅は2〜6メートルを有するものである。
【0003】
原料の酸化金属を含む粉体は、炭素系の還元剤と混合された後、原料ペレットにされて、回転炉に供給される。原料ペレットはこの炉床上に敷きつめられており、原料ペレットが炉床上に静置されていることから、原料ペレットが炉内で崩壊しにくいといった利点があり、耐火物上に粉化した原料が付着する問題が無く、また、塊の製品歩留が高いと言った長所がある。また、生産性が高く、安価な石炭系の還元剤や粉原料を使用できると言った理由から、近年、実施される例が増加している。
【0004】
さらに、回転炉床法は、高炉、転炉、電気炉から発生する製鉄ダストや圧延工程でのシックナースラジの還元と不純物除去の処理にも有効であり、ダスト処理プロセスとしても使用され、資源リサイクルに有効なプロセスである。
【0005】
回転炉床法の操業の概略は以下の通りである。
【0006】
まず、原料である鉱石やダスト、スラジの金属酸化物に、この酸化物の還元に必要な量の炭素系還元剤をよく混合した後、パンペレタイザー等の造粒機にて、水分が約10%となるように、水をかけながら、数〜十数mmのペレットを製造する。原料の鉱石や還元剤の粒径が大きい場合は、ボールミル等の粉砕機で粉砕した後に、混練して、造粒する。
【0007】
このペレットを回転炉床上に供給して、層状に敷き込む。炉床上に敷込まれたペレットは急速に加熱され、5〜20分間、1300℃前後の高温で焼成される。この際に、ペレットに混合されている還元剤により酸化金属が還元され、金属が生成する。還元後の金属化率は還元される金属により異なるが、鉄、ニッケル、マンガンでは、95%以上、還元しにくいクロムでも50%以上となる。また、製鉄業から発生するダストを処理する場合は、還元反応に伴い、亜鉛、鉛、アルカリ金属、塩素、等の不純物が揮発除去されることから、高炉や電気炉にリサイクルすることが容易となる。
【0008】
このように、回転炉床を用いる金属の還元方法および製鉄ダストの還元処理方法においては、原料と還元剤をペレットにすることが必須の条件で、原料の事前処理として、原料の酸化金属の粉体と還元剤の混合物を造粒性の良い状態にすることが重要であり、原料の事前粉砕やボールミルでの混練等の種々の方法が行われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来の回転炉床法による酸化金属の還元は、生産性や製造費用の面で優れており、経済的に金属を製造する方法である。しかし、原料と還元剤をペレットにすることが重要であり、造粒性能の高い原料を選択するか、高価な粉砕機を設置して、原料を粉砕することにより造粒性を向上させることが必要であり、このための費用が多くかかる問題があった。
【0010】
つまり、原料として鉄鉱石等の鉱石を使用する場合は、一般には、原料鉱石の粒径が大きいため、平均粒径が数十μm以下になるように粉砕した後、造粒して、ペレットを製造していた。その結果、粉砕工程の設備が高価であり、また、粉砕機の運転のための電力がかかることや粉砕機器の磨耗に伴う整備費用がかかるといった欠点があった。
【0011】
したがって、粉砕の費用を節約するために、微粉の原料を使用することがあるが、原料の選択性が厳しく、汎用的な方法ではなかった。そこで、湿式選鉱後の微粉鉱石を使用すること、または高炉や転炉のシックナーダスト、圧延工程でのスケールピットのスラジや酸洗工程での沈殿スラジ等を使用することが有効である。しかし、この場合でも、原料の含有水分が多すぎて造粒しづらいといった問題があった。すなわち、これらの原料は粒径が1〜数十μmの微粉であり、その結果、水分を含んだ状態では、これらは汚泥状となりやすく、また真空脱水機やフィルタープレスで脱水した後でも、水分が30〜50%あり、そのままでは水分が多すぎて、造粒できなかった。
【0012】
この問題の解決のためには、熱風等の熱源で粉原料を完全に乾燥した後に、造粒する方法がある。しかし、乾燥過程で粉原料が疑似凝集してしまい、そのままでは造粒することはできないため、これを粉砕して、再度、微粒の状態にした後に、他の原料とともに、加水して、造粒した後に、回転炉床で還元されていた。
【0013】
その結果、上記の方法で利用された場合でも、多量の熱源を用いて乾燥した後に、再度水分を加えられるため、造粒時の水分の蒸発に、熱源が必要であり、経済的な金属の還元方法ではなかった。
【0014】
特に、製鉄業等の金属の精錬業や加工業で発生するダストやスラジを湿式集塵機または沈殿槽から集めた場合には、これらの発生物は、最大90%と、多くの水分を含有しており、これらの発生物を回転炉床法で還元処理しようとする場合には、乾燥工程と乾燥後の粉砕処理の問題が顕著であった。
【0015】
これらの問題を解決するために、例えば、特開平11−12619号公報には、原料を造粒せずに回転炉床法で使用する方法として、原料を圧縮成型機でタイル状にして、これを回転炉床法で使用する発明が開示されている。しかし、この方法でも、やはり、水分を大量に含有した状態の原料を使用することには問題があった。
【0016】
つまり、特開平11−12624号公報に示されるように、原料の水分を6〜18%に調整する必要があり、このためには、事前の脱水処理に加え、乾燥処理が必要であり、このための複雑な水分制御が必要な問題があった。また、この原料装入のためには、特開平11−12621号公報に示されるような、複雑な装入装置が必要であり、この設備の整備費用が高い等の問題も生じていた。
【0017】
さらに、このような形状の水分を含む原料を高温の回転炉に直接装入した場合には、水分含有率が高いために、水分の蒸発に伴う爆裂現象が発生して、原料が粉化して、排気ガス中に失われて、製品歩留が極端に悪いといった問題が生じていた。通常、回転炉床法での炉内温度は、原料供給部の近傍が最も低く、1150〜1200℃である。気孔率が40〜55%の場合では、水分が15〜27%と多く、原料供給部の近傍が1200℃以上になっても爆裂現象は起きないものの、水蒸気の噴出による角部分や表面の剥離が生じる。したがって、1200〜1250℃程度の高温でも、還元操業は可能であるが、塊状の還元物の比率が少なく、粉の生成率が高くなるという問題があった。その結果、排ガス中に金属分がロスする比率が比較的高くなり、歩留の低下の問題が残った。
【0018】
本発明は、従来は実現できなかった、水分を含んだ粉状態の原料を回転炉床法で爆裂の発生なく高歩留で還元することが可能な回転炉床式の金属還元炉を用いた酸化金属の還元方法を安価に提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)〜(4)の通りである。
【0020】
(1)原料供給部から炉床の回転方向に対して下流側の加熱帯までの間に、加熱帯との仕切り壁を設けた乾燥帯を有する回転炉床式の金属還元炉を用いて酸化金属を還元する方法であって、気孔率が25〜55%で、3〜27%の水分を含有している成形体を、前記乾燥帯にて60〜300秒間、300〜1150℃で乾燥することを特徴とする酸化金属の還元方法。
【0021】
(2)原料排出部から原料供給部までの間の炉内天井の一部に水冷手段を有することを特徴とする前記(1)の酸化金属の還元方法。
【0022】
(3)原料排出部から原料供給部までの間の炉床に水を吹き付ける機構を有することを特徴とする前記(1)又は(2)の酸化金属の還元方法。
【0023】
(4)乾燥帯の乾燥用熱源がバーナー、間接加熱源、加熱・還元帯の排ガスの何れか又は2以上の組み合わせであることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れかの酸化金属の還元方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく、回転炉床式の還元炉と当該還元炉への金属酸化物原料の前処理設備を示した還元装置の全体の1例を図3に示す。これは、水分を含んだ粉状原料の混合ピット1、スラリー輸送ポンプ2、脱水装置3、成形機4、回転炉5および、付帯設備からなる。また、回転炉5の原料供給部周辺の円周に沿った垂直断面図を図1、および図2に示す。
【0026】
まず、混合ピット1に、水分を50質量%以上の比率で含んだ状態の酸化金属粉体と炭素を主体とした還元剤を粉状にした原料を混合しておく。酸化金属原料は、鉄鉱石粉、マンガン鉱石粉、クロム鉱石粉等の粉鉱石や金属製造業で発生する精錬炉のダストや圧延工程のスラジなどを用いる。特に、金属製造業で発生するスラジは、元来70%程度の水を含んでいることから、本方法に最も望ましい原料である。
【0027】
混合ピット1の中で原料の固液混合物を良く撹拌混合する。この固液混合物をスラリー輸送ポンプ2にて脱水装置3に輸送して、ここで含有水分を15〜27%まで脱水して、原料混合物の凝集体を形成する。固液混合物を循環移動する濾布の上に注ぎ、当該濾布の上下に設置した一対の圧搾ロールで絞る型式の脱水装置、フィルタープレス、遠心脱水機等を用いて脱水し、原料混合物の凝集体を得ることができる。
【0028】
当該粉体凝集体を成形機4に供給する。成形機4にて、水分を含んだまま成形体を形成する。成形体は、10〜20mm程度の大きさのものが望ましい。回転炉5で成形体が爆裂しにくいように、水蒸気が抜けやすい構造を設けることが望ましい。具体的には、気孔率を高くすれば、水蒸気の抜けが良くなり、爆裂しにくくなることから、図3に示す押し出し形式の成形機の場合には、気孔率を40〜55%とすることが望ましい。気孔率が40%より低いと、緻密な成形体である為、水蒸気が抜けにくくなり、気孔率が55%を超えると、焼成前の成形体の強度低下が発生し、成形体の炉内での崩壊による操業支障を来たすので、上記の範囲とすることが好ましい。
【0029】
また、成形機として双ロール式圧縮成形機を用いる場合には、気孔率を25〜40%とすることが好ましい。気孔率が25%より低いと緻密な成形体である為、水蒸気が抜けにくくなり、気孔率が40%を超えると焼成前の成形体の強度低下が発生し、成形体の炉内での崩壊による操業支障を来たすので、上記の範囲とする。また、成形体の水分が3%より少ないと、水蒸気の発生に伴う成形体の粉化は発生しにくいので、3%以上とし、押出し式の成形機を用いる場合、成形体としての形状を得るためには、水分は15%以下とすることが好ましい。
【0030】
図3の例で示した成形機4は、原料を保持するケーシング内に設置してあるスクリューを用いて、ケーシング末端のエンドプレートに設けた複数の穴型から水分を含む粉体を押し出す型式の成形機が最も望ましい。この成形機では、水分含有率=12〜27%と含水粉体を比較的粗く成形できるので、成形体の気孔率を40〜55%に制御することが可能になる。成形機4にて製造した成形体を回転炉5に供給する。供給装置としては、水分が多くとも詰まりの生じない型式の振動フィーダーやシャトルコンベア等を使用する。
【0031】
押し出し成形機による成形体は、水分を12〜27%含んでいるため、炉内で加熱される際に、成形体内部で水蒸気が発生する。この水蒸気の発生速度が速すぎると、気孔率の高い成形体においても、成形体の表面剥離や爆裂が起きることから、水蒸気の発生速度を低減することが重要な技術である。
【0032】
そこで、図1に示すように、加熱帯との仕切り壁16を設け、加熱〜還元による高温排ガスがこの区間に到達する前に排ガス出口15から排出され、天井14下部のこの区間への熱の供給を押さえ独立した乾燥帯を設ける。
【0033】
一般に加熱・還元帯から発生する高温の排ガスには、揮発した亜鉛、鉛、アルカリ金属、塩素、等の物質を含むため、炉内での再凝縮を防止するため乾燥帯排ガス出口17部で900〜1100℃を確保する必要がある。従って、乾燥帯排ガスと加熱・還元帯排ガスを混合して排気する場合、乾燥帯排ガス温度が低温時(300〜700℃)は、乾燥帯排ガス出口17部で排ガス出口温度900〜1100℃を確保するため、乾燥帯排ガス分は余分な昇熱が必要である。
【0034】
乾燥帯と加熱・還元帯を分割する仕切り壁16を設けることで、乾燥帯から発生する水分を多く含んだ排ガスは、乾燥帯排ガス出口17から、加熱・還元帯から発生する高温の排ガスは排ガス出口15から、各々を排気することができる。
【0035】
これにより、乾燥帯から発生する排ガス分の昇熱が不要となり、燃料原単位が向上すると共に、高温の排ガス系統に水分を多く含んだ排ガスが混合しないので、高温排ガス処理量が低減でき、排ガス処理設備費をより安価にすることができる。
【0036】
一方、乾燥帯の熱源は図2に示すように、間接加熱源、バーナーによる熱源あるいは、加熱・還元帯の排ガス熱源を利用することが可能であり、加えて前記加熱源の何れか2つの手段、例えば、間接加熱源と加熱・還元帯排ガス熱源を併用しても良い。
【0037】
間接加熱源は、蓄熱式ラジアントチューブ23が、バーナーではリジェネバーナー22が省エネルギーにおいて有効である。加熱・還元帯の排ガス熱源は、高温の排ガスダクト6中に熱交換機20を設け、送風機21からの空気を加熱した後、乾燥帯で使用する。
【0038】
なお、図1および図2において、炉床18は左から右方向に移動して、排出スクリュー11にて、還元された成形体を排出した後、原料供給口13から炉床18上に成形体が連続的に供給される。
【0039】
通常の操業条件では、加熱・還元帯で熱せられた炉床18の還元物を排出した後の炉床表面温度は1150〜1250℃であり、この温度に伴う炉床18からの熱放散が乾燥帯の熱源となっている。本発明者らが種々の実験を行った結果、粉生成率を低下させるためには、原料である成形体の供給時の炉床表面温度を900〜1050℃とすることが望ましいことを解明した。
【0040】
乾燥帯への熱流入を押さえる方法として、炉床18を冷却することも有効な方法である。つまり、炉床18を冷却することにより、炉床18からの伝熱を低下することができる。
【0041】
炉床18の冷却方法としては、排出スクリュー11と原料供給口13の間の天井を水冷金属パネル12で構成することにより、冷却する方法がある。この場合は、還元済み成形体の排出が終わって、裸状態の炉床18からの輻射熱を水冷金属パネル12で吸収することにより、炉床18の温度を低下させる。この方法では、水冷金属パネル12の表面温度は300℃程度となり、炉床表面温度を900〜1050℃に冷却するために、30〜50秒の冷却が必要である。また、原料供給口13よりも上流の部分で炉床18にスプレーノズル等から散水する方法も炉床冷却に有効である。
【0042】
乾燥帯での水分除去が終わった成形体は、炉床18とともに炉内を移動して、徐々に高温部に移り、成形体温度が1200℃を越えた時点で盛んに還元反応を起こし、成形体の酸化金属はほとんど金属となる。還元された成形体は、排出スクリュー11で炉床18から掻き出され、クーラー10で冷却されて、高炉や電気炉などの利用工程に輸送される。
【0043】
また、比較的緻密な成形体を製造して、これを還元する例を図4に示す。双ロール式圧縮成形機24、いわゆるブリケット成形機にて、水分を3から15%に調整した粉体を成形する例である。この成形体は、気孔率が25〜40%と比較的緻密なものである。また、回転式造粒機、いわゆるパンペレタイザーにより、成形体を製造する方法もある。ただし、この成形体は、気孔率が約25%とかなり緻密な成形体となる。水分を含んだ状態では、爆裂しやすいため、本発明の方法での還元操業には不向きであるが、水分が3〜15%程度であれば、本発明の方法での使用に耐えられる。
【0044】
気孔率が25〜40%と比較的緻密な成形体の場合は、成形体の乾燥を行う部分である乾燥帯の最高温度は1000℃以下に押さえる必要がある。この理由は、緻密で気孔率が低い成形体は、成形体の内部で水蒸気が抜ける際に、気孔の通気抵抗により、成形体の内部圧力が高くなり易く、爆裂や粉化を抑制するためには、低温で水分を蒸発させる必要があるためである。また、気孔率の高い成形体の場合と同様に、乾燥帯の炉内温度を300℃以上とすることが有利である。これは、ガス温度が低すぎて、乾燥帯の長さが極端に延長する欠点を解消するためである。つまり、気孔率が25〜40%と比較的緻密な成形体では、乾燥帯の温度を300〜1000℃とすることが望ましい。この時の乾燥帯の長さは、炉床18の通過時間に換算して、60〜180秒が望ましい。気孔率が40〜60%の成形体の場合に対して、より短い時間となっているが、これは含有水分が少なく乾燥が早く終わるためである。
【0045】
緻密な成形体を用いる場合でも、乾燥帯での水分除去が終了した後に、成形体は高温の炉内で還元され、排出スクリュー11で炉床18から掻き出され、クーラー10で冷却される。
【0046】
前記(5)の発明においては、気孔率が25〜55%で、3〜27%の水分を含有している前記成形体を炉床に供給し、乾燥帯の炉内温度を1150℃以下に低下させることにより、表面の剥離等を抑制して、成形体の粉生成率を低減することができる。双ロール式の圧縮成形機を用いて成形する場合、気孔率が25〜40%で、3〜15%の水分を含有している前記成形体を炉床に供給し、乾燥帯の炉内温度を1000℃以下に低下させることにより、また、押出し式の成形機等を用いて成形する場合には、気孔率が40〜55%で、12〜27%の水分を含有している前記成形体を炉床に供給し、乾燥帯の炉内温度を1150℃以下に低下させることにより、表面の剥離等を抑制して、成形体の粉生成率を低減することができる。押出し式の成形機を用いて成形する場合、当該スラッジの成形可能な水分条件は12〜27%であることより、水分の範囲は上記のとおりとする。
【0047】
また、成形体を炉床に供給後、加熱帯までの時間は60〜300秒とする。60秒より短いと充分な乾燥時間を確保できず、一方300秒より長いと生産性が低下するので、上記の範囲に限定する。
【0048】
乾燥帯の炉内温度を低下させることにより、表面の剥離等を抑制して、成形体の粉生成率を低減することができる。乾燥帯の炉内温度が成形体の粉化に与える影響を調査した結果を表1に示す。この実験では、押し出し式の成形機によって製造した平均粒径が8μmの酸化鉄と炭素の粉体の混合物を試料として用いた。成形体は、直径15mm、気孔率44%、水分19%のものである。粉の発生率は表1に示すように、1200℃では、25%あったものが、1000℃では、8.8%まで低下している。また、300℃では、粉生成率は、5.1%である。
【0049】
【表1】
【0050】
乾燥帯の通過時間と温度は、成形体の気孔率と水分により異なるが、気孔率が25〜40%で、3〜15%の水分を含有している成形体の場合は、60〜180秒、300〜1000℃とし、気孔率が40〜55%で、12〜27%の水分を含有している成形体の場合は60〜210秒、300〜1150℃とする。炉内温度を低下させると乾燥帯の長さが長くなり、設備的には炉床面積が大きくなる問題もある。乾燥帯の炉内温度を300℃未満とすると、排ガスからの輻射伝熱が急速に低下して、乾燥帯の長さが極端に延長する。その結果、設備建設費用の面で不利であるとともに、炉内温度を低下させるための機構も複雑になることから、乾燥帯の炉内温度は300℃以上が有利である。また、乾燥帯の炉内温度が1200℃以上の場合では、表1に示されるように、急速に粉の比率が増加する。したがって、還元製品の歩留の観点から、気孔率が25〜40%で3〜15%の水分を含有している成形体の場合は乾燥帯の炉内温度を1000℃以下とすることが望ましい。
【0051】
気孔率が25〜40%で3〜15%の水分を含有している比較的緻密な成形体の場合は、成形体の乾燥を行う部分である乾燥帯の最高温度は、1000℃以下に押さえる必要がある。この理由は、緻密で気孔率が低い成形体は、成形体の内部で水蒸気が抜ける際に、気孔の通気抵抗により、成形体の内部圧力が高くなり易く、爆裂や粉化を抑制するためには、低温で水分を蒸発させる必要があるためである。また、気孔率の高い成形体の場合と同様に、乾燥帯の炉内温度を300℃以上とすることが有利である。これは、ガス温度が低すぎて、乾燥帯の長さが極端に延長する欠点を解消するためである。つまり、気孔率が25〜40%と比較的緻密な成形体では、乾燥帯の温度を300〜1000℃とすることが望ましい。この時の乾燥帯の長さは、炉床10の通過時間に換算して、60〜180秒が望ましい。
【0052】
【実施例】
図3に示される還元装置を使用して、製鉄業の各工程で発生した酸化鉄を多く含むスラジを原料に操業した結果を実施例として、表2に示す。また、比較例として、乾燥帯のない従来の回転炉を用いた例を表2に示す。使用した原料成形体は、平均粒径9μm、水分21%、気孔率44%の直径が15mmの円柱状をしたものであった。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例では、乾燥帯の温度が890〜1020℃に制御されており、この領域の長さは、炉床の通過時間換算で150秒であった。実施例で得られた還元物は、製品粉率が8.7%と少なく、また、ダストへの鉄分ロスも1.7%と低位であった。更に、金属化率は88%と還元も良好であった。
【0055】
一方、比較例では、原料供給部近傍の温度が1080〜1180℃であり、本発明の条件よりも高温であった。比較例で得られた還元物は、製品粉率が21.7%と多く、また、ダストへの鉄分ロスも3.7%と高位であった。更に、金属化率は69%と低かった。これは、粉化したものは比表面積が大きいため、炉内ガス中の炭酸ガスにより、再酸化反応を受けたためであった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、還元用回転炉床法において、水分を含有している粉体の成形体を用いて、経済的に酸化金属の還元を行うことができる。また、水分を大量に含有するダストとスラジの処理には有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属還元炉の原料供給部周辺の円周に沿った垂直断面の例を示す図である。
【図2】本発明の金属還元炉の原料供給部周辺の円周に沿った垂直断面の他の例を示す図である。
【図3】本発明の金属還元炉を含む還元装置の例を示す図である。
【図4】本発明の金属還元炉を含む還元装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 混合ピット
2 スラリー輸送ポンプ
3 脱水装置
4 成形機
5 回転炉
6 排ガスダクト
7 集塵機
8 排ガスファン
9 煙突
10 クーラー
11 排出スクリュー
12 水冷金属パネル
13 原料供給口
14 天井
15 排ガス出口
16 仕切り壁
17 乾燥帯排ガス出口
18 炉床
19 乾燥帯熱源取込み口
20 熱交換機
21 送風機
22 リジェネバーナー
23 蓄熱式ラジアントチューブ
24 双ロール式圧縮成形機
Claims (4)
- 原料供給部から炉床の回転方向に対して下流側の加熱帯までの間に、加熱帯との仕切り壁を設けた乾燥帯を有する回転炉床式の金属還元炉を用いて酸化金属を還元する方法であって、気孔率が25〜55%で、3〜27%の水分を含有している成形体を、前記乾燥帯にて60〜300秒間、300〜1150℃で乾燥することを特徴とする酸化金属の還元方法。
- 原料排出部から原料供給部までの間の炉内天井の一部に水冷手段を有することを特徴とする請求項1記載の酸化金属の還元方法。
- 原料排出部から原料供給部までの間の炉床に水を吹き付ける機構を有することを特徴とする請求項1又は2記載の酸化金属の還元方法。
- 乾燥帯の乾燥用熱源がバーナー、間接加熱源、加熱・還元帯の排ガスの何れか又は2以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の酸化金属の還元方法。
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