JP4179806B2 - 感熱孔版印刷用マスターの製造方法、その製造装置 - Google Patents

感熱孔版印刷用マスターの製造方法、その製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱孔版印刷用マスターの製造方法、その製造装置および感熱孔版印刷用マスターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
赤外線、サーマルヘッド等を用いて原稿を穿孔製版し、これらを印刷用の版として使用する印刷方法は穿孔印刷として知られ、簡便な印刷方法として広く普及している。これらの中でも、サーマルヘッドを使用した穿孔方式はデジタル製版と呼ばれ、地汚れの発生が少ないこと、文字や図形のデジタル処理が可能なこと、簡便なこと等の理由により、現在では孔版方式の主流になっている。また、近年小さな文字から写真のハーフトーンにまで対応した解像度の高い、高品質への要求が高まり、製版装置においては、サーマルヘッドの微小化、高精細化等の対応がなされている。
【0003】
感熱孔版印刷用マスターもサーマルヘッドの微小化に伴い、熱可塑性フィルムを薄くして対応してきている。しかし、熱可塑性フィルムを薄くしていくことにより繊維状多孔物質からなる多孔性繊維膜の凹凸に沿って熱可塑性フィルム面も凹凸が発生し、平滑性が低下する。平滑性が低下するとサーマルヘッドによって穿孔する際に穿孔不良が発生し、画質が低下してしまう。また、多孔性繊維膜の繊維自体がインクの通過性を妨げ、印刷ムラが発生しやすくなる。
【0004】
そこで、地汚れやインク転移量の制御、熱可塑性フィルムの平滑性向上を目的に、熱可塑性フィルムと繊維状多孔物質からなる多孔性繊維膜との間に多孔性樹脂膜を設けてみると、画像立ち上がり性とインク通過性が低下する結果となるため、前記多孔性繊維膜として薄いものを用いて改善をはかった。しかしながら、多孔性繊維膜が薄くなると、従来から一般的に使われているラミネート方法では、テンションコントロールが難しく、搬送方向に波打ちしたり、細かい縦ジワが入り、結局ラミネート後の平滑性が低下する問題が発生した。
【0005】
従来からある感熱孔版印刷用マスターの平滑性を高めるやり方として、例えば、特公平3−52354号公報には、図1に示されるように、フィルムロール(1)から引き出された熱可塑性フィルム(2)にコーティングロール(3)で接着剤(4)を塗布した後、接着剤(4)が塗布された面を外方に向けた状態で該フィルム(2)を鏡面ロール(5)に密着させて搬送する一方で、支持体ロール(6)から引き出された多孔性支持体(7)を鏡面ロール(5)上にてフィルム(2)に密着させると共に、熱風乾燥(8)で接着剤(4)を乾燥させてラミネートさせた後、冷却ロール(9)によって冷却して原紙巻き取りロール(10)に巻き取る方法が提案されている。
この方法によると、従来の繊維状物質からなる多孔性繊維膜の坪量やコシがある場合には、平滑性の高い感熱孔版印刷用マスターを製造することができるが、前述のように繊維状物質からなる薄い多孔性繊維膜を用いると、コシが弱くなり、テンションコントロールが難しくなり、シワが多く入って平滑性は低下してしまう。
【0006】
さらに、感熱孔版印刷用マスターの平滑性を高めるやり方として、特開平7−61159号公報には、図2に示されるように、支持体ロール(6)から引き出された多孔性支持体(7)の一方の面にコーティングロール(3)で接着剤(4)を塗布し、該支持体(7)の接着剤塗布面をフィルムロール(1)の熱可塑性フィルム面に直接圧着して積層し、該積層体を原紙巻き取りロール(10)に巻き取るまでの搬送経路中で熱風乾燥機(8)で接着剤(4)を乾燥硬化させる方法を提案されている。
しかしながら、この方法によると、圧着後の接着剤の乾燥硬化工程で積層されたフィルムと支持体とを拘束する力がないフリーな状態で搬送されるため、デラミ(剥離)現象を発生しやすいという問題がある。また、多孔性繊維膜の孔を塞がずに画像に対しては有利であるためには、接着剤付着量を少なくした方が良いが、接着剤硬化によると接着力が弱くなり、デラミ現象が発生しやすいという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、平滑度の高く、その結果印字品質の優れた画像が得られる感熱孔版印刷用マスターを提供するための製造方法と製造装置およびその感熱孔版印刷用マスターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明の(1)「片面に多孔性樹脂膜を有する長尺の熱可塑性樹脂フィルムと、電離放射線硬化性接着剤が塗布された長尺の多孔性繊維膜とを用い、電離放射線照射によって前記接着剤を硬化させて感熱孔版印刷用マスターを製造する方法であって、別々に搬送される前記熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜を有する面と前記多孔性繊維膜前記接着剤の塗布面とを合わせ、ニップロールと鏡面ロールとでニップした直後に、電離放射線照射し、ニップされた前記熱可塑性樹脂フィルムと前記多孔性繊維膜とを前記鏡面ロール上に載せてテンションをかけられた密着状態で搬送することによって、ラミネートすることを特徴とする感熱孔版印刷用マスターの製造方法」、()「多孔性樹脂膜を有する熱可塑性樹脂フィルムを用い、接着剤塗布量が0.05〜1.0g/mであることを特徴とする、前記第()項に記載の感熱孔版印刷用マスターの製造方法」、()「片面に多孔性樹脂膜を有する長尺の熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜面と、電離放射線接着剤が塗布された長尺の多孔性繊維膜とを、電離放射線照射によって前記接着剤を硬化させることによってラミネートして感熱孔版印刷用マスターを製造するために用いる装置であって、前記多孔性樹脂膜面と前記多孔性繊維膜とを合わせ、ニップするためのニップロール及び鏡面ロールと、前記ニップ工程直後に電離放射線照射が可能な位置に設置された電離放射線照射手段とを有し、前記鏡面ロールは、ニップされた前記熱可塑性樹脂フィルムと前記多孔性繊維膜とを少なくとも前記電離放射線照射中にテンションがかけられた密着状態で搬送することを特徴とする感熱孔版印刷用マスター製造装置」によって達成される。
【0009】
本発明は、平滑性の高い感熱孔版印刷用マスターを、接着剤として電離放射線硬化性接着剤を用いてラミネート加工して製造するものであるが、その特徴とするところは、熱可塑性樹脂フィルムと又は片面に多孔性樹脂膜を有する長尺の熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜面(以下熱可塑性樹脂フィルム等と総称する)と、電離放射線硬化性接着剤が塗布された長尺の多孔性繊維膜とを重ねて、しわなどの凹凸が形成された場合にも、ラミネート直前にニップロールでニップすることによって、平滑化し、その状態になったところで電離放射線照射をし、搬送ローラで搬送することによって、熱可塑性樹脂フィルム等と多孔性繊維膜とがラミネートされた所望の感熱孔版印刷用マスターを得ることにある。
電離放射線照射のタイミングとしては、平滑化状態をつくるニップ工程直後が好ましい。従って、電離放射線照射装置は、ニップ工程直後に電離放射線照射を行なえる位置に設定することが好ましい。
また、該搬送ローラ上では搬送中熱可塑性樹脂フィルム等と多孔性繊維膜との積層物は、多少のテンションがかけられた密着状態で搬送される。
該ニップロールとしては通常少なくとも表面が、ゴム等の弾力性があるものが用いられ、またその径は限定的でないが、通常100〜200mmφ程度のものが用いられる。
また、前記搬送ローラとしては、所望の平滑度の高い感熱孔版印刷用マスター製品を得るためには、表面が鏡面であることが好ましく、またその径は限定的でないが、前記ニップロールより大きく、300mmφ以上のものが好ましく、通常500〜700mmφ程度のものが用いられる。
【0010】
本発明の製造方法によると、従来にない平滑度の高い、すなわち熱可塑性樹脂フィルムの自由表面側の面の平滑度(王研式平滑度測定器による)が14000秒以上の感熱孔版印刷用マスターを得ることができ、特に片面に多孔性樹脂膜を有する熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には前記平滑度が15000秒〜20000秒の感熱孔版印刷用マスターを得ることができる。
従来のラミネート方式の場合、鏡面ロールに密着させかつ一定の搬送張力下に搬送して接着剤を硬化させるために、薄い多孔性繊維膜を用いると、張力コントロールが難しく、多孔性繊維膜が搬送方向に波打ったり、搬送方向に細かい縦ジワが入って、ラミネート後平滑性が低下してしまうものと考えられる。
一方、本発明の製造法によると、従来法のように張力で鏡面ロールのような搬送ローラに多孔性繊維膜を押し付けて貼り合わせるのではなく、ラミネート直前に多孔性繊維膜と熱可塑性樹脂フイルムとをニップして貼り合わせるため、その後の搬送ローラによる搬送は、従来法の場合に比してはるかに少ない最低限の張力のみで行なえるので、繊維状物質からなる多孔性繊維膜には搬送方向に波打ちしたり、細かい縦ジワが入らない状態になり、さらにニップ直後に電離放射線を照射して接着剤を硬化させているので、デラミ現象が発生しにくく、熱可塑性フィルムの自由表現側の面の平滑度を高くすることができる。
【0011】
なお、本発明の製造方法においては、多孔性繊維膜と熱可塑性樹脂フィルムはそれぞれロール状に巻きつけられたものを素材にして、製造装置内でセットされ、このロール状態から両者を引き出して、ニップロールの設定位置まで別ルートで搬送され、そこでニップされている。無論、多孔性繊維膜についてはロール状態から引き出された後、途中で電離放射線硬化性接着剤を塗布する工程を経ることが熱可塑性樹脂フィルムの場合と相違する点である。
従って、本発明における「長尺」とは、ロール状態から引き出され連続的にニップロールの設定位置まで搬送されるこの素材の状態を意味するものである。
上記素材は、通常100〜700mmφ程度のものが用いられ、その素材を構成する長尺物は、巾が40〜120cm程度で長さが100〜10000m程度のものである。
通常、感熱孔版印刷用マスターは、本発明のような製造方法で得られたものを所定のサイズにカットし、再度ロール状に巻きつけて製品として出荷され市販されるが、そのサイズは例えば巾が250〜350mm、長さが95〜120m程度のものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の製造方法の具体例を示す概念図であり、この図に基づいて本発明を説明する。
図3において、支持体ロール(6)から引き出された多孔性繊維膜(7)の一方の面にコーティングロール(3)で接着剤(4)を塗布し、該多孔性繊維膜(7)の接着剤塗布面を、フィルムロール(1)から引き出された熱可塑性フィルム(2)の面(熱可塑性フィルムの一方の面に多孔性樹脂膜を設けたものを含む)とをニップロール(11)でニップし、ニップ後に電離放射線装置(12)によって電離放射線を照射して接着剤(4)を硬化させて接着し、鏡面ロールのような搬送ロール(5)上に密着させて搬送し、巻き取りロール(10)に巻き取る。
電離放射線照射は、ニップ直後に、すなわちニップが解放された直後に行なわれることが好ましく、したがってニップロール(11)の搬送ロール側外周面上方に、電離放射線装置(12)を設置することが好ましい。この場合、多孔性繊維膜(7)と熱可塑性フィルム(2)との積層状態物は、通常電離放射線照射時点で稼働中の搬送ロールに載せた搬送状態であることが好ましい。
また、ニップ時点にニップロールから前記積層状態物にかける圧力は、ニップにかける前に既に発生しているしわなどを除去し、かつしわなどを発生させず、高い平滑性を形成するものであれば、特に特定されるものではなく、ニップロール、多孔性繊維膜および熱可塑性フィルムをそれぞれ構成する材料、搬送スピード等諸々の条件により左右されるが、通常1.5〜2.0kg/m程度の圧力であることが好ましい。
【0013】
本発明の感熱孔版印刷用マスターに用いる熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン又はその共重合体など従来公知のものが用いられるが、穿孔感度の点からポリエステルフィルムが特に好ましく用いられる。ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体等を挙げることができる。穿孔感度を向上させるために特に好ましくは、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体等を挙げることができる。
【0014】
本発明における前記熱可塑性樹脂フィルムには、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。
更には、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法等がある。
【0015】
本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、通常好ましくは0.1〜5.0μmであり、更に好ましくは0.1〜3.0μmである。厚さが5.0μmを超えると穿孔性が低下する場合があり、0.1μmより薄いと製膜安定性が悪化したり、耐刷性が低下する場合がある。
【0016】
本発明の感熱孔版印刷用マスターに用いる熱可塑性樹脂フィルムには、その片面に多孔性樹脂膜を設けたものを用いることができる。この多孔性樹脂膜は、膜の内部及び表面に多数の空隙を持つ構造を有するものであれば良く、該空隙がインキの通過性の点から多孔性膜内において厚さ方向に連続構造であるものが望ましい。
【0017】
本発明における前記多孔性樹脂膜の平均孔径は、一般に2μm以上50μm以下が好ましく、特に5μm以上30μm以下であるものが好ましい。
平均孔径が2μmに満たない場合には、インキ通過性が悪くなる傾向がある。そのため、充分なインキ通過量を得るために低粘度インキを用いると、画像にじみや印刷中に印刷ドラムの側部や巻装されている原紙の後端から印刷インキがしみ出す現象が発生する。また、多孔質樹脂膜内の空膜率が低くなることが多く、サーマルヘッドによる穿孔を阻害しやすくなる。
一方、平均孔径が50μmを越える場合には、多孔性樹脂膜によるインキの抑制効果が低くなってきて、印刷時に印刷ドラムとフィルムの間のインキが過剰に押し出され、裏汚れやにじみ等の不具合が発生する。即ち、平均孔径は小さすぎても大きすぎても良好な印刷品質が得られない。
【0018】
特に、多孔性樹脂膜内の空隙の平均孔径が20μm以下になると、多孔性樹脂膜層が厚いほど印刷インキが通りにくくなる傾向があるので、層の厚みを調整すると、インキの印刷用紙への転写量を制御することができる。そして、層の厚さが不均一であると印刷むらを生じることがあるので、厚みは均一であることが望ましい。
【0019】
本発明における多孔性樹脂膜の厚みは、2μm以上100μm以下、望ましくは5μm以上50μm以下である。2μmに満たない場合は、サーマルヘッドによる穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹脂膜が残りにくく、インキ転写量が制御されずに印刷物の裏汚れが発生しやすい。また、多孔性樹脂膜のインキ転写量抑制効果は膜が厚いほど大きく、印刷時の紙へのインキ転写量は多孔性樹脂膜の厚みによって調節できる。
【0020】
多孔性樹脂膜の密度は、通常0.01g/cm以上1g/cm以下で、望ましくは0.1g/cm以上0.7g/cm以下である。密度が0.01g/cm未満だと膜の強度が不足し、また膜自体も壊れやすい。
多孔性樹脂膜の付着量は0.1g/cm以上35g/cm以下、望ましくは0.5g/cm〜25g/cm、特に1g/cm〜11g/cmが望ましい。付着量の増大はインキの通過を妨げて画質を悪くし、0.1g/cm未満ではインキ転写量の制御が困難となり、逆に35g/cmを超えるとインキの通過を妨げて画像を悪くする。
【0021】
多孔性樹脂膜を構成する樹脂材料としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー等のようなビニル系樹脂、ポリブチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルプロピルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。各樹脂は2種以上を混合して用いても良い。
【0022】
なお、多孔性樹脂膜の形成、強度、孔径の大きさ等を調節するために、多孔性樹脂膜中に必要に応じてフィラーなどの添加剤を添加することが望ましい。ここにおいてフィラーとは顔料、粉体や繊維状物質も含まれる概念である。その中で特に針状のフィラーが好ましい。その具体例としては、ケイ酸マグネシウム、セピオライト、チタン酸カリウム、ウオラストナイト、ゾノトライト、石膏繊維等の鉱物系針状フィラー、非酸化物系針状ウイスカ、酸化物系ウイスカ、複酸化物系ウイスカ等の人工鉱物系針状フィラー、マイカ、ガラスフレーク、タルク等の板状フィラーが挙げられる。
【0023】
顔料は無機のみならず有機の顔料、あるいはポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸メチル等の有機ポリマー粒子そして酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカである。松本油脂製薬株式会社のマイクロカプセル、マツモトマイクロスフィアーも有効に利用できる。
これら添加剤の添加量としては好ましくは樹脂に対して5%〜200%である。5%以下では添加剤を加えることによる曲げ剛度が高くならない。逆に200%以上ではフィルムとの接着性が悪くなる。
【0024】
本発明における多孔性樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲内で帯電防止剤、スティック防止剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤などを併用することができる。
【0025】
次に、本発明における感熱孔版印刷用マスターの多孔性樹脂膜の形成方法について説明する。
第1の多孔性樹脂膜の形成方法は、樹脂を良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中に溶解及び/又は分散して得た塗工液を塗布し乾燥過程で多孔質層を形成するものである。このとき、良溶媒は相対的に貧溶媒より低温で蒸発しやすい組み合わせが必要である。良溶媒と貧溶媒をそれぞれ一種ずつ用いる場合には、良溶媒の沸点は相対的に貧溶媒の沸点より低くなければならない。良溶媒と貧溶媒の選定は任意であるが、一般には沸点差が15〜40℃である場合に所望の特性を持つ多孔性樹脂膜が形成されやすい。沸点差が10℃未満の場合には、両溶媒の蒸発時間差が小さく、形成される膜が多孔性構造になリにくい。貧溶媒の沸点が高すぎる場合には、乾燥に時間がかかり生産性に劣るため、貧溶媒の沸点は150℃以下であることが望ましい。
【0026】
塗布液中の樹脂濃度は使用する材料によって異なるが5〜30%である。5%未満では開口径が大きくなりすぎたり、多孔性樹脂膜の厚みのむらが生じやすい。逆に、30%を超えると多孔性樹脂膜が形成されにくく、あるいは形成されても孔径が小さくなり所望の特性は得られにくい。
【0027】
多孔性樹脂膜の平均孔径の大きさは雰囲気中の貧溶媒の影響を受け、一般にその良溶媒に対する割合が高いほど凝結量が多くなり、平均孔径は大きくなる。
貧溶媒の添加比率は樹脂、溶媒により異なるので実験により適宜決定する必要がある。一般的に、貧溶媒の添加量が多くなるに従い多孔質樹脂膜の孔径が大きくなる。貧溶媒の添加量が多すぎると樹脂が析出し塗布液が不安定になる。
【0028】
第2の多孔性樹脂膜の形成方法としては、特開平11−235885号公報にて開示されている、W/O型エマルションを主体とする流動体を薄層上に塗布、乾燥して形成されるものであり、主として水の部分が乾燥後インクが通過する孔となり、溶剤中の樹脂(フィラー、乳化剤等の添加物が含まれていてもよい)が構造体となる方法である。この方法においても多孔膜の形成、強度、孔径の大きさ、コシ等を調節するために、多孔膜中に必要に応じて前記フィラーなどの添加剤を添加することができる。その中で特に針状、板状、もしくは繊維状のフィラーが好ましい。
【0029】
W/O型エマルションの形成には比較的親油性の強い、HLB(Hydrophiric-Lyophiric Balance)が4〜6の界面活性剤が有効であるが、水層にもHLBが8〜20の界面活性剤を使用するとより安定で均一なW/Oエマルションが得られる。高分子界面活性剤の使用も、より安定で均一なエマルションを得る方法の一つである。また、水系にはポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の増粘剤の添加がエマルションの安定化に有効である。
本発明の多孔性樹脂膜の形成方法は上記に例示した方法に限定されるものではない。
【0030】
本発明の多孔性樹脂膜形成用塗布液の熱可塑性樹脂フィルムへの塗布方式としてはブレード、トランスファーロール、ワイヤーバー、リバースロール、グラビア、ダイ等の従来一般的に用いられている塗布方式が使用でき、特に限定されるものではない。
【0031】
また本発明における多孔性繊維膜としては、▲1▼ガラス、セピオライト、各種金属などの鉱物繊維、▲2▼羊毛、絹などの動物繊維、▲3▼綿、マニラ麻、コウゾ、ミツマタ、パルプ等の天然繊維、▲4▼スフ、レーヨンなどの再生繊維、▲5▼ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリルなどの合成繊維、▲6▼カーボンファイバなどの半合成繊維、▲7▼ウィスカ構造を有する無機繊維などの薄葉紙が挙げられる。
【0032】
この場合、繊維状物質の太さは熱可塑性樹脂フィルムの穿孔直径、フィルムの厚さなどにより適当なものを選択する必要があるが、直径20μm以下、好ましくは1〜10μmである。直径が1μmより小さいと引張り強度が弱く、20μmより大きいとインキ通過が妨げられて画像にいわゆる繊維による白抜けが現われたりする。また、繊維状物質の長さは0.1〜10mm程度が好ましく、更に好ましくは1〜6mm程度である。0.1mmより短いと引張り強度が弱くなり、10mmより長いと分散が均一に行ないづらくなる。
【0033】
本発明における多孔性繊維層の坪量は、通常好ましくは3〜20g/m、更に好ましくは5〜15g/mである。坪量が20g/mを超えるとインキの通過性が低下して画像鮮明性が低下する。また坪量が3g/mより少ないと支持体として充分な強度を得られない場合がある。
【0034】
本発明における繊維状物質からなる多孔性繊維層は、短繊維を抄紙した抄造紙であっても良いし、不織布や織物であっても良いし、スクリーン紗などであっても良いが、生産性、コスト面等より抄造紙が好ましく用いられる。
【0035】
本発明の電離放射線硬化性接着剤は主として、その構造中にラジカル重合性の二重結合を有するポリマー、例えば比較的低分子量のポリエステル、ポリエーテル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の(メタ)アクリレートとラジカル重合性の単官能モノマーや多官能モノマー等を含有するものであって、更に必要に応じて光重合開始剤を含有し電子線や紫外線によって重合架橋するものであり、これら従来の電離放射線硬化性接着剤はいずれも本発明で使用することができる。
【0036】
本発明で使用される単官能モノマーとしては、ビニル系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニル異節環化合物、N−ビニル化合物、スチレン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(β−(メタ)アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0037】
また、光重合開始剤としては、単官能のものとしては2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、テトラヒドロフルフリール誘導体のアクリレートが挙げられる。また、多官能のものとしては、ジシクロベンテニルアクリレート、ジシクロベンテニルオキシエチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオベンチルグリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ヒドロキシビバリン酸エステルネオベンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ビス(3’−アクリルオキシエトキシ−2’−ヒドロキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントイン、ヒドロキシビバリン酸エステルネオベンチルグリコール誘導体のジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0038】
接着剤の塗布方法は、ブレードコーティング方法、リバースロールコーティング方法、グラビアコーティング方法、ナイフコーティング方法、スプレーコーティング方法、オフセットグラビアコーティング方法、キスコーティング方法、バーコーティング方法等いずれの方法でも良く、特に限定されない。
【0039】
接着剤を塗布する面としては、多孔性樹脂膜の開口部を閉塞しないためには多孔性繊維膜に塗工した方がよい。
接着剤を塗布する場合、あまり粘度が高いと繊維が脱落し塗工不良が発生するので、ロールを加熱することで粘度を下げ、3000cps以下で塗工することが好ましい。更に好ましくは300〜1000cpsの間で塗工することが好ましい。粘度が300cps以下であると、多孔性樹脂膜と貼り合わせ後に開口部を閉塞しインキ通過性を阻害する可能性があり、3000cps以上であると多孔性繊維層の繊維脱落が起こり易くなる。
【0040】
放射線照射には従来技術がそのまま使用でき、例えば電子線硬化の場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、エレクトロカーテン型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用される。
【0041】
上記した接着剤の付着量としては、従来のような構成の感熱孔版印刷用原紙(熱可塑性樹脂フィルムと多孔性繊維膜との積層品)とは異なり、穿孔阻害の影響を考慮する必要はなく、所望の接着強度が得られていれば特に限定されるものではないが、多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜の孔を閉塞しない範囲であればよく、好ましくは、0.05g/m以上5.0g/m以下、更に好ましくは、0.1g/m以上3.0g/m以下の範囲である。
【0042】
本発明の感熱孔版印刷用原紙は、フィルムのサーマルヘッドに接触すべき片面に穿孔時の融着を防止するため、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッソ系樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料、分散助剤、防腐剤、消泡剤等からなる薄層を設けることが望ましい。該融着防止の薄層の厚みは好ましくは0.005〜0.4μm、より好ましくは、0.01〜0.4μmである。
本発明の感熱孔版印刷用原紙において、融着防止の薄層を設ける方法は特に限定されないが、水、溶剤等に希釈した溶液をロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布し、乾燥するのが好ましい。
【0043】
本発明において、感熱孔版印刷用マスターは、感熱孔版印刷用マスターの熱可塑性樹脂フィルム面がベタ画像穿孔され、穿孔面積がベタ画像の対して40%以上であるとき、通気度が1.0cm/cm・秒〜157cm/cm・秒、望ましくは10cm/cm・秒〜80cm/cm・秒の範囲である。通気度が1.0cm/cm・秒に満たない場合には印刷濃度が低く、充分な印刷濃度を得るために低粘度インキを用いれば、画像のにじみや印刷中に印刷ドラムの側部や巻装されているマスターの後端から印刷インキがしみ出す現象が発する。一方、通気度が157cm/cm・秒を超えた場合は印刷濃度が高くなりすぎ、裏汚れやにじみ等が発生する。すなわち、通気性は小さすぎても大きすぎても良好な印刷品質は得られない。
【0044】
この通気度は、次のようにして測定される。
得られた感熱孔版印刷用マスターのフィルム面をサーマルヘッド搭載孔版印刷機「プリポートVT3820、(株)リコー製」で10cm×10cmのベタチャートを用いて穿孔し、製版する。このサンプルをpermeameter(通気度試験機、東洋精機製作所製)で通気度を測定する。なお、通気性の測定を多孔性樹脂膜単体で行なわないのは、薄すぎて多孔性樹脂膜をピーリングできず、単体にできないためである。
【0045】
なお、ここでいう穿孔面積率とは、感熱孔版印刷用マスターがサーマルヘッド、レーザー、フラッシュランプなどによりベタの製版を施されたときの感熱孔版印刷用マスターのフィルム面での貫通孔の合計面積が、ベタ部の全面積に占める割合のことである。穿孔面積の測定は、次の要領で行なう。穿孔面を光学顕微鏡で100倍の拡大写真を撮影し、次いで、複写機「(株)リコー製イマジオMF530」で200倍に拡大コピーする。この拡大コピーにOHPフィルムを重ね開口部をマーキングする。マーキングしたOHPフィルムをスキャナー(300DPI・256階調)にて読み取り、“Adobe Photoshop 2.5J”(Adobe SystemIncorporated 製)で画像処理して2値化する。次いで、画像解析ソフト“NIHimage”にてマーキングした穿孔部の面積を測定し、面積率を算出する。
【0046】
【実施例】
次に、本発明の感熱孔版印刷用マスターについて、実施例により説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、以下に示す部はいずれも重量基準である。
【0047】
実施例1
PVB(積水化学工業社製、BH−S) 2.5部
低分子乳化剤(東邦化学工業社製、GF185) 0.2部
溶媒(酢酸エチル) 28.8部
上記処方量に従って、BH−S、GF185を攪拌しながら酢酸エチルに均一に溶解する。該溶液を攪拌しながら非溶媒である水(HEC1%溶液)17.5部を滴状にて添加して乳化液をつくり、塗布液とする。
上記油中水型ポリウレタン系樹脂乳濁液を液温25℃に保温し、ダイコーターにて、長さ4.5mの乾燥炉を用いて、厚さ2.0μm、150℃における熱収縮率42%の共重合ポリエステルフィルム上に塗布、乾燥し、長尺の多孔性樹脂膜を形成し、ロール状に巻き取ったものを作成した。その後フイルムロールにセットした。
一方、多孔性繊維膜として繊度0.2デニールと1.1デニールの2種類のポリエステル繊維からなる抄造紙(坪量8g/m、厚み32μm)を用い、そのロール状物を支持体ロールにセットした。
あらかじめ、下記の組成分を約90℃で溶融混合を行ない、90℃で1000cpsの電離放射線硬化性接着剤を準備した。
ポリウレタンアクリレート樹脂 70.0重量部
(荒川化学工業社製、ビームセット504H)
アクリル酸エステルモノマー 30.0重量部
(東亜合成社製、アロニックスM−101)
得られた電離放射線硬化性接着剤を90℃に加熱したコーティングロールを用い、付着量が0.2g/mとなるように、前述のようにセットされた長尺の多孔性繊維膜を支持ロールから引き出して、多孔性繊維膜の一方の面に塗布した後、連続的に多孔性繊維膜とのニップ工程に搬送した。
前述のようにセットされた長尺のポリエステルフィルムを、フイルムロールから引き出し、本発明の製造方法に従って、その多孔性樹脂膜を有する面と長尺の多孔性繊維膜の接着剤の塗布面とをニップロールでニップし、その後に鏡面ロール上に密着させて搬送しながら、かつニップ直後に5Mradの電離放射線を照射して接着層を硬化させて、ラミネートを行なった。
次に、下記組成からなる融着防止剤を熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜と反対側の面にバーコーターを用い塗布し、乾燥した後巻き取り、本発明の感熱孔版印刷用マスターを得た。評価結果を表1に示す。
シリコーンオイル 0.5重量部
(信越化学工業社製、SF8422)
界面活性剤 0.5重量部
(第一工業製薬社製、プライサーフA208)
トルエン 100.0重量部
【0048】
実施例2
多孔性繊維膜として繊度0.2デニールと1.1デニールの2種類のポリエステル繊維からなる抄造紙(坪量6g/m、厚み29μm)を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の感熱孔版印刷用マスターを得た。評価結果を表1に示す。
【0049】
実施例3
多孔性繊維膜として繊度0.2デニールと1.1デニールの2種類のポリエステル繊維からなる抄造紙(坪量5g/m、厚み25μm)を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の感熱孔版印刷用マスターを得た。評価結果を表1に示す。
【0050】
比較例1
多孔性繊維膜として実施例1で用いたものと同じものを用い、その一方の面に、下記材料を溶解、混合して得られた接着剤塗工液をグラビアロールを用いて乾燥後の塗布量が0.5g/mとなるように塗布した後、実施例1において用いられたロール状の多孔性樹脂膜面と重ね合わせた後、50℃で乾燥を行なった。
飽和ポリエステル接着剤 15.0重量部
(ユニチカ社製、UE3500)
トルエン 75.0重量部
次に、実施例1で用いた融着防止剤と同じものを熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜と反対側の面にバーコーターを用い塗布し、乾燥したあと巻き取り、感熱孔版印刷用マスターを得た。評価結果を表1に示す。
【0051】
比較例2
多孔性繊維膜として実施例2で用いたものを用い、これに実施例1で用いた接着剤を塗布して得られた長尺の多孔性繊維膜と、実施例1で作成した長尺の多孔性樹脂膜面と重ね合わせた後、鏡面ロール上に密着させ、一定の搬送張力下に搬送し、鏡面ロール上で5Mradの電離放射線を照射して接着層を硬化させラミネートを行なった。
次に、実施例1で用いた融着防止剤と同じものを熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜と反対側の面にバーコーターを用い塗布し、乾燥した後巻き取り、ロール状の感熱孔版印刷用マスターを得た。評価結果を表1に示す。
【0052】
比較例3
多孔性繊維膜として実施例3で用いたものを用い、これに実施例1で用いた接着剤を塗布して得られた長尺の多孔性繊維膜と、実施例1で作成した長尺の多孔性樹脂膜面と重ね合わせた後、鏡面ロール上に密着させ、一定の搬送張力下に搬送し、鏡面ロール上で5Mradの電離放射線を照射して接着層を硬化させラミネートを行なった。
次に、実施例1で用いた融着防止剤と同じものを熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜と反対側の面にバーコーターを用い塗布し、乾燥した後巻き取り、ロール状の感熱孔版印刷用マスターを得た。評価結果を表1に示す。
【0053】
(評価)
以上、得られた感熱孔版印刷用マスターについて、通気度、印刷濃度、印刷白抜け、平滑度を(株)リコー製孔版印刷装置プリポートVT3820及びインキ(20℃での粘度:15Pa・S)を用いて試験し、下記の標準で評価した。それらの結果を表1に示す。
(1)通気度
プリポートVT3820((株)リコー社製)で10cm×10cmのベタ部のチャートを読み込ませ、同ベタ部と対応する穿孔を行なった感熱孔版印刷用マスターを試料として、permeameter(通気性試験器、(株)東洋精機製作所製品)にて測定する。
(2)印刷濃度
ベタ部の画像濃度をdensitometerにて測定する。
(3)印刷白抜け(印刷ムラ)
印刷面を肉眼で観察し、印刷白抜けがほとんどないものを○、白抜けがややあるが実用上支障のないものを△、白抜けが多いものを×で示す。
(4)平滑度
王研式平滑度試験機(熊谷理機工業社製、KY−55型)を用い、サンプルは20℃、65%RHの雰囲気で24時間調湿し、3箇所の測定値を平均して測定値とする。
(5)デラミ
ラミネート後の感熱孔版印刷用マスターを肉眼で観察し、多孔性樹脂膜と多孔性繊維膜の間にはがれた部分がないものを○、はがれた部分があるものを×で示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004179806
【0055】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明によれば、熱可塑性フィルムの自由表面側の面の平滑度が15000秒以上(王研式平滑度測定器による)の感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法が得られる。また、従来どおりの品質を有する感熱孔版印刷用マスターが得られ、穿孔感度が高く、印刷ムラがなく、ラミネート時にできるシワ、デラミが少ない感熱孔版印刷用マスターが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の感熱孔版印刷用マスター製造方法の一例を説明するための図である。
【図2】従来の感熱孔版印刷用マスター製造方法の他の例を説明するための図である。
【図3】本発明の感熱孔版印刷用マスター製造方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 フィルムロール
2 熱可塑性フィルム
3 コーティングロール
4 接着剤
5 鏡面ロール
6 支持体ロール
7 多孔性支持体
8 熱風乾燥
9 冷却ロール
10 原紙巻き取りロール
11 ニップロール
12 電離放射線装置

Claims (3)

  1. 片面に多孔性樹脂膜を有する長尺の熱可塑性樹脂フィルムと、電離放射線硬化性接着剤が塗布された長尺の多孔性繊維膜とを用い、電離放射線照射によって前記接着剤を硬化させて感熱孔版印刷用マスターを製造する方法であって、別々に搬送される前記熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜を有する面と前記多孔性繊維膜前記接着剤の塗布面とを合わせ、ニップロールと鏡面ロールとでニップした直後に、電離放射線照射し、ニップされた前記熱可塑性樹脂フィルムと前記多孔性繊維膜とを前記鏡面ロール上に載せてテンションをかけられた密着状態で搬送することによって、ラミネートすることを特徴とする感熱孔版印刷用マスターの製造方法。
  2. 接着剤塗布量が0.05〜1.0g/mであることを特徴とする、請求項1に記載の感熱孔版印刷用マスターの製造方法。
  3. 片面に多孔性樹脂膜を有する長尺の熱可塑性樹脂フィルムの多孔性樹脂膜面と、電離放射線接着剤が塗布された長尺の多孔性繊維膜とを、電離放射線照射によって前記接着剤を硬化させることによってラミネートして感熱孔版印刷用マスターを製造するために用いる装置であって、前記多孔性樹脂膜面と前記多孔性繊維膜とを合わせ、ニップするためのニップロール及び鏡面ロールと、前記ニップ工程直後に電離放射線照射が可能な位置に設置された電離放射線照射手段とを有し、前記鏡面ロールは、ニップされた前記熱可塑性樹脂フィルムと前記多孔性繊維膜とを少なくとも前記電離放射線照射中にテンションがかけられた密着状態で搬送することを特徴とする感熱孔版印刷用マスター製造装置。
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